★朴の花栃の花見てゆたけしや 正子
朴の木も栃の木も高原や山地には良く見られ、朴葉焼き、朴葉巻き、栃餅などの食材としては知られて居ますが、花を見る機会はぐっと少なくなります。その双方の珍しい花を目の当たりにされた時はさぞ嬉しく豊かなお気持になられたことでしょう。(佃 康水)
○今日の俳句
未だ風を持たずすくすく今年竹/佃 康水
今年竹は、二四時間で一メートル以上も伸び、生長はおどろくべきだ。まだ葉も充分に開ききらず、風を持てるほどではないが、みずみずしい緑が噴出している。(高橋正子)
明るくて深い 現代語による俳句を。よい生活から よい俳句を。
★葛飾は薔薇咲き風の吹くところ 正子
葛飾はどんなところだろう。きどらない街筋には薔薇が咲き、そよ風が吹き、何処にでもあるような景にすっとなじみ、それを楽しむ作者です。 (小川和子)
○今日の俳句
青葉冷え鉱泉の湯気湧きのぼる/小川和子
青葉の中に勢いのある鉱泉の湯気が立ち上って、自然の力の大きさを感じる。「青葉冷え」なので、身体にそれが伝わる。(高橋正子)
○堀川喜代子さん(新潟)歓迎句会
6月12日(日)、堀川喜代子さんが新潟から上京され、歓迎句会を開きました。参加は、信之先生、喜代子さん、それに私正子でした。花冠会員の皆様には、日が迫っておりましたので、連絡いたしませんでした。
JR高田馬場駅の早稲田口で午前10時に待ち合わせました。私が空色の花冠7月号を目印に手に持ち待っていましたら、紺のパンツスーツの方が、すぐに私を見つけてくださり、堀川さんとわかりました。花冠の藤田裕子さんと似ておられて驚きましたが、初対面とは思えず、懐かしい気持ちになりました。雨は降らず、曇り空から、陽が射すときもありました。これが何よりの歓迎といえましょう。
リーガロイヤルホテル東京で、日曜のブッフェをご一緒するつもりで、ホテルのシャトルバスで、ホテルまで行きましたが、いつものカフェ・コルベーユは、予約なしでいったため、満席。場所を移して、神田川を渡り、関口芭蕉庵へ。庭を一巡りし、休憩所でしばし句作。あまりyっくりしていると、お昼が混むので、ほどなく蕎麦処へ。椿山荘の蕎麦処「無茶庵」で天せいろにビールで乾杯し昼食。昼食後、庭園を散歩しながらフォーシーズンズホテルの喫茶室へ行き、珈琲やソフトドリンクを飲みながら、三人で句会。句材は、芭蕉庵、椿山荘の庭園出拾ったもの。芭蕉庵は青葉が茂り、紫陽花が池の端などそこここに咲いて、まさに雨の最中。どくだみの花もいたるところに。木苺が良く茂り、「名残りの実」が一つだけ残っていた。椿山荘の庭園には、わらび、夏萩、紫陽花、薊、菖蒲、芹の花などが咲いていた。水車もこっとんと調子よく回っていた。帰りは、椿山荘から池袋西口までのシャトルバスに乗った。池袋で山手線外回り(上野東京方面)に乗り、喜代子さんとは田端で別れ、私達は目黒まで来、目黒から目黒線で帰宅。午後5時過ぎ。喜代子さん、信之先生、今日一日、疲れでした。(高橋正子記)
[作品]
せり上がるせり上がる万緑といい/信之
葉の上に葉が梅雨晴れの空を見せ/信之
木苺の名残りの色の手に零る/喜代子
芭蕉庵の木漏れ日淡し著我の花/喜代子
額あじさい雪崩れてついに水に触る/正子
緑陰に水湧きこぼる音尽きず/正子
▼関口芭蕉庵
東京都文京区関口2丁目11-3
http://kkubota.cool.ne.jp/sekiguchibashouan.htm
▼椿山荘「無茶庵」
東京都文京区関口2丁目10-8
http://www.chinzanso.com/restaurant/
★明け易し山の水栓使いしあと 正子
六月に入り、夏至に向って夜明けも次第に早まります。みずみずしい緑美しい山中にあって、開く水栓の水音も清々しく、「明け易し」一刻をことさら強く感じ取ることができます。 (藤田洋子)
○今日の俳句
ポケットに鍵のふくらみリラの風/藤田洋子
ポケットにいくつも鍵を入れて出かける主婦の普段の生活。そういう生活にも、リラの咲く風が吹くと、洒落た生活となる。「リラの風」が作者の姿をよく浮き上がらせている。(高橋正子)
○花冠7月号を6月5日(日)に発送。
○月間賞の四月賞、五月賞を発表。発表が遅くなってしまったが、花冠8月号に掲載予定。
○書友閣から色紙を百枚とたとう紙30枚送ってもらった。色紙は、中華画仙と鳥の子の生成り。
○5月27日、だったか、28日だったか関東地方は入梅し、その後も天候不順で、気温の差が激しく、ついに家族三人が順番に夏風邪を引いてしまった。快復は、若いものは、二日で、二人は、延々長引いてほぼ治ったものの、まだ本調子ではないけれど、久しぶりに日吉本町3丁目からはじめ、2丁目、5丁目、6丁目信之先生と歩く。ブログに載せる「生活する花たち」を撮るためだが、まず、近所の白百合、蛍袋、隅田の花火という紫陽花を撮る。あとは、歩いてみてのこと。どこも紫陽花の花がよく咲いている。花火が散ったような咲き方をする紫陽花は、「隅田の花火」という名前が付いている。
★祭笛山あじさいも街中に 正子
祭笛の音色には郷愁を感じさせるものがあります。山あじさいは楚々とした和の雰囲気で、街の中に聞こえてくる祭笛と呼応して、風情ある御句と感じました。(後藤あゆみ)
○今日の俳句
まだ青き干草踏めば香の強し/後藤あゆみ
草を刈って半日でも過ぎたであろうか。道などにはみ出した干草を踏むとまだ青臭い草の香が立つ。夏草の勢いが実感でよく捉えられた。(高橋正子)
★蛍ぶくろ霧濃きときは詩を生むや 正子
蛍ぶくろという名前からしてメルヘンチックな花ですね。それに霧と結び会わせると自然と可愛い詩がつくられることでしょう。(祝恵子)
○今日の俳句
田の一面茄子の支柱は同じ向き/祝恵子
田に一面に茄子が植わり、育っている。支柱がいる時期になり支柱を立てるが、それが同じ向きで、整然として、涼しそうな景色となっている。(高橋正子)
◇生活する花たち「つつじと蜂」(横浜日吉本町)
★天草の乾いた軽さを腕が抱く 正子
心太や寒天の原料になる天草。陽に干されて軽々とした天草をうけとめれば、海藻のかおりがして気持ちまで軽やかです。(小川和子)
○今日の俳句
青芒ひかり合いつつ野を充たす/小川和子
野一面の青芒を「ひかり合いつつ」「野を充たす」と、動きをもって、いきいきと詠んだ。積極的な視線がいい。(高橋正子)