4月1日(日)②


俳句界(文學の森2018年3月号掲載作品)
作品二十一句

春の水   
          
高橋(たかはし)正子(まさこ)

末黒の葦まばゆき水に取り巻かれ
水破りみどり無数の葦の角
葦芽ぐみさざ波すぐに生まれける
葦芽ぐみ早やも若葉を掲ぐあり
まんさくの咲くや翡翠池に来て
翡翠の餌時まんさく開くなり
まんさくの花の縮れに風荒ぶ
まんさくや雑木林は透きとおり
春の水水車が汲みて流れ出づ
三椏の花へ水車の水急ぐ
猫柳池面の水のうすみどり
水の中の水輪連れゆく春の鴨
先行ける夫が見上ぐる花辛夷
山がかる空半分に咲く辛夷
雨よりも風の辛夷の多かりぬ
遠山に桜・辛夷と咲いており
花辛夷夜はしずまりて灯がもるる
星空の冷えを纏えり沈丁花
沈丁花門扉閉づれば濃く匂い
椿活けもっとも冷えし花鋏
さんしゅゆの花澄む角よ朝の家

自己紹介
一九四七年広島県生まれ。一八歳より作句。「花冠」主宰。
句集に『月の樫』『花冠』。『現代俳句一日一句鑑賞』。

◆◇◆◇◆◇

■皆さんからの感想■
拙句を読んでいただき、感想をありがとうございました。大変励まされました。

●柳原美知子さん(3月10日/葉書)
日差しはすっかり春となりましたが、寒い日が続いています。
先日は久しぶりにお電話でお話しができてよかったです。
「水の俳句」はリハビリ仲間にも見せ、喜んでいただきました。
「俳句界」もお贈りいただき、ありがとうございました。
正子先生の21句、浅春の風と光と水のゆらぎが感じられ、素
敵ですね。感動しました。(後略)

●河野啓一さん(3月6日)
珠玉の御句21句を乗せた俳句界3月号只今拝受いたしました。
ありがとうございました。迷ったのですが、好きな句は、
「まんさくの咲くや翡翠池に来て」です。他に「葦芽ぐむ」
もすばらしいと思いました。(後略)

●藤田洋子さん(3月5日)
正子先生へ
いつもお世話になります。
本日、「俳句界3月号」受領しました。
先月に引き続き、わざわざお送りいただきありがとうございました。
<春の水>掲載の21句、どれもみずみずしく素敵な御句ばかりで
すが、

末黒の葦まばゆき水に取り巻かれ
葦芽ぐみさざ波すぐに生まれける
まんさくの咲くや翡翠池に来て
まんさくの花の縮れに風荒ぶ
春の水水車が汲みて流れ出づ
水の中の水輪連れゆく春の鴨
先行ける夫が見上ぐる花辛夷
星空の冷えを纏えり沈丁花

特に好きな句です。益々のご活躍をお祈りしております。 
(後略)

●高橋秀之さん(3月5日)
高橋正子先生
おはようございます。
「俳句界3月号(文學の森)」拝受いたしました。
好きな句については、また、改めて返信いたします。
取り急ぎ。

●川名ますみさん(3月4日)
高橋信之先生
高橋正子先生
いつもご懇切なご指導を賜りまして、ありがとうございます。
この度は、俳句界3月号「特別作品21句ー春の水」ご掲載、
おめでとうございます。有難く嬉しく、拝受しました。

静かに見える早春の、強さと勢いを知り、勇気が湧きました。

一読で惹かれましたのは、「春の水水車が汲みて流れ出づ」。
水車の動きが、これほど的確な言葉で、表されることに驚きました。
おそらく、実際に自分でぼんやり眺めるよりも、御句の言葉の方が、
ずっとはっきり、動きが心に残ったことでしょう。
その動きは、春の水ゆえの動き。大きな春の動きを見ました。
朝の家、角にさんしゅゆの花が「澄む」という捉え方も、
想い浮かべますと、ぴたりと景が浮かび、すぐに共感しましたものの、
これは、とても簡単に出てくる表現ではない、と気付きました。
大仰な言葉ではない、馴染みあるやさしい言葉が、
芯を捉えた時の力を、読むほどに強く感じております。
ありがとうございます。勉強させて頂きます。
(後略)

●古田敬二さん(3月4日)
正子先生、こんばんは
俳句界3月号ありがとうございました。
3/3、配達されました。
特別作品21句掲載おめでとうございました。
好きな句5句選ばせていただきました。

・葦芽ぐみさざ波すぐに生まれける
・まんさくの花の縮れに風荒ぶ
・先行ける夫が見上ぐる花辛夷
・花辛夷夜はしずまりて灯がもるる
・沈丁花門扉閉づれば濃く匂い
(後略)

●祝 恵子さん(3月3日)
高橋信之先生、正子先生
何時もお世話になりありがとうございます。
正子先生、月刊俳句界3月号贈呈頂きまして
ありがとうございます。21句の正子先生の掲載
おめでとうございます。

春の水水車が汲みて流れ出づ 
少し水温む春となり水車が水を汲みながらうごいています。
コトコト音が聞こえるような長閑な空間が見えるようです。
                
●小口泰與さん(3月3日)
高橋信之先生、正子先生
本日は月刊俳句界3月号を御贈呈いただき大変にうれしく感謝申し上げます。
正子先生の「特別作品21句」を拝読させて頂きます。
                         
●廣田洋一さん(3月3日)
高橋信之先生
  正子先生
いつも懇切にご指導頂き有難う御座います。
この度は、「俳句界」3月号をお送り頂き、誠に有難う御座います。
正子先生の「春の水」21句をじっくり鑑賞させて頂きます。

●林誠司さん(俳句界編集長)
好きな句です。
水破りみどり無数の葦の角
まんさくや雑木林の透きとおる
さんしゅゆの花澄む角よ朝まだき


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