6月28日(木)

★透き通るバケツにあふる朝の百合  正子
お花屋さんの店頭の光景でしょうか。透けるバケツにあふれる百合、香りと色に朝の清々しさが嬉しい。(祝恵子)

○今日の俳句
植田には水の出入りの音つづく/祝恵子
植田には、いつも水があるが、入る水と、出る水とが静かに動いている。その出入口には静かな水音が絶えない。(高橋正子)

○横浜市緑区北八朔

[青田/横浜市緑区北八朔]

 緑区にある田園地帯北八朔町にリュックを背負って、野菜の買い出しに出掛けた。北八朔町は田圃と梨畑が広がる純粋の農村地帯。青田を見るのも楽しみの一つ。電車はグリーンラインの日吉本町から川和町まで乗る。川和町の駅を出て道路沿いに100メートルほど行くと鶴見川に出会うが、鶴見川にかかる橋を渡ると、都筑区から緑区北八朔になる。北八朔は田圃と梨畑がひろがる純粋の農村地帯。田圃はまだ水が筋になって見えるが青田となっていた。田植から1か月ほどになるだろうか。根をしっかり恥初めているようだった。足元に水がごぼごぼ鳴り、梨畑の際までの遠く青田が見渡せる。買い出しの楽しみと、田圃を見る楽しみの両方味わえるのがいい。田圃の中のバス停の角で、野菜を売っているが、そこが目当てとするところ。今日はご主人が売ってくれた。トマトと茄子があればと思ったが、トマトは完熟を売りたいので、もう少し待て、とのことだ。晴れてくれれば、来週は出せるとのこと。路地栽培なのでやむを得ない。買ったのは、9種類。 ごぼう、枝豆、赤ピーマン、赤たまねぎ、たまねぎ、扁平ないんげん、南瓜、胡瓜、すもも。締めて1400円也。リュックは富士山に登ったときのもの。登山の荷物のようにちゃんと腰ベルトでリュックを固定して帰った。李は簡易冷蔵庫に入れて売っていたので、帰ってすぐ食べたが、美味しいものは美味しかった。李を食べたくなったのは、ドイツのマイン河畔でパーティーを開いてもらったおり、庭の李がサラダボールに一杯出され、たまらなく美味しかったことを思い出したからだ。パーティーを開いてくださった俳人で華道家のシュバルムさんは亡くなったが、あの李は実においしかった。

○ジギタリス(きつねのてぶくろ)

[ジギタリス/横浜日吉本町]

★ひと雨の走るきつねのてぶくろに/海老原真琴子
★ヂギタリスのぼりつめたる鈴小さく/豊田君仙子
★ジギタリス虫呼ぶ様をして咲ける/高橋信之

 ジギタリスが歳時記に季語として載っているのにむしろ驚くが、子どものころにも見たような気がする。蛍袋に似た花だが、花の中を覗くと、点々と不規則な斑があって、ちょっと怖い。真っすぐに上り咲いて、しかも花がびっしりとつく。葉も元気で、しっかりし過ぎと目に映る。英名の直訳して「きつねのてぶくろ」とも言われているが、この呼び方なら可愛くて、一つ童話が生まれそうである。語源がディジタルであるのも面白いが、毒草(薬草)とのこと。

★ジギタリスもっとも似合う海の紺/高橋正子

ジギタリス(学名 Scrophulariales Scrophulariaceae Digitalis)は、ゴマノハグサ目 ゴマノハグサ科 ジギタリス属の一つ。地中海沿岸を中心に中央アジアから北アフリカ、ヨーロッパに20種あまりが分布する。一・二年草、多年草のほか、低木もある。園芸用に数種が栽培されているが、一般にジギタリスとして薬用または観賞用に栽培されているのは、Digitalis purpurea種である。学名のDigitalisは、ギリシャ語の「ゆび」を表すdigitalに由来し、花の形が指サックににているためである。コンピューター用語のデジタル(ディジタル、digital)と起源は全く同じである。種名のpurpureaは「紫」の意味。園芸種には白やピンクの花色のものがある。別名をキツネノテブクロ(英名のfoxgloveの直訳である)という。ヨーロッパ原産であるが、観賞用あるいは薬用に世界中で広く栽培される。高さ1メートル前後で分枝しない。西洋では暗く寂れた場所に繁茂し不吉な植物としてのイメージがある植物とされる。いけにえの儀式が行われる夏に花を咲かせることからドルイド達に好まれると言われる。「魔女の指抜き」「血の付いた男の指」などと呼ばれていた地域もある。メーテルリンクは、「憂鬱なロケットのように空に突き出ている」と形容している。ジギタリスには全草に猛毒があり、古代から切り傷や打ち身に対して薬として使われていた。1776年、英国のウィリアム・ウィザリング (William Withering) が強心剤としての薬効を発表して以来、うっ血性心不全の特効薬として不動の座を得るに至っている。花の形がユニークで美しいので、花壇用に栽培されている。五月から六月に播くと、ほぼ一年後に開花する。水はけのよい土地を好むが、高温多湿にやや弱く、日本の暖地では栽培しにくい。1960年代に「長寿のハーブ」として流行したコンフリー(ヒレハリソウ)に葉の形などが似ているため、誤食して中毒を起こした人がいるので、注意すること。

◇生活する花たち「ガザニア・昼咲月見草・梅花空木」(横浜市緑区北八朔)


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