8月6日(月)

★大朝焼車一台ずつ染まる  正子
真夏の日の出は大変早く、まだ涼やかな空気の満ちた時間です。朝焼けの中、荘厳な太陽の光りが駐車場の車を一台づつ照らし、今日も良く晴れて暑い夏の一日の始まりです。 (桑本栄太郎)

○今日の俳句
献水の竹筒青き原爆忌/桑本栄太郎
「竹筒青き」でこの句が生きた。汲みたての清水を青竹を筒に入れて持参した参拝者。「水を!」と言って亡くなった多くに人がいたことを思えば、清水は鎮魂の意味が大きい。(高橋正子)

●広島原爆忌。73回。
朝日昇りきて今日原爆忌      正子
引き抜きしポーチュラカなお咲けり 正子

○鬼灯(ほおずき)

[鬼灯/横浜・四季の森公園]

★鬼灯の少し赤らむぞなつかしき/正岡子規
★鬼灯の実の大小はまだ見せず/稲畑汀子
★鬼灯を摘む袖口と襟元と/高橋将夫
★結ひ上げし髪に鬼灯さす乙女/水原春郎
★自画像に鬼灯赤く描き添へし/宮津昭彦
★ほおずきの玲瓏と熟れ原爆忌/高橋正子

◇生活する花たち「あさざ・露草・うばゆり」(東京白金台・自然教育園)

8月5日(日)

★胸うちに今日の夏野を棲まわせる  正子

○今日の俳句
うす紅も編まれし母の夏帽子/川名ますみ
母にまだある若さと可愛さをほほえましく、ある意味母親的まなざしで思う娘である。明るいうす紅が涼しさを呼んでくれる。(高橋正子)

●台風13号が近づく。

○藻の花

[藻の花/鎌倉・宝戒寺]

★藻の花やこれも金銀瑠璃の水 重頼
★藻の花や金魚にかかる伊予簾 其角
★藻の花をはなれよ鷺は鷺の白 北枝
★渡りかけて藻の花のぞく流れかな 凡兆
★藻の花のとぎれとぎれや渦の上 桃隣
★藻の花や雲しののめの水やそら   蕪村
★川越えし女の脛に花藻かな 几董
★藻の花や引つかけて行く濡れ鐙 暁台
★引き汐やうき藻の花のさわぎ立つ 蝶夢
★藻の花の重なりあうて咲きにけり 正岡子規
★藻の花の揺れゐる風のつぶやきに/大橋敦子
★急流に凛と花藻の五弁かな/岸本久栄
★川底へ日矢突き抜けて花藻かな/中島玉五郎
★藻の花の咲くや寺苑の昼しんと/高橋信之
★藻の花の咲くや寺苑の昼しんと/高橋信之
★藻の花の白さ浮き立つ仏の前/高橋正子

 藻の花は、花藻とも言い、湖沼や小川などに生えるさまざまな藻類、金魚藻、フサ藻、柳藻、松藻などの花。一般に小さく、白や黄緑色で目立たないものが多い。また海藻が赤・黄・緑など原色の美しい色をして花のようであるために、この美称として用いられることもある。海草と海藻の違いは、前者は根・茎・葉などが区別できるが、後者は区別できない特徴がある。俳句歳時記では夏の季語。

◇生活する花たち「蛍袋・時計草・木槿(むくげ)」(横浜日吉本町)

8月4日(土)

★野に出でて日傘の内を風が吹き  正子
夏の暑い日ざしをさえぎるために用いる日傘は開くと綺麗な色彩の草花などが描かれたり、優美な紫紺や黒などの無地な日傘等があり、その日傘を高原の強い日差しの中で差すと日傘の中を高原の涼しい風が吹きぬけ、とても爽快な気分になれます。清涼感たっぷりの素敵な句ですね。(小口泰與)

○今日の俳句
枝ごとにあふるるほどの百日紅/小口泰與
百日紅は炎暑にも負けず盛んに花を咲かせる。枝先に「あふるるほど」の花だ。「あふるるほど」の花が百日紅の花の特徴を言いえている。(高橋正子)

●夕べ雨の音がした。
夜の秋窓打つ音は雨の音      正子
 夫
風邪少し昨日うなぎに今日の鮨   正子
八月や句会準備を朝のうち     正子

朝、30度になった時点で、クーラーを入れる。29度はまだいい。

◆◆◆

辻村麻乃句集『るん』を読んで。
高橋正子

 あとがきに、句集名の『るん』は、ルンという言葉の概念に依る。
とある。チベット仏教に関する言葉で風という意味ということだ。
「るん」という「音の響き」と「意味」が作者の思いと重なるのだ
ろう。

 鳩吹きて柞の森にるんの吹く

 「鳩吹く」・「柞」という古典的で柔らかい言葉の、その森に風
が吹く。「ルン」の概念をこの句から感じ取れるような気がする。
そして、あとがきに

 詩人である父、岡田隆彦、俳人の岡田史乃を両親に持つことで、
たまたま今までの師系の概念と少し離れたところにいる。
 もう、若くはないが、そんな私が新しい風をそっと吹いても良い
のではと思うようになった。

とある。著者は遠慮がちながら、自身が新しい風を吹こうとしてい
る。吹いている。表紙は、著者自身が纏った薄衣が浜辺の風に吹か
れて、ついに風になっている印象の写真的なものだ。「風」の足元
は裸足に違いないと、帯をめくれば、しっかりと靴が今の時に立っ
て踏ん張って履かれている。

 『るん』は、るん春、るん夏、るん秋、るん冬、るん新年から成
っている。『るん』の俳句は季語の使用が私の年齢からみても保守
的に感じられるものと、今50代の等身大の、あるいはもっと若い
感じの句が混じって、その振り幅がと大きい。その振幅は、著者の
奮闘の素直な姿かもしれない。保守的である句は、自身の俳句の勉
強の結果であろう。

 著者は東京港区の赤坂で生まれ育った。港区は赤坂氷川神社があ
ったり、江戸の粋の文化が残るところ。著者の生活圏に氷川神社が
あるのではと思うが、この神社の存在も著者に影響を与えていると
思う句が本句集には、かなりある。神社や祭り、あるいは(稲荷の)
狐などが多く詠まれている。

 初午の薄揚げに射す光かな

 そして著書自身の独特の感受性の強さから生まれた句がある。

 口開けし金魚の口の赤き闇
 鮭割りし中の赤さを鮭知らず

見てはいけないものを見たときの怖さか。「黄昏が怖い」以前の著
者はもう夕焼けが楽しめるようになっているが、「黄昏の怖さ」を
感じるのは本当に詩人の感性だろう。

 前書きが少ない句集なので、句を詠んだ場所を想像してのことだ
が、京都への旅や総持寺での冬安居の句など、禅への関心がうかが
える。禅への関心は、俳句に精進する人が通る道ではあるが。

 また、秩父の火祭や武甲山を詠んだ句は、筑紫磐井氏の序を読む
と、金子兜太氏への敬慕も手伝っているようだ。

家族を詠んだ句は、好感がもてる。

二人の子は、
アネモネや姉妹同時に物を言ふ

夫は、
農夫の手受け継ぐ夫と墓参かな

父は、 
おお麻乃という父探す冬の駅

母は、
雛のなき母の机にあられ菓子

子としての著者は、
母見舞う秋空へ漕ぐペダルかな

以下に私の好きな句を挙げる。


出会ふ度翳を濃くする桜かな
初午の薄揚げに射す光かな
雛のなき母の机にあられ菓子
電線の多きこの町蝶生まる

水分石流れも花も分かちをり
水分石(みまくりいし)は、日本庭園で石橋と組み合わされて配置
される。龍安寺で詠まれた句だろうか。水が分かれると、水に散り
浮かぶ花びらも水の通りに分かれる。美しくも、佇めば無常を感じ
させる光景である。


谷若葉詩(うた)の立つ瞬間(とき)?みけり
詩人には、詩が立つ瞬間、詩が生まれ出そうとする瞬間がある。そ
の瞬時を谷若葉の中で、自分で?んだのだ、その確信の句。

麦秋の撓ふ側から煌めけり
麦が熟れるころ、光は小麦色にきらきらと耀く。麦が撓えば、茎が
撓えば、そして撓うものは、その側面から輝くのだ。繊細な観察だ。

黒揚羽駿河の縹に嵌りたり
「駿河の縹」と言えば、駿河の海の色か、富士の色か。縹色に嵌っ
た黒揚羽は駿河の縹に化石のように取り込まれた。

深閑と海の岩屋に夏日さす
放射線状屋根全面に夏の雨


咲ききりて生姜の花の甘さかな
女性らしい感性の句。生姜の花、つまり、ジンジャーの花だ。つう
んと鼻腔から入る甘い匂い。「咲ききり」がきっぱりとしている。

「追ひ焚きをします」と声する夕月夜
風呂の追い焚きをしますよと言う声の優しさ。心遣いの優しさに、
湯の匂いがほのかに立つようだ。夕月夜が美しい。

金管の全て上向く秋の空
ブラスバンドの金管楽器が、秋空へ向けて音を吹く。秋晴れの空に
輝く金管楽器の溌剌とした音色が耳に聞こえ、爽やかだ。

農夫の手受け継ぐ夫と墓参かな
母見舞う秋空へ漕ぐペダルかな


落つるなら谷まで落ちよ冬紅葉
真っ赤に紅葉した冬紅葉。散り落ちるなら、途中にかかることなく、
谷まで落ちよ。落ちるならいっそ落ちよの心意気。

紙漉きて手の甲にある光かな
紙漉きの水は冷たい。白濁した水から、紙を平らに平らに幾度も掬
いあげる。窓辺からは、光が差し込む静かな紙漉き場。手の甲が光
そのもに見える。

我々が我になる時冬花火
おお麻乃という父探す冬の駅

新年
初鏡幼女うつとり髪梳きて
青空を貨物過行く三日かな

               辻村麻乃句集『るん』
               著者:辻村麻乃
               発行所:俳句アトラス(林誠司)
               平成30年7月31日発行

◆◆◆

○稲の花咲く

[稲の花咲く/横浜市緑区北八朔町(2013年7月31日)]

★いくばくの人の油よ稲の花 一茶
★南無大師石手の寺よ稲の花 子規
★稲の花今出の海の光りけり 子規
★湯槽から四方を見るや稲の花 漱石
★雨に出しが行手の晴れて稲の花 碧梧桐
★軽き荷を酔うてかつぐや稲の花 虚子
★酒折の宮はかしこや稲の花 虚子
★八十路楽し稲の花ひろびろと見る/高橋信之
★稲の花見つつ電車の駅までを/高橋正子
★稲の花雲なく晴れし朝のこと/高橋正子

 イネ(稲、稻、禾)は、イネ科 イネ属の植物である。稲禾(とうか)や禾稲(かとう)ともいう。 収穫物は米と呼ばれ、世界三大穀物の1つとなっている。本来は多年生植物であるが、食用作物化の過程で、一年生植物となったものがある。また、多年型でも2年目以降は収穫量が激減するので、年を越えての栽培は行わないのが普通である。よって栽培上は一年生植物として扱う。属名 Oryza は古代ギリシア語由来のラテン語で「米」または「イネ」の意。種小名 sativa は「栽培されている」といった意味。用水量が少ない土壌で栽培可能なイネを陸稲(りくとう、おかぼ)と呼ぶ。日本国内に稲の祖先型野生種が存在した形跡はなく、海外において栽培作物として確立してから、栽培技術や食文化、信仰などと共に伝播したものと考えられている。稲を異常なまでに神聖視してきたという歴史的な自覚から、しばしば稲作の伝播経路に日本民族の出自が重ねられ、重要な関心事となってきた。一般に日本列島への伝播は、概ね3つの経路によると考えられている。南方の照葉樹林文化圏から黒潮にのってやってきた「海上の道」、朝鮮半島経由の道、長江流域から直接の道である。3つの経路はそれぞれ日本文化形成に重層的に寄与していると考えられている。現在日本で栽培されるイネは、ほぼ全てが温帯ジャポニカに属する品種であるが、過去には熱帯ジャポニカ(ジャバニカ)も伝播し栽培されていた形跡がある。

 多くの節をもつ管状の稈を多数分岐させ、節ごとに1枚の細長い肉薄の葉をもつ。稈は、生殖成長期になると徒長して穂を1つつける。他殖性の風媒花であるが、栽培稲では98%程度が自家受粉する。開花時間は午前中から昼ごろまでの2-3時間と短い。花は、頴花(えいか)と呼ばれ、開花前後の外観は緑色をした籾(もみ)そのものである。籾の先端には、しなやかな芒(ぼう)が発達する。芒は元々は種子を拡散するための器官であるが、栽培上不要なため近代品種では退化している。農業上、種子として使われる籾は、生物学上の果実である玄米を穎(=籾殻:もみがら)が包んでいるもの。白米は、玄米から糠(ぬか)層、胚など取り除いた、胚乳の一部である。生態型によるジャポニカ種 (日本型、島嶼型)とインディカ種 (インド型、大陸型)という分類が広く知られている。

 稲の食用部分の主 成分であるでんぷんは、分子構造の違いからアミロースとアミロペクチンに別けられる。お米の食感は、両者の含有配分によって大きく異なる。すなわちアミロース含量が少ないお米は加熱時にやわらかくモチモチした食感になり、アミロース含量が多いとパサパサした食感になる。日本人の食文化では、低アミロースのお米を「美味しい」と感じる。この好みは、世界的には少数派となっている。通常の米は20%程度のアミロースを含んでいるが、遺伝的欠損によりアミロース含量が0%の品種もあり、これがモチ性品種で、モチ性品種が栽培されている地域は東南アジア山岳部の照葉樹林帯に限定されている。その特異性から、その地域を「モチ食文化圏」と呼称されることがある。日本列島自体が西半分を「モチ食文化圏」と同じ照葉樹林に覆われており、またハレの日にもち米を食べる習慣がある(オコワ、赤飯、お餅)ことから、日本文化のルーツの一つとして注目された。

◇生活する花たち「蓮の花・のうぜんかずら・ブラックベリー」(横浜市港北区箕輪町)

8月3日(金)

★夏蒲団糊の匂いて身に添えり  正子
寝苦しい夏の夜ですが、ほどよく糊のきいたシーツに包まれた夏蒲団に横たわれば、ほんのりと漂ってくる糊の匂いとともに、さっぱりとした肌触りが伝わり、静かに眠りを誘ってくれます。「身に添えり」に安らぎが感じられます。(小西 宏)

○今日の俳句
金蚊の仰向いて脚生きんとす/小西 宏
金蚊が何かにぶち当たってひっくり返った。起き上がろうとしてか、必死に脚を動かしている。作者はその様子を「生きんとす」と捉えた。金蚊の命を直視しているのがよい。(高橋正子)

○ささげの花

[ささげ花/横浜市緑区北八朔町]

★アフリカの太古の色やささげ咲く/照れまん
★紫にささげの花や土用東風/憧里夢
★高架駅下りればすぐに花ささげ/高橋正子
★大畑を区切って三筋の花ささげ/高橋正子

 ササゲ(?豆、大角豆、学名 Vigna unguiculata)はマメ科の一年草。つる性の種類とつるなしの種類とがある。アフリカ原産。主に旧世界の温暖な地方で栽培される。南米では繁栄と幸運を呼ぶ食物と考えられ、正月に食べる風習がある。樹木の形状は低木であり、直立ないし匍匐する。枝を張ったり、からみついたりと、成育の特性は多彩。語源は、莢が上を向いてつき物をささげる手つきに似ているからという説[1]、莢を牙に見立てて「細々牙」と言ったという説、豆の端が少々角張っていることからついたという説など諸説ある。藤色、紫、ピンクなど様々な色の花をつける。花の形は蝶形花である。穀物用種は、さやが10-30cmで固く、豆は1cm程度の腎臓形で、白・黒・赤褐色・紫色など様々な色の斑紋をもつ。白い豆には一部に色素が集中して黒い目のような姿になるため、ブラック・アイ・ピー(黒いあざのある目を持つ豆)と呼ばれる。つる性種は草丈が2mから4mになるのにたいし、つるなし種の草丈は30cmから40cm。ナガササゲと呼ばれる品種は100cmに達する。耐寒性は低いが、反面暑さには非常に強い。日本では、平安時代に「大角豆」として記録が残されている。江戸時代の『農業全書』には「?豆」という名前で多くの品種や栽培法の記述がある。また、アズキは煮ると皮が破れやすい(腹が切れる=切腹に通じる)のに対し、ササゲは煮ても皮が破れないことから、江戸(東京)の武士の間では赤飯にアズキの代わりに使われるようになった。

◇生活する花たち「あさざ・露草・うばゆり」(東京白金台・自然教育園)

8月2日(木)

★這いはじめし子に展げ敷く花茣蓙  正子
子が成長していくのは親の喜びです。這い這いしはじめの子へ花茣蓙を敷き見守られている姿が、喜びが、伝わってまいります。(祝恵子)

○今日の俳句
家裏に立てかけられてゴムプール/祝恵子
カラフルなゴムプールが、ひっそりとした家裏に立てかけられて、目に楽しく映る。家裏が涼しそうである。(高橋正子)

●トップの写真は、7月31日21時40分ごろに撮影した火星。(デジカメ)。

表参道の伊藤病院に甲状腺がんの定期健診に。超音波と血液検査。少し貧血気味の検査結果だが、問題なし。私の前の患者さん3人続けて複雑な事情のようで3人で45分ぐらいかかった。待ち時間は4時間ぐらい。受付番号は午前の872番。872番目ということ。

待ち時間中にお店をあちこち。山陽堂書店によるつもりが、暑くて忘れた。帰り、表参道の新潟物産館で氷梅というのを買った。凍らせてシャーベット状になったら梅ごと砕いて食べる。美味しかったけど、袋を切るとき砂糖水が手についてしまう。袋に余裕を。それと牛めしのわっぱ弁当一人前を土産に。ボリュームたっぷりで、二人で分けてちょうどよい。

夏夕べ昼間の街のはや懐かし  正子
夏木立合間に病舎のビルの壁   正子
夏木立ファッション街に水流し  正子

○落花生の花

[落花生の花/横浜市緑区北八朔町]

落花生がさやに入ったマメであることは、ご存じですよね。
マメなら、枝かに実っているかと思っている方がいるかと思いますが、実はちがうのです。
では、どこにできるかというと、土の中にできるのです

1.落花生の花は、早朝に咲いて、昼にはしぼんでしまいます。
受粉は、自分の花粉がめしべについて自家受粉をおこないます。
2.受粉したあと、花のもとにある子房で受精します。
3.受精して一週間もすると子房の元が伸び出して、根のように下を向きます。
この伸びた部分を子房柄(しぼうへい)といます。
4.子房柄は、土に向かってどんどん伸び、やがて土にささります。
5.土の中3~5センチのところにささった子房柄の先が水平にな
ってふくらみ、さやができはじめます。そのさやの中でマメが育つ
のです。
6. ”花が落ちたところにさやが生まれる”だから、”落花生”
といいます。

◇生活する花たち「あさざ・露草・うばゆり」(東京白金台・自然教育園)

8月1日(水)

★撒き水の虹を生みつつ樫ぬらす  正子
散水の水しぶきが小さな虹を生んでいるのでしょう。そしてその水が樫をぬらしていく。何気ない日常ながら、ほっとするひと時をそこに感じます。(高橋秀之)

○今日の俳句
子らに買うバナナを袋いっぱいに/高橋秀之
袋の詰められたバナナの黄色に元気がある。子供たちへの格好の土産となったバナナであるが、夏にあって楽しい。(高橋正子)

●今日から8月。晴れ。朝から暑い。
トップの写真はNASAが提供している火星の写真。

○紫式部の花

[ムラサキシキブ/横浜・四季の森公園]   [コムラサキ/東京・新宿御苑園]

★慈雨来る紫式部の花にかな/山内八千代
★紫式部添木に添わぬ花あまた/神部 翠
★光悦垣色あはあはと花式部/高瀬亭子
★紫式部咳くやうに咲き初めし/河野?子
★夢辿る紫式部の花の香に/石地まゆみ
★花式部見つけたり日の輝きに/高橋信之
★登り来てふと見し花は花式部/高橋正子

 ムラサキシキブ(紫式部、Callicarpa japonica)はクマツヅラ科の落葉低木で、日本各地の林などに自生し、また果実が紫色で美しいので観賞用に栽培される。高さ3m程度に成長する。小枝はやや水平に伸び、葉を対生する。葉は長楕円形、鋭尖頭(先端が少し突き出すこと)、長さ6-13cm。細かい鋸歯がある。葉は黄緑で洋紙質、薄くて表面につやはない。初めは表側に細かい毛があることもある。花は淡紫色の小花が散房花序をつくり葉腋から対になって出て、6月頃咲く。秋に果実が熟すと紫色になる。果実は直径3mmで球形。栽培品種には白実のものもある。名前の由来は平安時代の女性作家「紫式部」だが、この植物にこの名が付けられたのはもともと「ムラサキシキミ」と呼ばれていたためと思われる。「シキミ」とは重る実=実がたくさんなるという意味。スウェーデンの植物学者のカール・ツンベルクが学名を命名した。北海道から九州、琉球列島まで広く見られ、国外では朝鮮半島と台湾に分布する。低山の森林にごく普通に見られ、特に崩壊地などにはよく育っている。ムラサキシキブ(コムラサキ、シロシキブ)の名所として、京都・嵯峨野の正覚寺が有名である。
 コムラサキ(C. dichotoma)も、全体に小型だが果実の数が多くて美しいのでよく栽培される。別名コシキブ。ムラサキシキブとは別種であるが混同されやすく、コムラサキをムラサキシキブといって栽培していることが大半である。全体によく似ているが、コムラサキの方がこじんまりとしている。個々の特徴では、葉はコムラサキは葉の先端半分にだけ鋸歯があるが、ムラサキシキブは葉全体に鋸歯があることで区別できる。また、花序ではムラサキシキブのそれが腋生であるのに対して、コムラサキは腋上生で、葉の付け根から数mm離れた上につく。岩手県で絶滅、その他多数の都道府県でレッドリストの絶滅寸前・絶滅危惧種・危急種・準絶滅危惧の種に指定されている。

◇生活する花たち「蛍袋・時計草・木槿(むくげ)」(横浜日吉本町)

7月31日(水)

★冬瓜にさくっという音のみありぬ  正子
「さくっという音」に時間も空間も凝縮されたように感じました。また、これからできる、歯ざわりのいい美味しそうな冬瓜料理が、食卓に並べられている様子を想像することができました。私は冬瓜はまだ食べたことがないので、食べてみたいなと思いました。(井上治代)

○今日の俳句
鳴き交わし夏鳥高き青空へ/井上治代
夏鳥の弾けるような鳴き声が楽しげだ。高く眩しい青空へ飛びゆく姿も生命の楽しさそのものだ。(高橋正子)

●火星が地球に大接近。午後9時20分ごろそのことを思い出して、南東にある火星を見た。大きく、裸電球のように私の裸眼には見えた。眼鏡をかけると、大きなつぶら星。デジカメを持ち出して写す。ろくに撮れないと思っていたが、パソコンで見ると、赤い丸い星が写っていたので、印刷。ぼやけているが、それは地球の空気が揺れている感じが出ているのだと思うと、いい感じだ。記念の写真。次の大接近は、15年後だったか、だ。Nasaの火星の写真はバッチリ。青い色と赤い色がまさに科学。私のぼーとした写真には素人の夢。トップの写真は正子撮影(デジカメ)で21時40分ごろ。

赤き火の星を撮りたり晩夏の夜 正子
火の星の赤さありあり夜涼かな 正子
火の星の大接近の晩夏なり   正子

○風船葛

[風船葛/横浜日吉本町]

 フウセンカズラ(風船葛、学名:Cardiospermum halicacabum)とはムクロジ科の植物の一種。属名は「ハートの種子」の意。花を観賞するためよりむしろ、風船状の果実を観て楽しむために栽培される。熱帯・亜熱帯のアジア・アフリカ原産。
 つる性の植物で一年草。葉は三出複葉、小葉は草質で柔らかく、あらい鋸歯がある。7月~9月頃に白い5mmくらいの花を咲かせる。花は葉腋からでる長い柄の先に数個付き、巻きヒゲを共につける。果実は風船状に大きく膨らみ、緑色。後に茶色く枯れる。種子は球形で大粒、なめらかな黒でハート形の白い部分がある。ちょうど栃の実を小さくした姿に見える。
 よく茂ったときは非常に涼しげで、家庭の壁面緑化にも使われる。種子は、白っぽいハート形の部分をサルの顔に見立てて遊ぶこともある。

神さまがついて風船かづら揺れ 鷹羽狩行
あそび仲間ふやし風船葛かな    宮津昭彦
風船葛色づき風のなき日かな    宮津昭彦
風吹けば吹かれ風船葛かな 大橋敦子
フランスヘ行かう風船かづらの唄 豊田都峰

◇生活する花たち「あさざ・露草・うばゆり」(東京白金台・自然教育園)

7月30日(火)

★わが視線揚羽の青に流さるる  正子
ふっとあらわれた涼しそうな青い揚羽蝶。しばらくは揚羽のようすに心ひかれて目がはなせません、詩のある風景が思われます。(小川和子)

●辻村麻乃さんから第2句集の『るん』が信之先生と私宛に贈られた。

○クィーン・ネックレス

[クィーン・ネックレス/横浜日吉本町]

★夕涼に行き遇うクィーン・ネックレス/高橋正子
 クイーンネックレスは、タデ科アンティゴノン属で、学名はAntigonon leptopus。メキシコ原産の熱帯つる性で、7月~10月にかけて、ピンク色の花を咲かす。耐暑性はあるが、耐寒性(5度以上)は弱い。日あたりのよい場所、また水はけ、水もちのよい土で育て、フェンス・トレリス等に這わせ、ベランダからも垂らしたりする。別名をアサヒカズラ、アンティゴノン、ニトベカズラという。

◇生活する花たち「月見草・大賀蓮・のうぜんかずら」(横浜・四季の森公園)

7月29日(日)

 ドイツの旅平成2年夏
★ラインのぼる巨船の人の裸かな  正子
ドイツのライン川の岸辺からの眺めなのでしょう。巨船の裸の人は船員なのかなと想像しております。楽しい旅だったことでしょう。(祝恵子)

○今日の俳句
鴨はもう植田の高さに隠れおり/祝恵子
植田に鴨を泳がせ、鴨に雑草を食べさせ、鴨の飼育を目的としているケースなのだろう。植田の苗は、みるみる生長し、鴨の姿を隠してしまうほどになった。苗も、鴨も生長盛ん。(高橋正子)

●台風12号が伊勢市に上陸して、関西へ向かう。昼頃、長屋門が水害にあった妹の家に電話をすると、今福山を台風が通過中であると。思ったほどではないとのこと。災害が重ならなくてよかった。

南瓜を茹でているうちに崩れたので、料理を変更し、スウィート・ポテトならぬスウィート・パンプキンに。江戸崎南瓜ながら、好評。デザートみたいと。デザートなんですけれど。

冒頭の句を読むと、ドイツに旅行してから28年。子どもたちは小1と小5。外国語俳句で家族ごと交流した。この翌年だったと思うが、信之先生は、フランクフルトの日本年で、日独俳句大会が開かれ金子兜太先生の現代俳句協会の通訳をしたり、、愛媛新聞社の社を挙げての企画などで、ドイツに数回出掛けた。全て自費なので、小5の息子が「お父さんの葬式代はあるか」と心配するほどだった。笑うに笑えない。俳句に必要だったお金は知れず。
日独俳句大会で通訳をした話を、今年3月の神奈川県の現俳の支部総会でしたら、会場から野次が飛んだそうだ。

丸山真男の全集の別巻として『正統と異端』が出る。日本は異端があって正統が作られるそうだ。政治思想史のことなのだが、生活の日々の考えの根底に政治思想がやむを得ず流れているのだと思うことが多いので、関心の向く本だ。丸山真男のことは、全く知らない。だが、氏の『日本の思想』には、救われたことがあった。大江健三郎によれば、「思想とは考え方の習慣」なのだそうだ。

朝顔の咲く花を待つ嵐あと     正子
多摩川の涼しさを越え都内なり   正子
多摩川の彼方人住む燈の涼し    正子

○屁糞葛(へくそかずら)

[屁糞葛/横浜・四季の森公園]

ヘクソカズラ(屁糞葛、学名: Paederia scandens)は、アカネ科ヘクソカズラ属の蔓性多年草で、至る所に多い雑草。葉や茎に悪臭があることから屁屎葛(ヘクソカズラ)の名がある。古名はクソカズラ(糞葛・屎葛)。別名ヤイトバナ、サオトメバナ。

◇生活する花たち「月見草・大賀蓮・のうぜんかずら」(横浜・四季の森公園)

7月28日(土)

★さくらんぼみどりあかるき茎が縦横  正子
 春、他の桜に遅れて白い花をひらき、6月から7月の頃熟して紅から紫紅色となり、数個寄り合って明るい茎をたずさえている。皿に盛るとその茎が縦横になつて、食欲をそそります。特に夏の果物として喜ばれますね。(小口泰與)

○今日の俳句
湖へ虎杖の花咲きいそぎ/小口泰與
湖のほとりに虎杖の花が咲き急いでいる。夏が短い北国を思わせる。虎杖の花は小さく白い。散れば葉に埃がかかるように散る。夏の短さも、花のもろさも、みな移ろいやすさでえある。(高橋正子)

●台風12号が首都圏を逸れた。東海地方に上陸、その後西日本を縦断。大雨の被災地を台風が襲う模様だ。

熱中症について思うのだが、水に注意とは言うものの、体の微弱状態が悪いらしい。体験的に、睡眠不足は体の微弱状態を作るので、いけないのではなかろうか。それを思いついて、ラジオ深夜便を聞くのをやめた。それからは睡眠不足のけだるさなくなって、ほぼ元気。

夏草の吹かるるさびしさ台風余波   正子
遠台風朝の雨粒草草に       正子
台風過ぎ涼しさありて何かせむ   正子
涼しさに夫の咳が刻まれる     正子
コーヒーの膨らむ泡に虹いくつ   正子
大夕焼け東に浮かぶ月も入れ    正子
ビルの間のどの空々も夕焼ける   正子

○グラジオラス

[グラジオラス/横浜日吉本町]

グラジオラス (Gladiolus) は、アヤメ科グラジオラス属の植物の総称。日本には自生種はなく、園芸植物として植えられている。別名、トウショウブ(唐菖蒲)、オランダショウブ(阿蘭陀菖蒲)。名前は古代ローマの剣であるグラディウスに由来し、葉が剣に類似していることが根拠と言われる。日本では明治時代に輸入され、栽培が開始された。根は湿布薬の材料に使われる。

◇生活する花たち「月見草・大賀蓮・のうぜんかずら」(横浜・四季の森公園)