■5月月例ネット句会入賞発表■
2024年5月12日
【金賞】
18.湧水の波紋に砂のゆれる初夏/吉田晃
砂から水が湧き出し波紋をつくると、その波紋で砂が静かにゆれる、繊細で清らかな水と砂の動きは、初夏を象徴する光景と言える。(髙橋正子)
【銀賞/2句】
27.刈られゆく麦の香一日風に乗り/柳原美知子
家の周りは麦刈の真っ最中。刈り取られる麦の匂いが風に乗って一日中漂ってくる。麦秋の季節の明るさ、爽やかさ、その匂いに懐かしい昭和の光景を思い出した。今もその光景があることの大切さを思う。(髙橋正子)
23.田に水の満ちる音して五月に入る/祝恵子
田んぼに水が引かれ、しだいに田に満ちていく。流れ入る水の音もかろやかに弾んでいる。ちょうど五月に入った日なのだ。田植の準備が着々と進んでいる。(髙橋正子)
【銅賞/3句】
05.竹皮を脱ぐや至れり薮の空/桑本栄太郎
竹の生長ははやい。皮を脱ぐとあっという間に空へ高く伸びる。しかし、伸びる先の空はあくまでも生えたところの藪の空。このあたりにせつなくも諧謔味があって、これも竹の本質。(髙橋正子)
12.葉桜の作る日陰に長き列/高橋秀之
素直な詠みかたは、葉桜の日陰をかろやかに印象付けてくれる。葉桜の季節は汗ばむ日もある。長い列はなんの列だろう。何か待っている列には違いない。暑い日差しを避けられる葉桜の日陰がありがたい。(髙橋正子)
20.はつなつの稜線に雲湧き初めし/多田有花
山の稜線は山並みの描く「線」。その山に夏らしい白い雲が湧き始めるのを見ると、夏が来たな、と思う。「はつなつ」の心楽しさが詠まれている。(髙橋正子)
【髙橋正子特選/7句】
10.帰省の子迎えるように鯉のぼり/高橋秀之
息子さんたちも成長し自立されました。そして、ゴールデンウィークには帰省されました。それを迎えるようにご近所で鯉のぼりがはためいています。 (多田有花)
23.田に水の満る音して五月に入る/祝恵子
水が張られ田植えの準備も終わり、充実した五月を迎える爽やかな心境を感じました。 (西村友宏)
新緑の快い季節のなか、田には水がいっぱいに張られ田植えの準備が出来上がり、気候も自然の風物も衣食住も夏らしくなってくる素晴らしい季節です。(小口泰與)
27.刈られゆく麦の香一日風に乗り/柳原美知子
今日は熟れた麦の刈り取りの日なのですね?この日は一日中麦の香が風にただよい、当に麦秋の収穫の喜びに満ち溢れますね。(桑本栄太郎)
熟れた麦が刈られてゆきその香が一日漂っている、動きを感じます。麦の香と風のそよぎが伝わってきます。(多田有花)
36.鯉のぼり喜ぶ声がどこからか/髙橋句美子
鯉のぼりは誰が見ても楽しく心を躍らせてくれます。どこらか聞こえる喜ぶ声もきっと弾んだ明るい声でしょう。(髙橋秀之)
05.竹皮を脱ぐや至れり薮の空/桑本栄太郎
18.湧水の波紋に砂のゆれる初夏/吉田晃
20.はつなつの稜線に雲湧き初めし/多田有花
【髙橋句美子特選/7句】
18.湧水の波紋に砂のゆれる初夏/吉田晃
水の中で砂が穏やかに揺れる様子が夏らしいです。(髙橋句美子)
22.朝一番眺める鉢のメダカの子/祝恵子
メダカを飼育して、稚魚が生まれると楽しいですね。生まれた子の様子を毎朝真っ先にご覧になる。うきうきと水槽をのぞかれる様子が想像できます。 (多田有花)
23.田に水の満ちる音して五月に入る/祝恵子
新緑の快い季節のなか、田には水がいっぱいに張られ田植えの準備が出来上がり、気候も自然の風物も衣食住も夏らしくなってくる素晴らしい季節です。(小口泰與)
水が張られ田植えの準備も終わり、充実した五月を迎える爽やかな心境を感じました。 (西村友宏)
33.八重桜揺れて濃淡鮮やかに/西村友宏
八重桜が咲くころは日差しもぐんと強くなります。重たげに豊満に咲く八重桜の花が風にゆられる様子を「濃淡鮮やか」ととらえられ、新鮮です。 (多田有花)
37.春深し白き小花の街に満つ/川名ますみ
可憐なこでまりや雪柳などの白い花が咲き満ちてそよ風に揺れる街に出ると、心も軽く春の深まりが実感されますね。 (柳原美知子)
12.葉桜の作る日陰に長き列/高橋秀之
27.刈られゆく麦の香一日風に乗り/柳原美知子
【入選/10句】
01.満緑の中に沈みて昼寝かな/小口泰與
満緑の庭に置かれた座り心地のよい肘掛け椅子が想像されます。その椅子に身を沈めみどりの風に身をまかせての昼寝。至福のひとときですね。 (柳原美知子)
08.亀鳴くやゆるき日暮れの待ち合わせ/弓削和人
日長となった春の夕暮れになりきらない頃の待ち合わせ。こんな時には亀が鳴くのではと思うようなのどかで楽しいひとときです。 (柳原美知子)
15.断崖を目指すが如き卯波かな/廣田洋一
「卯波」の季語をよく研究されていて、「断崖」と「卯波」の取り合わせて、画のような景色が生まれている。ただ「如き」が惜しい。例えば添削例として「断崖を目指して迅(はや)き卯波かな」のように、具体的に卯波を写生されるとよいと思う。(髙橋正子)
16.老の声漁の話を初夏の浜/吉田 晃
熱心に夏の浜辺で聞きいっている若者がいます。(祝 恵子)
17.鎌研げば軽くなる風麦畑/吉田 晃
麦刈りに備えて鎌を研ぐと吹く風も軽くなっている。いよいよ収穫の時がきた。無事に麦が育ち収穫を迎える喜びが感じられます。 (柳原美知子)
19.短夜を夜通し風の吹き通し/多田有花
夜に窓を開く時期になりました。夜通し吹き通す風に季節感が溢れてます。(髙橋秀之)
31.箸先に弾力伝わる初鰹/西村友宏
初鰹の身は、固く締まっていてしかも弾力がある。これを箸先に伝わると詠んで、引き締まった鰹の旨さを上手く表現した。 (廣田洋一)
02.庭にきて静寂を砕く時鳥/小口泰與
11.初蝶がひらりと肩にタッチ/高橋秀之
14.土手道を走る親子や薄暑光/廣田洋一
■選者詠/髙橋正子
28.啄木鳥の鳴く声若葉の奥深く
初夏の森の奥深くから啄木鳥の鳴き声が聞こえてくる。秋に木の幹を叩いては餌を探すあの音ではなく、若葉の奥で鳴く声である。啄木鳥の森は瑞々しい若葉に囲まれ、その声が瑞々しく聞こえているのだろう。 (吉田晃)
30.夏の蝶遺影の夫の変わらずに
夏の蝶は大きく、時に、天からの遣いのように映ります。その影に促されて遺影を仰げば、いつものご夫君の姿。遺影が変わらないのは当然ですが、それに驚きを覚えるほど、時の流れを感じられたのでしょう。 (川名ますみ)
29.発車して旅に出るごと栃の花
■選者詠/髙橋句美子
34.黄菖蒲の川の流れに満開に/髙橋句美子
流れに映る黄菖蒲も美しく、風の音清らかな水音も聞こえてくるような爽やかな初夏の景色です。 (柳原美知子)
36.鯉のぼり喜ぶ声がどこからか
鯉のぼりは誰が見ても楽しく心を躍らせてくれます。どこらか聞こえる喜ぶ声もきっと弾んだ明るい声でしょう。(髙橋秀之)
35.同窓会写真に映る八重桜
互選高点句
●最高点句(7点)
23.田に水の満る音して五月に入る/祝恵子
集計:髙橋正子
※コメントのない句にコメントをよろしくお願いします。思ったこと、感じたこと、ご自由にお書きください。
5月12日(日)
■5月月例ネット句会清記■
2024年5月12日
39句(13名)
01.満緑の中に沈みて昼寝かな
02.庭にきて静寂を砕く時鳥
03.ほめられて香水の名あかすなり
04.茉莉花の紅のつぼみや雨予報
05.竹皮を脱ぐや至れり薮の空
06.美味しそうな新緑なりぬ在所かな
07.僚友と一宿一飯さくら餅
08.亀鳴くやゆるき日暮れの待ち合わせ
09.一日を終えし雲かも鳥帰る
10.帰省の子迎えるように鯉のぼり
11.初蝶がひらりと肩にタッチ
12.葉桜の作る日陰に長き列
13.青梅を踏んでしまいし石畳
14.土手道を走る親子や薄暑光
15.断崖を目指すが如き卯波かな
16.老の声漁の話を初夏の浜
17.鎌研げば軽くなる風麦畑
18.湧水の波紋に砂のゆれる初夏
19.短夜を夜通し風の吹き通し
20.はつなつの稜線に雲湧き初めし
21.通学す青葉若葉の下の道
22.朝一番眺める鉢のメダカの子
23.田に水の満る音して五月入る
24.夏近し鉢柿枝の伸びを切る
25.エプロンのポケットに摘む豌豆の香
26.山映す代田に沿いて廃校まで
27.刈られゆく麦の香一日風に乗り
28.啄木鳥の鳴く声若葉の奥深く
29.発車して旅に出るごと栃の花
30.夏の蝶遺影の夫の変わらずに
31.箸先に弾力伝わる初鰹
32.旧友と再会祝す八重桜
33.八重桜揺れて濃淡鮮やかに
34.黄菖蒲の川の流れに満開に
35.同窓会写真に映る八重桜
36.鯉のぼり喜ぶ声がどこからか
37.春深し白き小花の街に満つ
38.白山吹寄らんとすれば既に散る
39.つぶつぶと銀杏並木に木の芽張る
※互選をはじめてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。