◆入賞発表/端午ネット句会◆


■2016年端午ネット句会■
■入賞発表/2016年5月5日

【金賞】
★パレードの青き空飛ぶ夏つばめ/佃 康水
青空の下をにパレードの行進がほがらに進む。夏が来たばかりの青い空をつばめがパレードをかすめるように飛ぶ。浮き浮きする光景だ。(高橋正子)

【銀賞2句】
★大空に雲なき朝の鯉のぼり/高橋秀之
朝の大空には雲が一つもなく、鯉のぼりがさわやかに泳いでいる。おおらかで、さっぱりとした句だ。その句意は、そのまま男の子にも望みたい精神だ。(高橋正子)

★菖蒲の葉八百屋のバケツに青々と/高橋句美子
八百屋に、端午の節句用の菖蒲が青々と売られている。菖蒲を売るための入れ物は、バケツで間に合わせているが、菖蒲とバケツの取り合わせが庶民的で、誰もが、邪気を払い健康を願うにふさわしい。(高橋正子)

【銅賞3句】
★盛り上がりもりあがり咲くモッコウバラ/祝恵子
モッコウバラは、棘がなく、小さな可憐なクリーム色の花を咲かせる優しい花だ。白い花もあるが、どちらの花も旺盛に蔓をのばし、花を「もりあがる」ようにつけて美しい。旺盛な花の生命力は、やはり、夏のものだ。(高橋正子)

★鯉幟尾をつかまんと子ら跳ねる/廣田洋一
鯉幟を立ててもらった子らは、風に泳ぐ鯉幟の尾を捕まえようと、飛び跳ねる。吹かれれば吹かれるほど、しっぽを掴みたくなるのだ、子供だ。鯉幟に無邪気に遊ぶ子らが健やかだ。(高橋正子)

★ポケットに豌豆ずっしり持ち帰る/井上治代
畑に植えた豌豆が収穫できるようになった。少し摘むつもりだったのだろうが、たくさん莢を付けた豌豆をついつい摘んで、エプロンのポケットだろうか、「ずっしり」となるほど摘んで持ち帰った。うれしい収穫だ。(高橋正子)

【高橋信之特選/7句】
★せせらぎにカエル探して子らの声/河野啓一
一昔前は普通の光景だったですが、今は珍しい光景となりました。自然の風情を思い出しました。(高橋秀之)
さらさらと流れる川で遊んでいる子ども達。「カエル見ーつけた」と言っている明るい声が青空へ響いています。この子ども達の未来が明るく輝いてほしいと思いました。(井上治代)

★鯉幟尾をつかまんと子ら跳ねる/廣田洋一
幼稚園か保育園でしょうか。節句の行事でのほほえましい光景が目に浮かぶようです。 (河野啓一)

★盛り上がりもりあがり咲くモッコウバラ/祝恵子
★綱張って吹かれ吹かれる鯉のぼり/高橋正子
★大空に雲なき朝の鯉のぼり/高橋秀之
★菖蒲の葉八百屋のバケツに青々と/高橋句美子
★ポケットに豌豆ずっしり持ち帰る/井上治代

【高橋正子特選/7句】
★菖蒲の葉八百屋のバケツに青々と/高橋句美子
つんと伸びた青々とした菖蒲の葉、店先で私も見かけました。 (祝恵子)

★雨粒を抱きてばらの咲きはじむ/祝恵子
ばらの種類は様々で色彩的にも豪華なものが多いですね。雨粒を抱けばそのばらの色を透かせて、瑞々しくまた美しく真珠の様に光っています。これからがばらの最盛期となり楽しみですね。(佃 康水)
薔薇に限らず、花は咲く前に大きく膨らむ。その時に降った雨粒を抱いて弾きながら開花する瞬間を切り取った美しい句です。 (廣田洋一)

★あやめ直立して遠からず近からず/高橋信之
あやめは緑色の剣状の葉の間から40~50センチの茎を伸ばして紫や白の花を咲かせますが、花茎が長いので直立している様にも見えます。恐らく手入れが行き届いた場所と思われますので、むやみに近づくことも出来ない。しかし鑑賞するには程ほどの距離に有って、さぞ美しいあやめをご覧になられたことでしょう。(佃 康水)

★玉ねぎの香りとともに掘り起こす/古田敬二
新玉ねぎの収穫の時期になって参りました。掘り起こすと玉ねぎ独特の香りがして、元気になる様な気が致します。私たちにとっても玉ねぎは貯蔵も効くので年間を通しての貴重な食品です。掘り起こす玉ねぎの香りに収穫の喜びが伝わって参ります。(佃 康水)

★大空に雲なき朝の鯉のぼり/高橋秀之
★パレードの青き空飛ぶ夏つばめ/佃 康水
★ポケットに豌豆ずっしり持ち帰る/井上治代

【入選/8句】
★あちこちにゆったり泳ぐ鯉のぼり/迫田和代
あちらこちらに鯉のぼりがゆったりと泳ぎ、さわかかな天気がつづく。日本な日本に子供たちがすくすく育つことを願う。(高橋正子)
俳句のお蔭であちこちの鯉のぼりがゆったりと泳いでいるのが目に入り嬉しくなりますね。子供たちの元気な成長を願うばかりです。作者の平穏な温かい眼差しが見えて参ります。(佃 康水)

★夏は来ぬ瀬戸に白帆のつぎつぎと/河野啓一
新緑の心地よい季節に南風が緑の上、水の上を渡って匂うような爽やかな瀬戸の海を白い帆に風をいっぱいに含んだヨットが次々に走っている素敵な景ですね。(小口泰與)
丘から見下ろす瀬戸内海。どこからともなくヨットが次々に増えて浮かぶ。青空と紺碧の瀬戸内海の初夏の風景が鮮やか。 (古田敬二)

★筍の柔らかさ噛み母の味/高橋句美子
昨日我が家は筍ごはんだったが旬を味わいました。お母さんの炊かれた筍の味をなつかしく思い出されているのだろう。初夏の季語に筍が効いていると思いました。(満天星)

★つる薔薇の翳なす庭に茶の用意/高橋正子
手入れの行き届いたつる薔薇でしょうか?フェンスに這わせ,可愛い花のアーチ等もよく見かけます。沢山の花で翳をなしている庭に、「どうぞゆっくり観て下さい」とおもてなしのお茶まで用意して有るのでしょうか?花を大事にされる心豊かな住人に、見せて頂く側の人達も心が温まります。(佃 康水)

★眠き児へ父膝枕こどもの日/ 佃 康水
こどもの日の家族そろってお出掛けの光景であろうか?電車、バスの中でも子供は眠たくなり、父親がそっと膝枕のようである。子供にとってお父さんの優しい想い出となる事でしょう。 (桑本栄太郎)

★菖蒲葺く軒の低さよ藁の屋根/ 桑本栄太郎
端午の節句に、屋根に菖蒲の葉をたばねて載せて厄除け祈念すると聞いたことがありますが、藁葺きの低い屋根であってこそなのですね。古来の風習の由来を有り難く納得できました。(河野啓一)

★はこべらに子山羊の瞳めんこいよ/小口泰與
春から初夏にかけて野山でスキップでもしている気分にさせられます。童謡を歌っているような愉しい一句です。(河野啓一)

★ブラシの花が赤く咲き夏は来ぬ/谷口博望(満天星)
ブラシの花は、目にしたことのない方が多いかもしれないが、試験管ブラシのような形状の赤い花で、南国の雰囲気が漂う。青空にこの花が揺れるとと「夏は来ぬ」という思いになる。(高橋雅子)

■選者詠/高橋信之
★水芭蕉の白の世界へためらい入る
昔、北海道網走湖畔で野道を歩いていて水芭蕉の群落に出合いました。その時の詩情と感激を想い出しました。まさに「ためらい入る」という気持ちで、自然の素晴らしさと秘やかさに畏敬の念を抱きます。(河野啓一)

★あやめ直立して遠からず近からず
あやめは緑色の剣状の葉の間から40~50センチの茎を伸ばして紫や白の花を咲かせますが、花茎が長いので直立している様にも見えます。恐らく手入れが行き届いた場所と思われますので、むやみに近づくことも出来ない。しかし鑑賞するには程ほどの距離に有って、さぞ美しいあやめをご覧になられたことでしょう。(佃 康水)

★寺苑に咲いているあやめの縞模様

■選者詠/高橋正子
★つる薔薇の翳なす庭に茶の用意
手入れの行き届いたつる薔薇でしょうか?フェンスに這わせ,可愛い花のアーチ等もよく見かけます。沢山の花で翳をなしている庭に、「どうぞゆっくり観て下さい」とおもてなしのお茶まで用意して有るのでしょうか?花を大事にされる心豊かな住人に、見せて頂く側の人達も心が温まります。(佃 康水)

★薔薇垣の二軒に早き朝が来る
★綱張って吹かれ吹かれる鯉のぼり

■互選高点句
●最高点句(6点)
★09. 夏は来ぬ瀬戸に白帆のつぎつぎと/河野啓一

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/高橋正子)
※コメントのない句にコメントをお願いします。

◆端午ネット句会清記◆

2016年5月5日
■■端午ネット句会清記
14名42句

01. 父が居て母が居てこそこどもの日
02. 菖蒲葺く軒の低さよ藁の屋根
03. 八幡太郎義家風に旗めき幟立つ
04. こどもの日似顔絵飾る爺と婆
05. 九条は日本の宝こどもの日
06. ブラシの花が赤く咲き夏は来ぬ
07. せせらぎにカエル探して子らの声
08. まほろばの大和三山五月晴
09. 夏は来ぬ瀬戸に白帆のつぎつぎと
10. はこべらに子山羊の瞳めんこいよ

11. 絵本開け文字無き余白しゃぼん玉
12. 藤房や滂沱の雨のくさり樋
13. 盛り上がりもりあがり咲くモッコウバラ
14. 雨粒を抱きてばらの咲きはじむ
15. くじ引きの三等賞は朱のメダカ
16. 綱張って吹かれ吹かれる鯉のぼり
17. つる薔薇の翳なす庭に茶の用意
18. 薔薇垣の二軒に早き朝が来る
19. 水芭蕉の白の世界へためらい入る
20. あやめ直立して遠からず近からず

21. 寺苑に咲いているあやめの縞模様
22. 目の前をすっと飛び抜く初燕
23. 大空に雲なき朝の鯉のぼり
24. 葉桜の作る木陰で立ち話
25. まっすぐに伸びるを見てよと今年竹
26. 玉ねぎの香りとともに掘り起こす
27. 膨らめり鮮やか蔓にさやえんどう
28. 菖蒲の葉八百屋のバケツに青々と
29. 初夏の夕風に向かって散歩する
30. 筍の柔らかさ噛み母の味

31. 鯉幟尾をつかまんと子ら跳ねる
32. 子らの声久しく聞かぬ子供の日
33. 夏空に真白き壁の小田原城
34. パレードの青き空飛ぶ夏つばめ
35. ボート乗せ瀬戸ゆく船や夏来る
36. 眠き児へ父膝枕こどもの日
37. あちこちにゆったり泳ぐ鯉のぼり
38. 目も痛い鮮やかな新緑の中を行く
39. 雨もやみ朝日にひかる山笑う
40. 肱川の流れ豊かに夏は来ぬ
41. 子どもの日明るき声が木霊する
42. ポケットに豌豆ずっしり持ち帰る

※互選を開始してください。
①選句期間:5月5日(木)午後6時~午後9時
②入賞発表:5月6日(金)午前10時
③伝言・お礼等の投稿は、5月6日(金)午前10時~5月7(土)午前10時

●端午の節句(5月5日、こどもの日・立夏)ネット句会のご案内●


●端午の節句(5月5日、こどもの日・立夏)ネット句会のご案内●

①花冠会員・同人であれば、どなたでも投句が許されます。花冠会員・同人以外の方は花冠発行所にお申し込みください。
②当季雑詠(端午・夏の句)計3句、端午・こどもの日などの句を下の<コメント欄>にお書き込みください。
③投句期間:2016年5月3日(火)午前0時~5月5日(木)午後6時
④選句期間:5月5日(木)午後6時~午後9時
⑤入賞発表:5月6日(金)午前10時
⑥伝言・お礼等の投稿は、5月6日(金)午前10時~5月7(土)午前10時

○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之

◆ご挨拶/花祭りネット句会(句会主宰:高橋正子)◆

花祭り句会にご参加いただき、ありがとうございました。今回は12名の方がご参加くださいました。入賞の皆さまおめでとうございます。選とコメントをありがとうございました。
昨日は川名ますみさんの俳句とご友人の写真のコラボレーション展を信之先生と見に行きました。いい俳句が選ばれていて、俳句の力を感じて帰りました。その勢いが今回の金賞の句となったのかなとも思えました。何事にも、山あり谷あり、上げ調子のときも、そうでないときもありますが、それはあまり気にせず、細く長く作っていれば、きっといいこともあるでしょうと、思います。

昨日は雨でしたが、今日は雨もあがり、静かな日差しが注いでくれた灌仏会でした。私は、近所にある天台宗のお寺、金蔵寺へ参りましたが、境内にはまだ桜が咲き残って寺の大屋根を飾っていました。参道は、桜大門と名前がつけられ、桜のトンネルとなっていますが、大方は散り急ぐように、しきりに花びらを降らせていました。花御堂の脇に。ポットに甘茶が入れられていましたので、少しいただきました。温かくて、花冷えの境内では、ともておいしかったです。花御堂は今年も境内の桜が飾られていました。それに、シックな薔薇の花も飾られ、ちょっと驚きましたが、薔薇も似合っていました。近年は花祭りをしないお寺もあると聞きますが、釈迦誕生を祝う祭りは、甘茶とお花だけの心鎮まる祭りで、続くことを願っています。花御堂に花を飾るのを手伝っ昔がしのばれる日でした。たしか、れんげやたんぽぽも飾った記憶があります。

句会の管理運営は信之先生がしてくださいました。大変お世話になりありがとうございました。これで、今年の花祭りネット句会を終わります。次の句会を楽しみに、ご健吟ください。

入賞発表/花祭りネット句会


■2016年花祭りネット句会■
■入賞発表/2016年4月8日

【金賞】
★青空へ吹かれ戻らぬ飛花あまた/川名ますみ
青空へ舞い散る桜。落花はやがて塵となってそこに留まるが、青空へ吹かれて飛ぶ花びらは、遠く運ばれ、戻ることはない。「戻らぬ飛花」への深い思い。(高橋正子)

【銀賞2句】
★八重椿屋根に載せたる花御堂/河野啓一
花御堂には、この今に咲く花がどりどり集められて飾られる。少し遅れて咲く、ぽったりとした八重椿も花御堂の花となる。寺のあるところに咲く花が集められ、花屋の花も買い足して花園のようだ。(高橋正子)

★式場のオルガンの音や春爛漫/井上治代
小さな幼稚園の入園式であろうか。それとも、結婚式であろうか。式場にオルガンが奏でられる。陽が照り、桜が咲き、オルガンが歌う今こそ春爛漫だ。(高橋正子)

【銅賞3句】
★桜散る大鐘楼を吹き抜けて/古田敬二
強い風に吹かれて大寺の桜がどっと散る。大鐘楼を吹き抜けて飛び行く様は豪快とでも言おうか。たっぷりと散りゆく花だ。(高橋正子)

★雑木林差し込む明かりと鶯と/祝恵子
雑木林は芽木で薄緑に染まっているだろう。陽の光はやさしく差し込み、鶯が麗しい声で鳴く。しばらくはこの林に居たくなる優しく明るい空間だ。(高橋正子)

★手づくりの生菓子回す花の宴/佃 康水
花の宴に、手作りの生菓子が回された。季節を象った生菓子であろうから、花の宴も一層ゆかしい宴になったことだろう。(高橋正子)

【高橋信之特選/7句】
★桜散る大鐘楼を吹き抜けて/古田敬二
今年の花流しは強風でしたから、境内の桜も、勢いよく散ったことでしょう。中でも「大鐘楼を吹き抜け」る飛花には、寂しさばかりでなく、清々しさを感じます。大鐘楼から響く鐘の音のように、どこまでも渡って行きそうな、広やかな心地です。(川名ますみ)

★パリパリの大きな制服入学式/高橋秀之
五月には、八十五歳の誕生日を迎えるのだが、それでも小学校や中学校の思い出は鮮明に残っている。いい思い出なのだ。(高橋信之)
入学する子供たちはまさに成長期、直ぐに体に合わなくなってしまうので少し大きめな制服を準備します。
「パリパリの大きな制服」にその様子が伺えると共に入学の喜びも伝わって参ります。(佃 康水)

★散り急ぐ花をくぐりて灌仏会/高橋正子
「灌仏会」そして「入学式」がある4月8日には、桜の花が咲き残っている。それを私は、うれしく思う。釈迦誕生と子等の入学を祝い、うれしく思う。(高橋信之)
見事な満開の花が早や急ぐかに散っています。散る桜をくぐって灌仏会に参詣、甘茶を注がれたのでしょうか。風情に満ちた美しい景色です。(佃 康水)

★手づくりの生菓子回す花の宴/佃 康水
「手づくり」であれば、「花の宴」の会話が盛り上がる。楽しい「花の宴」となる。(高橋信之)

★雑木林差し込む明かりと鶯と/祝恵子
横浜日吉に住んでいるのだが、近くに「四季の森」という名の公園があって、そこにも「雑木林」がある。私のお気に入りの散策の場所である。(高橋信之)

★八重椿屋根に載せたる花御堂/河野啓一
★青空へ吹かれ戻らぬ飛花あまた/川名ますみ

【高橋正子特選/7句】
★式場のオルガンの音や春爛漫/井上治代
春の日が輝きわたって、万象ことごとく柔らかく明るく美しくなか、結婚式の素敵なオルガンに仲の良い新郎新婦が現れ幸せいっぱいの景が素敵ですね。 (小口泰與)

★傘たたむ落花一片つけしまま/古田敬二
雨で散った花びらが傘についたままになっているのがきれいに感じるのは、この季節ならではの風情ですね。 (高橋秀之)

★あら虹と声をたぐれば桜咲く/祝恵子
アニメ映画のような意外性とユーモアが感じられ、印象的でした。満開の桜が目に浮かびます。 (河野啓一)

★夕桜風なくて散り吹かれ散り/川名ますみ
風がなくても、あっても、桜が散る。浅いところを見て、深いところを知るのだ。現象を見て、本性を知るのだ。(高橋信之)

★今日灌仏会寺苑に花びらを敷き/高橋信之
★八重椿屋根に載せたる花御堂/河野啓一
★青空へ吹かれ戻らぬ飛花あまた/川名ますみ

【入選/4句】
★芽吹く木に雨とどまりて光り落つ/川名ますみ
この時期の雨は草木にとっては新しい芽吹きを促す嬉しい雨ですね。その雨が芽吹いたばかりの葉っぱへ留めて光を放ち雫となって落ちました。美しい活き活きとした好きな句です。(佃 康水)

★花びらをつまむ幼児や花の昼/桑本栄太郎
散り初めた花弁をつまみ上げて、しげしげと眺める幼児。小さいお子さんも交えて一家団欒の花見の景が想像されます。のどかで笑いに満ちたひとときです。 (河野啓一)

★奥利根の風の硬しや夕桜/小口泰與
花冷えの頃の風は肌寒い感じがしますが、そのことを「風の硬しや」と表現された感覚がすばらしいと思いました。奥利根という地名もこの句にぴったりだと思います。 (井上治代)

★花祭甘茶所望の四十雀/満天星
四十雀が飛んできて、花御堂をちょんちょんとつつき、まるで「私にも甘茶をください。」と言っているような様子が可愛いなあと思いました。 (井上治代)

■選者詠/高橋信之
★花御堂に花あふれさせ手を合わす
字余りですが無理なく詠まれ詩情ゆたかな御句に成るほどと教えられました。花祭りの愉しさがあふれています。(河野啓一)

★今日灌仏会寺苑ひろびろとして晴れ
★今日灌仏会寺苑に花びらを敷き

■選者詠/高橋正子
★指先の滴がきらと甘茶仏
天上を指すお釈迦様の指先が甘茶できらと光ったという一瞬の光景を捕えて素晴らしい。 (満天星)
次々と甘茶をかけられるお釈迦様、指先に雫が春の日にひかり落ちているのを見つめている、細かい視点ですね。(祝恵子)

★花御堂日がほの甘く差しいたり
釈迦誕生の「花御堂」のやさしさを詠んで、「日がほの甘く差しいたり」と捉えた。作者独自の言葉がいい。(高橋信之)

★散り急ぐ花をくぐりて灌仏会

■互選高点句
●最高点句(6点)
★八重椿屋根に載せたる花御堂/河野啓一

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/高橋正子)
※コメントのない句にコメントをお願いします。

◆花祭りネット句会清記◆


2016年4月8日
■■花祭りネット句会清記
12名36句

01. 八重椿屋根に載せたる花御堂
02. 仏生会教えあまねく天と地に
03. れんげ咲く小川のほとりすみれ草
04. 花びらをつまむ幼児や花の昼
05. 花屑やライトアップの高瀬川
06. 散り際の色に出で居る桜かな
07. 展望台眼下は桜が一面に
08. 街灯に映える桜は七分咲き
09. パリパリの大きな制服入学式
10. 古稀迎え心安らぐ花祭り

11. 式場のオルガンの音や春爛漫
12. 夕月の白く輝き春おぼろ
13. 夕桜風なくて散り吹かれ散り
14. 青空へ吹かれ戻らぬ飛花あまた
15. 芽吹く木に雨とどまりて光り落つ
16. 欠番
17. 欠番
18. 欠番
19. 奥利根の風の硬しや夕桜
20. ごうごうの利根川(とね)や落花の限りなし

21. 翔つ鳥の合掌のさま山桜
22. 傘たたむ落花一片つけしまま
23. 池落花如意輪観音伏し目がち
24. 桜散る大鐘楼を吹き抜けて
25. あら虹と声をたぐれば桜咲く
26. 竹の秋音する方へ鹿威し
27. 雑木林差し込む明かりと鶯と
28. 散り急ぐ花をくぐりて灌仏会
29. 花御堂日がほの甘く差しいたり
30. 指先の滴がきらと甘茶仏

31. 花祭甘茶所望の四十雀
32. 対岸の紫荊恋うて昔色
33. 花吹雪もぬけの殻の城の堀
34. 今日灌仏会寺苑ひろびろとして晴れ
35. 今日灌仏会寺苑に花びらを敷き
36. 花御堂に花あふれさせ手を合わす
37. 坊守の急ぎ足さるる甘茶寺
38. 手づくりの生菓子回す花の宴
39. 咲き溢れ桜絵巻の錦帯橋

※互選を開始してください。

◆互選のご案内◆
①選句は、清記の中から5句を選び、その番号のみをお書きください。なお、その中の1句にコメントを付けてください。
②選句は、4月8日(水)午後6時から始め、同日午後9時までに済ませてください。
③選句の投稿は、下のコメント欄にご投稿ください。
※1) 入賞発表は、4月8日(水)午前10時
※2) 伝言・お礼等の投稿は、4月9日(木)午前10時~5月10日(金)午前10時です。

◆花祭り(4月8日、釈迦誕生の日)ネット句会のご案内◆

◆花祭り(4月8日、釈迦誕生の日)ネット句会のご案内◆
①花冠会員・同人であれば、どなたでも投句が許されます。花冠会員・同人以外の方は花冠発行所にお申し込みください。
②当季雑詠(花祭り・春)計3句、花祭り・桜の句などを下の<コメント欄>にお書き込みください。
③投句期間:2016年4月7日(木)午前0時~4月8日(金)午後6時
④選句期間:4月8日(金)午後6時~午後9時
⑤入賞発表:4月8日(金)午後10時
⑥伝言・お礼等の投稿は、4月8日(金)午後10時~4月9日(土)午前10時

◆ご挨拶/雛祭りネット句会(句会主宰:高橋正子)◆


ご挨拶
雛祭りネット句会にご参加いただき、ありがとうございました。入賞の皆さまおめでとうございます。
3月に入ってから、比較的暖かい日が続くようになりました。週末に向かって気温は上がっていくようですが、そのあと寒さが戻らなければいいのですが。今朝の新聞には上野公園のオオカンザクラが開いて花を見ながら通る人たちの写真が載っていました。桜や路地植えの桃が咲くまであと少しです。花桃ではない、実の生る桃の花は、ほんとうにきれいな桃色で、この桃の花の咲くのを楽しみにしています。今住んでいる日吉の丘に上れば桃畑があります。今月は、参加者が7名と少なかったのですが、雛祭りらしく、近くで話をしているような気持になった句会でした。来月の月例ネット句会は、花まつり(灌仏会)の4月8日(金)を予定しております。楽しみに、ご健吟ください。これで、雛祭りネット句会を終わります。

※金銀銅賞の皆さまには、上島祥子さんが提供してくださった和紙のシールをお送りいたします。お使いください。

入賞発表/雛祭りネット句会


■2016年雛祭りネット句会■
■入賞発表/2016年3月4日

【金賞】
★耕すやバケツに水をたんと張り/佃 康水
耕したあとにはすぐにも苗を植えたり、種を蒔いたりするのであろう。バケツに水をいっぱいにして、耕し始める。バケツにいっぱいにした水に春の暖かさ、うららかさが思われる。生き生きした句だ。(高橋正子)

【銀賞句】
★透けている和紙に包んだ雛あられ/迫田和代
和紙は、薄く漉かれて、包んだものがうっすらと透けて見える。雛あられの色が淡く和紙に透けてみやびだ。(高橋正子)

【銅賞句】
★青海苔のふりかけ芳し朝食に/井上治代
春寒のころの朝、炊き立てご飯に香りも芳しい青海苔を振りかけていただく。青海苔の香りがぷんとして、すがすがしい朝が始まる。春の朝のすがすがしさ。(高橋正子)

【高橋信之特選/6句】
★青海苔のふりかけ芳し朝食に/井上治代
美味しそう! 鮮やかな緑の青海苔を火に炙り熱々のご飯のお供に頂く。色も香りも高く一気に春の訪れを感じさせて頂きました。(佃 康水)

★空に向け桜さくらの坂道を/迫田和代
青空に向かって桜の花が咲き、美しい光景です。この句から何年か前に旅行した、吉野山の山桜の様子を思い浮かべることができました。 (井上治代)

★友からの写真は雛と幼き子/高橋秀之
子どもの健やかな成長を願う、明るく温かな家庭の様子が伺え、私も幸せな気持ちになりました。 (井上治代)

★雛の日の蛤濡れて売らるるよ/高橋正子
雛祭りのお祝いの膳にと売られる蛤、濡れて春潮の香りも漂うようです。貝合わせの雅な絵模様なども思われる雛の日のひと時です (柳原美知子)

★耕すやバケツに水をたんと張り/佃 康水

【高橋正子特選/6句】
★透けている和紙に包んだ雛あられ/迫田和代
和紙に包んだ雛あられ。緑や桃色、黄色と白、透けてとても愛らしい。見ても、食べても雛あられには特別な懐かしい思い出が甦って来た事でしょう。 (佃 康水)

★やさしさの光の中のひな祭り/高橋信之
少しずつ春らしくなり、自然もやさしい光に包まれるようになりました。ひな祭りのほのぼのとした様子が感じられます。 (井上治代)

★空に向け桜さくらの坂道を/迫田和代
★青海苔のふりかけ芳し朝食に/井上治代
★耕すやバケツに水をたんと張り/佃 康水
★豆雛寄せて楽しき段飾り/柳原美知子

【入選/2句】
★親と児の手を添え合うて雛流す/佃 康水
仲のいい親子なんでしょう。ほほえましい句ですね。手を添え合うて いいですね。 (迫田和代)

★指ほどの小さき雛と笑み交わす/井上治代
指ほどの豆雛を手にとると、その可愛らしさにおもわず笑みがこぼれる。優しさあふれる静かな雛祭りです。(柳原美知子)

■選者詠/高橋信之
★嫁がせし娘の雛飾るひな祭り
女の子のお孫さんがいらっしゃるのでしょう。代々受け継がれていく雛飾りが日本の大切な風習を思い起こさせてくれます。 (高橋秀之)

★ひなあられの袋に描かれ雛美し
★やさしさの光の中のひな祭り

■選者詠/高橋正子
★椿咲き心にほっとするものを
椿の種類は多く春を代表する神聖な木の意を込めて「つばき」に当てたという事を聞いたことが有ります。「生活する花達」の中にも詳しく解説されたり、自作の俳句も多いことなどから、作者の心には椿には特別な想いをお持ちなのでしょう。御句にその気持ちが頷けます。(佃 康水)

★雛の日の蛤濡れて売らるるよ
雛祭りのお祝いの膳にと売られる蛤、濡れて春潮の香りも漂うようです。貝合わせの雅な絵模様なども思われる雛の日のひと時です (柳原美知子)

★雛の日の宵の明かりに夕支度

■互選高点句
●最高点(4点)/同点2句
★透けている和紙に包んだ雛あられ/迫田和代
★青海苔のふりかけ芳し朝食に/井上治代

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/高橋正子)
※コメントのない句にコメントをお願いします。

◆雛祭りネット句会清記◆


2016年3月3日
■雛祭りネット句会清記
 7名21句

01.空に向け桜さくらの坂道を
02.透けている和紙に包んだ雛あられ
03.揺れながら土手の桜と舟の旅
04.指ほどの小さき雛と笑み交わす
05.青海苔のふりかけ芳し朝食に
06.道端のムスカリ一輪あたたか
07.友からの写真は雛と幼き子
08.就活の彼ら彼女ら春の服
09.早朝の街への日差し春めいて
10.母と児の手を添え合うて雛流す

11.相対すひいなや吾子と同い年
12.耕すやバケツに水をたんと張り
13.豆雛寄せて楽しき段飾り
14.贈られし雛にそれぞれ友の面
15.春の雪ふわりと窓に降りかかる
16.雛の日の蛤濡れて売らるるよ
17.雛の日の宵の明かりに夕支度
18.椿咲き心にほっとするものを
19.ひなあられの袋に描かれ雛美し
20.やさしさの光の中のひな祭り

21.嫁がせし娘の雛飾るひな祭り

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