8月1日(火)

★撒き水の虹を生みつつ樫ぬらす  正子
散水の水しぶきが小さな虹を生んでいるのでしょう。そしてその水が樫をぬらしていく。何気ない日常ながら、ほっとするひと時をそこに感じます。(高橋秀之)

○今日の俳句
子らに買うバナナを袋いっぱいに/高橋秀之
袋の詰められたバナナの黄色に元気がある。子供たちへの格好の土産となったバナナであるが、夏にあって楽しい。(高橋正子)

○紫式部の花

[ムラサキシキブ/横浜・四季の森公園]   [コムラサキ/東京・新宿御苑園]

★慈雨来る紫式部の花にかな/山内八千代
★紫式部添木に添わぬ花あまた/神部 翠
★光悦垣色あはあはと花式部/高瀬亭子
★紫式部咳くやうに咲き初めし/河野?子
★夢辿る紫式部の花の香に/石地まゆみ
★花式部見つけたり日の輝きに/高橋信之

 紫式部の実は、熟れると美しい紫色となる。しだれるような枝に小さな紫色の実がつき、小鳥が好んで食べる。一度私も食べてみたが、棗に似た味がする。この美しい実がつく前には花が咲くのはとうぜんだが、6月、今ちょうどその紫式部の花が咲いている。実より少し淡い紫色である。その花の通りに実がつく。山野に自生したのを見るが、庭木に植えているものと見かけが多少ちがうように思う。私が見た限りでは、庭木に植えているもは、葉が黄緑がかっているが、自生種は葉が大ぶりで、緑色が濃い。花よりも実が美しい木の一つである。

★登り来てふと見し花は花式部/高橋正子

 ムラサキシキブ(紫式部、Callicarpa japonica)はクマツヅラ科の落葉低木で、日本各地の林などに自生し、また果実が紫色で美しいので観賞用に栽培される。高さ3m程度に成長する。小枝はやや水平に伸び、葉を対生する。葉は長楕円形、鋭尖頭(先端が少し突き出すこと)、長さ6-13cm。細かい鋸歯がある。葉は黄緑で洋紙質、薄くて表面につやはない。初めは表側に細かい毛があることもある。花は淡紫色の小花が散房花序をつくり葉腋から対になって出て、6月頃咲く。秋に果実が熟すと紫色になる。果実は直径3mmで球形。栽培品種には白実のものもある。名前の由来は平安時代の女性作家「紫式部」だが、この植物にこの名が付けられたのはもともと「ムラサキシキミ」と呼ばれていたためと思われる。「シキミ」とは重る実=実がたくさんなるという意味。スウェーデンの植物学者のカール・ツンベルクが学名を命名した。北海道から九州、琉球列島まで広く見られ、国外では朝鮮半島と台湾に分布する。低山の森林にごく普通に見られ、特に崩壊地などにはよく育っている。ムラサキシキブ(コムラサキ、シロシキブ)の名所として、京都・嵯峨野の正覚寺が有名である。
 コムラサキ(C. dichotoma)も、全体に小型だが果実の数が多くて美しいのでよく栽培される。別名コシキブ。ムラサキシキブとは別種であるが混同されやすく、コムラサキをムラサキシキブといって栽培していることが大半である。全体によく似ているが、コムラサキの方がこじんまりとしている。個々の特徴では、葉はコムラサキは葉の先端半分にだけ鋸歯があるが、ムラサキシキブは葉全体に鋸歯があることで区別できる。また、花序ではムラサキシキブのそれが腋生であるのに対して、コムラサキは腋上生で、葉の付け根から数mm離れた上につく。岩手県で絶滅、その他多数の都道府県でレッドリストの絶滅寸前・絶滅危惧種・危急種・準絶滅危惧の種に指定されている。

◇生活する花たち「蛍袋・時計草・木槿(むくげ)」(横浜日吉本町)

7月31日(月)

★冬瓜にさくっという音のみありぬ  正子
「さくっという音」に時間も空間も凝縮されたように感じました。また、これからできる、歯ざわりのいい美味しそうな冬瓜料理が、食卓に並べられている様子を想像することができました。私は冬瓜はまだ食べたことがないので、食べてみたいなと思いました。(井上治代)

○今日の俳句
鳴き交わし夏鳥高き青空へ/井上治代
夏鳥の弾けるような鳴き声が楽しげだ。高く眩しい青空へ飛びゆく姿も生命の楽しさそのものだ。(高橋正子)

○風船葛

[風船葛/横浜日吉本町]

 フウセンカズラ(風船葛、学名:Cardiospermum halicacabum)とはムクロジ科の植物の一種。属名は「ハートの種子」の意。花を観賞するためよりむしろ、風船状の果実を観て楽しむために栽培される。熱帯・亜熱帯のアジア・アフリカ原産。
 つる性の植物で一年草。葉は三出複葉、小葉は草質で柔らかく、あらい鋸歯がある。7月~9月頃に白い5mmくらいの花を咲かせる。花は葉腋からでる長い柄の先に数個付き、巻きヒゲを共につける。果実は風船状に大きく膨らみ、緑色。後に茶色く枯れる。種子は球形で大粒、なめらかな黒でハート形の白い部分がある。ちょうど栃の実を小さくした姿に見える。
 よく茂ったときは非常に涼しげで、家庭の壁面緑化にも使われる。種子は、白っぽいハート形の部分をサルの顔に見立てて遊ぶこともある。

神さまがついて風船かづら揺れ 鷹羽狩行
あそび仲間ふやし風船葛かな    宮津昭彦
風船葛色づき風のなき日かな    宮津昭彦
風吹けば吹かれ風船葛かな 大橋敦子
フランスヘ行かう風船かづらの唄 豊田都峰

◇生活する花たち「あさざ・露草・うばゆり」(東京白金台・自然教育園)

7月30日(日)

★わが視線揚羽の青に流さるる  正子
ふっとあらわれた涼しそうな青い揚羽蝶。しばらくは揚羽のようすに心ひかれて目がはなせません、詩のある風景が思われます。(小川和子)

●久しぶりに昨日から頭痛に襲われている。片頭痛。万事休す。夜中にロキソニンを飲む。
●カルチャーラジオで田中克彦という方の講演を途中から聞いた。その名前にぴんと来た。20年近く前、『ことばと国家』という本を読もうした記憶がある。私の思う言語学の範囲を超えていて、その時は読まなかったが、その著者。その声はざっくばらんで意外だった。

○クィーン・ネックレス

[クィーン・ネックレス/横浜日吉本町]

★夕涼に行き遇うクィーン・ネックレス/高橋正子

 「クィーン・ネックレス」という花がある。「女王様の首飾り」。女王様は、エリザベス女王以外には考えられない。わざわざ「クィーン」がつくところが、メルヘン的。この花のピンクが英国女王に似合っているようにも思う。蔓性の花、案外丈夫で、いったん咲いて、剪定して、また咲いてを、しばらく繰り返しているようだ。ちょうど角の家にあるし、ピンクの小花がネックレスのように10センチほど連なっていて、珍しいので、通る人がよく名前を尋ねるらしい。
 クイーンネックレスは、タデ科アンティゴノン属で、学名はAntigonon leptopus。メキシコ原産の熱帯つる性で、7月~10月にかけて、ピンク色の花を咲かす。耐暑性はあるが、耐寒性(5度以上)は弱い。日あたりのよい場所、また水はけ、水もちのよい土で育て、フェンス・トレリス等に這わせ、ベランダからも垂らしたりする。別名をアサヒカズラ、アンティゴノン、ニトベカズラという。

◇生活する花たち「月見草・大賀蓮・のうぜんかずら」(横浜・四季の森公園)

7月28日(金)

★さくらんぼみどりあかるき茎が縦横  正子
 春、他の桜に遅れて白い花をひらき、6月から7月の頃熟して紅から紫紅色となり、数個寄り合って明るい茎をたずさえている。皿に盛るとその茎が縦横になつて、食欲をそそります。特に夏の果物として喜ばれますね。(小口泰與)

○今日の俳句
湖へ虎杖の花咲きいそぎ/小口泰與
湖のほとりに虎杖の花が咲き急いでいる。夏が短い北国を思わせる。虎杖の花は小さく白い。散れば葉に埃がかかるように散る。夏の短さも、花のもろさも、みな移ろいやすさでえある。(高橋正子)

○グラジオラス

[グラジオラス/横浜日吉本町]

グラジオラス (Gladiolus) は、アヤメ科グラジオラス属の植物の総称。日本には自生種はなく、園芸植物として植えられている。別名、トウショウブ(唐菖蒲)、オランダショウブ(阿蘭陀菖蒲)。名前は古代ローマの剣であるグラディウスに由来し、葉が剣に類似していることが根拠と言われる。日本では明治時代に輸入され、栽培が開始された。根は湿布薬の材料に使われる。

◇生活する花たち「月見草・大賀蓮・のうぜんかずら」(横浜・四季の森公園)

7月27日(木)

★初蝉は一蝉遠く鳴いて止む  正子
初蝉を聞く時は突然とも思え、鳴き声に気付く間に鳴き止んでしまいます。鳴き出す事も一斉ながら、鳴き止んでしまう事もアッと言う間の一斉です。しかしその中にあっても、何処か遠くにはまだ鳴き惜しむかに鳴いているものもあります。そのあたりの不揃いさが初蝉の特徴ですね?「一蝉遠く」との措辞が効いています。(桑本栄太郎)

●表参道の伊藤病院へ半年一度の検診に行く。血液検査後、次の超音波の検査まで1時間半あるので、青山6丁目の「根津美術館」へ行く。表参道から根津美術館まではみゆき通りと名付けられて、アカシア並木。三宅一生などのブティックもあるが、静か。アカシアの花が舗道に降っている。まだ枝には花が残って曇り空の風に吹かれて散っている。長袖ジャケットを着ていたが、比較的涼しく、今日の最高気温は28度らしい。
根津美術館は外国人に人気のようだ。時間がないので、一階の展示室1、2、3室だけ見て、庭園を散策。美術館からつながる路は下りの石段が続く。この道は年寄りには危ないと思いつつ歩く。全部は回りきれないので、思いつくままの道を辿ったが慌ててれば迷いそうになる。庭園にも灯籠などの展示物が置かれている。
術後2年の診断結果は問題なしで、特に注意すべきこともなく、半年分の薬をもらって帰宅。受付から診察終了まで3時間くらい。

○今日の俳句
六甲アイランド埠頭
夏潮の海原蒼きカフェレストラン/桑本栄太郎
夏潮の海原の蒼さは、見るだけで爽快な、広々とした気分になる。カフェレストランでゆっくり喫茶しながら眺める時間は至福の時。(高橋正子)

○グラジオラス

[グラジオラス/横浜日吉本町]

グラジオラス (Gladiolus) は、アヤメ科グラジオラス属の植物の総称。日本には自生種はなく、園芸植物として植えられている。別名、トウショウブ(唐菖蒲)、オランダショウブ(阿蘭陀菖蒲)。名前は古代ローマの剣であるグラディウスに由来し、葉が剣に類似していることが根拠と言われる。日本では明治時代に輸入され、栽培が開始された。根は湿布薬の材料に使われる。

◇生活する花たち「月見草・大賀蓮・のうぜんかずら」(横浜・四季の森公園)

7月26日(水)

★白すぎて花おおらかに泰山木  正子
「白すぎて」とは、少なからぬ人々が泰山木の花の透き通るような純白に対して抱く賛美と不安との両極の思いを表しているように思います。先生はその二つともを結局は「おおらかに」としっかり受け止められました。泰山木には、そこに落ち着く筈の「おおらかさ」が備わっており、それを見極める決意がこの句の真髄となっているような気がします。(小西 宏)

○今日の俳句
金蚊の仰向いて脚生きんとす/小西 宏
金蚊が何かにぶち当たってひっくり返った。起き上がろうとしてか、必死に脚を動かしている。作者はその様子を「生きんとす」と捉えた。金蚊の命を直視しているのがよい。(高橋正子)

○クィーン・ネックレス

[クィーン・ネックレス/横浜日吉本町]

★夕涼に行き遇うクィーン・ネックレス/高橋正子

 「クィーン・ネックレス」という花がある。「女王様の首飾り」。女王様は、エリザベス女王以外には考えられない。わざわざ「クィーン」がつくところが、メルヘン的。この花のピンクが英国女王に似合っているようにも思う。蔓性の花、案外丈夫で、いったん咲いて、剪定して、また咲いてを、しばらく繰り返しているようだ。ちょうど角の家にあるし、ピンクの小花がネックレスのように10センチほど連なっていて、珍しいので、通る人がよく名前を尋ねるらしい。
 クイーンネックレスは、タデ科アンティゴノン属で、学名はAntigonon leptopus。メキシコ原産の熱帯つる性で、7月~10月にかけて、ピンク色の花を咲かす。耐暑性はあるが、耐寒性(5度以上)は弱い。日あたりのよい場所、また水はけ、水もちのよい土で育て、フェンス・トレリス等に這わせ、ベランダからも垂らしたりする。別名をアサヒカズラ、アンティゴノン、ニトベカズラという。

◇生活する花たち「月見草・大賀蓮・のうぜんかずら」(横浜・四季の森公園)

7月25日(火)

★枇杷の実のあかるさ葉ごと買いにけり  正子
枇杷の花は気付かない程静かに咲く花ですが、実が黄色く熟れて来ると梅雨の季節でも恰も灯を点したかの様に丸々と明るく見えて参ります。瑞々しい果汁一杯の実も美味しく戴きますが、子供の頃、汗疹にいいと親が厚みのある葉を摘んでいた記憶が有ります。夕日の様な明るさの実を葉ごと買われたという御句に懐かしい昔を思い出しました。(佃 康水)

○今日の俳句
広島・平和公園
緑陰の窪に砂浴ぶ雀どち/佃 康水
緑陰のちょっとした窪を見つけて砂浴びをする雀たちが、かわいらしく、涼しそうな風景だ。(高橋正子)

◇生活する花たち「あさざ・野萱草(のかんぞう)・山百合」(東京白金台・自然教育園)

7月23日(日)

★睡蓮の花のひとつが離れ浮き  正子
 睡蓮の花は固まっていくつか咲いているのであろうが、一つだけ離れて浮いている。どことなく落ち着いた風景が浮かんできます。(高橋秀之)

○今日の俳句
早朝の池に蓮見の来訪者/高橋秀之
早朝、作者はジョギングか散歩で蓮池を訪ねたのだろう。そのとき、蓮見の来訪者が意外と大勢いるのに驚いた。蓮は早朝に開花するので、この開花の時間を狙っての蓮見客。(高橋正子)

○カサブランカ

[カサブランカ/横浜日吉本町]

★カサブランカ咲き特別な日々となる/山崎 杏
★今年またカサブランカの紅の蕊/稲森如風
★風そよぎカサブランカの薫りあり/中居秀童
★カサブランカに風あり白いと思う朝/高橋信之

 カサブランカがブームになって、田舎都市の松山でも愛好者が増えた。大変美しく豪華な百合であると知ったし、花屋でもまず目についた。それを自分で咲かせてみようと思ったのは、加入しているコープのパンフレットでカサブランカの球根の案内があったから。試しに注文して球根が届いた。秋に鉢植えにして花を楽しみにしていた。普通の百合のように芽がでるものとおもっていたが、筍ようような切っ先が伸びてきて驚いた。なんの手入れもなく、カサブランカの花を楽しんだ。翌年は咲かせようとはおもわなかったので、私が咲かせたカサブランカはこのときだけになっている。
 横浜・四季の森公園で山百合を見て、カサブランカほどの大きさだと思ったが、カサブランカのもとは日本の山百合であることを後で知った。私の大きさの認識については間違っていなかったということだろう。

  松山・衣山
★カサブランカ海をうしろに咲く今朝よ/高橋正子

 カサブランカの原産地は北半球の日本を含む亜熱帯~亜寒帯である。ユリ属のうちヤマユリ、タモトユリなどを原種とするオリエンタルハイブリッドの一品種。開花時期は7~8月。1970年代にオランダで作出され、世界的なブームを呼んだ。純白の大輪の花を咲かせ「ユリの女王」と言われる。結婚式の際のブーケをはじめ、主に贈り物の花束として喜ばれる花である。オリエンタル・ハイブリッドは、ヤマユリやカノコユリ、タモトユリなど森林のユリを交配して作られた品種群で、その中の「カサブランカ」が有名であるが、カサブランカを生み出す交配で主要な役割を果たしたトカラ列島口之島原産のタモトユリは、皮肉なことに自然状態ではほぼ絶滅してしまっている。なおカサブランカはモロッコの都市の一つ。なお、映画『カサブランカ(英語: Casablanca)』は、第二次世界大戦にアメリカが参戦した1942年に製作が開始され、同年11月26日に公開されたアメリカ映画で、フランス領モロッコのカサブランカを舞台にした。ハンフリー・ボガートとイングリッド・バーグマンが出演しており、映画スターベスト100(1999年)の男性1位にハンフリー・ボガート、女性4位にイングリッド・バーグマンが選ばれている。

◇生活する花たち「月見草・大賀蓮・のうぜんかずら」(横浜・四季の森公園)

7月22日(土)

★うっすらと平らに緋鯉の浮いて来し  正子
人が池に近づきますと、馴れた鯉は餌を貰えるものとどこからともなく集まって来ます。その集い来る鯉の中でも、緋鯉はとても存在感があり愛おしく思えます。その集い来る情景は確かに「うっすらと平らに」ですね。「緋鯉」が夏の季語と知り、とても良い勉強となりました。(桑本栄太郎)

○今日の俳句
そびえ立つ青嶺青嶺の熱海かな/桑本栄太郎
熱海というと海に目が向くが、青嶺も続くのである。その新鮮さも旅の目を楽しませてくれる。(高橋正子)

○凌霄葛(のうぜんかずら)

[凌霄の花/横浜市港北区箕輪町]     [凌霄の花/横浜・四季の森公園]

7月21日(金)

★泳ぎ子の母呼び父と沖にいる  正子
広い海で「お母さん」と呼ぶ声が青い空に吸い込まれていくようです。優しい父母のもとで育てられている子どもの姿が輝き、楽しい夏の思い出の1ページが甦るようです。(井上治代)

○今日の俳句
たっぷりと野菜を洗う水涼し/井上治代
夏は水が気持ちがよい。野菜を洗うにも手に水を楽しみながら洗う。夏野菜もいろいろとあって、新鮮そのもの。それが涼感を句にもたらしている。(高橋正子)

○山百合

[山百合/横浜・四季の森公園(2012年7月19日)]_[山百合/東京白金台・自然教育園(2013年7月9日)]