■2017年5月月例ネット句会■
■入賞発表/2017年5月15日
【金賞】
★舟べりを叩きはまちの追込み漁/桑本栄太郎
この句には季語はないが、季節感がある。春は新しいブリ・ハマチの子供をつかまえる時期なので、春の季節感がある。ハマチの稚魚の採捕は、春先(4月中旬頃)から初夏(7月下旬頃)にかけて行われる、養殖業界の春を告げる風物詩なのだ。(高橋信之)
【銀賞/2句】
★歌声の「原爆の子」へ銀杏咲く/谷口博望(満天星)
「原爆の子」の歌は、反戦歌。銀杏は毅然とした姿をした木だが、銀杏の花は地味で目立たない。秘めた力が原爆許すまじの反戦歌「原爆の子」の歌と響きあっている。(高橋正子)
★校庭の若葉へ運ぶパン・珈琲/柳原美知子
広々とした校庭を縁取る若葉。その木陰へパンと珈琲を運んで戸外での軽食を楽しむ。学校行事の一環か。明るい気分になれる句だ。(高橋正子)
【銅賞/3句】
★朝の鐘五月の空へ鳴り渡る/多田有花
清々しい五月の朝、鐘が空へと鳴り渡る。何も無いような空気感がある。(高橋正子)
★小さいといえども我が家に鯉のぼり/高橋秀之
住宅事情もあって、一般の家庭では、大きな鯉のぼりは揚げにくい。小さいけれど、元気な鯉のぼりがあって、男の子たすこやかに育っている。
それこそが大事だ。(高橋正子)
★早起きに洗濯をする初夏の朝/高橋句美子
初夏の朝、「明け易し」ころ。目覚めも自然に早くなり、早く起きた時間を洗濯する。さっぱりと、さわやかである。(高橋正子)
【高橋信之特選/8句】
★朝の鐘五月の空へ鳴り渡る/多田有花
澄んだ鐘の音が薫風に乗り朝空に響き渡る。清々しい五月の一日の始まりに心も晴れ晴れとしてきます。 (柳原美知子)
★校庭の若葉へ運ぶパン・珈琲/柳原美知子
校庭での楽しい昼食の風景を思いだします。「若葉へ運ぶ」に共感します。 (古田敬二)
★夏鶯谷の空間ひろびろと/高橋正子
山へ行くと新緑のなかにウグイスの声が絶え間なく聞こえます。谷に響くウグイスの澄んだ囀りは空間を広げる心地がします。(多田有花)
★舟べりを叩きはまちの追込み漁/桑本栄太郎
勢いを感じる句です。はまちのはねる音、漁師たちの声、水の音などが浮かんできます。(多田有花)
★歩くほど若葉の匂い濃くなれり/高橋正子
様々な木々の若葉が匂う山道。澄みきった空気を吸い、奥へと歩くほどに、感覚も研ぎ澄まされ、新鮮な心持ちになってくるようです。(柳原美知子)
★歌声の「原爆の子」へ銀杏咲く/谷口博望(満天星)
★小さいといえども我が家に鯉のぼり/高橋秀之
★早起きに洗濯をする初夏の朝/高橋句美子
【高橋正子特選/8句】
★暮れ残る代田を囲む水の音/柳原美知子
代掻きが終わり、田に水を入れている夕ぐれの情景が目に見えるようだ。 (満天星)
★新しい制服着こなし初夏の朝/高橋秀之
配属場所が変わり、四月から制服が代わったのでしょうか。その制服がそろそろ肌になじんでくるころです。(多田有花)
★街路樹の若葉青々晴れわたる/高橋句美子
街路樹の若葉のみずみずしい緑が目にうれしいころです。その上に広がる明るい晴天、心浮き立ちますね。(多田有花)
★わが誕生の空の明るい五月来る/高橋信之
明るい空から自然界のものみな光を受け、生命感あふれる五月。その五月に誕生され、今年もまた無事その時を迎えられるお喜びは一入のことでしょう。お祝い申しあげます。(柳原美知子)
★トマト苗植えれば直ぐに脇芽のぶ/祝恵子
トマト苗を植え毎朝水やりの度に成長が楽しみですね。充実した日常がうかがえます。(柳原美知子)
★校庭の若葉へ運ぶパン・珈琲/柳原美知子
★朝の鐘五月の空へ鳴り渡る/多田有花
★舟べりを叩きはまちの追込み漁/桑本栄太郎
【入選/6句】
★沖や今島影見ゆる卯波かな/桑本栄太郎
視界が広がり、卯波から島影が見えだし、海の風を受けながら、楽しまれているのでしょうか。 (祝恵子)
★ハンモック揺する風あり夏来たる/祝恵子
春の終りまだ強い風の日もありハンモックを揺らす風が吹いています。明日から立夏を迎える新しい暦によって夏に入る感情が整えられる。 (小口泰與)
★背伸びして今日が立夏と言ってみる/古田敬二
とても清々しい気持ちにしてくれます。理屈抜きで今回の投句の中で大好きな句です。(高橋秀之)
★エンドウ採る昼餉のパスタに足りるだけ/古田敬二
自家製のエンドウを収穫し、その新鮮なエンドウでパスタを料理する。なによりのごちそうですね。みどりも鮮やかな季節感あふれる一皿が目に浮かびます。(柳原美知子)
★湖の面へ木立を映し影涼し/小口泰與
★新緑の枝から枝へ揚羽蝶/廣田洋一
■選者詠/高橋信之
★矢車菊よわが誕生の五月来る
★わが誕生の空の明るい五月来る
★空晴れて矢車菊の花の青
■選者詠/高橋正子
★夏鶯谷の空間ひろびろと
★歩くほど若葉の匂い濃くなれり
★母の日の紫陽花ピンク娘は若し
■互選高点句
●最高点(5点)
★舟べりを叩きはまちの追込み漁/桑本栄太郎
●次点(4点/同点3句)
★朝の鐘五月の空へ鳴り渡る/多田有花
★暮れ残る代田を囲む水の音/柳原美知子
★校庭の若葉へ運ぶパン・珈琲/柳原美知子
※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/高橋正子)
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