①投句:当季雑詠3句
5月7日(月)午前6時~5月11日(日)午後5時
②投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。
▼互選・入賞・伝言
①互選期間:5月11(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:5月12日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、5月12日(月)正午~
5月15日(木)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:髙橋句美子・西村友宏
▼互選・入賞・伝言
①互選期間:5月11(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:5月12日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、5月12日(月)正午~
5月15日(木)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:髙橋句美子・西村友宏
【銀賞/2句】
10.沖見えるまで花の坂上りゆく/藤田洋子
桜の並木が坂の上へと続いている。あるところから、桜並木を透かして海が見える。遥かに青くきらめく海と、桜の色がうつしい対比をなして、心遥かな心情が読み取れる。(髙橋正子)
30.境内の花摘み供す灌仏会/土橋みよ
灌仏会の花御堂をかざるために、境内の花をいろいろ摘み集めた。何が咲いているのだろう。椿、さくら、それに、かわいい花花が咲いている。釈迦誕生を祝う気持ちが自然で、うつくしい。(髙橋正子)
【銅賞/3句】
19.永日や日時計の針Ⅵを指す/上島祥子
日が永くなった。少し前までは5時をすぎ6時ごろには、暮れていた。それが日時計の針は6時を示すVIを指している。日の長さを日時計で実感するのどかさがいい。(髙橋正子)
23.みちのくの陽光ひさし朝寝かな/弓削和人
雪に埋もれた生活もようやく朝の陽光で目覚める春がきた。明るく気持ちのよい朝に朝寝を決め込んだ。雪国の生活者の春の来たよろこびなのだ。(髙橋正子)
26.春空に飛行機雲のほぐれゆく/多田有花
春空にのびやかに引かれた飛行機雲がやがてほぐれて空に消えていった。春空ののどかさやおおらかさが自然体で詠まれている。(髙橋正子)
【髙橋正子特選/7句】
10.沖見えるまで花の坂上りゆく/藤田洋子
海に面した桜並木のある坂道を、ぐんぐん上へと登って行きます。振り返れば、桜の花のトンネルの下方へ海が沖合まで見え、絶景を楽しむ作者です。(桑本栄太郎)
花はそれだけで美しい。しかし、春の海を背に咲く花はもっと美しい。そんな風景があるだろうと、ゆっくり坂を上るのである。眼前に広がる風景が見える、それを楽しみに「ゆっくり」上った。 (吉田 晃)
37.満開の桜と祝す吾子誕生/西村友宏
お目出度うございます。タイミング良く、桜が満開となりました。最高のお祝いです。(廣田洋一)
“吾子誕生”おめでとうございます。この上ない喜びが、満開の桜の明るさに満ちあふれているようです。(藤田洋子)
32.苗箱に早苗の緑がゆれあふる/吉田 晃
やがて田に植えられる早苗の緑が、優しく柔らかです。これから始まる新しい季節を感じさせてくれる早苗の明るさとみずみずしさです。(藤田洋子)
苗箱に蒔かれた早稲の籾種が早くも育ち、瑞々しい緑の苗となってあふれ、柔らかく風に揺れる嬉しさ。田植えの季節もすぐそこです。農の尊さを感じます。 (柳原美知子)
13.猫の背にとまるひとひら花ふぶき/川名ますみ
猫は心地よい居場所をよく知っています。心地よい風が吹き仄かな花の香りがする満開の桜の木の傍で、まったりとしていたのでしょう。猫の背のひとひらの花ふぶきに作者の猫への愛しさと桜の季節を惜しむ気持が感じられます。 (柳原美知子)
19.永日や日時計の針Ⅵを指す/上島祥子
36.花透かせ花に溶けゆく夕茜/柳原美知子
30.境内の花摘み供す灌仏会/土橋みよ
【髙橋句美子特選/7句】
12.朝が来て香る窓辺のフリージア/藤田洋子
朝の目覚めに窓辺のフリージアから春の香りが漂う。気持ちの良い朝を迎えられている様子が窺えました。(高橋秀之)
18.木陰から見上げる空に新芽吹く/髙橋秀之
大木の木陰からクローズアップされた春の空と芽吹いた新芽の明るさ。春の爽快さが感じられます。 (柳原美知子)
23.みちのくの陽光ひさし朝寝かな/弓削和人
26.春空に飛行機雲のほぐれゆく/多田有花
36.花透かせ花に溶けゆく夕茜/柳原美知子
桜と夕陽の淡い色の重なりが暖かい雰囲気です。(髙橋句美子)
43.みどり児に春月天心にのぼり/髙橋正子
【入選/16句】
01.花疲れ熟睡の部屋の四畳半/小口泰與
こういう疲れは充実の疲れですね。桜が咲き誇る戸外から戻ってこじんまりとした四畳半でやれやれと横になる。短時間でもぐっすりお休みになれたのでは。(多田有花)
03.鳥鳴いて花の噂を届けたり/小口泰與
優しい気持ちが伝わってくる句だと思いました。鳥が伝えてくれた花の噂がどんな花の様子だったか興味を持ちました。(土橋みよ)
04.廃校と決まる校門さくら咲く/桑本栄太郎
校門に桜が咲く風景は散見される。。一方、廃校という条件下に物悲しいさが見て取れる。廃校になった後は、どのようになるのだろう、という想像に書き立たれると共に、無常観を感じる句である。私ごとではあるが、母校である某小学校が廃校になっていたことと重なった。(弓削和人)
06.ぎらぎらと甍きらめく春の里/桑本栄太郎
明るく活気にあふれる春の里の様子を感じさせていただきました。(土橋みよ)
09.娘子の高き歌声柿若葉/廣田洋一
早や迎える新緑の季節。若き女性の明るい歌声に、柿若葉の透きとおるような美しさ、眩しさが、いっそう感じられます。(藤田洋子)
15.おひたしに求めし菜花のつぼみ咲く/川名ますみ
おひたしを作ろうと買い求めた菜の花なのでしょうか。さぁ、料理しようと思ったら、あら、つぼみが。作者がほほ笑む料理タイムだったのではないでしょうか(高橋秀之)
17.晴れの日は楽しき仲間とチューリップ/高橋秀之
チューリップには明るい日差しと仲間の笑いあう声が似あいます。この世界の「楽しさ」を花にしたらきっとチューリップになるだろうというような。(多田有花)
22.蕗の花どの花よりも土に触れ/弓削和人
地面から出たばかりの蕗の花芽。「どの花よりも」土近く開くその愛らしさと色合いに、春来たる喜びが感じ取れます。(藤田洋子)
24.幼子のほっぺと並ぶ桜餅/弓削和人
子供のほっぺが桜餅のもちもちした感触にかさなります。長閑で可愛らしい素敵な日常を思い浮かべました。(西村友宏)
27,春淡路大観覧車に迎えられ/多田有花
淡路の観覧車と言えば明石大橋を抜けた四国側。春の淡路を訪れたときに、大観覧車に迎えられた大きな気持ちを感じたのでしょう。(高橋秀之)
29.桜鯛花の気配にあかねさす/土橋みよ
桜が咲き始める頃の花を待つ気持ちが桜鯛の色彩にこめられて見事です。鯛の色合い、咲き始めようとする桜の色合い、それらが重なり合って華やかです。(多田有花)
33.山桜目で追いゆけば海はるか/吉田 晃
海の近くに連なる低山の山肌に山桜が点々と咲き始めています。その花を追って視線を移していけば、その先に青い海が広がっています。瀬戸内海沿岸部の花の季節の山の風景はまさにこういう感覚です。(多田有花)
39.寝かしつけ終えて一息桜餅/西村友宏
我が子の誕生に感激するとともに、慣れない子育てをこなして安堵する一コマがうまく切り取られていると思いました。桜餅を食べる姿がとても共感を呼びます。(土橋みよ)
11.母の手を離し走る子花の下/藤田洋子
16.新たなる門出に桜風に舞う/高橋秀之
25.大橋を渡らんのどけき春の日に/多田有花
■選者詠/髙橋正子
43.みどり児に春月天心にのぼり
生まれたばかりのみどり児がみずみずしい春月の月光に優しく包まれ、静かで神々しさを感じる光景です。赤ちゃんのお誕生おめでとうございます。健やかなご成長をお祈りいたします。 (柳原美知子)
生まれて来てくれた素晴らしい赤子を祝い、滴るばかりの艶なる春月が赤ちゃんを祝い、天の意思を神に届けていただくき、神様の恩恵が末永く続きますようにお祈りするご両親の心が感じられる御句ですね。(小口泰與)
45.花冷えの水の旨きをごくごくと
真冬とは異なる花冷えの寒さ。寒き中でもごくごと冷たい水が美味しく飲める季節になりました。 (高橋秀之)
■選者詠/髙橋句美子
40.まんまるの子の誕生に桜咲く
桜花が赤ちゃんの誕生を言祝ぐ様ですね。桜の花に見守られる嬰児が健やかである喜びが伝わります。おめでとうございます。(上島祥子)
「まんまる」の赤ちゃんのご誕生おめでとうございます。これから桜が咲く度にお誕生日をお祝いできますね。どうぞお健やかに。 (川名ますみ)
41.蔓は空へ誕生祝いのスイートピー
晴れやかな気持ちが直接表現されていて、いつも元気を頂戴しております。(土橋みよ)
互選高点句
●最高点句(8点)
10.沖見えるまで花の坂上りゆく/藤田洋子
集計:髙橋正子
※コメントのない句にコメントをよろしくお願いします。思ったこと、感じたこと、ご自由にお書きください。
01.花疲れ熟睡の部屋の四畳半
02.自ずから崩れる膝や朧月
03.鳥鳴いて花の噂を届けたり
04.廃校と決まる校門さくら咲く
05.水底の日の斑の揺らぐ蘆の角
06.ぎらぎらと甍きらめく春の里
07.虚子忌過ぎ記念館に春惜しむ
08.躑躅燃ゆ新工場の狭き庭
09.娘子の高き歌声柿若葉
10.沖見えるまで花の坂上りゆく
11.母の手を離し走る子花の下
12.朝が来て香る窓辺のフリージア
13.猫の背にとまるひとひら花ふぶき
14.車椅子カラカラ鳴らし花冷へ
15.おひたしに求めし菜花のつぼみ咲く
16.新たなる門出に桜風に舞う
17.晴れの日は楽しき仲間とチューリップ
18.木陰から見上げる空に新芽吹く
19.永日や日時計の針Ⅵを指す
20.引退のD51囲む朝桜
21.蛙の目借時未読の書積む
22.蕗の花どの花よりも土に触れ
23.みちのくの陽光ひさし朝寝かな
24.幼子のほっぺと並ぶ桜餅
25.大橋を渡らんのどけき春の日に
26.春空に飛行機雲のほぐれゆく
27.春淡路大観覧車に迎えられ
28.杖ついて仰げば三毳の山笑う
29.桜鯛花の気配にあかねさす
30.境内の花摘み供す灌仏会
31.朝庭に揺れる高枝小手鞠の花
32.苗箱に早稲の緑がゆれあふれ
33.山桜目で追いゆけば海はるか
34.家々を影絵としつつ彼岸の雪
35.あけぼのの風となり来て消ゆ燕
36.花透かせ花に溶けゆく夕茜
37.満開の桜と祝す吾子誕生
38.ミルクあげ吾子泣き止めば春雀
39.寝かしつけ終えて一息桜餅
40.まんまるの子の誕生に
41.蔓は空へ誕生祝いのスイートピー
42.春の光テディイベアの誕生祝
43.みどり児に春月天心にのぼり
44.遠山の桜ぬれているらしく
45.花冷えの水の旨きをごくごくと
※互選をはじめてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。
▼互選・入賞・伝言
①互選期間:4月13日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:4月14日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、4月14日(月)正午~
4月17日(木)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:髙橋句美子・西村友宏
【銀賞/2句】
08,雪掻けど掻けど今宵の雪降りぬ/弓削和人
今年は人々が経験したことのないような豪雪であった。雪を掻いても掻いても、掻ききれない。そこに今宵の雪が降る。大変な作業であるが、「今宵の雪」と言う美しい表現でまとめ、現実を詩としてうまく一句にしている。(髙橋正子)
28.三月の漢字の増えし児の手紙/藤田洋子
三月は小学生には一年のまとめとなる月であり、新学年がすぐそこに待っている月でもある。習った漢字がだんだん増えて、きちんと漢字を使って手紙がかけるという立派さは、うれしく、ほほえましいもの。(髙橋正子)
【銅賞/3句】
15.梅咲いて新しき手帳買い求む/土橋みよ
春の訪れの喜びと、手帳をあたらしくする楽しい気持ちが合わさって軽やかな雰囲気です。(髙橋句美子)
18.旅立ちは夜明けの春の港から/高橋秀之
旅立ちはいろんな場所から。夜明けの春の港からの旅立ちは特別感がある。冷たさの中にも艶やかなうるおいを感じる春の夜明け。緊張もするが前途洋々とした気持ちがうかがえて、清々しい旅立ちである。(髙橋正子)
37.旧友の土産は庭の蕗の薹/川名ますみ
家の「庭の蕗の薹」に親しみとあたたかさがある。古くからの気心の知れた友との早春の交流がさらりと「蕗の薹」の色のように詠まれている。(髙橋正子)
【髙橋正子特選/7句】
08,雪掻けど掻けど今宵の雪降りぬ/弓削和人
この二月の豪雪、雪国のみなさまの心情を代表する一句と感じました。日に四度雪かきをしてもまだどんどん積もるとか。この雪が日本を支える貴重な水資源となると聞けば、申し訳ない気持ちです。(多田有花)
15.梅咲いて新しき手帳買い求む/土橋みよ
春の訪れの喜びと、手帳をあたらしくする楽しい気持ちが合わさって軽やかな雰囲気です。(髙橋句美子)
22.春の宵あかり灯りぬ須磨明石/多田有花
「源氏物語」の舞台ともなった須磨明石。春の宵の灯りが静かな華やぎを青い闇の中に浮かびあがらせてくれ、古来からの土地にまつわる物語などが思われます。 (柳原美知子)
27.雀一羽たった一羽が春の影/吉田 晃
春の日差しによって生まれた雀の影に気付かされた小さな一羽の雀の存在感。生き物への優しい眼差しが感じられます。 (柳原美知子)
35.雛あられ米屋の棚に米が無く/柳原美知子
雛あられを買いに来た米屋さん。されど棚には本来の賞品である米がなく。まさに今年の世相ですね。(高橋秀之)
37.旧友の土産は庭の蕗の薹/川名ますみ
旧友が自宅の庭から蕗の薹を摘んで遊びに来た。いかにも春らしい句。蕗の薹が効いている。 (廣田洋一)
長い付き合いの友人の心遣いや自然の恵みの豊かさとともに、春の訪れと新たな始まりを感じました。(土橋みよ)
29.水際の色となりつつ柳の芽/藤田洋子
【髙橋句美子特選/7句】
06.いち早く利根の目覚めし春の波/小口泰與
坂東太郎利根川、関東一の大河の面に波がたちます。波の音、波の姿に敏感に春を感じ取っておられます。(多田有花)
09,桟橋の静かに朽ちる春浅し/弓削和人
もう今は使われていない桟橋が浅春の波に洗われ、人知れず朽ちていっている。往時の姿が偲ばれ、愛惜の念が感じられます。 (柳原美知子)
15.梅咲いて新しき手帳買い求む/土橋みよ
春の訪れの喜びと、手帳をあたらしくする楽しい気持ちが合わさって軽やかな雰囲気です。(髙橋句美子)
19.白梅は空の光とまじりあい/髙橋正子
春になり日差しも眩しくなりました。白梅に差しこむその日差しの眩しさが、花と相まって幻想的な感じを醸し出してくれます。 (高橋秀之)
冬が終わり、最初に色を見せてくれるのは梅である。そして、梅に早春の光がふりかかるのであるが、色のないこの季節、白梅と空の光が浮き立って見える。桜が咲くとこの光景は桜に奪われてしまうし、夏の強い色や秋の紅葉なども、他の色を目立たなくする。早春の今以外の景色では詠めない句だと思う。この季節だからこそ、「まじり合った決して派手でない色」がはっきりと作者の目に映ったのである。・・・このように感じました。 (吉田 晃)
26.春星の窓に栞の本を置く/吉田 晃
春星とあるので星の灯りの差し込む出窓なのでしょうか。栞を挟んだ読みかけの本を置く。ほっと一息の時間ですね。(高橋秀之)
28.三月の漢字の増えし児の手紙/藤田洋子
小学1年生からの手紙でしょうか。小さな子は一年で大きく成長して、学年末の三月に覚えた漢字を使っている健やかな姿が想像できます。読んで喜ばしい句ですね。(上島祥子)
四月の進級月を前にして、三月には覚えたての漢字を書けるようになった子供の成長がほほえましい。幼少時期の頃の自分の姿かもしれません。 (弓削和人)
18.旅立ちは夜明けの春の港から/高橋秀之
10.日向なる人待ち顔の犬ふぐり/廣田洋一
春の日差しに可愛らしく青い花を開いている犬ふぐり。春真っ先に出会う野の花は毎年待ってくれているようです。「人待ち顔」がぴったりですね。 (柳原美知子)
11.枝先に一輪咲きし枝垂梅/廣田洋一
枝垂梅の枝先に見つけた一輪の開花が、嬉しい春の訪れです。やがて次々と咲く枝垂梅の美しさも目に見えるようです。(藤田洋子)
12.名を知らぬ小さき花や青き踏む/廣田洋一
歩いている途中、道端に咲く名も知らない小さな花に気づいたが草を踏みしめて歩き続ける春の静かな一場面を切り取られているように思いました。(土橋みよ)
13.寒凪に舟の生む波赤く染む/土橋みよ
寒の夕凪、静かにひろがる小舟からの波がしだいに夕陽に染まり、美しく安らかな一日の終わりが感じられます。(柳原美知子)
18.旅立ちは夜明けの春の港から/高橋秀之
少し暖かくなったかと思えば、又直ぐ寒の戻りがあり、長い間寒暖定まらぬ天候がつづきました。然し漸く春の兆しです。待ちに待った旅立ちは、夜明けのしかも「春の港」からという。心弾む大いなる喜びに溢れている。(桑本栄太郎)
23.暮れかかる溜池に春の鴨の影/多田有花
貯水のために作られた溜池は、波もなく穏やかです。ゆっくりと暮れ始める頃、未だ帰らずにいる鴨の影が、その水面に映りました。せわしい動きがない、駘蕩とした春の夕べのひとこまに心惹かれます。 (川名ますみ)
31.暖かな日差し煌めくバスの旅/西村友宏
車窓の日差しの煌めきに、心浮き立つようなバスの旅の楽しさを感じます。春の心地よい暖かさと陽気に心明るくなれます。(藤田洋子)
34.風二月丘にふくらむホルンの音/柳原美知子
モーツァルトの「ホルン協奏曲」が脳裏に浮かびました。4曲とも大好きです。豊かなホルンの響きが早春の丘を包みます。(多田有花)
36.啓蟄の土踏み浴びる鶏の声/柳原美知子
啓蟄の時期に、春の土のぬくもり感じられ、春の訪れを知らせてくれる鶏の鳴き声が聞かれる農村の風景が、自然の中のリズムとして感じられました。(土橋みよ)
38.てのひらにしっとり蕗の薹二つ/川名ますみ
てのひらを通して伝わる二つの蕗の薹のしっとりとした柔らかさ。その感触と、蕗の薹を見る作者のまなざしに春到来の喜びを実感します。(藤田洋子)
41.北窓を開いて仏間の花の揺れ/上島祥子
冬の間締め切った北窓を開けて、春の風や光を取り入れる仏間。花の揺れようがとりわけ優しく感じられ、季節を大切にされるお暮しがうかがえます。(藤田洋子)
07.囀を空耳とする湖の家/弓削和人
17.ふと見れば駅舎の中に雛飾り/高橋秀之
25.渡し舟ゆれて離岸の春帽子/吉田 晃
30.芽柳の雨こまやかに道後の灯/藤田洋子
■選者詠/髙橋正子
19.白梅は空の光とまじりあい
春になり日差しも眩しくなりました。白梅に差しこむその日差しの眩しさが、花と相まって幻想的な感じを醸し出してくれます。 (高橋秀之)
冬が終わり、最初に色を見せてくれるのは梅である。そして、梅に早春の光がふりかかるのであるが、色のないこの季節、白梅と空の光が浮き立って見える。桜が咲くとこの光景は桜に奪われてしまうし、夏の強い色や秋の紅葉なども、他の色を目立たなくする。早春の今以外の景色では詠めない句だと思う。この季節だからこそ、「まじり合った決して派手でない色」がはっきりと作者の目に映ったのである。・・・このように感じました。 (吉田 晃)
21.菜花茹で蕾の黄色ひとつある
茹でた菜の花に蕾が混ざるとひと際目立ちますね。黄色の蕾が日常に彩を与えているようです。(西村友宏)
20.降り込んで雪ともならず春の雨
■選者詠/髙橋句美子
43.桃の節句彩り軽く淡い空/髙橋句美子
桃の節句を迎えて仰ぐ空、その淡く優しい色合いが、快い季節の訪れを伝えてくれます。冬の寒さがようやくやわらぎ、暖かな春を迎える軽やかな心情が感じ取れます。(藤田洋子)
45.伊予柑のみずみずしさを朝食に
新鮮で爽やかな味わいを持つ伊予柑が朝食の食卓にあり、一日の始まりを明るくしてくれる幸せを感じました。(土橋みよ)
44.卒業の便りが耳に風強し
互選高点句
●最高点句(6点/同点2句)
19.白梅は空の光とまじりあい/髙橋正子
28.三月の漢字の増えし児の手紙/藤田洋子
集計:髙橋正子
※コメントのない句にコメントをよろしくお願いします。思ったこと、感じたこと、ご自由にお書きください。
11.枝先に一輪咲きし枝垂梅
12.名を知らぬ小さき花や青き踏む
13.寒凪に舟の生む波赤く染む
14.猫鳴けば孫も猫まね日永かな
15.梅咲いて新しき手帳買い求む
16.三寒を超えて十寒四温なり
17.ふと見れば駅舎の中に雛飾り
18.旅立ちは夜明けの春の港から
19.白梅は空の光とまじりあい
20.降り込んで雪ともならず春の雨
21.菜花茹で蕾の黄色ひとつあり
22.春の宵あかり灯りぬ須磨明石
23.暮れかかる溜池に春の鴨の影
24.春灯しおもてに映し川流る
25.渡し舟ゆれて離岸の春帽子
26.春星の窓に栞の本を置く
27.雀一羽たった一羽が春の影
28.三月の漢字の増えし児の手紙
29.水際の色となりつつ柳の芽
30.芽柳の雨こまやかに道後の灯
31.暖かな日差し煌めくバスの旅
32.カーテンの奥は淡雪さらさらと
33.手のひらで優しく沈む桜餅
34.風二月丘にふくらむホルンの音
35.雛あられ米屋の棚に米が無く
36.啓蟄の土踏み浴びる鶏の声
37.旧友の土産は庭の蕗の薹
38.てのひらにしっとり蕗の薹二つ
39.蕗味噌にレシピ聞きつつ箸を付け
40.真白なる美濃路の天守北窓開く
41.北窓を開いて仏間の花の揺れ
42.夕茜残る光や梅古木
43.桃の節句彩り軽く淡い空
44.卒業の便りが耳に風強し
45.伊予柑のみずみずしさを朝食に
※互選をはじめてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。
▼互選・入賞・伝言
①互選期間:3月9日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:3月10日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、3月10日(月)正午~
3月13日(木)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:髙橋句美子・西村友宏