■9月月例ネット句会/入賞発表


■2018年9月月例ネット句会■
■入賞発表/2018年9月10日

【金賞】
★夕影の池に伸びたり蓮は実に/多田有花
秋の声を聞くと、ものの影に変化がみられる。夕影が伸びて、実となった蓮池に届く。どこかもの淋しさが人の心にも湧く。その微妙な移ろいを「夕影」と「蓮は実に」に?んだ。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
★白葡萄薄き緑の平和かな/廣田洋一
白葡萄の薄い緑色は、透明感があり、芸術的とも思える気品がある。その趣を愛で、味わうことができるのも、今、平和であるからこそだ。薄き緑の白葡萄を平和の象徴とした。(高橋正子)

★川沿いに青どんぐりのころころと/髙橋句美子
川に添えば青いどんぐりがころがっている。台風で落ちたばかりであろうか。川の水の薄濁り、転がるどんぐりの青さが、目に浮かび、さわやかだ。(高橋正子)

【銅賞/3句】
★あおあおと青天の湖鵙高音/小口泰與
青天の湖と鵙の高音の取り合わせに、空の高さ、冷涼で澄んだ空気が肌で感じ取れるような句。鵙も青天があれば、どこからでも鳴くのだ。(高橋正子)

★小流れの音のさやけき田道かな/ 桑本栄太郎
小流れの音に耳を澄ます。さやかな音だ。その小流れが田道を流れ、散策する足元から、さやけさが湧くようだ。句に小流れのようなやわらかなリズムがあるのもいい。(高橋正子)

★水音の野に広がりて稲穂熟れ/柳原美知子
稲穂が熟れる。稲田に入っていた水を抜く水音か。どの田からも水音が聞こえる。熟穂と水音と、豊かな実りの秋がここにある。(高橋正子)

【高橋信之特選/7句】
★夕影の池に伸びたり蓮は実に/多田有花
初秋の夕方ともなれば、池の周囲のものの影が水面に映り、池の光景は尚更静寂となります。池の蓮も実となり、少しづつ秋の景色が深まります。(桑本栄太郎)

★川沿いに青どんぐりのころころと/髙橋句美子
風に吹かれてまだ青い小さなどんぐりが転がっていく音、澄んだ川の水音が聞こえてくるようで、爽やかな秋の訪れが感じられます。 (柳原美知子)

★台風禍会う人人と立ち話/祝恵子
台風21号は関空をはじめ関西に大きな被害をもたらしました。ご自宅周辺でも被害が出ていたのでしょう。
お互いの無事を確かめ合うひとときの立ち話です。(多田有花)
関西に甚大な被害をもたらした台風21号、お見舞い申し上げます。台風が過ぎ去り、道々に会う方とのふれあいに、あたたかく心安らぐ安堵感が伝わります。 (藤田洋子)

★猪が駆け去る台風過の山路/多田有花
有花さんは、増位山に毎日のように登られ、この日は、台風の後の山路だったが、猪が駆け去るのに出会った。猪も台風の間は、静かに様子を見ていたのかも知れない。野生の猪とのよい距離にいる、愉快さも。(高橋正子)

★あおあおと青天の湖鵙高音/小口泰與
★小流れの音のさやけき田道かな/桑本栄太郎
★白葡萄薄き緑の平和かな/廣田洋一

【高橋正子特選/7句】
★水音の野に広がりて稲穂熟れ/柳原美知子
野に流れる水音もさやかに、たわわに実った稲穂の嬉しさ。実りの秋を迎えての、清々しく広やかな光景に、季節の喜びが感じ取れます。 (藤田洋子)

★回覧板渡せば高々葉鶏頭/祝恵子
回覧板を手渡す時にふと触れた葉鶏頭。高々と生長した紅の葉が秋光に輝き鮮やかに目にうかびます。(柳原美知子)

★小流れの音のさやけき田道かな/桑本栄太郎
★夕影の池に伸びたり蓮は実に/多田有花
★今日良しと秋の花咲く萩その他/高橋信之
★白葡萄薄き緑の平和かな/廣田洋一
★川沿いに青どんぐりのころころと/髙橋句美子

【入選/句】
★今朝白露暦に記す帯祝い/藤田洋子
太陽暦の9月8日頃にあたるこの頃から秋気がようやく加わり、お嬢様でしょうか、お孫様でしょうか妊娠5ケ月目に安産を祈って岩田帯を着けるお祝いは嬉しい事ですね。おめでとう御座います。(小口泰與)
爽やかな秋の到来と新たなる命の到来。生まれ来る新しき命への祝句である。 (古田敬二)

★同じ空行ったり来たり秋の蝶/廣田洋一
夏と違い動きもゆったりと感じる秋の蝶が行ったり来たり飛ぶ光景が、爽やかな秋の空を一層引き立てます。(高橋秀之)

★吹き荒れる雨風去って見える秋/高橋成哉
台風がやっと去り、安堵して見あげた秋空が、ありがたく爽やかに思えます。(祝恵子)

★おしろいの色定まるや入日燃ゆ/小口泰與
秋の夕焼けが空を染める頃、おしろい花が静かに可憐な花を開き、薄暮に浮かび上がる美しい景が目に浮かびます。(柳原美知子)

★秋澄むや色の濃くありものの影/桑本栄太郎
秋のくっきりとしたものの影。秋の影の濃さは澄んだ空気がもたらすものですね。(多田有花)

★畦をあふれ木曽の稲田の実りかな/古田敬二
稔った黄金色の稲穂のさまがよくわかります。豊年の喜びですね。災害の多い今年であればその喜びは一層大きいでしょう。(多田有花)

★積乱雲空に広がり街覆う/髙橋成哉
街を覆うほどの積乱雲に、秋に入ってもまだまだ衰えない暑さがうかがえます。厳しい残暑にも仰ぐ空に、大きく湧く純白の雲が心広やかになれます。 (藤田洋子)

★山腹に秋灯点き初む木曽にいる/古田敬二
木曽の山々の山腹に灯が灯り始めるころ。秋の灯のなつかしさ、故郷へのあたたかな思いがある。(高橋正子)

★禅門の修行終えたり稲架の列/河野啓一
禅門の修行を終えて稲が刈られ稲架の列が並んでいる。古寺と稲のある奈良あたりの光景を思い浮かべた。(高橋正子)

★夕月を囲むがごとく鳥の群れ/ 河野啓一
夕月の周りを鳥の群れが飛んでいる。夕月の明かり、シルエットとなった鳥の群れ。日本画のような句だ。(高橋正子)

★シンガポールの夕暮れ遥か空高し/高橋秀之
シンガポールの旅。夕暮の空が遥かに、高く広がる。「空高し」の向こうに大阪の空を思ったのではないだろうか。(高橋正子)
★一杓の手水さやかに指伝う/藤田洋子
一杓の手水を使った。手水の水が指を伝うとき、さわやかな冷たさを感じだ。よいことがありそうな気持がする。(高橋正子)

★森の中晴れて輝く芒の穂/髙橋句美子
森の中は、ほの暗いだけではなく、開けたところがあって、晴れた秋空がある。芒の穂が陽を受けてかがやいている。森の中の明るい空間が、いい。(高橋正子)

★新涼の初めての道踏みしめて/柳原美知子
新涼となって、まだ通ったことのない道へと足を延ばしたのだろう。しっかりと踏みしめて、初めての道を味わうかのように歩く。爽やかな季節がうれしい。(高橋正子)

■選者詠/高橋信之
★河骨の花の黄が浮く遠く浮く
秋の水草のたたずまいが、リズムよく軽快に描かれているのが魅力です。千里万博の日本庭園でよく見かけました。 (河野啓一)

★秋空にスカイツリーの立つ街よ
高層ビルが立ち並ぶ東京都心部にあってもスカイツリーの姿はよく目立ちます。青空に伸びる銀色の姿はすっきりと爽やかです。 (多田有花)

★今日良しと秋の花咲く萩その他
秋光の溢れ爽やかな風の吹く心地よい今日、野山の草木も心地よさそうにその時を感じ秋ならではの花を精一杯咲かせているようです。(柳原美知子)

■選者詠/高橋正子
★秋日傘向島に来てさしぬ
残暑の陽射しの中にも、真夏のものとは自ずと異なる秋日傘の趣です。向島と言えば墨田川沿いの、ふと清々しい川風をも感じさせてくれる秋日傘です。 (藤田洋子)

★秋暑く生姜蜜なるかき氷
(自注)向島百花園には、生姜蜜のかき氷があって、名物らしい。

★水葵初秋の青をひとつまみ
(自注)水葵は箱根の湿生花園にあったのを初めて見たが、向島で見るのは初めて。ガイドさんに聞くと、世話をしている人が、今朝持ってきたとか。青紫のひとつまみほどの花。

■互選高点句
●最高点(7点)
★小流れの音のさやけき田道かな/桑本栄太郎

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/高橋正子)
※コメントのない句にコメントをお願いします。

※入選句について、意味が通りにくい句は、添削しました。
参考になさってください。

■9月月例ネット句会清記


■9月月例ネット句清記
2018年9月9日
14名42句 

01.あおあおと青天の湖鵙高音
02.おしろいの色定まるや入日燃ゆ
03.朝顔や日日に伸びたる己が影
04.小流れの音のさやけき田道かな
05.秋澄むや色の濃くありものの影
06.刻々と迫る予報や台風圏
07.二人してあと幾たびや新秋刀魚
08.畦越えて木曽の稲田の実りかな
09.山腹に秋灯点き初む木曽にいる
10.夕影の池に伸びたり蓮は実に

11.台風一過夕焼け空を仰ぎけり
12.猪が駆け去る台風過の山路
13.草葺屋根に変えたきものよ野分去る
14.禅門の修行終えたる稲架の列
15.夕月を囲むがごとく鳥の群れ
16.回覧板渡せば高々葉鶏頭
17.数珠玉や昔遊びし友はいま
18.台風禍会う人人と立ち話
19.台風の過ぎるをひたすら待ち続け
20.シンガポールの夕暮れ遥か空高く

21.秋刀魚焼く香りが届く玄関に
22.子安観音おはす御堂に秋澄む日
23.一杓の手水さやかに指伝う
24.今朝白露暦に記す帯祝い
25.河骨の花の黄が浮く遠く浮く
26.今日良しと秋の花咲く萩その他
27.秋空にスカイツリーの立つ街よ
28.トーストに秋味噌汁の朝餉かな
29.同じ空行ったり来たり秋の蝶
30.白葡萄薄き緑の平和かな

31.水音の野に広がりて稲穂熟れ
32.新涼の初めての道踏みしめて
33.満月の縁に留まり猫眠る
34.秋日傘向島に来てさしぬ
35.秋暑く生姜蜜なるかき氷
36.水葵初秋の青をひとつまみ
37.百日紅雨降り芝生を桃色に
38.川沿いに青どんぐりのころころと
39.森の中晴れて輝く芒の穂
40.吹き荒れる雨風去って見える秋

41.積乱雲夏空広がり街覆う
42.蝉の声足つけ涼む思い出よ

※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。選句は<コメント欄>にお書きください。

●9月月例ネット句会投句案内●

●9月月例ネット句会投句案内●
①投句:当季雑詠(秋の句)3句
②投句期間:2018年9月2日(日)午前10時~2018年9月9日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:9月9日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:9月10日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、9月10日(月)正午~9月13日(木)午後6時

○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之

ご挨拶/8月月例ネット句会


今年の8月は台風が9個も発生し、7月に災害を受けた地方台風が来襲したり、その上の猛暑。この暑さも災害と呼ばれるほどで、大変な夏でした。そのなか、月例句会にご参加いただきありがとうございました。
入賞の皆様おめでとうございます。

ネット句会も今年は22年目となっており、どこよりも長く続いているのではないかと思います。それだけ、私たちも年齢を重ねたわけですが、ネットで顔が見えないとは言え、花冠フェスティバルなどでお会いしたことのある方がほとんどです。句会の選では、お顔を思い浮かべながら、選をされているのではと思います。今後ともよろしくお願いいたします。これで8月月例句会を終わります。
高橋正子(主宰)

■8月月例ネット句会/入賞発表


■2018年8月月例ネット句会■
■入賞発表/2018年8月13日

【金賞】
28.列車窓大暑の海をひき寄せて/柳原美知子
「海をひき寄せて」が圧倒的だ。海岸線を走る列車の窓に、大暑の海が引き寄せられる。暑さの中の涼しい海。作者の存在感が強い。(高橋正子)

【銀賞/2句】
12.透き通る硝子の皿に水茄子漬け/高橋秀之
水茄子は泉州の名産。柔らかで瑞々しい水茄子は、漬け上がりの色も美しい。硝子の皿に盛られ、食卓を涼やかにしている。(高橋正子)

32.月影を乱して入れり露天風呂/廣田洋一
月影の露天風呂。月夜の露天風呂の静けさ。そこをあえて乱して入るのだ。「乱して」がいい。(高橋正子)

【銅賞/3句】
02.香り立つうすき白さや稲の花/桑本栄太郎
稲の花は、白くちらちらとして、儚げである。それを「うすき白さ」といった。「香り立つ」が、稔りの秋を予感させる。(高橋正子)

08.立秋の朝日が差しぬ前山に/多田有花
さっぱりとくっきりとした句だ。いつも見る前の山に朝日が差した。立秋となって、朝日が爽やかなった。一日のことで変わる。(高橋正子)

33.病窓の青深々と秋の空/廣田洋一
病窓から見えるものは空。今日の空は深々と青く、秋の空である。心境が思える句だ。(高橋正子)

【高橋信之特選/7句】
12.透き通る硝子の皿に水茄子漬け/高橋秀之
水茄子だけでも、みずみずしく感じるが、更にガラスの皿の冷たさが伝わってくる。(髙橋句美子)

28.列車窓大暑の海をひき寄せて/柳原美知子
列車窓大暑の海をひき寄せて海岸線を走る列車の窓いっぱいに7月23日頃の赤々とした夏の暑さの頂上にある太陽をひき寄せている、真夏の景が素晴らしいですね。(小口泰與)

32.月影を乱して入れり露天風呂/廣田洋一
旅先のくつろぎのひとときでしょうか。 空の月と地の湯。そこはかとない旅情を感じます。(河野啓一)

33.病窓の青深々と秋の空/廣田洋一
立秋の日。病院の窓から見上げた空は良く晴れ上がり、秋の到来を告げていた。快癒に向かう気配も感じられ心軽やかな気分にさせてくる青空だった。 (古田敬二)

35.蓮の花抽き出て風に吹かるるよ/高橋正子
咲いたばかりの清楚な蓮の花が仄かに香り、薄緑の茎とともに風に吹かれている水辺。一陣の涼風が心身を吹き抜けるようです。(柳原美知子)

02.香り立つうすき白さや稲の花/桑本栄太郎
08.立秋の朝日が差しぬ前山に/多田有花 

【高橋正子特選/7句】
24.新涼と思えば故郷山と川/古田敬二
暑さの中にふと涼しさが混じり始めるころです。季節の変化を受けて、幼い頃に駆け回られた山や川の情景が浮かんできます。 (多田有花)

08.立秋の朝日が差しぬ前山に/多田有花 
12.透き通る硝子の皿に水茄子漬け/高橋秀之
20.夏休み目の中輝く小学生/高橋成哉
28.列車窓大暑の海をひき寄せて/柳原美知子
32.月影を乱して入れり露天風呂/廣田洋一
33.病窓の青深々と秋の空/廣田洋一

【入選/15句】
01.祈る事数多ありたる八月に/桑本栄太郎
8月は、原爆忌、お盆、日航機墜落忌と冥福を祈る日が多い。その事を、数多ありたる、と簡潔に詠んだのが上手い。 (廣田洋一)
同感です。広島と長崎の原爆忌、今日は日航機墜落事故から33年。お盆に終戦記念日、偶然とはいえ、慰霊と鎮魂の月です。(多田有花)

15.秋立ちて幼子庭を二歩三歩/河野啓一
今年は連日全国的な猛暑日が続き、熱中症の危険より命を守る為、不要不急の外出は避けてるよう言われて殆どの老人子供達は家で過ごす事が多かったようである。そのような状況下、立秋を迎え急激に涼しくなり、幼子も戸外を歩き始めました。猛暑の間でも成長を続ける命があり、涼しくなった喜びも溢れている。 (桑本栄太郎)

17.畑より前籠に西瓜押してくる/祝 恵子
畑から取りたての西瓜を自転車の前籠に入れ、傷つけないように汗をかきながらゆっくりと押して持ってきてくれた友。瑞々しい西瓜の輝きと温かい絆に、元気をいただきます。 (柳原美知子)

22.供花ならむ右手に鬼灯左杖/古田敬二
情景が見えてきます。傍にはお孫さんがご一緒かも。(祝恵子)

04.一瞬の黙や花火の打ち上がり/小口泰與
夏祭りにつき物の華やかな大輪の打ち上げ花火。その中に一瞬の黙を聞かれたところが素敵です。 (多田有花)

05.とんぼうや乱れて薄き山の雲/小口泰與
蜻蛉の飛ぶ空となり、山の雲にも秋の到来が実感されます。しんとした山の空気まで感じられるようです。(柳原美知子)

18.立秋や島へと土産大空へ/祝 恵子
ご主人がたしか離島のご出身とうかがっています。その島へお土産をたくさん持って帰郷されるところ。飛行機が離陸した瞬間を詠まれていますね。 (多田有花)

37.交差点浴衣の人人すれ違う/髙橋句美子
夏祭り、夜店など浴衣の人々がすれ違う交差点は、非日常の華やいだ雰囲気です。ひとときの日本の夏の風物詩に心やすらぐ思いです。(柳原美知子)

03.長子とう吾に家なき草田男忌/桑本栄太郎
09.秋立つ日燕の姿探しけり/多田有花
10.不揃いの合奏鈴虫鳴き始め/高橋秀之
21.ビジネス街隙間に見える夏夜空/高橋成哉
30.五穀米炊いて仏に秋暑し/柳原美知子
31.秋立ちぬ靴音高く追ひ抜かれ/廣田洋一
39.夏晴れて紅茶を淹れる昼下がり/髙橋句美子

■選者詠/高橋信之
27.日が昇る妻が育てし帚木に
奥様が育てられた帚木、こんもりと生長した帚木に日が昇り、柔らかい緑に染まると、一日の始まりが喜びをもって感じられます。共に歩まれた日々が思われます。(柳原美知子)

25.日が昇る今日の始り帚木に
26.帚木をやさしく包む朝の陽よ

■選者詠/高橋正子
34.蓮は実に金魚ついっと泳ぎ出づ
35.蓮の花抽き出て風に吹かるるよ
36.寺の道青いちぢくの青匂い

■互選高点句
●最高点(5点/同点2句)
12.透き通る硝子の皿に水茄子漬け/高橋秀之
32.月影を乱して入れり露天風呂/廣田洋一

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/高橋正子)
※コメントのない句にコメントをお願いします。

■8月月例ネット句会清記


■8月月例ネット句会清記
2018年8月12日
13名39句 

01.祈る事数多ありたる八月に
02.香り立つうすき白さや稲の花
03.長子とう吾に家なき草田男忌
04.一瞬の黙や花火の打ち上がり
05.とんぼうや乱れて薄き山の雲
06.初秋やうす紫の暁の山
07.今日からは秋蝉となり鳴きにけり
08.立秋の朝日が差しぬ前山に
09.秋立つ日燕の姿探しけり
10.不揃いの合奏鈴虫鳴き始め

11.ちょんちょんと雀の足音秋の朝
12.透き通る硝子の皿に水茄子漬け
13.万緑や太陽の塔と吾(あ)と二人 
14.新涼の風や紅白夾竹桃
15.秋立ちて幼子庭を二歩三歩
16.貼り紙は八日間です夏季休診
17.畑より前籠に西瓜押してくる
18.立秋や島へと土産大空へ
19.河川敷水面輝き花火散る
20.夏休み目の中輝く小学生

21.ビジネス街隙間に見える夏夜空
22.供花ならむ右手に鬼灯左杖
23.原爆忌絵に多き色赤と黒
24.新涼と思えば故郷山と川
25.日が昇る今日の始り帚木に
26.帚木をやさしく包む朝の陽よ
27.日が昇る妻が育てし帚木に
28.列車窓大暑の海をひき寄せて
29.大小の太陽の色トマト洗う
30.五穀米炊いて仏に秋暑し

31.秋立ちぬ靴音高く追ひ抜かれ
32.月影を乱して入れり露天風呂
33.病窓の青深々と秋の空
34.蓮は実に金魚ついっと泳ぎ出づ
35.蓮の花抽き出て風に吹かるるよ
36.寺の道青いちぢくの青匂い
37.交差点浴衣の人人すれ違う
38.百日紅桃色一本咲く夜道
39.夏晴れて紅茶を淹れる昼下がり

※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。選句は<コメント欄>にお書きください。

●8月月例ネット句会投句案内●


●8月月例ネット句会投句案内●
①投句:当季雑詠(夏の句・秋の句)3句
②投句期間:2018年8月4日(日)午前10時~2018年8月12日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:8月12日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:8月13日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、8月13日(月)正午~8月16日(木)午後6時

○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之

ご挨拶/7月月例ネット句会


7月月例句会は西日本豪雨の被害のニュースがありましたが、いつも通り開催いたしました。被害は大きくなかったでしょうか。これまでにない、暑さや豪雨に見舞われましたが、その中、皆様にご参加いただき、充実した句会になりました。選やコメントをありがとうございました。入賞の皆様おめでとうございます。 

今は、顔を合わせることのない句会が続いていますが、オフ句会のことなど懐かしく思い出されている方もおられることでしょう。ネット句会が無ければ、句会に参加しにくい方もおられることを思えば、ネット句会も意義あることでしょうから、参加されて、大いにご利用いただきたいと思います。来月の句会は8月10日、立秋のあととなります。これで7月句会を終ります。(高橋正子)

7月月例ネット句会/入賞発表


■2018年7月月例ネット句会■
■入賞発表/2018年7月8日

【金賞】
03.石段へ薔薇の崩るる朝かな/小口泰與
石段へ薔薇の崩れた花びらが散っている朝。散ったのは暁か。石段の清潔さ、華やかな薔薇の儚さが、一層薔薇を美しく思わせる。(高橋正子)

【銀賞/2句】
06.隠岐やいま漁火せまる楸邨忌/桑本栄太郎
楸邨忌は、7月3日。楸邨は、隠岐に流された後鳥羽上皇に思いを重ねるため、昭和16年隠岐に遊んだ。36歳の時。そのときの句に「隠岐や今木の芽をかこむ怒濤かな」がある。この句を下敷きとした句で、類想句とも言えるが、楸邨の忌日に隠岐へ押しせまる漁火に、作者もまた、隠岐への強い思い、楸邨への思いを重ねたのである。(高橋正子)

07.大和路を各駅停車夏の旅/古田敬二
大和路を各駅停車の電車でゆっくりと、時間を巻き戻したように旅をする。日がいつまでも高い夏だからこその各駅停車の旅なのだ。(高橋正子)

【銅賞/3句】
25.焼き具合いかにと覗く初の鮎/祝恵子
今年初めて食べる鮎。焼く火の加減、焼き色にも、どうか上手く焼けますようにと、細心の注意を払う。みんなが初鮎の焼けるのを楽しみにわくわくしているのだ。(高橋正子)

14.テーブルに座ってまずは冷奴/高橋秀之
いかにも涼しそうな夏のテーブルの景が見える。座って先ず、冷奴の冷たさを喉に通す。これでひとまず落ち着いてゆっくり食事をいただくのだろう。さっぱりとした句だ。(高橋正子)

28.まるまると桃が売られる帰り道/髙橋句美子
帰り道は、仕事の帰り道か。店頭には、桃がまるまるとして売られている。手にそっと取りたいような瑞々しい桃だ。(高橋正子)

【高橋信之特選/7句】 
25.焼き具合いかにと覗く初の鮎/祝恵子
まだかな、まだかな、とそわそわしながら焼き具合を覗き込む気持ちが、初の鮎の感じを引き立ててます。(高橋秀之)

06.隠岐やいま漁火せまる楸邨忌/桑本栄太郎
壱岐は流人の島、漁火を後鳥羽上皇たちも眺めたことでしょう。7月3日は加藤楸邨の忌日。人間探求派として活躍し、金子兜太、森澄雄らを育てました。(多田有花)

03.石段へ薔薇の崩るる朝かな/小口泰與
12.眼科受診思い立ちたり半夏生/河野啓一
14.テーブルに座ってまずは冷奴/高橋秀之
34.夜濯ぎの干す衣に近く大き星/高橋正子
36.百合の巨花わが胸丈に匂うなり/高橋正子

【高橋正子特選/7句】
07.大和路を各駅停車夏の旅/古田敬二
時間の制約を受けず、気ままに巡る旅。大和路であれば見所も多いことと思います。いまごろなら日も長く、ゆったり旅することができるでしょう。(多田有花)
古都、古寺を巡る明るい夏の旅。各駅停車の旅に、ゆったりとした豊かな旅の充足感が感じとれます。(藤田洋子)

31.石鎚を容れて夕虹くっきりと/柳原美知子
夕べにくっきりと出た虹。その半円の虹の中にくっきりと見えた石鎚山。「容れて」がいいと思います。(古田敬二)

24.雨雲の切れて日の差しオクラ咲く/藤田洋子
豪雨も止み、雲間から差す日差しに咲いたばかりのみずみずしいオクラの花が明るく浮かび上がります。安堵の気持ちと植物の生命力に励まされる思いがします。(柳原美知子)

06.隠岐やいま漁火せまる楸邨忌/桑本栄太郎
14.テーブルに座ってまずは冷奴/高橋秀之
25.焼き具合いかにと覗く初の鮎/祝恵子
28.まるまると桃が売られる帰り道/髙橋句美子

【入選/12句】
15.無人駅ひとり佇み団扇風/高橋秀之
故郷の無人駅を思います。懐かしい人たちを、一人佇み昔のことを思い出しています。(祝恵子)
無人駅のひっそりとした静けさの中、柔らかい団扇の風が心地よく感じられます。 (髙橋句美子)

18.明易き夜を徹しての水防団/多田有花
先週からの梅雨豪雨では、水防団の活躍が目立った。防災や救助に夜を徹しての作業には敬服する。感謝の気持ちを込めた一句と思います。 (廣田洋一)

20.雨土のなだれるあはれ夏あざみ/廣田洋一
豪雨の度におこる土砂崩れ。今回もまた大雨特別警報の中、各地で多くの被害が出、胸が痛みます。一日も早い復旧をお祈りいたします。(柳原美知子)

26.向日葵は目立つ所へ店頭へ/祝 恵子
七月、梅雨はまだ続いていますが、店先では真夏の演出が始まっています。その象徴である向日葵が紫陽花に替わって店頭の目立つ場所に飾られ始めました。(多田有花)

27.雨に耐え百合の白さよ咲いており/祝恵子 
風雨のなか気高く美しく咲き続ける日本の美が目に浮かびます。(河野啓一)

33.豪雨止み農夫青田を巡回す/柳原美知子
今回の梅雨の大雨は3日間も降り続け、がけ崩れ、河川の氾濫などの緊急避難指示が全国至る所に出され、沢山の被害を齎しました。危険な豪雨が一段落すれば、農夫は真っ先に田圃を見回ります。 (桑本栄太郎)

08.大和路の苗田の曲線美しく/古田敬二
日本の原風景である大和路の苗田の緑の中に浸り、奈良の時代に思いを馳せながらの心豊かな旅が思われます。(柳原美知子)

10.幼子の昼寝覚めたり額の花/河野啓一
昼寝の覚めた幼子に、淡く優しい額の花の彩りを思います。幼子と額の花へ向けられる温かな眼差しの情景です。(藤田洋子)

16.橋脚を滔々とうつ五月川/多田有花
大河の橋脚に次々と濁流が押し寄せ、梅雨の豪雨の怖さを感じます。五月川の迫力と臨場感が感じられます。(柳原美知子)

19.青天にきりりと着たる白浴衣/廣田洋一
青天と白浴衣の鮮やかな色彩に、「きりり」と羽織る浴衣も好ましく、美しく清々しい日本の夏を感じます。(藤田洋子)

01.青りんご煙る浅間と千曲川/小口泰與
23.梅雨雲のたちまち雨の来る迅さ/藤田洋子

■選者詠/高橋信之
★花合歓の光あふるる下に居る
梅雨が上がると、夕暮れの薄明かりの中で、細かい糸を無数に集めたような淡紅色の美しい花を開く合歓の花の下にいる至福の時間を充分に満喫している作者。素敵な景です。 (小口泰與)

★梅雨の灯を受けて広がる広皿よ
★炎天の建築現場のヘルメット

■選者詠/高橋正子
★夜濯ぎの干す衣に近く大き星
暑い季節なので洗濯の回数が増えます。昼間に着たものを夜に洗い、そのまま干します。洗濯物を干しながら見上げると夜空に大きな星たちが見えました。(多田有花)

★百合の巨花わが胸丈に匂うなり
すっくと高く茎を伸ばし花開く百合と、傍らに立つ作者の姿がありありと思われます。ひときわ強い芳香を放つ、百合の巨花の存在感です。(藤田洋子)

★今日の衣を今日夜濯ぎに風うれし

■互選高点句
●最高点(6点)
31.石鎚を容れて夕虹くっきりと/柳原美知子

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/高橋正子)
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