9月27日(火)

○イギリス・俳句の旅第1日9月19日

  ヴァージン・アトランティック航空機にて成田出発
 アテンダントの眸は水色よ秋の旅

  ロンドン・ヒースロー空港へ降下
 ロンドンアイ翼下に入れて秋晴るる

  チェスターのホテルへと高速道路をはしる 300kmほど
 薄紅葉ウィンザー城を浮かばせり
 九月の牧羊ら遠く草を食む
 やわらかき羊散らばる秋の牧
 行けど行けど九月の牧の草青し

  サービスエリア
 イギリスの地上に買いし林檎とジュース

  ホテル
 窓枠の白きホテルに秋の草
 木の実赤し今夜のホテルの二階建て
 牧草の秋の匂いか黄昏れぬ 

 出国
 朝7時前、イギリス旅行へ、娘の句美子と横浜の自宅を発つ。娘に誘われての旅である。20年ほど前の家族4人でのドイツ旅行が思い出される。1990年に家族でドイツ旅行をした。二十一年の歳月が流れ、六歳の句美子は9月3日に二十八歳になった。信之先生は、留守番役。帰国は、9月26日の予定。
 午前11時30分成田空港発のヴァージン・アトランティック航空0901便でロンドンへ発つ。アテンダントの制服は真赤なスーツ。金髪と水色の目が引き立つ。乗る早々機長のクリスピーな英語と、アテンダントの切れ目のない英語に、いささか驚く。12時間ほどの旅を快適にするために、句美子が、エアクッションとネックピローを用意してくれたのと、座席の羽毛クッションのおかげで、乗り物酔いにもならず、よく眠れて、時差ぼけもなくヒースローの空港に着いた。

宿泊は、ロンドンから北へ314km離れたチェスターのホテル。リヴァプールの近くです。翌日からの行動効率を考えて、できるだけ近くに泊ることになった。

▼チェスター:
http://urara-y.at.webry.info/201007/article_10.html

◇イギリス俳句の旅「アン王女歓迎の市庁舎・木組みの家・ローマの要塞」(チェスター)

○イギリス・俳句の旅第2日9月20日

  ホテル ホリディインチェスターサウス
 霧雨が窓に伝いて夜が明けし
 着重ねてまず卵から朝ごはん
 
  ブロンテ姉妹が住んでいたハワースへ
 「嵐ヶ丘」はここかと秋冷まといつつ
 あじさいの枯れし水色牧師館

  ハワース最古の建物パブのブルハウス ブロンテの兄がよく通った
 飲み浴びし古きパブとや村は秋
 ヒースの丘をはるかに秋の雲増える

  ブロンテ一家が眠る教会
 ステンドグラス透けし光の秋湿る
 秋冷に眠り深きやブロンテ一家
 村の丘に立てば秋風巻いて吹く
 栃の実や村の墓石のうすみどり

  ハワースから湖水地方のウィンダミアへ ウィンダミア湖遊覧
 白鳥に寄せて波打つ湖の水
 秋風の湖の向こうに暮らしの家
 秋風にスワン吹かるる岸辺かな

  ウィンダミア ベアトリックス・ポッター資料館/ピーターラッビトの作者ベアトリックス・ポッターが住んだ家
 秋の森となってうさぎの目の丸し
 母といれば娘は幼かりうさぎ見て
 マクレガーの畑に赤かぶ秋のもの
 マクレガーの畑生き生き露けくて

○ハワースは、イングランド北部にある小さな町で、エミリー・ブロンテの「嵐が丘」の舞台となったところです。ハワースでは、雨が雫のように降って、湿っぽい風が荒いわけではないけれど、逆巻くような吹きかたをしていました。ブロンテ一家の住んだ牧師館の裏庭に回るとまだあじさいなどが水色の微妙な色合いになっており、夏の間咲いていた花も咲き残っていました。湿ったような風が印象に残り、「嵐が丘」
のストーリーを彷彿させるものがあります。この地にあってこそ生まれた「嵐が丘」と思いました。
当時の平均寿命が30代ということで、ブロンテ家の人たちも牧師の父を除いて30代で亡くなっています。気候と、土葬の習慣がそうさせたとも思えますが、そら恐ろしく感じました。

 ▼ハワース/19世紀の作家ブロンテ姉妹の故郷:
 http://britannia.cool.ne.jp/travel/2006/01_haworth.html
 ▼湖水地方・ウィンダミア湖:
http://www.tabizora.net/travel/03_england/

◇イギリス俳句の旅「あじさい・村」(ハワース)、「ベアトリックス・ポッター資料館」(ウィンダミア)

9月26日(月)

★もろこしのつめたさつまり露の冷え  正子
玉蜀黍の収穫期です。朝晩には気温が下がり、とくに朝露に濡れた実を取り入れるときには冷たさが実感されます。苞皮の下の実の一粒ひと粒に露がぎっしりと詰まっているかのような気がします。 (河野啓一)

○今日の俳句
大豆干す丹波篠山空青し/河野啓一
丹波篠山は、大粒の丹波の黒豆でよく知られる。収穫した大豆を青空の下の干す光景は、丹波篠山を象徴する風景。「丹波篠山」の語の響きもよい。(高橋正子)

○イギリス・俳句の旅最終日9月26日(月)
 帰国
昨日25日(日)午後1時45分(日本時間午後9時45分)発のヴァージン・アトランティック航空0900便に搭乗し、ロンドン・ヒースロー空港を離陸、帰国の途へ。
 日本時間午前9時30分、成田国際空港着。所要時間11時間45分。

  ロンドン・キュウガーデン
 睡蓮の花いろいろに水を出る  正子

 日本時間の26日に、予定より少し早く成田に着き、午後1時前に自宅に帰りました。今年のイングランドの秋は、温かく、傘、レインコートを使うことなく、晴れた日に恵まれました。チェスターではアン王女に、大英博物館ではキャメロン首相の一家の姿も見ましたので、ラッキーな旅でした。俳句と写真はこれから追々整理してゆくつもりです。ともかくも、無事帰国したことをご報告します。 

◇「睡蓮(waterlily)」(ロンドン・キュウガーデン/イギリス俳句の旅)

9月25日(日)

★鉦叩いつも奥から遅れつつ  正子
鉦叩の虫の音は澄んでいて、まるで鉦を叩くようなリズムで涼しげです。それほど大きな音ではなく、他の虫の音にかき消されてしまうほどです。かすかな美しい鉦叩の虫の音を「奥から遅れつつ」と詠まれ、耳をすませて聴きいるやさしさが感じ取れました。(後藤あゆみ)

○今日の俳句
入日燦さざめく稲穂の匂い濃し/後藤あゆみ
稔田の稲はそよ風を受けてさざめいている。そこへ入日が燦と照り映え、熟穂の匂いが濃くただよう。充実感のある美しい稔田の風景。(高橋正子)

○イギリス旅行

 帰国の途へ。
 ヒースローのホテル(ホリディインロンドンヒースロー M4 JCT 4)を午前9時45分(日本時間午後5時45分)に出発し、ヒースロー空港へ。午後1時45分(日本時間午後9時45分)発のヴァージン・アトランティック航空0900便に搭乗、帰国の途へ。明日26日(月)日本時間午前9時30分、成田国際空港着の予定。所要時間11時間45分。機中泊。 

 ロンドンヒースロー空港:
 http://4travel.jp/traveler/bigwell/album/10337071/

◇「睡蓮(waterlily)」(ロンドン・キュウガーデン/イギリス俳句の旅)

9月24日(土)

★虫の音に窓のいよいよ暗くなる  正子
夕刻に虫の音を愉しむ季節を迎え、しばらく経ちました。お彼岸ともなれば、すっかり日暮れも早くなります。虫が鳴き始め、窓を見るともう暗い。秋が深まる寂しさと、これからの長い夜、ゆっくり虫の声を聞きながら、夜なべに精出そうという気持ちが合わさって、少し切なくなるようです。(川名ますみ)

○イギリス旅行

 今日は、今回のイギリス旅行の最後の観光となる。明日、ロンドンヒースロー空港発の便で帰国の予定。
 今日の予定は、ヒースローのホテル(ホリディインロンドンヒースロー M4 JCT 4)を午前8時15分に出発。午前がロンドン市内観光。午後は自由行動。メインは、大英博物館。

 観光予定地:
 ▼大英博物館
 http://www.ll.em-net.ne.jp/~noritake/Kaigai/01London/Museum/bm.htm
 ▼バッキンガム宮殿
 http://ameblo.jp/his-london/entry-10314961810.html
 ▼国会議事堂
 http://home.h07.itscom.net/minori/england/england8/england8.html
 ▼ウェストミンスター寺院
 http://www.tokotabi.net/overseas/uk08/london4-3.html

○今日の俳句
白芙蓉の角を曲がりて海一面/川名ますみ
白芙蓉と海の鮮明なイメージに、心が広がる思いがする。海辺の澄んだ秋。(高橋正子)

◇「花を飾る家」(イギリス俳句の旅)

9月23日(金)

★月明の寺に湯浴みの湯をたまわり  正子

○今日の俳句
男郎花其処から見える村一つ/下地 鉄
男郎花は小高い丘に咲いているのだろう。そこからは村が一つ見える。句に物語がある。(高橋正子)

○イギリス旅行

 今日の観光予定は、バーミンガムのホテル(パークインバーミンガムウェスト)を午前8時30分(日本時間午後4時30分)に出発し、約161km南に離れたバースに向かう。世界遺産に登録されたバースは、ローマ浴場跡が楽しみ。ヨーロッパのあちこち、イギリスにも、ローマ人がやってきた遺跡がある。バース観光後は、約165km南に離れたヒースローへ。明日は、イギリス旅行最後のロンドン観光。そこでは、大英博物館がメインとなる。

 ▼バース:
 ①http://www.linkclub.or.jp/~kiki/omake/bath.html
 ②http://www.romanbaths.co.uk/

◇「花を飾る家」(イギリス俳句の旅)

9月22日(木)

★満月にさっぱり草の刈られたり  正子
きれいに刈り取られた草々に、満月がいっそう清く仰がれ、澄み渡る満月の夜を感じさせてくれます。そのさやけさに、すっきりと際やかに満月の美しさが浮き彫りにされます。(藤田洋子)

○今日の俳句
湯のはじく乳房の張りよ夕月夜/藤田洋子
生命を産む母体の尊厳と美しさをあまさず伝えていて衒いがない。衒いのなさは、ある意味、少年ぽさなのかもしれない。(高橋正子)

○イギリス旅行

 今日の観光は、バーミンガムのホテル(パークインバーミンガムウェスト)を午前8時(日本時間午後4時)に出発し、午後7時にホテルに戻る。11時間の観光は、かなりハードだが、午後にシェイクスピアの生家を訪ねるので、楽しみ。
 今日の観光地:
 ▼カッスルクーム
 http://homepage3.nifty.com/E-RoseCottage-Garden/page020.html
 ▼バイブリー
 http://www.geocities.jp/sjwatabe1/Cotswolds.html
 ▼ボードン・オン・ザ・ウォーター
 http://www.kosaiji.org/~eisai/England/Cotswolds/index.htm
 ▼ストラトフォード・アポン・エイボン(シェイクスピアの生家)
 http://www.stratford-upon-avon.co.uk/static_1166.htm

◇「花を飾る家」(イギリス俳句の旅)

9月21日(水)

★パイプ椅子天の川へと向け置かれ  正子
松山にお住まいの頃の御句でしょうか。天の川を仰ぐことができるほど、星空が澄んでいるとは素晴らしいですね。星空を眺める至福のひとときです。ロマンティックな銀河とパイプ椅子という組み合わせが面白いと思いました。(後藤あゆみ)

○今日の俳句
烏瓜まだ青あおと縞があり/後藤あゆみ
烏瓜は、熟れると朱の実に縞がうっすらと見えるだけになる。青いうちは、縞がはっきりとして、青い実もまたよいものである。(高橋正子)

○イギリス旅行
 今日の予定は、チェスターのホテル(ホリディインチェスターサウス)を午前8時(日本時間午後4時)に出発し、午前はリバプールとチェスターを観光。午後はトレヴァーへ。水道橋と運河を観光。観光後、午後3時、約120km南のバーミンガムへ向かう。バーミンガムのホテル(パークインバーミンガムウェスト)到着は、午後5時(日本時間22日午前1時)。イギリスでの移動は、すべてバス。

 ▼港湾都市リバプールは、ザ・ビートルズ誕生の地として名高い:
 http://www.visitliverpool.jp/

 ▼イギリス一美しいと言われるチェスター:
 http://urara-y.at.webry.info/201007/article_10.html

 ▼リバプール、チェスター、トレヴァー
 http://blog.k-plaza.com/blog/personal_blog_main.asp?mbr_id=mariamari&art_no=335630

◇「花を飾る家」(イギリス俳句の旅)

9月20日(火)

 阿蘇
★丈低きりんどう草に澄みてあり  正子
山裾に広がる草原に、丈の低い紫色のりんどうが咲いています。爽やかな秋風を受けながら、可憐なりんどうの花がその辺りの空気を一層澄み渡らせています。大きな景の中の、小さなりんどうへの思いがとても優しく感じられました。(藤田裕子)

○今日の俳句
ちちろ鳴く裏庭の夜の澄みてきし/藤田裕子
静かな裏庭にちちろが鳴くと、夜が澄んでくる感じがする。夜が澄んでくると、ちちろがいっそう声高く鳴く。研ぎ澄まされてゆく秋の夜である。(高橋正子)

○イギリス旅行
 日本とイギリスでは、8時間の時差があるので、チェスターのホテルを出発する午前8時は、日本では、午後4時になる。今日の予定は、ブロンテ姉妹の家があるハワース、そして湖水地方、ウィンダミア湖遊覧船にも乗る。イングランドの北方、スコットランドに近い。俳句にとっては、いい風景が見られるので、楽しみ。今回の旅のメインとなる。

 ▼ハワース:
http://taji-hm.la.coocan.jp/uk010106.html

 ▼湖水地方:
http://www.tabizora.net/travel/03_england/

◇「ウィンダミア湖」(イギリス俳句の旅)

9月19日(月)

★吹き起こり風が熟田をさざめかす  正子
整然と稔る稲の穂がふいと起こる風に煽られて賑やかに騒ぎ立てる。収穫前の豊かな田の風景が浮かび上がります。 (小西 宏)

○今日の俳句
風入れる窓に虫の音混じり来る/小西 宏
窓の風に混じって聞こえる虫の声は、心地よく聞こえる。しかし、聞いているとどこか淋しい気持ちが湧く。秋という季節のせいだろうか。(高橋正子)

○イギリス旅行
 早朝、イギリス旅行へ、娘の句美子と横浜の自宅を発つ。娘に誘われての旅である。20年ほど前の家族4人でのドイツ旅行が思い出される。1990年に家族でドイツ旅行をした。二十一年の歳月が流れ、六歳の句美子は9月3日に二十八歳になった。信之先生は、留守番役。帰国は、9月26日の予定。
 午前11時30分成田空港発のヴァージン・アトランティック航空0901便でロンドンへ出国。宿泊は、ロンドンから北へ314km離れたチェスターのホテル。リヴァプールの近くです。(信之記)

▼イギリス一美しいと言われるチェスター:
http://urara-y.at.webry.info/201007/article_10.html

◇生活する花たち「葛の花・秋桜・酔芙蓉」(横浜四季の森公園)

9月18日(日)

★林檎手に送られ来しが赤ほのと  正子
送られて来た林檎を早速手にした時、ほんのりと色づいている赤い林檎がとても印象深かかったのでしょう。収穫間も無い新鮮で美味しそうな林檎、可愛さ、実の成っている林檎畑までもが想像されます。(佃 康水)

○今日の俳句
せせらぎの岩すべり来る秋の水/佃 康水
「岩すべり来る」が澄んで滑らかな秋の水の感じをよく出している。(高橋正子)

○イギリス旅行
明日早朝、イギリス旅行へ、娘の句美子と横浜の自宅を発つ。娘に誘われての旅である。20年ほど前の家族4人でのドイツ旅行が思い出される。1990年に家族でドイツ旅行をした。二十一年の歳月が流れ、六歳の句美子は9月3日に二十八歳になった。信之先生は、留守番役。帰国は、9月26日の予定。

◇生活する花たち「やぶ蘭・トレニア・鬼灯」(横浜四季の森公園)