★さくらんぼみどりあかるき茎が縦横 正子
春、他の桜に遅れて白い花をひらき、6月から7月の頃熟して紅から紫紅色となり、数個寄り合って明るい茎をたずさえている。皿に盛るとその茎が縦横になつて、食欲をそそります。特に夏の果物として喜ばれますね。(小口泰與)
○今日の俳句
湖へ虎杖の花咲きいそぎ/小口泰與
湖のほとりに虎杖の花が咲き急いでいる。夏が短い北国を思わせる。虎杖の花は小さく白い。散れば葉に埃がかかるように散る。夏の短さも、花のもろさも、みな移ろいやすさでえある。(高橋正子)
明るくて深い 現代語による俳句を。よい生活から よい俳句を。
★初蝉は一蝉遠く鳴いて止む 正子
初蝉を聞く時は突然とも思え、鳴き声に気付く間に鳴き止んでしまいます。鳴き出す事も一斉ながら、鳴き止んでしまう事もアッと言う間の一斉です。しかしその中にあっても、何処か遠くにはまだ鳴き惜しむかに鳴いているものもあります。そのあたりの不揃いさが初蝉の特徴ですね?「一蝉遠く」との措辞が効いています。(桑本栄太郎)
○今日の俳句
六甲アイランド埠頭
夏潮の海原蒼きカフェレストラン/桑本栄太郎
夏潮の海原の蒼さは、見るだけで爽快な、広々とした気分になる。カフェレストランでゆっくり喫茶しながら眺める時間は至福の時。(高橋正子)
★白すぎて花おおらかに泰山木 正子
「白すぎて」とは、少なからぬ人々が泰山木の花の透き通るような純白に対して抱く賛美と不安との両極の思いを表しているように思います。先生はその二つともを結局は「おおらかに」としっかり受け止められました。泰山木には、そこに落ち着く筈の「おおらかさ」が備わっており、それを見極める決意がこの句の真髄となっているような気がします。(小西 宏)
○今日の俳句
金蚊の仰向いて脚生きんとす/小西 宏
金蚊が何かにぶち当たってひっくり返った。起き上がろうとしてか、必死に脚を動かしている。作者はその様子を「生きんとす」と捉えた。金蚊の命を直視しているのがよい。(高橋正子)
◆7月ネット句会のご挨拶/高橋正子
7月ネット句会は、わたくしの入院中であり、信之先生、おひとりに全てをこなしていただきました。金銀銅賞、特選などの選は、病院で信之先生と共に行いました。入賞の皆様おめでとうございます。また、互選の集計は藤田洋子さんがしてくださいました。どうもありがとうございました。
私のほうは、ご心配をおかけいたしましたが、昨日土曜日に退院いたしました。手術も大変うまくいったそうで、今は日常生活に戻れるように少しずつ体ならしをしています。入院中は病院のすぐとなりにある「アップル社」のガラス張りのお店と表参道の欅並木を4階から見下ろしておりました。行き交う人たちの日傘などを見ては暑さを判断しておりましたが、大変な暑さですね。みなさまも、十分暑さにはお気をつけください。来月の月例ネット句会を楽しみにお待ちください。これで7月月例ネット句会を終わります。
▼7月ネット句会のその他の記事は、下記アドレスをご覧ください。
http://blog.goo.ne.jp/kakan02d
○クィーン・ネックレス
[クィーン・ネックレス/横浜日吉本町]
★夕涼に行き遇うクィーン・ネックレス/高橋正子
「クィーン・ネックレス」という花がある。「女王様の首飾り」。女王様は、エリザベス女王以外には考えられない。わざわざ「クィーン」がつくところが、メルヘン的。この花のピンクが英国女王に似合っているようにも思う。蔓性の花、案外丈夫で、いったん咲いて、剪定して、また咲いてを、しばらく繰り返しているようだ。ちょうど角の家にあるし、ピンクの小花がネックレスのように10センチほど連なっていて、珍しいので、通る人がよく名前を尋ねるらしい。
クイーンネックレスは、タデ科アンティゴノン属で、学名はAntigonon leptopus。メキシコ原産の熱帯つる性で、7月~10月にかけて、ピンク色の花を咲かす。耐暑性はあるが、耐寒性(5度以上)は弱い。日あたりのよい場所、また水はけ、水もちのよい土で育て、フェンス・トレリス等に這わせ、ベランダからも垂らしたりする。別名をアサヒカズラ、アンティゴノン、ニトベカズラという。
★枇杷の実のあかるさ葉ごと買いにけり 正子
枇杷の花は気付かない程静かに咲く花ですが、実が黄色く熟れて来ると梅雨の季節でも恰も灯を点したかの様に丸々と明るく見えて参ります。瑞々しい果汁一杯の実も美味しく戴きますが、子供の頃、汗疹にいいと親が厚みのある葉を摘んでいた記憶が有ります。夕日の様な明るさの実を葉ごと買われたという御句に懐かしい昔を思い出しました。(佃 康水)
○今日の俳句
広島・平和公園
緑陰の窪に砂浴ぶ雀どち/佃 康水
緑陰のちょっとした窪を見つけて砂浴びをする雀たちが、かわいらしく、涼しそうな風景だ。(高橋正子)
○鬼百合
[鬼百合/東京・新宿御苑] [鬼百合/大船植物園]
★亭寂寞薊鬼百合なんど咲く/夏目漱石
★望岳のころの鬼百合おいらん草/和知喜八
★鬼百合も写ってしまう心電図/岸本マチ子
★鬼百合を闘志の花として残す/柴田悦子
★鬼百合あれは出征前夜の父/石倉夏生
★鬼百合に負けてはならじとぞ思う/高橋正子
オニユリ(鬼百合・学名Lilium lancifolium)とは、ユリ科ユリ属の植物。グアム東部、中国、朝鮮半島、日本に自生する。日本では北海道から九州の平地から低山で普通に見られ、一説には中国からの渡来種と言われている。変種に対馬に自生するオウゴンオニユリ(Lilium lancifolium var. flaviflorum)がある。草丈は1~2m程となる大型のユリ。葉は互生し、小さめの披針形で先端はゆるく尖る。茎は紫褐色で細かい斑点がある。花季は7月から8月で、花弁はオレンジ色、濃褐色で暗紫色の斑点を生じる。花弁は強く反り返る。種子は作らないが、葉の付け根に暗紫色のムカゴを作る。鱗茎はヤマユリと同様、食用となる。 花言葉は「賢者」「愉快」「華麗」「陽気」など。
ご挨拶
7月ネット句会は、わたくしの入院中であり、信之先生、おひとりに全てをこなしていただきました。金銀銅賞、特選などの選は、病院で信之先生と共に行いました。入賞の皆様おめでとうございます。また、互選の集計は藤田洋子さんがしてくださいました。どうもありがとうございました。
私のほうは、ご心配をおかけいたしましたが、昨日土曜日に退院いたしました。手術も大変うまくいったそうで、今は日常生活に戻れるように少しずつ体ならしをしています。入院中は病院のすぐとなりにある「アップル社」のガラス張りのお店と表参道の欅並木を4階から見下ろしておりました。行き交う人たちの日傘などを見ては暑さを判断しておりましたが、大変な暑さですね。みなさまも、十分暑さにはお気をつけください。来月の月例ネット句会を楽しみにお待ちください。これで7月月例ネット句会を終わります。
★ゆうすげに月まだ淡くありにけり 正子
暮れかかった空に燈をともしたように咲くゆうすげをまだ淡い月の光が柔らかに包んでくれます。朝には短い花の命を閉じるゆうすげですが、刻々と月に照らされて咲くゆうすげの美しく可憐な花の命が思われます。(藤田洋子)
○今日の俳句
青田から青田をつなぐ水の音/藤田洋子
青田に流れ込む水は、水源から小川へ、そして、それぞれの田へ分けれた水。「つなぐ」が的確で、どの田も青々と育っている。(高橋正子)
○蒲の花(蒲の穂)
[蒲の花(穂の下部は雌花、穂の上部は雄花)/日吉本町]
★蒲の穂は剪るべくなりぬ盆の前/水原秋桜子
★蒲の穂に緋の絨緞の見ゆる家/飯田蛇笏
★蒲の穂やはだしのままに子の育つ/池内たけし
★蒲の穂を捧げ自転車向うから/中 ひろし
蒲の穂に初めて接したのはお花を習っていたとき。はたしてそれが栽培されているものか、水辺に生えているものかあまり考えたこともなかった。面白い形状の花材ではあるが。松山城より西にある衣山に住んだときに蒲が生い茂る湿地があった。近くにある考古館の傍の池にも蒲があった。身近にあることに驚いたが、こどものころは一度も見たことがなく、因幡の白さぎの話で知って、どんなものかと思っていた。
赤茶色の雌蕊の部分とその上に突き出た細い棒状の雄蕊の部分が蒲の特徴であろう。秋になると穂絮が風に千切れて吹かれているのを見るが、国生みのころを想像して、淋しさを感じる。横浜では、四季の森公園の池の辺にある。写真に撮ればそれなりに雰囲気のある写真になるがやはり暗さと淋しさがある。
★蒲の花遊ぶ子どもを透かしたり/高橋正子
ガマ(蒲、香蒲、学名:Typha latifolia L.)は、ガマ科ガマ属の多年草の抽水植物である。北半球の温暖な地域やオーストラリアと日本の北海道から九州の広範囲に分布する。池や沼などの水辺に生える。葉は高さ1-2 mで、水中の泥の中に地下茎をのばす。夏に茎を伸ばし、円柱形の穂をつける。穂の下部は赤褐色で太く、雌花の集まりでありソーセージに似た形状である。穂の上半分は細く、雄花が集まり、開花時には黄色い葯が一面に出る。風媒花である。雄花も雌花も花びらなどはなく、ごく単純な構造になっている。雌花は結実後は、綿クズのような冠毛を持つ微小な果実になる。この果実は風によって飛散し、水面に落ちると速やかに種子が実から放出されて水底に沈み、そこで発芽する。 また、強い衝撃によって、種が飛び散ることもある。花粉は生薬としては「蒲黄」(ほおう)と呼ばれる。雌花の熟したものは綿状(毛の密生した棒様のブラシ状)になり、これを穂綿と呼ぶ。日本神話の因幡の白兎の説話では、毛をむしり取られた兎に対して大国主は蒲黄を体につけるように助言している。しかし、唱歌の「大黒さま」の中ではそれが「がまのほわた」となっており、両者は混同されていたことがわかる(もっとも、摘みたての「がまのほ」に触ると大量の黄色い花粉がつく)。
★睡蓮の花のひとつが離れ浮き 正子
睡蓮の花は固まっていくつか咲いているのであろうが、一つだけ離れて浮いている。どことなく落ち着いた風景が浮かんできます。(高橋秀之)
○今日の俳句
早朝の池に蓮見の来訪者/高橋秀之
早朝、作者はジョギングか散歩で蓮池を訪ねたのだろう。そのとき、蓮見の来訪者が意外と大勢いるのに驚いた。蓮は早朝に開花するので、この開花の時間を狙っての蓮見客。(高橋正子)
★カサブランカ咲き特別な日々となる/山崎 杏
★今年またカサブランカの紅の蕊/稲森如風
★風そよぎカサブランカの薫りあり/中居秀童
★カサブランカに風あり白いと思う朝/高橋信之
カサブランカがブームになって、田舎都市の松山でも愛好者が増えた。大変美しく豪華な百合であると知ったし、花屋でもまず目についた。それを自分で咲かせてみようと思ったのは、加入しているコープのパンフレットでカサブランカの球根の案内があったから。試しに注文して球根が届いた。秋に鉢植えにして花を楽しみにしていた。普通の百合のように芽がでるものとおもっていたが、筍ようような切っ先が伸びてきて驚いた。なんの手入れもなく、カサブランカの花を楽しんだ。翌年は咲かせようとはおもわなかったので、私が咲かせたカサブランカはこのときだけになっている。
横浜・四季の森公園で山百合を見て、カサブランカほどの大きさだと思ったが、カサブランカのもとは日本の山百合であることを後で知った。私の大きさの認識については間違っていなかったということだろう。
松山・衣山
★カサブランカ海をうしろに咲く今朝よ/高橋正子
カサブランカの原産地は北半球の日本を含む亜熱帯~亜寒帯である。ユリ属のうちヤマユリ、タモトユリなどを原種とするオリエンタルハイブリッドの一品種。開花時期は7~8月。1970年代にオランダで作出され、世界的なブームを呼んだ。純白の大輪の花を咲かせ「ユリの女王」と言われる。結婚式の際のブーケをはじめ、主に贈り物の花束として喜ばれる花である。オリエンタル・ハイブリッドは、ヤマユリやカノコユリ、タモトユリなど森林のユリを交配して作られた品種群で、その中の「カサブランカ」が有名であるが、カサブランカを生み出す交配で主要な役割を果たしたトカラ列島口之島原産のタモトユリは、皮肉なことに自然状態ではほぼ絶滅してしまっている。なおカサブランカはモロッコの都市の一つ。なお、映画『カサブランカ(英語: Casablanca)』は、第二次世界大戦にアメリカが参戦した1942年に製作が開始され、同年11月26日に公開されたアメリカ映画で、フランス領モロッコのカサブランカを舞台にした。ハンフリー・ボガートとイングリッド・バーグマンが出演しており、映画スターベスト100(1999年)の男性1位にハンフリー・ボガート、女性4位にイングリッド・バーグマンが選ばれている。
2015年7月ネット句会
■7月ネット句会■
■入賞/11名18句
■入賞発表/2015年7月24日
【金賞】
★歩くこと嬉しきあかご万緑へ/川名ますみ
赤子の「嬉しさ」がそのまま表現された。作者は赤子と同じ心を持つことができたので、そのことが素晴らしい。(高橋信之)
【銀賞2句】
★紫陽花を剪りつつ水の香を散らす/藤田洋子
雨に濡れた紫陽花を剪ると、まとっていた雨滴がぱらりと散ります。その時、放たれる香りを「水の香」と捉えられた。自然を五官で大切に受けとめる、すてきな生活ですね。 (川名ますみ)
★花南瓜明日咲く蕾地に立てり/柳原美知子
「明日咲く」と言い切ったところがいい。楽しみがあるのだ。明日を思って、楽しみがあるのだ。いい生活がある。(高橋信之)
【銅賞2句】
★停車駅車両に夏の風通る/高橋秀之
高原沿いのローカル線の車両でしょうか。電車が停車するたびに、さわやかな風が吹き込み旅情がさそわれるようです。(小川和子)
★明易や音の大きな母の杖/ 内山富佐子
早朝の大きな音に驚かされたのであるが、作者の嬉しさがある。杖をついてもまだまだ元気な母を嬉しく思う作者である。(高橋信之)
【高橋信之特選/8句】
★歩くこと嬉しきあかご万緑へ/川名ますみ
赤子の「嬉しさ」がそのまま表現された。作者は赤子と同じ心を持つことができたので、そのことが素晴らしい。(高橋信之)
★紫陽花を剪りつつ水の香を散らす/藤田洋子
雨に濡れた紫陽花を剪ると、まとっていた雨滴がぱらりと散ります。その時、放たれる香りを「水の香」と捉えられた。自然を五官で大切に受けとめる、すてきな生活ですね。 (川名ますみ)
★三角の水無月菓子の涼しさよ/高橋正子
三角の水無月は外郎生地の上に小豆餡をのせた和菓子ですね。三角は氷のかけらを模したもので、暑い季節に厄祓いの願を込めて頂く風習が有るようです。外郎生地が白く、口に滑らかで涼しそうな和菓子が目に浮かびます。(佃 康水)
★日盛りの病名癌もあっけらかん/高橋正子
夏の一日の日盛りの太陽を小気味よく感じながら、癌の手術を控えてはいるが、今この時の幸せに感謝しつつ、強く生きてみせるという強い気持ちの表明。(谷口博望)
★夏台風庭木支える杭を打ち/佃 康水
今年は夏の台風も大型化して日本へ来ることが多くなってます。被害のないように、杭を打つ。当たり前のようで夏台風の備えもまた大切です。 (高橋秀之)
★昇り来る日の壮大の青田かな/小口泰與
★花南瓜明日咲く蕾地に立てり/柳原美知子
★明易や音の大きな母の杖/内山富佐子
【高橋正子特選/8句】
★昇り来る日の壮大の青田かな/小口泰與
「壮大」がいい。作者の思いが読み手にそっくりそのまま伝わってくる言葉だ。読み手の眼前に「壮大の青田」がありありと浮かぶ。(高橋信之)
★歩くこと嬉しきあかご万緑へ/川名ますみ
歩き始めたあかちゃんが、万緑に向かって吸い込まれていくような景を、皆が見守っている嬉しさ、優しさが目に浮かびます。 (祝恵子)
★停車駅車両に夏の風通る/高橋秀之
単線の小さな駅に停まった電車という気がします。まわりに青田が広がっていたり、あるいは海岸のそばだったり、山の中かもしれません。人もそれほど乗っていない小さな電車の扉が開き、そこへすっと通る夏の風。そのむこうに入道雲が見えたり、蝉の声が聞こえたり、情景が見えてきます。(多田有花)
★蓮花に止まり雀のきてはやす/祝恵子
蓮池や沼、或いは庭の鉢などで茎を長く伸ばし白色、紅色に慎ましく咲いています。お盆の花としても良く使われますが其処へ雀達がとまり、喜びはやす晩夏の情景が活き活きと見えて参ります。(佃 康水)
★竹立てて流しそうめんデイの午後/河野啓一
竹を割りその中の流水へソーメンを流しながら頂くと言う趣向は何とも涼しく食欲をそそられますね。デイの皆様の楽しい風景が見えて参ります。(佃 康水)
★砂丘メロン冷やすゆかしき従姉妹たち/小川和子
砂丘メロンと聞けば風と太陽の恵みをいっぱいに浴びて自然豊かな場所で作られたものですね。そのメロンを従姉妹の皆様が冷やされています。従姉妹のみなさんの奥ゆかしい所作まで想われ、後で果汁一杯の甘いメロンを美味しく頂かれた事でしょう。(佃 康水)
従姉妹さん方で鳥取砂丘にでも旅されたときの情景でしょうか。メロン冷やす」がすっきりして「良い思い出になりますね。私事ですが、私どもでもいとこ会が計画されていましたが、先日の台風11号でどうにもならず、中止になりました。(河野啓一)
★花南瓜明日咲く蕾地に立てり/柳原美知子
私どもの裏庭でも偶々同じ景を見かけており、清楚でいきおいがあって、まさに御句のとおりでした。(河野啓一)
★明易や音の大きな母の杖/内山富佐子
【入選/6句】
★踏板を起こせば蟻の騒ぎかな/佃 康水
夏の今の時季には、地下の昆虫も動きが活発となります。普段は真っ暗な中で豊かな社会生活を営んでいたであろう蟻さんの生活が白日にさらされ、大慌てです。人の営みや他の動植物など、命あるものにとって自然界の営みは、予期せぬ事ばかりです。(桑本栄太郎)
★梅雨降れる妻入院のその朝は/高橋信之
奥様の入院を見送られたその朝の天気に託して、そこはかとない情愛を吐露されているのが印象的です。梅雨晴れの間近いことをお祈り致します。(河野啓一)
★青空に今朝咲き出でぬ百日紅/河野啓一
青空に咲き始めた百日紅が新鮮に目に映る、清々しい夏の朝です。これからの盛夏の到来を自ずと感じさせてくれます。(藤田洋子)
★日盛りの参道日傘増えゆけり/高橋正子
夏本番を迎え、参道を照らす日も夏の日差しになりました。増え行く日傘の数がその日差しの強さをあらわしてくれます。 (高橋秀之)
★裸子の逃げ足早しバスタオル/小口泰與
お風呂あがりの子供の様子ぴったり。思わず笑ってしまいました。もう昔になりますがうちの子もそうでした。(迫田和代)
★煮こぼるる麦茶の香り今日始まる/内山富佐子
猛暑の続く日々、水分補給のための麦茶を家族のためにたっぷり沸かすことから始まる1日。部屋中に麦茶の香ばしい匂いがたちこめ、明るく生き生きとした日々のお暮らしが伺えます。(柳原美知子)
■選者詠/高橋信之
梅雨降れる妻入院のその朝は
梅雨降れる吾も表参道の群に
梅雨降れる横浜も東京も
■選者詠/高橋正子
三角の水無月菓子の涼しさよ
日盛りの参道日傘増えゆけり
日盛りの病名癌もあっけらかん
■互選高点句
●最高点(7点)
★紫陽花を剪りつつ水の香を散らす/藤田洋子
※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/藤田洋子)
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