■2022年10月例ネット句会■
■入賞発表/2022年10月10日
20.玄米を提げる山路や秋高し/弓削和人
山路を越えるとき、天は高く晴れて澄み渡っている。そんな山路を玄米を提げて越える。新米の玄米を、ともかくも持たせてくれた。感謝とうれしさ。その重さが手に伝わる。(髙橋正子)
【銀賞/2句】
04.農がゆく後ろ手にして刈田道/吉田 晃
刈田となった道を農夫が手を後ろに組んで歩いて行く。その景色がくっきり見える。農村では、日常見かける風景。農夫は若くはないだろうし、田を見まわるのはもう、農夫の習性のようになっている。そういう農村の景色に思うことがさまざま浮かんでくる。(髙橋正子)
10.山からの水の流れや曼殊沙華/祝 恵子
曼珠沙華が咲くのは、畦や湿り気の多い道端。山から水が流れ、あたりに洩れているようなところなど。水の流れのあるところの曼珠沙華は赤い色が水を受けて輝いているような、みずみずしい赤の印象だ。(髙橋正子)
【銅賞/3句】
09.秋の海日差しを載せて静かなり/多田有花
穏やか秋の海。日差しは平らかに海の上に載っているようだ。「日差しを載せて」が瀬戸内海の秋の海を象徴的に詠んでいる。(髙橋正子)
18.影法師踏みつつ帰る秋の暮れ/高橋秀之
学校帰りに、影踏みをしながら帰った人は懐かしさを覚えるだろう。秋の日暮れの影法師は長い。踏まれないように逃げながら帰ったことを新たに蘇らせてくれた句。(髙橋正子)
27.秋空へ街一番のビルが立つ/西村友宏
私はつねづね日本のビルは瀟洒だなあと思っている。秋空へ、街で一番の高いビルがそそり立つと、ビルの美しさが際立つ。なんだか、誇らしくも美しいビルである。(髙橋正子)
【髙橋信之特選/7句】
20.玄米を提げる山路や秋高し/弓削和人
稲刈りが終わり、新米を玄米のまま袋に入れて帰る山路。収穫の喜びと充実感に満ちた秋晴れの日です。 (柳原美知子)
18.影法師踏みつつ帰る秋の暮れ/高橋秀之
影を踏むという言葉に懐かしさを感じます。 (髙橋句美子)
25.鈴虫の音(ね)のする方へ歩く夕/西村友宏
鈴虫の澄んだ音色に惹きつけられ、その在りかをたしかめるように自ずと体が動きます。秋風に吹かれ心やすらぐ夕暮れです。 (柳原美知子)
31.秋の蜂花を探してきらきらと/髙橋句美子
秋光にきらきらと輝く蜂の存在感と秋の花の香り野の香りが感じられる美しい句ですね。 (柳原美知子)
04.農がゆく後ろ手にして刈田道/吉田 晃
09.秋の海日差しを載せて静かなり/多田有花
27.秋空へ街一番のビルが立つ/西村友宏
【髙橋正子特選/7句】
4.秋風に浸りて歩む土手の道/廣田洋一
「浸りて」に秋風の吹き渡る土手を歩く心地よさが表されていて、自然と一体化しているようです。 (柳原美知子)
24.湯あがりの身の透きゆける十三夜/柳原原美知子
湯上りに十三夜の月光を浴びてるうちに、自らの体を月が透き透るように感じられた。気持ちの良い月夜。(廣田洋一)
十三夜は豆名月の名があり、最後の名月で、名残りの月とも言う。名残りの月に湯上りの身をさらし居る作者の素敵で、ロマンチックな景が目に浮かびます。(小口泰與)
07.北国へ旅立つ支度寒露かな/多田有花
10.山からの水の流れや曼殊沙華/祝 恵子
20.玄米を提げる山路や秋高し/弓削和人
27.秋空へ街一番のビルが立つ/西村友宏
31.秋の蜂花を探してきらきらと/髙橋句美子
【入選/12句】
22.南瓜豊作どの畑にもごろごろ/柳原原美知子
楽しい俳句に惹かれます。(祝恵子)
23.潮風にぼんぼり揺れて芋煮える/柳原原美知子
海辺の食事時でしょうか。気持ちのいい潮風とのどかな情景が目に浮かびました。 (西村友宏)
03.温め酒渾名呼び合う友の減り/小口泰與
05.捨て畑の石垣畦に花桔梗/吉田 晃
06.十三夜黄ばみ障子の薄明り/吉田 晃
08.秋祭り太鼓の音が風に乗り/多田有花
11.笛太鼓豊作祈る獅子踊り/祝 恵子
12.虫の音を楽しむ散歩夕の風/祝 恵子
15.一日の健康祈り林檎剥く/廣田洋一
17.秋雨の中を静かに出航す/高橋秀之
21.大工の音聞こゆ明りの窓に秋/弓削和人
33.きのこ飯いくつも買って雨の夕/髙橋句美子
■選者詠/髙橋信之
34.窓開けて朝の秋空全身に
酷暑の毎日だったが、思いのほか涼しくなるのが早かった。窓を開けると秋の空が飛び込んできて体を包んでくれた。そんな感覚に捉われたのでしょう。先生のお元気な姿が想像できて嬉しい一句である。 (吉田晃)
35.今日があることを知る秋の空
平明な調べの中に、一日を迎えることへの感謝が詰まっています。秋空を見上げながら、生かされていると、思った瞬間を切り取っています。このような気持ちで、秋を過ごしていきたいものです。(弓削和人)
今日がある。当たり前のようであるがこの句のようにそれを意識して知ることは少ない。それを知る秋の空は素晴らしい情景です。(高橋秀之)
■選者詠/髙橋正子
29.宵宮の杜を照らして十三夜
久しぶりの宵宮。こんもりとした鎮守の杜が十三夜
の月光に青く照らされ、幻想的な光景をうかびあがらせています。静かな日本の原風景に祈りと希望の感じられる夜です。 (柳原美知子)
30.里祭りふうせん売りの日焼けなお
■互選高点句
●最高点(4点)
20.玄米を提げる山路や秋高し/弓削和人
集計:髙橋正子
コメント
Unknown
御礼
拙句「玄米を提げる山路や秋高し」を評価下さいました先生方、会員各位の方々へ心より感謝申し上げると共に、今後も引き続きの精進を誓わせていただきました。山奥の知人の紹介から、玄米を購入した帰り道を詠みました。敢えて、玄米という自然に近く接したいと思い、秋晴れを感じながら帰ったことを思いだされます。まだまだ初学者です。引き続きのご指導を宜しくお願い申し上げます。
お礼
高橋信之先生、正子先生、10月月例ネット句会の開催ありがとうございます。
曼珠沙華を正子先生の特選に,と銀賞に、素敵な句評をありがとうございます。入選に「豊作」、「虫の音」をありがとうどざいます。
選句頂きました柳原美知子様、髙橋句美子様、弓削和人様、小口泰與様、廣田洋一様 吉田晃様ありがとうございました。
御礼
高橋信之先生、正子先生
10月月例ネット句会を開催していただき有難う御座います。
両先生には「温め酒」の句を入選句にお取り上げ頂き有難う御座います。
今後ともよろしくご指導の程お願い申し上げます。
廣田洋一様、祝恵子様には「温め酒」の句を選にお取り上げ頂き有難う御座いました。
コメント
25.鈴虫の音(ね)のする方へ歩く夕/西村友宏
鈴虫の澄んだ音色に惹きつけられ、その在りかをたしかめるように自ずと体が動きます。秋風に吹かれ心やすらぐ夕暮れです。
31.秋の蜂花を探してきらきらと/髙橋句美子
秋光にきらきらと輝く蜂の存在感と秋の花の香り野の香りが感じられる美しい句ですね。
4.秋風に浸りて歩む土手の道/廣田洋一
「浸りて」に秋風の吹き渡る土手を歩く心地よさが表されていて、自然と一体化しているようです。
29.宵宮の杜を照らして十三夜/髙橋正子
久しぶりの宵宮。こんもりとした鎮守の杜が十三夜
の月光に青く照らされ、幻想的な光景をうかびあがらせています。静かな日本の原風景に祈りと希望の
感じられる夜です。
お礼
信之先生、正子先生、10月ネット句会を開催いただき、ありがとうございました。
「十三夜」の句を正子先生の特選、「南瓜」「芋煮える」の句も入選句にお加えいただき。大変うれしく、感謝申しあげます。
廣田洋一様、小口泰與様、祝恵子様、西村友宏様には選と温かいコメントをいただき、ありがとうございました。
髙橋秀之様、髙橋句美子様には「芋煮える」に選をいただき、ありがとうございました。
伊予市の五色浜海浜公園での芋炊きに行き、初めて
海辺での芋炊きを楽しみました。
お礼
信之先生、正子先生
10月月例ネット句会を開催いただきありがとうございました。
9日より12日まで出かけて、選句等ができずお詫び申し上げます。
「秋の海日差しを載せて静かなり」に銅賞並びに信之先生特選をいただきありがとうございました。
祝恵子さま、選をいただきありがとうございます。
須磨明石のあたりの海です。快晴の日差しがまぶしい秋の海でした。
「北国へ旅立つ支度寒露かな」に正子先生の特選をいただきありがとうございました。
吉田晃さま、選をいただきありがとうございます。
8日の寒露は翌日から北海道へ向かう準備をしていました。
「秋祭り太鼓の音が風に乗り」に入選をいただきありがとうございました。
高橋秀之さま、西村友宏さま、選をいただきありがとうございます。
8日、9日の週末は住んでいるところの秋祭りでした。