コッツワルズ
★水澄んで白鳥軽く流れくる 正子
○今日の俳句
朝霧が包む港に汽笛鳴る/高橋秀之
素直な句で、朝霧に鳴る汽笛がのびやかに聞こえる。朝霧に包まれた港がこれから動き出そうとしているのであろう。(高橋正子)
○野菊
野菊は、野に咲く菊を総じて大まかに言うらしい。最近、野菊の存在を忘れそうになった。野菊について書こうと思い出したのは、イングランドの高速道路わきに、たくさん薄紫の野菊が咲いていたからだ。四国に住んでいたころは、嫁菜が多かった。野紺菊と比べ花弁が欠けたような咲き方をした。野紺菊のほうが、美しい。園芸種の紺菊が栽培されて、ごくごく淡い薄紫の野菊は、最近はまれにしか見ていない。「野菊」と聞けば伊藤左千男の「野菊の墓」を思い出す方もおられようが、今も読まれているのかどうか。そして、次に思い出されるのが、文部省唱歌の「野菊」。すっかり忘れていたが、これもイングランド旅行で記憶が蘇った。
<遠い山からふいて来る
こ寒い風にゆれながら、
けだかく、きよくにほふ花。
きれいな野菊、うすむらさきよ。>
たぶんこうであったろう。「けだかく、きょく」が尊ばれたころの歌。この歌を忘れられると同時にこの価値観も失われたか。イングランドの高速道路の脇に野菊がきれいに咲き残っていたのが、不思議なほどだ。
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