■10月月例ネット句会清記■

■10月月例ネット句会清記■
2022年10月9日
35句(12名)

01.登校の背の順に行く雁の列
02.ひと笛に列真直ぐや体育祭
03.温め酒渾名呼び合う友の減り
04.農がゆく後ろ手にして刈田道
05.捨て畑の石垣畦に花桔梗
06.十三夜黄ばみ障子の薄明り
07.北国へ旅立つ支度寒露かな
08.-秋祭り太鼓の音が風に乗り
09.秋の海日差しを載せて静かなり
10.山からの水の流れや曼殊沙華

11.笛太鼓豊作祈る獅子踊り
12.虫の音を楽しむ散歩夕の風
13.西空に明星連れて一三夜
14.秋風に浸りて歩む土手の道
15.一日の健康祈り林檎剥く
16.食卓に並ぶ秋刀魚は人数分
17.秋雨の中を静かに出航す
18.影法師踏みつつ帰る秋の暮れ
19.パソコンを膝に電車の燈下親しき
20.玄米を提げる山路や秋高し

21.大工の音聞こゆ明りの窓に秋
22.南瓜豊作どの畑にもごろごろ
23.潮風にぼんぼり揺れて芋煮える
24.湯あがりの身の透きゆける十三夜
25.鈴虫の音(ね)のする方へ歩く夕
26.沸騰する薬缶にかけ寄る秋の夕
27.秋空へ街一番のビルが立つ
28.杜の樹に提灯かかげ里祭り
29.宵宮の杜を照らして十三夜
30.里祭りふうせん売りの日焼けなお

31.秋の蜂花を探してきらきらと
32.鮭包むホイルの凹凸煌びやか
33.きのこ飯いくつも買って雨の夕
34.窓開けて朝の秋空全身に
35.今日があることを知る秋の空

※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。
選句は<コメント欄>にお書きください。

■2022年/10月月例ネット句会ご案内■

■2022年/10月月例ネット句会ご案内■
①投句:当季雑詠(秋の句)3句
②投句期間:2022年10月6日(木)午前6時~2022年10月9日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。
▼互選・入賞・伝言
①互選期間:10月9日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:10月10日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、9月10日(月)正午~10月13日(木)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之

ご挨拶/9月月例ネット句会を終えて

9月月例ネット句会にご参加ありがとうございました。入賞の皆さまおめでとうございます。選とコメントをいつもながらありがとうございます。
涼しくなってまいりました。目に新鮮に映るものが多く、つぎつぎ投句される句を読んでは、大いに刺激を受けた句会でした。今月は、仲秋の名月の翌日が句会となり、名月の句もたくさんありました。横浜も前日まで小雨が続いていましたが、十五夜には朝から晴れて、なんのご褒美か、仲秋の名月を見ることができました。
来月の月例ネット句会は10月9日(日)になります。この日は十三夜の翌日ということで、どんな十三夜の月の句が投句されるか、楽しみです。それでは、今月の句会をこれで終わります。ご協力ありがとうございました。来月もよろしくお願いします。
2022年9月15日
髙橋正子

■9月月例ネット句会/入賞発表

■9月月例ネット句会/入賞発表
■2022年9月例ネット句会■
■入賞発表/2022年9月12日

【金賞】
6.ふるさとの最後のひとつ梨を剥く/桑本栄太郎
ふるさとから送られて来た梨が、とうとう最後のひとつになった。故郷の懐かしさ暖かさが詰まった梨をしみじみ、味わって食べる。栄太郎さんの故郷は梨の名産地の鳥取。なおさらのこと故郷がしのばれる。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
19.燕去り風は軽さを加えたり/多田有花
燕が去ってしまった空。すっかり秋になり、そよ吹く風にさらっと軽さを覚える。たしかに、軽くなった風が身を吹く。(髙橋正子)

24.峡の田を守る案山子の首手拭い/吉田 晃
峡に住む人たちは多くが老人となっている。案山子も人ひとりのように、首手拭いを巻いて、刈り入れの準備万端が整ったようである。豊かに稔った稲の匂いがしそう。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
07.吾が影を追い越しトンボの影も飛ぶ/祝 恵子
トンボが後ろから飛んできて、自分の影を追い越していった。追い越してゆくトンボの影も映って飛んでいる。影が生き生きと動いて、秋の楽しい日を思う。(髙橋正子)

12.ふと目覚めすこやかならむ母の秋/弓削和人
夜中、ふと目覚め、離れて暮らす母のことが気になった。母はすこやかにこの秋も暮らしているだろうと、思う。すこやかだろう母に安心もする。(髙橋正子)

34.海からの秋風の吹く大通り/髙橋句美子
どこの大通りだろう。海からの秋風が大通りを吹き抜ける。海も、大通りも、秋風も大きい。句の景色が大きく、風のようにも思える。(髙橋正子)

【髙橋信之特選/7句】
06.ふるさとの最後のひとつ梨を剥く/桑本栄太郎
毎年故郷から届く梨。丁寧に梱包された新鮮な梨の箱を開けたときのうれしさ。それをひとつずつ食べていき、ついに最後のひとつになった。今年の初秋もこれで終わり。感慨深いですね。 (多田有花)

24.峡の田を守る案山子の首手拭い/吉田晃
峡の間にある田の稲穂も黄金色となり、もう間もなく刈り入れの時季を迎える時季となった。彼方此方に立て掛けられている案山子も、稔りの秋を祝うように嬉しそうな表情である。「首手拭い」と措辞が効き、豊かな稔りが想われる。 (桑本栄太郎)

07.吾が影を追い越しトンボの影も飛ぶ/祝恵子
12.ふと目覚めすこやかならむ母の秋/弓削和人
25.名月のやすらう空の鉄色に/髙橋正子
34.海からの秋風の吹く大通り/髙橋句美子
36.梨届く段ボール畳む昼下がり/髙橋句美子

【髙橋正子特選/7句】
06.ふるさとの最後のひとつ梨を剥く/桑本栄太郎
ふるさとから届いた瑞々しい梨。懐かしい思い出に浸りながら味わってきたけれど、いよいよ最後のひとつとなった。名残り惜しい気持ちでゆっくりと皮を剥くひととき。望郷の思いが伝わってきます。(柳原美知子)

19.燕去り風は軽さを加えたり/多田有花
 燕は9月、10月ごろ南方へ渡る。秋の風は定まった風位はない。色に配しては白、すなわち素風と言い、金風とも言う。素敵な柔らかい体に良い風が体に吹く。秋は素晴らしい季節です。 (小口泰與)
燕の空を切るような飛ぶスピード感に、秋風の軽さを感じました。 (髙橋句美子)

07.吾が影を追い越しトンボの影も飛ぶ/祝恵子
12.ふと目覚めすこやかならむ母の秋/弓削和人
23.石鎚は白露の峰となり聳え/吉田 晃
29.月見団子丸めていれば雨あがり/柳原美知子
34.海からの秋風の吹く大通り/髙橋句美子

【入選/20句】
01.流星や気散じの歩を湖辺まで/小口泰與
何気なく外気にあたる散歩の折に、流星が目の前を横切った。湖辺の方向に、流星を追うようにぶらりと歩き始める。ゆるやかな時間がながれ、秋の夜の景が目に浮かぶようです。また、湖面も穏やかで、流星を受け容れてくれているかのようです。 (弓削和人)
08.雨粒並ぶそれぞれに秋の色/祝恵子
雨粒がひとつひとつクローズアップされた写真のようです。透明な秋の色が目に浮かびます。(柳原美知子)

10.鶏頭の一群風にうねるかな/弓削和人
畑の一画に植えられている鶏頭でしょうか。鮮やかな赤さが目を引きます。風が吹けばその赤さが波打って一層鮮やかです。 (多田有花)

20.名月のいま山の端を離れたり/多田有花
月が、登って行く一瞬を捉えた。景色の良く見える句。(廣田洋一)

21.名月の名残見送る夜明けかな/多田有花
前夜はタイミングよく名月に出会えなかったのでしょうか。名残りの名月もさやかで、静かな夜明け、消えるまで見送ります。名月に寄せる思いが伝わってきます。(柳原美知子)

23.石鎚は白露の峰となり聳え/吉田 晃
四国へ行くと山の険しさに驚きます。四季折々、そのそびえる石鎚の元で繰り返されていく日々の暮らし。それが思われます。 (多田有花)

28.待宵の田わたる風に身の軽く/柳原美知子
明日は十五夜。いつの間にか夏の暑さは遠く、田の上を渡る風も軽く心地よいものとなっています。 (多田有花)

31.旧友と並んで歩く秋の夜/西村友宏
秋の夜の散歩はいろいろな感慨が蘇ります。並んで歩く旧友も同様なのか黙っています。 あるいはこの旧友は詠み手の心の中で並んで歩いているのかもしれない、とも思いました。(友田修)

33.読み終えて栞挟めば虫の声
秋の夜、ゆったりとした気持ちで本を読む。そして、今日はここまで、と読み終えて栞を挟んだ時に聞こえる虫の声。日本の情緒を感じます。 (高橋秀之)
知らず知らず読みふけっていた書物。ふと目をあげて一休みするために栞をはさめば、戸外からは虫の声。秋の一夜の景色が鮮やかです。(多田有花)

36.梨届く段ボール畳む昼下がり/髙橋句美子
送られた段ボールに詰まった瑞々しい梨を、一個ずつ丁寧に手にとって移し、段ボールを畳む嬉しい昼下がり。秋が実感されるひとときです。(柳原美知子)

02.市松の切子硝子や秋うらら/小口泰與
05.身に入むや現世哀しき事ばかり/桑本栄太郎
10.鶏頭の一群風にうねるかな/弓削和人
15.秋の虹新国王の城囲む/廣田洋一
16.旅先で大空みれば中秋の月/高橋秀之
17.目の前を行ったり来たり秋茜/高橋秀之
18.秋の風ふと爽やかに頬を撫で/高橋秀之
22.迎え火を焚く嬉しさよ茄子の牛/吉田晃
28.待宵の田わたる風に身の軽く/柳原美知子
32.弧を描く打球の先に光る月/西村友宏
33.読み終えて栞挟めば虫の声/西村友宏
35.秋晴れに雲一つなし海の青/髙橋句美子
37.秋桜の揺れる畑よ青き空/友田 修
38.重陽の雲間に見ゆる白き月/友田 修

■選者詠/髙橋信之
40.黒ぐろと葡萄の粒が露を噴く
瑞々しい葡萄の一粒を細かいとこまで丁寧に観察れていて、鮮明に様子が浮かびました。 (西村友宏)

42十五夜の盆にいびつな梨が載り
名月のお盆には勿論お団子もあり、そこにはいびつな梨もおかれている。いつもの十五夜のお供えです。お月様奇麗でしたね。 (祝恵子)

41.酢橘二個ころがり二個のみどり濃く

■選者詠/髙橋正子
26.精霊バッタ飛び発ち翅のみどり透く
精霊飛バッタには確かに、薄い翅と厚い翅があって、飛び発つ時でなければ薄い翅を見ることはできない。昔から見てきたはずなのに、言われて初めて気づく。この句を見ていると、臥風先生の「てんとう虫の背が割れ空へ一直線」が浮かんでくる。(吉田晃)

25.名月のやすらう空の鉄色に
曇り空に名月がゆったりと黒雲を照らして鉄色の輝きに染め昇ってゆく。曇り空にも味わい深く心やすらう名月です。(柳原美知子)

27.雹跡の疵梨剥くも野趣ふかし

■互選高点句
●最高点(同点2句/6点)
06.ふるさとの最後のひとつ梨を剥く/桑本栄太郎
19.燕去り風は軽さを加えたり/多田有花

集計:髙橋正子

※どなたでも、コメントのない句にコメントをよろしくお願いします。

■9月月例ネット句会清記■

■9月月例ネット句会清記■
2022年9月11日
42句(14名)

01.流星や気散じの歩を湖辺まで
02.市松の切子硝子や秋うらら
03.蜩や湖にひと筋光りあり
04.あぶれ蚊の親しき声の纏い付く
05.身に入むや現世哀しき事ばかり
06.ふるさとの最後のひとつ梨を剥く
07.吾が影を追い越しトンボの影も飛ぶ
08.雨粒並ぶそれぞれに秋の色
09.辻地蔵稲穂出揃う裏通り
10.鶏頭の一群風にうねるかな

11.月やさしドビュッシーを聴きながら
12.ふと目覚めすこやかならむ母の秋
13.好天に恵まれし旅新酒酌む
14.高いわねと言ひて過ぎ行く秋刀魚かな
15.秋の虹新国王の城囲む
16.旅先で大空みれば中秋の月
17.目の前を行ったり来たり秋茜
18.秋の風ふと爽やかに頬を撫で
19.燕去り風は軽さを加えたり
20.名月のいま山の端を離れたり

21.名月の名残見送る夜明けかな
22.迎え火を焚く嬉しさよ茄子の牛
23.石鎚は白露の峰となり聳え
24.峡の田を守る案山子の首手拭い
25.名月のやすらう空の鉄色に
26.精霊バッタ飛び発ち翅のみどり透く
27.雹跡の疵梨剥くも野趣ふかし
28.待宵の田わたる風に身の軽く
29.月見団子丸めていれば雨あがり
30.名月のステンドグラスとなる高窓

31.旧友と並んで歩く秋の夜
32.弧を描く打球の先に光る月
33.読み終えて栞挟めば虫の声
34.海からの秋風の吹く大通り
35.秋晴れに雲一つなし海の青
36.梨届く段ボール畳む昼下がり
37.秋桜の揺れる畑よ青き空
38.重陽の雲間に見ゆる白き月
39.夕暮れの葉陰に揺れる栗のいが
40.黒ぐろと葡萄の粒が露を噴く

41.酢橘二個ころがり二個のみどり濃く
42.十五夜の盆にいびつな梨が載り

※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。
選句は<コメント欄>にお書きください。

■2022年/9月月例ネット句会ご案内■

■2022年/9月月例ネット句会ご案内■
①投句:当季雑詠(秋の句)3句
②投句期間:2022年9月5日(月)午前6時~2022年9月11日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。
▼互選・入賞・伝言
①互選期間:9月11日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:9月12日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、9月12日(月)正午~9月15日(木)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之

ご挨拶/8月月例ネット句会を終えて

8月月例ネット句会にご参加いただき、ありがとうございました。ちょうど月遅れのお盆と重なり、なにかとご用がおありだったことでしょうが、大勢の皆様にご参加いただき、感謝いたします。選とコメントをありがとうございました。
入賞の皆さまおめでとうございます。
今日は、西からの高気圧が張り出して暑さのなかにも秋の爽やかさを感じる一日となっています。
ご投句の俳句を拝見しますと、一日一日移り変わる季節がとらえられているのにいまさらながら驚きます。日々たのしく俳句を作って行きたいと思っています。
8月月例ネット句会をこれで終わります。
来月9月月例ネット句会は9月11日(日)となります。暑さの折、ご体調に気を付けてご健吟ください。
8月19日
髙橋正子

■2022年8月例ネット句会入賞発表■

■8月月例ネット句会/入賞発表
■2022年8月例ネット句会■
■入賞発表/2022年8月15日

【金賞】
26.近況を語り合いたる盆の客/多田有花
盆の客を迎えた家の情景がありありと見える。衒いのない表現がいい。盆のお参りにきた近い親戚、遠い親戚もこの日は睦まじく近況を語り合う。幼き日に戻れたような懐かしさを覚える。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
04.笊に乾す梅干塩の噴きにけり/桑本栄太郎
梅干しを作る作業では、暑い盛り、とくに土用の日に当てることが大事。笊に広げて乾かすと塩がきらきらと噴きでる。そのままを詠んで無駄がなくすっきりとしている。(髙橋正子)

39.世田谷の蜻蛉横切る日暮れかな/友田 修
生活の街として都心を少し離れて発展してきた世田谷。広広とした街空の日暮れに蜻蛉が横切る。世田谷ならではの生活感覚をもって上手く蜻蛉が表現されている。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
08.街へ来ぬ素足にかるきハイヒール/川名ますみ
久しぶりにお洒落な街へ出て来た嬉しさが、「素足にかるきハイヒール」に表現されている。素足の華奢な脚、細いハイヒール。街にあってこそ映える。(髙橋正子)

13.トマトの葉もぐ指先に同じ香が/吉田 晃
トマトの葉をもぐと指先もトマトの葉と全く同じ匂いが付く。そこまで強烈に付く匂いはトマト独特。夏を感じさせる青臭い生命力のある匂いだ。(髙橋正子)

18.とんぼうは引けば寄るなり夕の原/弓削和人
とんぼうの習性がよく観察されている。というより、幼いころのからの経験が「引けば寄るなり」という巧みな表現をいとも易く言ってのけた感じだ。夕べの原にニュアンスがある。(髙橋正子)
【髙橋信之特選/7句】
18.とんぼうは引けば寄るなり夕の原/弓削和人
夕方の原っぱでの蜻蛉との出会いと小さな発見。秋の訪れと涼しさのみなぎる心温まる句ですね。 (柳原美知子)

26.近況を語り合いたる盆の客/多田有花
 お盆に久しぶりに会った者同士が近況を語り合う姿が良く解ります。家族の話や健康の話など尽きることがないですね。 (小口泰與)

39.世田谷の蜻蛉横切る日暮れかな/友田 修
立秋後連日まだ残暑の厳しいものの、東京も都心を少し離れた世田谷ともなれば、夕暮れ時に微かに秋風が感じられ、蜻蛉が横切るようになります。「世田谷」との地名も入り、早くも秋の気配を感ずる作者です。 (桑本栄太郎)

04.笊に乾す梅干塩の噴きにけり/桑本栄太郎
08.街へ来ぬ素足にかるきハイヒール/川名ますみ
13.トマトの葉もぐ指先に同じ香が/吉田晃

【髙橋正子特選/7句】
11.植田見ゆ角をすぐると風にあう/祝恵子
「風にあう」という表現が新鮮だと思いました。植田から新しい生命力が吹いてくるイメージが出てきます。 (弓削和人)

35.稲穂出で夜風芳し星仄か/柳原美知子
稲穂の香りが漂う気持ちいいよ風とそらには星も瞬いています。のどかで綺麗な風景が目にうかびました。(西村友宏)

04.笊に乾す梅干塩の噴きにけり/桑本栄太郎
08.街へ来ぬ素足にかるきハイヒール/川名ますみ
18.とんぼうは引けば寄るなり夕の原/弓削和人
26.近況を語り合いたる盆の客/多田有花
39.世田谷の蜻蛉横切る日暮れかな/友田 修

【入選/21句】
12.向日葵のわが実の重さに耐えており/祝恵子
大輪の向日葵なんでしょう。実がなってくると頭を垂れる向日葵が多い中、頑張って正面を向いている向日葵が目に浮かびます。 (高橋秀之)
ぐんぐんと太陽に向かってのびたひまわりも花が終わる時期になると、種の重さで首をうなだれるようになります。ひまわりが人の姿に重なってユーモアを感じます。 (多田有花)

19.天高し丹沢望む露天風呂/廣田洋一
気持ちよさそうですね。青空の下、空を仰ぎながら入る露天風呂。よくぞ日本に生まれけり、という気持ちになります。 (多田有花)

20.田起こしの所作軽やかに風の盆/廣田洋一
踊りの中のふり、田起こしを軽やかに踊りながら、遠ざかってゆく風の盆、一度は見て見たいものです。 (祝恵子)
風の盆は、富山の八尾の盆踊りですが、よく知りませんでした。編み笠に顔が隠れて、手をしなやかに使う踊りに合わせた胡弓の音がさびしそうです。田おこしの所作があるのを初めて知りました。 (髙橋句美子)

23.梨の実の瑞々しさは今年初/高橋秀之
お盆のころに今年の初物として梨が店頭に並び始めます。今年も先日スーパーで見かけてお盆なんだと感じました。 (多田有花)

24.夕食に酒はなくとも冷ややっこ/高橋秀之
多分、作者が一人で頂く夕食だろう。酒はなくとも、冷奴のさっぱりした味を楽しんでいる様が良く見える。 (廣田洋一)

28.革靴を磨きつつ待つ流星群/西村友宏
革靴を磨くという日常の中で、流星群という非日常を待つわくわく感が伝わってきます。秋の訪れが実感される夜空です。(柳原美知子)

31.アイスティーインクの乾く間を繋ぐ/上島祥子
手紙を書かれているのでしょうか?万年筆でしたためる一筆。 (多田有花)

36.水路の水汲んで苧殻火尽きるまで/柳原美知子
 炊いた迎え火を消えるまで眺めている。いろいろな思いや思い出を感じておられるのだと思う。燃え尽きた苧殻を家の前の水路の水で消すのだが、それはご先祖様が生前親しんでおられた水路の水なのだ。ご先祖様はきっと喜んでおられることでしょう。(吉田晃)

46.夏草をかき分け進む植物園/髙橋句美子
学術的にラベル付けされた、植物園の展示。その通り道にも、自然の夏草が茂っています。エネルギーに満ちた夏草を「かき分け進む」という描写に、力強さを感じます。 (川名ますみ)

01.利根川の岩場へつつと石たたき/小口泰與
02.夕鵙や風雨に晒さる摩崖仏/小口泰與
05.ひぐらしや想い出よぎる吾が半生/桑本栄太郎
06.かなかなのかなの途切れし茜かな/桑本栄太郎
07.空色の切り絵をひらく戻り梅雨/川名ますみ
09.髪切って胡瓜どっさり冷や汁に/川名ますみ
14.買い物へ苧殻の人とすれ違う/吉田晃
16.祖母もぎる指の無花果やわらかき/弓削和人
25.祖父母の像下に新盆叔父の像/多田有花
29.真っ新な運動靴で夏雲へ/西村友宏
34.夏祓墨絵の灯篭裏参道/柳原美知子
47.真夏日の大樹風に靡くまま/髙橋句美子

■選者詠/髙橋信之
40.茗荷二個よく洗われて光る
41.茄子三個洗われ雫がたくさん
42.梨・茗荷・茄子を揃えてバットに載せ

■選者詠/髙橋正子
44.はじめての虫音響けり居間の窓/髙橋正子
今年は梅雨明けも早く熱帯のような湿度と猛暑の夏でした。まだまだ残暑の続く中、夜になりはじめての虫音が聞こえて来た時の嬉しさは、ひとしおですね。暦どおり秋は着実にすすんでいると実感されます。(柳原美知子)

43.ほてい葵盆にあわせて花ひらく
45.台風の過ぎ行く夜を灯ともして

■互選高点句
●最高点(同点2句/5点)
12.向日葵のわが実の重さに耐えており/祝恵子
26.近況を語り合いたる盆の客/多田有花

集計:髙橋正子

■8月月例ネット句会清記■

■8月月例ネット句会清記■
2022年8月14日
16名(48句)

01.利根川の岩場へつつと石たたき
02.夕鵙や風雨に晒さる摩崖仏
03.扁額の筆跡褪せし桐一葉
04.笊に乾す梅干塩の噴きにけり
05.ひぐらしや想い出よぎる吾が半生
06.かなかなのかなの途切れし茜かな
07.空色の切り絵をひらく戻り梅雨
08.街へ来ぬ素足にかるきハイヒール
09.髪切って胡瓜どっさり冷や汁に
10.苦瓜の種赤ければすくい食ぶ

11.植田見ゆ角をすぐると風にあう
12.向日葵のわが実の重さに耐えており
13.トマトの葉もぐ指先に同じ香が
14.買い物へ苧殻の人とすれ違う
15.袋菓子選る老の瞳に秋涼し
16.祖母もぎる指の無花果やわらかき
17.車より降りるや靴へ猫じゃらし
18.とんぼうは引けば寄るなり夕の原
19.天高し丹沢望む露天風呂
20.田起こしの所作軽やかに風の盆

21.盆踊りアームカヴァーのしなやかに
22.夏日差す熱きステージこぶし上げ
23.梨の実の瑞々しさは今年初
24.夕食に酒はなくとも冷ややっこ
25.祖父母の像下に新盆叔父の像
26.近況を語り合いたる盆の客
27.盆提灯叔父の写真の両脇に
28.革靴を磨きつつ待つ流星群
29.真っ新な運動靴で夏雲へ
30.風鈴と古典に耽るカフェテラス

31.アイスティーインクの乾く間を繋ぐ
32.夏便り三度見直し投函す
33.夏帽子ゴム付け替えて母仕様
34.夏祓墨絵の灯篭裏参道
35.稲穂出で夜風芳し星仄か
36.水路の水汲んで苧殻火尽きるまで
37.秋立ちて風の動きに驚きぬ
38.立秋を確かに風に感じけり
39.世田谷の蜻蛉横切る日暮れかな
40.茗荷二個よく洗われて光る

41.茄子三個洗われ雫がたくさん
42.梨・茗荷・茄子を揃えてバットに載せ
43.ほてい葵盆にあわせて花ひらく
44.はじめての虫音響けり居間の窓
45.台風の過ぎ行く夜を灯ともして
46.夏草をかき分け進む植物園
47.真夏日の大樹風に靡くまま
48.禊萩の群生枝の小さい赤

※互選を始めてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。
選句は<コメント欄>にお書きください。

■2022年/8月月例ネット句会ご案内■

■2022年/8月月例ネット句会ご案内■

①投句:当季雑詠(夏の句・秋の句)3句
②投句期間:2022年8月8日(月)午前6時~2022年8月14日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:8月14日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:8月15日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、8月15日(月)正午~8月18日(木)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之