★りんりんと虫音に力のありて闇 正子
秋の夜、辺りの澄んだ空気に「りんりん」と、いっしんに今を生きる虫たちの声が力強く耳に届きます。虫たちを包む闇があればこそ、より虫音が澄んで聞こえ、また、その澄んだ響きに、広がる闇の深さを思い知ることができます。(藤田洋子)
○今日の俳句
秋涼し仏花の束を風に解き/藤田洋子
仏様に花を供えようと花束をほどくと涼しい風が吹く。花束にはリンドウなど秋の花もあってそれも嬉しい。「風に解き」で、いっそうさわやかな句となった。(高橋正子)
○インターネット俳句センターアクセス100万回
花冠発行所管理運営の「web インターネット俳句センター」は、昨年の8月24日(水)21時39分25秒に、アクセス100万回となった。はや一年が過ぎ、今日、2012年8月28日10時38分50秒は、アクセス104万794回となっている。
インターネット俳句センターは高橋信之先生によって、花冠のホームページとして、1996年11月27日に開設された。それから、数えて、本日、2012年8月28日には、アクセスが100万回を越え、104万794回となっている。104万794回の数字をどう読むかは、ホームページの目的等によりさまざまと思われるが、私たちのインターネット俳句センターがアクセス100万794回を数えたことは、大きな意義がある。ネット俳句の草分けとして、さまざまな試みをした。細く長くをモットーとしてこれまで継続したことが、なによりの力となったと思う。
http://suien.ne.jp/haiku/
▼インターネット俳句センターアクセス百万回特集(花冠2011年11月号)
http://kakan.info/km/2011/11/10.doc
○唐糸草
[唐糸草/東京・向島百花園] [唐糸草/ネットより]
★唐糸草確かに秋が来ておりぬ 正子
向島百花園を訪ねたのは去年の九月八日。晴れであった。百花はあるけれど、どれもたくさん咲いているわけではない。桔梗は花が一つ残り、なでしこは2,3本あったのが、すっかり枯れていた。偶然にも、れんげしょうまが一本、唐糸草がもう終わりかけて、やっとその色と形が残る程度のが二つあった。唐糸草は初めて見たが、山野草の部類に入る。えのころ草の穂よりも少し大きいが、紅色の雄しべが日に透けると大変美しいということである。ちょっと粋な長い紅色の雄しべは雨に濡れると、猫が雨に濡れたようになるそうだ。撮ってきた写真を見ながら「唐糸」はいかにも江戸好みらしいと思う。終わりかけの花のみすぼらしさの中にも、きれいな紅色が想像できるから不思議だ。大いにその名前「唐糸」のお蔭であろう。園内にいる間は、なんと花に勢いのないこと、と思っていたが、写真を見ると、一つの情緒がある。文人好みの庭に造られたせいでもあろう。虫の声を聞く会、月見の会も催されるようだから、暮らしの中の花として、少しを植えて楽しむのもささやかながら、都会人のよい楽しみであろう。
去年向島百花園に行ったのは9月8日だったが、今年は、8月20日に訪ねた。この暑い時にと思われるだろうが、葛飾の社宅に住む息子のところに立ち寄るついでに訪ねた。京成線の曳舟駅で降りて徒歩15分。曳舟駅からはスカイツリーが大きく目の前に見える。園内にはいると、この暑さに、さすがに作業の人が数人と入園者は私を入れて3人。去年唐糸草のある場所へ行ってみたが、葉さえも見つけることができなかった。去年あった花魁草、れんげしょうまは、見つかった。桔梗と女郎花はこの暑さにもかかわらず見ごろ。藤袴は蕾。萩は穂先のような蕾。咲いていてもほんの2,3花。唐糸草や花魁草はちょうどいいころか、少し早いかと期待したが、きたいどおりにはゆかないものだ。
唐糸草は、バラ科ワレモコウ属の多年草で、原産地は日本。学名: Sanguisorba hakusanensis、和名: カライトソウ。Sanguisorba : ワレモコウ属、hakusanensis : 石川県白山の。Sanguisorba(サングイソルバ)は、ラテン語「sanguis(血)+ sorbere(吸収する)」が語源。根にタンニンが多く、止血効果のある薬として利用されることから。開花期は7~9月。夏から秋にかけて、たぬきのしっぽのような形のピンクの花が咲く。絹糸のような花の様子が、まるで外国(唐)からきた糸のように美しいことから「唐糸草」。8月10日の誕生花、花言葉は「深い思い」。
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