9月30日(金)


○イギリス・俳句の旅第6日9月24日

  ロンドン
 二階バス次々来たり秋暑し
 栃の実を捨てて旅の終わりなり

  ロンドン・キューガーデン
 睡蓮の花いろいろに水を出る

 今日は、今回のイギリス旅行の最後の観光となる。明日、ロンドンヒースロー空港発の便で帰国の予定。
 今日の予定は、ヒースローのホテル(ホリディインロンドンヒースロー M4 JCT 4)を午前8時15分に出発。午前がロンドン市内観光。午後は自由行動。

○ロンドンの観光名所はすでにたくさんの写真で日本でもみんなに知られている。国会議事堂の時計ビッグ・ベン、ロンドン塔、タワーブリッジ、ロンドン橋(なんの変哲もない橋)、ウェストミンスター寺院、セント・ポール大聖堂、バッキンガム宮殿をバスの窓から。バッキンガム宮殿は降りて写真を撮ったりした。それからテムズ川の水。昼食は、イギリスの代表的な料理フィッシュアンドチップスを食べたが、これはフリーメイソンの建物の近くにある。「フリーメイソン」と聞くと、不思議な気分になる。昼食後、ロンドン三越で40分ほど買い物。その後自由行動。キュウガーデンに行くことにした。三越があるところは、ピカデリーサーカス。このピカデリサーカスから、地下鉄(チューブと愛称されるが)でキューガーデンまで行く。ロンドン市内から3、40分。ピカデリー線のハンマースミス駅まで行き、そこからリッチモンド行きに乗り換え、キューガーデン駅で降り、徒歩15分ほどで、キュウーガーデンに着く。駅からほぼ真直ぐな道だ。

 キュウガーデンでは、時間があまりないので、まず温室を見学。温度は28度Cに設定され、水蒸気をふかしているところもある。アフリカ、オーストラリア、などと分けられそこの熱帯植物が沢山集められている。いちいち名前を確認して写真をとることもできないので、よいと思ったものを次々に映した。日本で観葉植物として売られているものも多く見かけた。日日草などはアフリカの花である。胡蝶蘭は見事。温室の地下は水生植物や海藻などもあり、魚もいる。これはさすがと驚いた。
 温室の後は、オニバスを見ようとウォーターリリーハウスに入ったが、運よく、水連の見ごろで、色とりどりの花が咲いていた。黄色、ピンク、紫、白など。日本で見かけるのと違って、花が大きい。茎も水の上に出て、やがて倒れて花が水に浮くようだ。蓮の花があったが、これに注意書きがあり、これは睡蓮ではないのだと書かれてあった。
 温室を見たあと、なんとか伯爵公園、とか薔薇園を見る。もっと奥へゆくと宮殿があるのだが、そこに行く時間はない。薄の類を集めたとろこがあり、チカラシバまであった。歩けば、野菊、ほととぎす、日本の楓もある。ガチョウだろうか芝生に飼われて糞に気をつけながら歩いた。芝生には、マーガレットより小さい野菊ほどの白い花が芝に埋もれるように、日本でいえば、蒲公英のように咲いている。見学のあとショップでこの花を周りにあしらった写真立てを句美子が買った。三越集合が5時45分なので、4時半過ぎにキュウガーデンを後にした。キュウガーデンの駅にも咲きほどの白い小花のイラストが描かれてかわいいえきであった。苗や球根を売っている店も駅前にはいろいろあった。
 夕食は、三越近くの中華料理。夕食後、ヒースローのホテルへ向かうが、ハロッズがデパートの建物を小さな電飾で飾っていた。添乗員さんも初めて見たとのことである。ハロッズはロンドンシティのはずれにある。シティを出れば一路ヒースローのホテルへと走った。夜は帰宅の準備となって、カッスル・クームで拾った栃の実を残念ながらゴミ箱へ捨てた。

 ▼大英博物館
 http://www.ll.em-net.ne.jp/~noritake/Kaigai/01London/Museum/bm.htm
 ▼バッキンガム宮殿
 http://ameblo.jp/his-london/entry-10314961810.html
 ▼国会議事堂
 http://home.h07.itscom.net/minori/england/england8/england8.html
 ▼ウェストミンスター寺院
 http://www.tokotabi.net/overseas/uk08/london4-3.html

◇生活する花たち:ロンドン・キュウガーデン

9月29日(木)

○イギリス・俳句の旅第4日9月22日

 バイブリーへ
 すじ雲の刷かれ羊の朝の牧
 秋朝日尖塔一つ霧に立ち
 牧場も街もくまなく秋朝日

  バイブリー
 水澄んで白鳥ふうわり流れくる
 白鳥の一羽がふうわり流れ来る
 白鳥に後れ黒鳥流れ来る

  ボードン・オン・ザ・ウォーター
 秋夕日羊にそれぞれ影生まる
 クリームティー娘とゆっくりと秋の昼
 秋の昼ポッタリーにしばし居る

  ストラトフォード・アポン・エイボン(シェイクスピアの生家)
 秋晴るる日射し庭の花々に
 小さき窓開け秋気を寝室へ 

 今日の観光は、バーミンガムのホテル(パークインバーミンガムウェスト)を午前8時(日本時間午後4時)に出発し、午後6時にホテルに戻る。午後にシェイクスピアの生家を訪ねるので、楽しみ。

 バイブリー
 コッツウォルズ地方と言えば、日本ではバイブリーの景色がなじみとなっている。この町は世界一きれいな町として、実際ここに住んだウィリアム・モリスが言っている。彼は町の保存に力を尽くしているが、もとはウールで栄えた町だった。産業が下火になり、家を建て替えたりする資金がなく、昔のままが保存されたということである。家は、近くで多く産出されるライムストーンという砂岩で出来たブロックを積んで造られて、独特の風合いとなっている。小川も大変きれいで、ウールで栄えたころの教会がある。ライムストーンは、湿度や気温などその土地によって、変色がさまざまであるそうだ。花が家を飾り、これが普段の人々の生活そのものであることに驚かされる。教会のとなりに小さな小学校があるが、しずかに授業をしている声が聞こえた。乗用車がひっきりなしに通るのも不思議なほどだ。
  
 ボードン・オン・ザ・ウォーター
 ボードン・オン・ザ・ウォーターは、町を浅い川がながれ、川のほとりは、芝生が植えられベンチが置いてある。川に六本橋がかかっているが、二〇歩ほどで渡れる橋だ。観光にきた老人も多く、町の人に交じってゆっくりお茶を楽しんでいる。ここのティーハウスで、お昼前だったが、クリームティーを句美子と楽しんだりした。クリームティーは、紅茶とスコーンのセットを楽しむお茶のことで、スコーンにジャムとバタークリームが付いて供された。アールグレイを頼むとゆったりとしたティーポットに入れてきてくれた。
 お茶のあと、観光街を外れてあるいていると、「ポッタリー175ヤード」の小さな標識があったので、そのポッタリーをさがして歩いた。ヤードはたぶん、「ひとひろ(両手をのばした長さ)」ではなかったかと、思いつつ歩くと間もなく見つかった。
店に入って驚いた。益子焼とバーナードリーチの作品に非常に似ている。なにかそういう影響を受けたのかと店の女主人に聞くとそうだという。彼女も芸術家で彫刻と絵付をしている。主人が焼いている。ミルクピッチャーを一つかった。益子焼に似ている。彼女によれば、浜田庄司の湯呑をひとつもっているとのことだった。パンフレットにはリーチイーストセンターでご主人が勉強したと書いてあった。近くで産出されるこれもライムストーンを使っているようであった。モリスにしろ、リーチの影響を受けたご主人にしろ、思ってもみなかった縁がここにあることに、驚かざるを得なかった。

 ストラトフォード・アポン・エイボン
シェークスピアの生家を訪ねる前に、妻のアンの生家を訪ねた。趣のある藁ぶき屋根の家で庭には当時植えられていたであろう花がいろいろ植えてあった。屋根には小さな金網を掛けてあり、小鳥が巣づくりで藁を抜いていかないようにするためと聞いた。
シェークスピアの生家は、街のなかにあり、写真で見るより小さかった。シェークスピアが生まれた両親の部屋なども見たがベッドもずいぶん小さい。大きくなると、背に大きな枕当てて、半身を起して寝たようだ。体を伸ばして寝ると死んだように見えるからとも言っていた。暖炉があり、冬は湿った薪を焚くので、部屋は煙りがもうもうとなり窓を開けて寝たとも。そのために、ナイトキャップが必要とされたそうだ。父親は皮職人だったので、皮手袋をぶら下げて売っていた部屋もあった。今は裏庭に秋のはなが咲き乱れていたが、トサツ場であったようで、牛の骨が見つかっている。ドラマ仕立ての説明があったが、ドラマティックに仕立ててあって、演劇の素地がこの街にあることを十分に感じた。著名演劇人に交じって日本人では黒沢明の写真が1枚あった。
この街の中学生や高校生をバスが停車しているとき見たが、日本人とわかると、「こんにちは。」と声をかけてくる。日本の普通の中学生と変わらない。明るい雰囲気のする街であった。シェークズピアが眠る教会を訪ねたが、アプローチに12使徒を表す菩提樹が12本両脇に植えてあった。エイボン川の流れが静かであった。

 ▼バイブリー
 http://www.geocities.jp/sjwatabe1/Cotswolds.html
 ▼ボードン・オン・ザ・ウォーター
 http://www.kosaiji.org/~eisai/England/Cotswolds/index.htm
 ▼ストラトフォード・アポン・エイボン(シェイクスピアの生家)
 http://www.stratford-upon-avon.co.uk/static_1166.htm

◇イギリス俳句の旅「バイブリー・バイブリー・ストラトフォード・アポン・エイボン」

○イギリス・俳句の旅第5日9月23日

  カッスルクーム
 教会の秋ばら色も白がちに
 朝霧に日が散り馬の立ちつくす
 栃の実のかがやき拾いポケットへ

  バース
 ローマの温泉(ゆ)深くのぞきて秋の旅
 バースの街の道を伝いて秋日燦

 カッスルクーム
 カッスルクームは、コッツウォルズ地方なのだが、観光は翌日にまわりバースへ行く前に寄ることになった。駐車場でバスを降りて、谷へと森の坂道を15分ばかり下ったところにある街で、50メートルも歩かないうちに尽きてしまうような小さな町である。30件ほどの家があろう。バイブリーよりもずっとしっとりとした町で、町の中心にはマーケットクロスという十字架のあるお堂風の建物がある。ここで市を開いてよいという許可の印ということであった。ボードン・オン・ザ・ウォーターにも、マーケットクロスがあり、こちらが7,8メートルの塔でてっぺんに十字架があった。われわれは集合場所の目印にした。
 カッスルクームもウールで栄えた町で教会がある。かわいい教会で、入口や祭壇はもちろんのこと、教会に集まる人たちの席のわきにも、ブーケの薔薇がそれも生花がそれぞれに活けられてあった。四角な箱様の足置が置かれていたが、一つ一つクロスステッチの刺繍がされている。信者たちが作ったのであろうが、やさしく、かわいらしいものばかりである。ステンドグラスも小花がちりばめられて、かわいくやさしい印象である。この教会も町には不似合いなほど立派で、ウールの財によって造られたので「ウール教会」と揶揄されて呼ばれている。イングランドには、あちこちに「ウール教会」がある。
 カッスルクームも人々が普通に暮らしているが、秋の草花がきれいに咲いている。家の壁とよく似あって、絵本のような町である。ピンク色の貴舟菊が咲き乱れ、しゅうめい菊もあった。窓にもそれぞれに花を飾ったり、ハンギングバスケットを下げたりしている。真黒に熟れた葡萄が窓を飾っている家もある。庭としは決して広くない。日本の普通の家にある庭ほどであるが、見事なセンスで花をまとめ上げている。近所との調和も忘れていないのだろう。イングランドに花が多いのは、気候のせいも大いにあるだろうと思った。5月ごろから咲く花が9月の終わりになってもまだ咲いている。盛りのときとは色も変わり、姿も衰えているが、それはそれで、いい風情なのである。盛りを過ぎた花と、今を盛りの花がうまく混ざり合って、絵画的な色彩となっている。貴婦人の衣装を思わせるようなところもある。
 一緒に来た日本人で教会に入ったのは私と句美子のほかは、二人ぐらいであったと思う。時計の仕掛けを硝子張りで見せていた。教会の小さな墓地をよぎると出口があるのでそこから出て、十歩ほど歩き車の通る道に出た。出たものの、そこは、マナーハウス(領主の館)の敷地のようであった。緑の芝生がきれいに手入れされて広がっている。パラソルがひとつ立ててある。その敷地を囲んで農機具のようなものを置いている家が何件があったが、どうも芝刈り機のようである。マナーハウスには、宿泊客以外は入れないが、しかし、どこから出ればよいものか。うろうろしているうちに、マナーハウスの敷地からは出たようだ。喫茶店も家具屋もあるがしずかで、歩いている住民らしい人はだれも見かけなかった。車は通って行ったが。家は思ったより小さく、日本の家がウサギ子屋と笑われるほどでもないと思えた。しかし、丁寧にしずかに、おろらくこころ豊かに暮らしている。カッスルクームはバイブリーよりもしっとりと落ち着く谷の底にある町であった。

 バース
 世界遺産に登録されたバースは、ローマ浴場跡が楽しみ。ヨーロッパのあちこち、イギリスにも、ローマ人がやってきた遺跡がある。バースは、予想以上の大きい都会であった。バースの町は、中世の作家チョーサーによる「カンタベリー物語」に出てくるバースの女房で初めて知ったのであったが、陽気で善良な(good)な女房である。その印象そのままに陽気な街でミュンヘンの町の雰囲気もあった。教会の広場では楽器を演奏したり、歌ったりして人を楽しませていた。人が入れ替わり演奏するのである。どら焼きのよう大きな金属で出来た楽器を二人で演奏していた。それを小学生が教師と親に引率されて見に来ていた。バースではローマ時代の浴場があるが、見学すると1時間以上かかる。一部分見えるところがあるのでそこから浴場を見物した。黄土色の石、まさに「ローマの色」の浴場の白緑色の水がたまってあった。現在は使用されていなく、温泉水だけを売って飲ませている。あまり美味しいものではないらしい。1時間以上かかるところを15分ぐらいで住ませたので、句美子と教会とバースの街を見物して回った。教会の内部の建築は垂直様式。真直ぐ白柱が天井まで立って、天井で花が開くようにパッと開いて優美である。柱ごとにそうなっている。見物していると高いところから赤い洋服の老人が降りてきたので、そこから上へあがれると思ったが違っていた。彼女の右手には水差しがあった。花に水を差しに上っていたようだ。教会も人々の奉仕で賄われている。入場料は無料だが、寄付を2,5ポンドほど求められる。女性の司教?がパンフレットを渡してくれた。
 バースの街の繁華街は本屋やファッションの店が並んで、花屋が道にテントをはっている。リューマチの病院があったり、さすが温泉街である。商店街を上り詰めると50メートルくらいは続いている一つの建物があったりする。どれも古く、横道にそれれば、落葉がからから転がり、ろくに掃除のしていないところもある。偶然にも「ジェーン・オースチンセンター」の小さな建物出くわした。センターといってもショップなのである。入ってみると「自負の偏見」の小説をはじめ、彼女の本を売っている。レースばかりのパラソル。レースの扇も売っている。そこでは買うほどのものはなく、また街をやたらと歩き、教会の塔を目指して、もとの場所に帰った。

バース観光後は、約165km南に離れたヒースローへ。明日は、イギリス旅行最後のロンドン観光。そこでは、大英博物館がメインとなる。

 ▼カッスルクーム
 http://homepage3.nifty.com/E-RoseCottage-Garden/page020.html
 ▼バース:
 ①http://www.linkclub.or.jp/~kiki/omake/bath.html
 ②http://www.romanbaths.co.uk/

◇イギリス俳句の旅「カッスルクームの街・カッスルクームの教会内部・バース」

9月28日(水)

○イギリス・俳句の旅第3日9月21日

  リバプールへ
 秋草の朝日にそよぎリバプールへ
 牧の草秋草なれば黄の花も
 九月の牧遠く羊が草食める
 青草も露の草なり牧牛に
 露けくて牧の草色みな深し

  リバプール
 聖堂を出でて仰げる秋の空
 リバプール街は雑多に落葉あり 

  チェスター
 チェスターに王女迎えて秋晴るる
 城塞を歩むと黄葉の樹に触れぬ 
 
  トトレヴァー・ポントカサルテの水道橋
 黄葉はじまる水道橋の高さにも

 今日の予定は、チェスターのホテル(ホリディインチェスターサウス)を午前8時(日本時間午後4時)に出発し、午前はリバプールとチェスターを観光。午後はトレヴァーへ。水道橋と運河を観光。観光後、午後3時、約120km南のバーミンガムへ向かう。バーミンガムのホテル(パークインバーミンガムウェスト)到着は、午後5時(日本時間22日午前1時)。イギリスでの移動は、すべてバス。

○リバプールは、宿泊しているチェスターから近い港町。それもそのはず、チェスターが港として栄えていたが、港が流れ込む砂で浅くなって使えなくなったため、リバプールが港として使われるようになった。チェスターの港であったところは、競馬場となっていた。
リバプールはビートルズの生まれた街としても有名だが、リバプール大聖堂もあり、降り立っただけでも街の風景に活気が感じられる立体的な街だ。ここでの観光はリバプール大聖堂であったが、聖堂の回廊などを歩くことができた。祭壇のステンドグラスなは、どの教会にもあって、ステンドグラスがなければ、天からの光がとどかないので、信仰心にも影響を与えるだろうと不謹慎な思いもしないでもなかった。この聖堂は、庶民のくらしに入っているようで、ハート型の10センチ足らずの紙に、「息子がよくなりますように!」などと書いて、チャンドルスタンドに似たツリーのようなものに、たくさんかけられていた。聖堂のなかには、ブックストアと称して、観光客用に文房具やカレンダー、ビートルズのCDなと実にいろんなものが売られたいる。教会の回廊を歩いていて、冷たい感じがしないのが不思議だ。この街の素地がビートルズを生んだとも言えるのだろう。リバプールの聖堂で、カレンダーやボールペンを買って次の観光地チェスターへ向かった。

○チェスターの市庁舎近くでバスを降りると、楽隊の音楽が聞こえ、人だかりがしている。やがて、目の前を兵隊の楽隊が行進してきた。楽隊も楽しいが、きょうはアン王女がチェスターに着ておられ、間もなく市庁舎のバルコニーにお出ましになるということで、ローマ時代の遺跡の城塞の見学そっちのけで、みんなで王女の登場を待った。登場までには、まだ20分ほどあるというので、句美子と二人、城塞を見に出掛けた。街を歩いて城塞へ上る階段を見つけたので上ると市内が見渡せた。城塞の外側の街と内側の街がよく見える。ハーフチンバーという木組みの家が美しい。世界で最も美しい街の一つだという。黒い木の部分と、壁の白いところが半々なのだそうだ。建築材料の木が不足するようになり、この建物が造られなくなったそうだ。外観は昔のままに保たれているが、中は改装されてモダンな商店街になっている。ローズという回廊のような部分があって、人はここを行き来して買い物を楽しむ。特殊な建築様式である。城塞の上で通りがかりの人に黄葉の美しい木の名前を尋ねたが知らないという。代わりにここを降りれば教会の庭に出るからと教えてくれた。その通りに行くと、教会の庭も出た。ふいにりすが二匹姿を見せたので、カメラを向けたが、映ったの尻尾だけであったかもしれない。城塞と街を見物して、集合場所にもどると、運よくすぐに王女の登場となって、これも記念にカメラを頭上高くあげてカンを頼りにアン王女を映した。遠くであったが、赤い洋服を着た王女が確かに映って安心した。イギリス国民に人気のある王女だそうだ。これも記念となった。

○ポンテカサルテの水道橋は、運河となっていて、そこを「ナロウボート」という細長い観光船が行き来している。ボートには菫の鉢植えなどをきれいに飾ってある。橋の上ではボートはすれ違えないと思うほど狭い。幅は4メートルぐらいだろう。

 ▼港湾都市リバプールは、ザ・ビートルズ誕生の地として名高い:
 http://www.visitliverpool.jp/
 ▼チェスター:
 http://urara-y.at.webry.info/201007/article_10.html
 ▼トレヴァー・ポントカサルテの水道橋と運河
 http://yukainatousan.blog2.fc2.com/blog-entry-609.html

◇イギリス俳句の旅「トレヴァー・ポントカサルテの水道橋と運河」

9月27日(火)

○イギリス・俳句の旅第1日9月19日

  ヴァージン・アトランティック航空機にて成田出発
 アテンダントの眸は水色よ秋の旅

  ロンドン・ヒースロー空港へ降下
 ロンドンアイ翼下に入れて秋晴るる

  チェスターのホテルへと高速道路をはしる 300kmほど
 薄紅葉ウィンザー城を浮かばせり
 九月の牧羊ら遠く草を食む
 やわらかき羊散らばる秋の牧
 行けど行けど九月の牧の草青し

  サービスエリア
 イギリスの地上に買いし林檎とジュース

  ホテル
 窓枠の白きホテルに秋の草
 木の実赤し今夜のホテルの二階建て
 牧草の秋の匂いか黄昏れぬ 

 出国
 朝7時前、イギリス旅行へ、娘の句美子と横浜の自宅を発つ。娘に誘われての旅である。20年ほど前の家族4人でのドイツ旅行が思い出される。1990年に家族でドイツ旅行をした。二十一年の歳月が流れ、六歳の句美子は9月3日に二十八歳になった。信之先生は、留守番役。帰国は、9月26日の予定。
 午前11時30分成田空港発のヴァージン・アトランティック航空0901便でロンドンへ発つ。アテンダントの制服は真赤なスーツ。金髪と水色の目が引き立つ。乗る早々機長のクリスピーな英語と、アテンダントの切れ目のない英語に、いささか驚く。12時間ほどの旅を快適にするために、句美子が、エアクッションとネックピローを用意してくれたのと、座席の羽毛クッションのおかげで、乗り物酔いにもならず、よく眠れて、時差ぼけもなくヒースローの空港に着いた。

宿泊は、ロンドンから北へ314km離れたチェスターのホテル。リヴァプールの近くです。翌日からの行動効率を考えて、できるだけ近くに泊ることになった。

▼チェスター:
http://urara-y.at.webry.info/201007/article_10.html

◇イギリス俳句の旅「アン王女歓迎の市庁舎・木組みの家・ローマの要塞」(チェスター)

○イギリス・俳句の旅第2日9月20日

  ホテル ホリディインチェスターサウス
 霧雨が窓に伝いて夜が明けし
 着重ねてまず卵から朝ごはん
 
  ブロンテ姉妹が住んでいたハワースへ
 「嵐ヶ丘」はここかと秋冷まといつつ
 あじさいの枯れし水色牧師館

  ハワース最古の建物パブのブルハウス ブロンテの兄がよく通った
 飲み浴びし古きパブとや村は秋
 ヒースの丘をはるかに秋の雲増える

  ブロンテ一家が眠る教会
 ステンドグラス透けし光の秋湿る
 秋冷に眠り深きやブロンテ一家
 村の丘に立てば秋風巻いて吹く
 栃の実や村の墓石のうすみどり

  ハワースから湖水地方のウィンダミアへ ウィンダミア湖遊覧
 白鳥に寄せて波打つ湖の水
 秋風の湖の向こうに暮らしの家
 秋風にスワン吹かるる岸辺かな

  ウィンダミア ベアトリックス・ポッター資料館/ピーターラッビトの作者ベアトリックス・ポッターが住んだ家
 秋の森となってうさぎの目の丸し
 母といれば娘は幼かりうさぎ見て
 マクレガーの畑に赤かぶ秋のもの
 マクレガーの畑生き生き露けくて

○ハワースは、イングランド北部にある小さな町で、エミリー・ブロンテの「嵐が丘」の舞台となったところです。ハワースでは、雨が雫のように降って、湿っぽい風が荒いわけではないけれど、逆巻くような吹きかたをしていました。ブロンテ一家の住んだ牧師館の裏庭に回るとまだあじさいなどが水色の微妙な色合いになっており、夏の間咲いていた花も咲き残っていました。湿ったような風が印象に残り、「嵐が丘」
のストーリーを彷彿させるものがあります。この地にあってこそ生まれた「嵐が丘」と思いました。
当時の平均寿命が30代ということで、ブロンテ家の人たちも牧師の父を除いて30代で亡くなっています。気候と、土葬の習慣がそうさせたとも思えますが、そら恐ろしく感じました。

 ▼ハワース/19世紀の作家ブロンテ姉妹の故郷:
 http://britannia.cool.ne.jp/travel/2006/01_haworth.html
 ▼湖水地方・ウィンダミア湖:
http://www.tabizora.net/travel/03_england/

◇イギリス俳句の旅「あじさい・村」(ハワース)、「ベアトリックス・ポッター資料館」(ウィンダミア)

9月26日(月)

★もろこしのつめたさつまり露の冷え  正子
玉蜀黍の収穫期です。朝晩には気温が下がり、とくに朝露に濡れた実を取り入れるときには冷たさが実感されます。苞皮の下の実の一粒ひと粒に露がぎっしりと詰まっているかのような気がします。 (河野啓一)

○今日の俳句
大豆干す丹波篠山空青し/河野啓一
丹波篠山は、大粒の丹波の黒豆でよく知られる。収穫した大豆を青空の下の干す光景は、丹波篠山を象徴する風景。「丹波篠山」の語の響きもよい。(高橋正子)

○イギリス・俳句の旅最終日9月26日(月)
 帰国
昨日25日(日)午後1時45分(日本時間午後9時45分)発のヴァージン・アトランティック航空0900便に搭乗し、ロンドン・ヒースロー空港を離陸、帰国の途へ。
 日本時間午前9時30分、成田国際空港着。所要時間11時間45分。

  ロンドン・キュウガーデン
 睡蓮の花いろいろに水を出る  正子

 日本時間の26日に、予定より少し早く成田に着き、午後1時前に自宅に帰りました。今年のイングランドの秋は、温かく、傘、レインコートを使うことなく、晴れた日に恵まれました。チェスターではアン王女に、大英博物館ではキャメロン首相の一家の姿も見ましたので、ラッキーな旅でした。俳句と写真はこれから追々整理してゆくつもりです。ともかくも、無事帰国したことをご報告します。 

◇「睡蓮(waterlily)」(ロンドン・キュウガーデン/イギリス俳句の旅)

9月25日(日)

★鉦叩いつも奥から遅れつつ  正子
鉦叩の虫の音は澄んでいて、まるで鉦を叩くようなリズムで涼しげです。それほど大きな音ではなく、他の虫の音にかき消されてしまうほどです。かすかな美しい鉦叩の虫の音を「奥から遅れつつ」と詠まれ、耳をすませて聴きいるやさしさが感じ取れました。(後藤あゆみ)

○今日の俳句
入日燦さざめく稲穂の匂い濃し/後藤あゆみ
稔田の稲はそよ風を受けてさざめいている。そこへ入日が燦と照り映え、熟穂の匂いが濃くただよう。充実感のある美しい稔田の風景。(高橋正子)

○イギリス旅行

 帰国の途へ。
 ヒースローのホテル(ホリディインロンドンヒースロー M4 JCT 4)を午前9時45分(日本時間午後5時45分)に出発し、ヒースロー空港へ。午後1時45分(日本時間午後9時45分)発のヴァージン・アトランティック航空0900便に搭乗、帰国の途へ。明日26日(月)日本時間午前9時30分、成田国際空港着の予定。所要時間11時間45分。機中泊。 

 ロンドンヒースロー空港:
 http://4travel.jp/traveler/bigwell/album/10337071/

◇「睡蓮(waterlily)」(ロンドン・キュウガーデン/イギリス俳句の旅)

9月24日(土)

★虫の音に窓のいよいよ暗くなる  正子
夕刻に虫の音を愉しむ季節を迎え、しばらく経ちました。お彼岸ともなれば、すっかり日暮れも早くなります。虫が鳴き始め、窓を見るともう暗い。秋が深まる寂しさと、これからの長い夜、ゆっくり虫の声を聞きながら、夜なべに精出そうという気持ちが合わさって、少し切なくなるようです。(川名ますみ)

○イギリス旅行

 今日は、今回のイギリス旅行の最後の観光となる。明日、ロンドンヒースロー空港発の便で帰国の予定。
 今日の予定は、ヒースローのホテル(ホリディインロンドンヒースロー M4 JCT 4)を午前8時15分に出発。午前がロンドン市内観光。午後は自由行動。メインは、大英博物館。

 観光予定地:
 ▼大英博物館
 http://www.ll.em-net.ne.jp/~noritake/Kaigai/01London/Museum/bm.htm
 ▼バッキンガム宮殿
 http://ameblo.jp/his-london/entry-10314961810.html
 ▼国会議事堂
 http://home.h07.itscom.net/minori/england/england8/england8.html
 ▼ウェストミンスター寺院
 http://www.tokotabi.net/overseas/uk08/london4-3.html

○今日の俳句
白芙蓉の角を曲がりて海一面/川名ますみ
白芙蓉と海の鮮明なイメージに、心が広がる思いがする。海辺の澄んだ秋。(高橋正子)

◇「花を飾る家」(イギリス俳句の旅)

9月23日(金)

★月明の寺に湯浴みの湯をたまわり  正子

○今日の俳句
男郎花其処から見える村一つ/下地 鉄
男郎花は小高い丘に咲いているのだろう。そこからは村が一つ見える。句に物語がある。(高橋正子)

○イギリス旅行

 今日の観光予定は、バーミンガムのホテル(パークインバーミンガムウェスト)を午前8時30分(日本時間午後4時30分)に出発し、約161km南に離れたバースに向かう。世界遺産に登録されたバースは、ローマ浴場跡が楽しみ。ヨーロッパのあちこち、イギリスにも、ローマ人がやってきた遺跡がある。バース観光後は、約165km南に離れたヒースローへ。明日は、イギリス旅行最後のロンドン観光。そこでは、大英博物館がメインとなる。

 ▼バース:
 ①http://www.linkclub.or.jp/~kiki/omake/bath.html
 ②http://www.romanbaths.co.uk/

◇「花を飾る家」(イギリス俳句の旅)

9月22日(木)

★満月にさっぱり草の刈られたり  正子
きれいに刈り取られた草々に、満月がいっそう清く仰がれ、澄み渡る満月の夜を感じさせてくれます。そのさやけさに、すっきりと際やかに満月の美しさが浮き彫りにされます。(藤田洋子)

○今日の俳句
湯のはじく乳房の張りよ夕月夜/藤田洋子
生命を産む母体の尊厳と美しさをあまさず伝えていて衒いがない。衒いのなさは、ある意味、少年ぽさなのかもしれない。(高橋正子)

○イギリス旅行

 今日の観光は、バーミンガムのホテル(パークインバーミンガムウェスト)を午前8時(日本時間午後4時)に出発し、午後7時にホテルに戻る。11時間の観光は、かなりハードだが、午後にシェイクスピアの生家を訪ねるので、楽しみ。
 今日の観光地:
 ▼カッスルクーム
 http://homepage3.nifty.com/E-RoseCottage-Garden/page020.html
 ▼バイブリー
 http://www.geocities.jp/sjwatabe1/Cotswolds.html
 ▼ボードン・オン・ザ・ウォーター
 http://www.kosaiji.org/~eisai/England/Cotswolds/index.htm
 ▼ストラトフォード・アポン・エイボン(シェイクスピアの生家)
 http://www.stratford-upon-avon.co.uk/static_1166.htm

◇「花を飾る家」(イギリス俳句の旅)

9月21日(水)

★パイプ椅子天の川へと向け置かれ  正子
松山にお住まいの頃の御句でしょうか。天の川を仰ぐことができるほど、星空が澄んでいるとは素晴らしいですね。星空を眺める至福のひとときです。ロマンティックな銀河とパイプ椅子という組み合わせが面白いと思いました。(後藤あゆみ)

○今日の俳句
烏瓜まだ青あおと縞があり/後藤あゆみ
烏瓜は、熟れると朱の実に縞がうっすらと見えるだけになる。青いうちは、縞がはっきりとして、青い実もまたよいものである。(高橋正子)

○イギリス旅行
 今日の予定は、チェスターのホテル(ホリディインチェスターサウス)を午前8時(日本時間午後4時)に出発し、午前はリバプールとチェスターを観光。午後はトレヴァーへ。水道橋と運河を観光。観光後、午後3時、約120km南のバーミンガムへ向かう。バーミンガムのホテル(パークインバーミンガムウェスト)到着は、午後5時(日本時間22日午前1時)。イギリスでの移動は、すべてバス。

 ▼港湾都市リバプールは、ザ・ビートルズ誕生の地として名高い:
 http://www.visitliverpool.jp/

 ▼イギリス一美しいと言われるチェスター:
 http://urara-y.at.webry.info/201007/article_10.html

 ▼リバプール、チェスター、トレヴァー
 http://blog.k-plaza.com/blog/personal_blog_main.asp?mbr_id=mariamari&art_no=335630

◇「花を飾る家」(イギリス俳句の旅)