晴れ
墓地晴れて冬木の桜つやつやと 正子
はらはらと落ちし団栗墓地への坂 正子
櫟大樹空へ黄葉をにぎわわす 正子
●墓参。朝、カレンダーに墓参と書いたことを思い出した。近所の店に花が届くのを待って、花を買って出かけた。思いがけずいい天気だった。墓地には納骨の家族と、墓苑の芝や落葉を掃除するひとがいた。今日はスプレー咲きの薔薇とカーネーションを供えた。風があるのか線香が勢いよく燃える。振り返ると、台湾椿が先月よりも増して花が咲かせている。桜の木はすっかり葉を落としてしまったが、幹が太った感じがする。お墓に祈ることもないので、「元気でいてくださいよ。そのうちいいことがありますよ。」と拝んで、バスの時間があるので線香が燃え残っていたが、墓を後にした。
バス停に着くと二人の客が待っていた。軽く挨拶すると、二人が交互に話しかけてくる。老人の男性が、「植物の霜柱を知っているか」といきなり聞いてた。名前は聞いたことがあるが、見たことはない。スマホに写真を出すと、この写真の花に間違いないという。もう一人は50代ぐらいの女性。女性も珍しがってスマホの写真をのぞき込む。男性は若い時高尾山のガイドをしていたと言って、高尾山の動植物に詳しい。今でも週2,3回が高尾山に行くそうだ。墓地のある鶴川は、小田急が八王子まで走っている。行こうと思えば思いついていける。老人は高尾山と書いた桜の木の杖を持っていた。杖は見れば桜とすぐわかるが、女性は、「どこで桜と見分けるのか」と聞く。桜の樹皮は美しいので、茶筒などに使われている。今の人はこんな茶筒を見たことがないのかな。降りるとき二人とも名残り惜しそうに挨拶した。私は「お元気で」と言った。
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