1月7日(木)

★七草の書架のガラスの透きとおり  正子
正月七日、ようやく日常に戻る七草のころ、きれいに磨かれた書架のガラスに、整然と並ぶ書物が見えるようです。年の始めの清々しさとともに、清潔感漂うお暮らしもうかがえます。(藤田洋子)

○今日の俳句
刻ゆるやかに七草粥の煮ゆるなり/藤田洋子
主婦にとって、正月はなにかと落ち着かなく過ぎるが、七草のころになると一段落する。ふつふつと煮える七草粥に、「刻ゆるやかに」の感が強まる。(高橋正子)

お飾りの稲穂に雀馳せて来し 正子
四日目の花切り戻し風邪籠り 〃
ストーブに背なが静かに温もれる  〃
一月はわが誕生月よ静かなれ   〃

○霜柱

[霜柱/横浜日吉本町]

★戦没の友のみ若し霜柱/三橋敏雄
★掌に愛す芙美子旧居の霜柱/神蔵器
★ふと踏んで瞬の童心霜柱/林翔
★昼の灯のもとの消えざる霜柱/宮津昭彦
★凸凹の人の道なり霜柱/高橋将夫
★霜柱さわさわ育てローム層/高橋正子
 愛媛・出石寺
★霜柱苔の真下にきらめき伸び/高橋正子

 日吉五丁目の丘を歩く。丘の上の農家に空地があって、そこには、剪定した木の枝などが積まれ、こぶしなどもある。その土の崩れかけたところに霜柱ができていた。五センチ位もあろうか。靴で踏んでしまって気付いたが、すぐ傍を見ると、霜柱が育っている。 植物と言えそうなほどの成長だ。畑に置く霜とはまた別のものだ。

愛媛に出石寺という寺がある。雲海の上にあって、そこで春先に俳句の合宿があった。八十八ケ所のお参りが一度にできるような小遍路が作ってあって、その路だったと記憶している。なにしろ、四十数年前のことなのだが、その石仏の並ぶ路に苔を持ち上げて、霜柱が育っていた。伸びすぎてやや曲がっている。これほどまで成長した霜柱は初めてだったので、印象は鮮烈だった。

霜柱(しもばしら)とは、地中の温度が0℃以上かつ地表の温度が0℃以下のときに、地中の水分が毛細管現象(毛管現象)によって地表にしみ出し、柱状に凍結したものである。霜柱の発生メカニズムはまず地表の水分を含んだ土が凍る。そこで、凍っていない地中の水分が毛細管現象で吸い上げられ、地表に来ると冷やされて凍ることを繰り返して、霜柱が成長するというものである。霜柱は地中の水分が凍ってできたものであり、霜とは別の現象。固まった土では土が持ち上がりにくいため霜柱は起こりにくく、耕された畑の土などで起こりやすい。また、関東地方の関東ロームは土の粒子が霜柱を起こしやすい大きさであるため、霜柱ができやすい。霜柱が起こると、土が持ち上げられてしまい、「霜崩れ」と呼ばれるさまざまな被害をもたらす。植物は根ごと浮き上がってしまい、農作物が被害を受ける。これを防ぐため、断熱材として藁を地面に敷き詰め地表の温度を地中の温度に近づけ、気温との断熱を行う。斜面などでは霜柱により浮き上がった土が崩れやすくなり、侵食が起きやすくなる。霜柱を見かけることが少なくなったという地域が増えているとの声もある[1]。地球温暖化による影響も考えられるが、都市部や郊外ではヒートアイランド現象による影響もあるほか、道路が舗装されて水分が少なければ霜柱は形成されない。地表と地中の温度差が必要なため、霜より短い期間しか起こらない。主に冬期に見られる現象なので、冬の季語となっている。

◇生活する花たち「蝋梅①・蝋梅②・さんしゅゆの実」(横浜・四季の森公園)

1月6日(水)

★餅を焼く火の色澄むを損なわず  正子
餅は、長い文化の中で、あるいは地域の広がりの中で様々に生きてきました。私の地方、子供の頃は、火鉢の炭火で、皆の見守る中で焼いていたことを思い出します。(今では我が家に火鉢もなく、オーブントースターで膨らませています)。先生のこの句は、やはり炭火で焼いていた頃を思い出させてくれます。火勢は強すぎてもいかず、ほどほどに明るい蜜柑色の光の中で、頃合いを図りつつひっくり返しては、柔らかに膨らむのを待っていました。(小西 宏)

○今日の俳句
★午後の陽にまだある氷割り遊ぶ/小西 宏
午後の陽がきらきらと氷に差している。日中も気温が上がらないと、こんな氷に出くわすが、ちょっと割ってみたくなる遊び心。午後の陽が余計に遊び心をかきたてたのだろう。(高橋正子)

○エリカ(ヒース)

[エリカ/横浜日吉本町]

★花エリカ雪後のごとくさびしけれ/角川源義
★エリカといふさびしき花や年の暮/山口青邨
★嬰児にもあるためいきや花エリカ/岡田史乃
★空港に帰着の刻をエリカ活く/横山房子
★エリカ咲くひとかたまりのこむらさき/草間時彦
★鷗啼く絵里香や折ればこぼるるも/小池文子
★横文字の名札に翳すエリカかな/吉田洋一

 エリカは、ツツジ科エリカ属(学名:Erica)の常緑性樹木で、日本では学名エリーカから、エリカと呼ばれることが多い。エリカ属は、700種類以上の種があり、多くの種は高さ20-150cmほどの低木であるが、E. arborea、E. scopariaのように高さ6-7mに達する種もある。エリカの群生地としては、北ドイツの自然保護地区、リューネブルガーハイデが有名。また小説『嵐が丘』の館の周囲に生えていたのもエリカ、英語ではヒース(heath)と呼ばれる。主な種は、ジャノメエリカ(学名E.canaliculata)とスズランエリカ(学名E. formosa)。ジャノメエリカの名前の由来は、花の中の黒い葯(花粉袋)が蛇の目に見えることから。 スズランエリカの名前の由来は、花がスズランに似ていることから。
 エリカ属の大部分は南アフリカ原産で、残りの70種程度がアフリカの他の地域や地中海地方、ヨーロッパ原産である。園芸では性質などの違いで南アフリカ原産種とヨーロッパ原産種にざっくり分けられる。名前はギリシア語のエイレケー(砕く)に由来するとされ、エリカが体内の胆石をとる(砕く)薬効があるされていたため、そんな名前が付いたとされている。葉は短い針型や線形で、枝にびっしりと付く姿は、枝に葉が生えているといった感じです。花はタマゴ型や壺状の小さな粒々のもの、紡錘形などがある。

◇生活する花たち「冬椿①・冬椿②・山帰来の紅葉」(横浜・綱島)

◆ご挨拶/新年ネット句会(句会主宰:高橋正子)◆


ご挨拶
明けましておめでとうございます。新年ネット句会にご参加くださいましてありがとうございました。新年ネット句会には、8名の方がご参加くださいまして、しっとりとした句会になりました。三が日もあっという間に終わり、4日の月曜日からきっちりとお勤めがはじまりました。明日は早やも七草。新年も始まったばかりなのに、日が過ぎる速さを実感しています。
選とコメントをありがとうございました。それぞれの句の良さを、互いが知り合う面白さ、楽しさが互選と思いますので、句会は大切と思います。今年もネット句会をよろしくお願いいたします。これで新年ネット句会を終わります。次回を楽しみに、ご健吟ください。(高橋正子)

1日5日(木)

★正月の山の落葉のかく深し   正子
正月の山は既に木の葉もすっかり落葉してしまっていることでしょう。山路の落ち葉の嵩を見て「かく深し」と感嘆の声が聞こえてきそうです。里の暮らしとは少し離れた寒の季節の静寂な山中を思い起こします。(佃 康水)

○今日の俳句
牡蠣揚がる瀬戸の潮(うしお)を零しつつ/佃 康水
広島は牡蠣の産地として知られているが、牡蠣の水揚げを詠んだ句。潮を零しながら、しかも瀬戸の、と具体的な詠みに情景がくっきりと浮かび上がり、臨場感が出た。(高橋正子)

○神奈川・大船植物園
 昨年(2014年)1月12日、大船植物園(フラワーセンター)を信之先生と訪ねた。水仙と寒椿がお目当ての吟行と写真撮影。
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f598/

○梅冬芽

[梅冬芽/横浜日吉本町(2013年1月6日)]_[梅の花蕾/大船植物園(2014年1月12日)]

1月5日(火)

★お飾りの稲穂に雀駈けて来し 正子
お飾りは、元来神の占有する清浄な区域を示すもので、これを新年の門戸に飾って魔よけの意を表したものですが、そのお飾りの稲穂に餌と間違えてお腹を空かせた雀が寄ってきたほほえましい景ですね。(小口泰與)

○今日の俳句
雪の間に日向ありけり福寿草/小口泰與
雲間に日差しが見えて、その日差しが福寿草に届く。福寿草の咲き方と言えば、そんな光景が私にはふさわしいように思える。(高橋正子)

○十両(やぶこうじ)

[十両/東京白金台・国立自然教育園]   [百両(たちばな)/横東京白金台・国立自然教育園]

★千両も万両も生ふ旧き家/村越化石
★供華に活け千両の実をこぼしけり/稲畑汀子
★慎ましく足元見よと藪柑子/松本詩葉子

万両・千両・百両・十両・一両の実は、何れも秋から冬に赤熟し、 その赤い実も小粒です。そのため古来、これらの赤い実を付けた植物は、お正月の縁起物としてもてはやされ てきました。

万両
センリョウより沢山実が付くことから、 マンリョウの名前が付いたと云われる。園芸種では白や黄色の実を付けるものがあります。

千両
本州中部以南から台湾、インドなど暖帯から熱帯に分布。山林の半日陰に自生する常緑小低木。花は黄緑色で小さい。 果実は球形で、赤く熟する。

百両
江戸時代のタチバナは非常に高価で、 百両以下では手に入れることができないため、 「百両金」と呼ばれました。

十両
ヤブコウジの名は近代になって付けられたが、 古くは赤い果実を山のミカンに見立てたヤマタチバナ(山橘) の名で良く知られていた。 それがヤブコウジ(藪柑子)になったという。 タチバナはコウジミカン(柑子)の古名。

一両
常緑小低木。腋に鋭い長い刺がある葉の付け根から出ているトゲが蟻をも刺し通すという意味です。 お正月のおめでたいときの飾ります。「千両、万両をお持ちでも、このアリドオシがないと「千両、万両、有り通し」に なりません。この機会にぜひ揃えてみたいです。

◇生活する花たち「冬椿①・冬椿②・山帰来の紅葉」(横浜・綱島)

1月4日(月)

★四日目の花切り戻し風邪籠り  正子
お正月花にと活けた花も四日ともなれば少し元気がなくなって来ました。そのお花の水揚げが良くなる様にと根元の切戻しをなさったのでしょう。慌ただしいお正月も過ぎ一先ずほっとした頃ですが、つい風邪を召されてしまいました。しかし風邪に籠る前にお花への手当をきちんとされるなどお花を愛される作者の暮らしぶりが見えるようです。 (佃 康水)

○今日の俳句
床の間に早や一輪の梅ひらく/佃 康水
床の間に活けた梅の固い蕾が、部屋のぬくもりで、一輪開いた。早も開いた驚きと、その清らかさに魅了された。(高橋正子)

○よく晴れた。子どもたちもそれぞれの家でのんびりしていることだろう。

○万両

[万両/東京白金台・自然教育園]     [万両/横浜日吉本町]

★万両の赤を要に活けらるる/稲畑汀子
★万両に日向移りて午後の景/岡本眸
★千両も万両も生ふ旧き家/村越化石
★退院の待たるる日々や実万両/水原春郎
★実生なる万両として日をはじく/豊田都峰
★碑のもと万両のまだ青し/阿部ひろし

★万両の赤い実も鉢もつやつやと/高橋正子
★万両の鉢泥洗うも冬支度/高橋正子
★万両の根もとを猫が通り抜け/高橋正子

 横浜日吉本町に住んでいるが、百両を見かけたのは、ご近所では一軒だけで、万両は千両と並んで町内の庭先でよく見かける。数年前、町田市の里山に出かけたが、その山に自生の万両を見た。そして、東海道53次の戸塚を過ぎて、藤沢の遊行寺の近くの遊行坂の山にやはり、自生と思われる万両を見た。生家にもあったが、これを父は実のついた万年青とともに大事にしていた。あまり育たず、増えずの感じだったが、横浜では、いたるところで見かける。四国の砥部の家にも万両があったが、いつの間にか、塀沿いに万両が増えて育っていた。実がこぼれたのであろう。
 マンリョウ(万両、Ardisia crenata Sims)はヤブコウジ科の常緑小低木。林内に生育し、冬に熟す果実が美しいので栽培され、特に名前がめでたいのでセンリョウ(千両)などとともに正月の縁起物とされる。東アジア~インドの温暖な場所に広く分布する。日本では、関東地方以西~四国・九州・沖縄に自生するほか、庭木などとしても植えられている。なお、アメリカのフロリダ州では外来有害植物として問題になっている。高さは1mほど。同属のヤブコウジと似ているが、ヤブコウジは高さ10cmほどなので区別ができる。根元から新しい幹を出して株立ちとなる。葉は縁が波打ち互生する。葉の波状に膨れた部分には共生細菌が詰まった部屋が内部に形成されている。また、葉は光に透かすと黒点が見える。花は白色で7月頃に咲き、小枝の先に散形花序をなす。果実は液果で10月頃に赤く熟し、翌年2月頃まで枝に見られる。栽培品種には白や黄色の果実もある。いわゆる古典園芸植物のひとつで、江戸時代には葉が縮れたりした変異個体が選抜されて、多様な品種群が栽培された。

◇生活する花たち「冬椿①・冬椿②・山帰来の紅葉」(横浜・綱島)

1月3日(日)

★一月はわが誕生月よ静かなれ   正子
一月は一年の始まりで、何かと喧噪的な時期ですが、ゆっくりと静かに過ごしたいと思う、その気持ちの誕生月です。(高橋秀之)

○今日の俳句
獅子舞に頭を向けて走り寄る/高橋秀之
獅子舞の獅子に頭を噛んでもらうと元気な子になるとか。恐ろしい獅子に向かって走り寄るのは、果敢で愉快な男の子。(高橋正子)

○南天

[南天/横浜日吉本町]

★南天の実をこぼしたる目白かな/正岡子規
★口切や南天の実の赤き頃/夏目漱石
★あるかなし南天の紅竹垣に/瀧井孝作 
★実南天奈良から一人少女来る/青木啓泰

 ナンテン(南天、学名:Nandina domestica)は、メギ科ナンテン属の常緑低木。和名の由来は、漢名の「南天燭」の略。高さは2m位、高いもので4~5mほど。幹の先端にだけ葉が集まって付く独特の姿をしている。葉は互生し、三回羽状複葉で、小葉は広披針形で先端が少し突きだし、革質で深い緑色、ややつやがある。先端の葉の間から、花序を上に伸ばし、初夏に白い花が咲き、晩秋から初冬にかけて赤色(まれに白色)の小球形の果実をつける。中国原産。日本では西日本、四国、九州に自生しているが、古くに渡来した栽培種が野生化したものだとされている。山口県萩市川上の「川上のユズおよびナンテン自生地」は、国の天然記念物(1941年指定)。
 庭木として植えられることが多い。音が「難を転ずる」に通ずることから、縁起の良い木とされ、鬼門または裏鬼門に植えると良いなどという俗信がある。福寿草とセットで、「災い転じて福となす」ともいわれる。稀に太く育ったものは、幹を床柱として使うことがあり、鹿苑寺(金閣寺)の茶室、柴又帝釈天の大客殿などで見られる。以前に発行されていた日本の6円郵便切手の意匠としても親しまれていた。花言葉は「私の愛は増すばかり」、「良い家庭」。活け花などでは、ナンテンの実は長持ちし最後まで枝に残っている。このことから一部地方では、酒席に最後まで残って飲み続け、なかなか席を立とうとしない人々のことを「ナンテン組」という。

◇生活する花たち「蝋梅①・蝋梅②・さんしゅゆの実」(横浜・四季の森公園)

入賞発表/新年ネット句会


■2016年新年ネット句会■
■入賞発表/2016年1月3日

【金賞】
★澄み渡る大空青き初詣/高橋秀之
今年は晴天の暖かい元旦で、正月とは思えない陽気だった。澄み渡る空、それも「大空」であるのがいい。気持ちがおおらかで、晴れやかな初詣だ。よい正月。(高橋正子)

【銀賞】
★東(ひんがし)の大きな星よ除夜詣/ 佃 康水
大晦日の夜からお参りに出かけ、そのまま新年となる。年改まった空を見上がれば、東に輝く大きな星が目に入る。早くも明けの明星なのであろうか。なにか願いを叶えてくれそうな大きな星である。(高橋正子)

【銅賞2句】
★実南天活けて障子の初明り/小川和子
真っ赤な南天の実を障子のある部屋に活けた。朝が来て障子に初明かりが差し、部屋は淑気に満ちた部屋となっている。日本の正月の良き光景だ。(高橋正子)

★石鎚の嶺くっきりと初景色/柳原美知子
石鎚山は、四国の霊峰。中四国では一番高い山で、松山市の郊外からも眺められる。新年の朝、その特徴ある嶺がくっきりと目に入ると、なにか勇気づけられる気がする。初景色ならば、なおさらだろう。(高橋正子)

【高橋信之特選/5句】
★新年に着信音が鳴り続く/高橋秀之
携帯電話のメールでの新年の祝詞が飛び交う若い世代。時代の移り変わりが思われます。(柳原美知子)

★年用意身に付いてきし割烹着/小川和子
まなうらに浮かぶ母のかいがいしい割烹着姿。年齢を少しずつ重ね、自身もようやく割烹着が身に付いてきたようだ。来し方への感慨と今後への意気が感じられます。(柳原美知子)

★銀翼の浮きたる二日の空の碧/高橋正子
冬晴れの澄み切った青空に浮かぶ銀翼、大空高く飛行機雲が伸びてゆく様子が鮮やかに目に浮かび、祥雲を仰ぐようです。(柳原美知子)

★初売りの声は大きく高らかに/高橋秀之
初売りの明るさは、まず売る人の声から。大きく高らかな声はめでたさの表れ。この声にひかれて立ち寄る人も多いだろう。(高橋正子)

★石鎚の嶺くっきりと初景色/柳原美知子
石鎚山は、四国の霊峰。中四国では一番高い山で、松山市の郊外からも眺められる。新年の朝、その特徴ある嶺がくっきりと目に入ると、なにか勇気づけられる気がする。初景色ならば、なおさらだろう。(高橋正子)

【高橋正子特選/5句】
★実南天活けて障子の初明り/小川和子
実南天をお正月花として高々と活けられました。艶やかな赤い実が座敷に明かりを灯した様に映えているのが見えて参ります。(佃 康水)

★石鎚の嶺くっきりと初景色/柳原美知子
身近に山を仰ぐ生活の清々しさを、御句により思い出させていただきました。よく晴れた元日の石鎚山の神々しさがまっすぐに伝わってきます。(小川和子)

★澄み渡る大空青き初詣/高橋秀之
上5 中7 下5のすべてが心晴れ晴れとする言葉が並び大変晴れやかさを感じます。快晴に恵まれ、今年も壮健な良い年を予見出来そうなそんな初詣だった事でしょう。 (佃 康水)

★年明くや北鎌倉に寺多き/高橋信之
鎌倉は海と山に囲まれた美しい古都鎌倉、昔は知識階級や権力者が多く住まわれて居たとか。そこへ多数の宗派がお寺を構えたためにお寺が多いのだと浅い知識では有りますが理解しています。お寺は自然環境も豊かでも有り、まして蒼天に恵まれたお元日。淑気の満ち満ちた北鎌倉の様子が見えて参ります。(佃 康水)

★東(ひんがし)の大きな星よ除夜詣/佃 康水
大晦日の夜からお参りに出かけ、そのまま新年となる。年改まった空を見上がれば、東に輝く大きな星が目に入る。早くも明けの明星なのであろうか。なにか願いを叶えてくれそうな大きな星である。(高橋正子)

【入選/4句】
★瀬音響く祠に小さき鏡餅/柳原美知子
瀬音響くとあれば屹度しっかりした小川でしょうね。まわりが大きく感じられます。可愛い鏡餅も温かいですね。 (迫田和代)

★境内の真夜に溢るる御慶かな/佃 康水
二年参りで初詣に出かけられているのでしょう。真夜中にもかかわらず新年を祝う人たちで活気のある境内が浮かびます。(高橋秀之)

★広い海茜の空から初日の出/迫田和代
海からの初日の出。空を茜に染め、海から昇る初日に神々しさ、晴れやかさが見られ、新年の喜びが読み取れる。(高橋正子)

★初詣絵馬奉納し幸祈る/河野啓一
初詣で祈るのは、家族の、大きくは世界の幸せ。絵馬を奉納し、幸を祈る。営々と受け継がれている絵馬の奉納。(高橋正子)

■選者詠/高橋信之
★新春の鳩の土産を玄関に
土産にもらった鳩の置物を玄関に飾ってみた。今年1年の平和を祈念するささやかな作者のお気持ちがつたわってきます。(河野啓一)

★年明くや北鎌倉に寺多き
鎌倉は海と山に囲まれた美しい古都鎌倉、昔は知識階級や権力者が多く住まわれて居たとか。そこへ多数の宗派がお寺を構えたためにお寺が多いのだと浅い知識では有りますが理解しています。お寺は自然環境も豊かでも有り、まして蒼天に恵まれたお元日。淑気の満ち満ちた北鎌倉の様子が見えて参ります。(佃 康水)

★卓上の皿の蜜柑の明るき色
お正月と言えば炬燵の上の蜜柑が思われます。蜜柑の色の明るさは、故郷瀬戸内の空や海の明るさに繋がるものなのでしょうか。お健やかに新年を迎えられお喜び申し上げます。(柳原美知子)

■選者詠/高橋正子
★坂の上に鈴振り鳴らす初詣
初空を見上げながら坂の上の神社への初詣。振り鳴らす鈴の音も晴れ晴れとした大空へひろがってゆき、今年を明るく迎えられた喜びが感じられます。ご清福をお祈り致します。 (柳原美知子)

★元旦の布巾を干せば鵯の声
元旦に布巾を綺麗に洗い干していると何処からか鵯の声が聞こえた。
鵯の鳴く自然豊かな環境の中に干された真っ白な布巾を大きくイメージ致します。主婦としても清潔な日頃の暮らし振りまでもが見えて来るようです。(佃 康水)

★銀翼の浮きたる二日の空の碧
冬晴れの澄み切った青空に浮かぶ銀翼、大空高く飛行機雲が伸びてゆく様子が鮮やかに目に浮かび、祥雲を仰ぐようです。(柳原美知子)

■互選高点句
●最高点(4点/同点2句)
★実南天活けて障子の初明り/小川和子
★瀬音響く祠に小さき鏡餅/柳原美知子

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/藤田洋子)
※コメントのない句にコメントをお願いします。

◆新年ネット句会清記◆


■新年ネット句会清記
8名24句

01.広い海茜の空から初日の出
02.青い空緑緑の初詣
03.慌ただし年の暮れの顔つきに
04.元日の一献酒は福寿かな
05,去年今年カミオカンデに幸あれと
06.初詣絵馬奉納し幸祈る
07.東(ひんがし)の大きな星よ除夜詣
08.境内の真夜に溢るる御慶かな
09.絵手紙の笑う猿見て初笑い
10.新年に着信音が鳴り続く

11.初売りの声は大きく高らかに
12.澄み渡る大空青き初詣
13.実南天活けて障子の初明り
14.御持たせの逸品受けて雑煮膳
15.年用意身に付いてきし割烹着
16.坂の上の鈴振り鳴らす初詣
17.銀翼の浮きたる二日の空の碧
18.元旦の布巾を干せば鵯の声
19.年明くや北鎌倉に寺多き
20.新春の鳩の土産を玄関に

21.卓上の皿の蜜柑の明るき色
22.石鎚の嶺くっきりと初景色
23.飼い猫に初の正月晴れ晴れと
24.瀬音響く祠に小さき鏡餅

※互選を開始してください。

◆新年ネット句会(2016)のご案内◆


●新年ネット句会(2016)投句案内●
①投句:当季雑詠(新年か、冬の句)3句
②投句期間:2015年12月30日(水)午前0時~2016年1月2日(土)午後6時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:1月2日(土)午後7時~午後10時
②入賞発表:1月3日(日)正午
③伝言・お礼等の投稿は、1月3日(日)正午~1月4日(月)午後6時

○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之