9月13日(金)

晴れのち曇り
秋暑し街に流れるアコーディオン 正子
極まりし暑さ頭上に女郎花    正子
独り居の自由に広し葡萄食ぶ   正子

●朝顔が一番たくさん咲いた。
●「俳壇10月号」俳壇ワイド作品集に吉田晃さんの「匂う夏」7句が掲載される。
●今日また図書館日からリルケとヘッセの文庫本4冊を借りて来た。目がくらみそうに暑いので、一日家で過ごす。今日は『マルテの手記』と『デミアン』を三分の一ぐらいずつ読む。

9月月例ネット句会/ご挨拶

ご挨拶
台風の過ぎたあとも厳しい残暑が続いています。9月月例ネット句会にご参加ありがとうございました。入賞の皆様おめでとうございます。
暑いといいながらも朝夕は過ごしやすくなっている感じです。ご投句から、稲が熟れ、酢橘が出回り、烏賊が干されたり、身近な生活が秋らしくなっていることに新鮮さを感じました。

また、選句とコメントをありがとうございます。お一人お一人のコメントから、私の気づかなかったことなどの指摘があったり、勉強になっています。今月は12名のご参加があり、たのしい句会になりました。これで9月月例ネット句会を終わります。来月の句会は10月13日(日)となります。楽しみにお待ちください。
2024年9月12日
髙橋正子

9月12日(木)

晴れ
庭先のその端っこに弁慶草     正子
石垣の上に花見え弁慶草      正子
家内の暗さに目が慣れマスカット  正子
 
●今朝も朝顔がたくさん咲いた。今日も日中は猛暑。

●午前、図書館へ本の返却に。延長1冊、新しく2冊借りた。夕方丸善で立ち読み。『近代日本文学のすすめ』(岩波文庫)をめくると、西脇順三郎が「影向寺(ようごうじ)」の事を書いた文章の紹介があった。影向寺へ信之先生と日吉本町の自宅から歩いて行ったことがあるが、この寺に西脇順三郎の詩碑があるというが、その時は気づかなかった。もう少し涼しくなったら出掛けよう。
センター南の駅前花壇は夏の疲れで元気がないが、ベンケイソウの花が目を引いた。地味な花だけに気にかかるのは、私の性分か。多肉植物のたくましさがあって、小さい粒のような花は色はピンクだが、かわいいとも思えない。昭和のなつかしさがあって気になるのだろうか。自分でもわからない。

9月11日(水)

晴れ
あかつきを朝顔青き花ひらく  正子
新甘藷湯気昇らせて蒸かしけり 正子

●明け方窓を開けで、目を疑った。きのうまでは朝顔が、一つか多くて三つ咲く程度だったのに、今朝は数え切れないほど青い朝顔が一斉に咲いた。西洋朝顔ではなく日本の朝顔な、なおさらのこと驚いた。
●沼隈の葡萄を妹が送ってくる。今では店頭では見られない昔からの葡萄ニューべりーAが入っていた。シャインマスカットやピオーネもおいしいが、葡萄らしいのはニューベリーA。ワインよりの味がする。仏前に供える。
Essay
(四)リルケと俳句について
●明日が図書館の本の返却日。読みかけの『リルケ』を開いた。俳諧がリルケに与えた影響についての文章で、ボードマースホーフについての述べたところに、愛媛大学の藤田正幸先生の名前があって、驚く。驚くこともないのだが、藤田先生は菖園が俳号でボードマースホーフの研究しておられたのを思い出した。引用されたことは、本人に知らされないので、思わぬところで引用されていることを知る。たぶん藤田先生も知らないだろう。信之先生の『比較俳句論序説』が『日本詩歌の伝統 七と五の詩学』(川村皓嗣著)に引用されているのを見つけたのは私なのだ。本人は知らないことが多い。

●愛媛新聞に掲載された今年の俳句甲子園の俳句を晃さんが送ってくれた。晃さんは青少年の俳句の将来を心配している。読ませてもらい、晃さんに電話をした。「何も言うことはありません。」と返事した。

9月10日(火)

晴れ
青もみじ御身は金に九品仏      正子
落栗のなかに青き栗の毬       正子
青いちょう伽藍に大樹の影を置く   正子
みどりなす伽藍につくつくつくつくし 正子
 自由が丘デパート
文鳥を売る店そこが涼しかり  正子

●昨日から、朝が来たら、出かけようと考えていた。9時過ぎの電車で九品仏の浄真寺へ行った。はじめ等々力渓谷へ行こうと考えていたが、倒木があって遊歩道が立ち入り禁止になっている情報があるので、あきらめた。

大岡山で大井町線に乗り換え、九品仏で降りた。九品仏の浄真寺へは、九品仏駅を出て左手へ線路を渡ると探すこともなく参道が見える。九品仏駅は本当に小さい駅で、電車が駅舎をこわさないようにゆっくり入線して来る感じだ。

浄真寺の参道は下枝を取り払った丈高い松の並木が続き、総門を入るとすぐ左手に閻魔堂がある。三途の川の橋を渡り焔魔堂に入り、賽銭を投げ入れ手を合わせたとたん、「人生はあせらず、辛抱強く・・ 」と言う閻魔大王の声。賽銭の額によって、閻魔大王の言葉が違うのか、と思ったり。

境内にはたくさんの青紅葉が枝を広げ目に涼しそうに映る。境内は木陰が広がっているが、じんわりと暑い。樹齢300年の銀杏や樹齢800年の榧の木がある。栗の毬や松毬がたくさん落ちているところもあった。鷺草で有名な寺のようで、鷺草を鑑賞できるような池水もある。手水は鷺草をデザインしたもの、本堂の前には二羽の鷺が羽を広げた像がある。

本堂と向かい合って九体の阿弥陀如来が下品堂、上品堂、中品堂と呼ばれている三つのお堂に三体ずつ安置されている。ら髪は青く、御身は金色。。下品堂の一体は遷仏中で見れなかった。阿弥陀如来の手の形がそれぞれ違っている。それには呼び方がある。間違い探しのように違いを比べて見る。

お堂には賽銭箱にセットされて、おみくじがあったので、少しかき混ぜて引いた。開けると「末吉」。失せ物、近いところにあります。(それはそう、家の中で見えなくなったのだから)。学問、危うし全力を尽くせ(全然学問していないから)。恋愛、今はまだ駄目です(そうなのか)。病気、気を強くもてば安心(病は気からっていうもの)。

境内に丸木を半分にしたベンチが置かれていて、世田谷夫人たちが連れ立ってお参りにきている。私にも、挨拶してくれる。二度会えば二度、三度会えば三度挨拶をしてくれて、近所人と思われたかもしれない。

帰りは九品仏から自由が丘まで電車に乗り、東横線で帰った。久しぶりの自由が丘を見ようと街にでたが、さびれた感じで昔のようなお洒落な雰囲気はない。駅前は鹿島建設が再開発中。楽しい街のイメージは無くなっている。九品仏から自由が丘まで緑道があるのを見つけた。気候がよければ歩けそうだ。帰宅は11時半ごろで、思ったより近い。

■9月月例ネット句会/入賞発表■

■9月月例ネット句会/入賞発表■
2024年9月9日

【金賞】
17.とうふ真白すだちの青き香を絞る/川名ますみ
上五から下五まですっきりと詠みくだし、精神がまっすぐに通っているのがいい。すだちの「青き香」は香りでありながら、青色を視覚に訴える効果があって、句を印象づけている。気持ちのよい爽秋の句。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
06.稲の香のあふるるばかり天は青/小口泰與
句会参加者の大勢の共感を得た句。日本人みんなの心に響く句と言えよう。稲のぬくみのある香りがあふれ、空は晴れて真っ青。私もこの光景を懐かしく思い出し、はれやかな思いになった。稲の稔る美しい日本の象徴的な光景だ。(髙橋正子)

30.露草の青透く風に裏戸あけ/柳原美知子
裏戸を開けると露草が咲き、すずしい風が吹いている。露草の青い色が透き通り、目が覚めるようだ。「裏戸」の陰りのある印象が句に深みをもたらしている。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
08.寝ころびて見上げる空にいわし雲/友田 修
寝ころんで空を見上げる時間は、それが「しばしの時間」であっても貴重なのではないだろうか。見上げた空にいわし雲がひろがり、空はすっかり秋になっている。そんな思いがいい。(髙橋正子)

11.烏賊干せば烏賊の匂いの浜風に/吉田 晃
「烏賊干す」は浜上げされた烏賊を裁いて開き、するめいかにするために、風にあてて干すもので、この季節の風物詩でもある。烏賊を干せば、烏賊の生の匂いが浜風にのって届いてい来る。晴れた空に干されるたくさんの烏賊が浜の特別な風景になっている。(髙橋正子)

23.台風に泊まる事務所は煌々と/高橋秀之
台風が来るからと事務所に泊まり込みで警戒をしなくてはならない夜。港湾の事務所だろうが、事務所に灯る燈は煌々として、台風の接近に緊張感が高まっている。現場を詠んだ職場の俳句。(髙橋正子)

【髙橋正子特選/7句】
06.稲の香のあふるるばかり天は青/小口泰與
稲刈りが始まったのでしょうか。溢れるばかりのイネの香りが、晴れわたる青き空を広く感じさせてくれます。(高橋秀之)
9月に入り日毎に秋めいて来れば、天は青くなり、稲穂は黄金色に熟れて豊かな香りを漂わせて居ります。 豊穣の稔りの秋の景色が嬉しい。(桑本栄太郎)

09.柔らいだ暑さに少しさびしさも/友田 修
猛暑続きだった夏の名残りはまだあるものの、朝夕は虫の音も聞こえ、秋風が吹き、秋本番もすぐそこです。秋が来れば一気に季節が進み、今年もすぐに暮れていきそうな寂しさも感じられます。 (柳原美知子)

17.とうふ真白すだちの青き香を絞る/川名ますみ
夏の名残の暑さの中に少し秋の風情が漂う昨今。豆腐に酢橘を絞りかけると、見た目にも香りにも爽やかさが感じられ、体の芯に溜まっていた疲れが消えてゆく。読み手にも爽やかさを分けていただいた。(吉田 晃)

30.露草の青透く風に裏戸あけ/柳原美知子
まだ気温は高いものの、空気が澄み、小さな草花がきれいに映える季節となりました。露草の青色はひときわ明るく、風に透けるほど。裏戸をあけてその風を入れるとき、秋の清々しさを全身に感じます。(川名ますみ)

11.烏賊干せば烏賊の匂いの浜風に/吉田 晃
23.台風に泊まる事務所は煌々と/高橋秀之
29.登校の帽子の列が稔り田を/柳原美知子

【髙橋句美子特選/7句】
06.稲の香のあふるるばかり天は青/小口泰與
稲刈りが始まったのでしょうか。溢れるばかりのイネの香りが、晴れわたる青き空を広く感じさせてくれます。(高橋秀之)
9月に入り日毎に秋めいて来れば、天は青くなり、稲穂は黄金色に熟れて豊かな香りを漂わせて居ります。 豊穣の稔りの秋の景色が嬉しい。(桑本栄太郎)

08.寝ころびて見上げる空にいわし雲/友田 修
空の広さを感じてゆったりとした気持ちになりました。 (髙橋句美子)

21.秋天に草刈る音の響きおり/多田有花
秋の空に向かって、草を刈る音が高らかに響いていきます。残暑が厳しい日が続きますが、季節は確実に進んでいる一コマです。(高橋秀之)

26.つゆ草の露のとうめ玻璃よりも/髙橋正子
露を帯びて咲くツユクサの清楚なたたずまい。身近な野の花なのに高貴な雰囲気を感じます。(多田有花)

30.露草の青透く風に裏戸あけ/柳原美知子
まだ気温は高いものの、空気が澄み、小さな草花がきれいに映える季節となりました。露草の青色はひときわ明るく、風に透けるほど。裏戸をあけてその風を入れるとき、秋の清々しさを全身に感じます。(川名ますみ)

10.秋茄子の紐に結わえて支えられ/吉田 晃
17.とうふ真白すだちの青き香を絞る/川名ますみ

【入選/8句】
02.嵐去り又も日差しの残暑かな/桑本栄太郎
先日の台風10号は見たこともないような進路をとったうえに嵐が去れば涼しくなるかと思いきや厳しい残暑を残していきました。うんざりされているさまが浮かびます。(多田有花)

07.夕立の切れ目に聞こゆ虫の声/友田 修
夕立があがると同時に聞こえ出す虫の声。そして、また雨が降り出すと静かになります。夕立の切れ目の自然の動きをつかみ取りました。(高橋秀之)

12.店先のすすきへ風の来る花屋/吉田 晃
通りかかった花屋の店先にそよぐすすき。町中にも爽やかな秋の訪れを感じるうれしいひとときです。 (柳原美知子)

14.鶏頭のふさふさ伸びて子規忌来る/廣田洋一
鶏頭と子規忌の素敵な取り合わせですね。(小口泰與)

19.刃を受けて西瓜ぱっくりと割れぬ/多田有花
大きな西瓜をまっぷたつに切るのはなかなか難しいですが、良く熟れていたのでしょう。さくっと刃がが入りきれいに二つに割れました。「ぱっくりと」
にうれしい気持ちが表れています。みずみずしくおいしそうな西瓜が目に浮かびます。 (柳原美知子)

22.蟋蟀の声はどこから列車待つ/高橋秀之
夜になると虫の声がさかんに聞こえる季節になりました。ひとり列車を待っておられたらどこからかコオロギの声。秋の深まりを感じるひとときですね。(多田有花)

28.野分過ぎ闇の深さに星光る/柳原美知子
深夜、台風の眼の下に入ったときに見た星空の美しかったことを思い出します。本当に嵐とは対照的な静けさです。(友田修)
嵐が過ぎ去った後は、空気も澄んで星空観察には良いタイミングですね。夜中にひときわ輝く星空が浮かびます。 (西村友宏)

32.台風のあと食堂をひとり占め/西村友宏
関東地方は台風から離れていたにもかかわらずあちこちで豪雨災害が。出勤してくる人が少なく、食堂ではひとりきり。それを「ひとり占め」と詠まれ、子どものような爽快さがあります。(多田有花)

■選者詠/髙橋正子  
26.つゆ草の露のとうめ玻璃よりも
露を帯びて咲くツユクサの清楚なたたずまい。身近な野の花なのに高貴な雰囲気を感じます。(多田有花)

27 秋澄んで山々近く寄り来る
秋の空は澄んでいて色もくっきり見えるので、山も近く見えるのを、近く寄り来るとしたのが上手い。 (廣田洋一)

25.朝顔の青の二輪を仏前に 

■選者詠/髙橋句美子
34.萩の花の揺れて祝う誕生日/髙橋句美子
信之先生が「女児誕生白萩の白咲ける日に」と詠まれているように、句美子様の誕生の日に咲いた白い萩の花。今年もまた誕生日には萩の花が咲いていて
風に揺れ、誕生日を祝ってくれているかのようです。爽やかにお誕生日を迎えられ、お喜び申しあげます。 (柳原美知子)

35.百日紅満開青い空の下
花が相対的に少なくなる夏に、百日紅はその薄紅色の花を長く楽しめます。そしてその花の上にはいつも青い空があります。 (友田修)

36.清々しゼリーに浮かぶ葡萄の実

●互選最高点句(10点)
06.稲の香のあふるるばかり天は青/小口泰與
集計:髙橋正子


※コメントのない句にコメントをよろしくお願いします。思ったこと、感じたこと、ご自由にお書きください。

9月9日(月)

晴れ、のち曇り
朝顔の葉の上黒き雲が満ち    正子
ベランダの狭き空にも秋の雲   正子
日日草如雨露の水に散りやすく  正子
●9月月例ネット句会入賞発表
https:/blog.goo.ne.jp/kakan02d
●自由な投句箱に『現代俳句一日一句鑑賞』(髙橋正子著)から、その日の俳句を一句ずつ貼り付けている。平成17年8月28日発行なので西暦では2005年。この日から19年経って、取り上げた俳句の古さを毎日感じながら貼り付けている。選んだときは十分新鮮だったのに、なぜかと思っている。
「インターネット俳句センター」を開設したのが1996年なので、この時はすでにインターネットを使いはじめて丸9年経っているから、「ネット社会」という社会への変化でもないだろう。詠む対象に変化があるのかもしれない。人間の心のありようの変化かも知れない。
Essay
(三)リルケと俳句について
信之先生が遺しているリルケの作品集を開いて、はじめの2篇の小さい詩を読むことができた。一日一篇を読んだのだ。1885年、リルケが20歳の時の作品の最初の2篇「古い家で」と「小さい地区」と言う題名の詩で、リルケが生まれた街プラハを詠んでいる。プラハはどんな街なのだろう、ニコライ堂の緑青色の塔はどんな様子なんだろうとか、小さな街の切妻屋根の間から見える小さい空はどんなに可愛くてきれいなんだろうとか、想像するのが楽しくなる。古都の風景かもしれないが、この詩が古いと言う印象はない。(このころのプラハをこの詩に詠んだが、後年様変わりしたプラハを好きではなかったようだ。)
芭蕉の俳句はリルケよりもっと古いが、古いには古いが、古くて萎んできた印象はない。なにがそうさせているのか、知りたいもの。よく「人間の普遍的なテーマ」を取り扱っているので古びないと言うことが言われる。これが当たっているようで実はよくわからない。

■9月月例ネット句会清記■

■9月月例ネット句会清記■
2024年9月8日
36句(12名)

01.おそろしき事となりたる朝の冷え
02.嵐去り又も日差しの残暑かな
03.鳴き尽くすかに焦り居りつくつくし
04.老人の浮子にとまりし蜻蛉かな
05.山霧の雫の音に秋の蝶
06.稲の香のあふるるばかり天は青
07.夕立の切れ目に聞こゆ虫の声
08.寝ころびて見上げる空にいわし雲
09.柔らいだ暑さに少しさびしさも
10.秋茄子の紐に結わえて支えられ

11.烏賊干せば烏賊の匂いの浜風に
12.店先のすすきへ風の来る花屋
13.笠取りて顔を見せたる踊子ら
14.鶏頭のふさふさ伸びて子規忌来る
15.法師蝉鳴きつのりたる法の庭
16.蚯蚓抓み訪問看護師土の上へ
17.とうふ真白すだちの青き香を絞る
18.首都高を出で公園にカンナ燃ゆ
19.刃を受けて西瓜ぱっくりと割れぬ
20.かすかなる赤き三日月西空に

21.秋天に草刈る音の響きおり
22.蟋蟀の声はどこから列車待つ
23.台風で泊まる事務所は煌々と
24,隙間から見える日差しは天高く
25.朝顔の青の二輪を仏前に   
26.つゆ草の露のとうめい玻璃よりも
27 秋澄んで山々近く寄り来る 
28.野分過ぎ闇の深さに星光る
29.登校の帽子の列が稔り田を
30.露草の青透く風に裏戸あけ

31.家事終えてほっと一息レモン水
32.台風のあと食堂をひとり占め
33.名月やタクシー帰りの身を癒す
34.萩の花の揺れて祝う誕生日
35.百日紅満開青い空の下
36.清々しゼリーに浮かぶ葡萄の実

※互選をはじめてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。

9月8日(日)

晴れ 
 信之の遺品、リルケ作品集
秋の夜を読めと遺せしリルケかも    正子
若き実に残る青さよサンつがる     正子
小さくも秋刀魚に酢橘をたっぷりと   正子

●9月月例ネット句会
投句 
秋澄んで山々近く寄り来る    正子
つゆ草の露のとうめい玻璃よりも 正子
朝顔の二輪の青を仏前に     正子
Essay
(二)リルケと俳句について
●4巻まとめて箱に入ったリルケの本。風を入れるためにぱらぱら捲る。インゼル書店の発行となって、2巻が詩。初期の作品は1895年リルケ20歳のときから収録されている。一番最初に「IM  ALTEN  HAUSE」。翻訳がないのでよくわからないが、古い家からプラハの街を見下ろした印象が書かれているようだ。霧の粒子が体に沁み込んでくるような感じがした。
(赤字部分の年数を1985年と間違えていましたが、あさ子さんの指摘でなおしました。ありがとうございました。)
●角川年鑑の結社・俳誌動向をメールで送る。15時すぎの送信はエラーで返ってきたが、同じアドレスで、20時過ぎ送ったときは送信できた。これはなに?
●疲れからのミスが出そう。そのために、今月は仕事を減らすというより、しないようにするつもり。

9月7日(土)

晴れ
まっくらな参道ゆけば夜店の灯    正子
日焼け子ら商店街の夜店へと     正子
兎の耳のみを描きて月見菓子     正子
●角川年鑑2025年版の結社動向を書き終える。あすメールで送る予定。会員の句の選句に難渋したが、並んだ句を見渡せば、一目瞭然、花冠らしい。会員の句を選ぶ基準は「みずみずしさ、感動があるか、よい心境か、本当か」など。難渋する原因はどの句も甲乙つけがたい事。突出して良い句が無いとも言えるが、これは俳句のプロに言う言葉。とにもかくにも、これで本当に夏が終わる。
Essay
(一)リルケと俳句について
●『リルケ』(星野真一・小磯 仁著/清水書院)を読みかける。薔薇の棘に刺さって死んだ人がいると嘘のようなホントの話を聞いていたが、リルケの事だったと知る。リルケは薔薇の棘に刺さり、白血病で亡くなっている。自分の死さえも詩になっている。
●夕飯の支度をしてから、日吉の駅の丸善へ出かけた。行きは電車で、帰りは歩いて赤門坂を下って帰った。金蔵寺の参道を抜けるが、参道はまっくら。なのに真っ暗ななかを人が行き来している。少し歩くと綿菓子に長い行列ができて、商店街の夜店だった。子供たちや若い家族連れでにぎわって、小さな祭りなのに、みんな楽しそうだった。この夏の夜店も今夜で終わりだろう。