9月20日(金)

★吹き起こり風が熟田をさざめかす  正子
青田のころの風は軽やかな青田波をつくって田を吹き抜けていきます。黄金色に田が熟すころともなれば風を受けた稲穂は重そうにゆらゆらと揺れます。稔りの秋の感触です。(多田有花)

○今日の俳句
虫の音を聞くころとなり新所帯/多田有花
結婚後の新生活も虫の音を聞くころになると落ち着いてきた。虫の音は、静かで落ち着いた生活の中でこそ聞きたい。時の経過がさりげなく表現されている。(高橋正子)

○郁子(むべ)の実

[郁子の実/東京白金台・国立自然教育園]

 ★郁子の実のまだ青けれど薄みどり/高橋正子

 ムベ(郁子、野木瓜、学名:Stauntonia hexaphylla)は、アケビ科ムベ属の常緑つる性木本植物。別名、トキワアケビ(常葉通草)。方言名はグベ(長崎県諫早地方)、フユビ(島根県隠岐郡)、イノチナガ、コッコなど。
 日本の本州関東以西、台湾、中国に生える。柄のある3~7枚の小葉からなる掌状複葉。小葉の葉身は厚い革質で、深緑で艶があり、裏側はやや色が薄い。裏面には、特徴的な網状の葉脈を見ることが出来る。
 花期は5月。花には雌雄があり、芳香を発し、花冠は薄い黄色で細長く、剥いたバナナの皮のようでアケビの花とは趣が異なる。
10月に5~7cmの果実が赤紫に熟す。この果実は同じ科のアケビに似ているが、果皮はアケビに比べると薄く柔らかく、心皮の縫合線に沿って裂けることはない。果皮の内側には、乳白色の非常に固い層がある。その内側に、胎座に由来する半透明の果肉をまとった小さな黒い種子が多数あり、その間には甘い果汁が満たされている。果肉も甘いが種にしっかり着いており、種子をより分けて食べるのは難しい。自然状態ではニホンザルが好んで食べ、種子散布に寄与しているようである。
 主に盆栽や日陰棚にしたてる。食用となる。日本では伝統的に果樹として重んじられ、宮中に献上する習慣もあった。 しかしアケビ等に比較して果実が小さく、果肉も甘いが食べにくいので、商業的価値はほとんどない。
 茎や根は野木瓜(やもっか)という生薬で利尿剤となる。

◇生活する花たち「葛の花①・葛の花②・木槿(むくげ)」(横浜日吉本町)


コメント

  1. 多田有花
    2013年9月19日 20:07

    お礼とコメント
    正子先生、
    「虫の音を聞くころとなり新所帯」を今日の俳句にお取り上げいただきありがとうございます。
    間もなく二世が誕生される模様ですね。時の経過は着実なもの、と思います。

    ★吹き起こり風が熟田をさざめかす  正子
    青田のころの風は軽やかな青田波をつくって田を吹き抜けていきます。黄金色に田が熟すころとも
    なれば風を受けた稲穂は重そうにゆらゆらと揺れます。稔りの秋の感触です。