■6月月例ネット句会入賞発表■

■2019年6月月例ネット句会■
■入賞発表/2019年6月10日

【金賞】
★茹でたての淡竹真白くさくさく食む/柳原美知子
淡竹(はちく)は、竹の一種であるが、孟宗竹よりも灰汁が少なく、皮を剥くと白、或いは薄い緑の幹が現れる。白いものほど若く柔らかい。真白く茹でた淡竹は、初夏、さくさくと爽やかに食べたいものだ。(高橋正子)

【銀賞/2句】
★まな板の洗いしばがりの紫蘇きざむ/祝 恵子
まな板に洗ったばかりの紫蘇を載せ、きざむ。香り豊かな紫蘇を刻むと、夏の台所仕事が涼やかになる。(高橋正子)

★飛ぶものが次々夏の頂に/多田有花
飛ぶものは、いろいろ。蝶、蜂、燕などだろうか。夏山の頂にいると、それらが次々飛んで来る。頂は、下界と違って、飛ぶものが集まるところなのだ。(高橋正子)

【銅賞/3句】
★大空に動き軽やか夏の蝶/高橋秀之
大空ならば、自由に飛べる。夏蝶も動きが軽やかになって、さらに自由を得ているのだ。(高橋正子)

★対岸を下りの列車麦の秋/古田敬二
麦秋の向こう岸を下りの列車が行く。下りの列車は、西へ、西へ、懐かしい方へと下ってゆく。日本人の郷愁を誘う句だ。(高橋正子)

★晴れた日の薔薇の花束父米寿/髙橋句美子
華やかな薔薇の花束。晴れた日の空に応えるかのような健やかさ。米寿の父へ長寿を祝う花束である。(高橋正子)

【高橋信之特選/7句】
★棚田米炊く香ただよう梅雨の家/髙橋正子
遠くから送っていただいた「棚田米」である。眼に浮かんでくる「棚田」の懐かしい風景が嬉しい。(高橋信之)

★茹でたての淡竹真白くさくさく食む/柳原美知子
まな板に洗ったばかりの紫蘇を載せ、きざむ。香り豊かな紫蘇を刻むと、夏の台所仕事が涼やかになる。(高橋正子)

★まな板の洗いしばがりの紫蘇きざむ/祝 恵子
まな板に洗ったばかりの紫蘇を載せ、きざむ。香り豊かな紫蘇を刻むと、夏の台所仕事が涼やかになる。(高橋正子)

★晴れた日の薔薇の花束父米寿/髙橋句美子
晴れ上がった六月。米寿の父に薔薇の花を送る。送る子も送られる父も健康で幸せである。 (古田敬二)

★大空に動き軽やか夏の蝶/高橋秀之
上五の「大空」がやや大げさのようだが、作者の感動の大きさが読者に伝わってくる。中七の「動き軽やか」も蝶の動きをうまく捉えた。言葉が平易なのが良い。「夏の蝶」であれば、平易なのがなお良いのだ。(高橋信之)

★飛ぶものが次々夏の頂に/多田有花
平易な言葉を並べ「夏の頂」をうまく捉えた。日常生活の中で俳句が身に着いていて、作者のいい生活が読み手に伝わってくる。(高橋信之)

★蓮の葉へ正午の光真っ直ぐに/多田有花

【高橋正子特選/7句】
★対岸を下りの列車麦の秋/古田敬二
先ず、俳句設定のロケーションが良い。下りの列車との楚辞に西へ向かう夕景とも想われ、遥かに見える遠くの対岸との間は、麦の秋の最中である。映画の中の一コマでのようであり、哀愁が漂っている。(桑本栄太郎)

★どくだみの花満開に朝一番/髙橋句美子
どくだみの花は、今満開である。朝一番に新聞を取りに出るとどくだみの白十字が庭を覆っている。その様な景が見える良い句です。(廣田洋一)

★明けゆける植田にさざ波つぎつぎと/柳原美知子
故郷の眼前の風景と重なり、懐かしさがつのります。(祝恵子)
水を張った植田のさざ波をみることができるのはこの季節限定です。まさに、田植えが始まったばかりの季節感を感じます。(高橋秀之)

★真夏日の雲育ち居り嶺の奥/桑本栄太郎
梅雨の晴れ間には青嶺の向こうに峯雲がむくむくと立ち上がり、新たな季節の到来と自然の生命力が感じられ、元気づけられます。(柳原美知子)

★空に雲ひとつだになし麦の秋/多田有花
雲ひとつだになしが快晴の大空を感じさせてくれ、すごく気持ちよいです。 (高橋秀之)

★大空に動き軽やか夏の蝶/高橋秀之
★まな板の洗いしばがりの紫蘇きざむ/祝 恵子

【入選11句】
★噴水の音にまどろむ昼下がり/西村友宏
公園のベンチでしょうか。噴水の音が眠りを誘う穏やかな昼下がりが伺えます。 (高橋秀之)

★鳴るならぬ草笛のあり野の歩き/祝 恵子
スズメノテッポウなどの草を抜き取って鳴らしてみる。心地よい風に吹かれ童心に還って、楽しい
野歩きの様子が目に浮かびます。(柳原美知子)

★パンを焼く香り溢るる街薄暑/古田敬二
芳ばsしいパンの香りが風に乗って街路に漂えば、薄暑の街歩きも楽しく、心弾むようです。(柳原美知子)

★辻曲がり出会いがしらや鬼やんま/桑本栄太郎
★玉苗や棚田へ流る水きよし/小口泰與
★トランポリン夏の空へと勢いよく/祝 恵子
★指先を染めて桑の実もぎりけり/古田敬二
★夕されば雨に打たれし立葵/廣田洋一
★sそびえ立つけやきの古木苔茂る/廣田洋一
★立葵花赤々と雨の中/髙橋句美子
★早苗育つ小流れの水噴き上がり/柳原美知子

■選者詠/高橋信之
★そら豆がてんでんばらばら灯の下に
★そら豆の緑が光る灯の下に
★カーテンを透かす朝日が楽しい初夏

■選者詠/高橋正子
★棚田米炊く香ただよう梅雨の家
梅の実が黄熟する頃降る雨の事を梅雨と言うが、この梅雨の頃の朝、友から送られてきた素敵な棚田米を炊く香が家の中に漂い食欲を満たす素晴らしい景ですね。(小口泰與)
丹精して収穫された棚田米の炊けるやさしい香りが梅雨の家中に広がり、日本の原風景が目に浮かぶようです。棚田の田植えも終わったことでしょう。今年も無事収穫できますよう。(柳原美知子)

★回り出しそうに梔子花一重
★金魚池赤き金魚の一文字

■互選高点句
●最高点(5点)
★晴れた日の薔薇の花束父米寿/髙橋句美子

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も一点として加算されています。
(集計/高橋正子)
※コメントのない句にコメントをお願いします。

■6月月例ネット句清記

■6月月例ネット句清記
2019年6月9日
12名36句

01.真夏日の雲育ち居り嶺の奥
02.辻曲がり出会いがしらや鬼やんま
03.のつたりと始業チャイムや夏の昼
04.空に雲ひとつだになし麦の秋
05.飛ぶものが次々夏の頂に
06.蓮の葉へ正午の光真っ直ぐに
07.白百合や体育館より白たすき
08.玉苗や棚田へ流る水きよし
09.泡盛や埃かぶれる置き薬
10.大空に動き軽やか夏の蝶

11.災害の無きこと願う梅雨に入る
12.青々と波が煌めいて夏の海
13.そら豆がてんでんばらばら灯の下に
14.そら豆の緑が光る灯の下に
15.カーテンを透かす朝日が楽しい初夏
16.噴水の音にまどろむ昼下がり
17.梅雨晴れに水滴光る朝の庭
18.散歩して仲睦まじく夏氷
19.まな板の洗いしばがりの紫蘇きざむ
20.トランポリン夏の空へと勢いよく

21.鳴るならぬ草笛のあり野の歩き
22.対岸を下りの列車麦の秋
23.パンを焼く香り溢るる街薄暑
24.指先を染めて桑の実もぎりけり
25.夕されば雨に打たれし立葵
26.暑き空尚も暑くす火炎樹かな
27.そびえ立つけやきの古木苔茂る
28.立葵花赤々と雨の中
29.どくだみの花満開に朝一番
30.晴れた日の薔薇の花束父米寿

31.早苗育つ小流れの水噴き上がり
32.茹でたての淡竹真白くさくさく食む
33.明けゆける植田にさざ波つぎつぎと
34.棚田米炊く香ただよう梅雨の家
35.回り出しそうに梔子花一重
36.金魚池赤き金魚の一文字

※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。
選句は<コメント欄>にお書きください。

6月月例ネット句会ご案内


●6月月例ネット句会投句ご案内●
①投句:当季雑詠(夏の句)3句
②投句期間:2019年6月3日(月)午前6時~2019年6月9日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:6月9日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:6月10日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、6月10日(月)正午~6月13日(木)午後6時

○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之

■5月月例ネット句会入賞発表


■2019年5月月例ネット句会■
■入賞発表/2019年5月12日

【金賞】
★麦秋の車窓となりぬ近江富士/桑本栄太郎
詠まれた景色がすばらしい。近江富士は、三上山の愛称で、東海道新幹線の車窓からも眺められる。平野の中の独立峰は標高432mの低山。麦秋の野が広がる向こうに近江富士はなだらかな山稜をもって立っている。車窓が額縁になり、爽やかな麦秋の景色が楽しめる。(高橋正子)

【銀賞/2句】
★母偲び風炉の茶を立て供へけり/廣田洋一
もの静かな立ち居振る舞いの母の姿が思われる。風炉の茶となる夏の始めの軽やかさが、却って母をじみじみと思い起こさせる。(高橋正子)

★熟れ麦の香と水音へ一歩ずつ/柳原美知子
麦が熟れる香、田水が流れる音。熟れ麦の香、水の音に近づきたくて、少し不自由な脚をゆっくりと、一歩ずつ進めて行く。麦秋の野が懐かしく詠まれている。(高橋正子)

【銅賞/2句】
★一斉に変わる夏服中学生/高橋秀之
制服のある中学生。衣替えの季節になると、何月何日からと、一斉に衣替えする。それまでの黒い服から、真っ白なシャツになる。中学生の笑顔が見える見事で鮮やかな変身である。(高橋正子)

★藤の花見上げて歩くピクニック/髙橋句美子
ピクニックに出掛けた。山藤の花か。ここに見上げ、あそこに見上げて歩く。ピクニックの楽しさが、あっさりと詠まれている。(高橋正子)

【高橋信之特選/6句】
★天道虫見つけ嬉しや朝歩き/祝恵子
朝の散歩で見つけた天道虫。ただそれだけで嬉しい。日常のひとこまに生きる喜びを感じます。 (高橋秀之)

★窓若葉素焼きのカップに絵付けの黄/柳原美知子
一心に絵付けをしているところに、若葉風がそっと通り過ぎていきます。(祝恵子)

★麦秋の車窓となりぬ近江富士/桑本栄太郎
★母偲び風炉の茶を立て供へけり/廣田洋一
★裏町の花屋も母の日カーネーション/高橋正子
★36.熟れ麦の香と水音へ一歩ずつ/柳原美知子

【高橋正子特選/6句】
★手伝いの孫の背高しトマト苗/祝恵子
小学校高学年から中学生にかけてはぐんと背の伸びるときです。いつの間にかご自身の背丈を超えたお孫さんを見上げられ、その成長をたのもしくうれしく思っておられる様子がわかります。 (多田有花)

★藤の花見上げて歩くピクニック/髙橋句美子
晩春から初夏に移って行くころは藤の花が咲きそろいます。郊外へピクニックに出かければ、野生の藤が高木をよじのぼって高い枝先から藤色の花房を垂らしているのが見られます。 (多田有花)

★一斉に変わる夏服中学生/高橋秀之
私が通っていた中学校では、6月1日から夏服に変わり、色も霜降りになった。制服が少なくなった今でも、衣更えになると中学生は一斉に夏服に替える。夏到来を衣更えで表現されている。(廣田洋一)

★麦秋の車窓となりぬ近江富士/桑本栄太郎
★母偲び風炉の茶を立て供へけり/廣田洋一
★熟れ麦の香と水音へ一歩ずつ/柳原美知子

【入選14句】
★夏川をジープ疾走蒼き空
夏らしくて躍動感を感じる句です。蒼き空が清々しいです。 (髙橋句美子)

★煽らるる白き葉裏や若葉/桑本栄太郎
初夏になり、若葉が街を明るくしている。そんな時に少し気温が下がり風も強く若葉が葉裏を見せている。若葉風の季語が効いている。 (廣田洋一)

★初夏や苗並べ配置決めてゆく/祝恵子
野菜の苗を植える時、苗は等間隔に植えてゆく。間隔が狭すぎて広すぎてもうまく育たない。 (古田敬二)

★赤々とレッドロビンの若葉萌ゆ/多田有花
レッドロビンとは、ベニカナメモチとオオカナメモチの交配された園芸種である。真っ赤な燃えるような若葉が特徴であり、如何にも活力を覚える。近年生垣用として重宝され、遠くから見ればその真紅は何の花か?と思う程鮮やかである。(桑本栄太郎)

★牡丹咲く上野の山の晴れ渡り/廣田洋一
華やかに咲きそろった牡丹、その背後には晴れた五月の上野の山の景色があります。明るく清々しく、一点の曇りも無い素晴らしい一日の様子が浮かびます。 (多田有花)

★ランナーが逆さに走る池若葉/古田敬二
池に映る若葉の緑も美しく、水面の光に揺れるランナーの姿にも初夏の清々しさが感じられます。(柳原美知子)

★初蛙声する方に大きな沼/髙橋句美子
初蛙の鳴き声を聞きとめ、なにげなく通りすぎていた所に見つけた大きな沼。生き物への温かい視線に視界が広がっていきます。(柳原美知子)

★渓谷の空あおあおと苔清水/小口泰與
★新緑をより鮮やかに陽の光/高橋秀之
★新緑のなかに佇みオーベルジュ/多田有花
★葭切の騒ぎしあとの池静か/古田敬二
★牧水の歌碑校庭に五月来る/古田敬二
★球児らの声高鳴りて夏近し/西村友宏
★駅出れば旧知の友と初夏の風/西村友宏

■選者詠/高橋信之
★今日がありまた明日あると花蜜柑
花蜜柑の清々しい香りと可憐な白い花に出会い、初夏の明るい季節の喜びが感じられます。やがて青い実をつけ、蜜柑色のみのり、瀬戸内の海も想いだされる花蜜柑です。 (柳原美知子)

★夏朝日たしかな朝のよころびに
★くしゃみすることもわが夏の生活

■選者詠/高橋正子
★夕空の青く高かり風の薔薇
濃艶な花の姿を愛賞され、春秋に咲くもの、四季とともに咲くもの、色も形も多種多様で青空に映え、風によって甘い芳香も愛される素晴らしい花ですね。 (小口泰與)
風があってやや寒い日という印象を受けます。日が最も長い時期に入り、青空が長く残ります。その夕空の中に美しく咲いた薔薇の高貴な美しさが光ります。 (多田有花)

★裏町の花屋も母の日カーネーション
人通りの少ない裏町の花屋さんにもカーネーションの鉢や切り花が並び、母の日の華やぎに包まれて、ふと立ち寄ってみたくなります。(柳原美知子)

★路筋に薔薇のあふるる三丁目

■互選高点句
●最高点(6点)
★麦秋の車窓となりぬ近江富士/桑本栄太郎

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/高橋正子)
※コメントのない句にコメントをお願いします。

5月月例ネット句会/清記


■5月月例ネット句清記
2019年5月12日
12名35句

01.毛の国の馬総立ちす日雷
02.夏川をジープ疾走蒼き空
03.渓谷の空あおあおと苔清水
04.麦秋の車窓となりぬ近江富士
05.見晴るかす車窓一望麦の秋
06.煽らるる白き葉裏や若葉寒
07.夏の大空の下カッター漕ぐ
08.一斉に変わる夏服中学生
09.新緑をより鮮やかに陽の光
10.天道虫見つけ嬉しや朝歩き

11.初夏や苗並べ配置決めてゆく
12.手伝いの孫の背高しトマト苗
13.赤々とレッドロビンの若葉萌ゆ
14.新緑のなかに佇みオーベルジュ
15.翌日は姿の消えし牡丹かな
16.葭切の騒ぎしあとの池静か
17.牧水の歌碑校庭に五月来る
18.ランナーが逆さに走る池若葉
19.球児らの声高鳴りて夏近し

21.駅出れば旧知の友と初夏の風
22.牡丹咲く上野の山の晴れ渡り
23.ユリノキの花黄色き袴着て咲きぬ
24.母偲び風炉の茶を立て供へけり
25.夕空の青く高かり風の薔薇
26.路筋に薔薇のあふるる三丁目
27.裏町の花屋も母の日カーネーション
28.今日がありまた明日あると花蜜柑
29.夏朝日たしかな朝のよころびに
30.くしゃみすることもわが夏の生活

31.藤の花見上げて歩くピクニック
32.初蛙声する方に大きな沼
33.東京眼下へ鶯の歌ひびき
34.麦熟れつつけぶる令和の雨後の空
35.窓若葉素焼きのカップに絵付けの黄
36.熟れ麦の香と水音へ一歩ずつ

※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。
選句は<コメント欄>にお書きください。

●5月月例ネット句会投句ご案内●


●5月月例ネット句会投句ご案内●
①投句:当季雑詠(夏の句)3句
②投句期間:2019年5月7日(月)午前6時~2019年5月12日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:5月12日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:5月13日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、5月14日(月)正午~5月18日(木)午後6時

○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之

■入賞発表/4月月例ネット句会■


■2019年4月月例ネット句会■
■入賞発表/2019年4月15日

【金賞】
03.花見船声もろ共に降ろしけり/小口泰與
「花見」のいい風景を捉えた句だ。上五の「花見船」が一句の主題で、「声もろ共に降ろしけり」と一気に詠み終えたところが見事で、本人の日頃の精進を称えたい。(高橋信之)

【銀賞/2句】
05.船点々と春の海の輝きに/多田有花
春の海に、点々と船が浮かんでいる。きらきらと日を返す春の海に船もまた、海のかがやきの一つとなっているのだ。(高橋正子)

25.退勤の道が葉桜の並木/高橋句美子
いい生活句だ。句の冒頭に置いた「退勤の道」に作者の姿を見る。リアルな表現で身近な生活を見事に詠みあげた。(高橋信之)

【銅賞/3句】
13.逆上がり初めてできて風光る/西村友宏
下五に置いた季語の「風光る」がいい。中七の「初めてできて」に作者の思いが率直に、そしてはっきりと読み手に伝わってくる。(高橋信之)

24.夕づきて桜一樹の浮かびくる/柳原美知子
だんだん日暮れが近くなる、つまり「夕づく」と、白い桜の一樹が、黄昏の中に浮かび上がってくる。「夕づく」という美しい言葉を得て、桜一樹が一段と美しい景色となった。(高橋正子)

17.おじきするしぐさ可愛や仏生会/祝恵子
仏生会にお参りにきた子どものお辞儀をする姿が可愛らしく思えた。おそらく、きちんとお辞儀をして、それが、あまりに可愛いのだ。誕生仏を前にしての微笑ましい光景だ。(高橋正子)

【高橋信之特選/7句】
13.逆上がり初めてできて風光る/西村友宏
逆上がりが初めてできた嬉しさに春の光が一層輝き、鉄棒にも仰ぎ見る空にも「風光る」が実感される記念すべき日となりました。(柳原美知子)

17.おじきするしぐさ可愛や仏生会/祝恵子
晴れ着で着飾った女の子が両親に連れられて4月8日のお釈迦様の誕生日にお釈迦をお参りする仏性会の様子を素敵に咏った素敵な句ですね。 (小口泰與)

12.ブラックホール遠くに隠す春の雲/廣田洋一
のどかな春の雲が浮かんでいるけれど、遥かかなたの宇宙には、すべての物質を飲み込んでしまうブラックホールが隠れており、先日史上初の画像が公開されました。宇宙の神秘が思われます。 (柳原美知子)

27.固き地にたんぽぽの茎みな真直ぐ/高橋句美子
どんな土地にもたんぽぽは咲き、春を告げてくれます。絮が飛んだあとには、茎だけが直立して並んでおり、その生命力に驚かされます。 (柳原美知子)

03.花見船声もろ共に降ろしけり/小口泰與
05.船点々と春の海の輝きに/多田有花
25.退勤の道が葉桜の並木/高橋句美子

【高橋正子特選/7句】
19.桜蕊降るにまかせて寺への道/高橋信之
落花の残る寺院への道、桜蕊がはらはらと降りかかる中を、ゆっくりと春の光を浴びて歩かれるお姿が目に浮かび、惜春の思いが感じられます。 (柳原美知子)

24.夕づきて桜一樹の浮かびくる/柳原美知子
桜の樹がほの暗い中でも存在感を感じる句です。(高橋句美子)

03.花見船声もろ共に降ろしけり/小口泰與
05.船点々と春の海の輝きに/多田有花
14.学ランの匂い柔らか入学す/西村友宏
17.おじきするしぐさ可愛や仏生会/祝恵子
25.退勤の道が葉桜の並木/高橋句美子

【入選/8句】
09.きのふ見し花のあはれや今朝の雨/桑本栄太郎
昨日観た桜が今朝は雨に打たれている風情にあはれを感じた。「花のあはれ」が良い。(廣田洋一)

06.ため池に春の波たつ播磨かな/多田有花
この4月は寒暖の差が激しく、時には春北風の強くて冷たい風が吹く日々が何日もありました。ため池はいつもであればさざ波程度の所、大きな波が立ち、岸辺にたっぷんたっぷんと打ち寄せています。米所播磨の地名も入って、沢山のため池を想わせている。 (桑本栄太郎)

01.さえずりや利根本流の洋々と/小口泰與
坂東太郎と称される大河利根川、さえずりを配してその雄大な流れと春ののどかさを見事に表現しておられます。 (多田有花)

08.花に酔ふ同期四人や彦根城/桑本栄太郎
お城はいずこも桜の名所です。彦根城もそうなのでしょう。久しぶりに同期で集まってその桜を堪能されました。学生時代の桜の情景も脳裏に浮かんだことでしょう(多田有花)

23.はかまとれば猫も土筆を掴まんと/柳原美知子
つくしを採ってきて、下ごしらえをされています。ペットの猫がそばに寄ってきて、はずされたはかまにじゃれついているのでしょう。可愛らしい様子が浮かびます。(多田有花)

04.咲き初めし三葉躑躅に霰来る/多田有花
10.乾門また閉じられて春惜しむ/廣田洋一
15.昼休み缶コーヒーと春の空/西村友宏

■選者詠/高橋信之
19.桜蕊降るにまかせて寺への道
落花の残る寺院への道、桜蕊がはらはらと降りかかる中を、ゆっくりと春の光を浴びて歩かれるお姿が目に浮かび、惜春の思いが感じられます。 (柳原美知子)

20.入学の子が登る山花明かり
21.目の前を黄蝶飛びゆく日和かな

■選者詠/高橋正子
29.葉桜の若葉たる色かがやけり
家の周辺の山はヤマザクラが散り、若葉の色へと代わってきました。春の終わりを告げ夏へと向かう色彩です。いきいきとしたその色に輝く日差しがよく似合います。(多田有花)
待ち望んだ桜も終わり葉桜となってはいるが、若々しい色を輝かせていて、これもいいものですね。(祝恵子)

28.冷え冷えと花散る晴れていたるとも
30.藤蕾房のかたちに伸びいたり

■互選高点句
●最高点(5点/同点2句)
24.夕づきて桜一樹の浮かびくる/柳原美知子
13.逆上がり初めてできて風光る/西村友宏

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/高橋正子)
※コメントのない句にコメントをお願いします。

■4月月例ネット句清記■


■4月月例ネット句清記
2019年4月14日
10名30句

01.さえずりや利根本流の洋々と
02.春耕や利根の恵みを賜りし
03.花見船声もろ共に降ろしけり
04.咲き初めし三葉躑躅に霰来る
05.船点々と春の海の輝きに
06.ため池に春の波たつ播磨かな
07.満ちてなほ散るべく想ふ花あはれ
08.花に酔ふ同期四人や彦根城
09.きのふ見し花のあはれや今朝の雨
10.乾門また閉じられて春惜しむ

11.烏鳴けど時計は鳴らず大朝寝
12.ブラックホール遠くに隠す春の雲
13.逆上がり初めてできて風光る
14.学ランの匂い柔らか入学す
15.昼休み缶コーヒーと春の空
16.春灯しターンテーブルの紹興酒
17.おじきするしぐさ可愛や仏生会
18.春寒し背すじ伸ばせと風のいう
19.桜蕊降るにまかせて寺への道
20.入学の子が登る山花明かり

21.目の前を黄蝶飛びゆく日和かな
22.青麦畑はしる朝風窓に鳴る
23.はかまとれば猫も土筆を掴まんと
24.夕づきて桜一樹の浮かびくる
25.退勤の道が葉桜の並木
26.春霞都心のビルが遠ざかる
27.固き地にたんぽぽの茎みな真直ぐ
28.冷え冷えと花散る晴れていたるとも
29.葉桜の若葉たる色かがやけり
30.藤蕾房のかたちに伸びいたり

※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。
選句は<コメント欄>にお書きください。

●4月月例ネット句会投句ご案内●


●4月月例ネット句会投句ご案内●
①投句:当季雑詠(春の句)3句
②投句期間:2019年4月7日(日)午前6時~2019年4月14日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:4月14日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:4月15日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、4月15日(月)正午~4月18日(木)午後6時

○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之

■入賞発表/3月月例ネット句会■


■2019年3月月例ネット句会■
■入賞発表/2019年3月11日

【金賞】
★遅き日や暮れて賑わう一輪車/桑本栄太郎
春になると、日暮れの遅さを感じるようになる。放課後、広場などに小学生が集まってきて、一輪車を賑やかに楽しんでいる。華麗に乗りこなす子もいれば、初歩の子もいる。日が伸びてくれば子どもたちの外での生活が楽しくなる。(高橋正子)

【銀賞/2句】
★ふくらんで蕾赤あかチューリップ/高橋句美子
チューリップの代表と言える赤いチューリップの花。つぎつぎ蕾がふくらんで、どれも赤い色。並ぶと「赤あかと」になり、咲いた時の光景が目に浮かぶ。誰もがよく知る花を生き生きと詠むことができた。(高橋正子)

★荒行を終へたる僧や春衣/廣田洋一
僧の荒行は、天台宗や日蓮宗では、非常に過酷な修行があると聞く。それほどでなくても、荒行を修めて今や春衣を軽やかに纏っている僧は、よくわからないが、悟りの境地へ近づいて、心身軽やかなのではと想像する。「春衣」がいい。(高橋正子)

【銅賞/3句】
★紅梅にこたえて青し肥後の空/多田有花
肥後熊本の空は、南国だけに、青空の青も濃く力強いと想像できる。紅梅の色にこたえ、紅梅を引き立て見事に生かしている。「肥後の空」なれば、こその明るい紅梅だ。(高橋正子)

★白雲の流れミモザの黄の真上/柳原美知子
早春の花のミモザは、ミモザ色と言われる柔らかな黄色の小さな花が集まって咲く。ふわふわした感じのミモザの花は、白い雲とよく似合う。取り合わせの妙、洒落た配色に、早春の心も弾む。(高橋正子)

★卒業歌響く学び舎鳩が舞う/西村友宏
卒業式が行われ、卒業の歌が響く中、学び舎の空に鳩が放され、卒業が祝われる。中村草田男の句に「校塔に鳩多き日や卒業す」があるが、作者は初心者で、この句を知らないと思うが、今もこういう光景があって、昭和の時代にもどったような気持になった。(高橋正子)

【高橋信之特選/7句】
★青き踏む雀ちりぢりわが先を/高橋正子
下萌えの瑞々しい緑を踏み歩く心地よさ、虫を啄みながら嬉々として先を歩く雀たちの様子が目に浮かびます。一斉に飛び立つ雀を仰げば青空に囀りが聞こえてきます。(柳原美知子)

★遅き日や暮れて賑わう一輪車/桑本栄太郎
車の通りがほとんどない路地で子供たちが一輪車で遊んでいるのを見ることがあります。夕暮れ時が遅くなってきたこれからの季節、子どもたちの楽しい声が響きます。 (多田有花)

★荒行を終へたる僧や春衣/廣田洋一
★卒業歌響く学び舎鳩が舞う/西村友宏
★ふくらんで蕾赤あかチューリップ/高橋句美子
★青き踏む薬袋を提げていて/高橋正子
★白雲の流れミモザの黄の真上/柳原美知子

【高橋正子特選/7句】
★空き缶の音弾ませる春の風/西村友宏
春の風と言う春風駘蕩たるのどかな春の風に空き缶のリズム的に転がって行く素敵な景を堪能させて頂きました。有難う御座います。 (小口泰與)

★遅き日や暮れて賑わう一輪車/桑本栄太郎
★紅梅にこたえて青し肥後の空/多田有花
★荒行を終へたる僧や春衣/廣田洋一
★卒業歌響く学び舎鳩が舞う/西村友宏
★ふくらんで蕾赤あかチューリップ/高橋句美子
★白雲の流れミモザの黄の真上/柳原美知子

【入選/12句】
★古草の雨に明るき今朝の土手/桑本栄太郎
春の特徴はなんといってもその明るさ。雨でも風でも明るいものです。土手に降る雨さえも春の明るさに輝きます。 (多田有花)

★残照のらせん階段春の猫/小口泰與
恋猫の泣き声にらせん階段を見上げると、残照の中にらせんの曲線と丸みのある猫のフォルムが浮かび上がります。写真を見るように美しい情景ですね。 (柳原美知子)

★春の園そぞろ歩きの人あまた/多田有花
明るい日差しの中、花々が咲き香る春の公園には、だれもが誘われるようにそぞろ歩きし、しばしの安らぎのひと時を楽しみます。春爛漫を迎えた美しい園が目に浮かびます。 (柳原美知子)

★春風が涙の跡をそっと撫で/高橋秀之
涙を流した理由は知らないが、春風がやさしくあたり、涙の跡を撫でて行った優しさがよく分かる。さぞかし癒されたことでしょう。(廣田洋一)

★日を合わす桜だよりを眺めつつ/高橋秀之
日毎に暖かくなり、あちこちの桜の開花予想も出始めました。句を一読して、お花見の期日の相談と分かりますが、桜の開花は気温と場所によって遅速があり、丁度良いお花見の時季への心弾む相談です。(桑本栄太郎)

★顔洗い眠気眼の春の朝/西村友宏
正に今の時期の朝の気持ちです。理屈抜きで共感します。(高橋秀之)

★砂糖淡く色とりどりの雛あられ/高橋句美子
雛あられは優しく淡い色彩です。それだけでも楽しい気分になりますが、雛人形、緋毛氈、白酒などとの色の取り合わせもいいものです。 (多田有花)

★梅の香の日差しをくぐり身も軽く/柳原美知子
明るい日差しが降り注ぐ梅林でしょうか。梅の香りに満ちたその日差しのなかを行けば、身も心も軽やかになる思いです。 (多田有花)

★山茱萸の花や虚空の星の数/小口泰與
★白鷺の見つめる先の水温む/多田有花
★新幹線ふたりで見る窓春の富士/高橋秀之
★潮引いて舟底あらわ春の河口/柳原美知子

■選者詠/高橋信之
★春過ぎゆくや寺苑の樹々の生きいきと
★夏へ移る草木の静かなる寺苑
★空を見て地と見て夏近きと思う

■選者詠/高橋正子
★下萌えを括るごとくにロープ柵/高橋正子
★青き踏む薬袋を提げていて/高橋正子
★青き踏む雀ちりぢりわが先を/高橋正子

■互選高点句
●最高点(6点)
★青き踏む雀ちりぢりわが先を/高橋正子

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/高橋正子)
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