■7月月例ネット句会の入賞発表がをしていますので、ごらんください。
自由な投句箱/7月1日~10日
※当季雑詠3句(夏の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
主宰:高橋正子・管理:高橋信之
◆俳句添削教室◆
http://www.21style.jp/bbs/kakan02
◆俳句日記/高橋正子◆
http://blog.goo.ne.jp/kakan02
今日の秀句/7月1日~10日
7月10日(2句)
★向日葵や朝日に向かひそよぎをり/廣田洋一
向日葵の花びらに透明感があって、朝日と風を受け、気持ちよさそうだ。(高橋正子)
★一斉に初蝉鳴きぬ今朝の晴/桑本栄太郎
初蝉でありながら、一斉に鳴き出す。その力強さ。今日は朝から晴れて気温もぐんぐんあがっているのだ。一気に夏本番だ。(高橋正子)
7月9日
★船ぞくぞく梅雨の晴れ間の海峡を/多田有花
口語的表現の写生句。上五の「ぞくぞく」がいい。下五の「海峡を」の収まりがいい。(高橋信之)
7月8日
★しなやかに反転せしや夏燕/小口泰與
夏燕は今日は、「しなやかに反転」をする。「しなやかに」には、空気の湿り具合、梅雨の季節がも関係しているような気がする句だ。(高橋正子)
7月7日
★地下広場埋めし七夕飾りかな/廣田洋一
地下街は人の暮らしが無ければ、言ってみれば季節感のあま、りない土の下。人が行き交う地下広場を七夕飾りで埋めて、七夕祭りを楽しみ、涼をさそう。季節感ある変化が生活を潤してくれる。(高橋正子)
7月6日(2句)
★空蝉の静けき物に朝日射す/小口泰與
中七の「静けき」がいい。作者の思いが読み手にそのまま伝わってきて、実にリアルな句だ。(高橋信之)
<淡路島への旅三句>
★大甕に生けられし百合に迎えられ/多田有花
嬉しい風景だ。嬉しい句だ。(高橋信之)
7月5日(2句)
★明日は明日今日はこの花日日草/廣田洋一
日日草は日々花を咲かせ、日々花を散らす。今日は今日咲く花を楽しみ、明日はまた明日の花を楽しむ。さっぱりとした心境がいい。(高橋正子)
★台風の早くも過ぎて薄き虹/河野啓一
台風3号は九州北部や中国地方、山陰地方に豪雨を降らせた。早くも過ぎてしまったところは、台風一過の空に薄い虹がかかり、夏空のさわやかさが広がる。(高橋正子)
7月4日(1句)
★糠雨の水面自在に夏つばめ/小口泰與
糠雨の水面を、かえって雨を喜ぶように飛ぶ夏つばめの颯爽とした自在さがうらやましい。(高橋正子)
7月3日(2句)
★鷺草や噴煙西へ流れける/小口泰與
中七の「西へ」がいい。東西南北の中の一つの「西」で、単純だ。それぞれの立つところが違っていても、「西」は皆同じだ。日が昇る「東」であり、日が沈む「西」である。(高橋信之)
★駅中の珈琲館や大夕立/桑本栄太郎
誰もが経験する「大夕立」だが、「駅中の珈琲館」という作者の体験がいきいきと伝わってくる。作者と読者とを繋ぐ季題の働きがいい。(高橋信之)
7月2日(1句)
★祇園会のお囃子駅に河原町/桑本栄太郎
祇園会は地方でも行われるが、京都の八坂神社の祭りがあまりにも有名。7月になると祇園会の準備が始まる。河原町は山鉾巡業の通りなので、河原町の駅ではお囃子を流して、祭りの雰囲気を盛り上げている。お囃子にそわそわとなるのは人の心と言えよう。京都からの句。(高橋正子)
7月1日(2句)
★宵空の蒼きが残り月涼し/桑本栄太郎
夏至は過ぎたものの宵空には明るさが残る。宵空の蒼と月の色との色合いが美しい。(高橋正子)
★箱庭に人一人置き町らしく/廣田洋一
箱庭を見ることは少なくなったが、「箱庭」は夏の季語。箱庭の景色はいろいろだが、町は人がいてこそ町になる。人を一人置くと箱庭の町もいきいきとし、涼しさを醸す。(高橋正子)
10
7月1日~10日
7月10日(5名)
●多田有花
<洞川温泉への旅三句>
渓流に沿い青苔の道歩く★★★
つり橋を渡りみたらいの滝へ★★★
七夕の護摩焚の用意整いぬ★★★★
●小口泰與
次つぎに楉伸びけり百日紅★★★
釣仲間下戸にはあらず夏座敷★★★★
雨後の朝ばらの清しき香りかな★★★
●廣田洋一
向日葵や朝日に向かひそよぎをり★★★★
向日葵の花びらに透明感があって、朝日と風を受け、気持ちよさそうだ。(高橋正子)
向日葵や背丈競ひて陽を浴びる★★★
向日葵の立ち並びたる街の角★★★
●谷口博望 (満天星)
蝉生れしばらく殻に寄り添ひぬ★★★★
酔芙蓉着信音を胸で受く★★★
忽然と潮引く川を夏の鴨★★★
●桑本栄太郎
一斉に初蝉鳴きぬ今朝の晴れ★★★★
初蝉でありながら、一斉に鳴き出す。その力強さ。今日は朝から晴れて気温もぐんぐんあがっているのだ。一気に夏本番だ。(高橋正子)
コンサート終えて雷雨の家路かな★★★
ハイウェイの灯の夕闇に梅雨の雷
★★★
7月9日(5名)
●多田有花
<淡路島への旅三句>
いちめんの夏の花なり花さじき★★★
温室に仰ぎ見るなりバナナの葉★★★
船ぞくぞく梅雨の晴れ間の海峡を★★★★
口語的表現の写生句。上五の「ぞくぞく」がいい。下五の「海峡を」の収まりがいい。(高橋信之)
●廣田洋一
公園の木々そよそよと夏の月★★★★
川の水影を映して月涼し★★★
川溢れ避難所に見る夏の月★★★
●小口泰與
とうすみの一つ所に執しおり★★★
焼きすすみつつ塩鮎の雫かな★★★
朝焼やしめやかに芝刈りにける★★★★
●谷口博望 (満天星)
鵜の宿の棈(あべまき)見上ぐ名勝園★★★
虫癭(ちゅうえい)とや夏の悲しき辛夷の実★★★
樟の大樹を登り凌霄花★★★★
●桑本栄太郎
堀割の鯉の魚影や鴎外忌★★★
梅雨闇や木洩れ日光る高瀬川★★★
コンサート終えて雷雨や雨宿り★★★★
7月8日(3名)
●小口泰與
しなやかに反転せしや夏燕★★★★
夏燕は今日は、「しなやかに反転」をする。「しなやかに」には、空気の湿り具合、梅雨の季節がも関係しているような気がする句だ。(高橋正子)
雨後の陽に蜘蛛の囲きららきららかな★★★
雨の日も妻の執心袋掛★★★
●桑本栄太郎
遠雷や考えごとの纏まらず★★★
雷の夢のうつつに聞こえ居り★★★★
雨雲の黒く塊り梅雨の雷★★★
●廣田洋一
横綱と手形比べる夏の朝★★★
次郎吉のお墓を削る木下闇★★★
洗ひ張り並ぶ軒下梅雨晴間★★★★
7月7日(4名)
●多田有花
<淡路島への旅三句>
降る音を聞きつつ梅雨の露天風呂★★★★
たたずめば鳴門海峡梅雨景色★★★
差し出されしスライス玉ねぎの甘し★★★
●廣田洋一
地下広場埋めし七夕飾りかな★★★★
地下街は人の暮らしが無ければ、言ってみれば季節感のあま、りない土の下。人が行き交う地下広場を七夕飾りで埋めて、七夕祭りを楽しみ、涼をさそう。季節感ある変化が生活を潤してくれる。(高橋正子)
洪水のニュースで明ける小暑かな★★★
梅雨出水家も命も流しけり★★★
●小口泰與
郭公やしどろに挿せし花器余白★★★★
丑三つのしどどの汗にがばと起き★★★
尿しては水飲む髪膚盛夏かな★★★
●桑本栄太郎
青空の大悟のままに雷走る★★★
晴れ居ても水の匂いや梅雨の雷★★★★
天の底抜けたるように雷雨かな★★★
7月6日(4名)
●小口泰與
礼状をしたたむ机昼寝覚★★★
空蝉の静けき物に朝日射す★★★★
中七の「静けき」がいい。作者の思いが読み手にそのまま伝わってきて、実にリアルな句だ。(高橋信之)
ばらの花雨粒しづる朝かな★★★
●廣田洋一
風鈴や南部の鉄の冷めし音★★★★
風鈴や師の句 選び小短冊★★★
風鈴の音せわしなし雨近し★★★
●多田有花
<淡路島への旅三句>
大甕に生けられし百合に迎えられ★★★★
嬉しい風景だ。嬉しい句だ。(高橋信之)
島の幸たらふく最後はアイスクーム★★★
友ヶ島梅雨のむこうに隠れたり★★★
●桑本栄太郎
足早に蟻の歩みや夕立前★★★
日盛や匂い立ち居り庭の木々★★★
戻り来て汗の噴き出す昼下がり★★★★
7月5日(4名)
●小口泰與
萬緑や暁の鎮守の鳥の声★★★
五月雨を撮るも撮らぬも我次第★★★★
青芝を踏みしだきたる犬の群★★★
●廣田洋一
日日草ならび明るき狭庭かな★★★
店先の色取り揃へ日日草★★★
明日は明日今日はこの花日日草★★★★
日日草は日々花を咲かせ、日々花を散らす。今日は今日咲く花を楽しみ、明日はまた明日の花を楽しむ。さっぱりとした心境がいい。(高橋正子)
●河野啓一
古木立つ雨露含む重さかな★★★
台風の早くも過ぎて薄き虹★★★★
台風3号は九州北部や中国地方、山陰地方に豪雨を降らせた。早くも過ぎてしまったところは、台風一過の空に薄い虹がかかり、夏空のさわやかさが広がる。(高橋正子)
織姫に遭いたや夢の中にでも★★★
●桑本栄太郎
忖度の利かぬ選挙や梅雨の穴★★★
肩凝りの手揉みして居り半夏雨★★★
一頻り降つて茜やゆだち晴れ★★★★
7月4日(4名)
●小口泰與
夏つばめ水面自在や小糠雨(原句)
糠雨の水面自在に夏つばめ★★★★(正子添削)
糠雨の水面を、かえって雨を喜ぶように飛ぶ夏つばめの颯爽とした自在さがうらやましい。(高橋正子)
八方へ繁に遁走子蜘蛛かな★★★
雨蛙ぴたりと声を収めけり★★★
●廣田洋一
吟行後学食の隅冷やし中華かな★★★★
新装開店冷やし中華始めました★★★
食べる前具をかき混ぜる冷やし中華★★★
●谷口博望(満天星)
風鈴や世論正義の都知事選★★★
季語の選定が巧みで大変印象的fでした。世論はなるほど風によって動きますね。(河野啓一)
風鈴のチリとも言はず雨となる★★★
藤椅子に兄姉思ふ明けやすし★★★★
●桑本栄太郎
祇園会のマーク付け居り阪急線★★★★
木々の枝の白き葉裏や夕立風★★★
荒梅雨の怒涛追い越す新幹線★★★
。(高橋正子)
7月3日(4句)
●小口泰與
鷺草や噴煙西へ流れける★★★★
中七の「西へ」がいい。東西南北の中の一つの「西」で、単純だ。それぞれの立つところが違っていても、「西」は皆同じだ。日が昇る「東」であり、日が沈む「西」である。(高橋信之)
単線の貨車の通過や時計草★★★
青時雨しきりに鳥の声するや★★★
●廣田洋一
背は低く花は大きく向日葵咲く★★★★
背低き新種向日葵揃ひけり★★★
真黄色の花弁茂る向日葵や★★★
●桑本栄太郎
駅中の珈琲館や大夕立★★★★
誰もが経験する「大夕立」だが、「駅中の珈琲館」という作者の体験がいきいきと伝わってくる。作者と読者とを繋ぐ季題の働きがいい。(高橋信之)
雨上がり虹立つ中にバス来たる★★★
みどり濃き草かと思う青田波★★★
●川名ますみ
日の色のダリアましろく耀けり★★★★
梅雨晴に風船蔓するすると★★★
鈴蘭の大きな葉影にも咲きぬ★★★
7月2日(4句)
●小口泰與
郭公やされども堂の黒柱★★★
堂を震わす鐘の音や額の花★★★
真新しい靴を履きたり風かおる★★★★
●廣田洋一
降りそうで降らぬ空見る半夏生★★★
南北で地震起きたり半夏生★★★★
膝曲げて爪切る朝や半夏生★★★
●桑本栄太郎
祇園会のお囃子駅に河原町★★★★
祇園会は地方でも行われるが、京都の八坂神社の祭りがあまりにも有名。7月になると祇園会の準備が始まる。河原町は山鉾巡業の通りなので、河原町の駅ではお囃子を流して、祭りの雰囲気を盛り上げている。お囃子にそわそわとなるのは人の心と言えよう。京都からの句。(高橋正子)
緑陰の木洩れ日水に高瀬川★★★
梅雨雲の鞍馬嶺覆い遥かなり★★★
●満天星
楊梅の朽ちて真赤の石の庭★★★
梅雨の蝶供花の並ぶ献体碑★★★
梔子や献体の碑へ合掌す★★★★
7月1日(4句)
●小口泰與
凝縮の一滴そそぐ新茶かな★★★
立葵背の順に行く登校児★★★★
さりげなく降格伝え夏の露★★★
●河野啓一
歯ブラシを濯ぎクチナシ香の白き★★★
青鷺の田に降り立ちぬ雨もよい★★★★
荒梅雨の予報当たらず夕べかな★★★
●桑本栄太郎
祇園会の設え進む河原町★★★
七月の祇園四条や祭りめく★★★
宵空の蒼きが残り月涼し★★★★
夏至は過ぎたものの宵空には明るさが残る。宵空の蒼と月の色との色合いが美しい。(高橋正子)
●廣田洋一
箱庭や古きミニカー走らせる★★★
箱庭や庭の草花植えにけり★★★
箱庭の人一人置き町らしく(原句)
箱庭に人一人置き町らしく★★★★(正子添削)
箱庭を見ることは少なくなったが、「箱庭」は夏の季語。箱庭の景色はいろいろだが、町は人がいてこそ町になる。人を一人置くと箱庭の町もいきいきとし、涼しさを醸す。(高橋正子)
自由な投句箱/6月21日~30日
※当季雑詠3句(夏の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
主宰:高橋正子・管理:高橋信之
◆俳句添削教室◆
http://www.21style.jp/bbs/kakan02
◆俳句日記/高橋正子◆
http://blog.goo.ne.jp/kakan02
今日の秀句/6月21日~30日
6月30日(2句)
★水打ちて手拍子打ちて樽神輿/小口泰與
樽神輿は酒の空き樽を使った子供用の神輿。鳳凰や提灯などいろいろと装飾されて見ていて楽しいものだ。「水を打って手拍子を打って」祭りの清めと勢いがあらわされている。(高橋正子)
★水求め獣移動す雲の峰/廣田洋一
アフリカのサバンナの草原は写真でしか知らないが、そんな風景を想像する。雨期と乾期で移動する獣がある。雲の峰が湧きたつ雄大な草原を思う。(高橋正子)
6月29日(3句)
★一株に一花ひまわり整列す/河野啓一
ロシアひまわりのように大きい花は、一株に一花。並んで植えられていたりすると、兵隊の整列のように、きちんと並ぶ。人の顔のようなひまわりが元気であかるい。(高橋正子)
★夏の雲富士にかかりて真白なり/廣田洋一
富士山が見えるところに住む人は、富士山をどのように受け止めているのか、気になっていたが、やはり、「日本一の山として仰ぎ見ているのではないか。それが、ふるさとの景色のなかにあっても。」という結論に達しているのが、今の私の気持だ。「真白なり」が、素晴らしい。(高橋正子)
★茅の輪潜り明日に備える足袋ぞうり/桑本栄太郎
夏越の祓には茅の輪をくぐり、夏を健康に過ごせるようにお祓いを受ける。地方によって茅の輪潜りのやり方も少し違うが。足袋とぞうりを準備して、夏越の祓を待つ。茅の輪潜りは清々しい気持ちになる。(高橋正子)
6月28日
★夾竹桃被爆九輪の捻れたる/谷口博望(満天星)
広島に原爆が投下されて、寺の九輪が捻じれたまま70数年が経った。8月6日の暑さを思い出させるように、夾竹桃が咲いている。(高橋正子)
6月27日(2句)
★母娘とも厨仕事のあつぱつぱ/廣田洋一
火を使う夏の厨仕事は暑さも暑さ。「あっぱっぱ」と呼ばれる風通しのよい服を着て母娘仲よく厨の立つ光景。昭和の一時代を思い出す。(高橋正子)
★七変化今朝も元気な顔見せて/河野啓一
朝起きて庭の花を見る楽しみ。元気な花を見るのはうれしい。七変化と言われる紫陽花は花が毬のようで、親しめば、目鼻のある「顔」だ。「元気な顔」がいい。(高橋正子)
6月26日(3句)
★幼子の裸足で遊ぶ砂場かな/廣田洋一
日常よく見かける風景だが、いい句だ。「幼子」が素直であり、作者は、そこを素直に詠んだ。(高橋信之)
★緑陰に荷物を広げ昼ごはん/多田有花
よく見かける風景だが良い句だ。よく見かける風景なので、なおよいと思う。俳句は日常の詩である、と教えてくれる。(高橋信之)
★小枝ゆれ風歌い居り青楓/桑本栄太郎
「風」を擬人化して歌わせた。下五の季題「青楓」がいい。自然を自身の心の内にうまく包み込んだのだ。(高橋信之)
6月25日
★山の青川に映して鮎解禁/廣田洋一
鮎のいる川は山の青がそのまま川に映りこんでいかにも日本の山河という印象だ。山の緑が滴る川にきょうから鮎漁が解禁となる。鮎の季節の到来が涼やかだ。(高橋正子)
6月24日(3句)
★あけぼのの牛舎を映す植田かな/小口泰與
あけぼのの植田を力強く生き生きと捉えた。いい朝を迎えた作者の思いが伝わってきくる。読み手もいい朝を迎えた。(高橋信之)
★七変化今朝も変わらず機嫌よく/河野啓一
下五の「機嫌よく」がいい。この口語表現がいい。(高橋信之)
★涼風の木蔭に憩う散歩かな/桑本栄太郎
この句の軽いところがいい。「涼風」の季節感がいい。快く、そして嬉しい句だ。(高橋信之)
6月23日(3句)
★郭公や此度は暁の九十九折/小口泰與
郭公は今日は暁の九十九折で聞いた。郭公に出会うと嬉しくなる。私も松山市の郊外の我が家で、ひと夏だけ郭公の声を聞いた。あの郭公は、なぜあの夏だけ来たのかと思う。(高橋正子)
★髪洗ふ明日は手術の予約かな/廣田洋一
手術前の一つの手順のように髪を洗い、静かに手術の予約を待つ。淡々とした心境はいろいろ病気や手術の経験もされたと察せられる。手術が良い結果となるようお祈りいたします。(高橋正子)
★柿若葉この大きさよこの照りよ/河野啓一
我が家の戻られての大きな安堵がおありだろう。柿若葉の茂り、その輝きのうつくしさ。思わず「この照りよ」の感動となった。(高橋正子)
6月22日(3句)
★「さつきまで狐が居た」と夏未明/谷口博望 (満天星)
「さつきまで狐が居た」は、そこで狐を見た人の話。見なかった作者は残念な思いだが、夢物語のようで、却って、夏の未明の朝の涼しさを表現している。(高橋正子)
★夏燕田ごとに水の満ちにける/小口泰與
稲の苗が植えられ、水が満々と満たされている植田。そこを颯爽と飛ぶ夏燕。田ごとの水と夏燕が好相性。(高橋正子)
★松葉牡丹二色咲きける庭の朝/廣田洋一
朝の松葉牡丹の元気さに一日の元気がもらえそうだ。一色よりも多色のほうが楽しい花だ。(高橋正子)
6月21日(2句)
★六月の快晴青き水平線/多田有花
梅雨の最中の快晴はうれしいもの。水平線の一色線の青が潔くまぶしい。(高橋正子)
★杜鵑鳴く声聴きに一走り/谷口博望 (満天星)
一走りは車でだろう。一走りすれば、杜鵑の声が聞こえる山里がある。私も先日神奈川県の鶴見川源流の泉を訪ねたとき、辺りの山に鳴く杜鵑の声を聴いた。やっと聞けたという思いだった。(高橋正子)
6月21日~30日
6月30日(5名)
●谷口博望(満天星)
時計草走れやメロス日が落ちる★★★
枇杷熟れて今が食べごろ雀どち★★★★
遠くより泰山木の一華かな★★★
●小口泰與
水打ちて手拍子打ちて樽神輿★★★★
樽神輿は酒の空き樽を使った子供用の神輿。鳳凰や提灯などいろいろと装飾されて見ていて楽しいものだ。「水を打って手拍子を打って」祭りの清めと勢いがあらわされている。(高橋正子)
保育器の嬰児(やや)の笑顔や額の花★★★
噴煙の西へ流るる麦の秋★★★
●廣田洋一
夢追ひて駆け行く先に雲の峰★★★
代表の座をかけ試合雲の峰★★★
水求め獣移動す雲の峰★★★★
アフリカのサバンナの草原は写真でしか知らないが、そんな風景を想像する。雨期と乾期で移動する獣がある。雲の峰が湧きたつ雄大な草原を思う。(高橋正子)
●河野啓一
梅雨寒や妻の小言の茂くなり★★★
荒梅雨の予報少しく大き過ぎ★★★
孫のフォト見せに来たる娘梅雨晴れ間★★★★
●桑本栄太郎
何もかも洗い流すか白雨降る★★★
夕闇の帳に沈み風涼し★★★★
沙羅の花散つて地上の深き闇★★★
6月29日(5名)
●谷口博望(満天星)
船虫の恐竜の如節理這ふ★★★
夏の浜前撮りドレス眩くて★★★★
露草の藍と黄色の物語★★★
●河野啓一
ま白なる夾竹桃や雨もよい★★★
一株に一花ひまわり整列す★★★★
ロシアひまわりのように大きい花は、一株に一花。並んで植えられていたりすると、兵隊の整列のように、きちんと並ぶ。人の顔のようなひまわりが元気であかるい。(高橋正子)
特売のメロン朝餉に華を添え★★★
●小口泰與
背の順の通学の子ら立葵★★★
先んじて渓流遡行風かおる★★★★
夕暮の雨やざわつく花菖蒲★★★
●廣田洋一
夏の雲富士にかかりて真白なり★★★★
富士山が見えるところに住む人は、富士山をどのように受け止めているのか、気になっていたが、やはり、「日本一の山として仰ぎ見ているのではないか。それが、ふるさとの景色のなかにあっても。」という結論に達しているのが、今の私の気持だ。「真白なり」が、素晴らしい。(高橋正子)
夏雲を指の間に挟みけり★★★
白波のはじける先に夏の雲★★★
桑本栄太郎
水滴の筋の白さや青すすき★★★
軒深く玉葱干さる母屋かな★★★
茅の輪潜り明日に備える足袋ぞうり★★★★
夏越の祓には茅の輪をくぐり、夏を健康に過ごせるようにお祓いを受ける。地方によって茅の輪潜りのやり方も少し違うが。足袋とぞうりを準備して、夏越の祓を待つ。茅の輪潜りは清々しい気持ちになる。(高橋正子)
6月28日(4名)
●小口泰與
嘘鳥(オソドリ)のさても賢しや袋掛★★★
暁の湖天地逆しまはたた神★★★
白百合の先駆け咲くや女学校★★★★
●谷口博望(満天星)
夾竹桃被爆九輪の捻れたる★★★★
広島に原爆が投下されて、寺の九輪が捻じれたまま70数年が経った。8月6日の暑さを思い出させるように、夾竹桃が咲いている。(高橋正子)
おすめすの赤芽柏の花姿★★★
緑陰や松明花の密生す★★★
●廣田洋一
横綱の愛想も効かず泣き相撲★★★
女子マネの叱咤激励相撲部かな★★★
夏場所や若手に期待一波乱★★★★
●桑本栄太郎
漁火の闇のはるかに灯涼し★★★★
肌脱ぎの父の背哀しやいと痕★★★
草矢打つ的は恋初む娘に向けて★★★
6月27日(5名)
●谷口博望(満天星)
天牛や杖を振りたる座頭市★★★
ででむしや鉄橋走るSL車★★★★
山道を下りれば海へ蛍草★★★
●小口泰與
夏ひばり埴輪伝ふる古墳かな★★★
山梔子の香を苛むる驟雨かな★★★★
薫風や在所の梁の塩焼よ★★★
●廣田洋一
母娘とも厨仕事のあつぱつぱ★★★★
火を使う夏の厨仕事は暑さも暑さ。「あっぱっぱ」と呼ばれる風通しのよい服を着て母娘仲よく厨の立つ光景。昭和の一時代を思い出す。(高橋正子)
髪を切りお腹ひつこめ夏の服★★★
上着をば肩にかけにし夏服や★★★
●河野啓一
七変化今朝も元気な顔見せて★★★★
朝起きて庭の花を見る楽しみ。元気な花を見るのはうれしい。七変化と言われる紫陽花は花が毬のようで、親しめば、目鼻のある「顔」だ。「元気な顔」がいい。(高橋正子)
額の花みどりの中にすくと立つ★★★
AIや名人を超ゆ七変化★★★
●桑本栄太郎
深梅雨や一瞬追い越す新幹線★★★★
父の背の肌脱ぎ哀しやいと痕★★★
梅雨穴や地底覗かんカテーテル★★★
6月26日(5名)
●谷口博望(満天星)
波しぶく節理へ凛と夏撫子★★★
海荒れて定家葛の花揺るる★★★
雨上がり山蛞蝓木を登る★★★★
●小口泰與
底見せぬ瀞や鳥語に風かおる★★★★
棚田込め山へ響きし青蛙★★★
夏もまた山風を良き友として★★★
●廣田洋一
幼子の裸足で遊ぶ砂場かな★★★★
日常よく見かける風景だが、いい句だ。「幼子」が素直であり、作者は、そこを素直に詠んだ。(高橋信之)
裸足にて砂こそばゆき波打際★★★
ペディキュアの素足伸ばせる渚かな★★★
●多田有花
空梅雨の後に荒梅雨来る気配★★★
緑陰に荷物を広げ昼ごはん★★★★
よく見かける風景だが良い句だ。よく見かける風景なので、なおよいと思う。俳句は日常の詩である、と教えてくれる。(高橋信之)
鶯に応えるごとくほととぎす★★★
●桑本栄太郎
小枝ゆれ風歌い居り青楓★★★★
「風」を擬人化して歌わせた。下五の季題「青楓」がいい。自然を自身の心の内にうまく包み込んだのだ。(高橋信之)
牛蛙鳴いて水辺の穴の音★★★
入日受け黄金となりぬ小判草★★★
6月25日(3名)
●小口泰與
番茶より緑茶好もし五月雨★★★★
年代の松をこぼつや蝉の殻★★★
こまかなる光や志賀の夏木立★★★
●廣田洋一
特記して鮎の売られる夕餉時★★★
鮎を買ふついでに買ひし化粧塩★★★
山の青川に映して鮎解禁★★★★
鮎のいる川は山の青がそのまま川に映りこんでいかにも日本の山河という印象だ。山の緑が滴る川にきょうから鮎漁が解禁となる。鮎の季節の到来が涼やかだ。(高橋正子)
●桑本栄太郎
梔子の剪定のがれ甘き香に★★★
今朝見れば青き実もあり沙羅の花★★★★
ユリの木の青き実生や木下闇★★★
6月24日(5名)
●谷口博望(満天星)
恋蛍十日の命灯をともせ★★★
恋蛍処女の蕾を解き放て★★★
恋蛍草の雫に濡れてをり★★★★
●廣田洋一
柏手の高く澄みけり梅雨晴間★★★
梅雨荒しなぎ倒しけるトマトかな★★★★
梅雨湿り撞く鐘の音こもりけり★★★
●小口泰與
オープンカー此の面彼の面の鳥の声★★★
距離競う種は空中さくらんぼ★★★
あけぼのの牛舎を映す植田かな★★★★
あけぼのの植田を力強く生き生きと捉えた。いい朝を迎えた作者の思いが伝わってきくる。読み手もいい朝を迎えた。(高橋信之)
●河野啓一
嬰児のフォトやカサブランカ咲かんとす★★★
七変化今朝も変わらず機嫌よく★★★★
下五の「機嫌よく」がいい。この口語表現がいい。(高橋信之)
白花の紫陽花アメリカ産とやら★★★
●桑本栄太郎
泰山木の花に誘われ摘まみ見る★★★
涼風の木蔭に憩う散歩かな★★★★
この句の軽いところがいい。「涼風」の季節感がいい。快く、そして嬉しい句だ。(高橋信之)
小枝揺れ葉のゆれ風の木下闇★★★
6月23日(6名)
●小口泰與
郭公や此度は暁の九十九折★★★★
郭公は今日は暁の九十九折で聞いた。郭公に出会うと嬉しくなる。私も松山市の郊外の我が家で、ひと夏だけ郭公の声を聞いた。あの郭公は、なぜあの夏だけ来たのかと思う。(高橋正子)
雷鳴に言奪われし夕餉かな★★★
空蝉を寿ぐ木木の蝉数多★★★
●谷口博望 (満天星)
灯台を入船出船夏港★★★
凝然と日光浴の蜥蜴かな★★★
菩提樹やトランペットを童子吹き★★★★
●廣田洋一
髪洗ふ明日は手術の予約かな★★★★
手術前の一つの手順のように髪を洗い、静かに手術の予約を待つ。淡々とした心境はいろいろ病気や手術の経験もされたと察せられる。手術が良い結果となるようお祈りいたします。(高橋正子)
どんぶりよりはみ出す穴子天丼食ぶ★★★
夏なればマーブルチョコレートを買いぬ★★★
●桑本栄太郎
大山の頂き背ナに雲の峰★★★★
西日落つ伊丹へ向かう機影かな★★★
西日受くビルの茜や梅田駅★★★
●河野啓一
沖縄忌摩文仁の沖の空の果て★★★
梅雨晴れ間嬉し懐かし我が家かな★★★
柿若葉この大きさよこの照りよ★★★★
我が家の戻られての大きな安堵がおありだろう。柿若葉の茂り、その輝きのうつくしさ。思わず「この照りよ」の感動となった。(高橋正子)
6月22日(4名)
●谷口博望 (満天星)
夏未明陸軍墓地の桐は実に★★★
「さつきまで狐が居た」と夏未明★★★★
「さつきまで狐が居た」は、そこで狐を見た人の話。見なかった作者は残念な思いだが、夢物語のようで、却って、夏の未明の朝の涼しさを表現している。(高橋正子)
日の出見に淋しき夏の朝月夜★★★
●小口泰與
青芝や雨後の朝の雀どち★★★
気に入りの黄の麻服同窓会★★★
夏燕田ごとに水の満ちにける★★★★
稲の苗が植えられ、水が満々と満たされている植田。そこを颯爽と飛ぶ夏燕。田ごとの水と夏燕が好相性。(高橋正子)
●廣田洋一
松葉牡丹炎暑取り込み赤く咲く★★★
松葉牡丹真白き花の夕かげり★★★
松葉牡丹二色咲きける庭の朝★★★★
朝の松葉牡丹の元気さに一日の元気がもらえそうだ。一色よりも多色のほうが楽しい花だ。(高橋正子)
●桑本栄太郎
海風の砂地畑の灼けにけり★★★
夏潮や山陰線のワンマンカー★★★
夏潮の群青色や日本海★★★★
6月21日(5名)
●多田有花
六月の快晴青き水平線★★★★
梅雨の最中の快晴はうれしいもの。水平線の一色線の青が潔くまぶしい。(高橋正子)
山下りて紫陽花の咲く道帰る★★★
焦がれおる植田に降りし今朝の雨★★★
●小口泰與
六月や葉書に切手たしにける★★★★
此処のみに日矢射しにけり透百合★★★
何となく机離れず日日草★★★
●谷口博望 (満天星)
杜鵑鳴く声聴きに一走り★★★★
一走りは車でだろう。一走りすれば、杜鵑の声が聞こえる山里がある。私も先日神奈川県の鶴見川源流の泉を訪ねたとき、辺りの山に鳴く杜鵑の声を聴いた。やっと聞けたという思いだった。(高橋正子)
黄鶲や陸軍墓地の桐は実に★★★
凌霄や七十年の放影研★★★
放影研(放射能影響研究所)
●桑本栄太郎
赤瓦屋根の寄り添う里の夏★★★
夏葱や白き砂地に畝の列★★★
夏潮や風の伯耆の発電塔★★★★
●廣田洋一
雨の打つ池に注げる滝の水(原句)
雨の打つ池に注ぐや滝の水★★★★(正子添削)
切れ字の「や」を使うと古風な印象になりますが、「切れ」の効果で、「滝の水」が強くなります。
梅雨空に鈴の音響く宇治神社★★★
万緑の中浮舟の霊宇治に舞ふ★★★
自由な投句箱/6月11日~20日
※当季雑詠3句(夏の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
主宰:高橋正子・管理:高橋信之
◆俳句添削教室◆
http://www.21style.jp/bbs/kakan02
◆俳句日記/高橋正子◆
http://blog.goo.ne.jp/kakan02
今日の秀句/6月11日~20日
6月20日(2句)
★見晴るかす潮の彼方や青岬/桑本栄太郎
見晴るかす潮の向こうに見えるのは、青岬。青岬の見える景色に作者の思いは遥か。(高橋正子)
★木の匙に水饅頭の抵抗す/川名ますみ
「抵抗す」が面白い。木の匙は「切る」働きが弱い。けれど、手触りがあたたく、素朴なのがいい。葛饅頭と戯れの格闘もいいではないか。(高橋正子)
6月19日(2句)
★郭公や今朝は新聞休刊日/小口泰與
郭公の声が今朝はのどかに聞こえる。新聞も休刊日。世の中の喧騒と離れた静かな時間。(高橋正子)
★名勝園沢蟹道を横切りぬ/谷口博望(満天星)
広島の「縮景園」であろうか。私が広大大学院時代に訪ねた「縮景園」を懐かしく思い出す。(高橋信之)
6月18日(2句)
★割り箸の素直に割れて庭涼し/小口泰與
割り箸は、日本人の清潔好きから使われていると聞く。一度限り使う割り箸が抵抗なく割れて、庭の佇まいも風も涼しい。さっぱりとしたところに涼しさが生まれる。(高橋正子)
★郭公や神社の杉の高みより/廣田洋一
郭公の鳴き始めを畑仕事の合図としているところもある。神社の杉の高くで鳴く郭公の声に耳を澄ませば、いろんな思いが湧くであろう。涼しさも、淋しさも。(高橋正子)
6月17日(2句)
★懐かしき川べりの声蛍かな/廣田洋一
昔は川べりで蛍を楽しんだ。今また久しぶりに川べりを通ると昔蛍を楽しんだ声が聞こえる。懐かしさと嬉しさが湧く。(高橋正子)
★放したる目高器を我が物に/小口泰與
目高は、川でなくても、放されたところは、広い水。器のなかであろうと、そこは自由なところ。
(高橋正子)
6月16(2句)
★霊園の山より匂ふ栗の花/谷口博望(満天星)
「栗の花」には、独特な匂いがあって、遠くまで匂う。「霊園」との取り合わせは、更に独特な思いを読み手に与える。(高橋信之)
★激しさは快晴の日のほととぎす/多田有花
四国の松山にかっていた頃は、郊外をよく散策した。松山と高知との県境の山峡を一人歩くのを楽しみにしていた。ほととぎすが声高に鳴くのを聞いた日を懐かしく思う。(高橋信之)
6月15日(2句)
★梅雨空へ黄色いアドバルーンあがる/多田有花
梅雨空のグレーとアドバルーンの黄色の取り合わせが洒落ている。空高く揚がっているアドバルーンの軽さがいい。(高橋正子)
★時鳥こぞりて湖の白き波/小口泰與
時鳥が盛んに鳴き、梅雨時期の風があるのだろう、湖に白波が立っている。時鳥の声が刺さって湖が波立つようだ。(高橋正子)
6月14日
★山盛りの梅の実売らる道の端/廣田洋一
父は徳島の士族の出身で、私は、大阪の生まれだが、母は農家の出身で、妻も農家の出身なので、私は、農家の生活に馴染んできた。「梅の実」も懐かしい。母が自家製の梅干しや沢庵を作ってくれたのを喜んで食べ、育った。(高橋信之)
6月13日
★どんな過去コップの中の夏薊/満天星
コップの中の小さな世界を詠み、その世界を拡げた。作者の内面の世界の拡がりを見せてくれた。(高橋信之)
★鞍馬嶺の容(かたち)確たり梅雨晴間/桑本栄太郎
梅雨の晴間の季節をうまく詠んだ。街中に居て、遥かな「鞍馬嶺」の「容(かたち)確たり」と見た。「晴間」の喜びでもある。(高橋信之)
6月12日
★湖の色忽とかわりし夏座敷/小口泰與
湖の見える夏座敷。湖をずっと眺めているわけではないが、ふと湖に目を遣ると湖の色が変わっている。急に空に黒雲が湧き、夕立が来そうになったのか。変わりやすい天気の様子が見えて面白い。(高橋正子)
6月11日(2句)
★朝曇庭の花ばな仏壇へ/小口泰與
作者の優しさを読む。亡き人を悼む心は、先祖崇拝に繋がる。日本人の原点を見る。(高橋信之)
★あめんぼの流さることに倦みて跳ぶ/桑本栄太郎
俳句らしい俳句であり、しっかりした句である。(高橋信之)
6月11日~20日
6月20日(5名)
●谷口博望(満天星)
夏の月曙色の瀬戸遥か★★★★
夏の月被爆九輪の曲がりたる★★★
百日紅被爆鐘楼傾きぬ★★★
●小口泰與
杳として魔の山見ゆや朴の花★★★
きらきらと湖の光るやバンガロー★★★★
何時までも寝床に居たし時鳥★★★
●廣田洋一
万緑に紫煙たなびく三室戸寺★★★★
三室戸寺朱色際立つ紫陽花かな★★★
梅雨空に金色光る鳳凰堂★★★
●桑本栄太郎
<法要帰省三句>
夏潮や風の伯耆の発電塔★★★
見晴るかす潮の彼方や青岬★★★★
見晴るかす潮の向こうに見えるのは、青岬。青岬の見える景色に作者の思いは遥か。(高橋正子)
法要の父の話題や父の日に★★★
●川名ますみ
木の匙に水饅頭の抵抗す★★★★
「抵抗す」が面白い。木の匙は「切る」働きが弱い。けれど、手触りがあたたく、素朴なのがいい。葛饅頭と戯れの格闘もいいではないか。(高橋正子)
日の沈み紫陽花と空同じ碧★★★
紫陽花と日の沈みたる空の碧★★★
6月19日(5名)
●廣田洋一
葉の合間ぽつぽつ光る蛍かな★★★
あっちだよ指差す先に蛍かな★★★★
蛍園子の泣き止まぬ闇深し★★★
●小口泰與
郭公や今朝は新聞休刊日★★★★
郭公の声が今朝はのどかに聞こえる。新聞も休刊日。世の中の喧騒と離れた静かな時間。(高橋正子)
ぬか雨にばら崩れけり鳥の声★★★
薫風や燻製どれも川の物★★★
●谷口博望(満天星)
朝練の子の息荒く時計草★★★
名勝園沢蟹道を横切りぬ★★★★
広島の「縮景園」であろうか。私が広大大学院時代に訪ねた「縮景園」を懐かしく思い出す。(高橋信之)
黄鶲や曙色に瀬戸の海★★★
●高橋信之
鶴見川源流
源流の涼しさに立ちわが旅よ★★★★
鶴見川の源流の泉は、源流の泉のひろばとなっている。たしかに泉は平らかに湧き、澄んだ水は流れでて
立っているだけで涼しい。小さな旅だが、旅と泉は、ドイツ的なイメージだ。(高橋正子)
泉湧く喜び胸に泉去る★★★
蟻が這うどの蟻も親しと思う★★★
●高橋正子
源流の泉のかたち丸くあり★★★★
「泉のかたち」を「丸く」とした素直な表現は、率直な表現であるが、まさに的確な表現である、といってよい。丸く、とは完結を意味する丸い円のことでもある。ものの初めは丸い。(高橋信之)
源流の泉一羽の鴨が住み★★★
源流を流れ出し水植田まで★★★
6月18日(3名)
●谷口博望(満天星)
天仰ぐ亀凝然と杜若★★★
ビオトープのせせらぐ音やあめんぼう★★★★
カヤックの立つて手を振る夏の川★★★
●小口泰與
打ちつけに子犬吠えけり浦島草★★★
割り箸の素直に割れて庭涼し★★★★
割り箸は、日本人の清潔好きから使われていると聞く。一度限り使う割り箸が抵抗なく割れて、庭の佇まいも風も涼しい。さっぱりとしたところに涼しさが生まれる。(高橋正子)
竹落葉我は足より衰えし★★★
●廣田洋一
郭公の声に追われる畑仕事★★★
人影の消えし畑の閑古鳥★★★
郭公や神社の杉の高みより★★★★
郭公の鳴き始めを畑仕事の合図としているところもある。神社の杉の高くで鳴く郭公の声に耳を澄ませば、いろんな思いが湧くであろう。涼しさも、淋しさも。(高橋正子)
6月17日(3名)
●谷口博望(満天星)
花菖蒲毛利元就ゆかりの地★★★
競水の母子像の背を濡らしをり★★★★
被爆川どろ舟浮いて翡翠来★★★
●廣田洋一
お堀端石垣照らす蛍かな★★★
源平の争わず飛ぶ蛍かな★★★
懐かしき川べりの声蛍かな★★★★
昔は川べりで蛍を楽しんだ。今また久しぶりに川べりを通ると昔蛍を楽しんだ声が聞こえる。懐かしさと嬉しさが湧く。(高橋正子)
●小口泰與
棚田へと水重なるや四十雀★★★
放したる目高器を我が物に★★★★
目高は、川でなくても、放されたところは、広い水。器のなかであろうと、そこは自由なところ。
(高橋正子)
支え立つ鉄塔のよう滝落つる★★★
6月16日(4名)
●谷口博望(満天星)
霊園の山より匂ふ栗の花★★★★
「栗の花」には、独特な匂いがあって、遠くまで匂う。「霊園」との取り合わせは、更に独特な思いを読み手に与える。(高橋信之)
いにしへの刑場跡へ梔子の香★★★
やまももやにじむ夕日はビルの端に★★★
●多田有花
夏燕ビルの谷間を旋回す★★★
激しさは快晴の日のほととぎす★★★★
四国の松山にかっていた頃は、郊外をよく散策した。松山と高知との県境の山峡を一人歩くのを楽しみにしていた。ほととぎすが声高に鳴くのを聞いた日を懐かしく思う。(高橋信之)
頂を鳴きつつ飛び立つほととぎす★★★
●小口泰與
青胡桃河原の石に嵌りけり★★★★
火の山の裾野は佐久や夏ひばり★★★
見逃しの三振の子や蝉の殻★★★
●廣田洋一
夕焼けの空を横切る戦闘機★★★★
ビルの窓過ぎ行く度に夕焼濃し★★★
夕焼けや母の呼ぶ声重なりぬ★★★
6月15日(5名)
●谷口博望(満天星)
車足の老犬我へアマリリス★★★
山深くかるがも親子川の中(原句)
かるがもの親子深山の夏川に★★★★(正子添削)
白鷺の田圃の中に佇みぬ★★★
●多田有花
満々と水をたたえて梅雨入の田★★★
町内会花壇植替え梅雨晴間★★★
梅雨空へ黄色いアドバルーンあがる★★★★
梅雨空のグレーとアドバルーンの黄色の取り合わせが洒落ている。空高く揚がっているアドバルーンの軽さがいい。(高橋正子)
●小口泰與
心せし山の梅雨寒あわず済む★★★
夕暮の薔薇散る心憎かりし★★★
時鳥こぞりて湖の白き波★★★★
時鳥が盛んに鳴き、梅雨時期の風があるのだろう、湖に白波が立っている。時鳥の声が刺さって湖が波立つようだ。(高橋正子)
●廣田洋一
東北絆まつり
東北の御魂をつなぐ踊りかな★★★
太鼓打ち裳裾をはねるさんさ踊り★★★★
踊り子のしなやかな手に見惚れたり★★★
●桑本栄太郎
茄子畑の支柱アーチの並びけり★★★★
遠き日の想い出今に枇杷熟るる★★★
あとすざりこの世地獄と知りしより★★★
6月14日(4名)
●谷口博望 (満天星)
沙羅咲いてフリルの女バスを待つ★★★★
簪をひとつ添えたし花菖蒲★★★
磴登る喪服の人や栗の花★★★
●多田有花
<日光の旅三句>
夏の夕静かに田母沢御用邸★★★
青葉して創業の地の金谷ホテル★★★★
金色(こんじき)の溢れ薄暑の陽明門★★★
小口泰與
新緑やダム放流の硬き水★★★★
新緑や残雪のこる照葉峡★★★
日曜日起床うながす時鳥★★★
●廣田洋一
山盛りの梅の実売らる道の端★★★★
父は徳島の士族の出身で、私は、大阪の生まれだが、母は農家の出身で、妻も農家の出身なので、私は、農家の生活に馴染んできた。「梅の実」も懐かしい。母が自家製の梅干しや沢庵を作ってくれたのを喜んで食べ、育った。(高橋信之)
青梅の雫光れる雨上がり★★★
青梅を落とした後の赤き屋根★★★
●桑本栄太郎
アパートの影の水面や青田晴れ★★★★
あとずさりこの世地獄と知りしより★★★
雨を乞う色の四葩となりにけり★★★
6月13日(4名)
●満天星
葉と茎と花の哀しき夏薊★★★
夏薊どこかの国の夕陽色★★★
どんな過去コップの中の夏薊★★★★
コップの中の小さな世界を詠み、その世界を拡げた。作者の内面の世界の拡がりを見せてくれた。(高橋信之)
●小口泰與
新緑や瀬音と共に鳥の声★★★★
萬緑やダムの放流藤原湖★★★
老鶯や森を映せる奈良俣湖★★★
●廣田洋一
連勝の大志を乗せる扇子かな★★★
通勤の鞄に一つ扇子入れ★★★★
白檀の香りゆかしき扇子かな★★★
●桑本栄太郎
鞍馬嶺の容(かたち)確たり梅雨晴間★★★★
梅雨の晴間の季節をうまく詠んだ。街中に居て、遥かな「鞍馬嶺」の「容(かたち)確たり」と見た。「晴間」の喜びでもある。(高橋信之)
あじさいの水面に浸かり高瀬川★★★
太宰忌のせりふ最後に「グッドバイ」★★★
6月12日(4名)
●小口泰與
湖の色忽とかわりし夏座敷★★★★
湖の見える夏座敷。湖をずっと眺めているわけではないが、ふと湖に目を遣ると湖の色が変わっている。急に空に黒雲が湧き、夕立が来そうになったのか。変わりやすい天気の様子が見えて面白い。(高橋正子)
夕暮の渓流釣りや一夜酒★★★
老鶯や田水に映る山の木々★★★
●谷口博望 (満天星)
噴水の大気の中に水おどる★★★
昼餉の子泰山木の花の下★★★★
屋根瓦拾ふ人々夏の川★★★
●廣田洋一
葭簀立て海水浴の白昼夢★★★
水をかけ風待ちしたる葭簀かな★★★★
脱衣所にためらう乙女葭簀小屋★★★
●桑本栄太郎
尺蠖の枝の余りて躊躇いぬ★★★
歩みゆき命急ぐや天道虫★★★
沙羅の花咲いて闇夜と知りにけり★★★★
6月11日(4名)
●小口泰與
朝曇庭の花ばな仏壇へ★★★★
作者の優しさを読む。亡き人を悼む心は、先祖崇拝に繋がる。日本人の原点を見る。(高橋信之)
夏料理鳥語瀬音とありにけり★★★
あの頃の夜行列車や月見草★★★
●廣田洋一
乙女らの円錐描く夏の脚★★★
腐葉土の草より出でし蛍かな★★★
マスターの泳ぎ促す声高し★★★★
●谷口博望 (満天星)
クレーンの後ろに出たり入道雲★★★★
晩鐘や翡翠を見に河原まで★★★
傾きて頭でつかち百合の花★★★
●桑本栄太郎
あめんぼの流さることに倦みて跳ぶ★★★★
俳句らしい俳句であり、しっかりした句である。(高橋信之)
夾竹桃風の一枝となりにけり★★★
蜘蛛の子や千の未来へつなぐ糸★★★