ご挨拶/4月ネット句会


4月ネット句会は、第2日曜日が8日でしたので、花祭りの日と重なりました。ご参加ありがとうございました。また、入賞の皆様おめでとうございます。
4月ネット句会から、高橋秀之さんのご長男の成哉さんが子花冠ども俳句会を卒業し、参加してくれました。4月に神戸大学に入学したばかりの若い学生さんです。「継続は力なり」を実践されているようで、将来がたのしみです。
入賞発表のコメントを整理するのが遅れましたが、4月22日に最終的に全てのコメントを発表することができました。ご覧ください。来月の句会は5月13日(日)の母の日となります。楽しみにおまちください。(花冠主宰/高橋正子)

■4月月例ネット句会入賞発表


■2018年4月月例ネット句会■
■入賞発表/2018年4月8日

【金賞】
★一本のチューリップいま切りしもの/ 祝恵子
直截な俳句の良さが生かされた句。チューリップの瑞々しく、生き生きとした花が、たった今、一本だけ、切られることによって、明らかになった。(高橋正子)

【銀賞/2句】
★青空へ二階の子が吹くシャボン玉/古田敬二
シャボン玉が青空へ吹かれる。二階の子が吹くと、より青空に近く吹かれる。「二階」という階は、地上から少し離れた生活圏。シャボン玉を吹く楽しさが伝わってくる。(高橋正子)

★花の間に稜線青き皿ケ嶺/柳原美知子
花と花の間に、稜線が青い皿ケ嶺を描き出している。花の色と青い嶺とういう色彩的に鮮やかな景色が清々しい。(高橋正子)

【銅賞/3句】
★花の雲利根へ利根へと急(せ)く支流/小口泰與
利根川の支流は山間を流れる。雪解け水に、ますます急く川となって花の雲の下を流れる。山間の冷や冷やとした空気が感じられる。(高橋正子)

★うきうきとと夕日の中に散るさくら/河野啓一
散る桜は美しくも哀しさがあるものだが、夕日を受けた桜は、うきうきとして、まるで極楽に咲く桜のようである。作者の心がこのようであるのだろう。(高橋正子)

★花蘇枋雨の上がりし窓を拭く/藤田洋子
蘇芳の花の色は、そのまま「蘇芳」と呼ばれる日本の美しい色。雨上がりに、窓を拭くのは窓に湿りがあって、汚れが落ちやすいので、合理的なこと。地味な句だが、生活をじっくりと捉えて詠んだ佳句だ。(高橋正子)

【高橋信之特選/9句】 
★初燕池は青空映しおり/古田敬二
快晴の青空のもと、池の上を初燕が飛んでいったのでしょう。春の爽快さを感じます。 (高橋秀之)

★一本のチューリップいま切りしもの/ 祝恵子
庭に咲くチューリップを切り、花瓶に生ける。冬の寒さを耐えて土を破り茎をのばし花を咲かせる。精魂込めて咲かせた一本のチューリップに寄せる思いが感じられる。 (古田敬二)

★リハビリ終え花満つ土手を送らるる/柳原美知子
リハビリを終えた充足感に満開の花の美しさ。明るく前向きなお姿に、花の季節の喜びがいっそう感じられます。 (藤田洋子)

★木の枝の芽吹く先には大空が/高橋秀之
芽吹く木々の枝先に、見上げる空の広やかさ。春を迎えた伸びやかな光景に、新たな季節の明るい希望が感じとれます。 (藤田洋子)

★花の間に稜線青き皿ケ嶺/柳原美知子
四国は中央に山脈がとおり、その山が意外に険しいところです。満開の桜、そのむこうに郷土の山が青く見えます。 (多田有花)

★初蛙棚田の泥に声転がし/高橋正子
今年初めての蛙の声に耳を澄ますと、棚田の泥の中で体中から声を出して懸命にないているようです。泥の中の蛙はユーモラスでもあり、生き物への温かい視線が感じられる楽しい句ですね。 (柳原美知子)

★名を呼んで駆け寄りし子と花の昼/藤田洋子
桜も咲きほころぶ中、可愛い盛りのお孫さんとの至福のひとときに安らぎと希望が感じられます。 (柳原美知子)

★青空へ二階の子が吹くシャボン玉/古田敬二
★花蘇枋雨の上がりし窓を拭く/藤田洋子

【高橋正子特選/9句】
★うきうきとと夕日の中に散るさくら/河野啓一
さくら見物は気持ちがうき浮きとします。やがて夕日が出て、さくらも散りだし、夕日に映えてさらに気持ちも高揚してきます。 (祝恵子)

★桜散り芽生える緑に見える夏/高橋成哉
桜が散ったかと思うとすぐに同じ木に芽生える緑、季節の移り変わりを前向きに捉え実感する若さが感じられます。 (柳原美知子)

★甍の波桜の波と重なりて/多田有花
日本の甍と桜の花の色は、品よく似合う。甍の波、桜の波に動きが見えて、爛漫の景色が詠まれている。(高橋正子)

★道の端小さき菫の幸あれと/廣田洋一
道端に菫が踏まれはしないかと咲いている。「菫ほどの小さき人に生まれたし/夏目漱石」と詠まれた菫だが、可憐な花に応援をしたくなる。「幸あれ」と願いたい。(高橋正子)

★蛙鳴く道よわが家が見えてくる/高橋信之
蛙が鳴く道。家路に田んぼがずっと広がっていて、道すがら蛙の鳴く声を聞く。家路につく安堵感。(高橋正子)

★花の雲利根へ利根へと急(せ)く支流/小口泰與
★青空へ二階の子が吹くシャボン玉/古田敬二
★一本のチューリップいま切りしもの/ 祝恵子
★花の間に稜線青き皿ケ嶺/柳原美知子

【入選/18句】
★ミモザ咲く麒麟の首の長いこと/古田敬二
フランスの文学や映画によく出てくる花で、黄色の小さいパフのような花が一杯咲き香りが高い。キリンの長い首との二物衝撃が素晴らしいです。(小口泰與)

★掘りたての初筍の皮開く/藤田洋子
春のやわらかな筍、掘りたてのものの皮をはいでいきます。筍の色、皮の色、手触り、匂い、そうしたものが感じられます。(多田有花)

★たんぽぽや地の太陽と黄に染まる/廣田洋一
野山に様々な花が咲き、生きとし生けるものに春の喜びが感じられる季節。とりわけたんぽぽのびっしりと咲く地の黄の輝きは、ほのぼのと生命力にあふれ、明るい太陽の日差しに包まれる思いがします。 (柳原美知子)

★山桜左右に山の懐へ/多田有花
春山に広がる桜の光景が思い浮かびます。(高橋成哉)

★ばめ来る完成間近の物産館/柳原美知子
つばめが建築中の物産館に巣をかけに来のでしょうか。オープン間近の物産館を楽しみに日々観察している作者を想像します。(高橋句美子)

★花御堂杓持つ子らに囲まるる/藤田洋子
子どもたちが沢山来ているのでしょう。柄杓を持つ子に囲まれるという賑やかさが花御堂を引き立てます。
(高橋秀之)

★春野菜甘い香りの爽やかさ/高橋句美子
春野菜だからこその甘い香りが気持ちを爽やかしてくれる。気持ちのよい春のひとこまです。(高橋秀之)

★柔らかな風が西から春の海/高橋秀之
海を渡る風にふとやわらかさを感じられました。こういう瞬間に、季節の進みをはっきり感じます。 (多田有花)

★吹きあぐる花の吹雪よケーブルカー/祝恵子
どこの山でしょう。ケーブルカーで登っていかれるとそこへ花吹雪がどっと風にあおられてきました。華やかな一瞬の美しさを見事にとらえておられます。 (多田有花)56.山雨過ぎ朝の光りの花御堂/藤田洋子

★葉桜が一直線に目黒川/高橋句美子
つい先日まで花見客で賑わい、両岸に桜で染まる美しさの目黒川を思い浮かべます。花の時季を終え、すっかり葉桜となる並木の「一直線」が、清々しく爽やかな季節の訪れを感じさせてくれます。 (藤田洋子)

★揺れるとも一花も放たず咲き満てり/多田有花
桜が咲ききった、その時は、風が吹くとも雨が降るとも「一花も放たず」という信じられないほどの力強さを見せる。満開の桜の力強さ。(高橋正子)

★快晴の花にやや吹く風のあり/多田有花
快晴の空。桜の花をすこし揺らす風が吹く。この微妙な動きに、晴れやかで、優しい景色が見える。(高橋正子)

★今年また此処の櫻とあいにけり/小口泰與
桜が咲くのは毎年のことである。今年また、此処の桜と会った感慨。(高橋正子)

★オランダの土産や赤いチューリップ/河野啓一
オランダのチューリップは有名である。オランダ土産が赤いチューリップだった。おやゆび姫の童話を思い起こさせるような、チューリップを代表する赤い色のチューリップだ。(高橋正子)

★花吹雪夕焼け後ろに染まる道/高橋成哉
夕焼けが染める花吹雪の美しい光景。その桜吹雪の道を歩いているのだ。晴れやかな心がさわやかだ。(高橋正子)

★知恩院抜けた先に山桜/高橋成哉
知恩院は京都東山の麓にある。山桜が咲いて知恩院とよく馴染んでいる。「山桜」がいい。(高橋正子)

★花屑を分けて色鯉近づきぬ/祝恵子
花屑が一面に浮かぶ水面。その花屑を分けて、いろんな色の鯉が近寄ってくる。なんときれいな。鯉に親しさが湧く。(高橋正子)

■選者詠/高橋信之
★春の日のりんごジュースを飲み干しぬ
リンゴジュースは、前年の林檎から作られる。それを飲んで、春を実感する。 (廣田洋一)

★蛙鳴く道よわが家が見えてくる
★つとめ終えし帰宅の吾に鳴く蛙
★菜の花を咲かせて谷戸を流れる川
★天晴れて地に低く咲く菜の花は

■選者詠/高橋正子
★初蛙くりりくりりと谷戸の田に
春がきて、可愛い初ガエルの鳴き声きが懐かしく響きます。オノマトペが嬉しい。 (河野啓一)

★初蛙棚田の泥に声転がし
今年初めての蛙の声に耳を澄ますと、棚田の泥の中で体中から声を出して懸命にないているようです。泥の中の蛙はユーモラスでもあり、生き物への温かい視線が感じられる楽しい句ですね。 (柳原美知子)

★谷戸の田は貧し菖蒲芽をそろえ
★春嵐彩なす丘陵大花壇
★菜の花に残れる淡き遠き花

■互選高点句
●最高点(5点)
★花の雲利根へ利根へと急(せ)く支流/小口泰與
●次点(4点/同点2句)
★一本のチューリップいま切りしもの/祝恵子
★吹きあぐる花の吹雪よケーブルカー/祝恵子

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/高橋正子)

■4月月例句会清記


■4月月例ネット句清記
2018年4月8日
13名65句 

01.揺れるとも一花も放たず咲き満てり
02.快晴の花にやや吹く風のあり
03.甍の波桜の波と重なりて
04.角ひとつ曲がれば花に出会う頃
05.山桜左右に山の懐へ
06.忘れめや空の鈍色花の冷
07.今年また此処の櫻とあいにけり
08.花の雲利根へ利根へと急(せ)く支流
09.千本の櫻阿修羅や風嵐
10.斑をみせし雪代山女岩の黙

11.春の水しぶきを上げてバタフライ
12.花の丘裾を取り巻く雪柳
13.うきうきとと夕日の中に散るさくら
14.オランダの土産や赤いチューリップ
15.藻か草か目高何処に隠れしや
16.春眠のコアラの耳のぴくぴくと
17.初燕池は青空映しおり
18.道戻り色濃き菫愛でにけり
19.青空へ二階の子が吹くシャボン玉
20.ミモザ咲く麒麟の首の長いこと

21.新入生より広いエリアの保護者席
22.ボート漕ぐ桜が写る池に波
23.持ち寄りの弁当広げて花見酒
24.柔らかな風が西から春の海
25.木の枝の芽吹く先には大空が
26.桜散り芽生える緑に見える夏
27.花吹雪夕焼け後ろに染まる道
28.輝く目先に夢見る新入生
29.知恩院抜けた先に山桜
30.真夜中に見上げる街灯春の星

31.一本のチューリップいま切りしもの
32.花屑を分けて色鯉近づきぬ
33.吹きあぐる花の吹雪よケーブルカー
34.参道の山椿の花切り株に
35.数匹の猫遊ぶ寺花の咲く
36.道の端小さき菫の幸あれと
37.白き雲千切りて飛ばす柳絮かな
38.花疲れ居眠り多しバスの中
39.清明や名を知らぬ花咲きてをり
40.たんぽぽや地の太陽と黄に染まる

41.青麦のさざめく畝を猫が行く
42.つばめ来る完成間近の物産館
43.風鐸に枝垂るる花のひかり揺れ
44.リハビリ終え花満つ土手を送らるる
45.花の間に稜線青き皿ケ嶺
46.蛙鳴く道よわが家が見えてくる
47.つとめ終えし帰宅の吾に鳴く蛙
48.春の日のりんごジュースを飲み干しぬ
49.菜の花を咲かせて谷戸を流れる川
50.天晴れて地に低く咲く菜の花は

51.初蛙くりりくりりと谷戸の田に
52.初蛙棚田の泥に声転がし
53.谷戸の田は貧し菖蒲芽をそろえ
54.春嵐彩なす丘陵大花壇
55.菜の花に残れる淡き遠き花
56.山雨過ぎ朝の光りの花御堂
57.花御堂杓持つ子らに囲まるる
58.花蘇枋雨の上がりし窓を拭く
59.名を呼んで駆け寄りし子と花の昼
60.掘りたての初筍の皮開く

61.葉桜が一直線に目黒川
62.山吹の花は薄墨夜になりて
63.花冷えの風が上着をひためくる
64.玄関にチューリップの鉢花盛り
65.春野菜甘い香りの爽やかさ

※互選を始めてください。7句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。選句は<コメント欄>にお書きください。選句締め切りは、今日の午後9時です。

●4月月例ネット句会投句案内●


●4月月例ネット句会投句案内●
①花冠会員・同人であれば、どなたでも投句が許されます。花冠会員・同人以外の方は花冠IDをお申し込みの上、取得してください。
②当季雑詠(春の句)計5句を下の<コメント欄>にお書き込みください。
※5句投句といたしますのでお間違いのないようにお願いします。

③投句期間:2018年4月1日(日)午前0時~4月8日(日)午後5時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。

▼互選・入賞・伝言
①選句期間:4月8(日)午後6時~4月8日(日)午後9時
②入賞発表:4月9日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、月12日(月)正午~3月14日(水)午後6時

○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之