12月3日(金)

★純白の苺の花も十二月  正子
一年の最終月の十二月、開花する苺の純白がひときわ鮮明に目に映ります。その混じりのない明瞭な「純白」な花びらに、十二月への思いが込められているようです。(藤田洋子)

○今日の俳句
音立てて山の日差しの落葉踏む/藤田洋子
「山の日差しの落葉」がいい。山の落葉にあかるく日があたり、そこを歩くとほっこりとした落葉の音がする。(高橋正子)

12月2日(木)

★冬鶺鴒せきれいほどの影を連れ  正子
市街地でも親しまれている鶺鴒。地面すれすれに飛ぶ姿や、早足で歩く姿が印象的です。ほっそりと小さな鶺鴒が、その「せきれいほどの影」を映しながら行く様子に、冬日和の楽しさと、生命の力を感じます。(川名ますみ)

○今日の俳句
冬晴れて登ることなき山のぞむ/川名ますみ
冬晴れに高い山が望める。その山に自分は決して登ることはできないが、その山の姿のすばらしさに、登ることはかなわないが、せめて心だけでも登ってみたい思いや憧れがある。(高橋正子)

12月1日(水)

★鈍行のことこと芽麦を渡りいる  正子
芽麦の畑を一両か二両の鈍行列車が通る、のどかな農村の景色です。草も木も枯れ色の中に麦の芽の緑が際立ち景色を引き締めているようです。(黒谷光子)

○今日の俳句
雪吊りの縄の放射の緩びなき/黒谷光子
雪吊りの縄は、松の木の天辺から放射状にぴんと張られ、冬の日に輝いて美しい。「緩びなき」張りが、雪吊りの美しさである。(高橋正子)

11月30日(火)

★薪ストーブ静けき熱をわれらに放ち  正子
遠い昔、スキー場に行った時の事を思い出します。薪ストーブの揺らめく炎、時折はぜる音、ほっこりとした静かな熱を放つストーブを囲み身体を温め、心もほぐれお仲間との楽しい空間と時間を過ごされて居る情景が浮かびます。(佃 康水)

○今日の俳句
黄千両今宵の月の色に生る/佃 康水
千両には、赤い実をつけるものと、黄色い実をつけるものがある。その黄色い実を今宵の月の下で見ると、まさに月と同じ色。玲瓏とした黄千両の実である。(高橋正子)

11月29日(月)

★冬泉散り入るものに日の光り  正子
日の光りを受けて、ひとときの祝福を受けているような冬泉へと散り入るもの。散りしものへの慈しみとともに、その清浄な冬の泉の情景に、心洗われる思いがいたします。 (藤田洋子)

○今日の俳句
短日の街を灯して書店混む/藤田洋子
短日の街の様子が書店を通してよく見える。短日の人で混む書店に充実感が見える。(高橋正子)

11月28日(日)

★鴨の池映れるものはみな映り  正子
ゆったりと泳ぐ鴨の群れ、池には周りの木や草、また池の辺に佇む人も映っているのでしょう。風もなく穏やかな日の鴨池の光景に心なごみます。(黒谷光子)

○今日の俳句
観音の坂せせらぎと冬紅葉/黒谷光子
観音へ参る坂にせせらぎと冬紅葉があって、気持ちが満たされてあたたかくなる。(高橋正子)

11月27日(土)

★ストーブの出されしばかりが炎の清し  正子
そろそろ冬本番、ストーブが今シーズンの出番を迎えます。出されたばかりのストーブは磨かれぴかぴかと輝きを放っています。その中に灯るシーズン初の炎、そこにあるすがすがしいものを感じられての御句です。 (多田有花)

○今日の俳句
一樹立つおのが落葉に囲まれて/多田有花
樹は動かないから、自分の落した落葉に囲まれることになる。その落葉のあたたかさの中にすっく立つのも本来の樹の姿に違いない。(高橋正子)

11月26日(金)

★芹育て橋を潜れる速き水  正子
橋の辺りに芹が育っている川、芹を見ていると水の流れが速いことがよくわかります。橋のある野川に芹の群生している様子を想像しました。(黒谷光子)

○今日の俳句
松林透かせば冬の湖光る/黒谷光子
松林のあいだにきらきら光る冬の湖。松林が、冬の琵琶湖の侘びた風景を眼前に見せてくれている。(高橋正子)

11月25日(木)

★夕寒き街のはずれに花屋の燈  正子
日毎に寒さが募り、夕方4時過ぎともなりますと日暮れて寒くなります。街中に灯りが点り始めますと、寒さの中に何かしら「ほっと」安堵します。それが花屋さんの燈とあれば、尚更ですね。(桑本栄太郎)

○今日の俳句
茶の花や老婆の軽ろき鍬の音/桑本栄太郎
畑の周りに茶の垣根を巡らしているのだろうか。茶の花が咲くうららかな日、老婆は鍬音も軽く、楽しみながらの畑仕事である。京都では、畑やそこに働く農民を庭園の一部として鑑賞した地位の人もいたというから、そういった風雅がしのべる。(高橋正子)

11月24日(水)

★芽麦まで遠き夕陽の差しいたり  正子
遠くに見える麦芽まで、夕陽が当たっている光景でしようか。 田の中に囲まれた小さい頃に戻ったような気持ちになりました。(祝恵子)

○今日の俳句
大根の白さを今日もまな板に/祝恵子
冬の間の食材として欠かせない大根の白が、目にみずみずしい。また今日の新しい白となって刻まれる。日々の新しさがさわやか。(高橋正子)