4月月例ネット句会清記


■4月月例ネット句会清記
2017年4月9日
5名15句 

01.花筏の渦ゆらゆらと目黒川
02.シャガの花夜道一面白い影
03.桜散る斜面にもまた桜色
04.まだ満ちぬ月が朧に花のなか
05.卒業歌学生バスの声深く
06.口笛に鶯応え我はも鳥
07.すみれ咲く地に低く咲く濃き色に
08.桜散る空に吹きあぐ花びらも
09.仰ぎ見る青一枚の春天を
10.摘み置かる花束橋に花祭り

11.鶯の声透き通る野の雨よ
12.桜満つ空へ瀬音の吸い込まれ
13.すでにさくら落とす先客の鳥あり
14.ステップで花のトンネル駆けゆける
15.シャボン玉追い掛けている姉いもと

※選句を始めてください。

4月9日(日)

★雪柳の自由な茎と空気と触れ  正子
それぞれの茎が自由に曲がって咲いている雪柳。植物の個性が「自由な茎」と的確に表現されています。さらに、「空気と触れている」ということで、雪柳と空気とが語り合っているようなやさしいイメージを与えてくれます。(安藤智久)

○今日の俳句
切り出され杉は春野に積み上がる/安藤智久
伐採された杉の木は深い山を出て、今度は、明るい光の溢れる春の野に積まれる。まだまだ杉の香りも紛々として、春野に積まれることに、あらたな喜びを得たようである。(高橋正子)

○白詰草(クローバー)

[白詰草/横浜日吉本町] 

★クローバーに雨すこし降りけふの会/山口青邨
★クローバに青年ならぬ寝型残す/西東三鬼          
★事務服のままクローバに出て憩ふ/内田耕人
★転勤の知らせ四つ葉のクローバー/田崎比呂古
★頬よせて四つ葉のクローバー多感なり/柴田美代子
★クローバ咲き泉光りて十九世紀/加藤かけい

 シロツメクサ(白詰草、学名:Trifolium repens)は、マメ科シャジクソウ属の多年草。別名、クローバー。原産地はヨーロッパ。花期は春から秋。茎は地上を這い、葉は3小葉からなる複葉であるが、時に4小葉やそれ以上のものもあり、特に4小葉のものは「四つ葉のクローバー」として珍重される。花は葉の柄よりやや長い花茎の先につく。色は白。雑草防止、土壌浸食防止等に利用されることもある。
 漢字表記は、「白詰草」。詰め草の名称は1846年 (弘化3年)にオランダから献上されたガラス製品の包装に緩衝材として詰められていたことに由来する。日本においては明治時代以降、家畜の飼料用として導入されたものが野生化した帰化植物。根粒菌の作用により窒素を固定することから、地味を豊かにする植物として緑化資材にも用いられている。
 花は「赤詰草」にそっくりだが、色が白なのと、花茎を伸ばした先に花が咲くことから区別できる。(赤詰草は葉っぱのすぐ上に花が咲く)また、葉っぱ自体も丸っこい。(赤詰草の葉っぱはややとがる)夜になると葉を閉じる。別名:「クローバー」「馬肥(うまごやし)」馬肥は、本来は、黄色いつぶつぶの別の花の名前。白詰草の別名でもある。

◇生活する花たち「菜の花・片栗の花・山桜」(横浜・四季の森公園)

●4月月例ネット句会ご案内●


●4月月例ネット句会投句案内●
①投句:当季雑詠(春の句)3句
②投句期間:2017年4月8日(土)午後1時~2017年4月9日(日)午後7時→午後11時
                    ※投句時間を午後11時までに延長します。

③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:4月9日(日)午後7時~午後10時 →(変更します。)4月9日午後11時~10日午前9時
②入賞発表:4月10日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、4月10日(土)正午~4月12日(水)午後6時

○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之

4月8日(土)

★花御堂飾る花にも野のげんげ  正子
お寺では4月8日にお釈迦様のご誕生をお祝するために「花祭り」が行われていますが今は野や畑に咲く色んな花を摘んで花御堂を飾ります。子供の頃には、田んぼ一面に咲いていた蓮華草を主体に飾られていたことを鮮明に覚えています。御句より蓮華草の田んぼを泥んこになって遊んだり首飾りを作った子供の頃を懐かしみ、蓮華草を久しく見ていないなぁと花御堂の今昔を思いました。
(佃 康水)

○今日の俳句
黎明の初音に一日気の弾む/佃 康水
朝のはじめに良いことがあると、その日一日よい気持ちで過ごせる。黎明の鶯の澄んだ声には、「気の弾む」思いである。(高橋正子)

○花祭(はなまつり、別名:灌仏会、釈迦の誕生日)
4月8日の花祭りは、仏教の開祖、釈迦の生誕を祝福する仏教行事。潅仏会(かんぶつえ)仏生会(ぶっしょうえ)といい、「花祭り」は明治以降の名称。浴像会、降誕会などともいわれます。古代から釈迦の生まれたインドで行われてきた行事からのもので、日本ではお盆とともに仏教伝来からの歴史があります。推古天皇代(606)、聖徳太子の提唱で元興寺で行われたのが最初とか。この日、各寺には花で飾った小堂、花御堂(はなみどう)がつくられます。金属製の幼仏像をその中にまつり、甘茶が参拝者によってその誕生仏にかけられます。甘茶を潅(そそ)ぐ行事なので「潅仏会」。 花御堂は釈迦が生まれたところルンピニ園の花園を表しています。甘茶とは砂糖入りのお茶というわけではなく、ユキノシタ科のアマチャやウリ科のアマチャヅルを煎じた飲料です。漢方薬店で売っているらしい。お寺で参拝のあとにいただけるところもあります。麦茶に似た色をしていてちょっと甘くちょっとにがく、とろりとした飲みごこちがします。

★稚き葉の白く開きて潅仏会  正子
★石段のゆるびし上の甘茶寺  〃
★甘茶仏甘茶のいろに輝けり  〃
★花御堂飾る花にも野のげんげ  〃

○紫雲英(げんげ)・蓮華草(れんげそう)・れんげ・げんげん

[げんげ/横浜日吉本町]

★十本の指ありげんげ摘んでいる/三橋鷹女
★紫雲英田の沖の白波一つ見ゆ/川崎展宏
★親牛も子牛もつけしげんげの荷/高野素十
★花束になりたい蓮華草の夢/岡村嵐舟
★げんげ咲くコースジョギング続けねば/山本翠公
★何を言わんとして一面の蓮華草/田頭良子

 ゲンゲ(紫雲英、翹揺 Astragalus sinicus)はマメ科ゲンゲ属に分類される越年草。中国原産。レンゲソウ(蓮華草)、レンゲ、とも呼ぶ。春の季語。かつて水田に緑肥として栽培され、現在でもその周辺に散見される。岐阜県の県花に指定されている。
湿ったところに生える。全体に柔らかな草である。茎の高さ10-25cm。根本で枝分かれして、暖かい地方では水平方向に匍匐し、60-150センチまで伸びる場合もある。茎の先端は上を向く。また、根本から一回り細い匍匐茎を伸ばすこともある。葉は一回羽状複葉、小葉は円形に近い楕円形、先端は丸いか、少しくぼむ。一枚の葉では基部から先端まで小葉の大きさがあまり変わらない。花茎は葉腋から出て真っ直ぐに立ち、葉より突き出して花をつける。花は先端に輪生状にひとまとまりにつく。花色は紅紫色だが、まれに白色(クリーム色)の株もある。
 ゲンゲの花のミツは、良い「みつ源」になる。蜂蜜の源となる蜜源植物として利用されている。ゆでた若芽は食用にもなる(おひたし、汁の実、油いため他)。民間薬として利用されることがある(利尿や解熱など)。ゲンゲの花を歌ったわらべ歌もある。「春の小川」などが有名。
ギリシア神話では、祭壇に捧げる花を摘みに野に出た仲良し姉妹の話が有名。ニンフが変身した蓮華草を誤って摘んでしまった姉のドリュオペが、代わりに蓮華草に変わってしまう。「花はみな女神が姿を変えたもの。もう花は摘まないで」、と言い残したという。

◇生活する花たち「三葉躑躅(みつばつつじ)・葱坊主・繁縷(はこべ)」(横浜日吉本町)

4月5日(水)

★子らあそばす丘の平地の桃さくら  正子
春の草が萌え出た広い平らな丘に子供たちが駆け回り、ボールを蹴ったり投げっこをしたりと楽しく遊んでいる。丘の周りには桜や桃の花が咲き競い穏やかな春の素晴らしい気候ですね。(小口泰與)

○今日の俳句
花冷や長き裾野の赤城山/小口泰與
「長き裾野」は、季節によってさまざまな感じをわれわれに与える。花冷えには花冷えの裾野の引く線の緊張感がある。(高橋正子)

○三葉躑躅(みつばつつじ)

[三葉躑躅/横浜日吉本町]

★つゝじいけて其陰に干鱈さく女/松尾芭蕉
★大原や躑躅の中に蔵たてて/与謝野蕪村
★庭芝に小みちはありぬ花つつじ/芥川龍之介
★築地あり小さきつつじを植ゑ並べ/松本たかし

★日は白し三葉躑躅の塊りに/高橋正子
★咲き固まる三葉躑躅が門の内/高橋正子

 ゴールデンウィークごろ、西日本最高峰の石鎚山に登ると、曙躑躅が満開となっている。芽吹き始めた木々の間に鮮やかなピンク色を見せる。山に登った甲斐があるというもの。この曙躑躅とイメージが似ているのが三葉躑躅。日吉に住むようになって、この三葉躑躅をはじめて知った。はじめ見たときは、曙躑躅だと思っていた。私にとっては新しい花である。
 ミツバツツジ(三葉躑躅 Rhododendron dilatatum)はツツジ科ツツジ属の落葉低木。また、近縁のミツバツツジ類の総称でもある。 関東地方から近畿地方東部の太平洋側に分布し、主にやせた尾根や岩場、里山の雑木林などに生育する。古くから庭木としても植えられるが、盗掘の影響もあるせいか野生の個体数は決して多くない。ミツバツツジ類は、4-5月頃に咲く紅紫色の花が美しい。花が終わってから葉が出てくる。枝先に三枚の葉がつくことからこの名がついた。

◇生活する花たち「菜の花・片栗の花・山桜」(横浜・四季の森公園)

4月3日(月)

★鈍行の列車に剥ける春卵  正子
鈍行の列車に揺られつるりと剥く春卵、おのずと春の明るく軽やかな旅心が伝わります。急ぐ旅ではないだけに、ゆったりと長閑な旅の一時がいっそう楽しく感じられます。(藤田洋子)

○今日の俳句
山辛夷一気に空の青へ咲く/藤田洋子
「一気に」が野生である山の辛夷らしい。待ちこがれたように噴き出して咲く。辛夷の見方に元気があり新しい。(高橋正子)

2015
●箱根湿性花園に水芭蕉を見に行く予定。湿性花園は3月20日開園。入園料700円。小田原駅までJRで。小田原駅東口4番バス乗り場から箱根登山バスで仙石案内所前まで。そこから徒歩8分で至る。
○信之先生と娘の句美子との三人で箱根湿性花園に出掛ける。
高原に白き花咲き水芭蕉/高橋信之

○花楓

[花楓/横浜日吉本町(左:2013年4月1日・右:2011年4月13日)] 

★楓咲きまだこぼれねば石すがし/水原秋櫻子
★花楓こまかこぼるる又こまか/皆吉爽雨
★花楓数へて小さき旅にあり/岡本眸
★花嫁にそそぐ日と風花楓/西宮舞
★日ごと読む詩の一書あり花楓/永見嘉敏
★境内に少女の合唱花楓/大信田梢月
★花楓昼間静かに学生寮/高橋正子
★凝らし見て色はくれない花楓/高橋正子

楓の若葉が開くころ、 すでに深紅の楓の花がちらちらと咲いているのに気づく。若緑と深紅が空にそよぐとなかなかいい風情。日吉本町2丁目の丘に慶応大学のゲストハウスか、あるいは中高校生の寮らしい建物がある。その庭に大きな楓があり、四月の新学期を迎えて、辺りはフレッシュな空気が漂う。反対側の民家にも楓があり、ちょうどトンネルのようになって潜り抜けると気分爽快。メイン道路なんてものもなく、気ままに歩くと出くわす花楓である。

 カエデ(槭、槭樹、楓)とはカエデ科(APG植物分類体系ではムクロジ科に含める)カエデ属 (Acer) の木の総称。モミジ(紅葉、椛)とも呼ばれるが、その場合は様々な樹木の紅葉を総称している場合もある。主に童謡などで愛でられるものはそれである。赤・黄・緑など様々な色合いを持つ為、童謡では色を錦と表現している。
 日本のカエデとして代表されるのは、イロハモミジ (A. palmatum) である。福島県以南の山野に自生しているほか、古くから栽培も行われている。園芸種として複数の栽培品種があり、葉が緑色から赤に紅葉するものや最初から紫色に近い葉を持ったものもある。一般に高木になる。落葉樹が多く落葉広葉樹林の主要構成種であるが、沖縄に自生するクスノハカエデのように常緑樹もある。葉は対生し、葉の形は掌状に切れ込んだものが多く、カエデの名称もこれに由来する(下記参照)。しかし、三出複葉(メグスリノキ)や単葉(ヒトツバカエデ、チドリノキ、クスノハカエデ)のものもある。花は風媒花で、花弁は目立たなく小さい。果実は二つの種子が密着した姿で、それぞれから翼が伸びる翼果である。脱落するときは翼があるので、風に乗ってくるくる回って落ちる。
 日本では鮮やかな紅葉が観賞の対象とされ、庭木、盆栽に利用するために種の選抜および、品種改良が行われた。諸外国では木材や砂糖の採取、薬用に利用されるのみであったが、明治時代以後に西洋に日本のカエデが紹介されると、ガーデニング素材として人気を博し、西洋の美意識による品種も作られ、日本に「西洋カエデ」として逆輸入されている。

◇生活する花たち「菜の花・片栗の花・山桜」(横浜・四季の森公園)

4月1日(土)

★煽られて花のゆるるは大いなる  正子
見事に咲いた桜の樹が春風に煽られて枝を揺らせている。しかし花吹雪になるほどでもなく、今や春爛漫の候、しっかりと花をつけて動じない。自然の精妙さと大きさがおのずから体感されるるような素敵な御句と思います。(河野啓一)

○今日の俳句
高々と蝶越え来しや伊吹嶺/河野啓一
初蝶であろうか。目の前に現れた蝶は、あの伊吹嶺を高々と越えて来たに違いない。蝶に寄せる新鮮な思いがよく読まれている。(高橋正子)

○樒(しきみ)の花

[樒の花/横浜日吉本町]

★ゆかしさよ樒花咲く雨の中/与謝蕪村
★山住も樒の花をみる日かな 雲舎
★樒咲く山の空き家のすみに咲く うらら
★老婆らの元気な声や花樒 819maker

樒(シキミ、櫁、?、学名:Illicium religiosum Illicium anisatum)はシキミ科シキミ属の常緑高木である。「しきび」とも読む。有毒。仏事に用いるため寺院に植栽される。常緑樹で、高さは10メートル程度、胸高直径は30センチ・メートルとなる。樹皮は暗い灰褐色になり、老木になると縦の裂け目を生じる。若枝は緑色。葉は、枝の先端に集まってつき、短い葉柄を持つ楕円形から倒卵形を帯で、長さ5 – 10センチ・メートル、深緑色でつやがある。葉の質はやや厚く、何となく波打ったようになることが多い。葉の先端は急に突き出して鈍端。花は葉の付け根から一つずつ出て春に咲く。花びらは淡黄色で細長く、ややねじれたようになる。果実は扁平で周囲に8本の突起が出ている。上面が裂開し種子が出る。種子は褐色でつやがあり、小さいドングリを押しつぶしたような形をしている。
日本では本州中部以南、四国、九州、琉球に分布し、中国にも分布する。
樒(シキミ・シキビ)は俗にハナノキ・ハナシバ・コウシバ・佛前草という。弘法大師が青蓮華の代用として密教の御修法にお使いになられた。青蓮花は天竺の無熱池にあるとされその華に似ているので御佛前の供養用に使われた。なにより四季に美しく年中継続して手に入れやすいので我国では俗古来よりこの枝葉を佛前墓前に供えている。古代にはサカキと同様に神社でも用いられたといわれるが、神式での榊(=サカキ)のように?と書いた。(木偏に佛、「佛」は仏の旧字体)という国字もある。現在でも京都市の愛宕神社などの神事には榊でなく、シキミが使われている。シキミを挿した水は、腐りにくいのである。

◇生活する花たち「菜の花・片栗の花・山桜」(横浜・四季の森公園)

3月30日(木)

★三椏の花に雲海広がれる  正子
和紙の原料として栽培された三椏。この花が咲いているところは、やや高地なのでしょう。外側より内側が黄色い花が固まって咲く彼方に広がる雲海。心が広々とするような光景です。(多田有花)

○今日の俳句
目の覚めるような菜の花畑かな/多田有花
菜の花畑に行きあうと、そのまっ黄色な菜の花の色に目が覚める。一面の強烈な菜の花の色である。花のいい匂いもしてきそうだ。(高橋正子)

○桜満開

[桜/横浜日吉本町・金蔵寺(2013年3月22日)]_[山桜/横浜・四季の森公園(2013年3月21日)]

 水口にて廿年を経て古友にあふ
★命ふたつ中に活たる櫻かな/松尾芭蕉
★さまざまの事おもひ出す桜かな/松尾芭蕉
★寐て聞けば上野は花のさわぎ哉 子規
★けふは外出の桜むらがる町へ/臼田亜浪
★闇の空よりちらちらと花散り来たり 亞浪
★桜昏しはげしき天の白光に/川本臥風   
★青空へまぎれてしまう落花もあり/川本臥風
★わが一本の桜も小さき花ふぶき/川本臥風 
★花ござの藺の香芬々たる上に/川本臥風 
★鳥影の空はつめたし山桜/原田種茅
★村ほろびいきいきと瀬や山ざくら/宮津昭彦
★さくらさくらさくらさくらてのひらに/高橋信之

★花淡し寺の甍がかがやけば/高橋正子
★多摩川の奥へと桜咲き連らぬ/高橋正子
★子らあそばす丘の平地の桃さくら/高橋正子
★煽られて花のゆるるは大いなる/高橋正子
★山桜根方に小さき泉湧き/高橋正子

▼桜満開:東京も花見客でにぎわう(毎日jp)
 毎日新聞 2013年03月22日 19時49分(最終更新 03月22日 20時18分)
 気象庁が、東京都心で桜(ソメイヨシノ)が満開になったと発表した22日、東京都台東区の隅田公園は夜桜を楽しむ花見客でにぎわった。この日は東京のほか、宮崎、熊本、福岡、高知、横浜でも「満開宣言」。東京は平年より12日早く、1953年の統計開始以降では02年の3月21日に次ぐ2番目の早さだった。気象庁によると、全国的に平年より高い気温が続いたため、満開が早まったという。この日の東京地方は日中の最高気温が18.6度で4月中旬並みの暖かさ。隅田川を挟んで見える東京スカイツリー(墨田区)を背に、ライトアップされた桜が、訪れた人々を楽しませていた。神奈川県茅ケ崎市の会社役員、中西達哉さん(52)は、同僚25人と訪れた。例年4月の花見を開花に合わせて前倒ししたという。「桜にツリー。最高のロケーションです」と笑顔で話していた。【神足俊輔】

▼さくら開花予想2013【3月16日更新】
 今年の桜は、『早く』咲く所が多くなるでしょう。全体的に開花が平年より遅れた『去年よりは大幅に早く咲く』見込みです。13日には九州で開花が始まり、宮崎・大分・鹿児島など各地で過去最早記録となっています。東京でも16日に過去最早タイで開花しました。
 この冬は寒さが続いたため、桜の花芽がスムーズに休眠から覚めた地域が多いと考えられます。
 3月初めまでは気温が低く出遅れていたものの、3月6日ごろからは平年を大幅に上回る気温の日が続き、この先も寒の戻りは少ないとみられます。このため、桜の開花は早めの所が多くなりそうです。(ウェザーマップ「さくら開花予想2013」より)

▼サクラ(桜)は、バラ科サクラ属サクラ亜属 Prunus subg. Cerasus (またはサクラ属 Cerasus に分類)の樹木の総称である。日本においてはサクラは開花が話題となる点において、他の植物とは一線を画す存在である。現在ではメディアなどで俗に、単に「桜」と言うと、桜の中で極端に多く植えられている品種のソメイヨシノの事を指すことも多い。
 春に白色や淡紅色から濃紅色の花を咲かせる(桜色)。花は日本では鑑賞用途としては他の植物に比べ、特別な地位にある。果実を食用とするほか、花や葉の塩漬けも食品などに利用される。日本国外においては、一般的に果樹としての役割のほうが重視された。園芸品種が多く、花弁の数や色、花のつけかたなどを改良しようと古くから多くの園芸品種が作られた。日本では固有種・交配種を含め600種以上の品種が確認されている。とくに江戸末期に出現したソメイヨシノ(染井吉野)は、明治以降、日本全国各地に広まり、サクラの中で最も多く植えられた品種となった。
 日本では平安時代の国風文化の影響以降、桜は花の代名詞のようになり、春の花の中でも特別な位置を占めるようになった。桜の花の下の宴会の花見は風物詩である。各地に桜の名所があり、有名な一本桜も数多く存在する。サクラの開花時期は関東以西の平地では3月下旬から4月半ば頃が多く、日本の年度は4月始まりであることや、学校に多くの場合サクラが植えられていることから、人生の転機を彩る花にもなっている。日本においては、サクラは公式には国花ではないものの、国花の一つであるかのように扱われている。

◇生活する花たち「菜の花・片栗の花・山桜」(横浜・四季の森公園)