■10月月例ネット句会/入賞発表■

■2021年10月月例ネット句会■
■入賞発表/2021年10月11日
【金賞】
20.草の実の簡素な色が野にあふれ/吉田晃
「簡素な色」は、抽象的なようだが、草の実の実物に触れたものには、リアルな色として感じ取れる。「簡素な色」が野にあふれ、やさしくも確かかな花野の景色を生んでいる。(髙橋正子)

【銀賞】
07.朝歩き穂架(ほざ)に輝く稲の粒/祝恵子
朝、田んぼのほとりを歩くと、稲架に掛けられた稲穂が朝日に当たって、一粒一粒が輝いている。実りの豊かさが直に喜びとして伝わる。(髙橋正子)

23.湧水をバケツに汲んで芒採る/柳原美知子
湧水を汲みに来て、傍にある芒の穂を折りとったのであろう。こんこんと湧く澄んだ水と、芒の出合いが自然の懐の深さを思わせてくれる。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
10.天高しショパンコンクール始まる/川名ますみ
世界の注目を集めるショパンコンクールは、今年10月3日から20日までショパンの祖国ワルシャワで開催されている。コンクールの模様はYouTubeなどで配信され、遠く離れている日本でもネットを通して聞くことができる。「天高し」の空はつながり、ショパンコンクールが身近になった。ピアニストでもある作者の、ショパンコンクールに寄せる期待と高揚感が率直な表現で読み取れる。(髙橋正子)

31.稜線の上に広がる空高き/高橋秀之
「稜線」という言葉の音が、山並の伸びやかさを感じさせてくれる。きっかりと引かれた稜線の上に、かぎりなく広く高い空がある。大きな句に悠久の自然を感じる。(髙橋正子)

36.新米をずしりと抱え急ぐ帰路/髙橋句美子
新米を買って家路を急ぐ。夕飯となる新米だろうか。ずしりと重い。「ずしりと」の一語が、米の意外な重さを表している。(髙橋正子)

【高橋信之特選/7句】
20.草の実の簡素な色が野にあふれ/吉田晃
野に咲いていた色とりどりの草花もいつの間にか実となり、素朴で簡素な色合いの野となったけれど、それぞれの実もまた愛おしい。季節の移り変わりを実感し、生き物への優しい視線を感じます。 (柳原美知子)

07.朝歩き穂架(ほざ)に輝く稲の粒/祝恵子
10.天高しショパンコンクール始まる/川名ますみ
23.湧水をバケツに汲んで芒採る/柳原美知子
30.秋夕べ芋の葉半分ずつ陰り/髙橋正子
31.稜線の上に広がる空高き/高橋秀之
36.新米をずしりと抱え急ぐ帰路/髙橋句美子

【髙橋正子特選/7句】
25.平らかに畝を盛り上げ大根蒔く/廣田洋一
初秋の爽やかな季節に蒔く大根です。畝を丁寧に盛り上げ、芸術品とも思える程の綺麗な畝に、大根の種を丁寧に蒔いて行きます。如何にも心地よさそうな初秋の畑が想われます。(桑本栄太郎)

07.朝歩き穂架(ほざ)に輝く稲の粒/祝恵子
10.天高しショパンコンクール始まる/川名ますみ
20.草の実の簡素な色が野にあふれ/吉田晃
23.湧水をバケツに汲んで芒採る/柳原美知子
31.稜線の上に広がる空高き/高橋秀之
36.新米をずしりと抱え急ぐ帰路/髙橋句美子

【入選/16句】
01.一天の雲の無き日や秋高し/桑本栄太郎
秋の空には、一点の雲のない空があくまで青く広がる日が有る。本当に天が高く底知れぬ感じをうまく詠まれた。(廣田洋一)

08.芙容咲く朝日とすずめ降りてくる/祝恵子
芙蓉の花がひらくところに、朝日が注ぎ、すずめ達も舞い降りる。色も光も動きも、爽やかな秋の朝ですね。朝日とすずめが「降りてくる」という表現に、幸せな心地を感じます。(川名ますみ)

19.川漁の魚籠をこぼれる秋の水/吉田晃
獲れた魚は何だったのでしょう?川で漁をするくらいですから、それなりの大河で水のきれいなところかと想像しました。 (多田有花)
魚籠いっぱいに釣り上げた魚に利刀の例えにも言われている澄みわたった水が魚籠からこぼれている。満足の釣果である。(小口泰與)

27.参道の風白く見せ萩の花/廣田洋一
参道を行くと白萩が揺れている。揺らしている風が白く見えている風情がいいですね。 (祝恵子)

32.秋の海フェリーの揺れが心地よき/高橋秀之
穏やかな海をゆっくりと進むフェリーののんびりとした雰囲気が感じられます。 (髙橋句美子)

35.秋晴の洗濯物に陽の香り/髙橋句美子
まさに今日の洗濯物で感じたところでした。夏でもなく冬でもなく、秋の陽の香りが幸せを感じるひとときです。 (高橋秀之)
02.白壁の民家背に入れ秋桜/桑本栄太郎
白壁と秋桜の取り合せ。いつ見ても心和む日本の風景が詠まれいる。(髙橋正子)

03.山里の早やも灯の点く秋入日/ 桑本栄太郎
山里の暮れは早い。秋の日が山に入るころには、もう人家に灯が点る。人恋しい山里の夕暮れの灯が暖かい。(髙橋正子)
05.紅葉や日向日影の山分かつ/小口泰與
紅葉した山が、日当たるところと、日影のところと明暗が分かれてはっきりしている。日当たれば輝き、日影になれば、落ち着いた色になる紅葉。どちらもあっていい。(髙橋正子)

09.新米を抱き上げ持ちく荷台より/祝恵子
新米を運んできたのは、何なんだろう。自転車、バイク、軽トラ。荷台から持ち上げ、抱きかかえて重そうに運んでくれた嬉しい新米の到着。(髙橋正子)

11.ワルシャワに灯火親しむノクターン/川名ますみ
今ちょうど、5年に一度開催されるショパンコンクールの真っ最中。ライブ配信もされ、コンクールの曲が聞けるようになった。灯の下に聞こえてくるノクターンに、演奏者への思い、またショパンへの思いを馳せる。(髙橋正子)

13.氏神の社に朝日豊の秋/多田有花
里に祀られる氏神の社を朝日が包むように差して、今スポットライトが当たっている。氏神を据え田んぼにも、畑にも、豊かな実りの秋となっている。(髙橋正子)

15.廃屋に始まる蔦の紅葉かな/多田有花
廃屋となった家に蔦がからんだ。けれど、まずその蔦が紅葉し始め、廃屋も存在感を増し、画になりそうな景色となっている。(髙橋正子)

16.やや寒し上着と共に朝散歩/ 西村友宏
少し寒くなった。朝の散歩に、上着を抱えて歩いた。上着は着なかったであろうが、ずっと一緒に歩いた。愛着上着。(髙橋正子)

18.お地蔵に紅葉がひらり朝の風/ 西村友宏
朝の風がさっと吹いてきて、紅葉がひらりとお地蔵に載った。ひらりと地蔵に舞い落ちる紅葉に「小さい秋」を見つけた。(髙橋正子)

21.風さやか薔薇の花びらゆれるとき/吉田晃
秋薔薇の花びらが揺れると、風のさやかさにはっと気づかされる。やや細い花茎の薔薇の花が揺れる姿が思われる。(髙橋正子)

■選者詠/高橋信之
37.金水引きらきら森の時しずか
小さく黄色い花が集まって咲いている様が、森の静家さによって一層きらきらとかんじられる美しい光景が浮かびました。(西村友宏)

38.かまずみの実の赤鳥の眼に吾に
先生の句「こおろぎ鳴く同じ地面にわが両足」を思い出す。こおろぎも先生も同じ地面にいる。鳥の目に映るがまずみの実は、同じ色で先生の目にも映っている。命が大切だとは一言も言っていないが、これらの句の中に流れているのは、平等な命に対する先生の思いなのだ。 (吉田晃)

39.大盛りの零余子ご飯の団欒に

■選者詠/高橋正子
30.秋夕べ芋の葉半分ずつ陰り
日の入りも早くなり、里芋畑も暮れつつある中、雲の動きで、日が差したりかげったりしている。遥かな空にはうっすらと夕焼けがひろがっている秋の山里の美しい夕景が目に浮かびます。(柳原美知子)

28.流れ吹く風に流され花芒
29.駅前に白がゆかしき貴船菊

■互選高点句
●最高点(6点)
27.参道の風白く見せ萩の花/廣田洋一

■10月月例ネット句会清記■

■10月月例ネット句会清記■
2021年10月10日
13名(39句)
01.一天の雲の無き日や秋高し
02.白壁の民家背に入れ秋桜
03.山里の早やも灯の点く秋入日
04.老犬の歩みに合わす秋の暮
05.紅葉や日向日影の山分かつ
06.紅葉や奥利根の空臈たけて
07.朝歩き穂架(ほざ)に輝く稲の粒
08.芙容咲く朝日とすずめ降りてくる
09.新米を抱き上げ持ちく荷台より
10.天高しショパンコンクール始まる
11.ワルシャワに灯火親しむノクターン
12.爽やかにコンテスタントわらいけり
13.氏神の社に朝日豊の秋
14.軽快に自転車通学秋の朝
15.廃屋に始まる蔦の紅葉かな
16.やや寒し上着と共に朝散歩
17.ひと休み蜻蛉に和む道の駅
18.お地蔵に紅葉がひらり朝の風
19.川漁の魚籠をこぼれる水の秋
20.草の実の簡素な色が野にあふれ

21.風さやか薔薇の花びらゆれるとき
22.弟の竜胆に添え手向く野菊
23.湧水をバケツに汲んで芒採る
24.虫音分け畦ゆく刻を夕焼ける
25.平らかに畝を盛り上げ大根蒔く
26.毛見のごと低く飛びたる揚羽蝶
27.参道の風白く見せ萩の花
28.流れ吹く風に流され花芒
29.駅前に白がゆかしき貴船菊
30.秋夕べ芋の葉半分ずつ陰り

31.稜線の上に広がる空高き
32.秋の海フェリーの揺れが心地よき
33.駅前を彩る秋の花たちよ
34.秋の夜本の荷づくり幾冊も
35.秋晴の洗濯物に陽の香り
36.新米をずしりと抱え急ぐ帰路
37.金水引きらきら森の時しずか
38.かまずみの実の赤鳥の眼に吾に
39.大盛りの零余子ご飯の団欒に

※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。
選句は<コメント欄>にお書きください。

■10月月例ネット句会ご案内■

■10月月例ネット句会ご案内■
①投句:当季雑詠(秋の句)3句
②投句期間:2021年10月4日(月)午前6時~2021年10月10日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。
▼互選・入賞・伝言
①互選期間:10月10日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:10月11日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、10月11日(月)正午~10月14日(木)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之

ご挨拶

8月の猛暑も9月になると横浜は嘘のように涼しくなりました。「暑さ寒さも彼岸まで」と言われるとおり、まだまだ昼間は暑いところもあることでしょう。
入賞の皆さまおめでとうございます。選とコメントもありがとうございました。みなさまの選とコメントに私が気付かなかったことを気づかせていただいた句もたくさんありました。ありがとうございます。
また、ご投句からは、夏から秋へ季節が一気に進んだように感じました。露草、秋茜、秋気、秋晴れ、稲架、西瓜、下り簗など秋の季語が並び、画面上にも爽やかさや、秋のわびしさの兆しが読み取れて、確実に秋へ季節が移ったことを実感しました。
新型コロナ禍の収まらない日々の生活ながら、季節と共に句を詠み、時を過ごすのはとても素敵なことではないかと思います。おしゃれな時の過ごし方とも思えました。
来月の句会を楽しみに、コロナに気を付けて、ご健吟ください。
これで、9月月例ネット句会を終わります。
9月16日
花冠代表 髙橋正子

■9月月例ネット句会/入賞発表■

9月月例ネット句会/入賞発表
■2021年9月月例ネット句会■
■入賞発表/2021年9月13日
【金賞】
08.稜線の確と定まり秋気満つ/桑本栄太郎
山々の稜線がはっきりと見え、秋の澄んだ空気が満ち満ちている。俳句の定型が決まり、風格のある句となった。(髙橋正子)
【銀賞】
15.秋茜すっと飛び立ち空に消ゆ/髙橋秀之
すっと飛び立った秋茜。飛び立ったかと思うと、その姿が見えない。小さな秋茜を秋の日と空がどこかへ掬いあげてしまった。まぶしく晴れた秋の日の透明感がいい。(髙橋正子)

20.露草の青に水音澄める今朝/柳原美知子
露草の花が青く咲くところは、田中を流れる小川のほとり。露草の青に水がふれんばかりで、音が澄んで聞こえる。澄明な秋の朝が詠まれている。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
02.稲架に干す稲に青さの残るまま/吉田 晃
刈り取られて間もない稲。稲架にふさふさと掛けられた稲には、葉や茎にはまだ青さが残っている。実りの秋の豊かな風景がいい。(髙橋正子)

17.露草を撮って歩きの一歩とす/祝 恵子
カメラを持って歩きに出かけるところ。歩き始めたところに露草の花。まずは、カメラに収めてスタートの一歩とする。すずやかな気持ちで歩けそう。(髙橋正子)

【高橋信之特選/7句】
08.稜線の確と定まり秋気満つ/桑本栄太郎
秋になって空気が澄むと山の稜線もくっきりします。木々の雰囲気と相まって、秋気に満ちる気がするものです。(高橋秀之)
見晴らしの良い景色が目に浮かび、秋の気配が気持ちよくかんじられました。「確と定まり」という表現で壮大さも伝わってきました。(西村友宏)

20.露草の青に水音澄める今朝/柳原美知子
言葉の一つ一つが澄んでいて秋の朝の雰囲気がよく感じられます。(髙橋句美子)

27.見送れる子の振り返る虫の夜/髙橋正子
虫は昼より夕方から夜の方が多く鳴き、秋の夜は特に寂寥を深めます。見送られる子の名残りおしそうに振り返る姿に別れの侘しさを感じせせる景が見えてきます。 (小口泰與)

34.秋晴れの空を見上げて信号待ち/髙橋句美子
信号待ちの間、短い時間、何をするでもなく秋晴れの空を見上げる。そこには、澄んだ青空があるのでしょう。 (高橋秀之)

25.青ぎんなん雨の落とせる一顆なり/髙橋正子
雨あがり、散歩道に見つけた瑞々しい青ぎんなんにも秋の深まりを感じ、新たな季節を迎えるひそやかな喜びが感じられます。 (柳原美知子)

15.秋茜すっと飛び立ち空に消ゆ/高橋秀之

【髙橋正子特選/7句】
02.稲架に干す稲に青さの残るまま/吉田 晃
刈り取ったばかり稲束ですね?まだ緑色も残り、豊かに稔った穂先が揃って何段にも干されて居ます。今では少なくなった稲架の豊穣の秋の原風景が嬉懐かしい。 (桑本栄太郎)

08.稜線の確と定まり秋気満つ/桑本栄太郎
15.秋茜すっと飛び立ち空に消ゆ/髙橋秀之
17.露草を撮って歩きの一歩とす/祝恵子
20.露草の青に水音澄める今朝/柳原美知子
34.秋晴れの空を見上げて信号待ち/髙橋句美子

【入選/16句】
04.大利根の水は豊けき下り簗/小口泰與
水豊かな利根川の鮎漁。水にある豊の秋を漁する男たちの力強い姿が想像される。簗を下る水しぶきが秋の喜びを想像させてくれます。 (吉田 晃)

09.とりどりの秋果並ぶや道の駅/桑本栄太郎
秋の果物は本当に種類が多い。土地の産物が並ぶ道の駅ならそれが全て並ぶのだろう。果物の景が良く見える。 (廣田洋一)

12.露草の青は夜明けの空の色/多田有花
露草の青、晴れた日の夜明けの空の色。どちらも澄んだ青さを感じます。 (高橋秀之)

14.四・七日の読経に被る虫の声/髙橋秀之
近しい方が亡くなられたのでしょうか。亡くなられたころはまだ夏の名残が強かったものが今では虫の声が高く聞こえるようになってきています。 (多田有花)

18.里芋の葉より雨粒コロコロリ/祝恵子
サトイモの葉の上を転がる雨粒の様子をユーモラスに表現されています。 (多田有花)

19.夫に供う初生り西瓜縞の濃き/柳原美知子
スイカがお好きだったのでしょうか。初生りのそれを備えつついろいろ蘇る思い出もあったことでしょう。今年も一年無事に過ごせましたとの感謝の思いもどこか感じられます。 (多田有花)

28.青空へけさ鷺草の二羽となり/川名ますみ
鷺草を育てておられるのですね。晴れた朝に鷺草の花の二つ目が咲きました。それを二羽と表現されているのが素敵です。 (多田有花)

32.冷やかに車窓にとどむ茜雲/廣田洋一
秋の夕、冷えこんできた車窓一面に美しい茜雲が映り暮れきるまで名残りを惜しまれたことでしょう。 (柳原美知子)

03.秋涼しまたたく星の白さより/吉田 晃
05.陰りでも深山竜胆深き色/小口泰與
06.浮き石を踏んで逃すや下り鮎/小口泰與
12.露草の青は夜明けの空の色/多田有花
23.鯉跳ねて商談前の秋の夜/西村友宏
30.鷺草の音を立てずに羽ばたけり/川名ますみ
31.成田山手水を汲みし秋の朝/廣田洋一
35.秋の風海より吹いて髪靡く/髙橋句美子

■選者詠/髙橋信之
39.秋暁の網戸を入る風さらり
( 風さらり)。朝方に網戸を抜けてくる風、涼しくなってきましたね。(祝恵子)

37.スタンドの灯りが照らす秋の夜
38.書き並ぶ数字机上に秋の夜

■選者詠/髙橋正子
25.青ぎんなん雨の落とせる一顆なり
26.木犀の香の濃くなりて花に遇う
27.見送れる子の振り返る虫の夜

■互選高点句
●最高点(5点/同点4句)
02.稲架に干す稲に青さの残るまま/吉田 晃
08.稜線の確と定まり秋気満つ/桑本栄太郎
20.露草の青に水音澄める今朝/柳原美知子

■9月月例ネット句会清記■

■9月月例ネット句会清記■
2021年9月12日
13名(39句)
01.秋の田の畦に穂先を触れる人
02.稲架に干す稲に青さの残るまま
03.秋涼しまたたく星の白さより
04.大利根の水は豊けき下り簗
05.陰りでも深山竜胆深き色
06.浮き石を踏んで逃すや下り鮎
07.乙訓は風吹く丘ぞ大花野
08.稜線の確と定まり秋気満つ
09.とりどりの秋果並ぶや道の駅
10.仲秋や圧力鍋で炊く玄米

11.金属の色持ち花を飛ぶ蜻蛉
12.露草の青は夜明けの空の色
13.ゆらり舞う蝶の先には高き空
14.四・七日の読経に被る虫の声
15.秋茜すっと飛び立ち空に消ゆ
16.盆栽のカリンの実太く重そう
17.露草を撮って歩きの一歩とす
18.里芋の葉より雨粒コロコロリ
19.夫に供う初生り西瓜縞の濃き
20.露草の青に水音澄める今朝

21.稔り田の香に埋もれゆく畦伝い
23.鯉跳ねて商談前の秋の夜
24.どんぐりに肩を打たれて背伸びする
25.青ぎんなん雨の落とせる一顆なり
26.木犀の香の濃くなりて花に遇う
27.見送れる子の振り返る虫の夜
28.青空へけさ鷺草の二羽となり
29.鷺草の二羽になりし日遠き空
30.鷺草の音を立てずに羽ばたけり

31.成田山手水を汲みし秋の朝
32.冷やかに車窓にとどむ茜雲
33.公園の縁一列に曼殊沙華
34.秋晴れの空を見上げて信号待ち
35.秋の風海より吹いて髪靡く
36.りんどうの紫濃ゆく鉢並ぶ
37.スタンドの灯りが照らす秋の夜
38.書き並ぶ数字机上に秋の夜
39.秋暁の網戸を入る風さらり

※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。
選句は<コメント欄>にお書きください。

■8月月例ネット句会/入賞発表■

■8月月例ネット句会/入賞発表■
■2021年8月月例ネット句会■
■入賞発表/2021年8月9日
【金賞】
23.靴ひもを緩めて食らうかき氷/西村友宏
青年らしいフレッシュな句。靴ひもを緩めるのは、暑い中を長く歩いて来たため。かき氷は、「食らう」というほどに、体のほてりを冷ますように、がっつり口に放り込む。使われた言葉も身体感覚をよく捉えて、吟味され使われている。(髙橋正子)
【銀賞】
09.森遠ければ蝉音涼しき風となり/吉田晃
遠い森に蝉が鳴いている。その声は蝉音とは思えぬような、森から吹く風と混然一体となって涼しさを運んでくる。(髙橋正子)
22.改札を抜けて空には天の川/西村友宏
無人駅のようなところか。改札を抜けると、たちまち天の川が空から落ちそうに流れている。天の川の永遠さ。(髙橋正子)
【銅賞/3句】
11.海風のことに涼しき部屋にいる/多田有花
なししろ暑いときは、涼風がなにより。海風の涼しいことは承知のこと。窓を開け,海風を入れて部屋にいる。避暑のごとき気分。(髙橋正子)
13.苦瓜にコツンと触れて水運ぶ/祝恵子
狭いながらも楽しい菜園のいろんな野菜が目に見える。苦瓜もよく太って、水を運ぶときには、コツンと当たって、水がこぼれたりする。なにげないことなのだが、俳句の良さが知れる句。(髙橋正子)
35.雨上がり夏の森より雫落ち/髙橋句美子
雨を防ぐほど茂った夏の森からは、雨が上がると雨雫が盛んに落ちる。夏の雨らしい降り方が、夏の森をみずみずしく生き返らせている。(髙橋正子)
【高橋信之特選/7句】
22.改札を抜けて空には天の川/西村友宏
都会では光の影響でなかなか天の川を眺めることはできません。改札を抜けてすぐのところに天の川が見えるとは、どこか人家の少ない田舎へお出かけになったのでしょうか。 (多田有花)
15.子メダカをバケツに入れて渡しくる/祝恵子
メダカを入れて渡されたのは小さなお子さんでしょうか。その動作まで目に見える様で優しい視線が感じられます。 (多田有花)
01.大利根の八十瀬の瀬尻鮎を掛く/小口泰與
09.森遠ければ蝉音涼しき風となり/吉田晃
23.靴ひもを緩めて食らうかき氷/西村友宏
24.うたた寝し弁当箱に夏の蝶/西村友宏
35.雨上がり夏の森より雫落ち/髙橋句美子
【髙橋正子特選/7句】
13.苦瓜にコツンと触れて水運ぶ/祝恵子
猛暑続きの野菜畑に水やりをするのは大変な仕事ですね。丹精の甲斐あって苦瓜も立派な実をつけ、充実の音をさせてくれました。何気ない詠みに惹かれます。(柳原美知子)
26.播磨灘はも漁の船に朝の星/柳原美知子
播磨灘の夜明け。鱧漁が操業しているその上に朝の星が見える。穏やかな自然の一コマです。(高橋秀之)
09.森遠ければ蝉音涼しき風となり/吉田晃
11.海風のことに涼しき部屋にいる/多田有花
22.改札を抜けて空には天の川/西村友宏
23.靴ひもを緩めて食らうかき氷/西村友宏
35.雨上がり夏の森より雫落ち/髙橋句美子
【入選/12句】
04.金メダル獲りて引退夏の果て/桑本栄太郎
卓球の混合ダブルスで優勝した水谷選手を詠んだ句ですが、名前は読者に想起させるのが上手い。季語も動かない。 (廣田洋一)
07.地を這うて西瓜の花の黄が伸びる/吉田晃
朝の散策の時の光景であろうか?概して瓜類などの果菜類の黄色の花は、先の収穫の楽しみもあり格別に美しく思えるものである。所々に西瓜の玉も見え、涼やかで瑞々しい景色が嬉しい。(桑本栄太郎)
08.和蝋燭溶ける匂いの夏座敷/吉田晃
蝋燭の匂いが涼しげな座敷に広がっていく風情豊かな光景が浮かびました。(西村友宏)
12.鉄塔を離るる雲や夏終わる/多田有花
夏が終わる寂しさが、鉄塔の無機質なイメージと重なります。 (髙橋句美子)
17.今日はよく揚羽と出会う散歩道/高橋秀之
森を散歩したりしていると特にこういう日があります。揚羽は大きいのでよく目立ちます。何かいいことがありそうです。 (多田有花)
27.原爆忌家居の猫と黙祷す/柳原美知子
黙祷の句なのに何かくすっと笑ってしまうような楽しさがあります。猫と一緒に哀悼の意を表す、猫好きの方なら「あるある」ではないでしょうか。 (多田有花)
02.八千草の雨上がりたる草いきれ/ 小口泰與
10.夕焼けや明日も良き日となりそうな/多田有花
20.あの人も見ているかしら大夕焼/廣田洋一
21.晴天にぐいと伸びたる花カンナ/廣田洋一
34.法師蝉森のアーチに響く音/髙橋句美子
36.蒲の穂の静かに立ちて池真ん中/髙橋句美子
■選者詠/高橋信之
33.冷茶飲む机上の写真に孫も居て
 もうこんなに月日が過ぎたのだと感慨深いものがある。句美子ちゃんが中学生の頃、先生のマンションで句会を開いていたが、先生がこんな句を詠まれることを想像したこともなかった。お孫さんの写真に話しかけながら冷茶を飲む、好好爺の先生を思い浮かべると嬉しくなる。その句美子ちゃんも立派な人の親になり、花冠を背負って立つ年齢になった。36番の句を鑑賞して、先生の雰囲気を感じる。先生は理論的な指導はなさらない。後ろ姿を見せて我々に自ら学ばせるのが先生のご指導。先生の句をみて育った句美子ちゃんの句には、先生の雰囲気を強く感じる事ができて楽しい。 (吉田晃)
31.扇風機ひとり立ち居て横向きに
32.夏終わる机上の写真の孫の顔
■選者詠/高橋正子
29.百日紅咲き継ぐ花に塵もなし
7月から9月に紅、桃、紅紫、白色などの花が、枝の先端に群がり咲く、花期が長いため百日紅の漢名がある。その百日紅の咲き継ぐ花には塵ひとつ無く綺麗に咲いている。百日紅を毎日愛でている作者がいる素敵な景です。 (小口泰與)
30.台風一過雨水甕をあふれけり
台風過ぎて、甕の水が溢れるほど、いかに雨が大量に降ったのかが分かりますね。(祝恵子)
28.布袋草花あわあわと浮きにける
■互選高点句
●最高点(7点)
22.改札を抜けて空には天の川/西村友宏

■8月月例ネット句会清記■

■8月月例ネット句会清記■
2021年8月8日
12名(36句)
01.大利根の八十瀬の瀬尻鮎を掛く
02.八千草の雨上がりたる草いきれ
03.みんみんや朝の浅間の褪せゆける
04.金メダル獲りて引退夏の果て
05.炎天と云えば忘れじ草田男忌
06.八月や哀しきことの多かりき
07.地を這うて西瓜の花の黄が伸びる
08.和蝋燭溶ける匂いの夏座敷
09.森遠ければ蝉音涼しき風となり
10.夕焼けや明日も良き日となりそうな
11.海風のことに涼しき部屋にいる
12.鉄塔を離るる雲や夏終わる
13.苦瓜にコツンと触れて水運ぶ
14.採れるものみな青物ばかり夏野菜
15.子メダカをバケツに入れて渡しくる
16.真っ青な空がくっきり夏の山
17.今日はよく揚羽と出会う散歩道
18.夏休み家族が揃う夕餉どき
19.老先の短しと知る秋来たる
20.あの人も見ているかしら大夕焼
21.晴天にぐいと伸びたる花カンナ
22.改札を抜けて空には天の川
23.靴ひもを緩めて食らうかき氷
24.うたた寝し弁当箱に夏の蝶
25.渦の花間近に潮の香あび凉し
26.播磨灘はも漁の船に朝の星
27.原爆忌家居の猫と黙祷す28.
28.布袋草花あわあわと浮きにける
29.百日紅咲き継ぐ花に塵もなし
30.台風一過雨水甕をあふれけり
31.扇風機ひとり立ち居て横向きに
32.夏終わる机上の写真の孫の顔
33.冷茶飲む机上の写真に孫も居て
34.法師蝉森のアーチに響く音
35.雨上がり夏の森より雫落ち
36.蒲の穂の静かに立ちて池真ん中
※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。選句は<コメント欄>にお書きください。

8月月例ネット句会ご案内

■8月月例ネット句会ご案内■
①投句:当季雑詠(夏の句・秋の句)3句
②投句期間:2021年8月2日(月)午前6時~2021年8月8日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。
▼互選・入賞・伝言
①互選期間:8月8日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:8月9日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、8月9日(月)正午~8月12日(木)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之