3月23日(金)

★雪割草のひらく時きて日があふる  正子
桜草の仲間でもともとは高山植物の一種、雪割草は薄紫の可憐な花。外は未だ冷たく寒くて春遠しと言えども、陽射しは日毎に力が漲り春を待つ花たちは歓喜の喜びをあげます。春の訪れを力強く詠われたすきな一句です。(桑本栄太郎)

○今日の俳句
校門のつぼみ艶めく桜芽木/桑本栄太郎
桜芽木に「校門」を配して、句に物語性がある。卒業式を控え、そして新入生を迎える準備も進んでいるであろう学校。別れと希望が入り混じって校門の桜芽木は蕾をつややかに膨らませつつある。(高橋正子)

○横浜四季の森公園
 昨日22日、「フェイスブック俳句コンテスト」の相談を兼ねて、小西宏さんをお誘いして四季の森公園を信之先生ともども3人で散策。この日は、早春の予期せぬ花がたくさん咲いていた。おまけに翡翠まで池のとまり木に止まってくれた。片栗の花は、アマチュアカメラマンが咲いているところへ案内してくれた。この方は、毎週四季の森に来ているとのこと。
 咲いていた花:さんんしゅゆ・みつまた、まんさく、かたくり、雪割り草、ふくじゅそう、キクザキイチゲ、葵葉すみれ、おおいぬのふぐり、猫柳、白梅、紅梅、藪椿、馬酔木、ヒイラギ南天、土筆、なずな、はこべ、ヒメ踊り子草など。芽柳も枝垂れてみどりが美しい。昨年同じ時期開いていたこぶしは、花芽がまだまだ固い。一か月以上も遅れているか。

○片栗の花
★片栗や自ずとひらく空の青/加藤知世子
★山の湖かたくりも花濃かりけり/星野麦丘人
★鐘型紅紫色ほのと咲く片栗の花/高橋信之

 早春に地上部に展開し、その後葉や茎は枯れてしまう。地上に姿を現す期間は4-5週間程度で、群落での開花期間は2週間程と短い。このため、ニリンソウなど同様の植物とともに「スプリング・エフェメラル」(春の妖精)と呼ばれている。種子にはアリが好む薄黄色のエライオソームという物質が付いており、アリに拾われることによって生育地を広げている(同様の例はスミレなどにも見られる)。
 早春に10cm程の花茎を伸ばし、薄紫から桃色の花を先端に一つ下向きに咲かせる。蕾をもった個体は芽が地上に出てから10日程で開花する。花茎の下部に通常2枚の葉があり、幅2.5-6.5 cm程の長楕円形の葉には暗紫色の模様がある。地域によっては模様がないものある。開花時期は4-6月で、花被片と雄しべは6個。雄蕊は長短3本ずつあり、葯は暗紫色。長い雄蕊の葯は短いものより外側にあり、先に成熟して裂開する。雌蕊の花柱はわずかに3裂している。地上に葉を展開すると同時に開花する。日中に花に日が当たると、花被片が開き反り返る。日差しがない日は終日花が閉じたままである。開花後は3室からなる果実ができ、各室には数個-20程の胚珠ができる。平均で60%程の胚珠が種子となる。胚珠は長さ2 mmほどの長楕円形である。
 かつてはこの鱗茎から抽出したデンプンを片栗粉として調理に用いていた。精製量がごくわずかであるため、近年は片栗粉にはジャガイモやサツマイモから抽出したデンプン粉が用いられている。若葉を茹でて、山菜として食されることがある[17]。鑑賞用の山野草として、カタクリの球根が販売されている。日本各地の群生地では、春の開花時期に合わせて「カタクリ祭り」などが開催されている。

★かたくりに山の正午の日が差しぬ/高橋正子

◇生活する花たち「片栗の花・菫・山茱萸(さんしゅゆ)」(横浜四季の森公園)


コメント

  1. 桑本栄太郎
    2012年3月23日 22:21

    お礼と好きな句鑑賞
    正子先生
    「校門のつぼみ艶めく桜芽木」の句を3月23日の今日の俳句にお取り上げ頂き、嬉しい過分なるコメントも頂戴しまして大変有難うございます。
    その日は卒業生を送る日でしたでしょうか?昼前に校門から中学生が三々五々に帰って行きました。校門の上には桜の芽がやや膨らんでみえました。

    <好きな句鑑賞>
    ★雪割草のひらく時きて日のあふる 正子
    桜草の仲間でもともとは高山植物の一種、雪割草は薄紫の可憐な花。外は未だ冷たく寒くて春遠しと言えども、陽射しは日毎に力が漲り春を待つ花たちは歓喜の喜びをあげます。春の訪れを力強く詠われたすきな一句です。