自由な投句箱/11月1日~10日

※当季雑詠3句(秋の句・冬の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。
代表:高橋正子・管理:高橋信之

今日の秀句/11月1日~10日

11月10日(2句)
★茶の花を大きく見せて蕊の金/廣田洋一
茶の花はその金の蕊が花の半分以上を占めて、白い茶の花をふっくらと大きく見せている。そう言われて知る茶の花のこと。(髙橋正子)
★秋雲の掃かれし先の青ばかり/川名ますみ
「秋雲」は「シュウウン」と読むのがいいと思う。「シュウ」の秋雲の雰囲気を表している。秋雲の刷かれた先は余計なもののない青空の青ばかり。(髙橋正子)
11月9日(1句)
★空深く秋の終わりや利根の水/小口泰與
利根川の水は、流れすぎる所々で、それぞれ違った表情を見せる。利根の中流か、やや上流であろうと思われる「秋の終わりの空の深さ」。感銘を覚える秋空の深さに利根の水が呼応している。(髙橋正子)
11月8日(1句)
★神在りの月の稲佐や海荒るる/桑本栄太郎
出雲は、神々を迎えて神在月となっている。稲佐海岸は、神がましますも、「海荒るる」季節なのだ。地元を知るものの実感の句と思える。(髙橋正子)
11月7日(1句)
★快晴の心地よき日や冬きたる/多田有花
冬はおおかた、その寒さのなかに「きっぱり」と来る感覚だが、穏やかな瀬戸内に住む作者には、冬が上々に晴れた心地よい日にやってきた。こんな冬の来方もある。(髙橋正子)
11月6日(1句)
★もみじ葉の緋色まつたき桜の葉/桑本栄太郎
桜紅葉のあでやかさは見事というほかない。散り落ちる桜紅葉のなかに、全体緋色で疵のないのが見つかる。自然の造化の妙がここにも。(髙橋正子)
11月5日(1句)
★山やまの間近に迫り水澄めり/小口泰與
山やまが間近に。そこを川が流れるのか、湖なのかは想像するしかないが、山と水が出会い、澄んだ水があること。「山紫水明」の言葉もあるが、それよりももっと身近に、自然に山と水が現実として受け止められる。(髙橋正子)
11月4日(1句)
★赤き実の目立ち初めにし末の秋/多田有花
木々が葉を落としてしまう秋の末。陽の光を受けて輝く赤い実は存在感を増す。枯れがすすむ中でひときわ明るい姿。(髙橋正子)
11月3日(1句)
★草の実や滅多矢鱈の雀達/小口泰與
空き地なのか、草の実がたくさんついている。それを啄みに雀が降りて来るのだが、数羽というのではなく、「滅多矢鱈」の数で、降りて来るもの、飛び立つもの、あちこち移動するもので、にぎやかだ。たのしい光景。(髙橋正子)
11月2日(1句)
★新海苔やすぐ取り掛かる握飯/廣田洋一
早くも新海苔が出来上がった。早速求めて、握り飯に巻いて食べようという算段。米は新米の握り飯。海苔は新海苔。季節の恵みのありがたさを思いつつ日本食の原点の美味しさを味わう。(髙橋正子)
11月1日(2句)
★つづれさせ奥利根の星響きあう/小口泰與
奥利根の星空の深さ。星々に響くように空へと虫の音。星が響き、虫の音が響く夜を呼んでロマンティックな句だ。(髙橋正子)
★降り来たる雨に艶めく新松子/廣田洋一
降り来る雨も新しい。新松子の緑が雨に濡れてつややかで、新鮮な心持になる。(髙橋正子)

11月1日~10日

11月10日(4名)
廣田洋一
茶の花を大きく見せる蕊の金(原句)
茶の花を大きく見せて蕊の金★★★★(正子添削)
茶の花はその金の蕊が花の半分以上を占めて、白い茶の花をふっくらと大きく見せている。そう言われて知る茶の花のこと。(髙橋正子)
茶の花の水面に映える白さかな★★★★
茶の花の生垣低し池の端★★★
多田有花
十一月鷺の白さを映す川★★★
短日をさらに短くして雨よ★★★★
湯たんぽを仙骨にあて机に向かう★★★
桑本栄太郎
残菊の小菊括られ畑の隅★★★
しぶ柿の潰ゆりて甘き熟柿かな★★★
山里の巡り歩きや石蕗の花★★★
川名ますみ
秋雲の掃かれし先の青ばかり★★★★
「秋雲」は「シュウウン」と読むのがいいと思う。「シュウ」の秋雲の雰囲気を表している。秋雲の刷かれた先は余計なもののない青空の青ばかり。(髙橋正子)
水遣れば土の吸う音秋の風★★★
秋の日に尾を燦めかせ猫過ぎる★★★
11月9日(4名)
小口泰與
空深く秋の終わりや利根の水★★★★
利根川の水は、流れすぎる所々で、それぞれ違った表情を見せる。利根の中流か、やや上流であろうと思われる「秋の終わりの空の深さ」。感銘を覚える秋空の深さに利根の水が呼応している。(髙橋正子)
初冬や風の重さを賜りし★★★
蟷螂の今だ目の色変らずや★★★
廣田洋一
花弁の反るほど開き石蕗の花★★★
新海苔の香り味はふ朝餉かな★★★★
冬の川木の葉一枚浮かべをり★★★
多田有花
昼下がり陽はさんさんと葱畑★★★
山茶花の淡き紅色まず一輪★★★★
桜枯れ枝の先まで日差し浴ぶ★★★
桑本栄太郎
時雨るるや更に色濃きプラタナス★★★
ひと雨に色濃くなりぬ庭紅葉★★★
一夜明け今日より冬の庭もみじ★★★★
11月8日(4名)
小口泰與
秋の雲奇岩の山を離れけり★★★
神棚へ背伸びの老や神の留守★★★
夕日にて水面耀う尾花かな★★★
廣田洋一
青首の真直ぐ伸びる大根畑★★★
立冬や星きらきらと夜明け前★★★★
虚子の句を一日一句芭蕉の忌★★★
多田有花
十一月明るき快晴が続く★★★
初冬の鶺鴒止まる反射板★★★
畑すべて冬の菊持ち輝きぬ★★★★
桑本栄太郎
仰ぎ見る天の蒼さや銀杏黄葉★★★
雲間より天使のはしご山粧ふ★★★
神在りの月の稲佐や海荒るる★★★★
出雲は、神々を迎えて神在月となっている。稲佐海岸は、神がましますも、「海荒るる」季節なのだ。地元を知るものの実感の句と思える。(髙橋正子)
 
11月7日(4名)
小口泰與
男盛りを過ぎし髪膚や秋の雷★★★
吾の影の田に収まりし秋の夕★★★
遠の山日影日向や鳥兜★★★
廣田洋一
立冬や我関せずと川の鯉★★★
庭の隅明るく揺れる石蕗の花★★★
大根の青首光る畑かな★★★
多田有花
立冬の朝日ほどなく昇りくる★★★
快晴の心地よき日や冬きたる★★★★
冬はおおかた、その寒さのなかに「きっぱり」と来る感覚だが、穏やかな瀬戸内に住む作者には、冬が上々に晴れた心地よい日にやってきた。こんな冬の来方もある。(髙橋正子)
裏庭に間もなく開く枇杷の花★★★
裏庭に間もなく開く枇杷の花★★★
桑本栄太郎
石蕗咲くや何処を抜けても村の辻★★★
山里の小流れ速し芋水車★★★
橡の葉のからんと落つや冬に入る★★★
11月6日(4名)
廣田洋一
ラジオ体操桜紅葉の散るを浴び★★★★
桜紅葉日毎艶やか町の角★★★
桜紅葉散り敷くままの並木道★★★
小口泰與
渓流の影の冥きや石叩き★★★
一掬の水や鶺鴒黄を点ず★★★★
色鳥や朝日入りくる文机へ★★★
多田有花
描かれゆく飛行機雲や秋惜しむ★★★
冬隣るなかへ真紅の薔薇が咲く★★★
ガレージの一画に柿吊しおり★★★
桑本栄太郎
一条の稲滓火立つや山の田に★★★
山里の辻を曲がれば石蕗の花★★★
もみじ葉の緋色まつたき桜の葉★★★★
桜紅葉のあでやかさは見事というほかない。散り落ちる桜紅葉のなかに、全体緋色で疵のないのが見つかる。自然の造化の妙がここにも。(髙橋正子)
11月5日(4名)
小口泰與
山やまの間近に迫り水澄めり★★★★
山やまが間近に。そこを川が流れるのか、湖なのかは想像するしかないが、山と水が出会い、澄んだ水があること。「山紫水明」の言葉もあるが、それよりももっと身近に、自然に山と水が現実として受け止められる。(髙橋正子)
眼裏に遠き日の人渡り鳥★★★
刈稲を索道に乗せ休み無き★★★
廣田洋一
柚子の実や垣根越しに香放ちをり★★★
柚子の実の日毎濃くなる黄色かな★★★
柚子の実や主が捥ぎたる二つ三つ★★★
桑本栄太郎
<乙訓名産大枝(おおえ)の柿>
籠盛りの店の数多や柿街道★★★
つややかにえら張り居りぬ富有柿★★★
しぶ柿の熟柿となりて売られけり★★★
多田有花
寄り添いて銀杏黄葉を見る背中★★★★
鮮やかに朝日へ開く赤き菊★★★
路地裏をそぞろ歩けば金木犀★★★
11月4日(4名)
廣田洋一
秋惜しむ黄蝶一頭舞ひ出でぬ★★★★
柿の実の捥がれぬままに熟しをり★★★
焼酎に酔ひたる柿や渋を抜く★★★
小口泰與
大利根の岸へ稚魚群来石叩き★★★
一叢の名残りの萱や群雀★★★
妙義嶺の奇岩も視野や夕紅葉★★★
多田有花
赤き実の目立ち初めにし末の秋★★★★
木々が葉を落としてしまう秋の末。陽の光を受けて輝く赤い実は存在感を増す。枯れがすすむ中でひときわ明るい姿。(髙橋正子)
キレキレのステップ見せて文化祭★★★
文化祭演者もっとも楽しめり★★★
桑本栄太郎
山里の甍きらめく柿すだれ★★★
何処までも遠出歩きや秋うらら★★★
干乾びし蛙の枝に鵙の贄★★★
11月3日(4名)
小口泰與
百本のばらに礼肥や秋うらら★★★
背戸の木に鵙の贄かや蒼き空★★★
草の実や滅多矢鱈の雀達★★★★
空き地なのか、草の実がたくさんついている。それを啄みに雀が降りて来るのだが、数羽というのではなく、「滅多矢鱈」の数で、降りて来るもの、飛び立つもの、あちこち移動するもので、にぎやかだ。たのしい光景。(髙橋正子)
廣田洋一
新海苔をさつと乗せたる朝餉かな★★★
積み置きし本の整理や文化の日★★★
新しきアプリを入れる文化の日★★★
多田有花
秋澄むや藪らんの実の輝きに★★★
えのころのほどよく乾き輝きぬ(原句)
えのころのほどよく乾き輝けり★★★★(正子添削)
一本の雲がつなぎし初紅葉★★★
桑本栄太郎
生垣の香りつづくや金木犀★★★
葉はすでに散りて明るく柿灯る★★★★
菜園のけぶり立ち居り蔓たぐり★★★
11月2日(4名)
小口泰與
雄心の少しは有るや秋の蛇★★★
豆柿や絵画遺せし無言館★★★
湖の風おさまり木木の小鳥飛ぶ★★★
廣田洋一
秋耕の土の匂ひや散歩道★★★★
新海苔の艶につられて買ひにけり★★★
新海苔やすぐ取り掛かる握飯★★★★
早くも新海苔が出来上がった。早速求めて、握り飯に巻いて食べようという算段。米は新米の握り飯。海苔は新海苔。季節の恵みのありがたさを思いつつ日本食の原点の美味しさを味わう。(髙橋正子)
多田有花
頭上から金木犀の香の降りぬ★★★
マリア像コキア紅葉が足元に★★★
来る人を迎える門の櫨紅葉★★★
桑本栄太郎
秋蝶の黄なるが一頭かぜのまま★★★
葛の葉の一木被う実莢かな★★★
秋うらら歩き終わりにお菓子買う★★★
11月1日(4名)
小口泰與
落人の里に吊るさる烏瓜★★★
奥利根の星響きあうつづれさせ(原句)
つづれさせ奥利根の星響きあう★★★★(正子添削)
奥利根の星空の深さ。星々に響くように空へと虫の音。星が響き、虫の音が響く夜を呼んでロマンティックな句だ。(髙橋正子)
草の実や羽音響かせ群雀★★★
廣田洋一
太鼓役子らに任せて村祭★★★★
蜂の巣の見つかりし木や新松子★★★
降り来たる雨に艶めく新松子★★★★
降り来る雨も新しい。新松子の緑が雨に濡れてつややかで、新鮮な心持になる。(髙橋正子)
多田有花
黄葉を眺めておりぬ車椅子★★★
合掌のマリアの像に秋の花★★★★
快晴の熟柿に蝶の来たりけり★★★
桑本栄太郎
暮れ来たる桂黄葉の明かりかな★★★★
たそがれの人影過ぎる秋の暮★★★
嶺の端の黒きうねりや秋の宵★★★

自由な投句箱/10月21日~31日

※当季雑詠3句(秋の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。
代表:高橋正子・管理:高橋信之

今日の秀句/10月21日~31日

10月31日(1句)
★野鶏頭いよいよ赤く燃えにけり/多田有花
「野鶏頭」は、野良ばえの鶏頭ではなく、蝋燭のような花穂の鶏頭のこと。花の色は薄いピンクから濃い赤紫まである。この句は、濃い色の野鶏頭。秋も終わりになり、朝夕の寒暖差に色も鮮やかになった花。「いよいよ赤く燃え」に秋の深さを思う。(髙橋正子)
10月30日(1句)
★北窓も南の窓もうろこ雲/多田有花
「北窓も」「南の窓も」と鱗雲の広がりを暮らしの起居の中で詠んでいるのが珍しい。なにかのおり北窓から空を見た、またのおり南の窓を開け空を見た。北窓も南の窓も鱗雲。晴れ晴れとしてたのしい。(髙橋正子)
10月29日(1句)
★花芒背丈揃えて光りをり/廣田洋一
花芒をあえて「背丈揃えて」と捉えたことにより芒の穂が印象付けられた。光を含んだ芒の穂が優しい光となっている。(髙橋正子)
10月28日(1句)
★秋薔薇のなかへ小さき蝶の来て/多田有花
秋の薔薇は光のせいか、華やかな中にも陰影が深い。咲きゆれる薔薇に小さい蝶が来て、薔薇と戯れているように飛ぶ。童話のような世界が見える。(髙橋正子)
10月27日(1句)
★冷まじやビルの足場の青空に/桑本栄太郎
ビルの足場から見える青空に「冷まじ」と感性は新しい。身近な生活圏内に新しさを見つけた句と言える。(髙橋正子)
10月26日(1句)
★野辺行けばメールのありぬ刈田晴/桑本栄太郎
晴れた日、気持ちよく刈田の野辺を行くと、携帯にメールがある知らせ。野の心地よさに浸る時に届くメールは違和感があるようで、意外にもすんなり受け取れる。この不思議さ。「刈田晴」が明るくていい。(髙橋正子)
10月25日(1句)
★見下ろせば雨に色づく窓の秋/桑本栄太郎
窓から雨の降る下界を見下ろすと、木々や花やアスファルトなど、目に映る物が、なるほど秋の景色となって、窓に収まっている。窓にある秋の世界は暮らしを彩る画となっている。(髙橋正子)
10月24日(2句)
★唐突に寒さ押し寄せ残る菊/多田有花
暑さが長く続いたあと、秋になったかと思うと、唐突に寒さが押し寄せる今年の気候。残菊も急な寒さに縮こまり、色を変えてゆく。(髙橋正子)
★宝石のひかりの葡萄をジューサーへ/川名ますみ
宝石のような葡萄とは、一粒一粒に光が透けているような緑の葡萄だろう。そんなきれいな葡萄の粒をジューサーに入れて、ジュースに。美味しさもさることながら、美しいのがいい。(髙橋正子)
10月23日(1句)
★雲影の走り去り行く秋の嶺/桑本栄太郎
秋の嶺に雲影が走って行く。それだけのことながら、秋の嶺は雲影を映し、さびさびとしてくる。じみじみと行く秋が思われる。(髙橋正子)
10月22日(1句)
★蜻蛉の同じ草へとまた止まり/小口泰與
すいすいと元気に飛んでいた蜻蛉も、遠くへ飛ばずに、もどって同じ草へ止まる。そんな姿に秋の静かさと深まりと感じる。(髙橋正子)
10月21日(1句)
★蜂の子を当てに今宵のひとり酒/小口泰與
蜂の子は山間部で食されて、昔は蛋白源となっていたようだ。蜂の子飯や甘辛く煮たものなどがあるようで、蜂の子と聞けば、山国の暮らしが思い浮かぶ。蜂の子を当てにひとりで酌む静かな時間は本人だけが知る時間であろう。(髙橋正子)

10月21日~31日

10月31日(4名)
廣田洋一
松茸の一本ずつに荒目籠★★★
松茸を四本に分けて焼きにけり★★★
ハロウィンや窓一面に魔女が行く★★★★
小口泰與
落人の里に吊るさる烏瓜★★★
残照の山見ゆるとこ熟柿かな★★★
奥利根の山懐の刈田かな★★★★
多田有花
野鶏頭いよいよ赤く燃えにけり★★★★
「野鶏頭」は、野良ばえの鶏頭ではなく、蝋燭のような花穂の鶏頭のこと。花の色は薄いピンクから濃い赤紫まである。この句は、濃い色の野鶏頭。秋も終わりになり、朝夕の寒暖差に色も鮮やかになった花。「いよいよ赤く燃え」に秋の深さを思う。(髙橋正子)
つなぎ着て幼き兄弟秋の畑★★★
ハロウィンの夜明けの雨を聞いている★★★
桑本栄太郎
稲滓火のけぶり棚引く在所かな★★★
穭田のひつじ穂傾ぎ来たりけり★★★
人型(ひとがた)の田面に立つや今年藁★★★
10月30日(3名)
秋薔薇を咲かせし人と立ち話★★★
北窓も南の窓もうろこ雲★★★★
「北窓も」「南の窓も」と鱗雲の広がりを暮らしの起居の中で詠んでいるのが珍しい。なにかのおり北窓から空を見た、またのおり南の窓を開け空を見た。北窓も南の窓も鱗雲。晴れ晴れとしてたのしい。(髙橋正子)
夢うつつ妻恋う鹿の声を聞く★★★
廣田洋一
朝寒に残れる月の白きかな★★★★
ラジオ体操めげずに集ふ朝寒み★★★
朝寒に姿勢正して散歩道★★★
桑本栄太郎
山里の甍きらめく秋日かな★★★
うす青き煙のぼりぬ峡の秋★★★
柿灯る軒端なりしや山の里★★★
10月29日(4名)
小口泰與
牛膝犬の尾に付き吾につき★★★
沼風と共に来るや荻の声★★★
露草や色なき空の佐久平(原句)
「色なき空」を雲がいっぱい広がる空と解釈するには無理があります。
露草や雲の広がる佐久平★★★★(正子添削)
廣田洋一
去りし人助っ人に呼ぶ村祭★★★
行く秋や色付き初めし銀杏の葉★★★
花芒背丈揃えて光りをり★★★★
花芒をあえて「背丈揃えて」と捉えたことにより芒の穂が印象付けられた。光を含んだ芒の穂が優しい光となっている。(髙橋正子)
多田有花
爽やかに千日紅を咲かす家★★★★
秋の陽が稜線の木々光らせる★★★
秋うららベランダに出て昼食を★★★
桑本栄太郎
ベランダのコキア色づく秋高し★★★
野菊咲く丘の田道や山の里★★★
帽子脱ぎ日向にありぬ櫟の実★★★
10月23日分
廣田洋一さんの10月23日の投句を見逃しておりました。お詫びいたします。星印を付けましたので、参考になさってください。

廣田洋一
中天に残れる月の柔きかな★★★
道端の木の実浚ひて暮の秋★★★

久闊を叙したる友と温み酒★★★
10月28日(4名)
廣田洋一
秋惜しむ橋の下なる鯉の群★★★
秋惜しむ吹奏楽のマーチかな★★★
行く秋の道辺に咲きし白き花★★★
小口泰與
夕映えの秋ばら早も風に乗る★★★
逆光の芒や沼の鳥の声★★★
釣糸の荻へ絡むや魚の影★★★
多田有花
秋薔薇のなかへ小さき蝶の来て★★★★
秋の薔薇は光のせいか、華やかな中にも陰影が深い。咲きゆれる薔薇に小さい蝶が来て、薔薇と戯れているように飛ぶ。童話のような世界が見える。(髙橋正子)
蕾には蕾の美あり秋の薔薇★★★
秋深しそれでも薔薇は咲き始め★★★
桑本栄太郎
竹垣の灯りとなりぬ烏瓜★★★
土壁の塀の崩るる里の秋★★★
末枯の来たる在所や乙訓郷★★★
10月27日(4名)
小口泰與
渡り鳥彼方に忘ず人数多★★★
蒟蒻を煮返す夕餉温め酒★★★
禁漁の渓や川沿い蔦紅葉★★★
廣田洋一
秋時雨ビニールハウスの白く濡れ★★★
屋根瓦色濃くしたり秋時雨★★★
秋時雨遠くの空は晴れてをり★★★★
多田有花
やや寒に齧りしダークチョコレート★★★
秋の鶺鴒日向へと走り出る(原句)
「鶺鴒」は秋の季語です。
鶺鴒の日向へつつと走り出る★★★★(正子添削)
カラフルに傘干すベランダ秋うらら★★★
桑本栄太郎
黄落と云えど紅の葉交りけり★★★
梢より散り初めいたる銀杏黄葉★★★
冷まじやビルの足場の青空に★★★★
ビルの足場から見える青空に「冷まじ」と感性は新しい。身近な生活圏内に新しさを見つけた句と言える。(髙橋正子)
10月26日(4名)
小口泰與
落鮎や利根を離れて忘じける★★★
山風に秀つ枝の通草破顔せり★★★
秋雨や女工哀史の峠道★★★
廣田洋一
行く先は謎のままなる秋の旅★★★
小雨決行バスで快適秋の旅★★★
秋時雨鷹は小屋にて眠りをり★★★★
多田有花
炒めおり茸いくつもとり混ぜて★★★
ショパン弾く電子ピアノの夜長かな★★★
爽やかに三日月ポーズ雲仰ぐ★★★
桑本栄太郎
見上げれば梢散り初む銀杏黄葉★★★
野辺行けばメールのありぬ刈田晴★★★★
晴れた日、気持ちよく刈田の野辺を行くと、携帯にメールがある知らせ。野の心地よさに浸る時に届くメールは違和感があるようで、意外にもすんなり受け取れる。この不思議さ。「刈田晴」が明るくていい。(髙橋正子)
しなだれて茎に縋りぬ秋の茄子★★★
10月25日(4名)
小口泰與
杣宿の蜂の子飯や漆椀★★★
雨来るらし懸崖菊の在り所★★★
大岩をわきまえ流る秋灯かな★★★
多田有花
秋寒や毛布一枚起きて出す★★★
明け遅く暮れ早くなる夜長かな★★★
薔薇いろいろ咲かせ秋の陽だまりに★★★
廣田洋一
秋澄めり句誌45年祝ひかな★★★
遊覧船客を待ちたる秋の海★★★★
受賞者の襟元飾る秋の薔薇★★★
桑本栄太郎
見下ろせば雨に色づく窓の秋★★★★
窓から雨の降る下界を見下ろすと、木々や花やアスファルトなど、目に映る物が、なるほど秋の景色となって、窓に収まっている。窓にある秋の世界は暮らしを彩る画となっている。(髙橋正子)
秋冷や殊更寒き今朝の雨★★★
辻に出で行方ためらう秋寒し★★★
10月24日(5名)
廣田洋一
夜明け前仰ぎ見たるや寝待月★★★
晴れ渡る空に上れり後の月★★★★
頃合をはかる女将や温め酒★★★
小口泰與
秋の暮街騒近し選挙カー★★★
夕映えの浮子の当たりや鰯雲★★★
山径に冥利たまわる木通かな★★★
多田有花
秋桜すっかりひかれてしまいけり★★★
唐突に寒さ押し寄せ残る菊★★★★
暑さが長く続いたあと、秋になったかと思うと、唐突に寒さが押し寄せる今年の気候。残菊も急な寒さに縮こまり、色を変えてゆく。(髙橋正子)
秋の蝶風の強さに負けずあり★★★★
桑本栄太郎
仁和寺の竜王戦とや秋日さす★★★★
秋日さす中洲白きや桂川★★★
穂芒の風の行方を示しけり★★★
川名ますみ
一音に秋声集む協奏曲(コンチェルト)★★★
ひと粒ずつ葡萄をハンドジューサーに★★★
ジューサーへ葡萄を宝石掬うごと(原句)
宝石のひかりの葡萄をジューサーへ★★★★(正子添削)
宝石のひかりの葡萄とは、一粒一粒に光が透けているような緑の葡萄だろう。そんなきれいな葡萄の粒をジューサーに入れて、ジュースに。美味しさもさることながら、美しいのがいい。(髙橋正子)
 
10月23日(3名)
廣田洋一
中天に残れる月の柔きかな★★★
道端の木の実浚ひて暮の秋★★★
久闊を叙したる友と温み酒★★★
小口泰與
汀まで続く尾花へ夕日かな★★★
湧き出づる羽音の綾や秋の蝶★★★★
紅葉の山湖や水漬く捨小舟★★★
多田有花
秋寒が鶴瓶落としの如く来る★★★
風強き霜降の町を歩きけり★★★
うす紅の薔薇ひらき初め霜降に★★★
桑本栄太郎
雲影の走り去り行く秋の嶺★★★★
秋の嶺に雲影が走って行く。それだけのことながら、秋の嶺は雲影を映し、さびさびとしてくる。じみじみと行く秋が思われる。(髙橋正子)
穂芒の川に沿い行く地道かな★★★
さざ波の底の煌めく秋の川★★★
10月22日(4名)
廣田洋一
そこだけは雲払われし十三夜★★★
草々の雨に濡れたる暮の秋★★★★
小雨降る街ひえびえと暮の秋★★★
小口泰與
秋うらら赤城しぐれの口に溶け★★★
蜻蛉の同じ草へとまた止まり★★★★
すいすいと元気に飛んでいた蜻蛉も、遠くへ飛ばずに、もどって同じ草へ止まる。そんな姿に秋の静かさと深まりと感じる。(髙橋正子)
赤信号秋の蜂入る車かな★★★
多田有花
夜も更けて鹿の声また響きおり★★★
敗荷や古本の小口やや黄ばみ★★★★
日の出待つ刈田の湿りを見て立ちぬ★★★
桑本栄太郎
鵙晴や更に伸びゆく万歩計★★★★
石垣に石蕗の花咲く村の辻★★★
目の前を番い過ぎ行く赤とんぼ★★★
10月21日(4名)
廣田洋一
辺りの星みな狩られしや後の月★★★
再会の挨拶続く暮の秋★★★
多摩川の波の鎮まり暮の秋★★★
小口泰與
ひょこひょこと風に尾を振る犬子草★★★
無為と言う日や秋の赤城山★★★
蜂の子を当てに今宵はひとり酒(原句)
蜂の子を当てに今宵のひとり酒★★★★(正子添削)
蜂の子は山間部で食されて、昔は蛋白源となっていたようだ。蜂の子飯や甘辛く煮たものなどがあるようで、蜂の子と聞けば、山国の暮らしが思い浮かぶ。蜂の子を当てにひとりで酌む静かな時間は本人だけが知る時間であろう。(髙橋正子)
多田有花
秋惜しむ住み慣れし街を歩きつつ★★★
晩秋の満月山の端にかかり★★★
いま見えし月にたちまち叢雲★★★
桑本栄太郎
鼻をつく野辺のけぶりや秋の暮れ★★★
穭田のひつじ穂傾ぎ来たりけり★★★
休耕の畑の明かりや泡立草(原句)
休耕の畑の明るし泡立草★★★★(正子添削)

自由な投句箱/10月11日~20日

※当季雑詠3句(秋の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。
代表:高橋正子・管理:高橋信之

今日の秀句/10月11日~20日

10月20日(1句)
★花しゅくしゃ朝日夕陽を受けて咲く/多田有花
「花しゅくしゃ」は「花ジンジャー」とも呼ばれる。朝日と夕陽が差すところ、つまり、斜めの日を受けて咲く花が、朝はさわやかに、夕べは、しずかな佇まいとなるのがゆかしい。(髙橋正子)
10月19日(1句)
★たんぽぽの綿毛に秋の陽がきらきら/多田有花
たんぽぽの丸い絮毛に秋の陽が集まってきらきらとしている。野原の真ん中にに、秋の陽の明るさが集まって童画のような世界を見せている。(髙橋正子)
10月18日(1句)
★整然と畝の並びて大根蒔く/桑本栄太郎
大根を蒔く畑に畝が整然と作られて、畑の上に広がる冷涼な空気感がつたわってくる。(髙橋正子)
10月17日(1句)
★松虫や鉄瓶早も沸騰す/小口泰與
松虫の声にもわびしさが増すころ、鉄瓶で湯を沸かすと、意外にも早く湯が沸騰する。これは、最近私も経験したことだが、薬缶をガス火に掛けコーヒー用に湯を沸かそうとすると、意外にも早く沸く。これはなんなんだろうか。(髙橋正子)
10月16日()
★庭先に小さきコキアの紅葉あり/多田有花
身近に紅葉を見つけたうれしさ。庭さきの小さいコキアが紅葉している。コキアは今は景観のために公園に広く植えらているが、昭和の時代には、帚木と言われて庭に数本あった記憶がある。(髙橋正子)
10月15日(1句)
★穭田のひつじ穂確と稔りけり/桑本栄太郎
稲を刈り取ったあと、刈り後の株から緑の葉が出て、稲穂をつけることがある。その稲穂がたしかに稔り、色づいている。稲の生命の力強さをひしと思わずにおれない。(髙橋正子)
10月14日(1句)
★公園のコキア色づく秋日かな/桑本栄太郎
コキアは帚木のこと。秋が深まると紅葉してくる。公園にはたくさん植えられ、一面赤く染まる。秋の日をそのまま受けて紅葉したかのようだ。(髙橋正子)
10月13日(1句)
★黄落や掃かれし後もつづき居り/桑本栄太郎
ここは境内であろうか。銀杏の黄葉を掃いたあと、きれいにさっぱりしたところに、また黄葉が降り落ちる。黄落の期間はまだまだ続く。(髙橋正子)
10月12日(1句)
★柿の実の照り返したる朝日かな/廣田洋一
朝日に照り映える「柿の実」よりも、柿の実に照り返す「朝日」に焦点が当てられた句。きらきらと眩しい朝日は、秋の日を凝縮し、象徴している。(髙橋正子)
10月11日(1句)
★鵙猛る全身に朝の光浴び/多田有花
鵙の鳴き声は鋭い。空気を切るように猛り鳴く鵙が朝の光を全身に浴びて、鋭さも増す。鵙には光が似合う。(髙橋正子)

10月11日~20日

10月20日(3名)
廣田洋一
青空に白く伸びたる十月桜★★★★
白躑躅はかなげに咲く暮の秋★★★
雨空にバス待つ人や暮の秋★★★
桑本栄太郎
青空の遥か彼方や野分吹く★★★
山茱萸の実の緋色なる葉蔭かな★★★
黄落のしきりに舞いぬ今朝の風★★★★
多田有花
英霊碑高し秋天はさらに★★★★
刈り残す田の半分にひつじの穂★★★
花しゅくしゃ朝日夕陽を受けて咲く★★★★
「花しゅくしゃ」は「花ジンジャー」とも呼ばれる。朝日と夕陽が差すところ、つまり、斜めの日を受けて咲く花が、朝はさわやかに、夕べは、しずかな佇まいとなるのがゆかしい。(髙橋正子)
10月19日(4名)
小口泰與
夕映えの一樹や椋鳥の姦しき★★★
山峡の没日早きや吾亦紅★★★
猪やスキール音の響きける★★★
廣田洋一
朝鵙の声筒抜けに露天風呂★★★★
鎌倉の寺を巡りて暮の秋★★★
四年振りの総選挙なり暮の秋★★★
多田有花
泡立草日々刻々と黄の変化★★★
たんぽぽの綿毛に秋の陽がきらきら★★★★
たんぽぽの丸い絮毛に秋の陽が集まってきらきらとしている。野原の真ん中にに、秋の陽の明るさが集まって童画のような世界を見せている。(髙橋正子)
道標の地蔵に菊の供えられ★★★
桑本栄太郎
紅葉初む並木通りやバスが行く★★★
西山の嶺のうねりや刈田晴れ★★★
野辺道を行けば果て居り秋の蜂(原句)
野辺道を行けば果てけり秋の峰★★★★(正子添削)
10月18日(4名)
小口泰與
と言いて鹿を射止めし猟師かな
鵙鳴くや浅間へ雲の翔りよる★★★
鳶高音二人のボート木陰へと★★★
廣田洋一
独り居の当てはお新香温め酒★★★
箪笥よりベストを出しぬ暮の秋★★★
マンションの窓の光りて鵙日和★★★★
桑本栄太郎
ベランダのコキア色づく朝かな★★★
整然と畝の並びて大根蒔く★★★★
大根を蒔く畑に畝が整然と作られて、畑の上に広がる冷涼な空気感がつたわってくる。(髙橋正子)
稜線のくつきりうねる刈田晴れ★★★
多田有花
今朝晴れて長き芙蓉の花期終わる★★★
朝日さす家並みの影ひつじ田に★★★★
晩秋や雨あがり風強くなる★★★
10月17日(4名)
小口泰與
忽然と怯ゆる犬や秋の鷹★★★
松虫や鉄瓶早も沸騰す★★★★
松虫の声にもわびしさが増すころ、鉄瓶で湯を沸かすと、意外にも早く湯が沸騰する。これは、最近私も経験したことだが、薬缶をガス火に掛けコーヒー用に湯を沸かそうとすると、意外にも早く沸く。これはなんなんだろうか。(髙橋正子)
蓑虫や風のあわいに鳴きにける★★★
廣田洋一
新築の木目鮮やか暮の秋★★★
プランターの隙間だらけや暮の秋★★★
足腰のストレッチ終へ温め酒★★★
多田有花
晩秋の畑に丸茄子の光る★★★★
続く秋晴れ山法師の実が熟れ★★★
一軒に一本柿のある集落★★★
桑本栄太郎
風音のガラス戸越しに秋寒し★★★
田道行く吾に微笑む野菊かな★★★★
葉の一葉落つや日暮れの柿紅葉★★★
10月16日(4名)
小口泰與
山はまだ黒雲の居り温め酒★★★
奔走な木通の揺れや山の径★★★
山を越え雲流れ行く信濃柿★★★
廣田洋一
新築の家に住人暮の秋★★★
ようやくに人出増えたり暮の秋★★★
朝風呂の眠気を覚ます鵙の声★★★
多田有花
秋の昼オートミールへ梅干しを★★★
刈り終えて清掃さるる稲刈機★★★
庭先に小さきコキアの紅葉あり★★★★
身近に紅葉を見つけたうれしさ。庭さきの小さいコキアが紅葉している。コキアは今は景観のために公園に広く植えらているが、昭和の時代には、帚木と言われて庭に数本あった記憶がある。(髙橋正子)
桑本栄太郎
老犬の哀れ散歩や秋の冷え★★★
鵙猛る村の外れや屋敷森★★★
白壁の甍きらめき柿熟るる★★★
10月15日(4名)
小口泰與
岩越ゆる泡沫の水露寒し★★★
迸る岩打つ水や冷まじき★★★
夕さりの刈田へ吾の影長き★★★
廣田洋一
朝日中高々通る鵙の声★★★★
鵙鳴きて姿は見えぬ栗林★★★
休耕の畑静まり暮の秋★★★
多田有花
ひつじ雲総べるは天の羊飼い★★★
朝寒の日向にしばし佇みぬ★★★
絆創膏ゆっくりはがす夜寒かな★★★
桑本栄太郎
穭田のひつじ穂確と稔りけり★★★★
稲を刈り取ったあと、刈り後の株から緑の葉が出て、稲穂をつけることがある。その稲穂がたしかに稔り、色づいている。稲の生命の力強さをひしと思わずにおれない。(髙橋正子)
朝日差す畦の明かりや泡立草★★★
草むらを色どり密に赤のまま★★★
10月14日(3名)
多田有花
少しずつ枯れを宿して芙蓉の実★★★
沈みゆく陽の色からすうりの色★★★★
ひいやりとジャズの調べの落ち着きぬ★★★
小口泰與
トラックに鰯雲積み峠道★★★★
秋風や猿は野畑に出没す★★★
紅葉や赤城小沼は空の色★★★
桑本栄太郎
公園のコキア色づく秋日かな★★★★
コキアは帚木のこと。秋が深まると紅葉してくる。公園にはたくさん植えられ、一面赤く染まる。秋の日をそのまま受けて紅葉したかのようだ。(髙橋正子)
稜線の黒きうねりや秋の宵★★★
身に入むや向かいの棟に赤子泣く★★★
10月13日(4名)
小口泰與
蒼空へ皿投げ祈願渡り鳥★★★★
秋風や峠のパンク如何にせむ★★★
老犬のかすかな息や秋の暮★★★
廣田洋一
食前の一風呂浴びて温め酒★★★
差しつ差されつ話の弾む温め酒★★★
ぐい吞みは友の手作り温め酒★★★
多田有花
主なき廃屋なれど柿たわわ★★★
鵯やぼさぼさ頭で木を巡る★★★★
荻原や畑に降りる道は消え★★★
桑本栄太郎
黄落や掃かれた後もつづき居り(原句)
黄落や掃かれし後もつづき居り★★★★(正子添削)
ここは境内であろうか。銀杏の黄葉を掃いたあと、きれいにさっぱりしたところに、また黄葉が降り落ちる。黄落の期間はまだまだ続く。(髙橋正子)
合歓の実や乾ぶる莢の白きこと★★★
山茱萸の実の紅ひそむ葉蔭かな★★★

10月12日(4名)
小口泰與
そよ風やわけても菊の夕景色★★★
単線を襲う狼藉蔦かずら★★★
わだかまる桑を括るや風の道★★★
廣田洋一
添水鳴る音の間合ひや茶を啜る★★★
柿の実や順番待ちの鳥の群★★★
柿の実の照り返したる朝日かな★★★★
朝日に照り映える「柿の実」よりも、柿の実に照り返す「朝日」に焦点が当てられた句。きらきらと眩しい朝日は、秋の日を凝縮し、象徴している。(髙橋正子)
多田有花
陽を透かす高き小枝の蔦紅葉★★★
コスモスに朝の光のあたり初め★★★★
柿の実と同じ色なり柿紅葉★★★
桑本栄太郎
<孫の幼稚園の運動会参観>
園児らの綱を曳き居り運動会★★★
法被着る園児ら踊るソーラン節★★★
公園のコキヤ色づく秋日かな★★★
10月11日(4名)
小口泰與
庭の辺や鴉と競う葡萄棚★★★
日の匂う秋茄子貰うひと日かな★★★
風の無き稲の滴に朝日かな★★★★
廣田洋一
朝食は甘き金色林檎剥く★★★
仏壇に供へし林檎「世界一」★★★
津軽富士近くに望み林檎捥ぐ★★★★
桑本栄太郎
<新幹線の秋の旅>
六甲の稜線眩し秋の峰★★★
秋日さすビルの遥かに姫路城★★★
岡山の桃太郎線とや秋の旅★★★
多田有花
廃屋に背高泡立草の高し★★★
鵙猛る全身に朝の光浴び★★★★
鵙の鳴き声は鋭い。空気を切るように猛り鳴く鵙が朝の光を全身に浴びて、鋭さも増す。鵙には光が似合う。(髙橋正子)
晩秋やグリーンカレーを夕食に★★★

自由な投句箱/10月1日~10日

※当季雑詠3句(秋の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。
代表:高橋正子・管理:高橋信之