4月20日(土)

★学び舎にチャイムの鳴りてチューリップ  正子
とても長閑な光景を思い浮かべます。赤や黄や白などとりどりのチューリップが咲いています。学び舎にチャイムの音が鳴り、青空に響きます。チャイムの音色は、とても懐かしく思い出されます。春陽、春風、春色を感じ、明るい状景が広がります。 (藤田裕子)

○今日の俳句
しゃがみてはタンポポのわた吹きし児よ/藤田裕子
タンポポのわたを見つけては、駆け寄って吹いてみることを繰り返す幼子の仕草がかわいい。子どもながら、けっしてタンポポの茎を折り取らないところ。あるがままをそっと野におく心があることは、素晴らしい。(高橋正子)

○牡丹

[牡丹/横浜日吉本町・金蔵寺(2013年4月15日)]_[牡丹/鎌倉・鶴岡八幡宮(2012年4月28日)]

★牡丹散ってうちかさなりぬ二三片/与謝蕪村
★寝床から見ゆる小庭の牡丹かな/正岡子規
★風止んで牡丹のかたち整いぬ/高橋正子
★古き家に牡丹の咲いてぼたん色/高橋正子

ボタン(牡丹、学名:Paeonia suffruticosa)は、ボタン科ボタン属の落葉小低木。 または、ボタン属(Paeonia)の総称。 別名は「富貴草」「富貴花」「百花王」「花王」「花神」「花中の王」「百花の王」「天香国色」 「名取草」「深見草」「二十日草(廿日草)」「忘れ草」「鎧草」「ぼうたん」「ぼうたんぐさ」など多数。 以前はキンポウゲ科に分類されていたが、おしべ・花床の形状の違いからクロンキスト体系ではシャクヤクとともにビワモドキ目に編入され、独立のボタン科とされた。 (ウィキペディア)

▼鎌倉八幡宮の牡丹(2012年4月29日の日記より)
 鎌倉の鶴岡八幡宮へ、昨日、信之先生は、一人吟行に出かけ、境内のぼたん園で牡丹の写真を撮って帰った。自宅から百メートル程西の日吉本町駅で横浜市営地下鉄グリーンラインに乗る。そこから四つ目の駅、センター北でブルーラインに乗り換え、新横浜駅、横浜駅等を過ぎ、戸塚駅で下車。戸塚駅からは、JR横須賀線で三つ目の駅、鎌倉駅まで。鎌倉駅から八幡宮までは徒歩、二の鳥居から三の鳥居へと、そこそこの道程があるが人波の絶えることがない。
 鶴岡八幡宮(つるがおか はちまんぐう)は、神奈川県鎌倉市にある神社。武家源氏、鎌倉武士の守護神。鎌倉八幡宮とも呼ばれる。境内は国の史跡に指定されている。宇佐神宮、石清水八幡宮とともに日本三大八幡宮のひとつに数えられることもある。参道は若宮大路と呼ばれる。由比ヶ浜から八幡宮まで鎌倉の中心をほぼ南北に貫いており、京の朱雀大路を模して源頼朝が自らも加わり築いた。二の鳥居からは段葛(だんかずら)と呼ばれる車道より一段高い歩道がある。そこを抜けると三の鳥居があり、境内へと到る。境内へと入れば、すぐ右に、神苑ぼたん庭園の入口がある。源平池の池畔に造られた回遊式庭園の、ぼたん園である。源平池のほとりに内外の牡丹の名花、約1千株を集める。源平池の旗上弁天社では、藤の花が見頃を迎え、見事な白藤の盛りであった。

◇生活する花たち「藤①・藤②・石楠花」(横浜箕輪町・大聖院)

4月19日(金)

★濃きお茶に春の灯しを入れて飲む  正子
春めいた日に濃い目のお茶を楽しんでおられます。ご家族ご一緒の一時でしょうか、春の灯しと共に。あたたかい雰囲気を感じます。(祝恵子)

○今日の俳句
カットする鏡に淡きチューリップ/祝恵子
髪をカットする様子が鏡に映っているが、その鏡に淡い色の、おそらく淡いピンクのチューリップが映っているのだろう。「淡い」と言ってチューリップの色や形を読者にゆだねたところに春らしさが出た。鏡の中に明るくやさしい春がある。(高橋正子)

 
○西洋おだまき

[西洋おだまき//横浜日吉本町(左:2012年6月15日・右:2013年4月18日)]

★をだまきや乾きてしろき吉野紙/水原秋桜子
★をだまきやどの子も誰も子を負ひて/橋本多佳子
★をだまきの花に風吹く陵の道/石原八束
★おだまきの花の造形こまやかに/高橋正子
★玄関の水栓隠す花おだまき/高橋正子
★西洋おだまき深山おだまき植え揃え/高橋正子

 西洋おだまきは、キンポウゲ科オダマキ属の耐寒性宿根草。花期4月ー6月。現在の日本で西洋オダマキと呼ばれているものは、ヨーロッパ原産のアクイレギア・ブルガリス(Aquilegia valgaris)と北米産の大輪の花を咲かせる数種との交配種をさすようになっています。オダマキの仲間はもともと雑種をつくりやすいこともあって、きわめて多数の園芸品種がありますが、多くの場合、国内では個々の品種名を明記せずに色別や混合種子の形で流通しています。いずれも丈夫な宿根草で、高さ30〜50cmになり、株の中心からまっすぐ伸びた茎に赤、黄、青紫、白、桃色などの4〜5cmの花を多数咲かせます。葉は根元にまとまってつきます。
 本来セイヨウオダマキの和名をもつアクイレギア・ブルガリスの変種に八重咲きのフローレ・プレノ(A. vulgaris var. flore-pleno)があり、変種のステラータ(A. vulgaris var. stellata)は同じ八重咲きでも、距(花の後ろに突き出した部分)のないタイプで八重咲きのクレマチスのような形の花を咲かせます。

◇生活する花たち「あおいすみれ・錨草・山吹草」(東京白金台・自然教育園)

4月18日(木)

★春ほのぼの棚にあげたる書の紙も  正子
晩春ともなれば山笑い野の花も咲き始めて大気に陽気がみなぎってまいります。日頃の暮らしの中にも次第にほのぼのと心の暖かさを感じます。棚にあげている書の紙にも春ほのぼのを感じられた作者は俳句を詠むことと同じ様に書も大切にしていらっしゃる気持ちが良く伝わってまいります。 (佃 康水)

○今日の俳句
春筍の先のみどりや土を割り/佃 康水
一見瑣末なことを述べているようであるが、そうではない。桜が咲き、散るか散らないうちに、竹やぶに筍の切っ先のみどりが土を割る。その「みどりの尖り」の強さ、みずみずしさが新鮮だ。(高橋正子)

○苧環(おだまき)

[おだまき/横浜日吉本町] 

★おだまきや旅愁はや湧く旅のまへ/水原秋桜子

 オダマキ属(オダマキぞく)は、キンポウゲ科の属の一つ。ラテン名のアキレギアやアクイレギア(Aquilegia)ということもある。本属の植物の総称がオダマキ(苧環)である。苧環は元来は機織りの際に麻糸をまいたもののことで、花の形からの連想である。日本、アジア、ヨーロッパに約70種くらい自生し、日本のものは山野草として愛好される一方、外国産のものには品種改良が行われ、園芸植物として広く市場に出回っているものがある。日本にはヤマオダマキ、ミヤマオダマキの2種が山地から高山にかけて分布する。ミヤマオダマキはむしろ山野草として栽培される。
 花の外側の花弁のようなものは、じつは花弁ではなく萼である。花弁はその内側にあって、ややまとまって筒状になる。花弁の基部からは角状の距が伸び、萼の間から突き出る。根出葉は普通2回三出複葉で細かく分かれ、先端には丸っこい小葉がつく。茎が高く伸びるものでは、やや小型の茎葉が出る。全草が有毒。

◇生活する花たち「三葉躑躅(みつばつつじ)・葱坊主・繁縷(はこべ)」(横浜日吉本町)

4月17日(水)

★雉啼くや子二人育てつつ暮らす  正子
物の本によれば、雉はメスだけが子育てをするのだそうですね。うちもそうでしたが夫が仕事に忙しい間は妻一人で子育てをしなければならないときもあったでしょう。そんな時、雉の鳴き声はどのように聞こえたことでしょうか。(小西 宏)

○今日の俳句
水色のそらに連翹の明るい岸/小西 宏
感動のありどころを、論理的に詰めて表現するとリアルな句になる。水色の空であるから、真っ黄色い連翹の咲く岸がくっきりと眼前に見える。そのコントラストが美しい。(高橋正子)

○葵菫(あおいすみれ)

[あおいすみれ/東京白金台・自然教育園] 

★山路来て何やらゆかしすみれ草 芭蕉
★骨拾ふ人にしたしき菫かな 蕪村
★菫程な小さき人に生れたし/夏目漱石
★すみれ咲く小さきゆえの濃むらさき/高橋正子

 葵菫(アオイスミレ、Viola hondoensis)は、 スミレ科スミレ属の多年草。山野や路傍の湿地に生える。全株に細毛がある。葉は根生し、長い柄をもつ心臓形。早春一番早くに咲くすみれで、とても小さく草丈は10cm足らず。淡紫色の花を横向きにつける。別名:ひなぶき。

 スミレ(菫)は、スミレ科スミレ属の植物の総称であるが、狭義には、Viola mandshurica という種の和名であるが、類似種や近縁種も多く、一般にはそれらを区別せずにスミレと総称していることが多い。
 種名としてのスミレ(Viola mandshurica)は、道ばたで春に花を咲かせる野草である。深い紫(菫色)の花を咲かせる。地下茎は太くて短く、多数の葉を根出状に出す。葉は根際から出て、少し長めの葉柄があって、少しやじり形っぽい先の丸い葉をつける。花は独特の形で、ラッパのような形の花を横向きかやや斜め下向きにつける。5枚の花びらは大きさが同じでなく、下側の1枚が大きいので、花の形は左右対称になる。ラッパの管に当たるのは大きい花弁の奥が隆起したもので距(きょ)という。花茎は根際から出て、やや立ち上がり、てっぺんで下を向いて花のラッパの管の中程に上側から着く。平地に普通で、山間部の道ばたから都会まで、都会ではコンクリートのひび割れ等からも顔を出す。山菜としても利用されている。葉は天ぷらにしたり、茹でておひたしや和え物になり、花の部分は酢の物や吸い物の椀ダネにする。ただし他のスミレ科植物、例えばパンジーやニオイスミレなど有毒なものがあるため注意が必要である。

◇生活する花たち「いちはつ・藤・梨の花」(横浜市緑区北八朔町)

4月16日(火)

★岩に滾る水にかがやく猫柳  正子

○今日の俳句
散らばって土手の土筆を摘んでる子/迫田和代
「散らばって」が楽しい。土筆があちこちに生え、子たちも互いに間隔をとって土筆取りに夢中。いい写生だ。(高橋正子)

○クレマチス(鉄線花)

[鉄線花/横浜日吉本町] 

★鉄線を活けて有馬の筆作り/大坪景章
★クレマチス咲く中年は美しき/永井潮
★鉄線花みな平らかに空を向く/高橋正子

 クレマチスはつる性植物の女王といわれるに相応しく、美しい大輪の花を咲かせる。しかも蔓は枯れることなく、毎年新しい枝を伸ばしては、その先に花を咲かせ続け、数年たつうちには、たくましく成長して大きな株になり、夥しい花を咲かせる。
 クレマチスというと外来の花のようにも思われるが、今我々が普通に眼にしてい るものは、日本に自生していたものをベースにしている。日本人はそれを鉄線といって長い間愛でてきた。今日でもクレマチスの総称として、鉄線という言葉を使う人は多い。
 詳しく言うと、日本のクレマチスには、鉄線と風車とがあった。鉄線は花びらが6枚で、風車のほうは8枚だから、容易区別できる。もっとも花弁に見えるものは、萼が発達したもので、本来の花弁は退化して存在しない。
 風車の名は、その形状から来ている。八方に広がった羽のような花びらの形があたかも風車を思わせるのだ。一方鉄線は丈夫な蔓が鉄線のようだからだろう。こちらは中国伝来のものである。
 クレマチスは北半球に広く分布している。欧米のものは花が小さい。そこで日本のように鉢仕立ては余り行われず、修景用に用いられることが多い。最近は日本のものとヨーロッパのものを掛け合わせて、多彩なクレマチスが作られている。
 花言葉は美しさや高潔に関連したものが多い。花の持つ優雅さの現われだろう。

◇生活する花たち「あおいすみれ・錨草・山吹草」(東京白金台・自然教育園)

4月15日(月)

★欅若葉空をうずめて浅みどり  正子
青空に大きく箒状に枯れ枝を広げている欅の木。うす緑色の若葉が枝いっぱいに散らばって開くこの時季、空も若葉も一体となってきれいな浅みどりに。新緑の候が近づいてきた歓びを感じさせてくれる御句です。 (河野啓一)

○今日の俳句
蒲公英の種ふと浮び空の詩/河野啓一
野原の蒲公英の絮が、風が来て、ふっと空に浮かんだ。これから広い空を飛んでゆく、蒲公英の種子の旅がはじまる。その心は、「詩」と言える。蒲公英の種子の飛行は、「空の詩」であり、「空の歌」なのだ。(高橋正子)

○豌豆の花

[豌豆の花/横浜日吉本町]         [豌豆の花/横浜都筑区川和町]

★花豌豆大学生の下宿せり/高浜虚子
★花豌豆定年までの右顧左眄/品川鈴子
★豌豆の花の白さを見つつゆく/阿部ひろし
★豌豆の白花ばかりなりしなり/堀志皋
★花豌豆渚に潮の満つる音/成智いづみ

 エンドウ(豌豆、学名:Pisum sativum L.)は、マメ科の一・二年草。広く栽培され、食用となっている。一般に、エンドウマメとも。別名にノラマメ、グリンピース(未熟の種子を食用とする場合の呼び方)、サヤエンドウ(莢豌豆・絹莢、未熟の莢を食用とする場合の呼び方)。日本での栽培種には、ウスイエンドウ、キヌサヤエンドウ、オランダエンドウ、がある。
 古代オリエント地方や地中海地方で麦作農耕の発祥とともに栽培化された豆で、原種は近東地方に今日でも野生している P. humile Boiss. et Noö. と推察されている。もともとは麦類の間で雑草として生えてきたこの原種の野生植物を、種実を食用にしたり、根粒菌による土の肥沃化に効果があるなどの利用価値を発見することで、麦類とともに混ぜ植え栽培するようになり、次第に栽培植物として品種改良が進んだと考えられている。この地域では農耕開始期に、カラスノエンドウもエンドウと同時に同様の利用が行われ始めたが、こちらの栽培利用はその後断絶し、今日では雑草とみなされている。また、同じ地域に起源を持つマメ科作物としては、ソラマメ、レンズマメ、ヒヨコマメが挙げられる。麦作農耕とともにユーラシア各地に広まり、中国に伝わったのは5世紀、日本へは9-10世紀には伝わった。 また、メンデルが実験材料としたことでも知られている。
 さやの硬さにより、硬莢種(こうきょうしゅ) P. s. ssp. arvense Poir. と軟莢種(なんきょうしゅ)P. s. ssp.hortense Asch. がある。硬莢種はその名のとおり莢(さや)が固く、主として完熟して乾燥した豆を収穫して利用する。花は紅色である。軟莢種は莢が柔らかく、未熟な莢をサヤエンドウとして利用したり、成長を終えて乾燥前の生の豆をグリーンピースとして利用する。花は白いものが多い。スナップエンドウは軟莢種の中でも豆が大きく成長しても莢が柔らかく、豆と莢の両方を野菜として利用できる品種である。
 原産地が冬に雨が多い地中海性気候の近東地方であるため、夏の高温期は成長適期ではなく、麦類と同様に基本的には秋まきして翌春収穫する。冬の寒さの厳しい東北北部や北海道では春まきして初夏に収穫する。連作に弱く、一度栽培した土地では数年間栽培が困難となる。また、原産地が土壌にカルシウムなどが多い乾燥地帯であることから想像できるように、酸性土壌にも弱い。

◇生活する花たち「三葉躑躅(みつばつつじ)・葱坊主・繁縷(はこべ)」(横浜日吉本町)

4月14日(日)

★キーを打つその間も蕗の香指にあり  正子
春を告げる鮮烈な香りの蕗のとう。調理する傍ら、蕗のとうならではの独特な香りが指に移ります。家事をこなして、忙しくパソコンに向かう作者。キーを打ちながらも漂う春の香りに、ふと心和み、季節の明るさを感じます。(藤田洋子)

○今日の俳句
春光につつまれし身のときめきよ/藤田洋子
この句を読むと、もの静かで明るい若い母親の姿が浮かぶ。うす紫の丸いヨークのセーターが、春光の中で、肩までの黒髪に映えていた。(高橋正子)

○藤

[藤/横浜日吉本町(2013年4月13日)]_[芹の花/横浜・四季の森公園(2010年5月1日)] 

★草臥て宿かる比や藤の花 芭蕉
★月に遠くおぼゆる藤の色香哉 蕪村
★春の日の入所なり藤の花 一茶
★藤の花長うして雨ふらんとす/正岡子規
★天心にゆらぎのぼりの藤の花 沢木欣一
★藤房に山羊は白しと旅すぎゆく/金子兜太
★遠つ世へゆきたし睡し藤の昼/中村苑子
★勤めの途中藤の真下の虚空抜ける/堀 葦男
★藤房の中に門灯点りけり/深見けん二
★肩触れて肩かゆくなる藤の花/能村登四郎
★いちにちにゆふべのありて藤の花/鷹羽狩行
★杉あらば杉の高さに藤の花/朝妻力
★縄電車停車す藤の花かげに/増田富子

 フジ(藤、学名: Wisteria floribunda)は、マメ科フジ属のつる性落葉木本。ノダフジ(野田藤)ともいう。ノダフジ(野田藤)の名は、この種が植物学者の牧野富太郎により命名されるきっかけとなった、フジの名所であった大阪市福島区野田にちなんでいる(同区玉川の春日神社には、野田の藤跡碑が建立されている)。
 開花時期は、 4/15 ~ 5/ 5頃。花序は長くしだれて、20cmから80cmに達する。花は紫色。蔓(つる)は他の木などに右巻き(上から見て中心から外側へ時計回りに見える巻き方)に巻きつき、かなり太くなる。2mぐらいの長さの蔓になることもある。蔓はとても強く、古墳時代の巨大な石棺も、木ぞりに載せて、この藤縄で運んだらしい。夏になると新しい枝先からまた少し花が咲くことがある。これに似ている山藤(やまふじ)は左巻きに巻きつく。
 日本原産、日本固有種。本州・四国・九州の温帯から暖帯に分布する。一才藤(いっさいふぢ)として園芸用に流通する鉢がある。樹高50cmくらいの、鉢植えや盆栽にして愉しむための一才物のフジ。花枝はしだれるが、支柱などは不要。

◇生活する花たち「いちはつ・藤・梨の花」(横浜市緑区北八朔町)

4月13日(土)

★芽木若葉たちまち空の蒼に和す  正子
晩春から初夏にかけて木々が新芽を出し夫々の若葉の色へと変わりますが、それらの芽木若葉は空の蒼に和すかの様に忽ちに空に広がって行きます。若葉も空の蒼も爽やかさを想起させ、更に瑞々しい若葉の生命力を感じる御句です。(佃 康水)

○今日の俳句
菜の花や煌めく海へ揺れ止まず/佃 康水
「煌めく海」と「揺れ止まず」は、納得する動的な関係。黄色い菜の花を揺する風は、海にも吹いて海を煌めかす。海と菜の花の色彩が鮮やかで、煌めきのある生き生きとした句である。

○梨の花

[梨の花/横浜市緑区北八朔(左:2013年4月12日・右:2012年4月19日)]

○梨の花
★両岸の梨花にラインの渡し船/高濱虚子
★能登けふは海の濁りの梨の花/細見綾子
★梨棚の白とも言えぬ花咲けり/高橋正子

正子の日記/2012年4月20日より
 昨日の午後、信之先生と2人で吟行兼写真撮影。横浜緑区北八朔町の果樹園の梨の花を目的とした。自宅がある港北区から都筑区川和町までを地下鉄に乗った。電車を降りたときは、田園のいい香りがした。菜の花の匂いに、なにか花の匂いが混じっている。歩くところ、歩くところ、花が噴きだしたように一斉に咲いているためであろう。
 川和町を鶴見川に沿って東側の土手を川上に向かって歩いた。鶴見川の土手は、すぎな、いたどりが群生し、菜の花が方々に咲いている。すいばは、穂を伸ばしかけ、桜は葉桜となりながらもまだ花が咲いている。豌豆の花、蚕豆の花、苺の花、ほうれん草の花、葱坊主、桃の花、林檎の花、木蓮、いちはつ、山吹、石楠花、シャクヤクの花蕾、土手の斜面にはすかんぽやいたどり等も。のどかな田園地帯で、八十を越えたかのような老人が農作業にいそしんでいた。
 1時間半ばかり歩いたところの天神橋は、都筑区川和町と横浜緑区北八朔町と青葉区下谷本町との3町の境となる。天神橋を通って鶴見川の西側へ渡る。そこが緑区北八朔町の梨の果樹園で花盛りであった。梨は、初秋には「はまなし」として売られる。梨の花は、白い。採果しやすいように枝は横に這うように伸ばせた樹形となっているが、枝には意外にも大きな花がびっしりとついている。随分摘果しなければならないだろうと思った。
 梨の花を撮り、天神橋を渡って都筑区川和町へ戻る。少し歩くと青葉区市ヶ尾町になる。市ヶ尾駅からあざみ野駅までを田園都市線で、そこから横浜市営地下鉄に乗り、日吉本町駅で下車、帰宅は、午後3時過ぎ。帰るや川土手で取ってきたいたどり二本を水道水で洗って、藻塩をつけて少々食べる。ぽきっと折れて瑞々しかったが、残念ながら、二本とも埃臭い味。山の沢などのいたどりは、こんな味ではない。鑑賞用にコップに挿した。
 梨の花弁は通常白色、5枚の離弁が基本であるが、色や花弁数には変異がある。また、おしべは約20本、花柱は5本である。梨は本来虫媒花であるが、自家不和合性(同じ品種間では結実しない性質)が強く、栽培される場合には経済的な理由から他品種の花粉によって人工受粉が行われる。めしべの柱頭に付着した花粉は発芽し、花粉管を伸長して胚珠に到達、重複受精を行う。果実の育成は植物ホルモンの影響を受ける為、人工的にこれを添加する事も行われる。また、結実数が多すぎる(着果過多)場合には、商品となる果実の大きさを維持する為に摘果が行われる。

◇生活する花たち「あおいすみれ・錨草・山吹草」(東京白金台・自然教育園)

4月12日(金)

★はこべらの花を撮りつつバスを待つ  正子
はこべらは春先、庭や道の辺に自生する春の七草の一つ。目立たない草ですが、バスを待つ間にも小さな草花に目を注がれる、作者の対象への思いが伝わってまいります。(小川和子)

○今日の俳句
高々と花満つ校舎の外窓へ/小川和子
校舎の高い窓に触れて桜が咲き満ちている。窓の内から見れば窓は桜に埋め尽くされている。今年は早い桜であるが、卒業や入学に重なる桜の花は、生徒たちの胸にいろんな思い出を残すことだろう。

○著莪(しゃが)

[著莪/横浜日吉本町(2013年1月9日)][著莪/東京・関口芭蕉庵(2013年1月9日)]

★紫の斑の仏めく著莪の花/高浜虚子
★著莪の花白きにわきて雲絶えず/加藤楸邨
★姫著莪の花に墨する朝かな/杉田久女
★著莪叢のとどく木洩れ日濡れてをり/稲畑汀子
★譲ることのみ多き日々著莪の花/塙 義子

 シャガ(射干、著莪、胡蝶花、学名:Iris japonica)は、アヤメ科アヤメ属の多年草である。人家近くの森林周辺の木陰などの、やや湿ったところに群生する。開花期は4 – 5月ごろで、白っぽい紫のアヤメに似た花をつける。花弁に濃い紫と黄色の模様がある。根茎は短く横に這い、群落を形成する。草丈は高さは50 – 60 センチ・メートル程度までになり、葉はつやのある緑色、左右から扁平になっている。いわゆる単面葉であるが、この種の場合、株の根本から左右どちらかに傾いて伸びて、葉の片面だけを上に向け、その面が表面のような様子になり、二次的に裏表が生じている。
 学名の種小名はjaponica(「日本の」という意味)ではあるが、シャガは中国原産で、かなり古くに日本に入ってきた帰化植物である[1]。三倍体のため種子が発生しない。このことから日本に存在する全てのシャガは同一の遺伝子を持ち、またその分布の広がりは人為的に行われたと考えることができる。したがって、人為的影響の少ない自然林内にはあまり自生しない。スギ植林の林下に見られる場所などは、かつては人間が住んでいた場所である可能性が高い。そういう場所には、チャノキなども見られることが多い。中国には二倍体の個体があり花色、花径などに多様な変異があるという。東京都でレッドリストの準絶滅危惧種に指定されている。

◇生活する花たち「三葉躑躅(みつばつつじ)・葱坊主・繁縷(はこべ)」(横浜日吉本町)

4月11日(木)

 清洲橋
★ケルンの橋青く塗られて春の橋  正子
関東大震災の震災復興事業としてかけられた橋で、当時ドイツのケルン市にあった大吊り橋をモデルに作られた優美なデザインの橋です。この橋は国の重要文化財に指定されており、歴史と伝統を刻んで春のうららの墨田川にかかっています。 (多田有花)

○今日の俳句
春光や今日一片の雲もなし/多田有花
あまねく春光が差す「今日」。空には一片の雲もない。「今日」という日のうららかな春の日を詠んで、古いようだが、新しい感覚。(高橋正子)

○林檎の花

★面つゝむ津軽をとめや花林檎 虚子
★みちのくの山たたなはる花林檎 青邨
★彳みて林檎の花の四方の中 風生
★牛鳴いてのどかなるかな花林檎 立子
★一歩一歩に日光新た花林檎 林火
★まどろみの覚め白さびし花りんご 汀女
★蜂に蜜我等にむすび林檎咲く/矢島渚男
★ふるさとの空摘みあます花林檎/木村敏男

ブログ「FROMみちのく」:だんなさんの転勤で横浜から盛岡へ。 日々のコトなどきままに更新してます☆
http://yaplog.jp/ai1025/archive/143
 北東北の春は植物達にとって大忙し、梅・桃・桜・水仙にチューリップに芝桜がここぞとばかりに一遍に開花。その後を追ってお次は果樹の花が咲きます。 梨、そして林檎、街の中心から20分ほどの手代森では、水はけの良い土地と日差し降り注ぐ傾斜面に林檎畑が広がってます。食べるのはだーい好きな林檎だけれど、花を見たことが無かった。ちょうど良い時期だというので、林檎の花のお花見へ行ってきました。太陽を浴びて、満開の林檎の花♪
 外側が真っ赤な林檎の実とは違いほんのーりピンク色のお花、ほわっとまぁるいシルエットです。花の色は林檎の種類によっても違うみたい。林檎畑の真ん中へ目を移すと、何やら作業中のおとうさんを発見!!「こんにちはー」と近寄っていくと、花やつぼみを次々とむしり取ってました。先から一節、二節目まではここ1~2年で伸びた若い枝、なので実を付けないように花を摘むのだそう。この広大な林檎畑の全ての木を3.4日かかりで作業するんだって。林檎が実を付け私達の食卓へ運ばれるまでには作り手の手間がかかってるんだなぁ。ありがたやー。ほへ~っと美しい林檎畑の光景を見ていたら、ブンブンブン♪とたくさんの羽音が聞こえてきました。そう、この方達無しにはフルーツを食べることが難しくなる、忘れちゃならないフルーツ作りの陰の功労者ハッチさん御苦労さまでーす!
 福島県では、私がいつか行きたいと思っていた福島市庭坂のフルーツラインにある”あんざい果樹園”さんのカフェ、”CAFE in cave”が原発による小さいお子さんへの放射線の影響を考え、一旦閉店して北海道へ家族で移り住むことになったとブログにありました。ちょうど昨年から無農薬での林檎栽培も始めたそうで、今はご両親が果樹の世話をしているとのこと。盛岡の放射線量は風向きの関係もあってか横浜より少ないくらいだけれど、つい一週間ほど前には私の職場のある滝沢村の一部で牧場の牧草から基準値を超えた放射性セシウムが検出されました。農家の方畜産を営む方達は季節とともに動きだしているのに、もし手間暇かけた農作物や牛・豚・鶏をそういう影響で売ることが出来ないとしたら。それでも作り続けるしかないとしたら。天災は予防することしかできなくても、人災は私達が動けば無くしていくことができる。今までのように安心して魚や肉やお野菜やお米を口にできるように、安心して作ることができるように。私なりに考えて動いていければーと思ってます。
 田んぼや果樹畑が広がり道路沿いで牛や馬たちとすれ違う、作り手の見える盛岡。今年は福島や宮城の分まで頑張っていかないと!

◇生活する花たち「菜の花・片栗の花・山桜」(横浜・四季の森公園)