4月30日(木)

俳句
海行きの車窓に新緑吹き出だす
薔薇垣も旅の車窓にあかるかり
停車して茨の花を間近にす
半島のキャベツ畑の鯉のぼり
半島の風はみどりに鯉のぼり
満目のキャベツの玉の育ちゆく
たんぽぽの澄みし黄色も城ヶ島
たんぽぽの黄も澄み忘れ潮も澄み
巌みな濡れ色濃ゆく春の磯
春潮へカヌーは針のごとく出づ
火の島は霞の沖のその先に
波音に時もなかりて春の磯
安房崎の空は五月よ鳶舞う
松の花そろい波音遠ざかる
松の幹千本斜めにみどり立つ
磯音にみどり立つなり城ヶ島
松の花島の花なり揃いけり
青葉の島磯の色濃く濡れいたり
夏潮に濃くも濡るるよ城ヶ島
海蝕の岩を流るる春の潮
夏磯の波音いくつ聞き分ける
海蝕の岩を飛び立つ夏燕
潮澄めばそこを飛び立つ岩燕
春潮の澄みて岩間を流れけり
ひじき干すそばにも咲けり花大根
ひじき干す島の老婦の帽目深
大根の花の真盛りひじき干す

大根の花の真盛り城ヶ島
島どこもうす紫の花大根
白秋詩碑夏帆のかたちして砂に
ヒトデいて白秋詩碑を仰ぎ読む
イソギクに触れて下り行く夏の磯
島青葉なかにも丸きサンキライ
ハマヒルガオと野猫と昼の城ヶ島
ハマヒルガオ萱の根元に城ヶ島
 安房崎灯台
灯台の白亜を下に夏鶯
青葉して島の鶯ほしいまま
鳶浮かす半島夏の風集め
 城ヶ島灯台
灯台へ八丈すすきの青きなり
草崖に八丈すすきは青すすき
草崖に八丈すすきはあおあおと
草崖の月あらまほし城ヶ島
草崖の空に靡きて青すすき
船倉庫並べる島にさざえ食ぶ
島果ての店に売らるる貝風鈴
はらわたの苦き思いにさざえ食ぶ

晴れ
○城ヶ島吟行。

4月26日(日)

俳句
秋立って武蔵橘樹(たちばな)生麦村
汗寒しここは生麦事件跡
青嵐の川満々と遡る
青嵐川の雫を浴ぶことも
青嵐に体躯吹かれて川渡る
青嵐の鳩は翼を張りつめて

晴れ、風強し
○鶴見川河口あたりを歩く。グリーンラインで高田までゆき、高田から綱島駅までバス。綱島駅から鶴見駅までバス。鶴見駅より徒歩で、旧東海道を通って、鶴見川まで。下野谷口から橋を渡る。今日は、強風のため、東海道線も乱れたようだが、青嵐というよりは、もっと強い風が吹き、橋を渡るときは、吹き飛ばされそうなほどであった。川には釣り船も停泊していたが、風の強い土手に長居も出来ず、そこそこ俳句を作り、持参のコーヒーを飲み、引きあがる。下野谷口から旧東海道を生麦事件のあったところまで歩く。事件の跡には、説明書きがあり、反対は、葬儀社である。それより、キリンビールの横浜工場の前を通り、市営バス営業所の斜め向かいに生麦事件の石碑があるので、探して訪ねた。

○京急生麦駅徒歩2分ぐらいのところに、蕎麦屋があり、3時ごろ昼食。純手打ち「味楽」と箸袋にある。椿山荘の蕎麦もおいしかったが、こちらの方がおいしいかも。店先に、漆塗りの60センチほどの捏鉢があった。

4月23日(木)

俳句
藤房の光りまみれが揺れにけり
藤房の下は色濃くしぼられし
藤房のさ揺るるときはみな揃い
どの房の藤もふっくら光けり
緋躑躅に水も水音も流る
たんぽぽの絮の水球まだ飛ばず
若葉透け森の太陽青くふる
老鶯に森の深さの続きけり
綿雲の若葉にふるる遠出の日
山国のえびねの花のきらきらと
昔日の薄日匂いて著莪の花
山吹を濡らし谷水ほとばしり
菖蒲田へ落つる水音ただ一つ
木道にいのちの瑠璃をルリタテハ
山国の紋白蝶は大きかり
奥まれば蛙よく鳴く谷の水
山桑の花の終りと知られけり
密生のほかなし青葦雨催い

晴れときどき曇り。
○花冠6月号の初校がメールで届く。夜、若干の校正。
○夕方、6月号の表紙の俳句の書をエックスパックで送る。
○本日インターネット俳句センターのアクセスが87万回となる。

○緑区の中山にある県立四季の森公園に信之先生と出かける。グリーンライン日吉本町駅から20分ほどで中山駅。駅から900mほど。前々から一度訪ねてみたいと思っていたが、念願がかなった。途中、個人の家の庭に、樹齢もそこそこの藤が二本あり、見事に房を垂らしている。この藤の匂いは、屋根を越えて、坂道まで匂ってきている。通りすがりの人で、カメラを構えない人はいないほど。色といい、花房の数といい、本当に見事である。そこで、歩道に座り込んで、藤の句を作る。

公園に着くと、先ず桂の木に出迎えられる。平日であるが、ほどほどの人がいる。入り口すぐに蓮池があるが、まだ何も見えず、鯉も泳いでいるが、亀ばかり浮いている。鯉幟が渡してある。風が吹けばいっせいに泳ぐ。桂のほか、ヤマグワ、山デマリ、小楢、山桜、楓、椋など。木道を伝うと、山吹が咲き乱れ、湧き水がほとばしって、芦原へ注いでいる。その奥には、棚田風の菖蒲園があり、ここにも木道が渡してあり、このあたり、シュレーゲルあおがえるという蛙が、くるっ、くるっとよく鳴く。ルリタテハなんだろうか、きれいな蝶が止まる。蜻蛉も川の蜻蛉らしく2種類。翡翠を待ってカメラを三脚に据えて待っている人もいる。蛍も飛ぶそうで、ほたるばしと名づけた橋がある。菖蒲のときと、蛍のときに、また来よう。葦原へ注ぐ水の流れの近くで、持参のコーヒーとパンで、遅い昼食をとった。夕方雨の予報が出ていたので、風も出始めたし、3時半ごろ公園を後にした。植物が比較的多く、ごく自然に育っている。著莪やえびねも花どきであった。

面白いことがひとつ。帰り、はしぶとからすではあるが、街中のからすとは、風姿が全く違うからすが雑木に止まっている。私が、「からす、からす」と声をあげるものだから、道で車の誘導をしている人が、「あのからすは、この山で生まれた子ですよ。ここの主ですよ。」と言う。なるほど。羽の色は文字通り、濡羽色。青みを帯びて耀き、肝が据わっている。からすにも品格がある。これほどでなくても、昔のからすは、田圃をチョンチョンしても、いまどきのからすのようにあさましくなかった。人も大差ないのかも知れん。

4月22日(水)

俳句

晴れ
○コープで注文の苗が届いた。ミニトマト4本。青紫蘇、香り葱、広葉にら、ジーニア4株。プランターを一つ買い足して植える。発酵油粕を元肥に入れた。夏向きのベランダとなって涼しそうだ。ビオラは、終わりとし、花を摘んで、ブーケにして、壜に挿す。テーブルに置くと、匂いが強すぎるほど。他の場所へ移す。
これで、結構忙しくて、疲れた。

4月20日(月)

俳句

晴れ
○矢野文彦さんの句集『樟』を同人、希望者にクロネコメールで送る。

○添削教室の掲示板にあった迫田さんの質問に答えるため、迫田さんに電話する。
ネットを使うと、ついついネットだけになりがちだが、それではいけない。電話も、手紙も、メールも、あるい可能なら直接お会いしてなど、いろんな方法を使うように心がけている。

4月17日(金)

俳句

○コープで苗物を色々注文。
しそ、香り韮、小葱の三点セット。他にジーニア。ミニトマト。
サフィニアに蕾が付いて、色が見える。まもなく咲くだろう。蕗の葉がようやく出始めた。確かに蕗の葉である。観葉植物を挿し木しておいたのだが、今朝見ると、たぶん野良猫だろうが引き抜いてしまっていた。

4月18日(土)

俳句

晴れ
○矢野文彦さんの句集『樟』が17日印刷されて届いたので、贈呈分60冊いただいて、文彦さんあて宅急便で送る。

○立夫さんから、信之先生宛て手紙が来る。立夫さんには学生時代にお遍路宿で行った水煙大会に出席され、それきりだが、臥風先生のお孫さんで、今は立派なドクター。もう五十歳にはなられたであろうか。林望先生の本に臥風先生の蕗の董の句が載ったので信之先生が知らせてあげたのが、早速購入されたとのこと。知らないところで、ひょっと採り上げられる。これこそが俳句なのであろうと。

4月19日(日)

俳句

晴れ
○文彦さんから句集が届いた旨電話をいただく。

○花冠6月号入稿。エックスパック。

○日吉本町駅の前を家庭ごみの収集場所にしている班があるが、よそからごみを持ってきていつということなく捨てて、困る状態が続いている。それで、そこの収集場所を失すことについて話合いがあった。現在班長をおおせつかっているので、信之先生が出席。駅前の収集場所は失くすことに決定。ごみ問題はいつでも難しい。「あなたの考えは根本的に間違っている」という発言もでたそうである。1時間ほどで話合いは済んだようだ。

花冠6月号作品10句/4月19日

柳青む
高橋正子

日が沈む芽木のさみどり滲ませつ
花辛夷森の尽きたるそのところ
荒風の辛夷となってうすみどり
花淡し寺の甍がかがやけば
振りあおぎ眩しきばかりの花と空
散りはじむ花にのぼりて白き月
風あれば風の意を得て花散れり
夜桜の散れば街灯またたけり
ポピーの茎の曲線鋼の強さもち
柳青むふるさと遠く住みたれば

3月~4月作品

日が沈む芽木のさみどり滲ませつ
花辛夷森の尽きたるそのところ
荒風の辛夷となってうすみどり
花淡し寺の甍がかがやけば
振りあおぎ眩しきばかりの花と空
散りはじむ花にのぼりて白き月
風あれば風の意を得て花散れり
夜桜の散れば街灯またたけり
ポピーの茎の曲線鋼の強さもち
柳青むふるさと遠く住みたれば
    * *
のびのびと畑に枝張り大桜
花影を踏みつつ歩みわれら友
牡丹の蕾いくつや寺の内
花影の揺れは今生花の揺れ
リラは蕾強風鉢をなぎ倒し
アイロンの熱の匂いや花の朝
むくどりの走る地があり杉菜生う
フランス菓子食べに行く道春寒し
春朝日大路小路のかぎろえり
春朝日都市通勤の黒衣群
ポピー散る紙のようなる花びらを
鳥声のはずみておりぬ花の朝