5月11日(月)

★薔薇垣と薔薇のアーチに人の住む  正子
丹精込めて手入れされた薔薇垣と薔薇のアーチなのでしょう。薔薇をこよなく愛する住人はどのような方でしょう。お住まいの方はもちろんのこと、通りすがりの人々にも、季節の豊かな彩りと喜びを分け与えてくれる薔薇の美しさ、芳しさを思います。(藤田洋子)

○今日の俳句
若葉風自転車きらり輪が廻る/藤田洋子
若葉風に吹かれ、自転車の銀輪がきらりと輝いて廻る。初夏の解放感と若々しさの溢れた句。(高橋正子)

○2014年5月11日
句美子と大船フラワーセンターへ吟行に行った。日吉駅で10時半に待ち合わせ。句美子はフラワーセンターは初めてなので、私が案内。園内は薔薇としゃくやくが咲き誇り、馥郁たる香り。この二つに加え、睡蓮、黄菖蒲がよく咲いていた。ルピナス、矢車草、おだまきなど百花繚乱。アカシヤの花、石楠花、藤がすでに終わっていた。句美子が温室を見たいというので温室に入った。思いがけず、睡蓮の花がとりどり咲いて、ロンドンのキューガーデンを句美子と見学したことを思い出した。睡蓮が咲いていたこと、オーストラリアやその他熱帯の植物があったことなど。赤バナナが成熟中であった。キューガーデンとは、もちろん、規模が全然違うのだけれど、フラワーセンターの意気込みも感じられた。 昼食は持参の助六すしと柏餅などで済ませた。帰りは、大船駅のドトールでアイスティーとミルフィーユで小憩。句美子は翌日、28句作ってメールで送ってくれた。

○睡蓮

[睡蓮/神奈川県立大船植物園]      [睡蓮/横浜都筑・ふじやとのみち]

★睡蓮の花沈み今日のこと終へず/臼田亜浪
★睡蓮に日影とて見ぬ尼一人/飯田蛇笏
★睡蓮や鬢に手をあてて水鏡/杉田久女
★睡蓮の明暗たつきのピアノ打つ/中村草田男
★睡蓮に雨意あり胸の釦嵌む/中村草田男
★睡蓮の汀に睫長き子よ/星野立子
★睡蓮やまづ暮のいろ石にあり/加藤楸邨
★睡蓮のひかりを絵の具盛り描く/宮津昭彦

睡蓮(学名:Nymphaea)は、スイレン目スイレン属の植物の一つで、水生多年草。単にスイレン(睡蓮)と呼ぶことが多い。日本にはヒツジグサ(未草)の1種類のみ自生する。日本全国の池や沼に広く分布している。白い花を午後、未の刻ごろに咲かせる事からその名が付いたと言われる。水位が安定している池などに生息し、地下茎から長い茎を伸ばし、水面に葉や花を浮かべる。葉は円形から広楕円形で円の中心付近に葉柄が着き、その部分に深い切れ込みが入る。葉の表面に強い撥水性はない。多くの植物では気孔は葉の裏側にあるが、スイレンでは葉の表側に分布する。根茎から直接伸びる花柄の先端に直径5-10cmほどの花をつける。産地で大まかに分けると、熱帯産と温帯産に分けられる。温帯産は水面のすぐ上に花を付けるが、熱帯産は水面から高く突き出た茎の先端に花をつけるので、区別は容易である。また、熱帯産には夜や早朝にしか花を咲かせない種もある。

○生活する花たち「西洋おだまき・卯の花・錦木の花」(東京深川・芭蕉記念館とその近辺)

5月10日(日)

★初夏の夜の電車傾きつつ曲がる  正子

○今日の俳句
蒲公英の種ふと浮び空の詩/河野啓一
野原の蒲公英の絮が、風が来て、ふっと空に浮かんだ。これから広い空を飛んでゆく、蒲公英の種子の旅がはじまる。その心は、「詩」と言える。蒲公英の種子の飛行は、「空の詩」であり、「空の歌」なのだ。(高橋正子)

○杜若(かきつばた)

[かきつばた/東京白金台・自然教育園(左:2013年5月2日・右:2012年5月10日)] 

★宵々の雨に音なし杜若/与謝蕪村
★杜若けふふる雨に莟見ゆ/山口青屯
★森に池あり杜若濃き青に/高橋信之

カキツバタ(燕子花、杜若、Iris laevigata)はアヤメ科アヤメ属の植物で、湿地に群生し、5月から6月にかけて紫色の花を付ける。内花被片が細く直立し,外花被片(前面に垂れ下がった花びら)の中央部に白ないし淡黄色の斑紋があることなどを特徴とする。愛知県の県花でもあり、三河国八橋(現在の知立市八橋)が『伊勢物語』で在原業平がカキツバタの歌を詠った場所とされることに由来している。在原業平が詠んだ歌は「から衣 きつつなれにし つましあれば はるばる来ぬる たびをしぞ思ふ」江戸時代の前半にはすでに多くの品種が成立しており、古典園芸植物の一つでもあるが、江戸時代後半には花菖蒲が非常に発展して、杜若はあまり注目されなかった。現代では再び品種改良が進められている。日本三大カキツバタ自生地は、愛知県刈谷市井ヶ谷町にある「小堤西池」、京都府京都市北区にある「大田の沢」、鳥取県岩美町唐川にある「唐川湿原」で、カキツバタの自生地として有名である。なお、「いずれがアヤメかカキツバタ」という慣用句がある。どれも素晴らしく優劣は付け難いという意味であるが、見分けがつきがたいという意味にも用いられる。

◇生活する花たち「芍薬・しゃが・繁縷(はこべ)」(横浜日吉本町)

5月9日(土)

★新緑の翳るときあり水があり  正子
今当に新緑の季節を迎えています。公園や広場の木々は初夏の艶やかな葉を茂らせ段々と緑も増し、その木々が重なり合って心地よい翳りを作ってくれています。辺りには噴水、池 水飲み場などが有り、目にしたもの全てが清々しく、そんな中で寛ぎの一時を過ごしていらっしゃる様子が見えて参ります。(佃 康水)

○今日の俳句
筍を茹でつつ糠を噴き零す/佃 康水
筍を茹でるとき油断すると灰汁を抜き、柔らかくするために加えた糠が吹きこぼれる。鍋や釜の縁に吹きこぼれた糠がこびりつくこともある。しかし、こういう事に季節の暮らしがある。(高橋正子)

○芍薬

[芍薬/横浜日吉本町]

★芍薬を画く牡丹に似も似ずも/正岡子規
★蕾日に焦げんとしては芍薬咲く/中村草田男
★芍薬の一ト夜のつぼみほぐれけり/久保田万太郎
★嫁ぎゆき芍薬の花咲きつづく/和知喜八
★そろひ咲く白芍薬よ朝の庭/阿部ひろし
★芍薬のピンクが白に近い色/高橋信之
★芍薬の白はふっくら日の溶けし/高橋正子

 (2012年の日記より)今日、5月28日は信之先生の81歳の誕生日。家族の都合で、昨日の日曜日に誕生祝いをした。四角な大きなケーキを句美子が作り、わたしは、たけのこ寿司を作った。ただそれだけの簡素なお祝い。芍薬の花を昼過ぎに買って花瓶に生けておいたら、夜には、蕾まで開きはじめて、開いていた花は、これ以上咲けないというほど開いた。花もちをよくする薬を入れたせいと、水切りがうまくいったのかもしれない。誕生日にふさわしく豪華に咲いた。砥部の庭には、臥風先生のお宅から移した芍薬があった。来年は、芍薬の根っこを買って鉢で育てようという話になった。
 花冠同人で今日の俳句に挙げた黒谷光子さんも、facebookで拝見すると、28日がお誕生日とのこと。光子さん、おめでとうございます。
 芍薬は牡丹が終わったころに咲く。牡丹ほど気取っていないので、砥部の庭にもあって、咲けば切って花瓶に挿して楽しんだ。小学生のころから芍薬は変わらずある。今はどうか知らないが、教室には教卓の近くに花瓶があって花が活けてあった。家に咲いた花を切って子どもたちが持ってきていたが、芍薬の咲く時期には、花瓶に挿しきれないほど芍薬が集まる。すると先生がバケツを用意してバケツに入れてくれる。このころは、芍薬だけでなく、あやめやいちはつなども次々に誰かがもって来ていた。

◇生活する花たち「黄菖蒲・睡蓮・芹の花」」(横浜都筑・ふじやとのみち)

5月8日(金)

★野ばら咲く愛のはじめのそのように  正子
野ばらを見ると、愛が始まる時のような可憐な思いが湧いてきたのでしょうか。素敵な句です。(祝恵子)

○今日の俳句
チューリップ小雨は森に去りました/祝恵子
森の近くのチューリップ畑。あまりにもかわいらしいチューリップに雨は少しだけ降って森へ去っていった。ここにメルヘンが生まれた。(高橋正子)

○野茨(花いばら・野ばら)

[野茨/東京白金台・自然教育園]

★花いばら故郷の路に似たる哉/与謝蕪村
★愁ひつつ岡にのぼれば花いばら/与謝蕪村
★咲きはじむ野ばらの白よ旅衣を解く/高橋信之
★野ばら咲く愛のはじめのそのように/高橋正子

野茨(バラ目バラ科バラ属学名:Rosa multiflora)は、バラ科の落葉性のつる性低木。日本のノバラの代表的な種。沖縄以外の日本各地の山野に多く自生する。ノバラ(野薔薇)ともいう。高さは2mぐらいになる。葉は奇数羽状複葉で、小葉数は7-9、長さは10cmほど。小葉は楕円形、細かい鋸歯があり、表面に艶がない。花期は5~6月。枝の端に白色または淡紅色の花を散房状につける。個々の花は白く丸い花びらが5弁あり、径2cm程度。雄しべは黄色、香りがある。秋に果実が赤く熟す。野原や草原、道端などに生え、森林に出ることはあまり見ない。河川敷など、攪乱の多い場所によく生え、刈り込まれてもよく萌芽する、雑草的な性格が強い。古くはうまらと呼ばれ万葉集にも歌われている。

★道の辺の うまらの末(うれ)に 這(は)ほ豆の からまる君を はなれか行かむ/丈部鳥(はせつかべのとり)万葉集巻二十 4352

野薔薇は、シューベルトの歌曲で知られているが、与謝蕪村が好んで俳句に詠んでいる。蕪村の句は読んで非常に新しい感じがした。山裾の崖、河原の藪に絡むように育っているが、花は、一面に白い花が咲いて、可憐である。

◇生活する花たち「野茨・ひとりしずか・ふたりしずか」(東京白金台・自然教育園)

◆ご挨拶/端午ネット句会(句会主宰:高橋正子)◆

端午ネット句会にご参加ありがとうございました。入賞の皆様、おめでとうございます。今年の連休は、はじめから終わりまでお天気に恵まれました。珍しいことと思います。5日の子どもの日、端午の節句は、朝夕の風はひんやりと心地よく、昼間は薫風が吹き抜けて、本当に気持ちの良い祝日を過ごすことができました。端午に合わせのご投句に、昔ながらの懐かしい生活や風景も詠まれて、いまもこうしたことが続いていて、嬉しくなりました。私の郷里では、柏の木がなく、山帰来の葉で柏餅を作っておりました。それもかしわ餅と呼んでおりましたが、佃さんの句に、そんなことなど思い出しました。このごろ粽が手に入らなくなったのが残念です。
連休最中の句会でしたが、14名のかたにご参加いただいて、よい句会になりましたことを、お礼申し上げます。来月のネット句会を楽しみに、ご健吟ください。これで、端午ネット句会を終わります。管理運営の信之先生、互選集計の洋子さん、大変お世話になりありがとうございました。

5月7日(木)

★白ばらの空気を巻いていて崩る  正子
白ばらの正に絢爛と盛りある咲きよう。空気の中に広がり、否、大きく巻き込んで濃密な一体となって在り、この期を逃せばあとはただ崩れ去るのみ。(小西 宏)

○今日の俳句
蒲公英の花せめぎあい光りあい/小西 宏
蒲公英が明るい日差しの中に、びっしりの咲いている様子。一つ一つの花は可憐でありながら、せめぎあうほどの花の力。せめぐだけでなく、また、互いに光りあっている。確かな目である。(高橋正子)

○ジャーマンアイリス(ドイツアヤメ)

[ジャーマンアイリス/横浜市都筑区ふじやとの道] 

★ドイツアヤメ咲く青年のジョギング/高橋信之
★学ぶ卓ドイツあやめの香が届き/仙石君子

ドイツアヤメ (Iris germanica) はアヤメ科アヤメ属の植物の一種。別名のジャーマンアイリスで呼ばれることが多い。本種は、アヤメ属の植物を交雑して作出されたもので野生のものはない。1800年代の初期にドイツ、フランスで品種改良され、その後、アメリカが多数の品種を出している。花期は5 – 6月ごろである。

◇生活する花たち「山躑躅・武蔵野きすげ・あやめ」(東京白金台・自然教育園)

5月6日(水)

★明け初めし空の丸さよ柿若葉  正子
煌々と明るくなる前の夜明けの空なので、丸く感じたのでしょう。柿若葉が春のやわらかで丸さを感じる空を引き立てて感じせてくれます。 (高橋秀之)

○今日の俳句
ヨットの帆きらめく海に高々と/高橋秀之
「きらめく」、「高々」の言葉が、ヨットの浮かぶ海の光景に高揚する気持ちをよく述べている。(高橋正子)

○芹の花

[芹の花/横浜市都筑区緑道ふじやとの道(左:2012年5月1日・右:2014年4月15日)] 

5月5日(火)

★葉桜の蔭は家居のごと安し  正子

○今日の俳句
鯉のぼり仲良く泳ぐ水鏡/上島祥子
田水が張られ、その近くに民家があるのか。ま鯉、ひ鯉、子供の鯉とそろって吹かれている様が水に映って気持ちよさそうだ。(高橋正子)

○午後長男家族が立ち寄った。明日地鎮祭をするとのこと。孫の元希は、5秒ぐらい両手を放して立てるようになった。自分でも自慢のようだ。

○詩人の瀬川さんがFBの友達承認してくださった。FBの西川仁さんも友達承認をしてくださった。

○今日はこどもの日。小学校2,3年生のときのこどもの日、を思い出した。

こどもの日

山へのぼろう
こどもの日に
山つつじが赤く咲く岬の山へ
かあさんたちが
つくってくれた
ばらずしをもって

山から海を見ようよ
少女たち
子もりのふうちゃんが
炭鉱のある九州へひっこっして行った海を
赤い髪の小さいけんちゃんが
手をふってブラジルへ行った海を

そうして
海のむこうから来る船が
正午に鳴らす汽笛を聞こうよ
目をこらせば
きっとわかるんだよ

○薔薇(ばら)

[薔薇/横浜日吉本町(2012年5月18日)] [薔薇/横浜・港の見える丘公園(2010年5月17日)] 

■五月端午ネット句会入賞発表■


■端午ネット句会■
■入賞/14名42句

■入賞発表/2015年5月5日
【金賞】
★子どもの日青空からの風が吹く/高橋句美子
晴天に恵まれた子どもの日。広い青空から風が心地よく吹いてくる。屋上や高層階では、特にこんな感じだろう。青空と風を詠んでそれが、「子どもの日」らしい爽やかさとなっているのがよい。(高橋正子)

【銀賞2句】
★広い空ゆったり泳ぐ鯉のぼり/迫田和代
広い空を腹いっぱいに風をはらんでゆったり泳ぐ鯉のぼりを、その鯉のぼりと同じようにゆったりとした語調で詠んでいる。内容と言葉が、これほとぴったりと合っている句はまれだ。風をはらんだ鯉のぼりの泳ぐ音までが聞こえるようだ。(高橋正子)

★鯉のぼり尾まで丸々風のなか/川名ますみ
鯉のぼりが風を飲み込んで、丸々として吹かれている。それも、尻尾まで丸々している。風はたっぷりと尾を抜けて、丸々とした男の子を思わせる。(高橋正子)

【銅賞3句】
★柏餅夜には揃う子らのため/高橋秀之
柏餅が子供たちのために用意されている。それは、夜に揃う子供たちのためにである。昼間は、子供たちは、それぞれに、友達と遊んだり、部活動に出かけたりして揃わないが、夜にはみんな揃う今、今日の家庭の姿が、あたたかい眼差しで詠まれている。(高橋正子)

★細やかな雨に少女ら茶摘みかな/佃 康水
茶畑の茶は新芽が出そろい、若葉となって茶摘みの季節を迎えた。茶の若葉に降る細い雨が、茶摘みの季節をよく感じさせてくれる。茶摘みの少女のしなやかな指も茶葉の柔らかさを印象付けている。(高橋正子)

★夏帽子飛ばし吾影に帽子無く/祝恵子
風に夏帽子を飛ばされてしまった。足元の濃く映った自分の影は、なるほど、帽子を冠っていない。ユニークで楽しい発想の句に感服。(高橋正子)

【高橋信之特選/8句】
★父と児の連弾はずむ子供の日/佃 康水
おそらく、ピアノ教室にも通っているお子さんと父親の光景のようですね?いつもはお仕事で家には居ないパパと、長いG・Wの休みの子供の日には一緒にピアノに向い連弾のひと時を過ごしています。親子の活き活きとした子供の日が想われて、頼もしい。(桑本栄太郎)

★熟れ初めし麦サワサワと朝風に/柳原美知子
麦秋の始まりである。サワサワと乾いた音に夏の近さを感じている。さわやかな句と思います。(古田敬二)

★新聞紙折りて兜に子ら勇む/河野啓一
新聞紙で兜を折ることも珍しくなったが、男の子は兜を冠ぶらせてもらうと、自分が勇ましく思えるのだろう、勢い「勇む」ポーズをとったりする。健やかさ男児がほほえましい。(高橋正子)

★菖蒲どさっと売らる店頭すがすがし/高橋正子
スーパーに菖蒲の葉がどっさりと売られていて、そのコーナーに立つと、すがすがしい気持ちになった。買い物客も菖蒲を買い物籠に入れてカート押していたり、季節感があっていいものと思った。(自句自解)

★広い空ゆったり泳ぐ鯉のぼり/迫田和代
広い空の綺麗な空気一杯を飲み込み、悠々と泳いでいるどっしりとした鯉幟が目に浮かびます。私達までゆったりとした気持ちにさせて頂けた御句です。(佃 康水)

★夏帽子飛ばし吾影に帽子無く/祝恵子
夏帽子が風に攫われてしまった。ふと自分の影に気づくと帽子が映っていない。飛ばしたのだから影も無い筈だけれども、当然のことを詠まれた所に俳句の魅力と面白さを感じさせて頂きました。(佃 康水)

★子どもの日青空からの風が吹く/高橋句美子
子供の日は青空が晴れ渡っていました。「青空からの風が吹く」の措辞に綺麗な風の吹く爽やかさ、そして嬉しさが伝わって参ります。「子供の日」である事がまた嬉しいです。(佃 康水)

★鯉のぼり尾まで丸々風のなか/川名ますみ
風一杯を飲み込んだ鯉幟が尾の先まで丸々となって泳いでいます。丸々とした子供のふくよかさを想起させ、作者が目を細めて仰いでおられる優しい姿が見えて参ります。健やかな成長を願いたいですね。(佃 康水)

【高橋正子特選/8句】
★柏餅夜には揃う子らのため/高橋秀之
端午の節句と言えば柏餅。子らのために昔作ったそのままの柏餅を又皆が揃う子どもの日の夜のために手作りする親心が偲ばれ、家族の平和への祈りが感じられます。 (柳原美知子)

★鯉のぼり百を渡らせ川流る/柳原美知子
川の両岸を結んでたくさんの鯉のぼりが泳いでいるのは、川の流れと相まって躍動的な風景です。 (高橋秀之)

★嬬恋の雪間に泳ぐ幟かな/小口泰與
嬬恋の山々には雪が残っているが、鯉幟が高く泳ぎ、山国にも五月が来た。日本全国さまざまな風景の中で泳ぐ鯉幟が見られることであろうが、雪間に泳ぐ鯉幟もそのひとつ。農作業も、一気に活気づくことであろう。(高橋正子)

★夏雲雀ここよここよと宙で鳴く/祝恵子
青々と広がる夏空に高くあがって鳴く雲雀。宙の真ん中で、「私は、ここよここよ」と自分の居所に気づいてくれと鳴いている。「ここよここよ」と聞きなしたところが楽しく、夏空のすがすがしさが思われる。(高橋正子)

★広い空ゆったり泳ぐ鯉のぼり/迫田和代
広い空の綺麗な空気一杯を飲み込み、悠々と泳いでいるどっしりとした鯉幟が目に浮かびます。私達までゆったりとした気持ちにさせて頂けた御句です。 (佃 康水)

★鯉のぼり尾まで丸々風のなか/川名ますみ
風一杯を飲み込んだ鯉幟が尾の先まで丸々となって泳いでいます。丸々とした子供のふくよかさを想起させ、作者が目を細めて仰いでおられる優しい姿が見えて参ります。健やかな成長を願いたいですね。 (佃 康水)

★子どもの日青空からの風が吹く/高橋句美子
子供の日は青空が晴れ渡っていました。「青空からの風が吹く」の措辞に綺麗な風の吹く爽やかさ、そして嬉しさが伝わって参ります。「子供の日」である事がまた嬉しいです。 (佃 康水)

★細やかな雨に少女ら茶摘みかな/佃 康水

【入選/9句】
★テント張り河原の朝よこどもの日/祝 恵子
今日のこどもの日は、我が家も三男を連れて朝から淀川の河川敷でバーベキューに行きましたが、正に朝からテントを張っている家族連れの方がたくさんいらっしゃり、この句の光景そのまま楽しい光景でした。(高橋秀之)

★菖蒲湯や父のかひなの中に居て/桑本栄太郎
端午の節句に菖蒲湯に入るのは邪気をはらい、心身を清めるためのもので、まして父親の太い腕の中に抱かれて一緒に入る菖蒲湯は子供に安心感と安らぎを与え素晴らしいですね。菖蒲湯と父親の太い腕の中の対比が素晴らしいですね。(小口泰與)

★薫風や遮るものなき山頂に/古田敬二
遮ることない山頂にあり、.薫風を受け身も心も 爽やかそのものです。(祝恵子)

★しゃがむ背に飛び乗る少女青葉風/川名ますみ
今日は子供の日、青葉若葉の中で親御さんと子供が愉しく遊んでいる様子が目に浮かびます。少女と青葉風のとり合わせが印象的で好ましいと思います。((河野啓一)

★風無ければ鯉のぼりの尾をつかむ子よ/高橋信之 
青い空のもと風をお腹一杯に飲み込んで元気に泳いでいる鯉幟を見てこの家には男の子がいらっしゃるんだなとこちらまで元気を頂きます。しかし、風の無い時にはだらんとした姿で下がっているだけ。もし手の届く所に有れば皆ちょっと触っても見たくなります。子供が興味深々と尾を掴んで見ています。子供らしい様子が見える微笑ましい御句です。(佃 康水)

★花屋に置かれ緑青々菖蒲の葉/高橋句美子
緑青々、夏らしいですね。花屋さんの香りさえしてきます。(迫田和代)

★川風を腹いっぱいに鯉のぼり/高橋秀之
今年の連休は、青空から風が吹き渡り、堂々たる鯉のぼりを見ることができました。それが川風ならば尚のこと。鯉のぼりが「腹いっぱいに」飲み込んで、立派に泳いでいる姿が浮かびます。(川名ますみ)

★暁(あかとき)の浮き葉の濠や白き鷺/内山富佐子
暁の浮き葉の濠を背景に、たたずむ白い鷺が日本画のように詠まれ描かれて、朝涼の気が味わえる句だ。(高橋正子)

★堰落ちる水音若葉の山を包む/柳原美知子
新緑となった山の木々を育ててくれる水が応援するかのように音を立てている。「山包む」の措辞があたたかです。 (内山富佐子)

■選者詠/高橋信之
★風無ければ鯉のぼりの尾をつかむ子よ
青い空のもと風をお腹一杯に飲み込んで元気に泳いでいる鯉幟を見てこの家には男の子がいらっしゃるんだなとこちらまで元気を頂きます。しかし、風の無い時にはだらんとした姿で下がっているだけ。もし手の届く所に有れば皆ちょっと触っても見たくなります。子供が興味深々と尾を掴んで見ています。子供らしい様子が見える微笑ましい御句です。(佃 康水)

★鯉のぼりの色鮮やかに空に浮かぶ
★いちはつの一本立ちて晴れの日よ

■選者詠/高橋正子
★「とんがり帽子」の歌に目覚めて子供の日
「緑の丘の赤い屋根、とんがり帽子の時計台–」とかっての国民的歌謡が耳の中に甦ってきました。まことにこどもの日にぴったりの、元気を与えてくれる詠みかと拝察しました。(河野啓一)

★さくらんぼ熟れて輝く実となれる
★菖蒲どさっと売らる店頭すがすがし

■互選高点句
●最高点(7点)
★薫風や遮るものなき山頂に/古田敬二

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/藤田洋子)
※コメントのない句にコメントをお願いします。

5月4日(月)

★天城越ゆ春の夕日の杉間より   正子
春の夕べ、天城峠を越えて旅をされたのでしょう。日が長くなりゆったりとした気持ちでもしかしたらトンネルを歩かれたのかもしれません。「天城」という地名が生きて、想像力をかきたててくれます。(多田有花)

○今日の俳句
山の名を呼びけり春の頂に/多田有花
春山の山頂から、あの山の名は何々、この山の名は何々と指さし呼んでみる。春山の頂からの眺めに心も柔らかに開放されたからだろうが、山への親しみがあって楽しいことだ。(高橋正子)

○山躑躅(やまつつじ)

[山躑躅/東京白金台・自然教育園]