1月21日~1月31日(2023年)

1月31日(3名)
多田有花
<明石市・浜の散歩道三句>
陽光のきらめく渚鴨集う★★★★
日向ぼこするごと小船の引き上げられ★★★
春近き大橋の袂でウインドサーフィン★★★
廣田洋一
寒卵茹でてチーズに代へにけり★★★
道草の丈伸び来たり春隣★★★
ローラースケートの初すべり春隣★★★
桑本栄太郎
一月の果てて又もや雪催ひ★★★★
風花や赤き実乾ぶ遊歩★★★道
四温とはいまだ為らざる日差しかな★★★
1月30日(5名)
小口泰與
曙の澄める野川の氷柱かな★★★★
春近き利根の川面や夕日蹴る★★★
行く冬や解き放たれる髪膚にて★★★
廣田洋一
久闊を叙するメールや初三十日★★★
縦に割り白き身さらす白菜かな★★★
葉牡丹や朝日に向かひ傾ぎをり★★★
多田有花
<明石市・浜の散歩道二句>
春近き子午線の町を歩きけり★★★★
春隣る海まで坂道を降りる★★★
<明石市・来迎寺十一面観音像>
面変わり観音拝観寒の内★★★
桑本栄太郎
陽の力日々に戻りて日脚伸ぶ★★★★
寒晴れの日差し明るき窓の空★★★
残雪の遠嶺明るき日差しかな★★★
弓削和人
雪原や悲しいまでに澄みきりて★★★
寝て起きぬひかりて根づく雪の原★★★★
朝の日を氷柱や垂れて待ちわびぬ★★★
「待ちわびる」の「わびる」に感情が入りすぎているのではないでしょうか。(髙橋正子)
1月29日(3名)
多田有花
寒暁の静けさのなかに座りおり★★★
静かさは土曜の朝の積雪か★★★
午後の陽のすでに明るし春隣★★★
小口泰與
老躯いま鳥にかしずき四温かな★★★
隼や羽音激しき雀達★★★
鈴なりの雀の数や枯枝垂れ★★★
桑本栄太郎
凍雪の車閉じ込め出でられず★★★
寒禽の雪を零して飛翔かな★★★★
網に入れ種の干軒端に草城忌★★★
1月28日(4名)
廣田洋一
地元産野菜特売春隣★★★
湘南に雪の予報や春近し(原句)
「湘南に雪の予報や」と「春近し」の関係が気になります。(髙橋正子)
湘南に雪の予報も春近し★★★★(正子添削)
ぜんざいの餅は一つと決まりをり★★★
多田有花
昇り来る朝日を待ちぬ雪の嶺★★★★
雪の枝へ群れ集いたる雀かな★★★★
朝の雪雨に変わりて昼となる★★★
小口泰與
しかずかに一羽の鴨の群離れ★★★
隼や庭木の雀騒ぎたつ★★★
探梅や坂東太郎滔滔と★★★★
桑本栄太郎
凍晴れやはるかに望む雪の嶺★★★
凍雪のがりがり踏みて子等の声(原句)
凍雪をがりがり踏みて子等の声★★★(正子添削)
ふるさとの村の孤立や豪雪に★★★★
1月27日(4名)
小口泰與
夕映えの褪めてしまうや池の鴛★★★
鴨の中一羽悠然かいつぶり★★★★
綿入やさやにはにかむ吾子二人★★★
廣田洋一
風止みて三日月冴ゆる西の空★★★
参道に龍の玉あり南無阿弥陀★★★★
柊挿していつも通りの鮨屋かな★★★
多田有花
風おさまる夕刻雪の降り出しぬ★★★
積雪に備えワイパーを上げる★★★
冬帝に列島頭を低くする★★★
桑本栄太郎
凍窓や起きてすぐ拭く日のつづく★★★
窓を開け又もしきりに今朝の雪(原句)
窓開ければ又もしきりに今朝の雪★★★★(正子添削)
凍空や早やも日暮れのあかね雲★★★
1月26日(5名)
小口泰與
手のひらへふはりと野鳥枯木立★★★
山風の溶かす大地や日脚伸ぶ★★★
さ迷える人の数多や虎落笛★★★
多田有花
寒波来る外の蛇口にタオル巻く★★★
雲低く寒風しだいに強まりぬ★★★
冬将軍総攻撃の今宵かな★★★
廣田洋一
ふくら雀鉢に休みて動かざる★★★★
日の当たる道を塞ぎしふくら雀★★★
悴みて三日月照らす西の空★★★
桑本栄太郎
何もかもリセットするかに雪景色★★★
ガリガリと車発車や凍つる朝★★★
日脚伸ぶ吾が半生に瑕瑾なし★★★
弓削和人
マフラーをきつく締めるや戸の施錠★★★
日向ぼこバスを待ち待ち頬ゆるみ★★★
寒風や荷物を手繰る指かたし★★★
1月25日(4名)
小口泰與
さびさびの利根の河原や冬の鷺★★★
様様な波の形や枯葎★★★
笹鳴や襖閉めたる四畳半★★★★
廣田洋一
探梅や天神様に祈願せり★★★
探梅や良い匂いねと声上がり★★★
川べりの草々揺れて冬田かな★★★
桑本栄太郎
雪しまく雄叫び激し夜もすがら★★★
風雪や禍根残らぬ吾が半生★★★
露凝るや窓拭く時の開けやらず★★★
弓削和人
風花の舞いて大きく車窓を過ぐ★★★
冬木立学生時分の吾の影★★★
寒波あり天のいずこやはからうか★★★
1月24日(5名)
小口泰與
寒梅や風に逆らう二羽の鳶★★★
鷹舞うや蒸気機関車喘ぎける★★★
水鳥や咳く我に鋭声吐く★★★
多田有花
干し物に残る湿りや冬深し★★★
強霜のなかにいきいき大根葉★★★★
強霜にもめげず、大根葉が緑濃い葉をいきいきと広げているのを見ると、
人間も励まされ、元気がでる。寒ければ寒いほど、元気に葉を広げている大根が際立つ。(髙橋正子)
雨の朝軒下で鳴き寒雀★★★
廣田洋一
残り物寄せ鍋にして一人分★★★
寄せ鍋や婦人が采配振るひたり★★★
庭の隅彩り付けて実千両★★★★
桑本栄太郎
寒波来る顔をしかめつ歯の治療★★★
麦の芽のあごひげかとも葦平忌★★★
雪しまく京の夜とはなりにけり★★★★
盆地である京都は街まで雪が深く積もることは珍しいと報道されていた。この度の寒波でみやびな京の夜も雪がしまき、白一色の世界となっている。(髙橋正子)
弓削和人
寒波いま信号待ちにすれ違い★★★
底冷えや蛇口は一切閉じにけり★★★★
都心ビル闇に響ける虎落笛★★★
1月23日(5名)
小口泰與
赤城よりこれぞこの風空っ風★★★
さなぎだに山湖淋しき鴛鴦一羽★★★
流れ行く水を触りて春を待つ★★★★
流れ行く水を見れば、触りたくなるのは待春の心。決して凍っていない、そうそうと流れる水は、幾分かでも温みはじめたであろうか。「流れ行く水」がいい。(髙橋正子)
廣田洋一
窓際の鉢にやりたる寒の水★★★
寒の水五臓六腑の目覚めけり★★★★
起き抜けの腰痛止めんと寒灸★★★
多田有花
寒暁の空に残りし飛行機雲★★★
春を待ち作る真昼のカレーかな★★★★
午後の陽の陰りて雪の予報かな★★★
桑本栄太郎
陽光の日差し明るく寒の雨★★★
雨降れば体操したる寒波かな★★★
<故郷の日本海を追憶>
海鳴りのふるさと想う寒怒涛★★★
弓削和人
遊ぶ子ら帰る夕べの雪の跡★★★
家の中そぞろ歩きて深雪かな★★★
天高く地を推す雪や夜の杜★★★
1月22日(4名)
小口泰與
上州の風の定かな冬の利根★★★
着水の鴨たちまちに首伸ばし★★★
枯枝にさと向きを変う野鳥かな★★★
多田有花
投げられしバトン追いけり冬の犬★★★
春まぢか知らせるものは日差しなり★★★
ヒレ肉の色鮮やかに日脚伸ぶ★★★
廣田洋一
茶の花や小川の流れゆったりと★★★
茶の花の垣を成したり池の端★★★
大寒の水ひたひたと法の池★★★
桑本栄太郎
教会の讃美歌零れ寒の晴れ★★★
寒禽の翔ぶと云うより跳びにけり★★★★
鳥も寒いと体が縮こまって硬くなるのか、「飛翔」とは言い難い飛び様。チョンチョンと跳んでいるような姿を見せてくれる。寒さにふくらんだ鳥の姿が思い浮かぶ。(髙橋正子)
陽光のマルチ煌めく寒日和★★★
1月21日(5名)
小口泰與★★★
近寄るや沼へ翔け行く鴨の群★★★
笛の音に冬霧立つや山の城★★★
赤城よりこの風定か虎落笛★★★
廣田洋一
訃報告げる友の留守電冴えにけり★★★
ライブ果つ不忍池の冴ゆる中★★★
道端に喇叭並べる水仙花★★★
友田 修
大寒の朝穏やかに晴れわたる★★★
大寒にひかり輝く屋根瓦★★★★
雑煮餅これが最後ね妻が言う★★★
多田有花
車出すリアウインドウ凍てしまま★★★
地は白く凍てて朝日を焦がれおり★★★
寒鴉鳴く声夜明けを告げており★★★
桑本栄太郎
才媛の疎まれやすく久女の忌★★★
陽光の光りきらめき風花す★★★★
風花は遠くの嶺などに降った雪が風で運ばれてちらちら降る雪。大寒には、はや日の光は明るく強さを増してくる。日の光は、なりよりも季節の推移を報せてくれる。明るさの中に舞う風花が美しい。(髙橋正子)
ビニールのハウス煌めき春近し★★★

自由な投句箱/1月11日~1月20日(2023年)

※当季雑詠3句(新年・冬の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。
主宰:高橋正子・管理:高橋信之

今日の秀句/1月11日~1月20日

1月20日(1句)
★冬枯を静かに流る昼の川/多田有花
「昼」と時を特定された川は、朝や夕べの川と何が違うのだろうか。姿を良く見せて明らかに、急がず緩まず流れる。冬枯には昼の川を一本通したい。枯れの静かさがいい。(髙橋正子)
1月19日(1句)
★日に光るビニールハウス春隣り/桑本栄太郎
日に光るビニールハウスを見ると春が近いと感じてします。ふんだんに差す明るい日の光は春なればこそのもの。(髙橋正子)
1月18日(1句)
★葱提げて妙義の風を纏いけり/小口泰與
上毛三山の一つ妙義山の麓下仁田は葱の産地で有名。丈が短く太い下仁田葱は煮ると甘くとろけるようになり美味。葱を提げ、土産にして誰かを訪ねるところか。畑から抜いて帰るところか。それはわからないが、妙義山からの寒風をまとい葱を提げるのは、この地の生活であろう。(髙橋正子)
1月17日(1句)
★明けやらぬ刻や阪神震災忌/桑本栄太郎
阪神・淡路大震災が起こったのは、1月17日の未明。明けやらぬ刻。そのとき私たちは松山に住んでいたが、揺れに起こされ、テレビをつけると死者のニュースや、新幹線の橋脚が倒れ、道路が曲がっている映像。死者もはじめ500人になるのではと思っていたが、時間が経つにつれ、大変な災害になっているとわかった。死者は5000人を超え始め、近所の娘さんも一日経って遺体となって松山への実家へ帰られた。その「明けやらぬ刻」が記憶されるべき追悼の時となった。(髙橋正子)
1月16日(2句)
★寒風の竹林大きくゆらぎけり/桑本栄太郎
寒風に竹林がゆらぐ。こきざみではなく、大きくゆらぐ。竹のしなやかさ、寒風の力強さが思われる。(髙橋正子)
★初風呂や新たな湯気を胸いっぱい/弓削和人
新年初めて風呂に入った。新年の風呂の湯気は、新しく、ぬくぬくと湯船から立ち上がる。その湯気をためらわず胸いっぱい吸った。気持ちのよい大らかな句。(髙橋正子)
1月15日(2句)
★寒中の快晴水音軽やかに/多田有花
寒中の瀬戸内は快晴が続いた。雨も降らないので、流れる水の音は軽やかに鳴っている。寒中の清潔さのなかの水音がきれいだ。(髙橋正子)
★夜来の雨止みたる空にどんどの火/廣田洋一
夜来の雨があがったばかりの空は、塵が洗われてうるんだような感じ。その空へどんどの火が大きく燃え上がる。正月の飾りを焼くどんど火がきよらかだ。(髙橋正子)
1月14日(1句)
★先んずる鴨の鋭声や沼真中/小口泰與
先を行く鴨が鋭い声を発している。何かを警戒する声か。沼の真ん中というのも気になるが、状況が真に迫って読み取れる。(髙橋正子)
1月13日(句)
★新海苔の香り立ちたる握飯/廣田洋一
新海苔と聞けば、どこか粋な印象を私はもつ。握飯に巻けばいい香りが立ち食欲がそそられる。単刀直入な表現があっさりしていて内容にふさわしい。(髙橋正子)
1月12日(2句)
★存分に日差しを浴びる刈田かな/多田有花
存分に日差しを浴びる刈田がおだやか。瀬戸内沿岸の刈田の風景を思い起こす。日差しはその地方地方の気候の特徴をよく表しているように思う。日差しがよく観察された句。(髙橋正子)
★獣ゆく足跡のほか雪ばかり/弓削和人
降り積もった雪を歩いて行ったのは獣だけ。残されているのはその獣の足跡。
それ以外は何もない世界のさびしさ。少し気持ちを離してみれば、メルヘンの世界のようである。(髙橋正子)
1月11日(1句)
★寒梅や澄みたる空に伸びる枝/廣田洋一
寒梅の若枝がすっと空に伸びている。伸びた枝が寒空の青さを印象付けて、余分のないすっきりした句になっている。(髙橋正子)

1月11日~1月20日

1月20日(4名)
小口泰與
日脚伸ぶさして卒寿も遠からず★★★
玲瓏と浅間の朝や鴛鴦の沓★★★
夕暮の色定まりぬ雪浅間★★★
多田有花
コンビニのひとつ閉店寒の内★★★
冬枯を静かに流る昼の川★★★★
寒未明始発列車の音聞こゆ★★★
廣田洋一
正月も二十日過ぎたる吟行会★★★
大寒の空を仰ぎて外出す★★★
墓原のぱっと華やぐ寒紅梅★★★★
桑本栄太郎
大寒の鉄塔ならぶ嶺の青★★★
川に沿い桜冬芽の坂下る★★★
寒鯉の緋色なれども動きなし★★★
1月19日(4名)
小口泰與
先頭の鴨の高音のさざめかす(原句)
「さざめかす」は、他動詞なので目的語(何を)がいります。(髙橋正子)
先頭の鴨の高音のさざめけり★★★(正子添削)
鳥声の枝さしかわし枯木山(原句)
「鳥声が枝をさしかわす」は意味としてどうでしょうか。(髙橋正子)
鳥声や枝さしかわす枯木山★★★(正子添削)
鎖樋風にさざめき寒雀★★★
多田有花
椪柑や豊後の国より届きけり★★★
陽の明るし寒風は強けれど★★★
「けれど」が気になります。(髙橋正子)
まだ暗き中へ起きだす寒の朝★★★
廣田洋一
あの話聞けなくなりぬ龍の玉★★★
掻き分けて声を出したり龍の玉★★★
星冴ゆる不忍池の恋の歌★★★
桑本栄太郎
早梅やかつて庄屋の屋敷跡★★★
寒晴れや日差しそびらに吾の影★★★
日に光るビニールハウス春隣り★★★★
1月18日(4名)
小口泰與
葱提げて妙義の風を纏いけり★★★★
北風や赤城の空の蒼あをと★★★
赤城嶺の支えし空や北颪★★★
多田有花
県警に半旗阪神震災忌★★★
この寒は暖かき日の続きけり★★★
寒卵三つでオムレツを作る★★★
桑本栄太郎
みずいろの峰の奥より寒波来る★★★
山茶花の散り敷き襤褸の歩道かな★★★
ぷかぷかと波に乗り居り浮寝鳥★★★
弓削和人
びゅうびゅうと闇の奥なる雪入道★★★
遠くより闇に伴う寒波かな★★★
底冷えに耐えし靴下厚くなれ★★★
1月17日(4名)
小口泰與
一羽消え数多飛び去る寒雀★★★
山風のさきがけ浴びし枯木かな★★★
先んずる白波迫り鴛鴦の沓★★★
廣田洋一
足先に懐炉はりつけ受験せり★★★
温石を抱きたる僧や忌を修す★★★
訃報受く窓打つ風の冴ゆるかな★★★
多田有花
あのときのことを話して阪神忌★★★
日脚伸ぶ瓢箪あまた吊るされて★★★
寒鴉陽の明るさを示しおり★★★
桑本栄太郎
明けやらぬ刻や阪神震災忌★★★★
地道行く川に沿い居り葦枯るる★★★
早梅や古民家ありぬ街の中★★★
1月16日(5名)
廣田洋一
パチリパチンどんどの竹の撥ねる音★★★
大相撲定時に終わり日脚伸ぶ★★★
雨空に色くすみたる蠟梅かな★★★
小口泰與
手のひらの餌へふわりと冬の鳥★★★★
暖簾出す女将の髪へ牡丹雪★★★
墨痕の和紙の目覚めや冬木の芽★★★
多田有花
講演を終えて寒九の雨のなか★★★
身ひとつで膨れておりぬ寒雀★★★★
小正月今年の目標あらたにす★★★
桑本栄太郎
陸橋を越えてバスへと寒の風★★★
すすり泣くように聞こゆや虎落笛★★★
寒風の竹林大きくゆらぎけり★★★★
弓削和人
閉ざされし冬を耐えけり灯のぬくし★★★
郵便のポストや近し冬暖★★★
初風呂や新たな湯気を胸いっぱい★★★★
1月15日(4名)
小口泰與
冬蜂の草にささめく朝かな★★★
町会の古老の話し冬蕨★★★
老いらくの椿の花へ野鳥かな★★★
多田有花
遠山の姿を隠す寒霞★★★
寒中の快晴水音軽やかに★★★★
寒ぬくし修理されたる車待つ★★★
廣田洋一
夜来の雨止みたる空にどんどの火★★★★
消防団火掻棒持ちどんど守★★★
左義長の団子分け合ふ親子かな★★★
桑本栄太郎
女正月わすれ寝過ごす夫の我★★★
どんど火の妻は徒歩にて神社へと★★★
木々の枝の色づき始め日脚伸ぶ★★★
1月14日(5名)
弓削和人
虎落笛ふけたる夜に鳴きにけり★★★
白鳥のふわり降りてや湖面揺れ★★★★
銭湯の簾や寒さ遠くなり★★★
小口泰與
先んずる鴨の鋭声や沼真中★★★★
麦の芽や赤城の空のささ濁り★★★
さざめかせ餌台占むる寒雀★★★
廣田洋一
寒九の雨畑の土を黒々と★★★
起きしなに一杯飲みし寒の水★★★
並木道冬芽見上げつ通りけり★★★
多田有花
暖かき雨音を聞く寒八日★★★
どんど焼を知らせる放送雨の朝★★★
山々をけむらせ続く寒九の雨★★★
桑本栄太郎
水仙の雨の滴や下を向く★★★
午後よりのZOOM句会やしぐれ降る★★★
午後四時のはやも暮れたり寒の雨★★★
1月13日(名)
小口泰與
餌やりの時や賢しき寒雀★★★
空風に逆らう事はせざりけり★★★
離れ行く時は追わずや鴛鴦の沓★★★
廣田洋一
冬菫色鮮やかに庭を占め★★★
日当たり良き道に膨らむ冬木の芽★★★
新海苔の香り立ちたる握飯★★★★
多田有花
細道で道を譲りぬ枇杷の花★★★
仏の座枯田彩り咲きにけり★★★
寒中の枝に残れる柿数多★★★
桑本栄太郎
早梅やかつて庄屋の屋敷跡★★★
山茶花の散り敷き襤褸春近し★★★
腰高のもんぺ作業や冬菜畑★★★
1月12日(5名)
小口泰與
上州の風のさがなる玉子酒★★★
曙のさても賢き笹子かな★★★
山風に逆らう鳶や大根畑★★★
廣田洋一
納めたる松の小枝の青々と★★★★
鏡割小さき欠片を汁粉にす★★★
帰省せる子の注文やおでん鍋★★★
多田有花
存分に日差しを浴びる刈田かな★★★★
強霜の朝はよき日を約束す★★★
葱太くありけり畑の真ん中に★★★
桑本栄太郎
日差し受く吾のそびらや冬温し★★★
焼芋の小腹空くとき虫養い★★★
自転車の下校の列や日脚伸ぶ★★★
=注=・・「虫養い」、関西の方言、小腹の空いた時に食べるおやつ
弓削和人
獣ゆく足跡のほか雪ばかり★★★★
みちのくの道はさびしや雪霰★★★★
しんしんと夜の街灯吹雪けり★★★

1月11日(5名)
小口泰與
餌台へ五羽の雀や寒の朝★★★
凍雲やねっとり絡む京言葉★★★
口ずさむ酒宴の校歌新走り★★★
多田有花
懐かしき郵便ポストも日向ぼこ★★★
大根の打ち捨てられている畑★★★
白菜や丁寧に葉をくくられて★★★
廣田洋一
主無き庭に落ちたる寒椿★★★
寒梅や澄みたる空に伸びる枝★★★★
冬木の芽赤く膨らみ日を浴びる★★★
桑本栄太郎
玄関のさびしくなりぬ鏡割★★★
さざ波の光りきらめき日脚伸ぶ★★★
生きて在るこの世哀しく鳰潜く★★★
弓削和人
透き通る湖面や鶴をちらと見ゆ★★★
囀りや雪覆いたる待合所
「囀り」は春の季語で、「繁殖期の鳥の雄の縄張りと雌への呼びかけを兼ねた鳴き声をさす。」となっていますから、このことを先ずは抑えておきましょう。鳥の繁殖期のころも雪が待合所を覆っている情景となります。(髙橋正子)
吹雪きてや夕べに佇む遊覧船★★★★

自由な投句箱/1月1日~1月10日(2023年)

※当季雑詠3句(新年・冬の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
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「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。
主宰:高橋正子・管理:高橋信之

今日の秀句/1月1日~1月10日

1月10日(2句)
★老犬の眠りこけたり寒ぬくし/多田有花
寒中といえども温い日、老犬は眠りこけている。暖かくて、気持ちよいのだろうなあと思うが、老いの安けさを感じる。(髙橋正子)
★風止むる田沢湖いまを鳥渡る/弓削和人
風が止んだ今を見計らったのか、田沢湖の上を鳥が渡っていく。田沢湖はその水の色が瑠璃色とまで言われ美しい。鳥渡る田沢湖の「今」をよく捉えている。(髙橋正子)
1月9日(1句)
★駅前に集う晴れ着や成人日/桑本栄太郎
晴れ着を着た成人たちが駅前に集っている。成人式の式場に行くためにみんなが電車を降りたところかもしれない。たくさんの晴れ着姿に、通りすがりにも成人を寿ぐ。(髙橋正子)
1月8日(1句)
★水鳥の水脈きらめかせ番かな/廣田洋一
番の水鳥が水脈を引いて泳いでいる。日にきらきら輝いて、番だからこそ見せる睦まじさが穏やかな景色となっていい。(髙橋正子)
1月7日(1句)
★探梅のような散歩や日差し居り/桑本栄太郎
静かにも明るい日差しのなかを散歩していると、まるで探梅をしているような気持ちになった。日差しに誘われてのことながら、はやも梅が咲くのが待ち遠しいころになった。(髙橋正子)
1月6日(1句)
★除雪車の過ぎて一条道ひらく/弓削和人
雪のなかに一条の道がひらかれてモノトーンの日本画のような印象の句。「ひらく」がいい。(髙橋正子)
1月5日(1句)
★せせらぎの水禽せせる高瀬川/桑本栄太郎
高瀬川はもと京都市街と伏見の物流のための運河。底の平らな高瀬舟によって物が運ばれた。水路は変遷を経たようである。川の浅さを物語るように、「せせらぎ、せせる」の語が使われている。「水禽」が季語の力を発揮している。(髙橋正子)
1月4日(1句)
★知らぬ人なれど春着や懐かしき/弓削和人
春着を着ている人はどの年ごろの人だろう。懐かしさを覚える感覚がいい。(髙橋正子)
1月3日(1句)
★初御空真白き連山重なれり/弓削和人
「真白き連山」が凛と連なる。その姿に粛然とし、初御空に晴れやかな気持ちになる。句姿がよく内容にふさわしい。(髙橋正子)
1月2日(1句)
★庭隅の枝に鳥居る二日かな/小口泰與
正月二日という特別な日でなければ、庭隅に鳥が居ることにも、さほど心が動かないだろうが、わが家の庭隅に鳥が居るだけで、正月二日がうれしく、楽しい日になる。(髙橋正子)
1月1日(2句)
★渓流の流れ清らや年新た/小口泰與
新年の静寂から流れ出したように、渓流の流れは清らか。新年の神事を思わせる清らかさがいい。(髙橋正子)
★元日や湖水の果てを見晴らせり/弓削和人
元日の湖水の果てを見晴らす。その心に、美しい湖水の果てに未来の確かな一点を見つけたい気持ちを感じる。(髙橋正子)

1月1日~1月10日(2023年)

1月10日(5名)
小口泰與)
冬ばらの剪定終うや鳥は巣へ★★★
餌台の争う雀冬の朝★★★
寒暁や朝日に騒ぐ足の指★★★
多田有花
正月の混雑後に下りに乗る★★★
寒四郎電気ケトルで湯を沸かす★★★
老犬の眠りこけたり寒ぬくし★★★★
寒中といえども温い日、老犬は眠りこけている。暖かくて、気持ちよいのだろうなあと思うが、老いの安けさを感じる。(髙橋正子)
廣田洋一
寄り添ひて右に左に寒の鯉★★★
寒鯉の留まる影や街の川★★★
冬耕を終へし畑や寒日和
季重なりと思います。(髙橋正子)
桑本栄太郎
陽射しても風の冷たき春待たる★★★
泣き声のように哀しき虎落笛★★★
かいつぶり吾の溺るるこの世かな★★★
弓削和人
昇る日のみちのく白く照らしけり
季語は?
風止むる田沢湖いまを鳥渡る★★★★
風が止んだ今を見計らったのか、田沢湖の上を鳥が渡っていく。田沢湖はその水の色が瑠璃色とまで言われ美しい。鳥渡る田沢湖の「今」をよく捉えている。(髙橋正子)
瑠璃色や湖面に映す吾の罪★★★
1月9日(4名)
小口泰與
虎落笛忽と飛び立つ雀達★★★
霜の朝飛び來る雀庭を食む★★★
じんじんと床に這い入る隙間風★★★
多田有花
<渋谷スカイ・三句>
林立すビルを一望おらが春★★★
スカイツリー門松のごと佇みぬ★★★
初春やビルの名前を指さして★★★
廣田洋一
寒満月仰ぎ見とれる朝かな★★★
竹の花一目見ようと冬帽子★★★
膨らみし腹を目当てに柳葉魚買ふ★★★
桑本栄太郎
駅前に集う晴れ着や成人日★★★★
晴れ着を着た成人たちが駅前に集っている。成人式の式場に行くためにみんなが電車を降りたところかもしれない。たくさんの晴れ着姿に、通りすがりにも成人を寿ぐ。(髙橋正子)
山あいのうつすら黒く冬がすみ★★★
沈みゆく我の記憶やかいつぶり★★★
1月8日(4名)
多田有花
<鉄道博物館ステンドグラス>
明の春過ぎゆくものこそ美しき★★★
<渋谷スカイ・二句>
渋谷スカイ地上230mの門松★★★
新春の渋谷スカイ外国人数多★★★
小口泰與
天狼や小犬の眼らんらんと★★★
寒風や赤城と利根の狭間にて★★★
老体を粉粉にせり空っ風★★★★
廣田洋一
水鳥の水脈きらめかせ番かな★★★★
番の水鳥が水脈を引いて泳いでいる。日にきらきら輝いて、番だからこそ見せる睦まじさが穏やかな景色となっていい。(髙橋正子)
ベンチにて句作をしつつ日向ぼこ★★★
波除の茅の輪をくぐる寒日和★★★
弓削和人
真青なる空の氷柱に雪の玉★★★
寝て眠りまどろむ夢や寝正月★★★
みちのくの雪また雪に出逢いけり★★★★
1月7日(5名)
廣田洋一
七草粥一人で祝ふ昼餉かな★★★
兎の絵墨で描かれし年賀状★★★★
年賀状これが最後の挨拶と★★★
小口泰與
福だるま雲の寄り合う榛名富士★★★★
枯枝に雀色時雀達★★★
理不尽な数多の死者や冬の星★★★
多田有花
<鉄道博物館・三句>
新玉の鉄道博物館の駅弁★★★
新年やお召列車を引きし車両★★★
広々と並ぶ車両やお正月★★★
桑本栄太郎
飛び飛びの銀杏冬芽の光りけり★★★
くいくいと桜冬芽のあおぞらに★★★
探梅のような散歩や日差し居り★★★★
静かにも明るい日差しのなかを散歩していると、まるで探梅をしているような気持ちになった。日差しに誘われてのことながら、はやも梅が咲くのが待ち遠しいころになった。(髙橋正子)
弓削和人
瑞雲のたなびく空や街遠く★★★
庇より垂るる氷柱に雪はしゃぎ★★★
朝まだき真白き雪を踏みきしる★★★★
1月6日(5名)
小口泰與
そういえば裸木ばかり寺の庭★★★
凍滝の憤怒の巌や蒼き空★★★
史記閉じて大欠伸せり置炬燵★★★
多田有花
<鉄道博物館・三句>
0系の新幹線見る二日かな★★★
新春を疾走してゆく新幹線★★★
しめかざり展示の蒸気機関車に★★★
廣田洋一
門松や竹の伐り口際立てり★★★
仕事始満艦飾の物干台★★★
初夢や身に覚え無き場所に立ち★★★
桑本栄太郎
馬日はや裏白反りて乾びけり★★★
里山のちりちり縮み寒に入る★★★
濡れそぼつ貌を振りつつ鳰浮ぶ★★★
弓削和人
降り積もる雪の段段深夜かな★★★
新しき風や吹きゆく初祓★★★
除雪車の過ぎて一条道ひらく★★★★
雪のなかに一条の道がひらかれてモノトーンの日本画のような印象の句。「ひらく」がいい。(髙橋正子)
1月5日(5名)
小口泰與
枯枝に群咲き動く雀達★★★
風向きの変わり噴煙葱畑へ★★★
踏み石の浮きて寒犬声高し★★★
廣田洋一
酒肴揃へて待ちぬ年賀客★★★
子供の声先駆けしたる年始客★★★
神門をくぐれば允つる淑気かな★★★
桑本栄太郎
牛日の花見小路の着物かな★★★
せせらぎの水禽せせる高瀬川★★★★
桂川の中州占めたる真菰枯る★★★
多田有花
初晴や目をこらし見る富士の山★★★★
タワーより見晴らす東京初景色★★★
正月や踏ん張って立つ東京タワー★★★
弓削和人
初祓年を迎える人だかり★★★
氷柱折り飾りたくなる夕べかな★★★
買初の夜のしじまの静けさや★★★
1月4日(5名)
多田有花
迎春の準備整う神社かな★★★
門松や江戸前鮨の暖簾に添い★★★
去年今年鳥居連なる道をゆく★★★
小口泰與
朝礼に集ふ四日の顔と顔★★★
楪や蔵に納まる武具の数★★★
木の下へ雀舞い下る福寿草★★★
廣田洋一
福寿草咲きたる庭や子らの笑み★★★
初荷旗なびかせ届くコンビニ店★★★
ふと浮かぶ歳時記拡げ去年今年★★★
桑本栄太郎
寒風のさざ波立つや水脈ゆらぐ★★★
にほ鳥の忽と潜きぬ静寂かな★★★
池の辺の風さえぎらず蘆枯るる★★★
弓削和人
年賀状妻に任せる月日かな★★★
知らぬ人なれど春着や懐かしき★★★★
春着を着ている人はどの年ごろの人だろう。懐かしさを覚える感覚がいい。(髙橋正子)
朝日より氷柱のしずく輝かむ
「輝かむ」の「む」の意味は?
「輝かむ」は「輝こう」(意志)、「輝くだろう」(推量)の意味になりますが、素直に「朝日より氷柱のしずく輝けり」とできます。(髙橋正子)
1月3日(5名)
小口泰與
掃除機にかかる埃も三日かな★★★
三日はや山は吹雪いていたりけり★★★★
背景に白き浅間や初写真★★★
廣田洋一
朝採りの野菜を空路初荷かな★★★
初荷幟にぎにぎしくも新宿に★★★★
寒鯉の群れてひしめく日向かな★★★
多田有花
快晴に仰ぐ今年の東京タワー★★★
餅花の揺れが映りし金屏風★★★
フロントに鏡餅の飾られて★★★
桑本栄太郎
三日はや小豆雑煮も飽きにけり★★★
あおぞらに銀杏冬木の煌めける★★★★
凧揚げの親子三人走り居り★★★
弓削和人
初御空真白き連山重なれり★★★★
お降りや湖水に深く沈みたり★★★★
たづね来し客のやわらぐ淑気かな★★★

1月2日(4名)

小口泰與
庭隅の枝に鳥居る二日かな★★★★
二日はや浅間へ没日鳥の声★★★
鴛鴦の雄羽をひろげし二日かな★★★
廣田洋一
初御空白く抜き取り富士の峯★★★
数の子の景気良き音祝ぎの膳★★★
節料理縁起良き品揃ひをり★★★
桑本栄太郎
二日早やパンを所望の朝餉かな★★★
竹林の節の白さや淑気満つ★★★
凧揚げの子等の嬌声公園に★★★
多田有花
DJポリス初詣客を誘導す★★★
初春のビルの間にスカイツリー★★★
東京の門松は色彩少なし★★★
1月1日(5名)
小口泰與
噴煙の垂直に伸び初浅間★★★
渓流の流れ清らや年新た★★★★
朝風呂に髪膚委ねる初音かな★★★
廣田洋一
初御空白き半月浮かびをり★★★
狛犬の口中紅く初詣★★★
甘酒の味かみしめる初詣★★★★
桑本栄太郎
紅白を終えて湯に入り除夜の鐘★★★
東雲のうすき茜や初日の出★★★
朝よりの年賀あいさつパソコンに★★★
多田有花
異郷にて年越すことの面白し★★★
元朝の皇居の空は日本晴★★★
ゴーカート連ねて走る新春に★★★
弓削和人
みちのくで去年今年いま越えしかな★★★
元日や湖水の果てを見晴らせり★★★★
人日や思い多くも言少し★★★

自由な投句箱/12月21日~12月31日

※当季雑詠3句(冬の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。
主宰:高橋正子・管理:高橋信之

今日の秀句/12月21日~12月31日

12月31日(2句)
★大年の二年詣りや山の道/小口泰與
「二年詣り」は、大晦日の零時から新年を跨いで初詣をすること。産土神へのお詣りか「山の道」が効いている。(髙橋正子)
★枯菊の香り惜しみつ捨てにけり/廣田洋一
菊は枯菊となっても清らかな香りがある。捨てるには惜しいような香りであるが、枯れたので捨てたのだ。(髙橋正子)
12月30日(2句)
★鷹の子を見に行く子供母の背に/廣田洋一
背負われた子は男児だろう。背負われて見にゆく男児の好奇心が面白く、ストーリー性のある句になっている。(髙橋正子)
★年用意終へて水遣る室の鉢/桑本栄太郎
忙しく年用意を終えて一段落。忙しさに気が行き届かなかった室の鉢へ、今たっぷりと水を遣る。水も室の鉢物も喜んでいる感じがする。(髙橋正子)
12月29日(1句)
★風が風押して赤城や年歩む/小口泰與
赤城颪が吹くのか。風が風を押すような強い空っ風が吹く上州はまさに風の町。「風が風押し」と「年歩む」が呼応したような動きがあるのが、句として妙味。(髙橋正子)
12月28日
 ※該当句無し
12月27日(2句)
★年の瀬の宵ひとときの通り雨/多田有花
年の瀬のあわただしさの中、ひとときの通り雨に世の中はしっとりと着いたように思える。(髙橋正子)
★みちのくや明日の雪まで降りしかも/弓削和人
みちのくに越して雪の多さへの驚き。「明日の分の雪まで降ったのか」と思うほどの雪。(髙橋正子)
12月26日(2句)
★北の山白く輝きクリスマス/多田有花
北の山が白く雪を冠っている。その景色でクリスマスは十分だ。余分なものがなく、すっきりとしたクリスマスの句。(髙橋正子)
★賀状書く旅の思ひで次々と/廣田洋一
賀状を書くうちに一年のあれこれが思い出される。旅の思い出も次つぎ浮かんでくる。(髙橋正子)
12月25日(1句)
★手のひらの千両に来る野鳥かな/小口泰與
野鳥がてのひらに来ることは、めったにないが、里山あたりでは、警戒しないで来るのかもしれない。千両の赤い実も、寄ってくる小鳥も生き生きしている。誰にもわかりやすい句。(髙橋正子)
12月24日(句)
★冬晴れの湖水のいまぞ澄み切りて/弓削和人
冬晴れの湖水はいろんな表情をみせるが、今、湖水は澄み切っている。厳寒の地に立てばこそ見える澄み切った瑠璃色を見た感動なのであろう。(髙橋正子)
12月23日(1句)
★木枯しやさざ波青きにわたずみ/桑本栄太郎
雨が上がり、青空となった日。木枯が吹いて青空の映るにわたずみにさざ波と立てている。きれいな、塵のない冬の小景。(髙橋正子)
12月22日(2句)
<たつの市・ヤッホの森>
★幸せの鐘響かせる十二月/多田有花
ヤッホの森には「幸せの鐘」がある。十二月の空にだれかが鐘を響かせている。だれもが幸せでありますように。(髙橋正子)
★きらきらとはく息白く空へとけ/弓削和人
きびしい寒気にはく息がきらきらと輝く。すぐさま空へ「とける」。はく息のはかない美しさ。(髙橋正子)
12月21日(2句)
★橋脚の白く乾きて冬の川/廣田洋一
橋脚という即物的な物を詠んで、水の少なくなった冬の川の様子が率直に伝わってくる。そんな様子にも人の心は動く。(髙橋正子)
★除雪車に雪また雪や吹雪たり/弓削和人
除雪車が雪を除雪している最中も吹雪いてくる。「除雪車」「雪また雪」「吹雪」と重なる言葉に雪国の厳しさが知れる。(髙橋正子)

12月21日~12月31日

12月31日(4名)
小口泰與
大年の二年詣りや山の道★★★★
「二年詣り」は、大晦日の零時から新年を跨いで初詣をすること。産土神へのお詣りか「山の道」が効いている。(髙橋正子)
木の股に鳥の餌を置く大晦日★★★
年の夜や池にきらりと星ひかり★★★
桑本栄太郎
大歳の老いの二人や朝歩き★★★
貌ぬらし辺り見回し鳰浮ぶ★★★
年用意終えて安堵の理髪かな★★★
廣田洋一
枯菊の香り惜しみつ捨てにけり★★★★
菊は枯菊となっても清らかな香りがある。捨てるには惜しいような香りであるが、枯れたので捨てたのだ。(髙橋正子)
折鶴を番で飾る年の暮★★★
子と二人静かにすする晦日蕎麦★★★
多田有花
風少しありて晴れたり小晦日★★★
深大寺蕎麦をいただく小晦日★★★
柴又で天丼を食ぶ大晦日★★★
12月30日(4名)
廣田洋一
注連飾り終へて茶を汲む夕間暮れ★★★
鷹の子を見に行く子供母の背に★★★★
背負われた子は男児だろう。背負われて見にゆく男児の好奇心が面白く、ストーリー性のある句になっている。(髙橋正子)
半月に明星光りて年送る★★★
小口泰與
住み慣れた大庇より寒雀★★★
小晦日野鳥見たさに沼におり★★★
浅間はや雀色時小晦日★★★
桑本栄太郎
年用意終へて水遣る室の鉢★★★★
忙しく年用意を終えて一段落。忙しさに気が行き届かなかった室の鉢へ、今たっぷりと水を遣る。水も室の鉢物も喜んでいる感じがする。(髙橋正子)
一句得る為に眺むる浮寝鳥★★★
水脈を曳く水面きらめく番鴛★★★
多田有花
年の瀬や塵も積もれば山となる★★★
年の湊越えれば新たなる船出★★★
年の暮お江戸に向かう用意する★★★
12月29日(4名)
小口泰與
風が風押して赤城や年歩む★★★★
赤城颪が吹くのか。風が風を押すような強い空っ風が吹く上州はまさに風の町。「風が風押し」と「年歩む」が呼応したような動きがあるのが、句として妙味。(髙橋正子)
数え日や沼の巌の鳥の数★★★
鷹翔つや奇岩の妙義峙てり★★★
多田有花
早起きや耳まで覆う防寒帽★★★
手袋をつけてキーボードを叩く★★★
数え日の朝の銀行にひとり★★★
廣田洋一
年毎に手抜きの進歩年用意★★★
子の好きなちょろぎを買ひて年用意★★★
浮寝鳥戦終えたる源平池★★★
桑本栄太郎
ぎりぎりの焦りながらも賀状書く★★★
名簿見る時に顔見ゆ賀状書く★★★
人は皆想い出に生き賀状書く★★★
12月28日(4名)
小口泰與
角打ちやサイレン響く年の暮★★★
寒晴やカメラを肩に談笑す★★★
人の世を彷徨いさ迷い年の暮★★★
廣田洋一
読み終えし本を売りけり年の暮★★★
年の瀬や運試しにと宝くじ★★★
大根焚一つ加えし夕餉かな★★★
多田有花
新札に両替をして年用意★★★
寒波緩む身の緊張も同様に★★★
節約は副業なりき年の暮★★★
桑本栄太郎
数え日のスケジュール見るボードかな★★★
外出の妻の留守とや煤払う★★★
数え日やタイムオーバーなる見込み★★★
12月27日(5名)
小口泰與
噴煙の流れ早きや年惜しむ★★★
庭の鳥はや舞い立つや暮早し★★★
底冷えの足の先より痛みけり★★★
廣田洋一
燗酒や注いで注がれて夜の更ける★★★
要らぬもの捨てることより年用意★★★
冷凍の食品届く年用意★★★
多田有花
年の瀬の宵ひとときの通り雨★★★★
年の瀬のあわただしさの中、ひとときの通り雨にしっとりと世の中が落ち着いたように思える。(髙橋正子)
肉野菜茸に卵年用意★★★
数え日やひと日の重みいや増せり★★★
桑本栄太郎
病院をめぐる妻とや年用意★★★
買物の留守を預かり煤払ふ★★★
あおぞらに木々の枝絡み年詰まる★★★
弓削和人
みちのくや明日の雪まで降りしかも★★★★
みちのくに越して雪の多さへの驚き。「明日の分の雪まで降ったのか」と思うほどの雪。(髙橋正子)
ぬかるみの雪路はるか朝日和★★★
引っ越しを終えるや風邪の薬かな★★★
12月26日(4名)
小口泰與
歳晩や顔見に来たと酒提げて★★★
山里の三和土の竈火吹竹★★★
大年や防犯灯の薄明り★★★
多田有花
北の山白く輝きクリスマス★★★★
北の山が白く雪を冠っている。その景色でクリスマスは十分だ。余分なものがなく、すっきりとしたクリスマスの句。(髙橋正子)
深煎りの熱きコーヒー聖誕祭★★★
冷蔵庫を空っぽにして年の暮★★★
廣田洋一
年毎に減りゆく数の賀状書く★★★
賀状書く旅の思ひで次々と★★★★
賀状を書くうちに一年のあれこれが思い出される。旅の思い出も次つぎ浮かんでくる。(髙橋正子)
数へ日や予約入れたる理髪店★★★
桑本栄太郎
齟齬ありて夫婦喧嘩や年の暮れ★★★
すす払う吾が身のすすの数多かな★★★
曇天のままに暮れ行く雪催い★★★
12月25日(5名)
小口泰與
手のひらの千両に来る野鳥かな★★★★
野鳥がてのひらに来ることは、めったにないが、里山あたりでは、警戒しないで来るのかもしれない。千両の赤い実も、寄ってくる小鳥も生き生きしている。誰にもわかりやすい句。(髙橋正子)
麗なる火鉢の熾火星の夜★★★★
猟犬のさても賢し沼の岸★★★
廣田洋一
予定蘭空白となり暦果つ★★★
六曜を小文字にしたる暦売★★★
海外の規制確かめ暦配り★★★
多田有花
クリスマスイブ快晴の空仰ぐ★★★
ぬくぬくと布団に寒波の音を聞く★★★
スロージャズ流して静か降誕祭★★★
桑本栄太郎
大橋を渡り南座ゆりかもめ★★★★
せせらぎの高瀬川なり冬の鷺★★★
北しぐれ遥か遠くに比叡山★★★
弓削和人
しばれるや骨まで滲みる夜の雪★★★
吹雪く風奥にひかえる北の風★★★
欲を言えば、「ひかえる」が気になります。(髙橋正子)
雪晴れの落ちる雪片空を舞う(原句)
「落ちる雪片」は、どこから落ちる雪片かわかるといいです。
枝落つる雪片晴れし空を舞う★★★★(正子添削)
12月24日(5名)
小口泰與
雨脚の枯木さいなむ朝かな★★★
水鳥や猫の鳴き声太きなる★★★
冬の夜や風言の葉を蔵したる★★★★
廣田洋一
頂きし柚子を浮かべて朝湯かな★★★★
逝きし妻星となりしか聖夜かな★★★
靴下に子らの願ひや聖樹の灯★★★
多田有花
空っ風干しものはみな室内に★★★
寒波急窓打つ風に陽の明るし★★★★
寒波来るしっかりアイソメトリックス★★★
桑本栄太郎
あおぞらの欠片と想う風花す★★★★
わらわらとさざ波走る冬の池★★★
なかなかにその気になれず数え日に★★★
弓削和人
冬晴れのいまの湖水は澄み切りて(原句)
冬晴れの湖水のいまぞ澄み切りて★★★★(正子添削)
俳句ができたときは、声に出して読んでみること(朗誦)することが大事です。「湖水は」の「は」は限定の「は」なので、少し気になり、添削しました。(髙橋正子)
冬晴れの湖水はいろんな表情をみせるが、今、湖水は澄み切っている。厳寒の地に立てばこそ見える澄み切った瑠璃色を見た感動なのであろう。(髙橋正子)
バス停の吹雪に耐えるダイアかな★★★
見上ぐれば雪に染まるる枝葉張り★★★
欲を言えば、雪に「染まる」の表現が気になります。(髙橋正子)
12月23日(4名)
小口泰與
寒暁や庭木に集う鳥の数★★★
青空や一気に天(そら)へスキーヤー★★★
冬の朝手のひらに来る野鳥かな★★★
廣田洋一
句座終えて茶話会開く冬至かな★★★
数へ日や帰りくる子の予定聞く★★★
飛行機雲冬天に伸び明日は雨★★★
多田有花
ちらちらと雪舞うなかに受診待つ★★★
冬至の陽明るし午後の風強し★★★
一陽来復入日再び北目指す★★★
桑本栄太郎
冬至湯の親子写真のライン来る★★★
木枯しやさざ波青きにわたずみ★★★★
雨が上がり、青空となった日。木枯が吹いて青空の映るにわたずみにさざ波と立てている。きれいな、塵のない冬の小景。(髙橋正子)
満天星の冬の紅葉や日に映ゆる★★★
12月22日(4名)
小口泰與
短日や風に向かいて畦を行く★★★
早朝の畦彷徨える冬の蝶★★★
沛然と山より雨や寒雀★★★
多田有花
<たつの市・ヤッホの森三句>
幸せの鐘響かせる十二月★★★★
ヤッホの森には「幸せの鐘」がある。十二月の空にだれかが鐘を響かせている。だれもが幸せでありますように。(髙橋正子)
トンネルへ貨物列車の消え師走★★★
校庭から仰げば丸き冬の山★★★
桑本栄太郎
雨脚の峰に二本のしぐれかな★★★
満天星の冬の紅葉や照り映ゆる★★★
鬼柚子の二つ貰いぬ冬至の湯★★★
弓削和人
白い息はずませながら空澄みて
「ながら」の使い方が問題です。「白い息をはずませながら空が澄んで(いる)」の意味になっています。主語が途中で変わるのはいけません。(髙橋正子)
きらきらとはく息白く空へとけ★★★★
きびしい寒気にはく息がきらきらと輝く。すぐさま空へ「とける」。はく息のはかない美しさ。(髙橋正子)
冬風の切れ目のいまを失えり(原句)
「切れ」を入れるとよいです。(髙橋正子)
冬の風切れ目のいまを失えり★★★(正子添削)
12月21日(5名)
小口泰與
給食の肉は鯨やその昔★★★
雪纏う浅間へ朝日差しにけり★★★★
水槽の蓋の雫や冬の魚★★★
多田有花
<たつの市・ヤッホの森三句>
極月の明石海峡大橋見ゆ★★★
冬晴の市街一望展望台★★★
新幹線一直線に冬をゆく★★★★
廣田洋一
橋脚の白く乾きて冬の川★★★★
橋脚という即物的な物を詠んで、水の少なくなった冬の川の様子が率直に伝わってくる。そんな様子にも人の心は動く。(髙橋正子)
新聞を取り出す息の白かりき★★★
空にまだ星の瞬く冬の朝★★★
桑本栄太郎
曇天にうす日差したり寒波急★★★
淋しさに浮寝の鳥を見に来たる★★★
くいくいと日差しに向かう冬芽かな★★★
弓削和人
除雪車に雪また雪や吹雪たり★★★★
除雪車が雪を除雪している最中も吹雪いてくる。「除雪車」「雪また雪」「吹雪」と重なる言葉に雪国の厳しさが知れる。(髙橋正子)
秋田行きコマチに乗らむ窓の雪★★★
軒に垂る氷柱や朝の陽が映る★★★★