曇り、 夕方雷、雨
七百円の値の涼しくも胡蝶蘭 正子
雷鳴に窓全面の撃たれけり 正子
朝顔の青きしげりに花未だ 正子
●夕方、空を見ると、雲が広がって怪しい青みを帯びた灰色の嵐の前のような色。やがて、大きな雷。しばらくすると雨。ニュースによると板橋区や埼玉では大雨。
●モリスの旅日記は夏の読み物としてよかった。今読んでいる『ヘッセ 魂の手紙』はだんだん気分が重くなってくる。ヘッセに限ったことではないが、傷ついたことなど多くを思い出した。
晴れ、のち曇り
夏草をあおあお灯し庭園灯 正子
柔らかき草の底より虫の声 正子
桃食べて桃の一個の冷えを身に 正子
●今日は危険な暑さの予報。朝、駅前のポストまでが、暑すぎた。日傘をさしていても道路の照り返しがひどい。大変な暑さになると思っていたが、昼前ごろから曇ってきて、気温もが少し下がったのは幸い。夕方散歩にでることができた。氷水をもって団地を歩いていると、草の中に、虫がよく鳴いている。
●『ヘッセ 魂の手紙』(ヘルマン・ヘッセ著/ヘルマンヘッセ研究会編訳)を
80ページほど読む。青年期の内面の葛藤というものが一通りではないが、これは詩人という性質からくるものなのだろうと思った。「詩人」は「作家」と同じように職業と言ってしまうのも、違うような気がする。「詩人」ということについて、様々思わせてくれる手紙である。芸術や文学について、賛美歌と詩の芸術性、道徳の位置づけについて、中学生ごろからわかっており、早熟を思わせる。
●花冠名簿の整理。
●プリンを作る。基本のキのプリンを作った。めずらしく、ほぼ1ミリも違いなくできた感じ。
晴れ
朝顔をコップに挿せば水が澄み 正子
直木賞の本が派手なり夏休み 正子
夕暮れて戻る晩夏のわが家路 正子
●月曜日。なにかと、「始めなければ」と思うが朝から眠い。今朝も昨日と同じ、小澤征爾指揮の「ザ・グレート」を聞いていたが、ついに眠りこむ。目が覚めると、口内炎の痛みがかなり良くなっている。やはり、休むに限るのだろう。
●7月19日から読み始めたモリスの『アイスランドへの旅』(A JOURNAL OF TRAVEL IN ICELAND 1871)を読み終わる。レイキャビックとオーロラしか知らなかったアイスランドだったが、野営と農家などに泊まりながら馬30頭を連れた男4人とガイド二人の、荒々しい自然の旅は、明治時代初めのこととは言え、半ば、共に行動している気持ちになった。特におもしろいのは、農家や牧師の家に泊まり、その家の銀のスプーンや主婦の編んだソックスを買ったり、牧師には古い写本をいらないかと勧められたりするところ。キャンプ地では千鳥や雷鳥を撃ち、鱒を釣り、それを食事に供することなど。今では経験できそうにない。
今はアイスランドでは、みんな英語を上手に話すようだが、モリスが旅した当時は、英語が通じなくて、それが、どこかこの旅日記を面白くしている。モリスはアイスランド語を勉強して旅立っているが、私もほんの少しアイスランド語を知るようになった。多くの人が知らない言語を知ったのも、小鳥の会話を小耳に挟んだ感じがする。
モリスはこの旅日記を表すために、一日の終わりにノートに克明に記録している。そして2年後の1873年、次のアイスランドへの旅に出る直前に清書をし終え、友人のバーン・ジョーンズ夫人へプレゼントされたとのことで、生前は出版されていない。
私はイギリスの旅日記、尾瀬の旅日記を水煙と花冠に掲載しているが、その二つは前半のみである。後半をまだ書いていない。ドイツの旅は時々思い出して書く程度で全くと言っていいほど書いていない。今思えば旅の一日の終わりに、きちんとノートにメモを残し、旅を終えて落ち着いて清書すべきだったと思う。
今ひとりの暮らしになって、自分に何が残されているかと言えば、すべてが何もなく、「書く」ことだけしか残っていないと思える。ガラスペンがインクを含んでいる間は書けると言う類のものにすぎないが。
曇り、ときどき晴れ
朝毎に花を落として日日草 正子
真っ白にペチュニア咲けり日の盛り 正子
実入りよき南瓜夕餉に炊き上がる 正子
●冷凍の鰻の蒲焼でうな重もどきを作る。副菜を何にしよう。胡瓜と章魚の酢のもの、卵焼き、筑前煮とか思いついて、ネットでも調べた。ネットの推奨副菜とほぼ一致。これほど合えば、鰻のおかずの定番と言えそう。
●夕方いつもより遅く句美子が来た。出かけていたらしく、銀座のお土産だと言って鞄につける皮で作った葡萄のアクセサリーをくれた。すぐリュックに付けて、これを付けて倒れていたら、お母さんとすぐわかる目印にするそうだ。
●口内炎はかなり直っているけれどまだ痛い。痛いと思いつつ無為無想で(といかないまでも)、シューベルトの「ザ・グレート」を小澤征爾で聞く(1996年サイトウ・キネンオーケストラ)。第1楽章と第2楽章の間は長いが、第1楽章が終わり、第2楽章を始める前に小澤征爾の表情に一瞬、ほっとしている様子が見えた。指揮者のこんな表情を見ることはほとんどない。
曇り、ときどき晴れるも夕方雨がぱらつく
南瓜一つ買えば帰りの荷となりぬ 正子
日日草水に散りては回りけり 正子
ざる蕎麦に茄子田楽と鮎熱し 正子
●パリ五輪のパレードがセーヌ川をいろんな船で航行する形で行われた。船上の選手たちがよく見えて、一つ一つの国がよくわかる。セーヌ川沿いでパフォーマンスが行われていたが、お国柄が現れていて、なるほどと思いつつも、見続ける忍耐強さはなく少しだけ見た。
●元が買ってくれた鳩居堂の「てふてふ」と「さくら」の線香は、煙が少ない。だから、使ってみろというので、名前が季節外れなのだけれど使ってみると、白檀に花の匂いをつけたような匂い。線香を焚いたのを忘れて、何かいい匂いがするとか思ったりした。暑くて花がもたないので、菊の花の茎を思い切り、短くして供えた。
●今日の今日まで、パフィンはペンギンの子どもをそう呼ぶのだと思っていた。子どもペンギンを見れば、雛の時は別にして、親と同じ姿と認識できるのに、なんでそんなことに。有名なペンギンブックスがあるが、これは大人シリーズで、子どもシリーズはパフィンブックスという。そして、マークがそれぞれモノクロのペンギンとパフィン。パフィンブックスのパフィンは子供用に子どもペンギンを可愛くデザインしたものだと何十年も思いこんでいた。
ネットでアイスランドの事を調べていたら、黒と白の体に嘴と脚のオレンジが目立ち、目の周りがデザインされたようにかわいい鳥が出て来た。これがパフィン。グリーンランドとか、パフィン島とか、アイスランドとかに棲息している。日本語では二シツノメドリというが、初めて聞いためずらしい名前。
曇り、ときどき晴れ
●「みんなの選ぶ花冠秀句」の評判がよいので、抜き刷りをして、欲しい方に渡そうと思いついた。もう少し、整理した形がいいかもしれない。句美子の句の英訳本を出した後のことにする。
●モリスの『アイスランドへの旅』は、地名がたくさん出て来るが、これらが読みにくい。アイスランド語のアルファベットだけでも知っておこうとネットで調べた。北欧系の言語、北ゲルマン系。R,S,Yはそのままドイツ語と同じ発音。谷のことは「ダールル」だが、これはドイツ語の「Tar」と関係ありそうだし、オアシスを表す地名「ブルンナル」はドイツ語の「泉」の「Brunnen」と関係ありそうに思える。英語のe,d,t,は語尾の音が「ェア」になっていることに気づく。
もちろんauðvitaðは英語のof course に似ている。
こんにちはgóðan dagはドイツ語のGuten Tagに通うところがある。
アルファベットの簡単な知識と、わずかな単語を知ってから、また、本を開いて読み始めた。俄然、読みやすくなった。われながら驚いている。
晴れ、のち曇り、夕方雨
夕焼けの窓を連ねて東横線 正子
夕焼けを運ぶ電車を見送りぬ 正子
夏野の花暮らしの花として活ける 正子
●疲れか、ビタミン不足か、ここ二日、口内炎。やっぱり、休んだ方がいいのだろう。毎年一番暑いこの時期に、水をたくさん使うカーテンやラグの洗濯をする。ところが、今年はラグは洗ったが、疲れてしまっている。多分、花冠の編集は、とにかく、やり切らなければの思いが強かったこともある。
●花冠371号のみんなの感想。みなさん、苦労をねぎらってくれた。特に、晃さんは、「相当な時間と労力が伺え、びっくりすると同時にたいへん有難く思います。 」、ますみさんは「特に『みんなの選ぶ秀句』が楽しみです。花冠歳時記ですね。おかげ様で誇らしい気持ちです。 」と言ってくれたし、美知子さんは、「特にみんなの選ぶ花冠秀句424句には感動しています。四季を通じて、何度もこの冊子を取り出し、読み返すような今後の花冠の指針となるような気がします。 」とも言ってくれた。企画した者として手応えを感じ、そう思ってくださることをありがたく思う。
●花冠371号は印刷製本代と、パソコン1台、印刷機1台と私の労力とアイディアだけできている。つまり、大げさに言えば、資本主義、分業主義とは関係ないのだ。人間の力だけでやっている。これは、貧乏人でも一人でもアイディアと労力を使えば何かしら成し得ることを示している。今日のYou Tube「一月万冊」で聞く話によると、資本主義も分業主義も終わっていて、これからは、人間の時代が来るのだということだ。社会はすこしずつ良い方に行っているらしい。お金がなくてもいいということだと、私は判断している。
曇り、ときどき晴れ
月見草摘まれ萎れる花の白 正子
露草の青を供えて月命日 正子
摘みて来し夏野の花を水に浸け 正子
●おととい洗って、きれいに乾いたラグの上で快適に過ごす。宅急便や郵便物、生協の配達など、たびたび玄関のドアを開けた。
●今日は信之先生の月命日。朝ウォーキングに出た時、月見草と露草を摘んできた。月見草は、歩いているうちに萎れて帰って水に放っても、もとにもどらなかった。白さが儚い。露草は氷水をたっぷり入れて仏前に供えた。仏壇の涼しそうなこと。そして、命日香の朝顔を焚いた。露草は昼までは咲いてくれる。その後は苞のなかに消える。
快晴
園児らの小さき田にも稲の花 正子
園児らの甘藷畑に草生えり 正子
●花冠371号が届いた連絡が数名より。恵子さんからは電話。
●公団のなかを氷水をもってウォーキング。団地内は1か月くらい前に芝生が刈られ、木も剪定され百日紅がよく咲いている。欅、樟、シマトネリコ、桜にクマゼミがシャワシャワと鳴いているが、芝生に草がまた2,30センチ伸びて赤詰め草と、ヒメジョオンの花が丈も短く花も小さく咲いている。この芝生は暑くなさそう。今読んでいるモリスの『アイスランドへの旅』に出て来る景色を思う。苔いろの芝土で覆った屋根には、ちょうど七月の今、バッターカップやクローバーなどが咲いているという。バターカップは、キンポウゲのことで、子供むけの話にもよく出て来る。バターを入れるカップに似ているところからの命名らしい。キンポウゲ科の花はどれも可憐なのだ。アネモネ、クリスマスローズ、デルフィニウム、クレマチス、ラナンキュラスなどなど。
そして、この地に古ゲルマンの伝説「サガ」と言われる物語が伝承されていれば、アイスランドを愛したモリスでなくても、訪ねてみたくなる。荒々しい自然と対照的な人のつつましく、謙虚な暮らしが魅力だ。また、言語もなかなかの魅力を持っている。
晴れ
穂草みな暑に堪えつつも吹かれけり 正子
暮れゆける空をさまよい稲光 正子
月涼し葎吹く風びたと止み 正子
●花冠の編集の後片付け。次号の1月号の特集をAIにも案を出してもらって考える。大体編集会議なんてないものだから。
●雷も雨も降りそうにないので、居間のラグを洗った。バスタブにお湯を溜め、踏み洗い。水を切るのは何とか工夫して切り、軽くなったところで物干しに掛けた。運よく風が吹いて夕方にはほどんど乾いたが、明日一日できれいに乾くだろう。
●猛烈な暑さ。氷水を水筒に入れて、夕方ウォーキングに出かけた。萩が枝先に赤い花をつけて戦いで目には涼しそう。氷水を飲むと、なんとなく足が軽くなって、動きやすい感じがする。30分ほど歩いて帰った。夕飯は、ヘルシオがお粥を炊いてくれれいたので、お粥と焼き茄子、焼きピーマンなど。
●『アイスランドへの旅』、80ページぐらい読んだが、また、初めから読み直し。地理がよくわかってなかったからなのだ。この旅日記の書き方が、参考になる。参考になるとは思いもしなかったが、正子の俳句日記と似たところ、読みながら、私がアレっと思う箇所がある。