10月1日(日)

晴れ
立待の月を吹き消す風のあり  正子
立待の真夜街灯の高く差し   正子
立待の人っこひとりいない露地 正子
●センター北のJAの直売所へ。昨日が棚卸だったとのことで、入荷が品薄。里芋、茄子、間引き菜を買う。花苗はほとんどなくて、白菜苗、バジル苗などがある。よく見れば、斑入り藤袴、街の花屋にない苗がある。
●カードリーダーを買った方がいいのでは思い始めた。値段は調べると数千円。ICカードリーダーというらしい。

9月30日(土)十六夜

曇りのち晴れ
十六夜の月を階のぼりては     正子
十六夜の風さらさらと身を吹きぬ  正子
秋口の心太なりよく透けて     正子
●9月も終わるが、蒸し暑い。整形外科へ。土曜日は昼までなので混む。
●「俳句界」(10月号)が送られてくる。全国の俳誌からの選んだ秀句として、花冠9月号(No.369)から柳原美知子さんの句が紹介された。選は俳句界の編集部。
 風花舞う道後歩けば旅人めき 柳原美知子
総合誌の編集者の目に留まって、良かったと思う。美知子さんへスマートレターで転送。
●暑いので、天草から心太を作る。天草は富沢商店で買ったが、品質が良ければよいではない。心太の匂いがない。色も白く透き通って、これなら、普通の寒天でよかった。
城ヶ島でリュックいっぱい買ってきた天草も、いつか淡路島から段ボールいっぱい送られてきた天草も、固まると薄い琥珀色で、とろっとして、黒蜜をかけると、世にもまれなデザートになった。
それでも、上等すぎる心太に昆布ポン酢、練がらし、金胡麻をひねりつぶしてかけると、美味。食べ終わる頃には体がひんやりしてきた。

9月29日(金)中秋の名月・満月

曇りときどき晴れ
名月の空のうす雲やわらかに 正子
月見団子月見饅頭みな丸く  正子
水切りの菊花の茎を思い切り 正子
●中秋の名月が見られるか、どうか。朝より、曇ったり、晴れたり。結局見れなかった。
●亜蘇さんから葉書きをいただくが、「諸行無常」の言葉もあった。ようやく住所がわかる。
●昼前、角川へ「全国結社マップ 南関東」の原稿をメールで送付。締め切りは10月13日。
●角川8月号 「夏隣」(髙橋正子)への句評。
①「俳句10月号」に連載の「合評鼎談」に「俳句8月号」の拙句「夏隣」の合評(鼎談)が掲載される。堀本裕樹、津高里永子、奥坂まやの三氏。七句のうち四句が話題に。鑑賞は、堀本氏と奥坂氏の二人。
以下に引用。
 髙橋正子(花冠)「夏隣」
堀本 同ページに掲載のエッセイや俳句を一読すると、最近旦那さまを亡くされたことが分かります。一句一句からそのお気持ちが伝わりました。
 生ききって一遍ほどに夏痩せす
 時宗の開祖であり、踊り念仏を広め遊行した宗教者の一遍上人。一遍は各地を回ったわけですが、旦那さまも<生ききって>、ご自分の命を最後まで全うされたと。<夏痩せす>がとても切ない。<一遍ほどに>の比喩が旦那さまの
生を愛情をもって称えています。
奥坂 命を燃焼され尽くして亡くなられた。それが<一遍ほどに>で伝わりました。<一遍ほどに>が<生ききっ>たことと<夏痩せす>の両方にかかってきます。
堀本 ふさふさと芍薬ゆらぎ棺の上に
 棺の上にはいろんな花を置くと思いますが、ふさふさと揺れるような<芍薬>が置かれた。芍薬の様子と棺の静けさが切々と伝わります。旦那さまは芍薬の花が好きだったのかもしれません。
 衣更えて夫かろやかに旅立てり
 悲しいけれど<かろやかに旅立てり>と詠まれた。髙橋さんの送り出す気持ちに救われます。俳句には亡き人の魂と同時に、送る人の気持ちを鎮魂する力があるのだなと、改めて思いました。
奥坂 夏未明命を閉づる息ひとつ
 「最後の息」というのはよく詠まれていますが、<命を閉づる>ものなのだと、これまで存分に生ききってこられたのだと分かります。亡くなったけれど、また新しい世界に開かれていく魂を感じます。
(お礼:堀本さま、奥坂さまには、真摯なご鑑賞をいただき、ありがとうございました。なりよりの励ましになりました。髙橋正子 9月28日)
②「氷室10月号」(尾池和夫主宰・京都宇治市)の現代俳句鑑賞(211)に角川俳句8月号クローズアップに載った正子の句を余米重則氏が鑑賞してくださった。以下引用
<生ききって一遍ほどに夏痩せす     
            「俳句八月号」髙橋正子(花冠代表)
 「生ききって」という言葉はとても強く重い言葉である。天寿を全うしたということではなく、「生きるという強い意志」を最後まで貫かれた状態が強く伝わってくる。
 一遍上人の如く痩せられたということは、おそらく病気と闘いながらの最期であったのではなかろうか。介護の方のある種の満足感も伝わってくる。
                             (余米重則)
(お礼:余米重則様には温かい句評をいただき、ありがとうございました。なによりの励ましになりました。 髙橋正子 9月28日)
③「山繭10月号」(宮田正和主宰・三重・伊賀)を贈呈いただく。
現代俳句鑑賞
松村正之
 衣更えて夫かろやかに旅立てり  髙橋正子
  
(俳句8月号「夏隣」より(花冠))
 作者のご夫君は四月に風邪を引かれ、五月半ば過ぎには亡くなられたという。「生ききって一遍ほどに夏痩せす」の句もあるが、その間作者は夫君を懸命に支え精一杯の看取りをされたのだろう。しかし、一か月余というのは余りにも短いではないか。作者は白装束に着替えて旅立たれた夫君の姿を「かろやかに」と表現することで、そのあっけなさに堪えておらるのだ。この句は究極の衣更えの句となって読む人の心に深く染みてくる。
(お礼:心よりの句評をお寄せいただき、ありがとうございました。伊賀の地よりの句評を光栄に存じます。 髙橋正子 9月29日)

9月28日(木)

晴れ
青蜜柑一日供えて熟れ色に   正子
暑き日のまたぶり返し青蜜柑  正子
月のぼる銀杏並木のその果てに 正子
●マイナポイントの申請に港北区役所へ。区役所に着いたのは8時45分。受付番号17番。1時間ほど待って順番がきて、パソコンの前に座るよう言われ、職員のアドバイスに従って入力。簡単と言えば簡単だった。
マイナンバーカードで個人情報が洩れることは、ないと言っても必ずある。まさか、公安のような不吉さはないと願うが。
●夕方丸善へ行った。日吉駅の銀玉のあるところから、慶大の銀杏並木へ向かって、若い女性たちが大勢、スマホを頭上高くかざして写真を撮っている。有名人が来ているのかな、と思ったが、そうではなかった。銀杏並木のちょうど道の上り切ったところに昇ってきた丸い月を写していた。明日が満月なので、ぽったりと丸い月。真東の銀杏並木の坂道の上の月。奇跡的な位置に昇った丸い月。若い女性たちも風流ではないか。明日の中秋の名月は満月。次の中秋の満月は7年後とのこと。

9月27日(水)

晴れ
●マイナポイント、カードリーダーがないので、パソコンやスマホの申請をあきらめて、区役所へ。空いていそうな時間を見計らって午後3時に区役所に着いた。空いていると思ったら、受付は締めきったとのこと。70人ほどが受け付けられたのだろう。明日一番に来れば大丈夫とのこと。一番というのは、朝8時半ごろまでのこと。

9月26日(火)彼岸明け

晴れ
園児らの農園案山子目を見ひらき 正子
曼殊沙華蘂を零るる朝の露   正子
●マイナポイントがもらえるらしい。自動的にもらえるものと思っていたので、いつまでたっても何事もない。で、他人事と思っていたら、私も申請したらもらえるケースらしい。パソコンで申請しようとしたが、ポイント付与のためのカードが要るとか。メンドクサソウ。9月29日(金)までとのこと。
●URの緑地を一周。4000歩。丘をのぼるのと大違いで汗もかかない。穂絮が飛んでいないのか腕がかゆくならない。荒れた畑を見ていると、見ているだけで、腕や顔がかゆくなる。

9月25日(月)

晴れ
 七里ガ浜二句
秋潮の満ち干の刻のフルコース 正子
貝殻や小石や拾う秋の砂    正子
家内に菊花盛りという仏間   正子
●昨日日本記者クラブで、ジャニーズ問題について、文春側の弁護士さんの記者会見の中継をネットで見た。「メディアと事件の関係つまりメディアの沈黙」が事件の主題にあるように思えた。その中で、会見の弁護士さんがメディアのランキングを示された。ランキングを3段階に分け、1位NHKと大手新聞社、2位文藝春秋などの雑誌、週刊誌、3位民間テレビ局。はっきりとこのランクを聞いたのは貴重な情報だった。
この情報に加え、今朝の朝日朝刊の「AERA」の広告に、俳句はテレビ、短歌はSNSを中心にブームと、あった。「へぇー、そうなんだ」なんだけれど、「テレビでブーム」は民間局の番組を指すと思っている人がほとんだろうが、火付けはNHK。NHKの権威の連鎖がそのブームを大きくし、おそらく経済効果を生み、俳句成金まで生まれている。そういう中で育てば、俳句も成金俳句となりかねない。私の別の俳句結社の友人は、宗匠先生に「あんなの俳句と思ってもらっては困る。」と言われたというのだ。かわいそうに、世の中に遅れるじゃない。

9月24日(日)

晴れ
露さむし写真の夫をふいと見る  正子
頼まれて秋初めてのケーキ焼く  正子
黄菊の蕾ほどけはじめて光るなり 正子
●人参ケーキを焼く。数年焼いていない。いつもなら50分かけて焼くが、焼く温度を忘れ、180度で焼くが35分で上が焦げ始めた。串を指してすっと通るので、オーブンより出したが、焼け残りがあり、失敗。こんな失敗をしたことはない。よほど年をとっている。総合的に判断する勘がにぶっている証拠だ。
●先日ラジオ深夜便で千玄室さんのお話があったが、地震で話が何回か中断したので、今朝仕切り直して、放送があった。その中で、徳島の特攻部隊から待機命令が出て、松山基地へ教官として赴任することになったという話があった。
 ここで符合することがある。松山の勝山町に裏千家の古川先生がおられ、しばらく教えていただいた。ここでにはNHKの職員の奥さん三人が来ておられ、私と四人がお稽古の日が一緒だった。先生はそのとき80歳近い方たったのだろう、髪もお団子に結い飾り気がなくて、大変やさしい方であったが、どこか、厳しそうな感じもしていた。露地から待合、茶室、水屋などすべてが整っているお茶人の家である。お稽古のとき、戦時中、松山に来られた、今の千玄室さんのお世話をさせていただいた、ということを話された。これは確かな話だったのだと今朝思い出した。玄室さんは100歳で、まだお元気でしっかりと話されている。徳島での特攻部隊の話をされるとき、100歳の今も思わず嗚咽を漏らされた。
このお茶のお稽古で思い出すのは、毎回、茶杓に銘を付ける練習があったこと。私は季語をちょっと変えたり、思いつくことを、「銘は?」と聞かれ「芝露でございます。」とか言っていたのだが、毎回ぐらいおほめをいただいた。どこからその銘を思いつくのか度々聞かれた。俳句のお陰だろうと思う。

9月23日(土)彼岸

曇り
白萩の臥す奥にまた白芙蓉  正子
花葛の匂い行く手をふさぐかに 正子
からすうり熟れ色違え高きより 正子
●彼岸の中日なので、ごま豆腐などのお膳を供える。
●雨があがり、涼しくなった。鯛ヶ崎公園から5丁目の丘へ。公園で中学生の男の子と女の子がデートなのか、黄葉しはじめた欅の下で、二人写真を撮っていた。階段をのぼり丘の上へ。一番好きだった30メートルほどの道は、両脇の畑は荒れ、穂草は伸び放題。葛がのさばっている。これほどまで荒れて嘆かわしい。帰り道さっきの男の子と女の子にまた会って、挨拶してくれた。

9月22日(金)

秋の雨そのほかなくて夜をすごす  正子
秋雨の音はっきりと夜の窓     正子
手触れずに葡萄どっしり置かれたり 正子
●めずらしく雨。気温が下がり、クーラーも扇風機も使わないで過ごす。
●「ワルキューレの騎行」を何気なく聞いていると、結構面白い。ワルキューレたちが戦で死んだ者たちを翼のある馬に載せて空を乱舞するように駆けてゆくのを想像する。カラヤンで聞いた。
●ますみさんの俳壇の原稿の相談にのる。ほぼ出来上がる。
●角川の「全国結社マップ」の原稿を書く。「どういう人に向いているか」の質問にはすぐ答えれそうで、書いてみると難しい。仕上げは後日とする。