阿蘇
★丈低きりんどう草に澄みてあり 正子
山裾に広がる草原に、丈の低い紫色のりんどうが咲いています。爽やかな秋風を受けながら、可憐なりんどうの花がその辺りの空気を一層澄み渡らせています。大きな景の中の、小さなりんどうへの思いがとても優しく感じられました。(藤田裕子)
○今日の俳句
ちちろ鳴く裏庭の夜の澄みてきし/藤田裕子
静かな裏庭にちちろが鳴くと、夜が澄んでくる感じがする。夜が澄んでくると、ちちろがいっそう声高く鳴く。研ぎ澄まされてゆく秋の夜である。(高橋正子)
○イギリス旅行
日本とイギリスでは、8時間の時差があるので、チェスターのホテルを出発する午前8時は、日本では、午後4時になる。今日の予定は、ブロンテ姉妹の家があるハワース、そして湖水地方、ウィンダミア湖遊覧船にも乗る。イングランドの北方、スコットランドに近い。俳句にとっては、いい風景が見られるので、楽しみ。今回の旅のメインとなる。
▼ハワース:
http://taji-hm.la.coocan.jp/uk010106.html
▼湖水地方:
http://www.tabizora.net/travel/03_england/
◇「ウィンダミア湖」(イギリス俳句の旅)

★吹き起こり風が熟田をさざめかす 正子
整然と稔る稲の穂がふいと起こる風に煽られて賑やかに騒ぎ立てる。収穫前の豊かな田の風景が浮かび上がります。 (小西 宏)
○今日の俳句
風入れる窓に虫の音混じり来る/小西 宏
窓の風に混じって聞こえる虫の声は、心地よく聞こえる。しかし、聞いているとどこか淋しい気持ちが湧く。秋という季節のせいだろうか。(高橋正子)
○イギリス旅行
早朝、イギリス旅行へ、娘の句美子と横浜の自宅を発つ。娘に誘われての旅である。20年ほど前の家族4人でのドイツ旅行が思い出される。1990年に家族でドイツ旅行をした。二十一年の歳月が流れ、六歳の句美子は9月3日に二十八歳になった。信之先生は、留守番役。帰国は、9月26日の予定。
午前11時30分成田空港発のヴァージン・アトランティック航空0901便でロンドンへ出国。宿泊は、ロンドンから北へ314km離れたチェスターのホテル。リヴァプールの近くです。(信之記)
▼イギリス一美しいと言われるチェスター:
http://urara-y.at.webry.info/201007/article_10.html
◇生活する花たち「葛の花・秋桜・酔芙蓉」(横浜四季の森公園)

★林檎手に送られ来しが赤ほのと 正子
送られて来た林檎を早速手にした時、ほんのりと色づいている赤い林檎がとても印象深かかったのでしょう。収穫間も無い新鮮で美味しそうな林檎、可愛さ、実の成っている林檎畑までもが想像されます。(佃 康水)
○今日の俳句
せせらぎの岩すべり来る秋の水/佃 康水
「岩すべり来る」が澄んで滑らかな秋の水の感じをよく出している。(高橋正子)
○イギリス旅行
明日早朝、イギリス旅行へ、娘の句美子と横浜の自宅を発つ。娘に誘われての旅である。20年ほど前の家族4人でのドイツ旅行が思い出される。1990年に家族でドイツ旅行をした。二十一年の歳月が流れ、六歳の句美子は9月3日に二十八歳になった。信之先生は、留守番役。帰国は、9月26日の予定。
◇生活する花たち「やぶ蘭・トレニア・鬼灯」(横浜四季の森公園)

俳句雑誌「花冠」の表紙画像
○月刊俳句雑誌花冠(旧誌名水煙)
○創刊者高橋信之・代表者高橋正子
俳誌花冠は、1983年10月に創刊し、1996年11月27日にウェブサイト「インターネット俳句センター」を開設した。
○インターネット俳句センターアクセス百万回達成!
信之先生、正子先生、「インターネット俳句センター」アクセス百万回達成、おめでとうございます。去る八月二十四日の夜、偶然にも百万回目のアクセスに遭遇し、私にとっても忘れ得ぬ喜びとなりました。またこうして、誌友の皆様とともに、この喜びを分ち合える幸せを感じ、「インターネット俳句センター」とのご縁に深く感謝申し上げます。 一九九六年の開設以来、長年続けてくださる途方もないご労苦も、今日の発展をもって報われる思いがいたします。私自身、入会より「インターネット俳句センター」と共に歩ませていただいた歳月、全国各地の同人の、日常生活から生まれる日々の豊かな俳句に接しながら、皆様と俳句を享受し、学び、あたたかな心の交流をさせていただきました。デイリー句会から現在のツイッター句会に至るまで、欠かすことなく互選、選評を積み重ねていただき、俳句の教えはもとより、細く長く継続してゆく大きな力をお教えいただきました。また、ネット句会に加え、折々に参加させていただいた諸行事の一つ一つが、大切なよき思い出として心に刻まれています。 今もなお、弛まぬ努力と熱意を注がれ進化し続ける「インターネット俳句センター」」は数多の俳句サイトの中、常に上位に選ばれ、各種ネット句会、オフ句会、信之先生の俳句論評、正子先生の俳句日記他、膨大な資料が保存管理され、日々更新され、その充実さは読者の皆さんを魅了します。これからも、お一人お一人の人生に、明るい希望や豊かな生きがいを見出せる場として、ますますご発展されますよう心からお祈りいたします。(藤田洋子)
①俳句雑誌「花冠」(ブログ版)
http://blog.goo.ne.jp/kakan11/
②花冠俳句叢書(電子書籍)
http://kakan.info/01/
③インターネット俳句センター
http://suien.ne.jp/haiku/
◆「俳誌花冠/代表高橋正子」は、1983年に創刊、以後28年の歩みは、マスメディアの記事に残されています。以下のページをお読みください。
http://kakan.info/index2.htm
★たっぷりと雲湧く台風過ぎしより 正子
台風が過ぎれば空気が入れ替わり、空は青く澄んで、晴れ渡ります。一方、台風がもたらした風雨により、大量の雨水が山野も覆って、やがて雲となり、空へと還ってゆきます。雲湧く様や、風の流れも感じられて、爽やかな心地をいただきました。(津本けい)
○今日の俳句
草に落つ青どんぐりの音軽き/津本けい
風で落ちる青どんぐりであろうか。落ちるときに、草に軽く音を立てる。「軽い音」がよい。秋が深まれば「コツッという確かな音に変わる。(高橋正子)
○生活する花たち/高橋正子
①唐糸草
唐糸草確かに秋が来ておりぬ 正子
向島百花園を訪ねたのは九月八日。晴れであった。百花はあるけれど、どれもたくさん咲いているわけではない。桔梗は花が一つ残り、なでしこは2,3本あったのが、すっかり枯れていた。偶然にも。れんげしょうまが一本、唐糸草がもう終わりかけて、やっとその色と形が残る程度のが二つあった。唐糸草は初めて見たが、山野草の部類に入る。えのころ草の穂よりも少し大きいが、紅色の雄しべが日に透けると大変美しいということである。ちょっと粋な長い紅色の雄しべは雨に濡れると、猫が雨に濡れたようになるそうだ。撮ってきた写真を見ながら「唐糸」はいかにも江戸好みらしいと思う。終わりかけの花のみすぼらしさの中にも、きれいな紅色が想像できるから不思議だ。大いにその名前「唐糸」のお蔭であろう。園内にいる間は、なんと花に勢いのないこと、と思っていたが、写真を見ると、一つの情緒がある。文人好みの庭に造られたせいでもあろう。虫の声を聞く会、月見の会も催されるようだから、暮らしの中の花として、少しを植えて楽しむのもささやかながら、都会人のよい楽しみであろう。

②韮の花
いつ見ても韮の花に蝶せせり 正子
九月一日、二百十日を狙って台風十二号が横浜にも接近しつつある。東からの湿った風で、昨日から非常に蒸し暑い。雨が降る前にと思って、十時すぎカメラをもって5丁目あたりの花を探しに出かけた。昨日、ある家によく咲いていた酔芙蓉も今日は、ちっとも咲いていない。かわりに隣の家の酔芙蓉が咲いていた。花は全く一期一会。歩いていると、なんらかの花に偶然に出会う。一日が言えないし、一時間が言えない。台風の接近を知らせる雲が空を覆って、歩くと暑い。今日は、韮の花がちょうど盛り。韮の花には小さな蝶がいつもせせり寄って蜜を吸っている。
生家の庭先の畑の端に石組みに沿って一列に韮が植えてあった。韮は冬から春がおいしかった。味噌汁に入れるのに、「ちょっと、韮を刈ってきて。」と言われることもあった。春を過ぎると葉が硬くなる。韮の花は、二学期がはじまるころに咲く。韮の花と言えば、「二学期が始まる暑さ」と、体に染みている。二学期が始まると、運動会の練習が始まる。日暮れがだんだん淋しくなり、昼間は汗をかいた簡単服(簡単なワンピース)では涼しすぎるようになる。韮の花が咲くと、九月特有の暑さを思い出す。

③芙蓉
雲が来て風のそよげる花芙蓉 正子
秋めいてきた。きのう、色づき始めたむらさきしきぶの向こうにピンクの芙蓉が咲いているのは知っていた。今朝、それを写しにゆくと、頭をタオルで包んだ男の人がカメラを覗いている。その傍に草取りをしている女の人がいて、「おはようございます。花を撮らせてください。」と頼んで芙蓉を撮らせてもらった。
ご夫婦で趣味が写真のようだ。朝八時過ぎでまだ陰っているので、芙蓉を撮るとフラッシュが焚かれた。奥さんが、「今フラッシュが焚かれましたよ。」という。そのあと、ご指南があった。花を撮るときは、フラッシュは焚かないほうがいい。近くで撮りすぎるとピンぼけになる。オートをはずしなさい。カメラを覗いているご主人は、ちょっとカメラを見せてごらん、と。しかし、カメラもいろいろでよくわからんなあ、と。この芙蓉の花がいいですよと、奥さんが指す。言われるとおりにその花を撮って家で落ち着いて見てみると、はっきりとして、幾分情緒に欠けているように思うが、写真家好みになっている。家の錆びたトタンの壁までくっきりと写っている。芙蓉はそんなところにも似合う。
松山の郊外に一時住んでいたときは、玄関に芙蓉があり、花に隠れて水道があった。そこでは、盥で洗濯をしたが、花の傍で水をいっぱい使って洗濯をすると、気分もさわやかだった。

★虫籠に風入らせて子ら駈ける 正子
虫かごに入っているのは、バッタなのか、トンボなのか、いずれにせよ、虫取りは子どもにとって心躍るものです。「風入らせて」に子どもたちのその様子が反映されています。(多田有花)
○浅草
浅草へは俳句の仲間と幾度か出掛けたが、9月8日には向島百花園の帰りに電車乗り換えのために立ち寄った。東武伊勢崎線浅草駅から地下鉄浅草線浅草駅までを200mほど歩いた。水上バス乗り場から雷門までの道を横切ったことになる。東武伊勢崎線の車窓からはスカイツリーを見て、隅田川に架かる吾妻橋を眺めた。浅草の近くに来れば寄ってみたい気になるのがいつもだ。梅園のあんみつとかかき氷。梅園でおいしいのは、甘いものもさることながら、お雑煮だそうだ。文扇堂の扇子や団扇も面白い。団扇は特に江戸文人趣味があって楽しい。うなぎの店もおいしい。駒形のどじょうもあるが、こちらは、入ったことがない。仲見世の雷門おこしは、店によって味が多少ちがうが、浅草で買うとおいしいので、楽しみにして買う。浅草の「寿司清」、鰻・日本料理「川松」で少人数の句会をしたこともある。
藤袴スカイツリーのいや真直ぐ 正子
○今日の俳句
あさはや桜紅葉始 明るき午後/多田有花
「明るき午後」が魅力。暑さがようやく落ち着いたかと思うと、はやくも、桜は紅葉しはじめる。真夏の眩しさがぬけて、しずかな明るさに変わるころ。(高橋正子)
◇生活する花たち「酔芙蓉・野牡丹・紫式部」(横浜日吉本町)

萩のトンネル真上ぱらぱら空があり 正子
○今日の俳句
薄の穂切りて野の風持ち帰る/黒谷光子
風に吹かれている野の薄の穂を切って持ち帰ると、さながら、野の風を持ち帰るようだ、という。穂芒の姿に野の風が見える。(高橋正子)
○紅萩と白萩
去年写真に撮った紅萩を見に行こうという。この萩は、五丁目の住宅の萩で花色がはっきりしないのが残念だが、そういう萩も萩なので写真に収めていた。なにしろテーマは「生活する花」だから。今年はどうだろうか。数日前に五丁目に白萩が少しばかり植えている家を見つけたので、その写真を撮ってから紅萩を見に行くことにした。朝の八時過ぎなのに、坂道を上ると暑い。残暑が厳しい。日陰になっている白萩は冴えない。見上げて青空を入れて写す。その白萩を撮ってからが長い。途中で信之先生は、シャツを一枚脱ぐ。咲いている花は、これと言ってない。ただ暑いだけを歩く。去年撮った紅萩の家がどこであったか、確かではないが、とにかく西へ向かって歩く。今日は三十二度まで上がる予報。保育園の下の欅が茂っている公園で休憩。持って来た冷たい紅茶で休むが、私だけが蚊に刺される。長くは居れないので目当ての萩の家へ歩く。ほどなく萩の家が見つかった。塀から枝垂れてよく咲いている。花の色は、はっきりしないけれど、枝が風に吹き流されて見事だ。朝日があたって、ちらちらと明暗ができているが、花の色がはっきりしないので、撮るのが難しい。気がつかないでいたら、すぐ前の家に白萩が茂みのなかに咲いている。こんなところに白萩が。白萩は、紅萩にくらべ花が大きいので、白がふっくらと見える。紅萩と白萩とが道を挟んで咲いている。住宅地を散歩していると、ご近所の「花競べ」と思えることによく出会う。
追伸として、日吉本町にも咲く葛の花。工事会社の簡易事務所のようなところの空き地だが、葛の写真を撮っていたら、ヘルメット姿の男性が戻ってきて、にっこりと嬉しそうな顔をした。わが葛を写真に撮ってくれたとうれしかったのか、と思った。一時間半ほど歩いたが、紅萩白萩秋暑し。
◇生活する花たち「萩」(横浜日吉本町)

★青林檎ときに稲妻差しきたる 正子
青林檎は夏のうちに出荷される早生の種類。窓辺のそのりんごに稲妻の光が、時折、ピカリピカリと差してくる。夏の激しい雷光ではなく実りの秋のしずかな稲妻である。(古田敬二)
○今日の俳句
新築の木材よき香を新涼に/古田敬二
新築の木材の香りはよいもので、新涼となると、とくに爽やかな香りに感じられる。「新築」がすがすがしい感覚的で捉えられた。(高橋正子)
◇生活する花たち「葛の花・秋桜・酔芙蓉」(横浜四季の森公園)

★水澄むこと今朝より池に始まれる 正子
秋になると空が澄み、空気が澄み、水までもが透き通ってきます。池の水の変化にいち早く気づき秋の始まったことを喜ぶ作者。清々しい朝の大気が伝わります。(後藤あゆみ)
○今日の俳句
風音の明るき朝よ稲刈らる/後藤あゆみ
稲が熟れて、刈られるころは、稲の熟れ色に染まるかのように明るく、爽涼の風が吹く。コンバインが刈り進むにしろ、鎌でサクサク刈るにしろ、稲が刈られるころは、軽やかに、明るい。(高橋正子)
○唐糸草
唐糸草確かに秋が来ておりぬ 正子
向島百花園を訪ねたのは九月八日。晴れであった。百花はあるけれど、どれもたくさん咲いているわけではない。桔梗は花が一つ残り、なでしこは2,3本あったのが、すっかり枯れていた。偶然にも。れんげしょうまが一本、唐糸草がもう終わりかけて、やっとその色と形が残る程度のが二つあった。唐糸草は初めて見たが、山野草の部類に入る。えのころ草の穂よりも少し大きいが、紅色の雄しべが日に透けると大変美しい
ということである。ちょっと粋な長い紅色の雄しべは雨に濡れると、猫が雨に濡れたようになるそうだ。撮ってきた写真を見ながら「唐糸」はいかにも江戸好みらしいと思う。終わりかけの花のみすぼらしさの中にも、きれいな紅色が想像できるから不思議だ。大いにその名前「唐糸」のお蔭であろう。園内にいる間は、なんと花に勢いのないこと、と思っていたが、写真を見ると、一つの情緒がある。文人好みの庭に造られた
せいでもあろう。虫の声を聞く会、月見の会も催されるようだから、暮らしの中の花として、少しを植えて楽しむのもささやかながら、都会人のよい楽しみであろう。
◇生活する花たち「萩・からいとそう・瓢箪」(東京・向島百花園)

尾瀬
★山小屋の湯にいて秋の笹の音 正子
そよそよと心地よい秋風の中山小屋の湯にゆったりと浸り笹の音が微かに聞こえてくる気持の良い景ですね。(小口泰與)
○今日の俳句
鶏頭へ堅き日矢射し空深し/小口泰與
「鶏頭」に対して「堅き日矢」の表現は、秀逸。鶏頭の咲くころの日のあり具合が実感できる。(高橋正子)
◇生活する花たち「花魁草・ぎんみずひき・藤袴」(東京・向島百花園)
