■2月月例ネット句会/入賞発表■

■2021年2月月例ネット句会■
■入賞発表/2021年2月15日
【金賞】
★芽ぐむ木の窓の明るい喫茶店/吉田 晃
明るく、期待感を感じさせる句。窓を通して見える景色に透明感があって、窓の内側の喫茶店のほの暗さが落ち着く。(髙橋正子)
【銀賞/2句】
★鋤かれゆく春田のひかり鳥を呼び/柳原美知子
田があたらしく息づく春。鋤かれた田の土はひかり、土にみみずなど見つけた鳥がそれを啄みに降りて来る。春田のたのしい季節。(髙橋正子)
★晴れた日の階段あがれば桜咲く/髙橋句美子
晴れた麗らかな日、階段を上っていくと、思わぬことに桜が咲いている。その驚きを詠んだ晴れやかな句。表現が散文のようであるが、リズムがあって、景色に詩情があるところが散文と異なる。(髙橋正子)
【銅賞/3句】
★陽に向かい尖るこぶしの蕾かな/古田敬二
今こぶしの蕾は、咲く前の力を集約するように尖って、太陽に向かい、銀の蕾を輝かせている。この蕾が咲くときが楽しみだ。(髙橋正子)
★春浅し海を渡りて荷は届く/祝 恵子
遠くから荷物が届くこと。そのことに楽しさがある。夢がある。春浅い海に思うことはさまざま。その海を越えて来た荷物を受け取った時のうれしさが、静かに伝わる。(髙橋正子)
★早春の庭で縄跳び兄妹/多田有花
コロナ禍で外で思い切り遊べないが、兄と妹が庭で縄跳びをする仲の良さがほほえましい。「早春」の季節の淡さがいい。(髙橋正子)
【高橋信之特選/7句】
★芽ぐむ木の窓の明るい喫茶店/吉田 晃
若々しい風景が春の訪れを感じさせます。(高橋句美子)
★蝋梅の放つ光の艶やかに/吉田 晃
蝋梅の色が澄んだ空に生える情景がうかびました。放つ光という表現が綺麗です。(西村友宏)
★鋤かれゆく春田のひかり鳥を呼び/柳原美知子
春耕をしてるのであろう。土が鋤かれる度に春の日に黒く光り、その後ろに鳥も集まって来る。春ののどかな景色である。 (廣田洋一)
田の土を鋤くと眠っていた虫が掘り起こされ、それを狙って鳥たちが集まる。気の早い鳥は、田が鋤かれるのを待っている。春田がひかるのは、掘り起こされた虫が逃げ惑っている姿。待っていた春がようやくやってきた。 (吉田晃)
★五分咲きの梅の真白さ生きいきと/髙橋正子
五分咲きの白梅ならではのみずみずしさが生き生きとに表されていて、真白く青空へと膨らむ蕾と芳香が想像されます。(柳原美知子)
★春浅し海を渡りて荷は届く/祝 恵子
★早春の庭で縄跳び兄妹/多田有花
★晴れた日の階段あがれば桜咲く/髙橋句美子
【高橋正子選/7句】
★陽に向かい尖るこぶしの蕾かな/古田敬二
日ごと春めいてきています。こぶしの蕾も咲くときを待って日差しを浴びています。明るい春の朝です。 (多田有花)
★ブランコの幼子空へ飛び出しそう
ブランコをこぐ生き生きとした幼子の姿と瑞々しい春の空がクローズアップされ、光に満ちた明るい季節の到来が感じられます。 (柳原美知子)
★芽ぐむ木の窓の明るい喫茶店/吉田 晃
★早春の庭で縄跳び兄妹/多田有花
★鋤かれゆく春田のひかり鳥を呼び/柳原美知子
★晴れた日の階段あがれば桜咲く/髙橋句美子
★春灯の点りし部屋に帰り来ぬ/髙橋信之
【入選/13句】
★薄氷や砕けばメダカ逃げ惑う/祝 恵子
早春に時には寒い朝もあり、蹲に薄氷が張ることがあります。興味深くそっと氷を砕けば、中に居るメダカが驚き逃げ惑っています。狭い蹲の中でもすっかり春の訪れです。(桑本栄太郎)
★夜明けすぐ鳥の鳴き声春立てる/高橋秀之
夜明けの静けさの中に響く鳥の声の明るさに立春が実感され、今日をうれしく迎えられます。(柳原美知子)
★けん先へすっと玉入り春きざす/多田有花
ケン玉入れに挑戦。うまい具合に穴にスーと入った。思えばもうすぐ春だ。 (古田敬二)
★春耕や声掛け合ひて老夫婦/廣田洋一
春の日差しの中、ご夫婦で支え合いながら畑仕事に精を出されている姿は微笑ましくもあり、また長年の地道な土づくりの労働に驚嘆の念も覚えます。詠者の温かい視線が感じられます。(柳原美知子)
★風花や紅茶に砂糖さらさらと/西村友宏
紅茶の準備をしつつ窓の外を見れば風花がふわふわと舞っている。砂糖はさらさらと。一時の幸せですね。 (祝恵子)
★水底の光りきらめく蘆の角/桑本栄太郎
★鳥減りて沼の寂しき二月かな/小口泰與
★柔らかき土中へ馬鈴薯そっと植え/古田敬二
★春空の日差しにきらり航空機/高橋秀之
★白き梅枝の先まで膨らみぬ/廣田洋一
★雪解谷轟く岸に雪だるま/柳原美知子
★立春の土手は絵本の1ページ/柳原美知子
★剪定のあとの青空鳥の影/髙橋句美子
★道すがら一人静かに梅見かな/西村友宏
★木漏れ日に雀戯る春の土/西村友宏
★土鍋炊く静かなリズム寒灯下/川名ますみ
■選者詠/高橋信之
★寺苑ひろびろとして春の空
ひろびろとした寺苑、ひろびろとした春の空。ひらがなが柔らかく、あたたかな雰囲気を醸し出す、春の訪れです。(高橋秀之)
★春灯の点りし部屋に帰り来ぬ
春の灯火であり、朧夜には一種の安心感と生活感のある部屋に帰り来た安堵感が溢れている素敵な景です。(小口泰與)
★枯芝に朝陽が射してくる寺苑
■選者詠/高橋正子
★五分咲きの梅の真白さ生きいきと
五分咲きの白梅ならではのみずみずしさが生き生きとに表されていて、真白く青空へと膨らむ蕾と芳香が想像されます。(柳原美知子)
★電線に連雀番い二月かな
★野梅の香マスク通してつんと来ぬ
■互選高点句
●最高点(同点2句/6点)
★鋤かれゆく春田のひかり鳥を呼び/柳原美知子
★五分咲きの梅の真白さ生きいきと/髙橋正子

■2月月例ネット句会清記■

■2月月例ネット句会清記■
2021年2月14日
14名(42句)
01.目覚めても夢を追いたる朝寝人
02.水底の光りきらめく蘆の角
03.地道行く蘆の角ぐむ川辺かな
04.隠れ沼の無言の器残る鴨
05.中島みゆきファイトの歌や春の朝
06.鳥減りて沼の寂しき二月かな
07.芽ぐむ木の窓の明るい喫茶店
08.蝋梅の放つ光の艶やかに
09.はやぶさの帰還し美しき春の星
10.陽に向かい尖るこぶしの蕾かな
11.柔らかき土中へ馬鈴薯そっと植え
12.ブランコの幼子空へ飛び出しそう
13.春浅し海を渡りて荷は届く
14.薄氷や砕けばメダカ逃げ惑う
15.梅の花門柱の灯よ友は留守
16.夜明けすぐ鳥の鳴き声春立てる
17.春空の日差しにきらり航空機
18.通勤がまだまだ寒き春の朝
19.早春の庭で縄跳び兄妹
20.春浅き朝日を浴びて犬散歩
21.けん先へすっと玉入り春きざす
22.白き梅枝の先まで膨らみぬ
23.春耕や声掛け合ひて老夫婦
24.寝入端地震に飛び起き凍返る
25.雪解谷轟く岸に雪だるま
26.立春の土手は絵本の1ページ
27.鋤かれゆく春田のひかり鳥を呼び
28.晴れた日の階段あがれば桜咲く
29.麗らかに小鳥が止まる電線に
30.剪定のあとの青空鳥の影
31.風花や紅茶に砂糖さらさらと
32.道すがら一人静かに梅見かな
33.木漏れ日に雀戯る春の土
34.枯芝に朝陽が射してくる寺苑
35.寺苑ひろびろとして春の空
36.春灯の点りし部屋に帰り来ぬ
37.電線に連雀番い二月かな
38.野梅の香マスク通してつんと来ぬ
39.五分咲きの梅の真白さ生きいきと
40.土鍋炊く静かなリズム寒灯下
41.寒灯土鍋くつくつ音立つる
42.話しつつ韮雑炊の灰汁すくう
※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。 選句は<コメント欄>にお書きください。

●2月月例ネット句会ご案内●

●2月月例ネット句会ご案内●
①投句:当季雑詠(春の句)3句
②投句期間:2021年2月8日(月)午前6時~2021年2月14日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:2月14日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:2月15日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、2月15日(月)正午~2月18日(木)午後6時

○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之
○句会管理:高橋信之

ご挨拶

1月月例ネット句会にご参加くださいまして、ありがとうございました。今回は、新型コロナウィルスの感染がますます広がる中でしたが、13名の皆様にご参加いただいて、新春らしく華やかな句会となりました。入賞の皆さまおめでとうございます。また、選とコメントをありがとうございました。選句の途中、ブログに不具合が生じましたが、すぐに不具合もなおって、とどこおりなく、句会を進めることができました。ご協力ありがとうございました。
今年も昨年同様、第2日曜日に月例ネット句会を開催いたしますので、どうぞ、よろしくお願いいたします。
これで、1月月例ネット句会を終わります。来月は、2月14日(日)となります。(主宰/髙橋正子)

■1月月例ネット句会/入賞発表■

■2021年1月月例ネット句会■
■入賞発表/2021年1月11日
【金賞】
★夫の忌の晴れて海へとアロエ咲く/柳原美知子
夫の忌が晴れやかに詠まれている。共に暮らした日の晴れやかな思い出があるのだろう。アロエは比較的寒さに強く、花の開花は真冬になる。霜や雪で枯れることのない温暖な海岸地方で花が見られることが多い。この句のアロエも海と取り合わされて、エキゾチックな雰囲気が句を明るく、元気にしている。(髙橋正子)
【銀賞/2句】
★澄み渡る冬空と海呉にあり/高橋秀之
呉は元軍港で有名なところ。呉へはローカル線が海岸沿いを走る。戦争とは遠くなった呉は、今澄み渡る冬空と海のある街となっている。(髙橋正子)
★青空に透ける?梅香しき/廣田洋一
青空に黄色い?梅が馥郁と香りを放って咲いている。?梅が咲くところでは、普通に見かけられるきれいな風景だが、それを素直に「香しき」と捉えて、誰をも納得させている。(髙橋正子)
【銅賞/3句】
★そこにだけ日当たり来る冬薔薇/古田敬二
冬薔薇が咲くそこだけに日が当たっている。庭の陰影の中に、日差しに浮き上った冬薔薇が、貴重なあたたかい存在になっている。(髙橋正子)
★初詣真青な空と五色幕/髙橋句美子
初詣に行くと、真っ青な空のもとに、五色幕が張り巡らされ、新年の特別な日と、はっきり知らされる。五色幕の五つの色は、仏教の五行思想を表しているとのこと。仏教寺院であることを表し、釈迦如来の説いた教えを広く宣べて流布させることを表している。初詣に改まる気持ち。(髙橋正子)
★曇り空山の向こうは大雪か/多田有花
曇り空の分厚さに、山を越えた向こうは大雪になっているだろうかと想像する。天気予報で寒気団の来襲が伝えられていたときであろうが、大雪に降られた日本海沿岸の色の消えた雪景色が思い浮かぶ。(髙橋正子)
【高橋信之特選/7句】
★そこにだけ日当たり来る冬薔薇/古田敬二
冬の弱い日差しだが、薔薇の花に焦点をあてたように日が当たる。浮かび上がった花はさらに美しくなる。庭の冬薔薇でしょうか。きれいですね。 (吉田晃)
★澄み渡る冬空と海呉にあり/高橋秀之
★青空に透ける?梅香しき/廣田洋一
★寒晴の空にさみどり辛夷の芽/髙橋正子
★アルプスの雪嶺見ゆまで坂のぼり/髙橋正子
★初詣真青な空と五色幕/髙橋句美子
★夫の忌の晴れて海へとアロエ咲く/柳原美知子
【高橋正子選/7句】
★雪の予報窓よりオリオン見て眠る/柳原美知子
明日は雪の予報。でも、今宵はオリオンが見て取れる星空。ほんとうに明日は雪なんだろうかと思いながら眠りにつく。幸せを感じる一夜です。 (高橋秀之)
ラジオの天気予報ではこれから雪に変わり明日は積もるらしい。今はまだ晴れている夜空に広がるオリオン座。窓からそのオリオン座が良く見える。さあ、眠るとしよう。 (古田敬二)
★そこにだけ日当たり来る冬薔薇/古田敬二
★澄み渡る冬空と海呉にあり/高橋秀之
16.青空に透ける?梅香しき/廣田洋一
31.初詣真青な空と五色幕/髙橋句美子
34.夫の忌の晴れて海へとアロエ咲く/柳原美知子
37.曇り空山の向こうは大雪か/多田有花
【入選/16句】
★まな板をまずは洗いて初厨/古田敬二
元日の朝、いそいそと厨に入り、お節料理を並べ始める。然し、蒲鉾や鳴門巻やらをまず切らねばならず、その為にはまな板を洗わねばならない。元日の楽しい家事の始まりである。(廣田洋一)
★暁闇の妻たたき居り七日粥/桑本栄太郎
まだ暗い朝、奥様の七日粥の支度の音を聞きながら、楽しんでおられます。 (祝恵子)
★七草粥ぐつぐつ湯気も二人分/祝 恵子
新婚家庭とも、子どもが巣立った後の落ち着いた熟年夫婦とも、ほんのりと幸せな気分が伝わってくる句です。 (多田有花)
★参拝の最後尾には初雀/西村友宏
静かな参拝の中、初雀の声が聞こえ、ふっくらとした可愛らしい姿が参拝者の後にならんでいるかのように社の土の上に見え、ほほえましい光景が
眼に浮かびます。詠者の温かい視線が感じられます。 (柳原美知子)
★大寒の夜道しいんと耳に手を/髙橋句美子
大寒は二十四節気のひとつで、一般的には一番寒い時で、夜道はいつそう寒く耳や手に痺れが来るほどの寒さになります。あまりの寒さに耳に手を
当てて暖を取る景が見えてきます。 (小口泰與)
★美しき炎見るため焚火する/多田有花
寒い季節の焚火は暖を取るばかりではなく、その炎はとても美しいものです。又炎を眺めて居れば、いろいろな思い出もよみがえり、非日常の心情
に浸ることが出来ます。(桑本栄太郎)
★冬草や石垣高き峡の家/吉田 晃
奈良県の十津川村の情景をイメージしました。山が迫ったほとんど平地のないところに階段のように石垣を作って家を建てています。日本の原風景
のひとつと感じます。 (多田有花)
★駅伝の順位見ながら寝正月/西村友宏
今年の駅伝はドラマ続出でしたね。こういうお正月だという男性は多いかもしれません。そして、それが至福かも。 (多田有花)
★隠れつつ飼い猫つき来る初詣/柳原美知子
猫のしぐさが目に見えるようです。しなやかに物陰に隠れながらも飼い主の姿をしっかり見て、後をついてきます。可愛いですね。 (多田有花)
★音階の如き霰やとたん屋根/小口泰與
とたん屋根に降る霰の音に耳を澄ませ、音階にみたてて楽しむほっこりとしたひと時。厳寒の季節にも喜びを見出されていて、心惹かれます。(柳原
美知子)
★花八手遊びし子らは遠くいて/吉田 晃
コロナ禍で、離れ住む子供たちも故郷に帰れず、遊ぶ子供の姿もあまり見かけない静かな新年。さびしい村に咲く花八手の白さが際立ちます。(柳原
美知子)
★笹鳴や巨人になりし吾子の影/小口泰與
★夕映えの沼へ水脈描く小白鳥/小口泰與
★煮大根の甘き湯気立つ十二月/ 吉田 晃
★初氷ゴツゴツ手ごたえ割ってゆく/祝 恵子
★窓という窓を鳴らして寒波来る/多田有花
■選者詠/高橋信之
★寒き夜のコーヒー豆を挽きつぶす
コーヒー豆を挽く音が想像され、寒さが際立ちます。温かいコーヒーを楽しみにしている様子も感じられます。 (髙橋句美子)
★窓外の枯野に遊ぶ子らの声
★暖かき色をしているコーヒーは
■選者詠/高橋正子
★アルプスの雪嶺見ゆまで坂のぼり
アルプスの雪嶺に向かい、長い坂道を寒晴れの空へと登る期待感と爽快感が伝わってきます。身近に迫るアルプスの雪嶺はさぞかし素晴らしかった
ことでしょう。(柳原美知子)
★寒晴の空にさみどり辛夷の芽
★寒禽の重さかさかさ枝が揺れ
■互選高点句
●最高点(6点)
★青空に透ける?梅香しき/廣田洋一
※コメントの無い句に、コメントをよろしくお願いいたします。

■1月月例ネット句会清記■

■1月月例ネット句会清記■
2021年1月10日
13名(39句)
01.笹鳴や巨人になりし吾子の影
02.夕映えの沼へ水脈描く小白鳥
03.音階の如き霰やとたん屋根
04.冬草や石垣高き峡の家
05.花八手遊びし子らは遠くいて
06.煮大根の甘き湯気立つ十二月
07.そこにだけ日当たり来る冬薔薇
08.まな板をまずは洗いて初厨
09.初山河川中の巨岩洗われる
10.静かなる正月も良き晴れの朝
11.澄み渡る冬空と海呉にあり
12.貨物車に雪が積もりて溶けてゆき
13.三日早やパンの朝餉のコーヒーに
14.暁闇の妻たたき居り七日粥
15.三密の群れとなりたる寒すずめ
16.青空に透ける?梅香しき
17.寒鯉の緋色一匹源平池
18.水仙や蕾のままに立ち往生
19.七草粥ぐつぐつ湯気も二人分
20.初氷ゴツゴツ手ごたえ割ってゆく
21.寒すずめ残りし熟柿突きおり
22.初雪に車中の会話が弾みけり
23.駅伝の順位見ながら寝正月
24.参拝の最後尾には初雀
25.窓外の枯野に遊ぶ子らの声
26.寒き夜のコーヒー豆を挽きつぶす
27.暖かき色をしているコーヒーは
28.寒晴の空にさみどり辛夷の芽
29.アルプスの雪嶺見ゆまで坂のぼり
30.寒禽の重さかさかさ枝が揺れ
31.初詣真青な空と五色幕
32.エコバッグ持って指差す冬満月
33.大寒の夜道しいんと耳に手を
34.夫の忌の晴れて海へとアロエ咲く
35.隠れつつ飼い猫つき来る初詣
36.雪の予報窓よりオリオン見て眠る
37.曇り空山の向こうは大雪か
38.窓という窓を鳴らして寒波来る
39.美しき炎見るため焚火する
※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。 選句は<コメント欄>にお書きください。

●新春(1月)月例ネット句会ご案内●

●1月月例ネット句会ご案内●
①投句:当季雑詠(新年・冬の句)3句
②投句期間:2021年1月4日(月)午前6時~2021年1月10日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:1月10日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:1月11日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、1月11日(月)正午~1月14日(木)午後6時

○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之
○句会管理:高橋信之

■2020年月例ネット句会金賞作品/第1席発表■


■2020年月例ネット句会金賞作品/第1席発表■
2020年月例ネット句会も欠かすことなく行うことができました。ご参加ありがとう
ございました。1年のまとめとして、月例句会金賞12句の中から、好きな句をひとり
3句ずつ選んでいただきました。選には8名の方が参加されました。

結果は、8月の金賞句「朝顔のつぼみの先に明日の色/川名ますみ」が最高点の6点句と
なりました。ますみさん、おめでとうございます。明日へと希望を繋いでくれる句が
みんなの気持ちを集めて、最高点句となったことは、喜ばしく、ウィズコロナの時代
も元気を出して日々暮らしていける気持ちになりました。

新型コロナウィルスの感染が広がるなかも、日々の生活のなかに、希望や喜びや意外な
ことへの驚きなどを見つけ、句にされ、それを読んだ人の心にも明るさと元気をもたら
してくれたのは、花冠俳句のよいところではないかと思いました。日本の各地におられ
る花冠のお仲間の皆さんと長年ともに句を作って来てよかったと思っています。
お住まいの町やそれぞれの暮らしの楽しさなどを俳句を通して教えてもらえるのもネッ
ト句会ならではの楽しさと思っています。

〇月例ネット句会の金賞・銀賞・銅賞に入賞の皆様に信之先生と私の俳句はがきを送らせ
ていただきます。年明けごろ郵送したいと思います。ご笑納ください。

〇また、金賞第1席(6点/1名)、金賞次席(3点/2名)の方々には、信之先生の色紙
を送らせて頂く予定です。これも年明けごろとなります。
皆さま、ご健康に気を付けられて、よいお年をお迎えください。
                             
                    2020年12月30日 主宰/高橋正子

【金賞第1席】
[8月](6点)
★朝顔のつぼみの先に明日の色/川名ますみ
「明日の色」は、実際に明日朝開く朝顔の色でもあるし、未来の色でもある。この二つのことを思うと、朝顔のつぼみに期待と希望を抱く。「つぼみ」が漢字の「蕾」でなく、平仮名であることがいい。(高橋正子)
つぼみというのはいいものです。これから開く希望、未来、そういうものを連想させます。それらを「明日の色」とまとめられているのがいいです。 (多田有花)
今日は咲かない。今日は蕾のままで明日を待つ。明日を楽しみに待つ。そう思わせてくれる良さがいいですね。(吉田 晃)
早朝に開く朝顔、そのつぼみの先の色を想像し、朝一番の喜びを期待すると、今日の終わりを穏やかに迎えられることでしょう。その日々の積み重ねに未来があるような気がします。(柳原美知子)
明日の色というのがすごく気に入りました。朝顔は明るい色の花が多いですが、それが明日の色というと明るい未来をそこに感じます。 (高橋秀之)
何色の朝顔か。明日の朝咲く色がわずかに見える。「明日の色」と詠んだところが簡素でよい。 (古田敬二)

【金賞次席以下/高点句順】
[4月](3点)
★菜の花の背後はいつも青い空/多田有花
菜の花は、いつも青空を背景に咲いている。実際は、そうとは限らないが、一番印象的なのが、青い空を背景に咲くとき。菜の花の黄色、空の青は、明快な色彩の中にも春らしい柔らかさがあって、誰もが好きな景色だ。(高橋正子)
4月ともなれば桜や菜の花が咲き、空はいつも青空となって来ます。菜の花の黄色と青空がお互いに引き立て合って、春を謳歌しています。 (桑本栄太郎)
春になりました。大地には満面の菜の花の黄色、大空には澄み渡った青い空。何百年、何千年と繰り返してきた悠久の自然がそこにあると感じます。 (高橋秀之)

[12月](3点)
★峡の日を集めあかあか冬苺/柳原美知子
「冬苺」は、クリスマスシーズンの今店頭にでているものではない。山峡の日当たりのよいところに自生し、9月から10月ごろ白い花を咲かせ、冬に小さな赤い粒が集まった実が赤く熟れるもの。枯れがすすむなかに、宝石のようにきらめく冬苺に愛らしさとあたたかさを感じる。大切なものへの慈しみの心。(髙橋正子)
冬苺は、最も日が短くなるころ、それほど日も当たらないような場所につややかな赤い実をつけます。まるで小さな宝石を見るような思いがします。 (多田有花)
峡の田舎。日当たりの一番いい場所に苺のハウスがある。天気のいい日はビニールを上げて峡に集まる日を入れる。甘い赤が想像されます。(吉田晃)

[3月]
★突堤に若布刈るなり少年ら/多田有花
春になると若布が海岸や突堤に寄せてくる。海岸で採れなければ、突堤まで出てゆく。少年たちが若布を刈っている珍しい光景だ。家業の手伝いか、ただ楽しみの若布刈りか。少年たちは春を呼び込んでいる。(高橋正子)
若さ明るさそしてふるさとが見えていて強さも感じられます。(吉田 晃)
早春の潮の香、海の色、少年たちの生き生きした声、新たな季節の生命力が感じられ、心惹かれます。(柳原美知子)

[5月]
★風を待つヨットに海のきらきらと/多田有花
はつらつと、明るさに満ちた快い句。きらきらと輝く海へこれから乗り出そうと風を待つヨット。「風を待つヨット」に明らかな思いがあってよい。(高橋正子)
初夏の海は、太陽の光を映してきらきらとしています。帆走を待つヨットにその反射光がきらきらと差し込みます。さぁ、これから気持ちのいい海を走るぞという躍動感が伝わってきます。 (高橋秀之)

[7月]
★四肢伸ばす風よく通る夏座敷/多田有花
すっきりと曇りのない快い俳句。風がよくとおる座敷は、夏には何よりも嬉しいところ。四肢を伸ばし、全身を伸ばせば、心身ともにくつろげる。自然の風にくつろげる夏座敷は、日本の良さ。(高橋正子)
広い座敷に寝転んで四肢を伸ばす。汗ばんだ体もよく入ってくる風に涼しくなる。うらやましい句である。 (古田敬二)

[11月]
★立冬や靴音高く人が行く/古田敬二
立冬は、「秋が極まり冬の気配が立ち始める日」と説明される。立冬と聞けば、人はなんとなく無口になり、冬服の人もいる。空気が乾燥し、靴音が高く響く。「人が行く」の「人」は肌身ある人というより、客観的な「人」の意識。今日から冬が始まる景色をすっきりと詠んだ。(高橋正子)
一瞬コンクリートの舗道をハイヒールで歩くでご婦人が想われます。11月の立冬を迎える頃ともなれば日毎に空気も乾燥し、ものの音が研ぎ澄まされて来ます。立冬に相応しい景色です。 (桑本栄太郎)

[2月]
★山際のほんのり赤く春立ちぬ/桑本栄太郎
山際は空が山と接するところ。その空がほんのり赤く染まり春立つ日となった。ほんのり赤い山際がやわらかく、『枕草子』の「春はあけぼの」を思い起こさせるような句だ。京都に住まう作者ならではの句だ。(高橋正子)
春になるのはうれしいものです。日の光が日ごと強さを増し、梅が咲き始めます。正子先生のお言葉にもあるように、御句からは『枕草子』の冒頭が思い起こされます。春はあけぼの、の気持ちです。 (多田有花)

[6月]
★卯の花の白こぼれ咲く谷の水/柳原美知子
卯の花は古くから日本の詩歌などに詠まれ、初夏の風物詩となっている。山野の路傍、崖地など日当たりの良い場所に生育する。この句の卯の花は、谷水の湧くところに咲いている。白い花び
真っ白な卯の花は初夏を彩る清楚な花であり、野辺や谷間の何処へ行っても咲き初めます。何処か遠くに不如帰のなき声も聞こえているようです。 (桑本栄太郎)

[9月]
★水抜かれ風に真白き稲の花/吉田晃
稲の生育には、水の管理が大切とされるが、出穂後は、特にこまめな水の管理が必要と言われる。この句では、水を抜かれた田。稲の花の咲きはじめはやや黄色みを帯びているが、咲いてしまうと、白い花と言える。風に小さくちらちらと震える花は綺麗な白。稲の花言葉は、「神聖」ということだが、それにふさわしい。日本人の命を支えてきた稲の神聖さを思う。(高橋正子)
風にそよぐ稲田に真白い稲の花が咲いているのを見るとうれしいものです。水路の水音も心地よく日本の原風景を感じ、今年の豊作を祈る気持ちになります。(柳原美知子)

[10月]
★山の水たっぷり流し甘藷洗う/柳原美知子
甘藷を洗うのに山の水をたっぷりと使った。ふんだんな山の水に甘藷はつやつやとしてきて、充実の太り具合を見せてくれる。山の水も、甘藷も生きがいいのだ。(高橋正子)
今年の甘藷はよくできた。さっそく家に帰って、さて何にするか、勢いよく流れる山からの水で洗いながら考える。 (古田敬二)

[1月]
★寒梅の日暮れても紅失わず/小口泰與
寒中とは言え、日差しが少しずつ明るくなっている。日暮れても寒紅梅の紅が残り、いきいきと紅を発している。暮れ残る紅に春の気配がのぞくのである。(高橋正子)

■2020年月例ネット句会金賞作品12句■


■2020年月例ネット句会金賞作品12句■
2020年月例ネット句会の金賞12句が揃いました。みなさまは、どのようにお感じになられましたでしょうか。好きな句を3句選んで、その番号をコメント欄にお書きください。また、ご感想があれば、お書きください。よろしくお願いします。 できれば、12月25日 までにお願いします。 (主宰/高橋正子)

[1月]
寒梅の日暮れても紅失わず/小口泰與
寒中とは言え、日差しが少しずつ明るくなっている。日暮れても寒紅梅の紅が残り、いきいきと紅を発している。暮れ残る紅に春の気配がのぞくのである。(高橋正子)

[2月]
山際のほんのり赤く春立ちぬ/桑本栄太郎
山際は空が山と接するところ。その空がほんのり赤く染まり春立つ日となった。ほんのり赤い山際がやわらかく、『枕草子』の「春はあけぼの」を思い起こさせるような句だ。京都に住まう作者ならではの句だ。(高橋正子)

[3月]
突堤に若布刈るなり少年ら/多田有花
春になると若布が海岸や突堤に寄せてくる。海岸で採れなければ、突堤まで出てゆく。少年たちが若布を刈っている珍しい光景だ。家業の手伝いか、ただ楽しみの若布刈りか。少年たちは春を呼び込んでいる。(高橋正子)

[4月]
菜の花の背後はいつも青い空/多田有花
菜の花は、いつも青空を背景に咲いている。実際は、そうとは限らないが、一番印象的なのが、青い空を背景に咲くとき。菜の花の黄色、空の青は、明快な色彩の中にも春らしい柔らかさがあって、誰もが好きな景色だ。(高橋正子)

[5月]
風を待つヨットに海のきらきらと/多田有花
はつらつと、明るさに満ちた快い句。きらきらと輝く海へこれから乗り出そうと風を待つヨット。「風を待つヨット」に明らかな思いがあってよい。(高橋正子)

[6月]
卯の花の白こぼれ咲く谷の水/柳原美知子
卯の花は古くから日本の詩歌などに詠まれ、初夏の風物詩となっている。山野の路傍、崖地など日当たりの良い場所に生育する。この句の卯の花は、谷水の湧くところに咲いている。白い花びらがほろほろと谷の水にこぼれ、谷の水がいっそうきれいに、柔らかく思われる。(高橋正子)

[7月]
四肢伸ばす風よく通る夏座敷/多田有花
すっきりと曇りのない快い俳句。風がよくとおる座敷は、夏には何よりも嬉しいところ。四肢を伸ばし、全身を伸ばせば、心身ともにくつろげる。自然の風にくつろげる夏座敷は、日本の良さ。(高橋正子)

[8月]
朝顔のつぼみの先に明日の色/川名ますみ
「明日の色」は、実際に明日朝開く朝顔の色でもあるし、未来の色でもある。この二つのことを思うと、朝顔のつぼみに期待と希望を抱く。「つぼみ」が漢字の「蕾」でなく、平仮名であることがいい。(高橋正子)

[9月]
水抜かれ風に真白き稲の花/吉田 晃
稲の生育には、水の管理が大切とされるが、出穂後は、特にこまめな水の管理が必要と言われる。この句では、水を抜かれた田。稲の花の咲きはじめはやや黄色みを帯びているが、咲いてしまうと、白い花と言える。風に小さくちらちらと震える花は綺麗な白。稲の花言葉は、「神聖」ということだが、それにふさわしい。日本人の命を支えてきた稲の神聖さを思う。(高橋正子)

[10月]
山の水たっぷり流し甘藷洗う/柳原美知子
甘藷を洗うのに山の水をたっぷりと使った。ふんだんな山の水に甘藷はつやつやとしてきて、充実の太り具合を見せてくれる。山の水も、甘藷も生きがいいのだ。(高橋正子)

[11月]
立冬や靴音高く人が行く/古田敬二
立冬は、「秋が極まり冬の気配が立ち始める日」と説明される。立冬と聞けば、人はなんとなく無口になり、冬服の人もいる。空気が乾燥し、靴音が高く響く。「人が行く」の「人」は肌身ある人というより、客観的な「人」の意識。今日から冬が始まる景色をすっきりと詠んだ。(高橋正子)

[12月]
峡の日を集めあかあか冬苺/柳原美知子
「冬苺」は、クリスマスシーズンの今店頭にでているものではない。山峡の日当たりのよいところに自生し、9月から10月ごろ白い花を咲かせ、冬に小さな赤い粒が集まった実が赤く熟れるもの。枯れがすすむなかに、宝石のようにきらめく冬苺に愛らしさとあたたかさを感じる。大切なものへの慈しみの心。(髙橋正子)

※金賞作品の一人3句選を12月30日をもって締め切りました。
選とコメントをありがとうございました。(主宰 髙橋正子)

■12月月例ネット句会/入賞発表■


■2020年12月月例ネット句会■
■入賞発表/2020年12月13日

【金賞】
16.峡の日を集めあかあか冬苺/柳原美知子
「冬苺」は、クリスマスシーズンの今店頭にでているものではない。山峡の日当たりのよいところに自生し、9月から10月ごろ白い花を咲かせ、冬に小さな赤い粒が集まった実が赤く熟れるもの。枯れがすすむなかに、宝石のようにきらめく冬苺に愛らしさとあたたかさを感じる。大切なものへの慈しみに心。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
07.くっきりと冬芽の白を青空に/古田敬二
冬芽の白さが青空に際立っている。冬芽が日を浴びて白く、力強く、輝いているのだ。これほどまでの冬芽の力強さへの驚き。(髙橋正子)

17引きたての大根洗う速き流れ/柳原美知子
畑から引き抜いてきたばかりの、まだ泥がついている葉のふさふさした大根。それを急ぎ流れる水で洗う。「速き流れ」がいい。大根のみずみずしさが、さらに生きてくる。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
19.年賀状あの子この子に絵柄変え/祝 恵子
今年は、新型コロナで、正月に家族が集まることもままならない。年賀状がこれまでに増して大切になる。あの子にはこの絵、この子には、こちらと、その子に相応しい絵を選んで書いている。年賀状を書くときの、円居のような楽しさが伝わってくる。(髙橋正子)

28.ポインセチアの赤の重なり明るい夜/高橋句美子
ポインセチアは、どの葉も赤い。何枚も何枚も重なって赤い葉ばかりにちょっと小さい花がつく。そんな赤の重なりに、夜も明るくなる。「明るい夜」が、なんでもないようだが、効いている。(髙橋正子)

23.初雪やくるくる回る子と仔犬/西村友宏
初雪が降ると一番によろこびはしゃぐのは、子どもと仔犬。「くるくる回る」は本来は仔犬の仕草なのだが、子どもも仔犬と同じ。無垢な子どもと仔犬の喜びがそのまま伝わる句。(髙橋正子)

【高橋信之特選/7句】
07.くっきりと冬芽の白を青空に/古田敬二
冬芽の息吹の強さが青空とのマッティングでさらに自然の強さが相俟って感じられました。 (高橋秀之)
冬芽の白さに冬の寒さと力強い生命が感じられます。 (高橋句美子)

15.柚子刻みその香も色も厨占む/高橋正子
柚子を刻むと黄色い皮とその香りが厨を満たす。良い香りを嗅いだ様な句です。 (廣田洋一)

23.初雪やくるくる回る子と仔犬/西村友宏
厳しい冬の寒さの到来を告げる初雪です。大人にとっては寒くて辛い初雪も子供や仔犬にとっては嬉しく、大はしゃぎです。 (桑本栄太郎)

28.ポインセチアの赤の重なり明るい夜/高橋句美子
クリスマスが近づき、鉢植えのポインセチアを飾ると冬灯に赤の重なりが明るく照らされて、温かく夜の部屋を包んでくれるようです。(柳原美知子)

33.冬紅葉残せる一樹のそばに憩う/多田有花
紅葉が残っている木を見つけた時の嬉しさ。思わずその木のそばに寄り、名残りを惜しむ気持が伝わ
ってきます。(柳原美知子)

16.峡の日を集めあかあか冬苺/柳原美知子
17.引きたての大根洗う速き流れ/柳原美知子

【高橋正子選/7句】
22.聖菓店売り子も客も三角帽/西村友宏
クリスマス商戦が始まっているのでしょうか。売り手もお客も赤い帽子をかぶっている。活気が戻ればいいですね。(祝恵子)

04.朝霜の風に乗りくる汽車の音/小口泰與
霜の降りている早朝、冷たい風に乗って響いてくる汽車の音はどこか懐かしく、寒い中にも温かみが感じられ、一日の始まりを元気づけてくれるようです。(柳原美知子)

07.くっきりと冬芽の白を青空に/古田敬二
16.峡の日を集めあかあか冬苺/柳原美知子
17.引きたての大根洗う速き流れ/柳原美知子
21.冬の灯やいつも洋ナシいびつなり/祝 恵子
28.ポインセチアの赤の重なり明るい夜/高橋句美子

【入選/12句】
02.日溜りの猫の背伸びや漱石忌/桑本栄太郎
猫ずきの漱石と猫の背伸びとの対比が素晴らしいですね。 (小口泰與)

31.鴨の群浮かべ大河は悠々と/多田有花
寒さとともに鴨の大群がやってきた。いくつかの群れに分かれ悠々と流れる大河に泳いでいる。 (古田敬二)

03.枯野行く貨物列車のどこまでも/桑本栄太郎
果てしない枯野を行く貨物列車の存在感がよく表されていて、列車の音の余韻が聞こえてくるようです。(柳原美知子)

01.冬ざれの海鳴り聞こゆ夜もすがら/桑本栄太郎
05.縄のれん婆娑(ばさ)とコートの漢出づ/小口泰與
06.白鳥の夕映えの沼美(は)しきかな/小口泰與
08.鴨寄り来る二羽水脈を引っ張て/古田敬二
10.枯草や踏みて狭庭の広くなり/廣田洋一
29.ゆらゆらと青い火燃えて餅を焼く/高橋句美子
34.果てしなき霞に隠れて山眠る/髙橋秀之
37.柿落葉火の見櫓に鐘錆びて/吉田 晃
39.鳥渡る風の海峡佐田岬/吉田 晃

■選者詠/高橋信之
26.冬の夜の机上に雑多なもの多し
目の前の日常がリアルに述べられていて親しみを感じます。いつもの先生の生活です。 (吉田晃)

25.冬に入る野の広がりを窓越しに
27.日暮れ早き十二月となりにける

■選者詠/高橋正子
15.柚子刻みその香も色も厨占む
柚子を刻むと黄色い皮とその香りが厨を満たす。良い香りを嗅いだ様な句です。 (廣田洋一)

13.冬晴れやぴいーと長鳴く知らぬ鳥
14.水鳥の開き合う水脈重なりぬ

■互選高点句
●最高点(6点/同点2句)
07.くっきりと冬芽の白を青空に/古田敬二
15.柚子刻みその香も色も厨占む/高橋正子