11月21日(水)

★冬泉手にやわらかに旅半ば  正子
どちらを旅されたのだろう、と想像が膨らみます。風が冷たい時期の旅、そんなときに触れた泉の水が意外にも暖かく感じられました。ふと気持ちが暖かくなる、そんな瞬間を思います。(多田有花)

○今日の俳句
山茶花の長き季節の始まりぬ/多田有花
抒情が削ぎ落とされ、大変シンプルで一筋通った句である。山茶花は早いものは、十月ごろから咲く。本格的に咲き始めるのは、立冬を過ぎてからであろうが、冬の間中の「長き季節」を咲き続ける。今その咲き始めのとき、花あって身辺楽しい季節が過ごせるであろう。 (高橋正子)

○地縛 (じしばり)

[地縛/横浜日吉本町]

 地縛 (じしばり、学名 Ixeris stolonifera)は、キク科ニガナ属の多年草。日当たりの良い山野や田の畦などに自生する。名前の由来は、茎が地面を這っている様子が、地面を縛っているように見えることから。4-7月にタンポポに似た花を咲かせる。花茎の先に2cm程の黄色の頭花を1-3個つける。葉は1-3cmの卵円形。よく似るオオジシバリとの見分けは葉の形が、ジシバリは丸い卵形、オオジシバリの葉は細長い楕円形。別名の「岩苦菜(いわにがな)」は、岩場にも生え、茎葉は苦いことから。
 ジシバリ(地縛り)の花は、雨の日や曇りの日には開かず、太陽が昇ってくると開き始め、夕方になると萎んでしまうという睡眠運動を繰り返す。茎を折ると白い乳液が出て手につくとべとべとし、やがて黒く変色する。原産地(原生地)は、日本、朝鮮半島、中国。花言葉は人知れぬ努力、忍耐である。

★じしばりの黄花に秋の陽が高し/高橋信之

◇生活する花たち「貴舟菊・山茶花・柘榴」(横浜日吉本町)


コメント

  1. 多田有花
    2012年11月21日 19:58

    お礼とコメント
    正子先生、
    「山茶花の長き季節の始まりぬ」を今日の俳句にお取り上げ頂き
    ありがとうございます。山茶花の開花期間は長く、冬から早春まで
    咲いています。木枯らしの頃、本格的な寒さが始まる直前に咲き
    出しますから、あの花を見ると、本格的な冬が始まる、と思います。

    ★冬泉手にやわらかに旅半ば  正子
    どちらを旅されたのだろう、と想像が膨らみます。風が冷たい
    時期の旅、そんなときに触れた泉の水が意外にも暖かく感じられ
    ました。ふと気持ちが暖かくなる、そんな瞬間を思います。