⑥夏雲に海は青さを極めけり/吉田 晃 (4点)
2024年月例ネット句会最優秀句決定
⑥夏雲に海は青さを極めけり/吉田 晃 (4点)
01.いにしえの戦は枯野の城址かな
02.窓硝子せんべい汁の湯気の粒
03.椅子を重ね空いたところの冬日かな
04.綿虫や想い出遠くなりいたる
05.水鳥の飛沫あげつつ又来たり
06.あおぞらに?然としたる冬紅葉
07.見事なる赤城のすそ野熊眠る
08.みすずかる信濃の湖の小白鳥
09.空風や天のすみずみ晴渡る
10.紅葉の映える御在所妻と観る
11.冬の陽が海を染めあげ群青に
12.星空が輝く冬の夜明け前
13.裸木のトンネルとなり段葛
14.時々は見知らぬ鳥や冬の川
15.開戦日停戦続く国のあり
16.天竜の川あおあおと冬はじめ
17.京を過ぐ車窓に時雨ふりかかり
18.冬港止水のごとく潮が照り
19.揺する影 紐の先には 白き肌
20.干し柿や旅路の果てに故郷(くに)想う
21.叱られてゆうにさみしくなばな摘む
22.時雨るるを鳥渡りゆく佐田岬
23.冬銀河見上げ夜業の門を出で
24.蜜柑一つ持てば炬燵の暖かき
25.枇杷の花咲き初む川沿いの道に
26.冬の鵙いまは静かに止まりおり
27.針葉樹の上の冬空青々と
28.毛糸帽深く被りてカフェ巡り
29.ストーブの炎に和む夜の読書
30.読みかけの図書を返却十二月
31.コック像へ冬薔薇の束名店閉ず
32.雲晴れて石鎚全き雪嶺に
33.冬麗の新たな一歩吾子新郎
34.新しきブーツの音は街中に
35.冬帽子編まれた糸のやわらかさ
36.冬夕焼け真っ白な壁に夫婦の影
※互選をはじめてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。
▼互選・入賞・伝言
①互選期間:12月8日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:12月9日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、12月9日(月)正午~
12月12日(木)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:髙橋句美子・西村友宏
【銀賞/2句】
21.山気浴び手綱をつける秋の馬/柳原美知子
馬肥える秋である。山の乗馬場か。清涼な山の空気を浴びて、馬が手綱をつけている。馬の体もつやつや光ってたくましい。また静かさもあって、馬の存在感大である。(髙橋正子)
36.あの黄色石蕗の花に違いなく/多田有花
枯が進む中で、石蕗の花の黄色は目立つ。その黄色は、澄んでいて、力強い。遠くから、まだよくわからないところからも、黄色を見つけ、石蕗の花と確信する。(髙橋正子)
【銅賞/3句】
18.薄青の空暖かな窓の冬/吉田晃
窓から見える穏やかな冬の日が快く詠まれている。部屋の窓からの眺めは毎日の眺めであるが、天気により、また気持ちの持ちようにより、日々変わる眺めでもある。(髙橋正子)
26.リツトウの響きの通り冬来る/川名ますみ
「リツトウ」とカタカナで書いてあるのは、音に出して言うためであろう。「リットウ」と言葉に出して言ってみると、力強く、きっぱりとした音に聞き取れる。ピアニストの作者であるだけに、音で冬の到来をとらえた鋭敏な句と思う。(髙橋正子)
32.朝が来て富士山頂の初冠雪/髙橋句美子
朝が来て、富士山を見ると初冠雪の姿が見えた。富士山が見えるところに住むと、富士山は日々、自然と心の中心的な山になっている。初冠雪は新しい季節の到来を示し、嬉しいものである。新鮮な句。(髙橋正子)
【髙橋正子特選/7句】
16.水脈競い秋青海へ漁の船/吉田晃
秋晴れの青い海に真っ白い水脈が長く短く輝く美しい景色が目に浮かび、漁師達の力強い声が聞こえてきそうです。(柳原美知子)
23.栗菓子や特急列車の並び席/高橋秀之
おそらく遠くまで行くのでしょう。特急列車の並び席で広げられた栗菓子が、甘い匂いときれいな形を見せています。いかにも楽しそうな、秋の旅が浮かび、わくわくします。 (川名ますみ)
32.朝が来て富士山頂の初冠雪/髙橋句美子
今年の秋は残暑の期間が長く、冬は本当にやってくるのだろうか?と思って居た作者です。とある朝になり、漸く富士山の初冠雪を眺めました。例年より」一ヶ月遅れとは言え、少し安堵の作者です。(桑本栄太郎)
18.薄青の空暖かな窓の冬/吉田晃
19.谷水の音に紛れずちちろ鳴く/柳原美知子
26.リツトウの響きの通り冬来る/川名ますみ
36.あの黄色石蕗の花に違いなく/多田有花
【髙橋句美子特選/7句】
03.毬栗の落ちたる先の子犬かな/小口泰與
毬栗や子犬の様子が浮かぶ動きのある句です。 (髙橋句美子)
05.柿すだれ峡の村なる母のさと/桑本栄太郎
桑本さまの故郷は確か山陰でしたね。昔ながらの日本の「ふるさと」がまだそこにたっぷり残っている気がします。 (多田有花)
15.水替える黄菊のつんと匂うなり/髙橋正子
花瓶の水を代える時、菊に手を伸ばすと、部屋の中に広がっていた匂いではなく、「つん」とした匂いが鼻孔をつつく。菊の花の強い香に、改めて小さく驚いている作者なのだろう。 (吉田晃)
22.風に舞う落ち葉の先に青き空/高橋秀之
都会でも街路樹が色づき、落葉を開始して季節の移り変わりを知らせてくれます。マフラーに首をうずめた人が行き交う季節も間もなくです。 (多田有花)
27.濠に三つ小さき輪を生む小さき鴨/川名ますみ
マガモでしょうか。北の大地からはるばるやってきた冬の使者。濠に落ち着いて小さな水輪を生み出しています。 (多田有花)
【入選/8句】
01.古き山古き河川に秋の月/小口泰與
山川も月もすべて何億年、何十億年という歳月の中に会って常に新鮮です。縄文人もここにいて、月を見上げただろうなあなどと思います。 (多田有花)
07.背に肩に紅葉散りたる古き寺/廣田洋一
「背に肩に」という表現で紅葉が散る光景の臨場感が伝わってきました。古いお寺と言う場所も相まって、晩秋の寂しさと風情ある雰囲気を感じました。 (西村友宏)
12.小春日や新チーム白きユニホーム/上島祥子
パッと思い浮かんだのがサッカーのユニホームでした。(子どもたちは学生時代サッカーしていたもので)小春日の新チーム結成、真新しいユニホームは、どの競技でも新鮮ですね。 (高橋秀之)
17.玄関を出る靴音の軽い秋/吉田 晃
颯爽とお出かけになる姿が思い浮かびます。ありふれた日常の中に感謝と嬉しさを感じさせる一句だと思いました。 (上島祥子)
28.皮むけば房がふっくら紅みかん/ 西村友宏
先日、木からもぎとって蜜柑を食べました。さっきまで太陽に照らされていた房にはほんのり温みが残っていました。「ふっくら」に蜜柑の甘さと美味しさが詰め込まれていますね。 (多田有花)
30.取れたての柿の冷たさ朝の風/西村友宏
庭に柿があるのでしょうか。朝晩は冷えるようになりました。柿の実の冷たさにその寒さを感じる。そんな朝の様子がうかがえます.。 (高橋秀之)
朝の冷たい風の中に今年も沢山の柿が豊作を知らせてくれている。その柿を一つとってみると冷風を浴びた柿の冷たさが伝わってくる。さぞかしおいしい柿だろうと楽しみにしている作者の顔が浮かんでくる。(小口泰與)
35.草むらを小春日和のてんとう虫/多田有花
草むらの中を歩くてんとう虫に小春日和の優しい日差しが差しこむ、穏やかな秋を感じました。 (高橋秀之)
34.凩の中をゆくなり郵便夫/多田有花
13.初鴨の数をかぞえて座りおり
■選者詠/髙橋句美子
31.湯豆腐に薬味きりりと夜深し
夜が更けてから湯豆腐を食べた。疲れを取るために、辛いか酸っぱいか濃い味を付ける為に薬味をたっぷり使った様子が良く見える。薬味きりりとが良い。 (廣田洋一)
32.朝が来て富士山頂の初冠雪
今年の秋は残暑の期間が長く、冬は本当にやってくるのだろうか?と思って居た作者です。とある朝になり、漸く富士山の初冠雪を眺めました。例年より」一ヶ月遅れとは言え、少し安堵の作者です。(桑本栄太郎)
33.小春日にパンケーキ焼け夫を呼ぶ
「小春日」「パンケーキ」が暖かい雰囲気で、焼き上がりが満足のいくものであったことがうかがえます。さあいただこう、とご主人を呼ばれた声の弾み具合も伝わってきます。(多田有花)
●互選最高点句(5点)
15.水替える黄菊のつんと匂うなり/髙橋正子
集計:髙橋正子
※コメントのない句にコメントをよろしくお願いします。思ったこと、感じたこと、ご自由にお書きください。
11.南天の影の揺らめき長談義
12.小春日や新チーム白きユニホーム
13.初鴨の数をかぞえて座りおり
14.夕鵙のキチキチキチキチ長鳴けり
15.水替える黄菊のつんと匂うなり
16.水脈競い秋青海へ漁の船
17.玄関を出る靴音の軽い秋
18.薄青の空暖かな窓の冬
19.谷水の音に紛れずちちろ鳴く
20.三日月と金星光り合う残照
21.山気浴び手綱をつける秋の馬
22.風に舞う落ち葉の先に青き空
23.栗菓子や特急列車の並び席
24.金曜日月を眺めて酔い覚まし
25.薄紅葉に包まれ走る通院路
26.リツトウの響きの通り冬来る
27.濠に三つ小さき輪を生む小さき鴨
28.皮むけば房がふっくら紅みかん
29.露寒く朝の洗顔水痛し
30.取れたての柿の冷たさ朝の風
31.湯豆腐に薬味きりりと夜深し
32.朝が来て富士山頂の初冠雪
33.小春日にパンケーキ焼け夫を呼ぶ
34.凩の中をゆくなり郵便夫
35.草むらを小春日和のてんとう虫
36.あの黄色石蕗の花に違いなく
【銀賞/2句】
02.トンネルのさきは秩父の秋の雲/弓削和人
トンネルのさきに山国秩父の空に秋の雲が見える。すっきりと詠みあげた景色に秩父を旅をゆく抒情が感じられる。(髙橋正子)
30.曼珠沙華畦を描いて空真青/柳原美知子
畦にそって咲く曼殊沙華であるが、それは、曼殊沙華が畦を縁取り描いているのだと見る。青空を背景に咲く畦の曼殊沙華の姿が鮮やかである。(髙橋正子)
【銅賞/3句】
93,窓枠に星の散りゆく夜さむかな弓削和人
窓枠を額縁とした星のちらばる画である。この句の一番の良さは、「よさむ」である。「よさむ」であるからこそ、窓は透き通り星の煌めきがみえるのだ。(髙橋正子)
26.炙りたる銀杏売られ八幡宮/廣田洋一
大銀杏、また隠れ銀杏で知られる鎌倉の鶴岡八幡宮のことであろうが、樹齢1000年と言われる大銀杏は平成22年の春の嵐で倒伏してしまった。根が生きていたので、手当を施し、その根から若木だ育ってかなり生長しているという。大銀杏に因んで売られる炙り銀杏が観光地の秋の深まりを感じさせてくれる。(髙橋正子)
39.手に取ればずしりと重し赤林檎/西村友宏
手に取った林檎が見た目の重さより重く、「ずしり」と感じたおどろき。赤林檎がおどろきの強さを強めている。技巧のない句だが、実感が強いのがいい。(髙橋正子)
【髙橋正子特選/7句】
02.トンネルのさきは秩父の秋の雲/弓削和人
トンネルの向こうは晴れています。ここは秩父、半円形のトンネルの出口の向こうに青空と白雲。その光景を簡潔によまれてすっきりと気持ちがいいです。(多田有花)
視界が開け、秋の秩父の山が鮮やかに迫る。そんな風景がすっと頭に浮かび、明るさや気持ちよさを感じることができる。心が開かれた気持になった。(吉田晃)
12.秋の朝見上げた青空一番機/上島祥子
飛行機は列車と違い24時間空を飛んでるはずなのですが、爽やかな朝いちばんに大空を飛ぶ飛行機を一番機と感じる気持ちに澄み渡った秋空と秋の朝の気持ちよさを感じます。 (高橋秀之)
19.鵙猛る午後の強風正面に/多田有花
小さな鵙が強風を真正面に必死に受けている様に小さき生命の強さを思う事が感じられました。 (上島祥子)
鵙が強風に抗っている姿を「猛る」と表現することで、勇ましさを感じ津力強い光景がうかびました。 (西村友宏)
32.ゆるやかな坂の果なり秋の雲/川名ますみ
澄みきった秋の空気にゆるやかな坂の果てまで見通せる心地よさ。そこには真っ青な空と白い秋の雲がぽっかりと浮かんでいて、待ってくれているようです。牧歌的な光景に心和むようです。(柳原美知子)
26.炙りたる銀杏売られ八幡宮/廣田洋一
30.曼珠沙華畦を描いて空真青/柳原美知子
39.手に取ればずしりと重し赤林檎/西村友宏
【髙橋句美子特選/7句】
03,窓枠に星の散りゆく夜さむかな弓削和人
窓枠が小さな絵画のようだと感じました。(髙橋句美子)
04.蜻蛉のつんつん水面翔けにけり/小口泰與
蜻蛉が3段飛びでもするように水面を飛ぶ様子が「つんつん」に表されていて面白いですね。生き物への温かい視線が感じられます。(柳原美知子)
17.日にそよぎてらてら赤き曼殊沙華/髙橋正子
20.烏瓜朱をあざやかに風の中/多田有花
26.炙りたる銀杏売られ八幡宮/廣田洋一
30.曼珠沙華畦を描いて空真青/柳原美知子
39.手に取ればずしりと重し赤林檎/西村友宏
【入選/10句】
05.鈴の音のひときわ高き秋の猫/小口泰與
暑さも和らぎ猫の動きも活発になり、首輪の鈴も空気の澄んだ秋空に響き渡っているのでしょう。(高橋秀之)
07.ついと前ついと前へと赤とんぼ/桑本栄太郎
止まっていたかと思えば前へと進む、赤とんぼ。その動きがリアルにリズミカルに描写された、好きな句です。(川名ますみ)
15.居酒屋で友と分け合い秋刀魚食う/高橋秀之
今年のサンマは豊漁とか。歴史的な不漁が続いていて庶民の魚とはいえなくなりつつありました。それが今年は復活。気の置けない友人とサンマを肴に居酒屋で一杯、いいですね。(多田有花)
22.草軽く枯れて雀ら遊ぶ野へ/吉田 晃
夏はしっかりとしていた草地が秋になり軽い枯れ草になって草地が今は雀らの遊び場に変わりました。これも季節の移ろいの一場面なのでしょう。(高橋秀之)
23.さざ波に浸るフジツボ磯は秋/吉田 晃
そうだなあ、磯は秋なんだなあと御句を一読して感じました。フジツボという地味なもの。それがさざ波に洗われているさまに目をとめられたこと。
これらに新鮮なものを感じました。(多田有花)
31.工場に若木植えられ秋高し/川名ますみ
秋高しという清々しい季語と若木が響きあって気持ちのいい御句です。工場の周囲に植えられた若木たちはこれからすくすくと育ちそこで働く人たちや周囲を行き交う人たちに心地よい木陰を提供するでしょう。(多田有花)
37.やわらかくやわらかく秋夜のストレッチ/西村友宏
長い残暑から急に朝夕は冷え込むようになり、体もうまく調節ができず固くなっています。やわらかくと念じながらストレッチに励まれる充実した秋の夜のひと時。素敵な一日の終わりですね。(柳原美知子)
10.早起きや群れ翔ぶ蜻蛉の胴は赤/上島祥子
28.葉隠れに葛咲く雨の土手を墓へ/柳原美知子
33.秋空を目指せば坂のひろびろと/川名ますみ
■選者詠/髙橋正子
16.うす紅葉金の御身の九品仏
浄真寺の三品堂に祀られる御仏は全て黄金色で、外のうす紅葉を引き立てる。金の御身が良い。 (廣田洋一)
17.日にそよぎてらてら赤き曼殊沙華
18.星あかり地に棲む小さきものの声
■選者詠/髙橋句美子
34.晴れた日の並木の道を舞う落葉
35.朝が始まる水にどぼんと赤林檎
36.高窓の陽が差す私の白マフラー
●互選最高点句(5点/同点2句)
19.鵙猛る午後の強風正面に/多田有花
02.トンネルのさきは秩父の秋の雲/弓削和人
集計:髙橋正子
※コメントのない句にコメントをよろしくお願いします。思ったこと、感じたこと、ご自由にお書きください。
11.出迎えの薄羽きとんぼ市営墓地
12.秋の朝見上げた青空一番機
13.実家から貰いし柿の甘きこと
14.ひんやりと感じる風は秋の朝
15.居酒屋で友と分け合い秋刀魚食う
16.うす紅葉金の御身の九品仏
17.日にそよぎてらてら赤き曼殊沙華
18.星あかり地に棲む小さきものの声
19.鵙猛る午後の強風正面に
20.烏瓜朱をあざやかに風の中
21.秋祭り子ども屋台が練り歩く
22.草軽く枯れて雀ら遊ぶ野へ
23.さざ波に浸るフジツボ磯は秋
24.訳あって笊山盛りの青蜜柑
25.新米や納豆巻の夕餉とす
26.炙りたる銀杏売られ八幡宮
27.敗荷や鯉の動きは変わらずに
28.葉隠れに葛咲く雨の土手を墓へ
29.トラックに新米満載農ら笑む
30.曼珠沙華畦を描いて空真青
31.工場に若木植えられ秋高し
32.ゆるやかな坂の果なり秋の雲
33.秋空を目指せば坂のひろびろと
34.晴れた日の並木の道を舞う落葉
35.朝が始まる水にどぼんと赤林檎
36.高窓の陽が差す私の白マフラー
37.やわらかくやわらかく秋夜のストレッチ
38.風邪の喉柿の甘さが染みる朝
39.手に取ればずしりと重し赤林檎
※互選をはじめてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。