11月20日(月)

快晴
小六月雪嶺の富士を見とどけぬ 正子
小六月鴉いよいよわが仲間   正子
冬紅葉朱があかあかと聳ゆなり 正子
●5丁目の丘から見える富士山は雪嶺だけ。その向こうに銀嶺が見えるような気がするが、雲かもしれない。「小六月」という言葉を久しく聞かない。みんな小春日和。
●山茶花がよく咲く。5丁目の丘の墓地の北側に樅の木が2本ある。この時期になると樅の木に目が行く。ドイツトウヒではない樅の木。

11月19日(日)

晴れ
●水耕栽培のサラダ菜の使い残しをプランターに植えていたのが、もりもりと育って、収穫。花と野菜と混ぜて植えると、サラダ菜の緑や形も花になる。
●句美子が夕方来て合同句集の校正をしてくれる。合同句集の題名がなかなか決まらない。今仮に、信之先生の俳句からとって「秋天」としている。句美子が言うのに、「天」がねえ。

11月18日(土)

晴れ
●ますみさんの「連打音」への美知子さんのコメントが入る。少しまとめて、ますみさんに転送することにした。
●合同句集の編集進まず。今日はあきらめる。
●俳句界から、12月号、1月号の版下が届くが、花冠の発行とずれるので、またの機会に。版下を見ると、1月号には7月に事故で急逝した澤好摩さんの特集がある。澤好摩さんは初期のころ臥風の「いたどりに」投句しておられた。そのせいか、どうかわからないが、多少、臥風先生風の俳句も見られる。
●午後センター北へ花の苗を買いに。今日は結局パンジーだけ6株購入。他は里芋。あす、芋炊きにする。

ご挨拶/11月月例ネット句会を終えて

ご挨拶
例年になく暖かい立冬でしたが、しぐれがちな日のあとは、暦どおりに急に寒くなってまいりました。11月月例ネット句会にご参加いただき、ありがとうございました。13名の方にご参加いただきました。選とコメントをありがとうございました。入賞の皆様おめでとうございます。
皆様の日々の俳句精進のお陰でしょうか、このところ、総合俳誌から皆さんへの俳句の原稿依頼が続いております。ご自分のための俳句ですが、発表すれば、俳句はひとり歩きを始めます。ひとり歩きを始めた俳句を読むこともまた楽しみなことです。
これで、11月月例ネット句会を終わります。来月のネット句会は12月10日(日)になります。楽しみにお待ちください。

11月17日(金)

雨、午後晴れ
靄に透け富士の雪嶺の白きびし 正子
冬菊の茎切りわけて供えけり  正子
風呂上り蜜柑ひとつの水うまし 正子
●喪中はがきを用意。官製はがきの喪中用に印刷。
●11月月例ネット句会に終わりの挨拶。
●映画「第三の男」のあらすじの切り継ぎ場面を見る。「第三の男」は大学2回生のときだったか、購読の授業で読んだ。先生は上背のある軍靴の似合いそうな真面目な先生。そのときの印象は「なんて男っぽい話」と思ったくらい。1948年、英仏米ソがウィーンを四分割統治していたときに撮影が開始されたとのこと。モノクロの画面が傑作らしい。
ちょうどこの年だったか、学園祭のとき友達とはぐれ、どうしたものかと、校庭の木にもたれて目の前のフォークダンスを見ていた。そのとき、学園祭のリーダーらしい男子学生が近づいてくるや、無言で腕をつかんでフォークダンスの輪に放り込んだ。そのときのフォークダンスの歌がアントンカラスの「第三の男」。1965,6年の話。その場面を思い浮かべても、戦後は抜けたと思っていたが、貧しくて、悲しいほどダサい光景だ。そのころも戦後なのだ。

11月16日(木)

曇り、夜雨。
山茶花のこぼれし花の垣根沿い  正子
帰り花くれない色濃くいきいきと 正子
鵯も赤き小鳥に朝日浴び     正子
●合同句集の奥付ができる。
●現代俳句協会から電話とファックス。句美子に用事だったので、ファックスの内容を句美子にメールで転送。

11月15日(水)

曇り
●合同句集、信之先生の俳句に取り掛かる。
●ネット短信No.400を発信。
俳壇ワイド作品集(今月の有力同人)
連打音 川名ますみ
凩の止みて定まる朝の青
口紅の唇埋めずショール巻く
懐炉手に祈り無音の舞台袖
手袋をぬぐや舞台のピアノへと
降る雪のごとく始まる連打音
冬天へ最後の主音届けよと
冬の夜を楽譜とドレス背負い帰る

11月14日(火)

曇りのち晴れ
この人は台湾椿を咲かせたり   正子
郁子うれて照葉のつたう垣根なり 正子
鶺鴒に広き畑は存分に      正子
●散歩の道を少し変えると、台湾椿を咲かせる家があり、郁子が熟れる家あり。いつもより1時間遅い散歩に、林に、鵯、尾長、インコがたくさんいた。落葉を掃いていた人に挨拶すると、インコは世田谷の祖師谷にねぐらがあり、鯛ヶ崎公園には、啄木鳥がいて、以前は林に梟がいた、など話してくれた。この丘には、欅、スダジイ、杉、檜、桜など大木がある。一本の木がたくさんの小鳥を宿らせている。
●今日は三通の手紙を投函。河内静魚氏へ句集の礼状ほか。
●「俳壇」12月号に川名ますみさんの新作「連打音」7句が載る。10月号の祝恵子さんに続く掲載。
●「俳壇」12月号で、AIの問題を長谷川櫂氏と歌人の坂井修一氏の対談。問題は、俳人のAI化。俳句を作る方法論に偏っている現状に関係づけた話で、目新しい話ではない。
●「述志」の特集。詩人は左翼か、ということになる。それまでの思想や社会体制に反対する気持ちを述べることが、述志。逆に言えば、述志は、鋭敏で洞察力のある詩人の役目ということになる。

■11月月例ネット句会入賞発表■

■11月月例ネット句会入賞発表■
2023年11月12日

【金賞】
33.谷水を啄み鶺鴒水の上/柳原美知子
鶺鴒には、セグロセキレイ、ハクセキレイの二種類がよく見られるが、水辺を好むのは、セグロセキレイ。きれいな谷の水を餌を啄むかのように、啄んで飲んでいる。鶺鴒がいる場所は、水の上。どこまでも水に近い。それはセグロセキレイの習性であろうが、清冽な印象の句である。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
08.雲も陽も富士へと沈む秋夕焼/川名ますみ
富士山は大いなる山。雲も陽も、富士山へと移り、富士山の向こうへ沈む。そのとき、空には大きな秋の夕焼けが広がる。雄大な景色を句に詠みとどめた手柄。(髙橋正子)

31.鰯雲下校の子の声よく聞こえ/柳原美知子
鰯雲は秋を代表する雲。秋晴れの日が続き鰯雲が広がると、空気はより澄んで、乾いてくる。下校の子供たちの楽し気な話声もよく聞こえる。何事もない晴れやかな日常が続くことは嬉しいことだ。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
14.花野ゆれ花影やわらかくゆれる/吉田 晃
花野に風が吹くと、花野は揺れる。花影も綾に、やわらかくゆれる。やさしい景色を柔らかい言葉で詠んでいる。「花」「影」「野」「ゆれる」からは、やさしいイメージが喚起される。(髙橋正子)

21.日の落つる速さよ冬の散歩道/祝 恵子
散歩をしていると、急に日暮れが迫ってきて、日の落ちる速さに、一抹の不安さえ覚える。日常の散歩にも、自然の微妙な巡りを感じる時がある。(髙橋正子)

37.酉の市縁起熊手に手締め鳴る/髙橋句美子
酉の市はもともとは大鳥神社で行われる行事。十一月の酉の日に市が立ち縁起物の熊手が売られる。中には高額な大きな熊手もあって、商売繁盛を願う人たちの買われていく。商談成立の手締めの拍手が高らかに鳴る。歳晩らしい賑わいである。(髙橋正子)


【髙橋正子特選/7句】
12.冬立の朝も定刻電車に乗る/高橋秀之
冬の兆しが見え始める、空気がぐっと冷たくなる時期。いつもの定刻通りに電車が来ている。作者を含めた通勤通学の人びとが季節の移り変わりを感じるか否かの瞬間に立ち合っている。 (弓削和人)

15.紫蘇を引く軽き力に実のはじけ/吉田 晃
紫蘇もいよいよ枯れ、始末をしようとすっと引き抜くと思いがけず枯色の実の中から黒々とした種が弾け飛んだ。植物の生命力に感動し、育てた野菜を最後まで見守られる温かい眼差しを感じます。 (柳原美知子)

21.日の落つる速さよ冬の散歩道/祝 恵子
立冬を過ぎれば日は益々短くなり、夕暮れ時の散歩も「あれよあれよ」と云う内に暮れて来ます。歩いているうちに足下が暗くなることを実感しています。 (桑本栄太郎)

08.雲も陽も富士へと沈む秋夕焼/川名ますみ
31.鰯雲下校の子の声よく聞こえ/柳原美知子
33.谷水を啄み鶺鴒水の上/柳原美知子
37.酉の市縁起熊手に手締め鳴る/髙橋句美子

【髙橋句美子特選/7句】
03.大木へ日の退くや芋嵐/小口泰與
秋の暴風の吹く中、太陽も押されるかのように大木の向こうへ沈もうとしています。「日の退くや」が面白いですね。 (柳原美知子)

09.みずいろの朝顔空へ向き揺るる/川名ますみ
朝顔の花びらの繊細な揺れる様子が綺麗な風景です。(髙橋句美子)

14.花野ゆれ花影やわらかくゆれる/吉田 晃
柔らかな水彩画のような御句です。花野全体が穏やかな風に揺れ、それにあわせて影もゆれています。それを見つめておられるまなざしに優しい思いを感じます。 (多田有花)

23.初冬の空へ広々椋大樹/多田有花
初冬の冷や冷やとした青空へ勢いよく枝を広げる椋の大樹の存在感に心もひろびろと新たな季節への希望が感じられます。 (柳原美知子)

29.歓声が夜空へ響く酉の市/西村友宏
これは、横浜南区にある金刀比羅大鷲神社の酉の市ですね。11月11日が一の酉、毎年10万人以上が訪れる大変大きなお祭りどか。その様子が「夜空へ響く」でよくわかります。 (多田有花)

33.谷水を啄み鶺鴒水の上/柳原美知子
日に当たり七色に変わる素晴らしい翡翠の姿を的確に捉えています。素敵な御句ですね。 (小口泰與)
※33番の句は、翡翠(かわせみ)ではなく、鶺鴒(せきれい)を詠んでいます。(髙橋正子)

08.雲も陽も富士へと沈む秋夕焼/川名ますみ

【入選/13句】
01.枝折戸を押せば隣家や青蜜柑/小口泰與
ご自宅の庭に蜜柑の木があるのですね。確か薔薇もたくさん栽培しておられました。蜜柑の木の下にある枝折戸を押せばすぐにお隣、蜜柑が甘く熟れれば採ってお隣におすそわけなどされるのでしょうか。 (多田有花)

04.女子会の妻の遠出や冬ぬくし/桑本栄太郎
「女子会」という今風の言葉が御句に楽しさを与えています。冬とは名ばかりのまだあたたかな一日奥様はお友達との「女子会」に。その間、詠者はどう過ごされたのでしょうか。しばし自由を満喫? (多田有花)

07.夕月夜世代それぞれ友二人/川名ますみ
世代が違う友人がいらっしゃるというのはいいですね。話題が広がって思いがけない情報が入ったりします。そういう人たちと過ごす夕月夜のひととき、貴重ですね。 (多田有花)

11.うっすらと色づく紅葉陽に映える/高橋秀之
詠者は大阪在住でしたね?関西では紅葉は立冬のあたりからきれいになってきます。紅葉の美しさは日差しがあってこそ。そのさまをさらりと詠んでおられます。 (多田有花)

19.冬に入る子の残したる千羽鶴/祝 恵子
快癒を祈る千羽鶴、秋に子供が持ってきてくれたものだが早いものでもう冬になる。この千羽鶴を見て元気にこの冬を乗り切ろう。(想像でしかないですが、そのように感じました。(友田修)

22.芳醇に香りぬ冬のチョコレート/多田有花
ケーキに使うチョコレートを溶かしているのだろう。温め溶かされたチョコレートが厨房のみならず、居間まで香っていて、そこに冬の暖かさが感じられる。冬の日の満ち足りた香りでもあるのだろう。 (吉田 晃)

24.木枯に少年たちの駆けてゆく/多田有花
木枯らしが吹いて冬本番がやってきた。その木枯らしに向かって少年たちは駆けてゆく。少年たちの寒さをものともしない元気の良さが伝わってきます。(高橋秀之)

27.中天へ茎まっすぐや曼珠沙華/弓削和人
曼珠沙華の茎は花が咲いている時も、枯れてからもいつもまっすぐ天をさしていて、不思議ですね。 (柳原美知子)

30.焼きたてのワッフル温し文化祭/西村友宏
子どもたちが模擬店で焼いて売っているのでしょうか。アツアツのワッフルを買い求めほおばりながらいろいろ展示を見て回るのも楽しいものです。準備、計画、実行を友人たちとわいわい言いながらやるのもいい思い出ですよね。(多田有花)

32.塀越しに物々交換甘藷・柿/柳原美知子
  塀越しの物々交換、うらやましいことです。 (祝 恵子)

05.どうだんの躑躅もみづる夕日かな/桑本栄太郎

垣根にもされる満天星躑躅は、花も可愛いが、紅葉も好まれる。夕日があたると、紅葉がてらてらと映えるのがいい。(髙橋正子)

13.室閉じて今年の甘藷(いも)を眠らせる/吉田 晃
収穫したさつま芋は、寝かせると甘みが加わる。私の知るさつま芋の保存には、気温が下がるとさつま芋は腐りやすいので、土を掘った家の床下の穴にもみ殻に入れて保存していた記憶がある。(髙橋正子)

28.幾つもの熊手連なる宮参り/西村友宏
友宏さんは大鳥神社の酉の市に行ったとのこと。酉の市には、福をかき集められるように大小の熊手が売られる。商売繁盛を願い大きな熊手を買ってゆくのは商売繁盛を願う人。参道にずらりと並んだ熊手は縁起物を飾って賑やかである。(髙橋正子)

■選者詠/髙橋正子
6.霧のなか啄木鳥ここよと木を叩く
霧に覆われて姿がはっきりしない中、啄木鳥があたかも自分の居場所を教えていうように木を叩く様は何とも可愛らしいです。(西村友宏)

18.枇杷の花日本アルプス遥かにす
咲き始めた枇杷の凛とした白い花の先に、遥かに雄大な日本アルプスが影をなし、しんしんと身の引き締まるような感動を覚えます。冬の到来が感じられ、新たな季節への勇気が湧いてくるようです。(柳原美知子)

17.小学校の桜の幹にけらつつき

自解:5丁目の丘の突き当りにある小学校の50年は経っているだろう桜の幹に啄木鳥が木を叩いていた。独特のドラミングに、びっくりしてみると二羽いた。コゲラだと思う。(髙橋正子)

■選者詠/髙橋句美子
39.老夫婦に手に取る柿の重すぎる/髙橋句美子
干し柿用の袋入りの柿でしょうか。日常生活の中で、ふと目にされる高齢者への温かい眼差し、優しさが感じられます。 (柳原美知子)

37.酉の市縁起熊手に手締め鳴る
38.街の色木枯し吹いて変わりゆく

互選高点句
●最高点句(同点3句/5点)
08.雲も陽も富士へと沈む秋夕焼/川名ますみ
21.日の落つる速さよ冬の散歩道/祝 恵子
37.酉の市縁起熊手に手締め鳴る/髙橋句美子

集計:髙橋正子
※コメントのない句にコメントをよろしくお願いします。思ったこと、感じたこと、ご自由にお書きください。

11月13日(月)

曇り
●11月月例ネット句会入賞発表
●『水の色』(河内静魚著/朝日新聞出版)が送られてくる。令和2年まで「俳句界」の編集長だった人。第7句集とのこと。
印象に残った句。15句
羽子つくやたえず空ある嬉しさに
まだ水の色のままなる初氷
近づけば冬木と冬木離れけり
秋すでに深山の上の八ヶ岳
一枚として重ならぬ青田かな
しづけさの寒さにかはるまで椅子に
病みし子と夜を共にし年越せり
冬木の芽色持ち上げてゐたりけり
生きることまた輝かす囀りは
 あゆ子逝く
一落花風をつかまへ舞ひ上がる
川霧をのがれし水の流れくる
白鳥来空気真白に染めながら
家陰に暮しの匂ふ鳳仙花
水音や田植濁りの飛鳥川
みじか夜や時計に音のありしころ