10月9日(水)

雨のち曇り
りんご噛みりんごに混じる味のなく  正子
どんぐりの供物にまじり供えあり   正子
秋冷の野に食ぶたまごサンドウィッチ 正子

●今日も雨で最高気温17℃。すっかり晩秋の気配。生協の配達でおでん材料が届く。ミニ大根を間違えて二本注文していたが、多分使い切れるだろう。

『近代絵画の巨匠たち』(高階秀爾/岩波現代文庫)を読み終える。ボナールは晩年とくに身辺の物や景色や人物を描いているので、親密派とも呼ばれている。ナビ派にも参加していたが、本気ではなかったようだ。浮世絵版画の影響を受け、日本美術に大変関心を寄せていた。モネ、セザンヌ、ゴッホのほかにボナールまでとは驚きだった。(もちろん彼らの前にクリムトも浮世絵や日本美術の影響は受けているが。)庭に自ら好む植物を植え、植木屋には手を入れさせなかったという。葬儀の日の朝、ミモザやあんずの木にめずらしくうっすら雪が積んでボナールを悼むかのようだったという。最後に描いた「花咲くあんずの木」(1947年)のあんずはボナールのもっとも愛した木と言われて、見ていると懐かしいような画である。あんずは人によってはアーモンドとも呼んでいるけれど。彼が住んだ家は霧に透けた屋根がばら色に見えるので「小さなバラ色の家」と呼ばれ、幸福な画家とされている。亡くなるときは、「逆光の裸婦」などに描かれた妻(愛称マルト)も亡くなっており、孤独に暮らしたということだ。あんずの木は昔生家にもあって、この花のやさしさは子どもの心を癒したと思う。
「ボナールとマルト」のフランス映画が今年9月24日日本で公開されたということだが、見たかったな。最近ボナールの人気が高まっているようだ。

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