7月18日(火)

★しがみつくかなぶん捨てて衣を畳む  正子
かなぶんと取り込んだ干し物の情景がありありと目に浮かび、共感とともに、親しさと心楽しさを感じる日常の一場面です。かなぶんを捨てたあとの「衣を畳む」所作が、とりわけ美しく、整然とした日々のお暮らしまでも思われます。(藤田洋子)

○今日の俳句
雨雲の山を離れて合歓の花/藤田洋子
合歓の花を的確に捉えている。愛媛の久万高原などに出かけると、垂れていた雨雲が山を離れていって、合歓の花があきらかに浮かびあがってくるが、このようなところに合歓は自生する。(高橋正子)

○ブラックベリー

[ブラックベリー/横浜市港北区箕輪町]

★ブラックベリーの黒輝きて今朝の晴れ/高橋信之
★蓮寺の結界出ればブラックベリー/高橋正子

 日吉本町の隣合わせの箕輪町にある大聖院の門前の家にブラックベリーがある。フェンスに絡ませて育てているが、驚くほど沢山実を付けている。自転車で通りすがりに見たときは、ラズベリーかと思った。それにしては、色が緑色がかりすぎている感じもした。何度かその前を通る内に実が黒く色づいてきたので、ブラックベリーと気付いた。ラズベリーに比べて実が少し長くて、つぶつぶがはっきりしているように思う。違う町にくれば、また違う植物を好んで植えるものだとつくづく思った。

ブラックベリー (Blackberry) は、バラ科キイチゴ属の一群の種または1種の低木およびその果実。広義には Rubus 亜属の総称として使う。ただし Rubus 亜属にはブラックベリーのほかにデューベリー (Dewberry) 類も含まれ、それらはブラックベリーから区別することもある。クロイチゴ(Rubus mesogaeus)、ブラックラズベリー (Rubus occidentalis) はいずれもラズベリーであり、(広義でも)ブラックベリーには含まれない。狭義には、 Rubus 亜属の栽培種セイヨウヤブイチゴ(西洋藪苺、学名 Rubus fruticosus)。ただし Rubus fruticosus をさらに多数の種に分割する説もあり、その場合は狭義のブラックベリーも多数の種の総称になる。米国中部原産で、落葉半つるである。開花期は5月下旬から6月で、 結実期は7月から8月上旬である。果実は生のまま食べることも出来るが、多少酸味があるためジャムにして食べることも多い。

◇生活する花たち「カンナ・半夏生・夾竹桃」(横浜日吉本町)

7月17日(月)/海の日

★夕焼けが海に分かたれ平らな沖  正子
日没により西の空を赤く染めると共に海もまた美しい夕焼けの色に染まっていきます。空から海へと夕焼けを分かたれ、更に平らな海が遥かな沖まで続いていると言う広大な美しい情景が見えて参ります。 (佃 康水)

○今日の俳句
草刈り機木魂し合える谷間かな/佃 康水
夏草が生い茂り、草刈りに忙し
いときだ。谷間のあちこちで使う草刈り機の音が木魂する。谷間の村も生き生きとし、活動的な暮らしがうかがえる。(高橋正子)

今日は7月の第3月曜日で、海の日。海の日は、1995年(平成7年)に制定され、1996年(平成8年)から施行された日本の国民の祝日の一つである。制定当初は7月20日だった。2003年(平成15年)の祝日法改正(ハッピーマンデー制度)により、7月の第3月曜日となった。

○白粉花(おしろいばな)

◇白粉花/横浜日吉本町◇

★白粉の花ぬつてみる娘かな/小林一茶
★おしろいは妹のものよ俗な花/正岡子規
★道端に白粉花咲ぬ須磨の里/正岡子規
★白粉花妻が好みて子も好む/宮津昭彦
★白粉花の実をつぶす指若しとす/金子兜太
★おしろいや人は心の裏見せず/稲畑汀子
★おしろいの花のたそがれ白痴の子/成瀬櫻桃子
★路地狭むおしろい花や廓跡/水原春郎

 おしろいばなは、白粉花と書く。秋の季語。熱帯アメリカ原産であるということだが、古くに渡来したせいか、夕涼みのころの日本的情緒のある花と思ってきた。それも昭和の白い割烹着の母を思わすような花と。

 白粉花咲けり昭和の母の花/正子

 暑さも収まる5時過ぎに日吉本町六丁目にある西量寺へ行った。目的は、白粉花の写真を撮るため。西量寺は、天台宗のこじんまりしたお寺で、石垣の上にある。近づけば、民家の屋根より少し大きいかなというぐらいの屋根がすぐ目に付く。

 寺の屋根西は西日の色に照り/正子

 お寺の石垣の裾を埋めて白粉花が咲いてほのかな香りが漂う。白粉花といえば、理科でならった遺伝の
法則を思いだすのだが、優性遺伝、劣性遺伝とあって、どちらかが遺伝する。普通は、赤い花と白い花を交配すると、白か赤かになる。ところが、白粉花は、ピンクになるというようなこと。西量寺の白粉花も長年同じ場所に種がこぼれて生えるのだろう、白に赤い斑があるものがたくさん見られた。純粋に白、純粋に赤というのが少ない。石垣の裾は夕方はちょうど日陰になって、日中の猛暑はどこへ去ったのかと思うほど、涼しい風が吹いていた。ほのかな香りがするのも、白粉花らしい。白粉花はまだ花が咲いているときから黒い種ができて、子どもがそれを割って中の白い粉を出し、白粉にして遊ぶ。子どもにも好まれる花と言えるのだろう。
 子ども時代の戦後を思い出すが、妻も子も慎ましさがあった。貧しいときであったが、個々のことを言わなければ、暗い時代ではなかった。扇風機さえも無い家が多かったから、夕方には縁台を出して、夕涼みをした。西瓜を食べたり、花火をしたり、星を見たり。垣根の根元には、白粉花が咲いていた。白粉花は、ちゃんとした場所ではなく、垣根の下や、ごみなどを焼く畑の隅に咲いた。種がこぼれて年々そこに花を咲かせるようになるのが多いからだろう。
 白粉花も朝顔も秋の花なのだと、この猛暑に思う。ずっと秋口まで咲いてくれる。朝咲く花と夕咲く花を夏の花にしておくには、慎ましすぎる。

◇生活する花たち「蛍袋・時計草・木槿(むくげ)」(横浜日吉本町)

7月16日(日)

★さくらんぼみどりあかるき茎が縦横  正子
さくらんぼは桜桃とも言われ、夏の訪れとともに店頭にも出まわりますが、山形産がよく知られるところです。つやつやとしたさくらんぼは、その茎とともに目にも新鮮でおやつやデザートにうれしい一品です。(小川和子)

○今日の俳句
花鋏鳴らし涼しき庭飽かず/小川和子
「庭飽かず」に、作者の楽しさが読み取れて、それが読者を楽しませてくれる。たくさん咲いた花の中にいて、花鋏を軽く鳴らしながら涼しい庭を巡っている。花に囲まれたうれしさが涼やかに詠まれた。(高橋正子)

○百日紅(さるすべり)

[百日紅/横浜日吉本町]

★明日もあるに百日紅の暮れをしみ 千代女
★百日紅浮世は熱きものと知りぬ 漱石
★武家屋敷めきて宿屋や百日紅 虚子
★日除して百日紅を隠しけり 鬼城
★百日紅咲く世に朽ちし伽藍かな 蛇笏
★武者窓は簾下して百日紅 龍之介
★百日紅地より分れて二幹に 風生
★独り居れば昼餉ぬきもし百日紅 みどり女
★百日紅燃えよ水泳日本に かな女
★少女倚る幹かゞやかに百日紅 麦南
★真青な葉の花になり百日紅 立子
★百日紅乙女の一身またたく間に 草田男
★地福寺は山を負ふ寺さるすべり 万太郎
★朝雲の故なくかなし百日紅 秋櫻子
★百日紅われら初老のさわやかに 鷹女
★いつの世も祷りは切や百日紅 汀女
★百日紅出征の花火突と鳴り 不死男
★乳子ほのと立ちて新し百日紅 不死男
★夕栄にこぼるる花やさるすべり 草城
★百日紅この叔父死せば来ぬ家か 林火
★百日紅片手頬にあて妻睡る 楸邨
★女来と帯纏き出づる百日紅 波郷

さるすべりには、白、赤、ピンクの花がある。赤とピンクの色は、微妙に違った花が見られる。夏の間、夾竹桃と並んで咲き継ぐのが「さるすべり」。幹がつるつるして木登り上手な猿が滑り落ちるから、こんな名がついたのか。四国松山に住んでいた頃、わが家の庭の真ん中にあったのが、薄紫に近いピンク。風が吹けばフリルのような花がこぼれる。真っ青な空も、炎昼の煙るような空にも似合う。さるすべりには、古木も多く、日吉の金蔵寺には、幹の半分以上がなくなっているが、残った幹がよく水を通わせるのか花を相次いで咲かせている。県の名木に指定されている。

2016年
句美子と、12時目黒駅待ち合わせで、浅草橋(裏秋葉原)にある、宅配プリントの印刷会社株式会社オーネム「東京営業所のショールームを訪ねる。営業所長が出てこられ、印刷製本について40分ほど聞く。本社は大阪東成区。この印刷所で花冠を印刷してもらう予定。

帰り、通りの小さいイタリア料理店で遅い昼食。中は満員で、外で20分ほど待たされたが、2時のラストオーダーに、それもラストで入店。湘南しらすのピザで売っているが店のようだが、売り切れ。前菜デザート飲み物付きのパスタで900円。昼食後、JRで目黒下車。駅近くの和菓子店玉川屋で、粟餅と麩饅頭を句美子がお土産に買ってくれた。粟餅は、切り餅にしてあったが、帰ってすぐ、焼いて砂糖醤油で食べた。粟ぜんざいもよかろうと、小豆を炊いてぜんざいも作った。明日の楽しみ。

◇生活する花たち「蛍袋・立葵・紅かんぞう」(横浜・四季の森公園)

7月15日(土)

★ひるがおのこの世に透ける日のひかり  正子
野原や道端で他の草や木にからみ、朝顔に似た小さな花を開き、日中に咲いて夕べにはしぼむ可憐な昼顔に日が射している素晴らしい景ですね。 (小口泰與)

○今日の俳句
目高の子ぐいと水面を走りけり/小口泰與
平明な句で句意がはっきりしている。目高の子が水面を「ぐい」と蹴るように走る。目高の子の力強さが、生き生きとして涼しさを与えてくれる。命の涼しさ。(高橋正子)

7月14日(金)

★なでしこの苗に花あり風があり  正子
なでしこの苗には花の色が分かるようにひとつ二つの花があり、そしてその花が風に揺れている様子が、涼しさを伝えてくれます。(高橋秀之)

○今日の俳句
せせらぎの木陰のめだか動かずに/高橋秀之
せせらぎの木陰はすずしそうだ。涼しさを喜んで、目高が活発に泳ぐかと思えばそうではない。じっとして、木陰の水の涼しさを体で享受しているようだ。(高橋正子)

○巴里祭(パリ祭)

[パリ、モントルグイユ通り、1878年6月30日の祭日/クロード・モネ画]_[京都祇園祭/ネットより]

7月13日(木)

★ひまわりの黄色澄みしを供花にもす  正子
ひまわりが咲き始めました。ひまわりにも色々な種類がありますが、畑一面に黄色を振りまく小ぶりの花は、周囲のみどりとも相俟って、透き通るような黄色です。供花とすれば、明るい色にほとけさまも喜ばれる事でしょう。。(桑本栄太郎)

○今日の俳句
茄子苗の花の咲きつつ売られけり/桑本栄太郎
茄子の苗が売られているが、はや、紫の花がついて、みずみずしく勢いがある。植えればすぐに根付き、よく実を結ぶそうだ。(高橋正子)

俳句界の9月号結社広告の句を選ぶ。

○胡麻の花

[胡麻の花/横浜緑区北八朔]

7月12日(水)

 鎌倉街道
★竹林に夏の真青な水打たれ  正子
禅寺の境内にある竹林の小道をゆくと、飛び飛びに続く敷石に打ち水がなされ、しっとりと濡れています。真青な竹の葉や幹を透して届く夏の明るい光によって、その敷石や土までもが緑がかって揺らめいています。色も水も、そして静けさもみな瑞々しく、涼しげに感じられます。(小西 宏)

○今日の俳句
緑濃き風に吹かれて書道展/小西 宏
緑濃き風が吹き抜け、心地よい会場の書道展。緑濃き風に、墨色もいきいきと浮き上がってくる。(高橋正子)

○向日葵(ひまわり)

[向日葵/横浜市港北区箕輪町]        [向日葵/横浜日吉本町]

俳句
かなかなに夕べさみしき灯がともり
百合の香よ涼しき風よ買い物に
朝粥に胡瓜茗荷を漬けて寝る

曇り。
○9月号の編集と原稿書き。

○インターネット俳句コンテストの子どもの部の選者を句美子さんに頼むと、引き受けてくれた。「子どもがせっかく作ってるんだから、選んであげたらいいから。」と返事。

○マカロンをいただく。儚い砂糖菓子。お店によって、それこそいろいろなのも、マカロン。

7月11日(火)

 箱根湿性花園
★湿原のはるかな水に未草  正子
実際に行ってみたことはありませんが有名な箱根の湿性花園です。湿原が遠くまでつづいて、可憐な睡蓮やその他の水草たちが点在する、広々とした景色が目に浮かびます。 (河野啓一)

○今日の俳句
隣家の窓に今朝より青簾/河野啓一
隣家の窓を見ると、今朝からは、青簾がかかって目にも涼しげ。隣家も夏支度が整って、夏本番を迎える。(高橋正子)

○金魚草

[金魚草/横浜日吉本町]

★金魚草よその子すぐに育ちけり/成瀬櫻桃子
★裏庭の色を集めて金魚草/稲畑汀子
★金魚草風に溺るることのあり/行方克巳

「金魚草」と聞くだけで、金魚を想像して、かわいらしく、涼しい思いになる。パフスリーブの夏服を着た小学2.3年生の女の子のようだとも思う。ビロードがかった口唇形の花の色も赤、白、黄色などシンプルだし。夏の花壇をかざってくれる、子ども時代の私にとっては、夏休みの花である。夏休みのもろもろを思い出す。絵日記、植物採集、夏休みちょう、海水浴、昼寝、アイスキャンデー、西瓜、まくわうり、井戸水、日向水、打ち水、縁側拭きなど。江戸末期に渡来したようだが、当時はハイカラな花だったに違いない。

★裏庭に洗濯物干し金魚草/高橋正子
★金魚草金魚鉢には金魚いて/高橋正子

キンギョソウ(金魚草 Antirrhinum majus)はゴマノハグサ科(APG分類体系ではオオバコ科に入れる)キンギョソウ属の植物。南ヨーロッパと北アフリカの地中海沿岸部を産地とする。その名の通り金魚のような花を穂状に数多く咲かせる。花の色は赤・桃 ・白 ・橙 ・黄 ・複色。種は微細だが性質は強健で、こぼれ種でよく殖える。一般的には秋蒔きの一年草で、寒冷地では春蒔きにする。本来は多年草の植物であり、年月が経つにつれて茎が木質化する。金魚の養殖で有名な愛知県弥富市の市の花にもなっている。

◇生活する花たち「蛍袋・時計草・木槿(むくげ)」(横浜日吉本町)

7月10日(月)

★子が去りしことも静かや夏の歯朶  正子
子どもとともに楽しく過ごしていた時間がすぎ、部屋には静寂な空気が流れているばかりです。歯朶の清涼な感じとの取り合わせが洒落ていると思いました。(井上治代)

○今日の俳句
何かしら飛び出て楽し草取りも/井上治代
夏になると草が生い茂る。草取りの作業もたいへんだが、バッタが?ぴょんと飛び出したり、天道虫が飛び立ったりする。それが案外楽?しいのだ。(高橋正子)

○紅蜀葵(こうしょっき・もみじあおい)

[紅蜀葵(もみじあおい)/横浜日吉本町]

★紅蜀葵肘まだとがり乙女達/中村草田男
★沖の帆にいつも日の照り紅蜀葵/中村汀女
★黄蜀葵花雪崩れ咲き亡びし村/加藤楸邨

アメリカ芙蓉という花がある。芙蓉に似て、大ぶり赤い花色が華やかだ。芙蓉に少し似た紅蜀葵もその赤さは、日本の花ではないなと思わせる。調べると北米原産とあるから、さもありなん。近所では、市営アパートのわずかの空地に住人が植えたものがある。通りすがりにちらっと見て、紅蜀葵が咲いているな思うわけであるが、植えた人は昭和を生きた人であろうと想像する。

★市民アパート誰が咲かすか紅蜀葵

モミジアオイ(紅葉葵、学名:Hibiscus coccineus)は、アオイ科の宿根草。別名は、紅蜀葵(こうしょっき)。北米原産。背丈は1.5~2mくらいで、ハイビスカスのような花を夏に咲かせる。茎は、ほぼ直立する。触ると白い粉が付き、木の様に硬い。同じ科のフヨウに似るが、花弁が離れているところがフヨウと違うところ。和名のモミジアオイは、葉がモミジのような形であることから。
トロロアオイ(黄蜀葵、学名:Abelmoschu manihot )は、アオイ科トロロアオイ属の植物。オクラに似た花を咲かせることから花オクラとも呼ばれる。原産地は中国。この植物から採取される粘液はネリと呼ばれ、和紙作りのほか、蒲鉾や蕎麦のつなぎ、漢方薬の成形などに利用される。花の色は淡黄からやや白に近く、濃紫色の模様を花びらの中心につける。花は綿の花に似た形状をしており、花弁は5つで、朝に咲いて夕方にしぼみ、夜になると地面に落ちる。花びらは横の方向を向いて咲くため、側近盞花(そっきんさんか)とも呼ばれる。

◇生活する花たち「あさざ・野萱草(のかんぞう)・山百合」(東京白金台・自然教育園)

■7月月例ネット句会/入賞発表■


■2017年7月月例ネット句会■
■入賞発表/2017年7月10日

【金賞】
★鮎酢や故郷の川まなうらに/谷口博望 (満天星)
鮎酢は郷土料理。鮎の獲れる故郷の清流の景色が、幾年たっても「まなうら」に浮かんでくる。そこに生活があり、人生がある。(高橋正子)

【銀賞/2句】
★朝顔の初めての朝を咲きにけり/祝 恵子
朝顔の清冽さを素直に詠んだ。朝顔は作者が育てたものだろう。初めて咲いた喜びとともに朝顔の清々しさが伝わってくる。(高橋正子)

★街にチラシ次々貼られ盆踊り/高橋句美子
盆が近づくと、町内会など盆踊りを知らせるチラシがあちこちに貼られる。手作りのものなど、チラシが次々増えて、都会にあっても人の輪への誘いがあって、道行くものにもうれしい。(高橋正子)

【銅賞/3句】
★ミニトマト採り来て昼餉の皿豊か/古田敬二
「皿豊か」に健康で明るい食卓が見える。家庭菜園で採れたかわいらしいミニトマトが昼餉を豊かに楽しくしてくれる。(高橋正子)

★梅雨晴れの靴を鳴らして一歳児/藤田洋子
梅雨晴れに靴を鳴らして歩く一歳の児。歩くことがうれしくてたまらない。そんな幼子をわかわかしい気持ちで詠んだ。(高橋正子)

★花胡瓜咲いては青き実を伸ばす/柳原美知子
胡瓜の花は黄色で、朝露のなかに咲く花は新鮮だ。その花が次々咲いたかと思うと、すぐに青い小さい胡瓜となっている。青い実を「伸ばす」は、実感と驚き。(高橋正子)

【高橋信之特選/8句】
★紫蘇色の重石の縁まで上がり来る/古田敬二
大所帯でしたので、梅も容器一杯漬けていました。重石で紫蘇の汁も溢れる程でした。子供時代を懐かしく思い出させてくれた句です。(祝恵子)

★ミニトマト採り来て昼餉の皿豊か/古田敬二
採りたてのミニトマトは色彩も鮮やかで味もいい。見た目のトマトの数だけではなく、気持ちも豊かにさせてもらえます。 (高橋秀之)

★大輪のハイビスカス見て出勤す/高橋秀之
まだ梅雨ですが、晴れると真夏の日差しです。南国の花ハイビスカス、その色と形が出勤風景を明るくしてくれます。 (多田有花)

★源流の泉もて田植機洗いあぐ/高橋正子
源流に近い田んぼで田植え機を使って苗を植える。田んぼの泥で汚れた田植え機。来年まで使うこともない。源流の澄んだ泉で泥を落とし、農機具小屋に来年まで休ませておく。植え終った安堵感と来年まで使わない一抹の寂しさを感じます。(古田敬二)
清冽な源流の泉に感謝の気持ちを込めて丁寧に洗いあげられる田植機。大仕事を終えた農夫の息づかいやからからと回る水音が聞こえてきそうです。 (柳原美知子)

★鮎酢や故郷の川まなうらに/谷口博望 (満天星)
梅雨晴れの靴を鳴らして一歳児/藤田洋子
★花胡瓜咲いては青き実を伸ばす/柳原美知子
★街にチラシ次々張られ盆踊り/高橋句美子

【高橋正子特選/8句】
★巣立ち終え軒の静寂や夏つばめ/桑本栄太郎
夏は雛を哺育の為、忙しく飛び交う燕も子つばめが育ち、旅立ちの準備にはいり軒の巣は静かなさ取り戻した景を見事に詠いあげました。 (小口泰與)

★朝顔の初めての朝を咲きにけり/祝 恵子
夏初めて咲く朝顔が初々しく清々しい朝です。「初めての朝」を迎えて、これから咲き続く朝顔の日々を思います。朝顔を愛おしみ、日々温かく見守る作者の眼差しを感じます。 (藤田洋子)
初めて咲いた朝顔のすっきり感がスレートにつたわってくるようです。色はたぶん紺かムラサキか、涼しげなあじわいです。 (河野啓一)

★ミニトマト採り来て昼餉の皿豊か/古田敬二
採りたてのミニトマトは色彩も鮮やかで味もいい。見た目のトマトの数だけではなく、気持ちも豊かにさせてもらえます。 (高橋秀之)

★星空へ植田の蛙声極め/柳原美知子
学生時代、夏休みに田舎へ帰郷したときの情景を懐かしく思い出しました。「声極め」が星空へよく効いていると思いました。 (満天星)

★青き海静まる先に雲の峰/廣田洋一
明るい夏海の青さとその先に立ち上る雲の峰の白が目に鮮やかに浮かび、いよいよ夏本番の前の静けさに心洗われるようです。(柳原美知子)

★鮎酢や故郷の川まなうらに/谷口博望 (満天星)
★梅雨晴れの靴を鳴らして一歳児/藤田洋子
★街にチラシ次々張られ盆踊り/高橋句美子

【入選/9句】
★地に倒れ伏して真白きグラジオラス/ 多田有花
夏の盛りともなれば、畑は向日葵、グラジオラスなど色々な花が一斉に咲いて来ます。グラジオラスの花には白、黄色、紅、薄紅などありますが、白い花は夏の嵐に倒れても、とても涼やかな景色です。 (桑本栄太郎)

★早朝の日差しとともに夏の風/高橋秀之
早朝の風も爽やかな良い句です。今日もしっかり働こうと言う気になります。(廣田洋一)

★七月や水の匂いに沿い歩く/多田有花
七月になると小川の水の匂いも夏を感じさせるものに変わってきます。その匂いに沿って歩くひとときに夏を感じます。(高橋秀之)

★雨後の空広げし杜の夏祓/藤田洋子
夏祓いの輪を通してみると雨上がりの大空が普段より広く見えるのも、気持ちのいい大空だからこそです。
(高橋秀之)

★恵まれて曾孫誕生天の川/河野啓一
曾孫さんのご誕生の喜びが溢れるように、澄んだ夜空に輝く天の川の美しさです。天空の銀河を仰ぐ作者の思いがしみじみと温かく伝わります。(藤田洋子)

★静けさの水の余白や花菖蒲/小口泰與
花菖蒲の紫が水の余白に鮮やかに浮かびあがり、風と水の匂いがしんと胸の内を流れるようです。(柳原美知子)

★梔子の白まっさらに山雨過ぐ/藤田洋子
夕風も凪いだ夏の夜空を仰ぐと思いがけなく大きな満月がぽっかりと浮かび明るく輝いている。夏本番を迎えて、夜空からも力強いエネルギーが感じられる若々しい句ですね。(柳原美知子)

★木洩れ日の染み入る峠時鳥/小口泰與

■選者詠/高橋信之
★あした咲く鉢の朝顔ベランダに
身近なベランダに育てられた鉢の朝顔が、明るく清々しい一日の始まり、季節の喜びをいっそう感じさせてくれます。これからの暑さにも、朝毎に目を楽しませてくれる可憐な朝顔を思い元気付けられます。(藤田洋子)

★扇風機の風に吹かれる背を向けて
★朝蝉のしきりに鳴きて今朝の晴れ

■選者詠/高橋正子
★源流の泉もて田植機洗いあぐ
源流に近い田んぼで田植え機を使って苗を植える。田んぼの泥で汚れた田植え機。来年まで使うこともない。源流の澄んだ泉で泥を落とし、農機具小屋に来年まで休ませておく。植え終った安堵感と来年まで使わない一抹の寂しさを感じます。(古田敬二)
清冽な源流の泉に感謝の気持ちを込めて丁寧に洗いあげられる田植機。大仕事を終えた農夫の息づかいやからからと回る水音が聞こえてきそうです。 (柳原美知子)

★傾く日に七色失せず虹の橋
★耳そばだて聴く源流の時鳥

■互選高点句
●最高点(5点/同点2句)
★空へ植田の蛙声極め/柳原美知子
★梅雨晴れの靴を鳴らして一歳児/藤田洋子
※7月10日発表の集計に誤りがありました。上記のように訂正します。(7月11日)

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/高橋正子)
※コメントのない句にコメントをお願いします。