10月11日(月)

★鵙の声青空あればどこからも  正子
鋭いとも言える鵙の声がしきりに聞こえてきます。活力ある鵙の声に、よく晴れた青空がいっそう明るく生き生きと感じられ、気持ちのよい鵙日和です。(小川和子)

○今日の俳句
手折りきし穂芒水にはや長ける/小川和子
「水にはや長ける」の新鮮な感覚がよい。穂芒を折取ってきて、つややかな穂をめでているまもなく、長けてしまった。「水に」がさりげなさと、透明感を出している。(高橋正子)

○花冠投句を締め切る。

○久しぶりに、ランクイン。
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H22花冠12月号

水澄んで
高橋正子

山の端へ星を配りて天の川
おそがけのふるさとの葡萄つめたかり
日にいちばん耀くものに菊蕾 
 駒林神社三句
おみららの囃して吹ける祭笛
祭笛獅子を寝かせる子守唄
祭笛風が運んで強弱も
大寺の銀木犀は空の香に
大寺の水あるところ水澄んで
足先がふっと蹴りたる青どんぐり
薄紅葉「天狗推参」あるやもし

10月10日(日)

★秋宵宮星に声あぐ子の行列  正子
秋の宵宮の装束をつけて提灯を持ち、うきうきとした子供たちの行列。瞬き始めた星を見上げては、感嘆の声をあげる子供たちの純真な声が生き生きと響く美しい宵宮。郷愁を感じます。(柳原美知子)

○今日の俳句
菊の葉も茎も青々窓に濃し/柳原美知子
季語はないが、季感がある句。窓ごしに見える菊の葉も茎も丹精の甲斐あって、青々としている。そういったものに目を遣る楚々とした暮らしぶりがいい。(高橋正子)

○今日の俳句(正子)
 駒林神社三句
おみららの囃して吹ける祭笛 正子
祭笛獅子を寝かせる子守唄
祭笛風が運んで強弱も
大寺の銀木犀は空の香に
大寺の水あるところ水澄んで
足先がふっと蹴りたる青どんぐり
薄紅葉「天狗推参」あるやもし
山の端へ星を配りて天の川

○夕方一人吟行。まず金蔵寺へ。金蔵寺を出て寺のすぐ横の畑に沿った道を山のほうへ。ちょっと洒落た小さなマンションを回ると、祭りの笛太鼓が聞こえる。アナウンスで、これから獅子舞をはじめます、とある。今日は、駒林神社の本祭りだと気づく。急いで神社への坂道を上る。獅子舞は始まっていたが、町の人に混じって椅子に茣蓙がかけてあるところに座り楽しんだ。

前半は終わって、獅子頭が前の舞い手からおかめに渡されるところだった。獅子頭と胴の布だけになった獅子は、おかめに抱かれ、笛の子守唄に合わせてゆすられて眠る。「ねんねんころりよ、おころりよ」を横笛で吹くのは、女の子三人。すっかり眠った獅子、つまりおかめの子どもは下に置かれる。眠ると、おかめは長い髪をとかし、丁寧にゆいあげ、おしろいを叩き、紅を差す。扇を鏡と見立てた鏡をみて、まんざらでもない顔をする。それから、裁縫にかかる。獅子の胴の布を着物に見立て針を動かす。少々色気を出している。針に糸を通す所作が細かい。手元が暗いのか、針穴に糸が通らず、二度ほどやりなおす。糸が通ると、ぴんと張って、こぶをむすび、ぴんと弾いて縒りを軽くもどす。それから髪の毛にかざしてあぶら気をこすりつける。布通りをよくするためだ。針先を髪の毛でちょっとこするのは、私の母などもやっていた。今はこんな仕草はしないだろうが、おもしろい。やがて目覚めた獅子(子ども)は、おかめの背にしばらく背負われて、舞う。やがておかめは獅子頭を被って勢いよく舞って終わりとなる。獅子が舞っている間、ひょっとこたちが、観客の間をぬって、ひょうきんなかっこうで踊る。ひょっとこは、小学生の女の子や中学生も、そして大人もいる。「囃保存会」によって受け継がれている獅子舞である。

10月9日(土)

★甘藷よく実入り刃物に当たる音  正子
堅く良く実った甘藷は、刃物を入れるとギシギシと音を立てて抵抗するかのようです。そんな音が聞こえてくるような実感が伝わってきます。あるいは、この刃物はいも掘りの鍬であっても同じなのかもしれませんが。(河野啓一)

○今日の俳句
鍬音も高く甘藷を掘り当てぬ/河野啓一
実りの秋。充実の甘藷を掘り当てた喜び。平明で実感の言葉で詠まれている。「鍬音も高く」には、澄んだ秋の空や空気が、肌に伝わってくる表現である。

10月8日(金)

★しいの実の青くていまだ石の間に  正子
しいの実が青い内にふと落ちてしまい、石の間に転がっている。かわいそうだが、それでもいずれは熟してどんぐり色になってゆくのだろう。そこはかとなき詩情を感じさせられます。(河野啓一)

○今日の俳句
刈り取られ耀く稲穂抱えゆく/河野啓一
刈り取られた稲穂は、田にあるときよりも、日の光を全長に受けて輝く。抱かれ運ばれる時は特に。(高橋正子)

10月7日(木)

★星月夜ただ風吹ける夜半のこと  正子
よく晴れた夜空を、何げなく仰ぎ見られたのでしょうか。満天の星がまたたく静かな秋の夜半のこと。今日も充実し、ことなく過ぎた感慨がロマンをもって伝わってくるようです。「ただ風吹ける」が印象に残ります。(小川和子)

○今日の俳句
虫の夜の海より暮れて更けゆけり/小川和子
「海より暮れる」が作者の発見。さらに夜が更けてゆき、虫の夜へのことさらの思いがある。(高橋正子)

○コンテストの仕事。

○花冠11月号が到着した知らせが入る。6日に届いた方が多いようだ。

○朝市に出かけ、栗、とうがらし、大根、ほうれん草、茄子、葱を買う。とうがらしは、油でいため、醤油と酒で味付け、鰹節をふりかけできあがり。ピリッと辛くて、新米ご飯によくあって病みつきになる。

○You Tubeで「月光ソナタ」をいろいろ聴く。今夜は、ケンプが好みだ。月光を弾く老齢の表情もよかったのだが。ベートーベンが見ていた月はどんなであったのだろう。フランクフルとに懸かった月は、空をはるか航く感じだったが、小川沿いの森に差す月光もいいだろうなあと思いつつ。

10月6日(水)

★鵙猛りそれより空の真っ青に  正子
鵙が鋭く鳴いている。その声を追うと、抜けるように青い空が広がっている。まるで鵙が、秋の深まりを教えてくれたようだ。(山中啓輔)

○今日の俳句
ジーンズの深き藍色小鳥来る/山中啓輔
ジーンズはインディゴの色であるが、季節によって、相応しい色合いがある。小鳥来る季節は、何といっても深い藍色がよい。小鳥に似合った色である。(高橋正子)

10月5日(火)

★秋の星寝に就く前の大きな宙  正子
高階に秋の星々の澄んだ輝きを目にしつつ寝に就けば、大きな宇宙の闇に抱かれているような安らぎの中に眠れそうです。至福の秋の夜のひとときが、女性ならではの繊細な感覚で詠まれていて心惹かれます。(柳原美知子)

○今日の俳句
青蜜柑むけば清き香夜の畳/柳原美知子
「夜の畳」に生活実感があって、青蜜柑の匂いを「清き」だけで済まさないリアルさがよい。(高橋正子)

10月4日(月)

★いっせいに月を待つべく曼珠沙華  正子
彼岸花は名月のころに咲きますね。曼珠沙華とされたことにより、名月を待つ華やかさが生まれました。今年は異常な残暑で、十月に入ってようやく姫路では花盛りです。名月にも彼岸にも稲刈りにも遅れていまいっせいに咲いています。(多田有花)

○今日の俳句
露草の色に澄みたる野辺をゆく/多田有花
「露草の色に」の「に」によって、景色が大きくなった。露草の瑠璃色があることによって、野辺がりんりんと澄んでくるのである。その野辺をゆく爽やかさ。(高橋正子)

○花冠11月号発送。
○十五夜ネット句会金(光子さん)・銀(康水さん)・銅(秀之さん、洋介さん)各賞の賞品発送。

10月3日(日)

★炊き上がる米の光りにぎんなん混ぜ  正子
銀杏の頃はご飯も新米でしょう。つやつやと光るご飯に、こちらも黄緑に光るぎんなんを混ぜあわせ、秋の味覚の何よりの一品です。(黒谷光子)

○今日の俳句
松手入まず天辺に鋏音/黒谷光子
松手入れの季節。松の木に植木屋がのぼり、まずは、天辺から剪定がはじまった。剪定のはじめの鋏の音が快く響く。「まず天辺に」が命。(高橋正子)

○青蜜柑色づきそめし青のつや 正子
 えのころと小さき花と摘んでくる 正子
 日にいちばん今かがやいて菊つぼみ 正子
 掃き集む日日草の花ばかり 正子
 こぼれつつ咲けるは日日草の花 正子
 
○インターネット俳句コンテストの仕事。本選の審査を依頼。はやくも、審査員の先生お二人から選が返ってきた。

○信之先生の俳句が毎日新聞社の「俳句あるふぁ」に載ることになった。11月13日発売の12・1月号の「光と影の歳時記」。

○栗ぜんざいを作る。八百屋のあずきと栗がおいしいというので、仕入れてきて作ったのだが、出かけた人が「御座候」の大判焼きをお土産に持ち帰る。60周年記念で一個60円というので、行列に並んで買ったとのこと。あまいものが溢れる。