ほととぎす啼きつつゆくも空の中 正子
ほととぎすは時鳥、子規、杜鵑とも書くホトトギス科の小鳥で、その啼き声は、「テッペンカケタカ」とか「トッキョキョカキョク」と聞こえる。先日も八ヶ岳方面の小旅行の折、夕方、ベランダに出たときと翌日、原生林の中で聞きました。いずれも姿は見せず、空の高いところでの啼き声でした。空の中がユニークと思います。(古田敬二)
○小雨。
○第19回インターネット俳句コンテストの後援申請の書類を愛媛県教育委員会の文化振興課に郵送。月曜日には、届くであろう。
○俳句界7月号の結社広告校正。明日訂正を送信する。明日、8月号の広告原稿を準備
○紫蘇苗1本と茄子の苗2本を買うが、日暮れてしまったので、植え付けは明日。茄子苗は、信之先生の情報で、八百屋さんにいい苗があるというので買った。紫蘇苗は、日吉東急西口から少しいったところの花屋さんで。雲間草の株分け。
○「1Q84」①を数ページ立ち読み。
○今日の俳句
蒲公英の絮の丸さへ川の風/古田敬二
蒲公英のまん丸の絮に川風が吹いてきて、今にも絮が飛んでゆきそうだ。川風はそういう吹き方をする。今にも飛びそうな、危うさへの実感がある。(高橋正子)
竹落葉わが胸中を降るごとし 正子
筍が若竹に生長し、古い竹はしきりに落葉している。一片ずつ静かに降りしきる竹落葉の乾いた音と感触が、胸中深くひとつの季節の終わりを告げているようです。惜春の思いとともに、人生のひとつの節目を越えられた感慨が伝わってきます。潔くひとつの季節を逝かせ、新たな季節に向かわれる強さを感じます。自身の内奥の真実を深く見つめられる芸術家の魂を御句に見る思いです。 (柳原美知子)
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○今日の俳句
すかんぽを手折れば青き音空へ/柳原美知子
すかんぽは懐かしさを呼ぶが、空へと弾ける「青き音」がさっぱりとすがすがしい。(高橋正子)
金魚鉢きらめくものを子が飼えり 正子
「きらめくもの」という言葉で金魚の姿、泳ぐさまが目に浮かぶとともに、それを飼っておられるお子さんの優しい気持ちも伝わってきます。(多田有花)
○晴れ
○花冠7月号を校了。この分なら、6月5、6日に印刷できそう。
○新しく本を買うのも億劫なので、本棚から「世界の歴史」(社会思想社)全12巻をだして、「巻1文明のあけぼの」から読み始めた。アルタミラの洞窟の話などは、子どもの英語テキストでよく語られている部分だが、こういった話も挿入されて、原人の頭蓋骨をタクシーに忘れた話など面白く、よい読み物になっている。詳しく読めば敬遠していた歴史も、いろいろと面白い。敬遠しているものは、概略ではなく、細かく知れば、興味も湧くというものだろう。
○今日の俳句
山法師空より星を受けて咲く/多田有花
山法師の花と一般に言われているのは、正確には花ではないが、風車のような扁平な形をしている。この花が夜には、星の輝きを直接受けて開いている。清潔な抒情のある句。(高橋正子)
5月24日(月)
青葉木菟湯にとっぷり子と沈む 正子
一日を終え、子とともに「とっぷりと」湯に浸かる母の充足感。「ほうほう」とひと懐かしい優しさを持つ青葉木菟の声が、とりわけしみじみとあたたかく心に沁み入ります。(藤田洋子)
○今日の俳句
開いては菖蒲の高さ揃いたり/藤田洋子
菖蒲のあでやかな花が印象づけられる。どれも同じ丈に咲きそろう菖蒲の見事さ。(高橋正子)
雨
○このところ、添削教室がにぎやかだ。みなさん、掲示板の機能などをよく知るようになられた。
◇生活する花たち「ばら①・ばら②・ばら③」

(横浜・港の見える丘)
燕子花を抱え一束の湿り 正子
○雨。
花冠7月号初校を済ませ、印刷所にファックス。
○今日の俳句
山峡の一家の植田陽を返す/川名ますみ
山峡なので「一家の植田」に、つつましい田が想像できる。植田に風が渡り、陽をよく返している。陽に恵まれて、これから夏を過ごして、実りの秋へ豊かに稲が育っていくことであろう。単なる写生でなく、植田の一家にも心が及んでいる。(高橋正子)
◇生活する花たち「うつぎ①・うつぎ②・山ぼうし」(横浜日吉本町)

葉桜に夜も残れる空の紺 正子
瑞々しく緑深い葉桜から透けて見える夜空は、漆黒の闇ではなくて、青みがかった瑞々しい紺色のようです。葉桜に寄せて初夏の夜の爽やかで明るい心持ちが伝わってくるようです。(柳原美知子)
○「俳誌展望」第147号が届く。全国俳句コンクール特集。喜ばしことに、このコンクールで花冠の宮地祐子さんの句「手に掬う水のあかるさ春隣」が、優秀第1席に入りました。全国俳誌協会賞1句に続く賞ですので、第2席ということになります。祐子さん、おめでとうございます。
花冠からほかに、黒谷光子さん、藤田裕子さん、柳原美知子さんが投句され、1句ずつ掲載されています。ご投句のみなさん、ご苦労さまでした。2月末選者の選が締め切られ、雑誌での入賞発表が5月下旬となりました。
○今日の俳句
朝空へ枇杷の実青くみな立てり/柳原美知子
「みな立てり」は、たくさんの青い実が立ち上がるように付いて、摘果もしていない自然のままの様子であろう。朝空と枇杷の青い実が生命感あふれる初夏の季節をよく詠んでいる。(高橋正子)
◇生活する花たち「うつぎ①・うつぎ②・デージー」(横浜日吉本町)

アカシヤの花に青空寄りかかる 正子
夏に咲くアカシアの花。青い空と白いアカシアの花の組み合わせは5月にしかない。樹形一杯に咲く白い花のバックが青空というのでなく、青空がアカシアに「寄りかかる」としたところがユニークです。 (古田敬二)
○今日の俳句
咲きかけの黄薔薇とアンネ・フランクと/古田敬二
アンネ・フランクに薔薇を添えるとしたら、黄色の薔薇がいいですね。これから咲こうとして、パウダーのかかったような無疵の花びらが、自己の気品をほどいていく。黄色い薔薇は、アンネの実在の姿に重なる。(高橋正子)
◇生活する花たち
「ミズキの花と横浜港・ばらとイギリス館・ピラカンサスと神奈川近代文学館」

(横浜・港の見える丘)
豆飯の飯の白さに風抜ける 正子
ご飯は白いものですが豆が入ることで白さが際立ち豆の青さと相まって、心地よい風を感じられたのでしょう。「風抜ける」に豆御飯の頃のさわやかな気候も感じられました。(黒谷光子)
○洋介さんの句集『葉桜』出版の打ち合わせのため、信之先生のお供で田園都市線のあざみ野駅までゆき、洋介さんと10時に落ちあう。改札を出てすぐの、上島珈琲店で作業。2時間ほどかかる。帰宅後、休憩の後、信之先生と、句の順番を入れ替えたり、前書きを書き込んだりして、洋介さんに原稿ファイルをメールする。あとがきができれば、原稿が揃う。6月15日入稿、8月末発行予定。
○雨。向かいの紫陽花の蕾が白っぽくなる。雨は梅雨の走りのよう。
○今日の俳句
朝日射す御堂へ今日は豆御飯/黒谷光子
毎朝の仏飯に、今日は季節の香りいっぱいの豆御飯をお供えした。御堂には、すがすがしい朝日が差して、まことに気持のよいことである。(高橋正子)
◇生活する花たち「ばら園①・ばら園②・ばら園③」

(横浜・港の見える丘)
新緑の翳るときあり水があり 正子
新緑から青葉になる頃は枝や葉が重なり合って盛り上がり翳りとなって辺りが薄暗くしっとりして参ります。またある時は風がそよぎ木々から滴る水か或いは湧き水か。そこに水が有る事で活き活きとした新緑の清々しさを感じとる事が出来ます。(佃 康水)
○今日の俳句
船窓に見え来る全山島若葉/佃 康水
船窓から島の全山が見え始め、さらに近付くと島を覆い尽くす若葉の鮮やかさに、息をのむような感動を覚える。(高橋正子)
◇生活する花たち「ベニカナメモチ・デージー・ペチュニアと鉄線」(横浜日吉本町)

茄子胡瓜つゆけく漬かり飯は白 正子
○河野啓一さんから注文のあった花冠6月号をメール便で送付。
○小金井喜美子の「鴎外の思い出」を青空文庫で読む。明治3年生まれ。鴎外がドイツ留学前に、「湖月抄」と本間の琴をくれたそうだ。「湖月抄」は、源氏物語の注釈書だが、戦火も免れたらしく、永く大切にされ様子。それと、鴎外は、茄子と胡瓜の浅漬けが好きだったとか。身辺の随筆が大変上手だ。「・・かった」という語尾で終わる文がよくあるが、当時の知識人の女性の言葉であろう。
○今日の俳句
若葉風青竹売りの声街に/飯島治朗
若葉風の中に青竹を売る声が通り抜けて、初夏のすがすがしい季節が街に来た。(高橋正子)
◇生活する花たち「うつぎ・山ぼうし・鉄線」(横浜日吉本町)
