2月22日(火)

★賽銭を放りて拝む梅の寺   正子
早春の境内に、静かに彩りと香りを放つ梅の花。古くから梅の寺として人々に親しまれているのでしょう。あたたかな気分に、お賽銭もぽんと放り投げてみたくなります。手を合わせ、明るい暮らしを祈念します。(川名ますみ)

○今日の俳句
梅ひとつ咲いて朝餉の一時間/川名ますみ
ゆっくりと進む朝餉の間、ほのかに香る一輪の梅の花。一輪の梅が咲いたよろこび、心が洗われる気持ち、それが意外にも大きい。(高橋正子)

○東海道五十三次俳句

 日本橋三句
春浅き日本橋を渡りけり/高橋信之
旅立ちに二月の高き空仰ぐ 〃
春浅しここに魚河岸がありき 〃

 品川宿二句
春旅の気ままさに煎餅を買う/高橋信之
木の家の下駄売る店の春曇り 〃

 川崎宿五句
春浅し六郷川に常夜灯/高橋正子
下萌えの六郷川の水青し 〃
六郷川流れて青し春の雲 〃
川向うは宿場よ春の雲浮かせ/高橋信之
川渡り西へ西への春の旅 〃

 神奈川宿五句
 神奈川通東公園(オランダ領事館跡・神奈川宿の江戸側入口)
銀杏芽木欅芽木立ち吾もここに/高橋信之
梅の香を息に吸い込みあるきけり/高橋正子
神奈川宿紅梅白梅匂いけり 〃
 宗興寺
牡丹の芽ヘボン博士のレリーフに 〃
 神奈川公園
下萌えは大樹の太る根もとより 〃

○東海道五十三次宿場解説(NHKプロモーション発行「広重二大街道浮世絵展」参考)
 
①日本橋(東京都中央区日本橋1丁目)
東海道を歩く(東海道五十三次)
http://www.sloway.net/diary/index.html
※2月14日(月)、信之先生俳句散策。

②品川宿
東海道品川宿:
http://japan-city.com/sina/
※2月14日(月)、信之先生俳句散策。

③川崎宿
川崎市川崎区のサイト
http://www.city.kawasaki.jp/61/61kusei/kawasakijuku/
※2月17日(木)、信之先生と歩く。

④神奈川宿
神奈川宿歴史の道
http://www.natsuzora.com/may/town/kanagawa-kanagawa.html
※2月12日(土)、信之先生と歩く。

○歌川広重/東海道五拾三次之内 ①日本橋 朝之景 ②品川 日之出 ③川崎 六郷渡舟 ④神奈川 台之景

○広重の東海道五十三次全図一覧:
http://www.e-subaru.jp/kinue.html

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2月21日(月)

★蕗の花まつげあるごとひらきけり   正子
蕗のとうを見つけるとああ春が来たと嬉しいものです。気がつけばあっという間に花が咲いていて驚きます。「まつげあるごと」と花を詠まれ、優しく、かつ鋭い写生の素晴らしさを感じました。(後藤あゆみ)

○今日の俳句①
蕗のとう地を出たばかり摘まず置く/後藤あゆみ
ようやく地を出た蕗のとうへのいとおしみ。さみどりの蕗のとうの美し色とともに、ころんとした幼い形に「摘まず置く」の気持ちが働いた。それがよい。(高橋正子)

○今日の俳句②
春浅し六郷川に常夜灯/高橋正子
下萌えの六郷川の水青し/ 〃
六郷川流れて青し春の雲/ 〃

○2月17日、信之先生のお供で、川崎宿に出かける。信之先生は先日すでに川崎宿に出かけて、川崎駅バスターミナルから、旧東海道を六郷の渡しまで歩いている。遺跡と言われるものはないが、本陣跡、中本陣跡、などという跡だけがわかって、標が立っている。道中に砂子(いさご)の里資料館があって、広重の東海道53次の浮世絵や葉書などを学芸員が作って売っている。そこで売っている、一冊千円の「広重二大街道浮世絵展」を手に入れるためと、私を案内するために出かけたわけだ。本の発行はNHKプロモーションとなって、240ページある。それと、絵葉書を2枚買った。

川崎宿の行き当たりは、六郷川(多摩川)で、たもとに川崎大師から寄付された常夜灯と、明治天皇が東京遷都で、この川を渡られた記念碑がある。舟を川幅に23艘並べ、その上に板を渡して、渡られたということだ。そのときの絵がレリーフとしてあるが、川の蛇行の具合は、今とちっとも変わっていない。広重の浮世絵の六郷の渡しの川の曲がり方も同じである。絵から見る地形は、変わっていないのも面白いことだ。六郷川のたもとに立って見ると、羽田があるあたりは、六郷川の蛇行する水が青く見えて、のどかな雲が浮かんでいる。ここから渡しに乗れば、向こうは江戸。大田区となる。

六郷橋を渡って、東京都側へ。結構長い。670mくらいか。河川敷には、野球のグランドが4面、テニスコートが5面ある。橋を下ってすぐに、小さな公園あるので、立ち寄る。小便小僧の噴水がある。長くも居れないので、帰りの駅を探す。街を少し歩いて聞けば、京急線の「六郷川土手駅」がすぐそこにあるという。ガード下の切符を売るだけの駅で、向かいに、これもガード下だが、コーヒーが飲める店がある。清潔そうなので入ってみる。コーヒー一杯210円、ドーナツ130円。あんぱん110円。こういったものを注文。主婦やちょっとした旅行者、サラリーマン風の人がいて、電気スタンドも用意されている。小休憩のあと、この駅から川崎まで乗った。バスは駅西口からだが、すぐ傍にミューザ川崎という立派な音楽ホールがある。

帰宅してから、浮世絵の本を冒頭から読む。「江戸庶民の臥遊の山水ーー街道浮世絵の楽しみ」(小林忠 文)には、面白かった。臥遊とは、絵を見てそこに遊んだ気持ちになることであるらしいが、旅にあこがれた庶民に広重の絵が受けたようだ。広重の先に英泉という浮世絵画家の絵があったが、この人の絵は人物中心の風俗を描いていたので、広重の風景中心のほうに人気が移ったらしい。広重の絵のシンプルさと哀愁を帯びたところが人気を得たようだ。

2月20日(日)

★二月はや雛の鼓笛を持たさるる   正子
実にうまいと思います。技巧のすぐれた句は、余韻の無いさ末主義におちいりやすく、ただ興がっただけの、空疎な嫌味の句になりかねないものですが、この句は、そうならない前、ぎりぎりの句のように思えます。(川本臥風)

○今日の俳句
街筋の昼月ほっと梅開く/藤田洋子
街筋の空を見上げれば、白く透明感のある昼の月が浮かんでいる。昼月を遠く梅が開いて、昼月と梅との美しい出会いがある。(高橋正子)

2月19日(土)

★銀色の椿の蕾みな固し   正子
先日も、山裾にある「花の寺」に椿の開花を調べに訪れました。急坂の参道に高い椿の木があり、椿の時季には側溝に椿の落花が積重なり、それは見事な光景なのです。しかし、早春の為か固くて真っ白な蕾ばかりで「春浅し」そのものでした。「みな固し」との措辞に、早春の景が良くくみ取れ素敵です。(桑本栄太郎)

○今日の俳句
海苔掻や潮目沖へと流れおり/桑本栄太郎
沖へと流れる潮目を見ながらの海苔掻きに、春の磯の伸びやかな風景が見えて、素晴らしい。(高橋正子)

2月18日(金)

 横浜港
★港湾の動きに満ちて春浅し   正子
大型船のゆっくりした動き、ちいさな船舶の活発な動き、岸壁でのガントリークレーンのゆっくりした動き船の上で動く人影などいろいろな動きが見える早春の港。その向こうにはキラキラ光る波。吹く風はまだ冷たいが確かな春の気配。本格的な春の到来を予感させる句である。(古田敬二)

○今日の俳句
耕しに土の中なる根のさみどり/古田敬二
「耕し」は、春の季語。春になると、種まきの準備など、田畑を耕す。耕していると、土の中に白い根ではなく、さみどりの根があることに驚く。土の中にもすでに春の息吹がある。(高橋正子)

2月17日(木)

★青空の果てしなきこと二月なる   正子
立春をすぎた頃の晴れた空は、うすみずいろに、春浅い二月ならではの軽やかさに充ちています。二月のひかりを伴い、果てしなく春へと向かう青空です。(小川和子)

○今日の俳句
二月の陽を反射させつつバス来たる/小川和子
バスを待っていると、向こうから陽を反射させながらバスがやって来た。光は、早くも明るい二月の光。二月の光を連れて来たバスである。(高橋正子)

2月16日(水)

 慶大日吉キャンパス
★煙る銀杏芽吹く気配を一心に   正子
春になり芽吹きが新鮮に感じる時期となりました。 煙る銀杏が春の兆しが一気に訪れを感じさせてくれます。(高橋秀之)

○今日の俳句
食卓を彩る一輪挿しの梅/高橋秀之
毎日の食事が並び、家族の団欒がある食卓。食卓の一輪挿しの一枝の梅が今日という日を清々しく、ことに季節の新しさを知らせてくれる。さりげなく梅の花がある生活がそのまま句となった。(高橋正子)

2月15日(火)

★菜の花へ風の切先鋭かり   正子
菜の花が咲き始めたころでしょうか。まだ春は浅く、ときに冷たい風が野を吹き抜けます。風に大きく揺れ動く菜花にはらはらさせられている作者の気持が端的に詠まれていると思います。(河野啓一)

○今日の俳句
水音して箕面連山春浅し/河野啓一
「水音して・・春浅し」の感覚がいい。箕面連山を行くと、ころころと水音が絶えずしている。自然に身を入れると、確かに春が来ている。(高橋正子)

2月14日(月)

★歩けばある梅咲くところが登り口   正子
お住まいの近くの歩いて行ける所の坂を登った場所に、神社か或いはお寺があるようですね!。その登り口にある梅も、もうそろそろ開花なのでは・・?と、春めいた陽気に心が逸っている作者です。心が弾む心情が想われ、素敵な一句です。(桑本栄太郎)

○今日の俳句
★自転車の籠に紅梅つぼみもち/桑本栄太郎
停めてある自転車の籠につぼみをもっている紅梅を見た。どこかでもらった紅梅か、ここにもつぼみがついた花がある驚きと喜びがあって、句が生きいきしている。(高橋正子)

2月13日(日)

★さきがけて咲く菜の花が風のまま   正子
早春のまだ吹く風の冷たい中、さきがけて咲く菜の花。黄色の色彩があたりを明るくし、風のままに揺れる菜の花のみずみずしさが、まっすぐに伝わってくるようです。(小川和子)

○今日の俳句二月の陽を反射させつつバス来たる/小川和子
バスを待っていると、向こうから陽を反射させながらバスがやって来た。光は、早くも明るい二月の光。二月の光を連れて来たバスである。(高橋正子)