★聳え立つ枯木に空の青一枚 正子
真直ぐに立つ大きい木を想像します。よく晴れた青一枚の空に、来たるべき季節への力を蓄えているのでしょう。きっぱりとした冬の景色です。(黒谷光子)
○今日の俳句
麦の芽の畝くねりつつ交わらず/黒谷光子
麦の芽が黒い土に芽生えると、色彩的にもうつくしい。整然とした畑ではなく、畝もくねっているが、決して交わらない。真を得ている。(高橋正子)
★聳え立つ枯木に空の青一枚 正子
真直ぐに立つ大きい木を想像します。よく晴れた青一枚の空に、来たるべき季節への力を蓄えているのでしょう。きっぱりとした冬の景色です。(黒谷光子)
○今日の俳句
麦の芽の畝くねりつつ交わらず/黒谷光子
麦の芽が黒い土に芽生えると、色彩的にもうつくしい。整然とした畑ではなく、畝もくねっているが、決して交わらない。真を得ている。(高橋正子)
★水鳥を見ていて一つが潜りけり 正子
これまで静かだった池が急に賑やかになる。渡り鳥の到来です。その泳ぎをゆっくりと眺めていると、急に一羽が首から水に潜る。その突然の変化、自然の営みが可笑しくまたいとおしく思われます。 (小西 宏)
○今日の俳句
欅立つ落葉きらめく陽の中に/小西 宏
情景がよく整理されている。陽を受けてきらめきながら散る落葉。その中心に黄葉した大きな欅の存在が示されている。(高橋正子)
鎌倉・宝戒寺
★内陣のひがし明るき白障子 正子
内陣とは、本尊を安置する本堂のこととか。そのひがし側には白障子が設えられ、うす暗い本堂に明るさと清々しさをもたらしている様子が窺われるように思います。(小川和子)
○今日の俳句
ソウル
風寒き河辺に立てば吾は旅人/小川和子
ソウルの河辺は特に風の寒さが身にしみる。寒さが旅の身であることを意識させる。(高橋正子)
○花冠各賞の授賞式、コンテストの表彰式、洋介さん句集出版祝賀会と一度に行うが、その準備が整った。当日荷を持ち運べはよいだけにしておいた。お祝いに治代さんからお茶、恵子さんから、奄美の焼酎が送られてくる。治代さんはお菓子を明日届くように送られたとのこと。啓一さんは、急に冷え込んだせいか、風邪ぎみの様子でいらっしゃるが。
○よい天気で、授賞式の準備も整ったので、近所の散歩に信之先生と出かけた。日吉本町5丁目の広い屋敷林を見たり、公園の紅葉を見るだけの予定だったが、ついに足を山の上の日吉本町6丁目、それに続く公団の立ち並ぶ下田町まで歩いた。下田町から日吉駅行きのバスに。日吉東急で、辛子明太子を買い、アイスクリームを食べて徒歩で帰宅。途中、桜紅葉が大分散ってしまった金蔵寺に寄る。アイスクリームの話だが、近頃は、ホワイトミルクバニラというのがある。ミルクは、白いと思っていたが、実はオフホワイトだったのだ。それが、今は、ホワイトミルク。これが流行のアイスクリームでおしゃれな色です。
○おととい朝吹英和さんから、第三句集「夏の鏃(やじり)」が送られていていたのを、一通り読む。俳人で角川賞を受賞されている仲寒蝉さんの解説が栞としてはさんである。朝吹俳句の解説としてもっとも同感できるものと感じた。朝吹さんは、写真もないし、職業も生活も全くわからないが、三句集とエッセイ集を送っていただいている。
○郵便局に行く途中、道路の向こう側で、お出かけ中の老婦人が転ぶ理由もないようなのに転んだ。なかなか起き上がれなくて倒れたまま。そばを通ったおじいさんは、「大丈夫ですか」と言って通りすぎただけ。道路を渡って起こしあげると、利き腕が下側になって、痛くて力がはいらないので起き上がれないとのこと。転んだ理由は、歩きながら、靴のつま先をとんとんと突いたせいだという。はずかしがっていたが、そんな話ではない。
★落葉ふる空の青さのどこまでも 正子
冬晴の日に仰ぐ落葉。朱や黄や様々な色の葉が降る、その上空は透徹していて、どこまで青空が続くのだろう、と想います。ふと天に届きそうな心地にもなります。 (川名ますみ)
○今日の俳句
一棟をきらきらと越す落葉風/川名ますみ
落葉を連れて風がマンションの一棟を越えていった。きらきら光るのは、落葉も、風も。明るく、高みのある句だ。(高橋正子)
★冬菊のことに黄菊のあたたかし 正子
○今日の俳句
山の端は冬夕焼けにはっきりと/上島祥子
山の端をはっきりと見せる冬の夕焼け。一日を確かに終える、きっぱりとした気持ちが潔い。(高橋正子)
★眩しかり渚に並ぶゆりかもめ 正子
○今日の俳句
短日の灯をはや夕食の前に/迫田和代
だれでも気づいてはいるが、言葉になかなかできにくいところをずばりと捉えた。「短日の灯」が日常生活を詩と成した。(高橋正子)
★鴨泛かぶ池の青さのまっ平ら 正子
○今日の俳句
石蕗の花海に落ちゆくゆるき坂/成川寿美代
石蕗の花と海の色彩が美しい。海へと下るゆるい坂を歩きながら、気持ちが広く、ゆるやかに景色に溶け込んでいるのがよい。(高橋正子)
○ネット通信NO.84を出す。
花冠1月号の校正の案内。21日の花冠各賞授賞式・祝賀会の案内など。
○別府市の倉田紘文先生主宰の「蕗」の「俳誌巡礼」に「オンライン版花冠12月号」が紹介される。紹介くださったのは、蕗同人で、同人誌「少年」主宰の稲田眸子氏。オンライン版を1ページ全部使って丁寧に紹介いただく。稲田眸子氏は、愛媛生まれで、現在埼玉県三郷市に在住。1954年生まれ。
★枯草を踏みおり人に離れおり 正子
○今日の俳句
木枯しや対岸の灯の明らかに/小口泰與
木枯しが吹くと、空気中の塵が吹き払われて空気が澄んでくる。対岸の灯が「明らかに」なる。この灯の美しさに、人は魂のふるさとを思いみるだろう。(高橋正子)
○京成線の青砥駅近くに住む長男の社宅を信之先生と訪ねる。持参したのは、鯛めし、筑前煮、小さな串かつ、ささみと茗荷のレタスサラダ。それに、手焼きのクッキーと林檎。2時間ほど食事をして帰る。帰り道、青砥駅近くの杉戸せんべい店に寄る。おかきなど買って帰る。食してみれば、意外とおいしい。店の隅で、できたばかりの海苔巻きせんべいを手作業で袋詰めしていたので、普通のせんべい屋さんかと思いきや、ネットで検索すると、下町のせんべい屋として有名で、通販もある。とくに揚げおかきが有名らしい。通販は12月1月とお休みとのこと。200種類のほどせんべいがある。
○青砥まで日吉本町から2時間以上かかった。日吉本町→日吉→目黒→日暮里→青砥
日暮里を出ると、下町の風景。日暮里から二十分ほどで青砥に着くが、自宅から延々辿った感じであった。
松山持田
★入学せし門は閉じられ冬紅葉 正子
○今日の俳句
花土を購いおれば冬ぬくし/黒谷光子
花を植えようと、花土を買っていると、冬なのに暖かいことよ。ふかふかの土に花もよく育つことであろうと、思いが走る。「冬ぬくし」の温かみがよく伝わってくる。(高橋正子)
○毎日新聞社の隔月刊行俳句雑誌「俳句αあるふぁ」の2010-11/12-1月号に信之先生の俳句が掲載され、雑誌が送付された。
光の歳時記で、1月7日の句として掲載。<わが影の付き来て楽し寒き日も/信之>の句で、コメントは「光があれば、必ず影があります。歩くと、どこまでもついてくる自分の影。それだけで楽しく、心あたたまる気分になります。どんなに寒い日であったとしても。」俳句の通りの、ひとつも余計な解釈がありません。たしかにその通りのコメントをいただいています。
後記
★あけましておめでとうございます。本年も
よろしくお願いいたします。今年は卯年。う
さぎは福を招き、飛躍を期待する意味がある
ということです。花冠と誌名を変えてから三
年目となり、「花冠」と言う名前も次第に皆
様に馴染んでいただけるようになったかと思
います。卯年にあやかり、飛躍を期待いたし
ます。
★一月号ということもありまして、信之先生
が生涯に渡って研究されてきた文学について、
「私の文学」として、わかりやすくまとめて
いただきました。信之先生は、ドイツ文学者
ですが、文学研究の方法は独特で、現代文学
の果たす使命を考えられて、これまで様々な
実践行動をとってこられました。ホームペー
ジ「インターネット俳句センター」もその一
つですが、本文の終わりに示された論文項目
は、ネット上で閲覧できますので、お読みく
ださい。
★「俳句の風景」を連載していますが、お読
みになっていかがでしょうか。花冠には、全
国からご参加いただいて、それぞれお住いの
、それぞれの生活周辺から生まれた句をご投
句いただいております。美しい景色や、思わ
ぬ句の背景を知ることも愉しいことです。
★花冠同人の皆様が実行委員としてご活躍い
ただいた第十九回インターネット俳句コンテ
ストは、十月二十日の入賞発表、それに続く
賞状賞品の発送をもって、無事終了いたしま
した。一般の部、また子ども俳句の部でも好
成績を収められ、おめでとうございます。ご
協力ありがとうございました。
★私はと言えば、十月二十一日に全国俳誌協
会主催の「第一回編集賞授賞式・祝賀会」に
都内の会場でしたので、池田加代子さんと出
席しました。その詳しい報告は本号の加代子
さんの文章でお読みください。花冠は、今年
は応募いたしておりませんでしたが、全国八
百誌ほどある俳誌から、応募は十誌でした。
編集賞一誌、特別賞二誌が選ばれました。会
場で祝辞を、と突然指名されましたのであわ
てましたが、難もよい機会と思い、ネット時
代に果たす「本」の役目について祝意を申し
上げつつ、花冠やインターネット俳句コンテ
ストのことなどを話しました。全国数ある俳
誌のなかでも花冠は特異な立場であることを
ご出席の皆様の表情や雰囲気から感じ取りま
した。ご自分の俳句に誇りをお持ちになって、
ますますのご健吟をお祈りいたします。
(正子)