4月17日(金)

★雉啼くや子二人育てつつ暮らす  正子
お子さんがまだ小さいころの御句でしょう。ふと鳴いた雉の声に耳をとめられました。
子育てに日々あわただしく過ごされている中にも、季節が巡り行くさまに感慨を覚えられた
ことと思います。(多田有花)

○今日の俳句
花びらの舞い散る中を山に入る/多田有花
花の舞い散る山は、花が終わりかけ、新緑に変わろうとする山で、季節の変わりざまが目に、体に感じ取れる。山には、いち早く季節がめぐって来ているようでもある。(高橋正子)

○十二単衣(じゅうにひとえ)

[十二単衣/横浜・四季の森公園(2014年4月16日撮影)] 

★汝にやる十二単衣といふ草を/高浜虚子
★日を浴びて十二単衣の草の丈/岡本まち子
★行く春の十二単衣の薄紅に/高橋正子

 「ジュウニヒトエ(十二単)」は、シソ科キランソウ属の多年草で日本固有種です。学名:Ajuga nipponensis。開花時期:4月から5月。本州や四国に分布し、農道や山際などのやや湿った場所に生えます。草丈は15~20cmほどで、晩春に咲く唇形の花は茎の先に何段も輪生し、下から咲き上がってきます。
 ジュウニヒトエ(十二単衣)の和名は、花が重なり合って咲く姿を宮中の礼装として着用した十二単衣に見立てて付けられたものです。

◇生活する花たち「もっこう薔薇・草苺・葱坊主」(横浜日吉本町)

4月16日(木)

★岩に滾る水にかがやく猫柳  正子
猫柳は早春に咲く。川べりに多く、その花は銀色でやわらかである。。岩の間から滾る春の水に映って、その銀色がますます美しい。早春の川べりの情景が浮かんでくる。(古田敬二)

○今日の俳句
どの木々も根元まっすぐ春の影/古田敬二
「根元まっすぐ」がすっきりしていてよい。冬の間に寒風に晒され、雨雪に耐えた木々である。余分なものを落としての「根元まっすぐ」だ。その影が春の影として柔らかなのがいい。(高橋正子)

○クレマチス(鉄線花)

[鉄線花/横浜日吉本町] 

★鉄線を活けて有馬の筆作り/大坪景章
★クレマチス咲く中年は美しき/永井潮
★鉄線花みな平らかに空を向く/高橋正子

 クレマチスはつる性植物の女王といわれるに相応しく、美しい大輪の花を咲かせる。しかも蔓は枯れることなく、毎年新しい枝を伸ばしては、その先に花を咲かせ続け、数年たつうちには、たくましく成長して大きな株になり、夥しい花を咲かせる。
 クレマチスというと外来の花のようにも思われるが、今我々が普通に眼にしてい るものは、日本に自生していたものをベースにしている。日本人はそれを鉄線といって長い間愛でてきた。今日でもクレマチスの総称として、鉄線という言葉を使う人は多い。
 詳しく言うと、日本のクレマチスには、鉄線と風車とがあった。鉄線は花びらが6枚で、風車のほうは8枚だから、容易区別できる。もっとも花弁に見えるものは、萼が発達したもので、本来の花弁は退化して存在しない。
 風車の名は、その形状から来ている。八方に広がった羽のような花びらの形があたかも風車を思わせるのだ。一方鉄線は丈夫な蔓が鉄線のようだからだろう。こちらは中国伝来のものである。
 クレマチスは北半球に広く分布している。欧米のものは花が小さい。そこで日本のように鉢仕立ては余り行われず、修景用に用いられることが多い。最近は日本のものとヨーロッパのものを掛け合わせて、多彩なクレマチスが作られている。
 花言葉は美しさや高潔に関連したものが多い。花の持つ優雅さの現われだろう。

◇生活する花たち「藤①・藤②・石楠花」(横浜箕輪町・大聖院)

4月15日(水)

★欅若葉空をうずめて浅みどり  正子
山地や人家の庭に20メートルにも達する大木が新鮮でみずみずしい若葉で空一面をふさぐように萌え出る景はとっても素晴らしいですね。(小口泰與)

○今日の俳句
山風のこよなき匂い四月かな/小口泰與
春の山は萌え出る木の芽や落葉の匂いが混じって、「春の山の匂い」を特別に感じさせる。山風にのって運ばれる「こよなき匂い」は、四月こその匂い。(高橋正子)

○豌豆の花

[豌豆の花/横浜日吉本町]         [豌豆の花/横浜都筑区川和町]

★花豌豆大学生の下宿せり/高浜虚子
★花豌豆定年までの右顧左眄/品川鈴子
★豌豆の花の白さを見つつゆく/阿部ひろし
★豌豆の白花ばかりなりしなり/堀志皋
★花豌豆渚に潮の満つる音/成智いづみ

 エンドウ(豌豆、学名:Pisum sativum L.)は、マメ科の一・二年草。広く栽培され、食用となっている。一般に、エンドウマメとも。別名にノラマメ、グリンピース(未熟の種子を食用とする場合の呼び方)、サヤエンドウ(莢豌豆・絹莢、未熟の莢を食用とする場合の呼び方)。日本での栽培種には、ウスイエンドウ、キヌサヤエンドウ、オランダエンドウ、がある。
 古代オリエント地方や地中海地方で麦作農耕の発祥とともに栽培化された豆で、原種は近東地方に今日でも野生している P. humile Boiss. et Noö. と推察されている。もともとは麦類の間で雑草として生えてきたこの原種の野生植物を、種実を食用にしたり、根粒菌による土の肥沃化に効果があるなどの利用価値を発見することで、麦類とともに混ぜ植え栽培するようになり、次第に栽培植物として品種改良が進んだと考えられている。この地域では農耕開始期に、カラスノエンドウもエンドウと同時に同様の利用が行われ始めたが、こちらの栽培利用はその後断絶し、今日では雑草とみなされている。また、同じ地域に起源を持つマメ科作物としては、ソラマメ、レンズマメ、ヒヨコマメが挙げられる。麦作農耕とともにユーラシア各地に広まり、中国に伝わったのは5世紀、日本へは9-10世紀には伝わった。 また、メンデルが実験材料としたことでも知られている。
 さやの硬さにより、硬莢種(こうきょうしゅ) P. s. ssp. arvense Poir. と軟莢種(なんきょうしゅ)P. s. ssp.hortense Asch. がある。硬莢種はその名のとおり莢(さや)が固く、主として完熟して乾燥した豆を収穫して利用する。花は紅色である。軟莢種は莢が柔らかく、未熟な莢をサヤエンドウとして利用したり、成長を終えて乾燥前の生の豆をグリーンピースとして利用する。花は白いものが多い。スナップエンドウは軟莢種の中でも豆が大きく成長しても莢が柔らかく、豆と莢の両方を野菜として利用できる品種である。
 原産地が冬に雨が多い地中海性気候の近東地方であるため、夏の高温期は成長適期ではなく、麦類と同様に基本的には秋まきして翌春収穫する。冬の寒さの厳しい東北北部や北海道では春まきして初夏に収穫する。連作に弱く、一度栽培した土地では数年間栽培が困難となる。また、原産地が土壌にカルシウムなどが多い乾燥地帯であることから想像できるように、酸性土壌にも弱い。

◇生活する花たち「いちはつ・藤・梨の花」(横浜市緑区北八朔町)

4月14日(火)

★木苺の花が咲くなり森といい  正子
木苺の木に白い花がいっぱいに咲きこぼれている様を想像いたします。目のすぐ近くに広がる花の傍で、まるで大きな森の中にいるように思われたのかもしれません。弾けるような感嘆の気持ちが伝わってきます。(小西 宏)

○今日の俳句
子ら池に足入れ遊び花楓/小西 宏
楓の花は、新緑の季節に先駆けて、暗紅色の花を開きかけた葉の先につける。遠目には、小さな丸い暗紅色の点に見え、かわいらしい。子どもたちは、子どもたちで、ようやく暖かくなったと思うと、はやも水を喜び、浅い池に入って、ザリガニや小さい魚など追いかけて遊ぶ。花楓も子どもたちの遊びも、季節を先駆けた新鮮さがある。(高橋正子)

○藤

[藤/横浜日吉本町(2013年4月13日)]_[芹の花/横浜・四季の森公園(2010年5月1日)] 

★草臥て宿かる比や藤の花 芭蕉
★月に遠くおぼゆる藤の色香哉 蕪村
★春の日の入所なり藤の花 一茶
★藤の花長うして雨ふらんとす/正岡子規
★天心にゆらぎのぼりの藤の花 沢木欣一
★藤房に山羊は白しと旅すぎゆく/金子兜太
★遠つ世へゆきたし睡し藤の昼/中村苑子
★勤めの途中藤の真下の虚空抜ける/堀 葦男
★藤房の中に門灯点りけり/深見けん二
★肩触れて肩かゆくなる藤の花/能村登四郎
★いちにちにゆふべのありて藤の花/鷹羽狩行
★杉あらば杉の高さに藤の花/朝妻力
★縄電車停車す藤の花かげに/増田富子

 フジ(藤、学名: Wisteria floribunda)は、マメ科フジ属のつる性落葉木本。ノダフジ(野田藤)ともいう。ノダフジ(野田藤)の名は、この種が植物学者の牧野富太郎により命名されるきっかけとなった、フジの名所であった大阪市福島区野田にちなんでいる(同区玉川の春日神社には、野田の藤跡碑が建立されている)。
 開花時期は、 4/15 ~ 5/ 5頃。花序は長くしだれて、20cmから80cmに達する。花は紫色。蔓(つる)は他の木などに右巻き(上から見て中心から外側へ時計回りに見える巻き方)に巻きつき、かなり太くなる。2mぐらいの長さの蔓になることもある。蔓はとても強く、古墳時代の巨大な石棺も、木ぞりに載せて、この藤縄で運んだらしい。夏になると新しい枝先からまた少し花が咲くことがある。これに似ている山藤(やまふじ)は左巻きに巻きつく。
 日本原産、日本固有種。本州・四国・九州の温帯から暖帯に分布する。一才藤(いっさいふぢ)として園芸用に流通する鉢がある。樹高50cmくらいの、鉢植えや盆栽にして愉しむための一才物のフジ。花枝はしだれるが、支柱などは不要。

◇生活する花たち「藤・しゃが・菜の花」(横浜市緑区・四季の森公園)

4月13日(月)

★チューリップ剪り集めれば虹の色   正子

○今日の俳句
揚ひばり田ごとに天のありにけり/桑本栄太郎
雲雀は田よりまっすぐに揚がって天に囀る。こちらの田の上にもあちらの田の上にも雲雀が鳴き、田ごとに天がある。実にうまく詠んでいる。(高橋正子)

○梨の花

[梨の花/横浜市緑区北八朔(左:2013年4月12日・右:2012年4月19日)]

★両岸の梨花にラインの渡し船/高濱虚子
★能登けふは海の濁りの梨の花/細見綾子
★梨棚の白とも言えぬ花咲けり/高橋正子

正子の日記/2012年4月20日より
 昨日の午後、信之先生と2人で吟行兼写真撮影。横浜緑区北八朔町の果樹園の梨の花を目的とした。自宅がある港北区から都筑区川和町までを地下鉄に乗った。電車を降りたときは、田園のいい香りがした。菜の花の匂いに、なにか花の匂いが混じっている。歩くところ、歩くところ、花が噴きだしたように一斉に咲いているためであろう。
 川和町を鶴見川に沿って東側の土手を川上に向かって歩いた。鶴見川の土手は、すぎな、いたどりが群生し、菜の花が方々に咲いている。すいばは、穂を伸ばしかけ、桜は葉桜となりながらもまだ花が咲いている。豌豆の花、蚕豆の花、苺の花、ほうれん草の花、葱坊主、桃の花、林檎の花、木蓮、いちはつ、山吹、石楠花、シャクヤクの花蕾、土手の斜面にはすかんぽやいたどり等も。のどかな田園地帯で、八十を越えたかのような老人が農作業にいそしんでいた。
 1時間半ばかり歩いたところの天神橋は、都筑区川和町と横浜緑区北八朔町と青葉区下谷本町との3町の境となる。天神橋を通って鶴見川の西側へ渡る。そこが緑区北八朔町の梨の果樹園で花盛りであった。梨は、初秋には「はまなし」として売られる。梨の花は、白い。採果しやすいように枝は横に這うように伸ばせた樹形となっているが、枝には意外にも大きな花がびっしりとついている。随分摘果しなければならないだろうと思った。
 梨の花を撮り、天神橋を渡って都筑区川和町へ戻る。少し歩くと青葉区市ヶ尾町になる。市ヶ尾駅からあざみ野駅までを田園都市線で、そこから横浜市営地下鉄に乗り、日吉本町駅で下車、帰宅は、午後3時過ぎ。帰るや川土手で取ってきたいたどり二本を水道水で洗って、藻塩をつけて少々食べる。ぽきっと折れて瑞々しかったが、残念ながら、二本とも埃臭い味。山の沢などのいたどりは、こんな味ではない。鑑賞用にコップに挿した。
 梨の花弁は通常白色、5枚の離弁が基本であるが、色や花弁数には変異がある。また、おしべは約20本、花柱は5本である。梨は本来虫媒花であるが、自家不和合性(同じ品種間では結実しない性質)が強く、栽培される場合には経済的な理由から他品種の花粉によって人工受粉が行われる。めしべの柱頭に付着した花粉は発芽し、花粉管を伸長して胚珠に到達、重複受精を行う。果実の育成は植物ホルモンの影響を受ける為、人工的にこれを添加する事も行われる。また、結実数が多すぎる(着果過多)場合には、商品となる果実の大きさを維持する為に摘果が行われる。

◇生活する花たち「あおいすみれ・錨草・山吹草」(東京白金台・自然教育園)

4月12日(日)

★はこべらの花を撮りつつバスを待つ  正子

○今日の俳句
高々と花満つ校舎の外窓へ/小川和子
校舎の高い窓に触れて桜が咲き満ちている。窓の内から見れば窓は桜に埋め尽くされている。今年は早い桜であるが、卒業や入学に重なる桜の花は、生徒たちの胸にいろんな思い出を残すことだろう。

○著莪(しゃが)

[著莪/横浜日吉本町(2013年4月4日)][著莪/東京・関口芭蕉庵(2010年5月9日)]

★紫の斑の仏めく著莪の花/高浜虚子
★著莪の花白きにわきて雲絶えず/加藤楸邨
★姫著莪の花に墨する朝かな/杉田久女
★著莪叢のとどく木洩れ日濡れてをり/稲畑汀子
★譲ることのみ多き日々著莪の花/塙 義子

 シャガ(射干、著莪、胡蝶花、学名:Iris japonica)は、アヤメ科アヤメ属の多年草である。人家近くの森林周辺の木陰などの、やや湿ったところに群生する。開花期は4 – 5月ごろで、白っぽい紫のアヤメに似た花をつける。花弁に濃い紫と黄色の模様がある。根茎は短く横に這い、群落を形成する。草丈は高さは50 – 60 センチ・メートル程度までになり、葉はつやのある緑色、左右から扁平になっている。いわゆる単面葉であるが、この種の場合、株の根本から左右どちらかに傾いて伸びて、葉の片面だけを上に向け、その面が表面のような様子になり、二次的に裏表が生じている。
 学名の種小名はjaponica(「日本の」という意味)ではあるが、シャガは中国原産で、かなり古くに日本に入ってきた帰化植物である[1]。三倍体のため種子が発生しない。このことから日本に存在する全てのシャガは同一の遺伝子を持ち、またその分布の広がりは人為的に行われたと考えることができる。したがって、人為的影響の少ない自然林内にはあまり自生しない。スギ植林の林下に見られる場所などは、かつては人間が住んでいた場所である可能性が高い。そういう場所には、チャノキなども見られることが多い。中国には二倍体の個体があり花色、花径などに多様な変異があるという。東京都でレッドリストの準絶滅危惧種に指定されている。

◇生活する花たち「やまるりそう・すみれ・楓の花」(東京白金台・自然教育園)

4月11日(土)

★豌豆の花の飛び立つとの曇り  正子

○今日の俳句
レンギョウの明るくはじけ雨上がり/河野啓一
「明るくはじけ」は、レンギョウのつやつやした花びらを的確に描写している。雨上がり、レンギョウの花は弾けたように黄色い花を咲かせる。(高橋正子)

○2014年4月9日に、白金台の自然教育園に出かけた。桜はほぼ終わり、はや、初夏の雰囲気となっていた。水生植物園のミツガシワの花が咲いて、涼しげであった。ミツガシワは、これまでずっと葉だけ見てきた。ようやく花が見れた。浦島草、武蔵鐙もちょうど花時。花といっても、仏炎苞で、暗紫色のところがグロテスク。浦島草は、釣り糸に見える部分が、5、60センチもありそうだ。一夜にしてそれだけ伸びたのかどうかは知らないが。そのほかでは、にわとこのはな、貝母の花、一輪草、二輪草、ひとりしずか、羅生門蔓、草山吹、山吹、花楓などが見ごろ。珍しいものでは、猩々袴を見た。むくろじの花と実も見た。イロハモミジが新緑の葉を広げてよい眺めであった。

○接骨木(にわとこ)の花

[接骨木の花/東京白金台・自然教育園] 

4月10日(金)

 清洲橋
★ケルンの橋青く塗られて春の橋  正子
清洲橋のケルンを探してみました。青い橋もあるのですね。青い橋の清洲橋を渡り、春の風を受け心地よく歩かれています。(祝恵子)

○今日の俳句
シャボン玉子ら追いかける大広野/祝恵子
大広野がいい。シャボン玉も子らも広野に、広野の空に解放されて自由で、生き生きしている。

○チュ-リップ

[チュ-リップ/横浜日吉本町]

★ベルギーは山なき国やチューリップ/高浜虚子
★チューリップ喜びだけを持つてゐる/細見綾子
★チューリップ日向の色に加はりぬ/稻畑汀子
★すれ違ふどこかで見た子チューリップ/今井千鶴子
★チューリップ散って一茎天を指す/貞弘 衛
★チューリップ一輪挿せる夜の黙/金澤明子
★晴れ渡る日や正直にチューリップ/犬塚芳子
★チューリップ駅の未来図張り出され/高村洋子

 チューリップはユリ科チューリップ属の植物。球根ができ、形態は有皮鱗茎。和名は鬱金香(うこんこう、うっこんこう)、中近東ではラーレと呼ばれる。アナトリア、イランからパミール高原、ヒンドゥークシュ山脈、カザフスタンのステップ地帯が原産。
 多様な園芸品種が存在する。外観は、花弁の先端が丸いもの・尖ったもの・フリル状のものもある。咲き方は一重から八重。一つの球根から複数の花がつくもの。すぼまった状態で開花するものや花弁が外側へ反り返り全開して開花するものなど。花色も青以外の赤・黄・オレンジ・白・緑・紫などの単色や複数の色のものなど、数百品種のチューリップが存在する。青バラと同様に多くの育種家によって青いチューリップの開発が進められているが、花弁全体が青い品種は発表されていない。 チューリップの花を上から覗くと、花弁の根元に青い部分が存在する。その部分には青い色素がみられ、その青い部分を増やすことで青いチューリップを作る研究がされている。
 繁殖は主に分球で、実生(タネ)からは開花までに5年以上かかる。実生は品種改良の際に行われる。人気のある花だけに花形・花色・草姿・葉の模様・ブルームの有無・香り・早晩性・耐暑性・耐湿性・多花性・繁殖力、切花では切花寿命・無花粉化・花茎の硬さなど改良されるべき性質が多く、特に日本の高温多湿に強い品種が望まれる。ただし、野生種をはじめ交配に使える素材も多いため、時間は掛かるが品種改良は比較的容易である。
 開花前に裁縫に用いる針等を用いてチューリップの花の根元部分を貫通させ傷つけるとエチレンが発生し開花期間を長引かせることができ、開花後に同様のことを行なうと開花期間が短縮することがチューリップのみで確認されている。

◇生活する花たち「三葉躑躅(みつばつつじ)・葱坊主・繁縷(はこべ)」(横浜日吉本町)

◆ご挨拶/花まつりネット句会(句会主宰:高橋正子)◆


花祭り句会にご参加いただき、ありがとうございました。入賞の皆様おめでとうございます。選とコメントをありがとうございました。気づかぬところを気づかせていただきました。今日の句会の選では、信之先生と私の選が一句も重ならず、作者が同じでも異なる句を採ったり、という具合でした。これは、いい句がたくさんあって、どの句もそれぞれよく、選が重ならなかったのかもしれません。投句者も20人で、最近になく大勢でした。みなさんの底力を感じ、みんなの力で前へ、新しい季節へと運ばれいくような感覚になりました。

今日、4月8日は新暦の灌仏会ですが、今年は真冬のような冷え込みで、一日冷たい雨が降る横浜でした。東京では、雪が舞ったようです。桜は大方が散って、桜蕊のくれないが目立ちました。お昼すぎに、近くの天台宗金蔵寺に参りましたら、お参りの人は一人でした。花御堂は、寺の庇の下に設けられてそばに甘茶が用意されていました。いただいた甘茶の甘かったこと。いつもは甘茶が早々になくなるのに、雨の灌仏会はしずかでしたが、花御堂のお花は生き生きとして、飾られた桜の花も滴が宿っているようでした。互選の集計は洋子さんに、句会の管理運営は信之先生に今月もお願いいたしました。ご挨拶を小西宏さんにもいただきました。これで、今日の句会を終わります。来月は端午ネット句会です。来月もご参加をお待ちしています。

■花祭りネット句会を終えて/小西 宏■

 高橋信之先生、高橋正子先生、今年もまた「花祭りネット句会」をご開催くださり、たいへん有難うございました。また、藤田洋子さんには、いつものように互選集計の労をお取りいただきました。そしてなにより、この句会にお集まりくださり、たくさんのよい俳句をお寄せ下さった皆さま方に、深くお礼申し上げます。

 四月を迎え、いよいよ豊かな日差しの中、各地で花や木々、鳥や動物たちの伸びやかな姿を目にし耳にすることができるようになりました。それでもまた、気まぐれなお天気の変化に驚かされることの少なくない季節でもあります。ここ数日は、夏を思わせるような暖かな日があるかと思えば、冬に逆戻りしたかのような寒さに身を凍えさせる思いも致しました。皆さま方の投句を拝見しておりますと、そんな豊かな春の情景が明るく詠われ、伝えられていることを実感いたします。高位に入賞された方々の作品からは、そうした情景が見事に表現されていることを強く感じますが、そうでなかった句からも、それぞれから発散される新鮮な息遣いが漏れ聞こえてきます。これぞ句会の醍醐味であろうと、浅学の身ではありながら、嬉しく感じたところです。皆さま、どうも有り難うございました。(小西 宏)