4月16日(火)

晴れ
若葉して銀杏並木の坂なせる 正子
ふさふさと欅若葉が空を刷き 正子

●早朝からオナガがよく鳴いている。循環器の定期診療の日。ようやく検査数値が落ち着いた。 自分に合った生活ができるようになっている結果らしい。

●待ち時間、くまざわ書店に寄る。『戦後思想の到達点』(NHK出版)を立ち読み。柄谷行人と見田宗介のそれぞれに大澤真幸がインタビューした本。見田宗介の方に親近感をもつし、見ている世界が馴染みやすい。戦後、日本の思想はどうなって、どこまで行っているのか、はっきりと知りたいところ。

●三日見ぬ間に、とはよく言うが、本当にあたりが一度に若葉になった。慶大の銀杏並木が若葉色に染まり、欅もふさふさと若葉をそよがせている。新入生が真新しい制服でがやがやと駅へ集まってくる。三日前には気づかなかったこと。

4月15日(月)

晴れ
 樹木葬墓地
葉桜となりつつ花びら風に散り 正子
墓地の桜いまだ小さし葉桜に  正子
 寺の事務所
テーブルに黒き艶あり花おわる 正子

●午前に、4月月例ネット句会の金・銀・銅賞の6句にコメントを書いて、入賞発表。

●午後1時過ぎ、町田・鶴川の墓地の様子を見に行く。その後、お寺の事務所で一周忌と納骨式の打ち合わせをしたが、15分もかからなかった。運よく墓地から駅までの直通バスに間に合い、鶴川駅まで帰れた。乗ったのは私ひとりだけ。四月にしては暑いぐらいの日だったので、帰宅したときにはずいぶん疲れていた。

■4月月例ネット句会入賞発表■

■4月月例ネット句会入賞発表■
2024年4月14日
【金賞】
16.たがやせば目覚めて風に匂う土/ 吉田 晃
「土が目覚める」という感覚がいい。耕すと、下になっていた土が上に出てくる。その時の土の色、風が吹いてきて匂う土。冬の眠りから覚めた、春の土が新鮮である。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
22.花終えて今いきいきと山の色/多田有花
山に桜が咲いている景色も、それはそれで美しい日本の風景だが、桜が咲き終わると、急に山々に新緑が増え、山が生き生きとして感じられるのだ。花から新緑へ山の色の変化はすなわち、季節の移ろいの色。(髙橋正子)

19.藤蕾む枝垂れて咲くぞというかたち/祝恵子
「咲くぞ」の「ぞ」を入れると、中七が字余りになるが、その崩れに藤の花房が枝垂れ、その先に円錐の切っ先の力が読み取れる。また、散文的な表現の工夫に新しさがある。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
08.参道の桜の影を踏みしめる/高橋秀之
「踏みしめる」に確かさがある。参道には日がよく当たって、桜の影がしっかりとできている。しっかりした影でないと、「(踏み)しめる」感覚はわかない。一歩一歩の充実した着実さがうかがえる。(髙橋正子)

28.列車来て桜若葉が揺れる朝/西村友宏
「桜若葉」というあたらしい表現。葉桜になる少しまえに、柔らかな葉となっている。それを若葉と言った。駅や線路沿いにある桜の枝は、列車の風圧で揺れる。若葉と朝と、揺れに、さわやかさ新しさが感じらえる。(髙橋正子)

34.青空にゆったり葉桜ゆれている/髙橋句美子
桜が散るとすぐに葉桜の季節になる。新年度のあわただしが落ち着き、葉桜となった枝は、青々とした葉をゆったりと揺らせている。「ゆったり」した感じがよい。(髙橋正子)

【髙橋正子特選/7句】
08.参道の桜の影を踏みしめる/高橋秀之
桜が満開の参道です。桜を仰ぐ目を下に向けると桜の影も同じように満開なのです。(多田有花)

16.たがやせば目覚めて風に匂う土/吉田 晃
19.藤蕾む枝垂れて咲くぞというかたち/祝恵子
22.花終えて今いきいきと山の色/多田有花
25.花菜畑はろばろ夕日溶かしゆく/柳原美知子
31けさ二輪雲のいろしてさくら咲く/川名ますみ
34.青空にゆったり葉桜ゆれている/髙橋句美子

【髙橋句美子特選/7句】
03.散り敷きて尚も色濃く花の屑/桑本栄太郎
散ったばかりの一面の花の色が乾くにつれて色濃く染め上げられ、その最後の美しさに桜の季節の名残りが惜しまれます。 (柳原美知子)

07.日が注ぐ新芽は色が鮮やかに/高橋秀之
春の日差しを受けて輝く新芽の色の美しさに見とれる心地よいひととき。心もはればれと良い一日になりそうです。 (柳原美知子)

18.春水を吸ってあかるい芽の緑/ 吉田 晃
生き生きとした新たな芽吹きから春らしさを感じました。明るい季節を予感させる素敵な光景です。(西村友宏)

13.蝶にして花散る谷を飛ぶはやさ/髙橋正子
16.たがやせば目覚めて風に匂う土/ 吉田 晃
22.花終えて今いきいきと山の色/多田有花
28.列車来て桜若葉が揺れる朝/西村友宏

入選/11句
01.あの辺り金蔵寺とや花の雲/桑本栄太郎
洛西大原野にある金蔵寺ですね。どこか高いところから見晴らしておられるのでしょうか。大原野に一面の桜、古刹の名前も雅やかです。 (多田有花)

04.山風にあらがう麦の青さかな/小口泰與
人間や他の動物のように歩いたり走ったりすることが出来ない植物は風にあたり揺れ動く事により、運動となり大きく成長すると云います。今の時季は日々春めくと共に風も良く吹き、抗うように揺れる青麦の様子が見えるようである。(桑本栄太郎)

09.ふと見れば白夜の空に桜舞う/高橋秀之
白夜の薄明りの空に舞う桜、長い夜を彩ってくれ、異国情緒が漂いますね。(柳原美知子)

10.子雀の水浴びしたる潦/廣田洋一
雨上がり潦におぼつかない足取りで近寄り、水浴びをしている子雀に寄せる作者の優しい視線が感じられます。 (柳原美知子)

21.花吹雪く展示車両のひかり号/ 祝恵子
京都の鉄道博物館でしょうか。東海道新幹線開通時に走ったひかり号が展示されています。今のものより丸い雰囲気で穏やかに花吹雪を浴び余生を楽しんでいます。(多田有花)

24.時おりは花びらに触れ歩きけり/多田有花
桜並木を散策していると、時々、さくらに触れて思わぬ喜びをもらいます。(祝恵子)

27.山桜眼下に我が町光る海/柳原美知子
山桜の咲いている場所から見下ろしている景色がよく見える。光る海が良い、景色を大きくみせる。(廣田洋一)

05.沼の面を袈裟切りに飛ぶ燕かな/小口泰與
06.揚がりきり点となりたる揚雲雀/小口泰與

17.枝垂れ咲く古刹桜の夕明かり/吉田晃
30.花冷えやシネマ帰りの夜散歩/西村友宏

■選者詠/髙橋正子
13.蝶にして花散る谷を飛ぶはやさ
桜吹雪の谷その中を蝶が飛んでいきます。まるで花びらの一片でもあるかのように。(多田有花)

14.花散るやしずかな息をはく地球
一年後また花を咲かせるためにしずかに花は散る。地球上の万物はそのようにしずかに息をはき、時を待ち、息をつなぎ、命をつないでゆく。その循環がとだえることのないように祈りたいですね。 (柳原美知子)

15.はちみつのような春の森時間

■選者詠/髙橋句美子
34.青空にゆったり葉桜ゆれている
 人ごみに晒された喧噪が去り、ようやく静かになった。葉が緑の色を広げ、残り少なくなった花が、その陰にあって、これまでの疲れをいやすかのように青空にゆったりとゆれている。(吉田 晃)

35.花吹雪どこへゆくのか空に消え
普段はひらひらと地面に揺れ落ちる桜が花吹雪として舞っている。吹き上げられて大空に向かった桜の葉にびらはどこへ行くのか。いろんな想像が膨らむ光景です。 (高橋秀之)

36.花祭り音楽聞こえた母の便り


互選高点句
●最高点句(5点)
16.たがやせば目覚めて風に匂う土/ 吉田 晃

集計:髙橋正子
※コメントのない句にコメントをよろしくお願いします。思ったこと、感じたこと、ご自由にお書きください。

■4月月例ネット句会清記■

■4月月例ネット句会清記■
2024年4月14日
36句(12名)

01.あの辺り金蔵寺とや花の雲
02.はらり落つひとひら又も花の塵
03.散り敷きて尚も色濃く花の屑
04.山風にあらがう麦の青さかな
05.沼の面を袈裟切りに飛ぶ燕かな
06.揚がりきり点となりたる揚雲雀
07.日が注ぐ新芽は色が鮮やかに
08.参道の桜の影を踏みしめる
09.ふと見れば白夜の空に桜舞う
10.子雀の水浴びしたる潦

11.青空に紫映えるつつじかな」
12.公園のベンチの前や虞美人草
13.蝶にして花散る谷を飛ぶはやさ
14.花散るやしずかな息をはく地球
15.はちみつのような春の森時間
16.たがやせば目覚めて風に匂う土
17.枝垂れ咲く古刹桜の夕明かり
18.春水を吸ってあかるい芽の緑
19.藤蕾む枝垂れて咲くぞというかたち
20.枝垂れざくらピンクの下に集いおり

21.花吹雪く展示車両のひかり号
22.花終えて今いきいきと山の色
23.花の上連なる白亜の天守群
24.時おりは花びらに触れ歩きけり
25.花菜畑はろばろ夕日溶かしゆく
26.山頂まで桜透く日と鳥の声
27.山桜眼下に我が町光る海
28.列車来て桜若葉が揺れる朝
29.葉桜を横目に急ぐ朝出勤
30.花冷えやシネマ帰りの夜散歩

31.けさ二輪雲のいろしてさくら咲く
32.栗鼠の尾をなびかせており春北風
33.雪やなぎの光がビルの向こうから
34.青空にゆったり葉桜ゆれている
35.花吹雪どこへゆくのか空に消え
36.花祭り音楽聞こえた母の便り

※互選をはじめてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。

4月14日(日)

晴れ
●4月月例ネット句会
桜の佳句が多く、句会が充実している印象。
投句
蝶にして花散る谷を飛ぶはやさ 正子
花散るやしずかに息を吐く地球 正子
はちみつのような春の森時間  正子
●句美子夕方6時ごろ来る。『泉』の選句がふたりともまだなので、急がせる。花冠夏号は、秀句を集めて季寄せのようにするのだというと、「企画力ある!」と。
俳句にコメントをつけているとそれにお礼を言われる。本当は、選にお礼を言ってほしいので、ちょっとおかしいことになっているのではないかと思いはじめた。そのことがあるので、夏号は、コメントなしの、季寄せ風にしたいと思っている。「俳句を読む」ことに重点を置きたい。コメントをつけると、俳句が少し良くなって思えるのかもしれないが、本末転倒なのでは、と。
●お寺から信之先生の一周忌が一か月前になったので、確認の電話があった。
●すっかり、暖かくなった。しばらく体調がなんとなく悪い感じだったが、コロナから完全に回復。コロナの型が変わって来て、肺炎にならなくなっていると聞く。熱、喉の痛み、咳はインフルエンザに近い。
●春キャベツが生協から一玉とどいているので、今日も半分を蒸しキャベツにして句美子に持たせる。蒸しキャベツのアイディア、薬膳料理のウィー・ウェン先生に教わる。

4月13日(土)

晴れ
老年はとろんと落ちる春夕日 正子
濃縮の森の春からドラミング 正子
はちみつのような春の森時間 正子
●自由な投句箱の秀句について、AIがコメントをするとどうなるか、確かめる。
毎日しなければいけないコメントに、私に替わってAIにコメントをしてもらいたい気もする。ある俳句について、これが「平均より上か、中ぐらいか、下か」と質問すると、上質だとか、中程度だと判定する。AIのコメントを読むと、こちらの頭が少々おかしくなりそうだ。AIのコメントは良くても悪くても、読まないのが良い。
●『はじめて学ぶ ドイツ文学史』(柴田翔編著)の中世のなかに、フォーゲルバイデのミンネザングについて抒情詩概説がある。中世にかぎり抒情詩はリューリックではなくミンネザングと呼ばれるとある。ミンネザングはみな一様と思っていたが、フォーゲルバイデは上流貴婦人へのナイト精神からの愛ではなく農民の娘の愛を自然の人間の姿としてうたい新しいのだと言う。しかし言葉はローマ帝国時代から悦楽境をうたう伝統的な言葉、菩提樹、草原、花、草、水辺、小夜鳴鳥を使っている、という。中世よりあとになるが、芭蕉は、和歌の雅な言葉ではなく俗の言葉を使ったこと「俗語をただす」に功績がある。このあたり、面白いと思う。
フォーゲルバイデ(鳥の餌場)の詩はこの文学史にも、『ドイツの詩を読む』にも「リンデの木の下(Under der Linde)/ 「菩提樹の下」(Under der linden)」が引用されているが、経歴については、文学史が詳しい。辺境の宮廷巡りの彼は晩年ヴュルツブルクに土地を与えられ、そこで死に、石棺が墓となっている、とある。私がヴュルツブルクの教会の庭で見たのは、フォーゲルバイデの詩碑と聞いたが、いったい何だったのだろうか。
●文学史の本を読んでいて、2003年発行なので、「インターネット革命」と言う言葉が出て来る。グーテンベルクが印刷機を発明して社会が変わった同じ変化が起きていると、当時情報学者がよく言った。が、この文学史を書いた著者は、技術で社会が変わったわけではないと言う。気になる話。

4月12日(金)

曇り
初つばめ川面近くを行きゆきて 正子
堰落ちる水を離れず春の鷺   正子
葉桜となりつつ花のまだ白し  正子
●『ドイツの詩を読む』は、ドイツ語の初学者用にドイツ詩の総体がわかるよう源流から現代までに編集されている。それでも主体は20世紀の詩。著者の野村修は1930年生まれで、二次大戦の終結時には高校生だった計算になる。この詩集を読むと、ユダヤ人の詩や死をテーマにした詩が多いと感じることから、強い反戦へのメッセージをこめた詩集と感じた。ドイツ文学を読むとユダヤが問題にならないことはない。
●句読点の無いパウル・ツェランの「死のフーガ」は、ナチスの強制収容所内の様子だという。この解説がなければ、そういうことだろうと思って読むのと、その場所だと示されて読むのでは理解が違ってくる。
この詩について著者は言う。
「当時のドイツ人がMozartを愛する人殺しだったとすれば、われわれもまた短歌・俳句を愛する人殺しだったのだから、この詩を「他人(ひと)ごと」として読み流すことは、われわれにはできない.」ちなみに、著者はこの本で、読点は使うが、句点ではなく、ピリオドを使っている。
●読む気で読み始めたのではなかったが、詩の紹介という以上に著者のメッセージを感じる詩集で現代の詩人がメインが置かれている。ブレヒト以降の現代詩人はほとんど知らない。フーヘル、ツェラン、フリート、バッハマン、エンツェンスベルガー、ビーアマン。ビーアマのン「励まし」は切実さがある。
●ぼんやりと雲に包まれた夕日が落ちてゆくのを見ながら西へ、鶴見川の支流の早淵川の土手を歩く。川を飛ぶ燕を一羽見た。ふいに草むらから飛び立って宙返り。川の面白さは矢作川や鶴見川のほうが面白い。歩いたのは、往復3.5km。

4月11日(木)

晴れのち曇り
森をでてすぐに田に鳴く初かわず 正子
うぐいすの声ふるわせば山桜   正子
橋よりは朴の若葉と尖る芽と   正子
●午後里山ガーデンへ。ガーデンフェスティバルの花壇を見てまわる。ビオラとチューリップがメイン。横浜で交配されたチューリップなどが植えられている。今年はの色合いは、地味な印象。花壇を一巡りして山道を下りて田んぼのほうへ。田んぼへ出るとすぐに初蛙の声。蛤のようなまるさで、クルックルッと鳴く。鶯の声、それから、大きな声でひーよひょろひょろと歌う鳥の声。啄木鳥のドラミングが聞こえるが姿は見れない。
●森の端の丘になった斜面の木の根元に小さいビニールシートを広げてお茶にした。『ドイツの詩を読む』をリュックに入れて来たので、取り出して読む。鶯や四十雀、それから歌うように鳴く鳥、啄木鳥のドラミングを聞きながらの読書。「詩型」についてのページはなんと難しい。集中して読めたので、6割ぐらいは飲み込めた感じだ。なんと複雑な。英詩の授業を思い出したが、女子学生ということだったのか、これほど複雑には習わなかった。
4時をすぎ、背中がぞっと冷えてきて、なんとなくあたりが暗い感じになったので帰ろうとすると、元の場所へ帰る門が2か所とも閉められている。フェスティバル期間中は4時閉門らしい。
もとへ帰れないので、すぐ向こうを車が走っているが、帰る道を探して歩いていると、鳥の話をしている男女にあった。ちょうどいいと思い、目の前で歌っている鳥の名前を尋ねると、「ガビチョウ」だという。中国からの外来種だとのこと。目の前に姿を見せてくれたが、男の人がカメラに撮ったカビチョウを見せてくれた。眼に白い隈取があり、茶色の鳥。鳥や植物に詳しい人らしく、この森のドラミングはアオゲラだという。女の人は画像を見せてもらっている間に居なくなっていた。四季の森公園の近くに自宅があるので、そちらへ行くのなら一緒に、と誘ってくれたので、後を付いて行くことにした。歩く道々いろんな情報をくれた。三崎の小網代を教えてくれた。三崎口から歩いても15分くらいらしい。小網代の写真も見せてくれた。
森で読書というのは捨てがたい。午後1時ごろ家を出てから夕方6時前の帰宅まで、私のアリバイはないと言えば、ない。この存在を知られない時間の読書。
●夜ユーチューブのオペラ対訳プロジェクトの『三文オペラ』を聞く、あるいは読む。

4月10日(水)

晴れ
●花を買ってきた。菊の花に、スターチスとカーネーションが入っていた。カーネーションは全く人工の花らしい。花粉が飛んでいるのか昨日から目がかゆい。
●英訳俳句の本を変形サイズにしたので、印刷が上手くいかない。B5サイズの横を24mm短くして、230mm×177,8mm。このサイズは変えたくない。
●『ドイツの詩を読む』(野村修著)にゲオルゲの詩「死んだといわれる苑にきて・・」があって、この詩には、ドイツ語では、普通大文字で書かれる名詞が小文字で書かれている。また、パウル・ツェランという詩人は「死のフーガ」で句読点をすべて省略している。それで意味が分かるので、問題なしと。また、詩では韻律を整えるために、アクセントを持たない語尾のeが省略されることがよくあるとか、また、語尾を変えてしまうとか。
イギリスやアメリカの詩人で、句読点の省略を実行した人を知らない。英語では文頭と固有名詞が大文字になるが、これも小文字にした人がいるのか、どうか。ドイツ語の名詞を小文字で書くことは英語俳句で文頭を大文字書かない場合もあることにも、なにかしら似ている。
●『ぼくのドイツ文学講義』も『ドイツの詩を読む』も、借りたくて借りた本ではなく、目当ての本がなかったので、借りたのだけなのに、思いがけず教わることがあった。2冊の本とも『ファウスト』の第二部について云々と書いてある。『ドイツ語の詩・・』の本には、辞書で調べなさい、と書いてあるので、ドイツ語の辞書を取り出す羽目になった。

4月9日(火)

雨、風強し
●朝起きると本ぶりの雨。春の嵐。昨日夕方の散歩の帰りに6時ごろだったか、ぽつぽつ雨が落ちてきた。寝る前に洗濯物をベランダに干したが、しっとり濡れている。脱水機にかけて、部屋に干した。
●Quillbot とCopilot を使っているが、Qillbot のgrammar checker はまだしも、Copilotは眉つばものの気がする。
昨夜は自分の英訳俳句50句をQuillbotで文法チェックをした。難しいのは句読点。Quillbotがフィットさせたとおりの句読点でプリントアウトして考えることにした。俳句の切字部分と、「文とは何か」が少々哲学的問題。英語俳句自体がまだ成長段階と言えなくもない。その点、自由度があるのかもしれない。
イラストは、小学生ときの俳句の13句だけに入れてはどうかと、思い着く。苦肉の策から思いついたことなどだが、イラストはすべてモノクロにし、余白をとって、少し思索的にするのが、いいのではと思う。
●『ドイツの詩を読む』(野村修著)を読み始める。ドイツ語の詩と日本語の訳詩が載っている。最初は、ゲーテの「望楼守リンコイスの歌」、二つ目「いちょうの葉」。注はドイツ語の詩についての注で丁寧で目からうろこの教えがあって、ありがたく思う。ドイツ語の詩と訳詩と並べあるので、意義が深いと思う。
「いちょう」は、ginkgo とドイツ語でも英語でも書かれるが、この詩では、「Gingo」。私は「gingo」といつからか、覚えていた。いちょうは東洋からのものらしい。以前フランクフルトの公園で、いちょうの葉をひろった。つい拾いたくなるのが紅葉やいちょうなのだが、一緒にいたワルツォクさんが、いちょうの葉をひろった私に、「ゲーテが・・」と言ったのを思い出した。この詩のことだったのだろうかと思う。