今日の秀句/10月1日~10日

10月10日(1句)
★境内に鶏頭きれいに並び咲く/多田有花
境内の地面は固く、きれいに掃かれているだろう。そこに鶏頭がきれいに列をなして咲いている。境内の清潔さと鶏頭のあでやかさが目に残る。(髙橋正子)
10月9日(1句)
★添水の音奥の林に吸はれけり/廣田洋一
添水の鳴る音がそのあたりだけでなく、奥の林に吸われていく森閑としたところ。音と景色に奥行きがあって、より静かさが深まる句。(髙橋正子)
10月8日(1句)
★あけぼのの庇かたかた小鳥來る/小口泰與
小鳥らの朝は早い。あけぼのの庇をかたかたと鳴らして小鳥が歩く。「小鳥来る」は、「遠方より友来たり」の嬉しさに似る。(髙橋正子)
10月7日(1句)
★零余子飯焚けて土の香匂い居り/桑本栄太郎
零余子飯の素朴さはじみじみとして味わい深い。土の匂いのような香りに、秋の深まりを感じる。(髙橋正子)
10月6日(1句)
★コスモスの咲くや朝露宿しつつ/多田有花
朝露を宿したコスモスは、露の重さで花が少し枝垂れる。秋冷の朝の空気が肌に感じられるような句。(髙橋正子)
10月5日(1句)
★また咲きし金木犀や暁の風/小口泰與
金木犀が咲くころの暁がいい。一度散った金木犀が、思い出したように咲き、暁の風に匂いが流れる。精神の静かさが感じられる句だ。(髙橋正子)
10月4日(1句)
★コスモスや濃きも薄きもとりどりに/多田有花
あちらこちらに、コスモスが濃い紅色、淡い紅色、ピンク、白と混ざりあって咲いている。色とりどりの淡い色調と可憐な花姿がこそがコスモスらしさ。あたり前の光景をそのまま詠んで衒いがないのがいい。(髙橋正子)

10月3日(1句)
★茸飯味はひ尽くす夜のとばり/廣田洋一
夜のとばり中で食べる茸飯。味わい尽くすほどの茸飯は、松茸が入っていそう。親しい人たちが囲む温かい食事風景が彷彿される。(髙橋正子)
10月2日(1句)
★奔放に風にまみれてコスモス咲く/多田有花
コスモスが群れて風に吹かれる様子は、自由であり、奔放である。優しい雰囲気の花も実は強靭な茎と根に支えられている。風にまみれて咲くコスモスはこの花の本領を発揮しているようである。(髙橋正子)
10月1日(1句)
★誰とはなしに感謝を込めて赤い羽根/廣田洋一
赤い羽根に象徴される共同募金は、あらましを述べると、
「戦後、民間の社会福祉施設などに対する財政補填のために行われていた民間の募金活動を制度化したもの。共同募金の期間は10月1日から3月31日までとなっている。今日では各都道府県に設立された共同募金会が実施主体となって、社会福祉を目的とする様々な事業活動に幅広く配分されるようになっている。」と厚生労働省のホームページにある。
戦後もすでに長い。今の幸せに感謝して、この幸せが誰によると特定できるものでもなく、誰とはなしに感謝したい人間的なやさしい心。さらりとした詠み方がいい。(髙橋正子)

10月1日~10日

10月10日(3名)
小口泰與
稲架の先黄金の波や佐久平★★★
分前を野猿も欲しや山葡萄★★★★
秋の日やベランダに干すカーペット★★★
廣田洋一
あたり一面黄色く染めし金木犀★★★
温め酒父の遺せし九谷焼★★★
居酒屋に残る昭和や温め酒★★★★
多田有花
この先は袋小路よ柿紅葉★★★
境内に鶏頭きれいに並び咲く★★★★
境内の地面は固く、きれいに掃かれているだろう。そこに鶏頭がきれいに列をなして咲いている。境内の清潔さと鶏頭のあでやかさが目に残る。(髙橋正子)
えのころやころころ日差しと遊びおり★★★
10月9日(3名)
小口泰與
トンネルを出づや蒼空初紅葉★★★★
俯すごとく巫女の正座や稲光★★★
今日もまた同じ草へと蜻蛉かな★★★
多田有花
洋酒入りのチョコレートを買う寒露★★★
地を這いて咲く朝顔の濃紫★★★
快晴が続くよ萩の花こぼれ★★★★
廣田洋一
花膨らみ香りの強し金木犀★★★
添水鳴る佇みて待つ次の音★★★
添水の音奥の林に吸はれけり★★★★
添水の鳴る音がそのあたりだけでなく、奥の林に吸われていく森閑としたところ。音と景色に奥行きがあって、より静かさが深まる句。(髙橋正子)
10月8日(3名)
廣田洋一
畦道の緑濃きかな刈田原★★★★
群雀出入り忙しき刈田かな★★★
稔田に隣る刈田よ雀の声★★★
小口泰與
あけぼのの庇かたかた小鳥來る★★★★
小鳥らの朝は早い。あけぼのの庇をかたかたと鳴らして小鳥が歩く。「小鳥来る」は、「遠方より友来たり」の嬉しさに似る。(髙橋正子)
広芝を刈り込む吾や放屁虫★★★
山峡の大庇より花すすき★★★
多田有花
秋の薔薇朝日のほんに眩しそう★★★★
見上げれば紫式部坂の上★★★
また一夜が明け酔芙蓉の花に★★★
10月7日(4名)
小口泰與
秋蝶の旅の途中や丘の園★★★
団栗を踏みつつ登る峠道★★★★
榧の実のぱらぱら落つや鳥の声★★★
廣田洋一
温め酒控へ目にてふ子らの声★★★
人肌が自慢の女将温め酒★★★
百薬の長と言挙げ温め酒★★★
桑本栄太郎
とんぼうの鳩吹く風に流れけり★★★
秋簾越しの青空何処までも★★★
零余子飯焚けて土の香匂い居り★★★★
零余子飯の素朴さはじみじみとして味わい深い。土の匂いのような香りに、秋の深まりを感じる。(髙橋正子)

多田有花

丈高き紫苑畑の一画に★★★
青空にこの色生らせ柿百個★★★
薄の穂白く大きく空に届く★★★★
10月6日(4名)
小口泰與
お変わりの声の高きや今年米★★★★
飛来せるアサギマダラや藤袴★★★
鵯の声枝から枝へ離れ澄む★★★
廣田洋一
お茶会の静寂を破る添水かな★★★
講演の間合ひをはかりばったんこ★★★
何気なく入りたる庭に添水聞く★★★
桑本栄太郎
今朝も又定時に鳴りぬ威し銃★★★
白壁の民家の庭や柿の秋★★★
次々に枝を吹き上げ萩の風★★★
多田有花
コスモスの咲くや朝露宿しつつ★★★★
朝露を宿したコスモスは、露の重さで花が少し枝垂れる。秋冷の朝の空気が肌に感じられるような句。(髙橋正子)
カンカンと踏切の音白粉★★★
洗われて輝く車秋高し★★★
10月5日(4名)
小口泰與
小鳥来ぬ蔵書一切寄贈せり★★★
飛来せる秋蝶数多凪の園★★★
また咲きし金木犀や暁の風★★★★
金木犀が咲くころの暁がいい。一度散った金木犀が、思い出したように咲き、暁の風に匂いが流れる。精神の静かさが感じられる句だ。(髙橋正子)
廣田洋一
電車より見下ろす刈田黒々と★★★
鳥除けの凧の残れる刈田かな★★★
団栗ところころ遊ぶ風柔し★★★★
多田有花
路地ゆけば小さき庭の初紅葉★★★★
乱れ咲くことも約束秋ざくら★★★
秋の朝いつものように野良仕事★★★
桑本栄太郎
秋日さす日差し眩しきバスの窓★★★
稲穂垂る各停駅のすぐに傍に★★★
秋澄むやテニスコートの弾む音★★★
10月4日(4名)
小口泰與
干上がりて皴の田圃の晩稲かな★★★
頂上や秋風わかつ鳥の声★★★
嬬恋の大庇より秋の鷹★★★
廣田洋一
目につきし菌炊き込み夕餉かな★★★
出張より帰宅せし子に菌飯★★★
二枚だけ刈田となりし日曜日★★★★
多田有花
朝日まず秋明菊に差しにけり★★★
コスモスや濃きも薄きもとりどりに★★★★
あちらこちらに、コスモスが濃い紅色、淡い紅色、ピンク、白と混ざりあって咲いている。色とりどりの淡い色調と可憐な花姿がこそがコスモスらしさ。あたり前の光景をそのまま詠んで衒いがないのがいい。(髙橋正子)
熟れ柿のうしろは雲無き青空★★★
桑本栄太郎
秋蝶の舞い昇りたる素十の忌★★★
藤袴アサギマダラの乱舞かな★★★
うろこ雲の染まる茜や嶺の夕★★★
10月3日(4名)
小口泰與
身に入むや利根の川風身の内へ★★★
鶺鴒の発止と餌を咥えけり★★★
仏壇へ日の差し込みし秋うらら★★★
廣田洋一
秋天一碧吟行日和かな★★★
毒茸見つけて友の寄り来たり★★★
茸飯味はひ尽くす夜のとばり★★★★
夜のとばり中で食べる茸飯。味わい尽くすほどの茸飯は、松茸が入っていそう。親しい人たちが囲む温かい食事風景が彷彿される。(髙橋正子)
多田有花
朝の月細く未明の空にあり★★★
稲刈りによき週末の快晴よ★★★★
池に枝伸ばす楓の薄紅葉★★★
桑本栄太郎
バスを待つ間にも漂う金木犀★★★
孫よりのお誘い来たる運動会★★★
蛇笏忌の小さく彼方に放れ雲★★★
10月2日(4名)
廣田洋一
明星の光りとがりて夜寒かな★★★★
帰り来て夜寒の風呂を沸かしけり★★★★
一籠に一本きりの茸売場★★★
小口泰與
からからと莢豆風に吹かれけり★★★★
秋晴や天気予報の中りたる★★★
と言いて鮭を釣り上ぐ子供かな
多田有花
菊供えられ合掌のマリア像★★★★
奔放に風にまみれてコスモス咲く★★★★
コスモスが群れて風に吹かれる様子は、自由であり、奔放である。優しい雰囲気の花も実は強靭な茎と根に支えられている。風にまみれて咲くコスモスはこの花の本領を発揮しているようである。(髙橋正子)
十月や漢方薬の香のあふれ★★★
桑本栄太郎
乙訓は風の丘とや大花野★★★
京なれや畑に植えらる藤袴★★★★
コスモスの甍きらめく山の里★★★
10月1日(3名)
小口泰與
渓声の聞こゆ林道秋日澄む★★★
古井戸へ石を落とすや秋の風★★★
聞え来る鐘つく音や秋の暮★★★
廣田洋一
誰とはなしに感謝を込めて赤い羽根★★★★
赤い羽根に象徴される共同募金は、あらましを述べると、
「戦後、民間の社会福祉施設などに対する財政補填のために行われていた民間の募金活動を制度化したもの。共同募金の期間は10月1日から3月31日までとなっている。今日では各都道府県に設立された共同募金会が実施主体となって、社会福祉を目的とする様々な事業活動に幅広く配分されるようになっている。」と厚生労働省のホームページにある。
戦後もすでに長い。今の幸せに感謝して、この幸せが誰によると特定できるものでもなく、誰とはなしに感謝したい人間的なやさしい心。さらりとした詠み方がいい。(髙橋正子)
駅出でて一足ごとに夜寒かな★★★★
久し振り子らの来訪茸飯★★★
桑本栄太郎
天空の雲の奔るりぬ野分晴れ★★★
銀翼の天にきらめき秋晴るる★★★★
十月や終生変わらぬシンパシー★★★

■自由な投句箱/9月21日~30日 ■

※当季雑詠3句(秋の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。
代表:高橋正子・管理:高橋信之

今日の秀句/9月21日~30日

9月30日(1句)
★よき日和腰赤燕も去りにけり/多田有花
葉月は別名燕去月とも呼ばれるようで、燕が去る季節でもある。燕の生態に詳しくはないが、燕の去るときは、外敵から身を守るため、小雨や曇の日、日が落ちてから空高く舞い上がり飛んで行くとのこと。腰赤燕は、繁殖のために九州以北、西日本で夏を過ごし子燕とともに南へ帰る。この句では、腰赤燕もすっかり旅立った様子がうかがえる。そんな日和である。穏やかな、真実よい日和であることが嬉しい。(髙橋正子)
9月29日(1句)
★快晴のすすき光るだけ光り/多田有花
「光るだけ光り」に頷く。快晴の青空からの光は強く、すすきの穂に陰影さえ作らない。すすきの輝く穂が美しい。(髙橋正子)
9月28日(2句)
★掛け終えし稲架は赤城を隠しけり/小口泰與
普段はいつも見えている赤城山。稲を掛けおえた稲架は高くなり、赤城山を隠してしまった。赤城を隠すほどの豊かな実り稲が、視線の通る景色を変えた面白さ。(髙橋正子)
★泉水の傍らに揺れ萩の花/多田有花
萩の小さな花と揺れやすい枝が泉水の水の様子と重なり合って、静かでやさしい景色を見せてくれている。(髙橋正子)
9月27日(1句)
★蒼天の村の梢や鵙高音/桑本栄太郎
秋晴の雲一つない青空が広がる村。村の梢からは鵙の高鳴く声が聞こえる。蒼天を抜ける鵙の声に、村は秋またっだ中。(髙橋正子)
9月26日(1句)
★白粉花や一夜の明けて清々し/多田有花
白粉花は、夕方四時ごろ開き芳香を放ち、翌朝まで咲いて午前中にはしぼむ。一夜が明けると、夜気に触れた花は、覚めたような清々しさとなっている。上品な芳香があるせいか、白粉花ならでの風情と言える。(髙橋正子)
9月25日(1句)
★句碑に添い枝垂桜の初紅葉/多田有花
句碑の傍に添うように枝垂桜が植えられ、うっすらと紅葉している。春は花を、夏は木陰を、秋には紅葉をと枝垂桜が句碑に趣を添えている。今は初めて紅葉を見る季節になったのだ。(髙橋正子)
月24日(2句)
★煽られてとんぼ飛び行く風の朝/桑本栄太郎
とんぼが風に煽られて飛んでゆく。それも風が吹く朝のこと。「風の朝」のとんぼが透き通って見える。(髙橋正子)
★裏戸開けすぐの畑に大根蒔く/多田有花
大根は野菜のなかでも日本人にとっては昔からの生活に密着した野菜。芽生えやすく、土をよく作っておけばよく育つ。裏戸を開けてすぐの畑に蒔いたりする。(髙橋正子)
9月23日(1句)
★ふるさとの今年米買ふ夕べかな/廣田洋一
「夕べかな」の詠嘆がよく効いている。ふるさとは懐かしいもの。ましてそこで出来た新米は心の底からほのぼのとした嬉しさを湧き上がらせてくれる。人恋しさのつのる秋の夕べには特に。(髙橋正子)
9月22日(1句)
★一心に鳴く蟋蟀の厨かな/小口泰與
夜も更けて来ると静まった厨で蟋蟀が鳴き続ける。「一心に」としか言いようのないような鳴き方に、秋の夜のわびしさが募る。(髙橋正子)
9月21日(1句)
★時おりは白きもありて曼珠沙華/多田有花
あちこちの曼珠沙華を見ていると、時には白い曼珠沙華に出会うこともある。燃え立つ赤い曼珠沙華の中の少しの白曼珠沙華は赤とは違う世界を感じさせ、それもいい。(髙橋正子)

9月21日~30日

9月30日(4名)
廣田洋一
熱々の番茶を酌みし夜寒かな★★★
休業の張り紙を見る夜寒かな★★★
大切に籠に入れられ菌かな★★★
小口泰與
誘われて犇めく蝶や藤袴★★★
沛然と雨や湖畔の秋桜★★★
大沼の波も静かや山粧う★★★
多田有花
ここは白あちらは桃色貴船菊★★★
よき日和腰赤燕も去りにけり★★★★
葉月は別名燕去月とも呼ばれるようで、燕が去る季節でもある。燕の生態に詳しくはないが、燕の去るときは、外敵から身を守るため、小雨や曇の日、日が落ちてから空高く舞い上がり飛んで行くとのこと。腰赤燕は、繁殖のために九州以北、西日本で夏を過ごし子燕とともに南へ帰る。この句では、腰赤つばめもすっかり旅立った様子がうかがえる。そんな日和である。穏やかな、真実よい日和であることが嬉しい。(髙橋正子)
その先は河原へ続くすすきかな★★★★
桑本栄太郎
朝顔の種の乾ぶるフェンスかな★★★
ぎんなんの黄色襤褸や図書館前★★★
一木へ塒すずめの九月尽★★★
9月29日(4名)
小口泰與
水切りの五つ数ぞうや秋の虹★★★
名にし負うチャッボミ苔や露の玉★★★
秋の野や望遠レンズ肩にかけ★★★
廣田洋一
天心の半月白き朝ぼらけ★★★
駅中のピアノ鳴りたる秋の昼★★★
理髪師の母となりたる秋の昼★★★
多田有花
夕闇の迫る速さや秋半ば★★★
朝ごとに夕ごとに刈田増えてゆく★★★
快晴のすすき光るだけ光り★★★★
「光るだけ光り」に頷く。快晴の青空からの光は強く、すすきの穂に陰影さえ作らない。すすきの輝く穂が美しい。(髙橋正子)
桑本栄太郎
乙訓の丘の風呼ぶ草もみじ★★★
咲き残る花のありたり萩は実に★★★
朝日さす穂の金色やゑのこ草★★★
9月28日(4名)
小口泰與
掛け終えし稲架は赤城を隠しけり★★★★
普段はいつも見えている赤城山。稲を掛けおえた稲架は高くなり、赤城山を隠してしまった。赤城を隠すほどの豊かな実り稲が、視線の通る景色を変えた面白さ。(髙橋正子)
去ぬ燕洞の石仏黙のまま★★★
山道のバスを包みし霧襖★★★
廣田洋一
肌寒し明の明星光りをり★★★
肌寒し上着を取りに戻りけり★★★
秋空にすそ野広がる富士の山★★★★
多田有花
単線の鉄路に沿いて彼岸花★★★
高らかに始動の朝や稲刈機★★★★
泉水の傍らに揺れ萩の花★★★★
萩の小さな花と揺れやすい枝が泉水の水の様子と重なり合って、静かでやさしい景色を見せてくれている。(髙橋正子)
桑本栄太郎
月代や詠い尽くせず眺め居り★★★
穭田や風の色なす大原野★★★
添水鳴る山風つづく天龍寺★★★★
9月27日(4名)
小口泰與
木道の果てや銀漢澄みにける★★★★
雨粒の蕊に列なす曼殊沙華★★★
曲がり行く貨物列車や雁の列★★★
廣田洋一
明星や三日月かかる夕間暮れ★★★
秋天に高層ビルの窓光る★★★
秋の雲流れ流れて古都の海★★★★
多田有花
朝の月稜線にいま沈みゆく★★★
朝の陽に光りしものは薄なり★★★
今朝晴れて鵙の高音の聞こえ初む★★★★
桑本栄太郎
紅葉初む葉より落ちたり唐楓★★★
病院の庭の明るく秋日差す★★★
蒼天の村の梢や鵙高音★★★★
秋晴の雲一つない青空が広がる村。村の梢からは鵙の高鳴く声が聞こえる。蒼天を抜ける鵙の声に、村は秋またっだ中。(髙橋正子)
9月26日(4名)
小口泰與
窓開くや微かにながる金木犀★★★
木道の蛇行や尾瀬の草紅葉★★★
農機具を小屋に仕舞いし鰯雲(原句)
「仕舞いし」の「し」は、過去の助動詞「き」の連体形なので、鰯雲を修飾し、口語で表現すれば、「農機具を小屋に仕舞った鰯雲」となります。(髙橋正子)
鰯雲小屋に農機具仕舞われし★★★★(正子添削)
廣田洋一
貝殻の塔を立ち上げ秋彼岸★★★
義妹の墓も洗ひし秋彼岸★★★★
薄雲の覆ひたる墓地や秋彼岸(原句)
薄雲の覆へる墓地や秋彼岸★★★(正子添削)
多田有花
本堂の上に広がり羊雲★★★★
白粉花や一夜の明けて清々し★★★★
白粉花は、夕方四時ごろ開き芳香を放ち、翌朝まで咲いて午前中にはしぼむ。一夜が明けると、夜気に触れた花は、覚めたような清々しさとなっている。上品な芳香があるせいか、白粉花ならでの風情と言える。(髙橋正子)
艶なれど俗にはあらじ秋の薔薇★★★
桑本栄太郎
歩みつつ畦道撮るや彼岸花★★★
鶏頭の供花の植えらる辻地蔵★★★★
そう云えば今朝は聞かざる秋の蝉★★★
9月25日(5名)
廣田洋一
秋うらら亀渡り行く滑走路★★★★
秋彼岸車治して墓参り★★★
野菜売場明るくしたる馬鈴薯かな★★★
多田有花
三回忌彼岸の寺へ向かいけり★★★
法要の寺には白き彼岸花★★★
句碑立ちぬ枝垂桜の初紅葉(原句)
句碑に添い枝垂桜の初紅葉★★★★(正子添削)
句碑の傍に添うように枝垂桜が植えられ、うっすらと紅葉している。春は花を、夏は木陰を、秋には紅葉をと枝垂桜が句碑に趣を添えている。今は初めて紅葉を見る季節になったのだ。(髙橋正子)
小口泰與
線香の煙かたむき稲光★★★
臈たけし寺の白菊盛りかな★★★★
コスモスの叢を統べたり山の風★★★
桑本栄太郎
うす闇の朝の静寂やつづれさせ★★★
椎の実の笑みて弾ける予感かな★★★
来て見ればすでに刈田や大原野★★★★
川名ますみ
撫子の折りたたまれし花弁咲く★★★
撫子のひとたたみよりひらきそむ★★★
桔梗の莟にわれめ入りし朝★★★★
9月24日(4名)
小口泰與
庭草を刈りて蜻蛉の寄る辺なし★★★
来世また蜂の子飯を君と食む★★★
田の色の田ごと違(たが)う渓の風★★★
廣田洋一
残月や雲を払ひて照らしをり★★★
団栗の毬を抜け出し道の端★★★
どんぐりころころ道を渡りけり★★★★
桑本栄太郎
畦一面爛れたるかに彼岸花★★★
煽られてとんぼ飛び行く風の朝★★★★
とんぼが風に煽られて飛んでゆく。それも風が吹く朝のこと。「風の朝」のとんぼが透き通って見える。(髙橋正子)
来て見れば今朝は刈田や風の丘★★★
多田有花
快晴のこれが秋分の日差し★★★
立待月洗い髪にて見上げおり★★★
裏戸開けすぐの畑に大根蒔く★★★★
大根は野菜のなかでも日本人にとっては昔からの生活に密着した野菜。芽生えやすく、土をよく作っておけばよく育つ。裏戸を開けてすぐの畑に蒔いたりする。(髙橋正子)
 
9月23日(4名)
小口泰與
稲妻の青眼の太刀浴びにけり★★★
二千キロ翔る途中や藤袴★★★
ライト点け山小屋を出づ星月夜★★★★
多田有花
十六夜やほのかに雲を纏いおり★★★
彼岸花に揚羽蝶が来ている★★★
鐘楼の上に広がり秋の空★★★★
廣田洋一
新米の豊かな甘み嚙みしめる★★★
ふるさとの今年米買ふ夕べかな★★★★
「夕べかな」の詠嘆がよく効いている。ふるさとは懐かしいもの。ましてそこで出来た新米は心の底からほのぼのとした嬉しさを湧き上がらせてくれる。人恋しさのつのる秋の夕べには特に。(髙橋正子)
田舎道雅にみせる実紫★★★
桑本栄太郎
街中を抜けて田道へつづれさせ★★★
歩みゆき無人店にて秋なすび★★★
秋分の日差し眩しく濯ぎもの★★★
9月22日(4名)
小口泰與
丁寧に芝刈る吾やきりぎりす★★★
白波の岸を離るる渡り鳥★★★
一心に鳴く蟋蟀の厨かな★★★★
夜も更けて来ると静まった厨で蟋蟀が鳴き続ける。「一心に」としか言いようのないような鳴き方に、秋の夜のわびしさが募る。(髙橋正子)
廣田洋一
名月や一目確かめ酒を酌む★★★
名月や見とれていたる道の端(原句)
名月や見とれて立てる道の端★★★★(正子添削)
ご自分の姿がはっきりするように添削しました。
満月に負けずに光る明星かな★★★
多田有花
名月がはや山の端を離れたり★★★
両側に曼珠沙華咲く道をゆく★★★★
次々と犬連れし人秋の朝★★★
桑本栄太郎
名月や孫の写メール拝み居り★★★
香り来る匂いに気付く銀木犀★★★★
哀しみの色とし思う水木の実★★★
9月21日(4名)
多田有花
底紅や今朝も変わらずその家に★★★
秋野菜いろいろ入れてカレーを作る★★★
時おりは白きもありぬ曼珠沙華(原句)
「ありぬ」と完了(~た、~してしまった)にするより、今、赤も白もあるとする方が景色がよく見える思います。
時おりは白きもありて曼珠沙華★★★★(正子添削)
あちこちの曼珠沙華を見ていると、時には白い曼珠沙華に出会うこともある。燃え立つ赤い曼珠沙華の中の少しの白曼珠沙華は赤とは違う世界を感じさせ、それもいい。(髙橋正子)
小口泰與
迫り来るコスモスの群雨の鶏屋★★★
正眼に構えし太刀や秋燕★★★
お早うと同時や秋茄子賜りし★★★★
廣田洋一
新米や名は福笑い福島産★★★
一片の雲も見えずに月上る★★★★
後から吾につき来る名月かな★★★
桑本栄太郎
吾が影の長き刈田や田道行く★★★★
宵闇の雲をやきもき月今宵★★★
風雨など負けぬ気概や賢治の忌★★★

■自由な投句箱/9月11日~20日 ■

※当季雑詠3句(秋の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。
代表:高橋正子・管理:高橋信之

今日の秀句/9月11日~20日

9月20日(1句)
★草刈られ畦を彩る彼岸花/桑本栄太郎
草は彼岸花を残して刈られたのか、刈った後に彼岸花が茎を伸ばしたのか。すっきりと草が刈られ、畦に彼岸花が咲く景色は日本の秋のすがすがしさ。(髙橋正子)
9月19日(1句)
★竹筒に挿せし尾花の抜きん出づ/小口泰與
野趣ある竹の花筒に尾花を挿すと、やはりすらりと丈高い尾花は、抜きんでて野の風を呼んでいるよう。(髙橋正子)
9月18日(1句)
★秋鯖をこんがり焼きて青き皿に/廣田洋一
秋鯖は脂がのっておいしい。こんがりと焼いて青い皿に載せた。青い皿は海の色にも思え、こんがり焼けた秋鯖が食欲を誘う。(髙橋正子)
9月17日(1句)
★秋晴や大きく開く漕艇庫/小口泰與
秋晴にボートをしまっている倉庫が大きく開かれ、さわやかな空気を取り込んでいる。早速にでもボートを海や湖に漕ぎ出す人たちがいるのだろう。秋晴の下の開放的な景色が快い。(髙橋正子)
9月16日(2句)
★北斎も描きし鮭や切り身にす/廣田洋一
北斎の「椿と鮭の切り身」画は北斎が81歳のときに画かれた肉筆画とのこと。椿との取り合わせも珍しいが、鮭の切り身の画も美味そうで洒脱。その画を思いながら、手元に現実の鮭の切り身。これも美味そう。(髙橋正子)
★健診の帰りは徒歩や爽やかに/桑本栄太郎
自分の体がすこやかであるのは、嬉しい。健診で問題がなかったのであろう。帰りの徒歩の道は爽やかに。句柄も爽やか。(髙橋正子)
9月15日(1句)
★猪罠のひとつがでんと叢に/多田有花
猪が里山やはては里に下りて来て畑を荒らす害が出ている。罠をかけて捕獲したり、銃で撃ったりと、堂々と駆除が行われている。叢に「でんと」罠が仕掛けられ、あまりに明らかで、あっけらかんとした捕獲の罠。(髙橋正子)
9月14日(1句)
★朝日受く畦一列の曼珠沙華/小口泰與
「朝日受く」ものは、なんでもきらめいているが、畦の曼珠沙華はことにきらめいている。露を帯びて畦に立つあでやかな花は、秋のひとときを強く印象づけてくれる。(髙橋正子)
9月13日(1句)
花野道ハモニカの音ゆるやかに/廣田洋一
花野の道をハーモニカを吹きながら歩く人がいる。ゆるやかなメロディーに
ハーモニカを吹く人も、聞く人も共に懐かしい思いに癒される。(髙橋正子)
9月12日(1句)
★二階より糸瓜いくつも実らせて/多田有花
二階の窓辺で糸瓜を育てる生活。日除けのために育てたのか、それが今はいくつも実を付けてぶら下がっている。夏から秋へ。いくつもの糸瓜が面白い。(髙橋正子)
9月11日
該当句無し

9月11日~20日

9月20日(4名)
小口泰與
小雨降る木にも鳥おり温め酒★★★
萩焼の花瓶の罅や花芒★★★
畦道へ増ゆる蜻蛉や山の風★★★★
廣田洋一
敬老の日ジムに集へる老人たち★★★
敬老日背筋伸ばして歩きけり★★★
柿の実の色付き初めし朝かな★★★
多田有花
彼岸花へ朝日斜めに差しにけり★★★★
ポストまで桜落葉を踏んでゆく★★★
虫の音の中へ起きだす午前五時★★★
桑本栄太郎
うす闇の街を田道へつづれさせ★★★
草刈られ畦を彩る彼岸花★★★★
草は彼岸花を残して刈られたのか、刈った後に彼岸花が茎を伸ばしたのか。すっきりと草が刈られ、畦に彼岸花が咲く景色は日本の秋のすがすがしさ。(髙橋正子)
路線バスの辿る田道や彼岸花★★★
9月19日(4名)
廣田洋一
土手の上金網沿ひに曼殊沙華★★★
赤絨毯広げし如く曼殊沙華★★★
畝高く盛り上げたるや大根蒔く(原句)
盛り上げて高き畝なり大根蒔く★★★★(正子添削)
小口泰與
躊躇わず茸を食ぶ里の子ら★★★
抜きん出づ尾花を竹の花瓶へと(原句)
句をもう少し整理した方がよいと思います。
抜きん出づ尾花は竹の花筒を★★★★(正子添削①)
竹筒に挿せし尾花の抜きん出づ(正子添削②)
野趣ある竹の花筒に尾花を挿すと、やはりすらりと丈高い尾花は、抜きんでて野の風を呼んでいるよう。(髙橋正子)
目の前の黄金の光り濁り酒★★★
多田有花
仰ぎけり台風一過の空の青★★★★
群れ咲けどカンナそれぞれ孤高なり★★★
変わることは美しきこと酔芙蓉★★★
桑本栄太郎
夕日背に色無き風の野辺を行く★★★
小流れの畦を占めたり曼珠紗華★★★
細々と鳴きて仕舞いや秋の蝉★★★
9月18日(4名)
多田有花
台風や迷走の後上陸へ★★★
台風の近づく音の中眠る★★★
台風はいずこ静かな夜明けなり★★★
廣田洋一
台風の近づき来たる雨の音★★★
構えゐし台風の眼の消えにけり★★★
秋鯖をこんがり焼きて青き皿(原句)
秋鯖をこんがり焼きて青き皿に★★★★(正子添削)
秋鯖は脂がのっておいしい。こんがりと焼いて青い皿に載せた。青い皿は海の色にも思え、こんがり焼けた秋鯖が食欲を誘う。(髙橋正子)
小口泰與
秋晴や湖畔を馳しる馬車二台★★★★
走り根に躓く我や秋の蝉★★★
大利根の流れのよろし下り鮎★★★
桑本栄太郎
真青なる雲の切れ間や野分凪ぐ★★★
つぎつぎに風に呼応やこぼれ萩★★★★
夕日背に色なき風の野辺を行く★★★
9月17日(3名)
小口泰與
啄木鳥や忘れられたる開拓地★★★
秋めくや貨物列車の長き列★★★
秋晴や大きく開く漕艇庫★★★★
秋晴にボートをしまっている倉庫が大きく開かれ、さわやかな空気を取り込んでいる。早速にでもボートを海や湖に漕ぎ出す人たちがいるのだろう。秋晴の下の開放的な景色が快い。(髙橋正子)
廣田洋一
鮭上る河口見ながらバスの旅★★★
男なら味噌煮の由や秋の鯖★★★★
秋鯖の腹光らせて売られけり★★★
桑本栄太郎
出掛けゆく朝の静寂やちちろ鳴く★★★
来てみればすでに刈田の田面かな★★★
鬼城忌の夕日に綺羅と赤とんぼ★★★★
9月16日(4名)
廣田洋一
秋鯖の幟はためく弁当屋★★★
鮭切り身塩振りかけて買ひにけり★★★
北斎も描きし鮭や切り身にす★★★★
北斎の「椿と鮭の切り身」画は北斎が81歳のときに画かれた肉筆画とのこと。椿との取り合わせも珍しいが、鮭の切り身の画も美味そうで洒脱。その画を思いながら、手元に現実の鮭の切り身。これも美味そう。(髙橋正子)
多田有花
風呂あがり弓張月を眺めおり★★★
芙蓉咲くコンクリートに囲まれて★★★
水滴ひとつカンナの口より零れ落ち★★★
小口泰與
次つぎに虫の飛来や田村草★★★
河岸と畦に忽然曼珠沙華★★★
秋燕や幾年古りし定期券★★★
桑本栄太郎
健診の帰りは徒歩や爽やかに★★★★
自分の体がすこやかであるのは、嬉しい。健診で問題がなかったのであろう。帰りの徒歩の道は爽やかに。句柄も爽やか。(髙橋正子)
街路樹の色づき来たる昼の虫★★★
椎の実の笑みて落果の兆しかな★★★
9月15日(4名)
小口泰與
願わくばこの世の秋の宝珠かな★★★
信仰の奇岩の巌や熊の棚★★★
友来たる柱を背なに温め酒★★★
廣田洋一
川風の吹き渡りたる大花野★★★
色とりどりに咲き乱れたる大花野★★★★
爽やかに風を浴びたる河川敷★★★
桑本栄太郎
秋朝の雨雲途切れ青き空★★★
葉の上の花托傾げり蓮は実に★★★★
合歓の実の垂るる朝や青き天★★★
多田有花
露草や細き流れに沿いて咲く★★★★
猪罠のひとつがでんと叢に★★★★
猪が里山やはては里に下りて来て畑を荒らす害が出ている。罠をかけて捕獲したり、銃で撃ったりと、堂々と駆除が行われている。叢に「でんと」罠が仕掛けられ、あまりに明らかで、あっけらかんとした捕獲の罠(髙橋正子)
鬼子母神待てよ石榴の割れる日を★★★
9月14日(4名)
小口泰與
きりぎりす急ぐ由なき出社かな★★★
朝日受く畦一列の曼珠沙華★★★★
「朝日受く」ものは、なんでもきらめいているが、畦の曼珠沙華はことにきらめいている。露を帯びて畦に立つあでやかな花は、秋のひとときを強く印象づけてくれる。(髙橋正子)
山峡の綾なす流れ蔦紅葉★★★
廣田洋一
一区切りつきたる夜業や茶を酌みぬ★★★
葡萄食ぶ地元の味をかみしめて★★★
きらめける緑の玉や葡萄食ぶ★★★
多田有花
嵐来る前に稲刈りを済ます★★★
サイフォンを流れゆきしか秋の水★★★
秋果ゆっくり味わうときは目を閉じて★★★
桑本栄太郎
秋雨や下校の子らのひとしきり★★★
中庭の子等遊び声秋の暮れ★★★
小雨降るひと日暮れ行くうすら寒★★★
9月13日(4名)
小口泰與
コスモスの風の鉄路へなだれ咲く★★★
渓流をよくよく見れば鰍かな★★★
中腹に雲横たわり初紅葉★★★
多田有花
秋茄子のぶらりとひとつ細長き★★★
風吹けば鳶か鴉か鳥威し★★★
ああこんなところにも咲き彼岸花★★★
廣田洋一
とりどりの秋果並べてスーパーマーケット★★★
花野道ハモニカの音ゆるやかに★★★★
花野の道をハーモニカを吹きながら歩く人がいる。ゆるやかなメロディーに
ハーモニカを吹く人も、聞く人も共に懐かしい思いに癒される。(髙橋正子)
幼子の花野に遊ぶ声高し★★★
桑本栄太郎
奉納ののぼり旗めく秋まつり★★★★
梢より黄葉初めたる銀杏かな★★★
稲すずめ田面に群れてとどまらず★★★
9月12日(4名)
廣田洋一
秋鯖に赤葡萄酒の良く合へり★★★
湘南でとれし秋鯖酢〆にす(原句)
湘南の海の秋鯖酢〆にす★★★★(正子添削)
葡萄盛り思ふほどには食べられず★★★
小口泰與
真直ぐな道や湖へと女郎花★★★★
健啖の八十路の吾や秋高し★★★
爽やかや仏師義山の鑿の音★★★
多田有花
咲き初めて畔に三本曼珠沙華★★★
二階より糸瓜いくつも実らせて★★★★
二階の窓辺で糸瓜を育てる生活。日除けのために育てたのか、それが今はいくつも実を付けてぶら下がっている。夏から秋へ。いくつもの糸瓜が面白い。(髙橋正子)
露草の青さ灯して群れ咲きぬ★★★★
桑本栄太郎
小流れの音心地よく落し水★★★★
田道ゆく朝の静寂や鵙の声★★★★
コロナ禍の憤怒の色か彼岸花★★★
9月11日(5名)
廣田洋一
秋鯖の焦げ目程よく焼きにけり★★★
図らずも一折り買ひし秋鯖寿司★★★
三日月と競ふが如き宵の明星★★★

小口泰與
隠り沼へ夕映えうつし法師蝉(原句)

隠り沼へ夕映えうつり法師蝉★★★(正子添削)
贈り來し金平糖や秋うらら★★★
朝顔の蔓のよぎりし朝ぼらけ★★★
吉田晃
新涼の野に雨音の広がる静かさ★★★
秋の夜の心地よい風の庭にいる★★★
鳴き果てて蝉は初秋の草の上★★★
多田有花
朝の雨あがりて後は秋晴れに★★★
秋の朝花壇の手入れする人よ★★★
秋の陽が白金葦を輝かす★★★
桑本栄太郎
うそ寒やかいなを抱き朝の夢★★★
三階の眼下に望むうす紅葉★★★
一木を被いてありぬ葛の花★★★

■自由な投句箱/9月1日~10日■

※当季雑詠3句(秋の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
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代表:高橋正子・管理:高橋信之

今日の秀句/9月1日~10日

9月10日(1句)
★くつきりと稜線定む秋の嶺/桑本栄太郎
秋の嶺が自らの存在を示すように、くっきりとした稜線を見せている。その澄み切った存在感の確かさがいい。(髙橋正子)
9月9日(1句)
★鶏頭の赤と黄色の並び咲く/多田有花
鶏頭の赤と黄色が鮮明で、秋の澄んだ空気感がよく出ている。(髙橋正子)
9月8日(2句)
★ラジオの声聞くともなしに夜業かな/廣田洋一
静まった夜のラジオは人懐かしい。夜業をしながら聞くラジオは「聞くともなし」だが、時にはよく耳を傾けたりもする。ラジオと夜業のつかず離れずの関係が秋の夜らしい。(髙橋正子)
★棗の実修道院の外庭に/多田有花
棗はヨーロッパ南部やアジア東部南部の原産の落葉灌木。「修道院」と「棗の実」があれば、南仏やイタリアなどの修道院がある景色が思い浮かぶ。南仏の旅にいるような気分。(髙橋正子)
9月7日(1句)
★風吹けば風に色づく猫じやらし/桑本栄太郎
猫じゃらしはイネ科。稲が色づくように、色づき始めた。風が吹いたからなのだ。この把握は面白い。稲が熟れるころ吹く風にはるか彼方への思いを人に呼び起こす。(髙橋正子)
9月6日(1句)
★朝顔の一輪咲いて空の色/多田有花
朝顔の色もさまざま。紺色の朝顔が俳句によく詠まれるが、空の色の朝顔は、新涼の、さわやかな季節をあらわして瑞々しい。(髙橋正子)
9月5日(1句)
★赤とんぼ田川の底のきらきらと/小口泰與
赤とんぼが飛ぶ田川。清らかな流れに秋の日が差し込んで浅い川の底がきらきらとしている。静かで明るい田川の景色がいい。(髙橋正子)
9月4日(1句)
★見はるかす稜線伸びる秋の空/廣田洋一
秋の空の爽やかさが何よりも快い。「見はるかす」「伸びる」に作者の伸びやかな気持ちがよく出ている。(髙橋正子)
9月3日(1句)
★青空にコスモス揺れる谷戸の道/廣田洋一
「谷戸」は神奈川などで見られる丘陵地が浸食されて形成された谷状の地形。鎌倉に入れは成り立ちも違って「谷(やつ)とよばれる。その谷間の道を歩くと、青空とコスモスの美しい景色に出会った。それを素直に詠んでいてさわやか。(髙橋正子)
9月2日(1句)
★秋海棠コーラの瓶へ挿しにけり/小口泰與
朝がひんやりとしてくると、庭の秋海棠が咲き始める。秋海棠の可憐な花をコーラの瓶に挿した。そんな花を身近に置きたくなる心持ちが爽やか。(髙橋正子
9月1日(1句)
★青空へけさ鷺草の二羽となり/川名ますみ
鷺草の真白と青空の青の対比、それに「けさ」が加わって、すがすがしい。鷺草の花を一羽二羽と数えて生き生きとさせたのも若々しい。(髙橋正子)