11月5日(金)

★冷たさも露けさもスライスオニオン  正子

○今日の俳句
行くほどに銀杏色づく通学路/上島祥子
通学の道に銀杏が続いている。ずっと歩いてゆくほどに、銀杏が黄葉している印象が強まる。銀杏黄葉に染まる作者である。(高橋正子)

11月4日(木)

★紺碧の天と対いて刈田あり  正子
大きな景色の広がりを感じる句です。もしかしたら谷あいの棚田かもしれませんが、それでもやはり広々とした空気を感じます。(多田有花)

○今日の俳句
薄立つ高さよ向こうの山よりも/多田有花
小高い丘などに登ると、薄が向こうの山よりも高く立っている。見晴らしのよさにも秋の深まりがある。(高橋正子)

○11月21日の花冠各賞の授賞式・祝賀会の場所を日吉から新横浜に変更。新横浜駅のキュービックプラザという10階にあるフランス料理のレストラン、「ラ・クラス」。はじめ同じ階にある湘南野菜を使ったイタリア料理店にする予定で信之先生と試食したが、今回は、フランス料理にした。

○帰りに「横浜土産」という店で来年の干支のうさぎが目に入ったので、立ち寄って買う。高山張子のうさぎ。うかうかしていると年末をむかえるので、例年干支の置物は、目に入ったときに買うことにしている。

11月3日(水)

★鞄より木の実ソックス子が取り出す  正子

○今日の俳句
窓開ければりんりんと朝寒の風/迫田和代
窓を開けると、もう朝の風が寒い。風も心身も「りんりんと」する。(高橋正子)

今日の俳句
一鉢の小菊の色のたのしけれ 正子
球根を植えて文化の日の晴天
秋天の青全きや指の傷

○俳句界11月号が7冊送られてくる。まちがいなので、4冊返品。裕子さん、洋子さん、加代子さんに定期購読分を送る。10月号を3冊注文。直接3名に送ってもらう。

○11月23日にいきいき会館である落語会の入場チケットに当選。ただし一人分。

11月2日(火)

★秋海は青より銀に由比ヶ浜  正子
ひと夏の賑いのあと、穏やかに澄んだ青を湛える秋の由比ヶ浜。その海面に日が反射してきらめく銀色の、何と爽涼な広やかさでしょう。数年前、鎌倉吟行に参加させていただいた折の美しい由比ヶ浜を思い起こしました。(藤田洋子)

○今日の俳句
鵙鳴いて玻璃くっきりと今朝の空/藤田洋子
キチキチと鋭く鳴く鵙の声にこたえて、よく磨かれた玻璃に、抜けるような青空が見える。自分の内なる温みに対して、外には、鋭い鵙の声と、すっきりとした空の青がある。(高橋正子)

11月1日(月)

★日にいちばん耀くものに菊蕾  正子
秋の日の清冽な空気と陽射しに、菊の蕾の今にも開きそうな情景が想われ、露を含んでいるように瑞々しく爽やかです。「耀くもの」との措辞に、光を照り返すものではなく、菊の蕾自らが煌めきを発しているように感じられて素敵です。(桑本栄太郎)

○今日の俳句
秋澄むや新築現場の杉の香に/桑本栄太郎
新築の現場に行くと、新材の匂いがする。そのなかでも杉の香りが高くしていると、辺りが澄む感じとなる。「秋澄む」である。(高橋正子)

○コンテスト賞状と賞品発送5名。入賞者で、住所不明の方4名にメールで住所をしらせてくれるよう依頼。川柳関係は、1時間ほどで返事が全員帰ってきたので、すぐ3名に宅急便とメール便で発送。本日発送は8名。俳句関係一人を残し、賞状賞品の発送は完了。
▼第19回インターネット俳句コンテスト入賞発表
http://internet-haiku.info/contest/

○花冠12月号の発送準備にかかる。
▼花冠12月号(オンライン版)
http://blog.goo.ne.jp/kakan12/

○花冠各賞の記念品の準備にかかる。

10月31日(日)

★鳥渡る異郷の空のうすぐもり  正子
秋も深まり、北方から群れをなして渡ってくる渡り鳥。力強いながらも懸命に飛んでくるその姿は異郷にある自身の姿と重なり、切なくも愛しい。うすぐもりの空であればなおさら郷愁を感じます。(柳原美知子)

○今日の俳句
橋に見る水きらめくは溝蕎麦に/柳原美知子
そんなに大きくなし橋であろう。橋の上から見ると、川の水がきらきら光り、溝蕎麦の花を輝かせている。田園の澄んだ水、澄んだ空気の中まで感じさせてくれる。

○コンテスト子どもの部の賞品と賞状を発送。

○角川「俳句11月号」で、第56回角川俳句賞の選考経過を読む。「受賞作なし」の声がたびたびあがっているが、2作を入賞させている。

○俳句11月号で目にとめるべき記事は、P48の<「江戸俳諧の黄金時代」ー手紙と俳諧の素敵な関係 伊藤善隆(湖北短期大学準教授 俳諧研究者)>この中で、日本の伝統的、詩歌(和歌・発句)の評のありかたについて。川本臥風先生の添削指導は、まさにこれであったことを知る。私が、ブログ句会、添削教室で行っている、評も基本的には、伝統的日本の詩歌の評であろうと思う。西洋のクリティック(批評)とは違うのである。随筆とエッセイが違うように。(最近は日本では、エッセイでないものをエッセイとしているが。エッセイは、論文なのであるが)

10月30日(土)

★草を出て草へ飛びけりきりぎりす  正子
キリギリスの動きは、なんとなくユーモアがあって見ていても楽しい。草むらから出てきたと思えば、また草むらへ飛び去る。イソップ童話では働き者の蟻にたいして、年中遊び呆けている道楽者ののように描かれているが、彼らは彼らなりに懸命に生きているのだろう。この一句で、ふと童心に帰ることができる。(山中啓輔)

○今日の俳句
玻璃戸拭き終え秋の空存分に/山中啓輔
玻璃戸しっかり拭き終えると、玻璃戸という隔てが無くなったように、秋の空が、直に、しかも存分に自分のものにできる。「秋の空」の感覚、秋の季節をよく捉えている。

○台風14号が伊豆半島に接近。遅い台風である。

10月29日(金)

★海の青日々に深まり柘榴の実  正子
海の青に、石榴の実の鮮やかな赤。なんと美しい色彩でしょうか。裂け目から覗く石榴の実はルビーような輝きと透明感があり、深まりゆく海の色に映えますね。詩情豊かな秋を感じました。(後藤あゆみ)

○今日の俳句
花束にして子が持ちし赤のまま/後藤あゆみ
赤のままは、ままごとのご飯から由来する名であるが、子が作ったその花束は、かわいいだけでなく、良き時代へのノスタルジックな雰囲気をもっている。それが表現されて、一味違う句になった。

10月28日(木)

★朝はまだ木犀の香のつめたかり  正子
香りがつめたい、という表現が新鮮です。朝、戸外へ出て真っ先に木犀の香りがした、肌に当たる空気の冷たさ、それが蘇ってきます。(多田有花)

○今日の俳句
さわやかに心を決めていることも/多田有花
この句は、心にきめていることがあって、それはさわやかなものだ、というのみである。体内をさわやかに風が吹く感じだ。

10月27日(水)

★霧に育ち大根くゆりと葉を反らす  正子

○今日の俳句
どんぐりの新しきが落ち混ざりたる/池田加代子
どんぐりを見つけた童心のような喜びはもちろん否定しないが、それより深く入って、すでに落ちて風雨にさらされたもの、あたらしく落ちたものが共に目に入る。それを見ると森に深い時間が流れていることが知れる。